特許第6053610号(P6053610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053610
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/22 20060101AFI20161219BHJP
   B62D 25/16 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B60R22/22
   B62D25/16 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-109054(P2013-109054)
(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公開番号】特開2014-227076(P2014-227076A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】増田 亮
(72)【発明者】
【氏名】森岡 保光
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−061228(JP,A)
【文献】 実開昭63−002662(JP,U)
【文献】 実開平02−065658(JP,U)
【文献】 米国特許第05044695(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00−48
B62D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のベルト部を、前方に回動可能な運転座席の座面側で連結機構により分離自在に連結するシートベルトを備えている作業車であって、
左右の前記ベルト部が、その両ベルト部の基端を車体側の左右位置に連結し、その延出端に前記連結機構を備えたものであり、
左右の前記ベルト部の一方には長さ調節機構が備えられ、且つ他方より長い長尺側となるように寸法関係が設定されており この長尺側の前記ベルト部の前記連結機構を保持する保持部材が、前記長尺側の前記ベルト部の反対側に位置する他方の短尺側の前記ベルト部の基端近くの前記車体に備えられ、
前記保持部材は、前記長尺側の前記ベルト部における前記連結機構を保持する第1保持部と、短尺側の前記ベルト部における前記連結機構を保持する第2保持部とを備え、
前記第1保持部と前記第2保持部とは、前記両ベルト部の基端よりも後方側に配置され、且つ前記第1保持部よりも前記第2保持部が前方側に配置されている作業車。
【請求項2】
前記保持部材が、前記第1保持部と、前記第2保持部とを一体的に形成した構成を有している請求項1記載の作業車。
【請求項3】
左右の前記ベルト部の一方に前記連結機構としての係合片が備えられ、この係合片が挿入されることで連結状態に達する前記連結機構としてのバックルが左右の前記ベルト部の他方に備えられ、
前記第1保持部と前記第2保持部との一方が、前記係合片と同形状で形成されている請求項2記載の作業車。
【請求項4】
前記保持部材が、前記運転座席の側部のフェンダーの上面に備えられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右のベルト部を、前方に回動可能な運転座席の座面側で連結機構により分離自在に連結するシートベルトを備えている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された作業車として特許文献1には、シートベルトを構成する左右のベルト部(文献では、係合側ベルト・被係合側ベルト)の基端を運転座席に支持し、左右のベルト部の一方の延出端に連結機構を構成する係合部を備え、他方の延出端に連結機構を構成する被係合部を備えた構成が示されている。この特許文献1では運転座席が横軸を中心に前方に回動可能に支持されている。
【0003】
この特許文献1では、運転座席の左右にコントロールパネルが配置され、これらのコントロールパネルに対してベルト部の延出端を保持する保持部が設けられている。この保持部を備えることにより、シートベルトの連結機構の連結を解除した状態で左右のベルト部の自由端となる側が下方に落ち込むことや、自由端となる側がパネル等に接触しエンジンの振動により異音を発生させる不都合を解消している。尚、保持部の具体構成として、一方のパネルには係合部が嵌り込むベルト固定孔を形成し、他方のパネルには被係合部に嵌り込む突起片を形成している。
【0004】
上記のように構成された作業車として特許文献2には、運転座席の左右にベルト部(文献ではシートベルト)を配置し、各々のベルト部の基端(文献では下端)を車体側に連結し、各々のベルト部の延出端に連結機構を構成する留め具を備えた構成が示されている。
【0005】
この特許文献2では、運転座席の左右に細いバネ材で成るホルダを支持ピンを中心にして揺動自在に支持し、このホルダを起立姿勢に付勢するバネを備えると共に、このホルダの揺動端にはベルト部の通過を許容し、留め具の抜け落ちを阻止する構造のシート保持部を形成した構成が示されている。この構成ではホルダのシート保持部にベルト部を挿通しておくことよりシートベルトが非使用時にある場合には、ホルダが起立姿勢となりベルト部を運転座席の外方に引き上げるためベルトが邪魔にならないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001‐88657号公報
【特許文献2】特開2000‐103313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
作業車としてトラクタを例に挙げると、運転座席には作業時に運転者を拘束するシートベルトを備えている。この種のシートベルトは、乗用車の運転座席にも備えられているが、乗用車では非使用時にシートベルトを巻き取るための巻取機構を備えることで乗降に支障がないようにしている。
【0008】
巻取機構は作業車の価格上昇を招き、配置スペースも必要とするため左右のベルト部の基端を運転座席や車体に連結固定したシートベルトを使用することもあった。このように、非巻き取り型のシートベルトを備えたものでは、左右のベルト部の延出端が運転座席の上面にある場合には乗降に邪魔になることもあり、特許文献1や特許文献2に記載されるように、ベルト部の延出端の位置を規制する構成も考えられていた。
【0009】
しかしながら、特許文献1では左右のベルト部の延出端を左右のパネルに支持するため、左右のパネルに特別な構成を付加する必要があり、また、延出端を支持した状態でもベルト部の中間が垂れ下がる形態で大きく弛むことが想定できる。また、特許文献2の構成では、運転座席の左右位置に姿勢変更自在にホルダを備えるため、構成が複雑になり、このホルダの配置スペースも必要とするため現実的な構成ではなかった。特に、点検や修理の目的で運転座席を回動させることを考えると、左右のベルト部が運転座席の座面側にある場合には、回動操作を妨げることも考えられた。
【0010】
本発明の目的は、シートベルトを構成する左右のベルト部を分離状態に維持して点検・修理を良好に行わせることが可能な作業車を構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、左右のベルト部を、前方に回動可能な運転座席の座面側で連結機構により分離自在に連結するシートベルトを備えている作業車であって、左右の前記ベルト部が、その両ベルト部の基端を車体側の左右位置に連結し、その延出端に前記連結機構を備えたものであり、左右の前記ベルト部の一方には長さ調節機構が備えられ、且つ他方より長い長尺側となるように寸法関係が設定されており この長尺側の前記ベルト部の前記連結機構を保持する保持部材が、前記長尺側の前記ベルト部の反対側に位置する他方の短尺側の前記ベルト部の基端近くの前記車体に備えられ、前記保持部材は、前記長尺側の前記ベルト部における前記連結機構を保持する第1保持部と、短尺側の前記ベルト部における前記連結機構を保持する第2保持部とを備え、前記第1保持部と前記第2保持部とは、前記両ベルト部の基端よりも後方側に配置され、且つ前記第1保持部よりも前記第2保持部が前方側に配置されている点にある。
【0012】
この構成によると、左右のベルト部の連結機構を分離し、長尺側のベルト部を運転座席のシートバックの背面側を通過させた状態で連結機構を保持部材に保持することにより、この長尺側のベルト部を延出端の位置を決まった位置に保持できる。この状態では、運転座席を前方に回動させる操作を、長尺側のベルト部が妨げることがなく、運転座席の下方の点検や修理を容易に行うことも可能となる。また、長尺側のベルト部が大きく垂れ下がることもない。
従って、シートベルトを構成する左右のベルト部を分離状態に維持して点検・修理を良好に行わせることが可能な作業車が構成された。
【0013】
本発明は、前記保持部材が、前記第1保持部と、前記第2保持部とを一体的に形成した構成を有しても良い。
【0014】
これによると、長尺側のベルト部の連結機構を第1保持部に保持し、長尺側より短い方のベルト部の連結機構を第2保持部に保持することにより、左右のベルト部の延出端の位置を規制して運転座席の座面側を確実に開放する。また、複数の保持部材を用いることなく、単一の保持部材を用いることにより、保持部材の構成が簡単になる。
【0015】
本発明は、左右の前記ベルト部の一方に前記連結機構としての係合片が備えられ、この係合片が挿入されることで連結状態に達する前記連結機構としてのバックルが左右の前記ベルト部の他方に備えられ、前記第1保持部と前記第2保持部との一方が、前記係合片と同形状で形成されても良い。
【0016】
これによると、係合片と同形状で形成される第1保持部又は第2保持部が、連結機構としてのバックルに挿入されることにより、これらを連結することが可能となり、ベルト部の延出端の保持が確実になる。
【0017】
本発明は、前記保持部材が、前記運転座席の側部のフェンダーの上面に備えられても良い。
【0018】
これによると、フェンダーの上面で大きく開放する部位に保持部材を備えることが可能となり、ベルト部の延出端を保持する操作を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】トラクタの側面図である。
図2】トラクタ後部の平面図である。
図3】運転座席の近傍を示す側面図である。
図4】運転座席の支持構造とシートベルトとを示す後面図である。
図5】シートベルトの延出端を保持部材に支持した状態を示す後面図である。
図6】保持部材とタングプレートとバックルとを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、左右の前車輪1と左右の後車輪2とを備えた走行車体3の前部にエンジンボンネット4に収容されるエンジン5を備え、後部にミッションケース6を備え、走行車体3の中央位置に運転部Aを備えて作業車の一例としてのトラクタが構成されている。
【0021】
尚、本発明の作業車はトラクタに限るものではなく、芝刈機、コンバイン、田植機、ドーザ装置を有した車両や、掘削装置を有した車両であっても良い。
【0022】
このトラクタは、エンジン5の駆動力をミッションケース6で変速して左右の前車輪1と左右の後車輪2とに伝える走行伝動系を備えており、走行車体3の後端にロータリ耕耘装置等の作業装置を連結することにより、この作業装置にミッションケース6からの駆動力を伝えて耕耘作業等を行えるように構成されている。
【0023】
エンジンボンネット4の後端に連なる位置にパネル部11が形成され、この後方にステアリングホイール12を備えている。走行車体3の後部位置には左右の後車輪2の上方を覆うリヤフェンダー13を備え、この左右のリヤフェンダー13に挟まれる位置に運転座席7を備えている。左右のリヤフェンダー13の上面には、樹脂製のレバーガイド14を備え、一方のレバーガイド14には、走行車体3の走行速度を設定する変速レバー15が上下方向に挿通し、他方のレバーガイド14には、走行車体3の後端に連結される作業装置の昇降を行う昇降レバー16が上下方向に挿通している。
【0024】
このようにパネル部11と、ステアリングホイール12と、変速レバー15と、昇降レバー16と、運転座席7とを備えることで前述した運転部Aが構成されている。この運転部Aには運転座席7に着座する作業者を拘束するシートベルトBと角パイプ材で成るロプスフレーム17とが備えられている。
【0025】
図1及び図3に示すように、ミッションケース6の後端側の上部には、油圧式のリフトシリンダ21の駆動力により揺動する左右一対のリフトアーム22が備えられ、このミッションケース6の後端面には外部取出軸23が後方に突出する形態で形成されている。左右のリヤフェンダー13はミッションケース6の側面に支持され、このミッションケースの左右の側面にはロプスフレーム17の下端が連結固定されている。
【0026】
〔運転座席の支持構造〕
図3及び図4に示すように、運転座席7は、シートクッション7Aとシートバック7Bとを一体形成しており、シートクッション7Aの底壁の前部位置には、下方に突出する姿勢の前部ブラケット25が備えられている。この下方位置には、左右のリヤフェンダー13を繋ぐ横長の連結フレーム31が配置され、この連結フレーム31に対して上方に延出する姿勢のステー32が支持されている。このステー32の上端と前部ブラケット25とが横向き姿勢の支軸26により揺動自在に連結している。尚、シートクッション7Aとシートバック7Bとのうち運転者が着座する面を座面と称している。
【0027】
ミッションケース6の後部上面には横長の支持フレーム33が備えられ、この支持フレーム33に取り付けた左右の支持ブラケット34に対してクッションスプリング35を介して当接ゴム36が支持されている。また、運転座席7のシートクッション7Aの直下に工具類を収容するツールボックス37を備えている。
【0028】
この構成から、運転座席7を図3に実線で示す作業姿勢にセットすることにより、当接ゴム36が運転座席7のシートクッション7Aの底壁の後部に当接して運転座席7の姿勢が決まる。この作業姿勢では、作業者の着座を可能にすると共に、走行車体3から運転座席7に伝わる振動をクッションスプリング35と当接ゴム36が吸収して快適な作業を実現する。また、この運転座席7の後端側を持ち上げ、支軸26を中心にして全体を前方に回動させることで、この運転座席7を同図に仮想線で示す開放姿勢にセットできるように構成されている。この開放姿勢では、運転座席7下方の空間の開放が可能となり、ミッションケース6のメンテナンスを可能にするだけではなく、ツールボックス37を開放して工具を取り出すことも可能となる。
【0029】
〔シートベルト〕
支持フレーム33と左側の支持ブラケット34とに対し左側のベルト支持フレーム41の下端部が溶接固定され、支持フレーム33と右側の支持ブラケット34とに対し右側のベルト支持フレーム41の下端部が溶接固定されている。左右のベルト支持フレーム41は、外端側ほど上方に持ち上がる斜め姿勢であり、この左右のベルト支持フレーム41の外端位置にベルト支持部材42がボルト連結されている。尚、左右のベルト支持フレーム41は、平面視において運転座席7の後部の左右方向の外側に配置されている。
【0030】
シートベルトBは、左右のベルト部45を有し、この左右のベルト部45を運転座席7の座面側で分離自在に連結する連結機構を有している。左右のベルト部は高強度繊維をベルト状に織製したものが用いられ、一方(図4で右側)が決まった長さの定尺側となり、他方(図4で左側)が定尺側より長い長尺側となるように寸法関係が設定されている。具体的には、運転座席7の右側に定尺側(短い側)のベルト部45を配置すると共に、その基端を走行車体3に支持している。これと同様に、運転座席7の左側に長尺側のベルト部45を配置すると共に、その基端を走行車体3に支持している。
【0031】
長尺側のベルト部45の基端を、前述した左側のベルト支持部材42に支持し、このベルト部45の延出端に連結機構としてタングプレート46(係合片の具体例)と、ベルト部45の繰出し長さを調節する長さ調節機構47とを備えている。タングプレート46には孔部46Aが形成されている。この実施形態では、タングプレート46と長さ調節機構47とが連結したものを示しているが、これらが分離する構成のものであっても良い。
【0032】
定尺側のベルト部45の基端を、前述した右側のベルト支持部材42に支持し、このベルト部45の延出端に他方の連結機構としてバックル48を取り付けている。このバックル48は、タングプレート46が挿入される開口48Bを有し、タングプレート46の孔部46Aに嵌合するロック部材を内蔵し、このロック部材によるロックを解除するロック解除ボタン48Aを備えている。
【0033】
尚、ベルト部45の長尺側と定尺側とは運転座席7の左右何れに配置されても良い。これと同様に、連結機構としてのタングプレート46とバックル48とは長尺側と定尺側との何れに(左右何れに)配置されても良い。
【0034】
この構成により、作業姿勢にセットされた運転座席7に作業者が着座し、左右のベルト部45のタングプレート46をバックル48の開口48Bに挿入することで、タングプレート46とバックル48とがロック状態に達し、シートベルトBによる運転者の拘束が可能となる。
【0035】
〔保持部材〕
このトラクタでは、運転座席7のシートバック7Bの背面側に長尺側のベルト部45を通過させた状態で、そのベルト部45のタングプレート46を保持すると共に、定尺側のベルト部45のバックル48を保持する保持部材50が右側のリヤフェンダー13の上面に備えられている。
【0036】
この保持部材50は、図6に示すように、リヤフェンダー13に連結する状態で、このリヤフェンダー13の上面に密着する固定部50Aを中央にして一方(後方)の端部側にタングプレート46を保持する第1保持部51を形成し、他方(前方)の端部にバックル48を保持する第2保持部52を形成した構造を有している。また、保持部材50は固定部50Aとリヤフェンダー13とに貫通する連結ボルト53により固定されている。また、この保持部材50は、平面視で、第1保持部51を運転座席7のシートバック7Bより後方に突出させるように配置されている。
【0037】
第1保持部51は、固定部50Aから上方に折れ曲がる縦係止片51Aと、この縦係止片51Aの上端から水平方向に伸びる中間片51Bと、この中間片51Bの延出端から下方に伸びる抜止片51Cとを有している。この抜止片51Cの端部とリヤフェンダー13の上面との間にはタングプレート46の厚みより少し大きい寸法となる隙間が形成されている。
【0038】
第2保持部52は、タングプレート46と同形状となる保持用孔部52Aが形成されている。この保持部材50は、左右のリヤフェンダー13のうち長尺側のベルト部45が配置される側と反対側のリヤフェンダー13の上面に配置されるものであり、長尺側のベルト部45が運転座席7の右側に配置される場合には、保持部材50は運転座席7の左側に配置されることになる。
【0039】
このような構成から、非作業時には、シートベルトBのバックル48とタングプレート46とを分離し、図2図3及び図5に示すように、このシートベルトBの長尺側のベルト部45を運転座席7のシートバック7Bの背面側に通過させてタングプレート46を保持部材50の第1保持部51に保持することが可能となる。更に、シートベルトBの定尺側のベルト部45のバックル48の開口48Bに対して保持部材50の第2保持部52を挿入しロック形態として、このバックル48を保持することも可能となる。尚、第2保持部52に保持されたバックル48を取り外す場合には、バックル48のロック解除ボタン48Aを操作することになる。
【0040】
このように左右のベルト部45の延出端を単一の保持部材50に保持することにより、左右のベルト部45の垂れ下がりを抑制した状態で、ベルト部45の各々の延出側の端部の位置が決まることになる。特に、フェンダー13の上面で大きく開放する部位に保持部材50を備えているので、シートベルトBのバックル48とタングプレート46と保持操作を容易に行える。
【0041】
このように左右のベルト部45の延出端を保持部材50に支持した状態では、左右のベルト部45が運転座席7のシートクッション7Aから離間するため、支軸26を中心にして運転座席7の後部を持ち上げて開放姿勢に切り換える操作をシートベルトBが妨げることがない。これによりツールボックス37の工具類の取り出しが容易になるだけでなく、運転座席7の下側のミッションケース6やリフトシリンダ21の上方空間を大きく開放して、これらの点検や修理を容易に行えるのである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、運転座席の作業者を拘束するシートベルトを有する作業車に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
3 車体(走行車体)
7 運転座席
13 フェンダー(リヤフェンダー)
45 ベルト部
46 連結機構・係合片(タングプレート)
47 長さ調節機構
48 連結機構・バックル
50 保持部材
51 第1保持部
52 第2保持部
B シートベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6