特許第6053613号(P6053613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053613
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】雌端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/18 20060101AFI20161219BHJP
   H01R 13/193 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01R13/18 B
   H01R13/193
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-120964(P2013-120964)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-238974(P2014-238974A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】大久保 公貴
(72)【発明者】
【氏名】安藤 修平
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−187167(JP,A)
【文献】 特開2013−187166(JP,A)
【文献】 特開2000−091013(JP,A)
【文献】 特開平08−031488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/18
H01R 13/193
H01R 13/187
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に筒状の接点ホルダを有する端子本体と、
前記筒状の接点ホルダの内部に収容され、前方からピン状の雄端子が挿入される筒状の接点部材と、
前記筒状の接点ホルダに回動可能に装着された回動リングと、を備え、
前記筒状の接点部材が、両端に配された一対の保持リングと、該一対の保持リングで両端が保持され、初期状態において前記雄端子の外径よりも内径が大きく設定され、前記一対の保持リングが相対的に逆方向に捻られることで、前記雄端子の外径よりも内径が小さく収縮する径可変部と、からなり、
前記筒状の接点部材が前記筒状の接点ホルダの内部に収容された状態で、前記両端の保持リングのうちの一方の前記保持リングが前記筒状の接点ホルダに回転不能に固定され、他方の前記保持リングが前記筒状の接点ホルダに対して回転可能且つ前記回動リングに対し一体回転するように固定されていることを特徴とする雌端子。
【請求項2】
前記径可変部として、各両端が前記保持リングに固定された状態で周方向に間隔をおいて配列され、前記筒状の接点部材の軸線方向に平行に延在する初期状態から、前記一対の保持リングが相対的に逆方向に捻られることで、全体で双曲面を構成する多数の金属線材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記雄端子が前記筒状の接点部材に挿入されて電気的に接続されたときに、前記回動リングと前記筒状の接点ホルダとの回転位置を固定する固定機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記固定機構は、前記筒状の接点ホルダの周面に設けられた係止突起と、前記回動リングの周面に設けられ前記係止突起を収容して回転方向の動きを規制する係止溝とを有することを特徴とする請求項3に記載の雌端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方からピン状の雄端子が挿入される雌端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、径方向に弾性を有する接点部材を備えた雌端子の例が記載されている。図9及び図10に示すように、この雌端子10は、円筒状のスリーブ20と、その内部に挿入される円筒状の接点部材30とを有する。円筒状のスリーブ20の軸線方向の両端には、周方向に間隔をおいて複数の係合部21が配列されている。また、円筒状の接点部材30は、軸線方向に延在する複数のコンタクトストリップ(接点用の細帯板)31を備えると共に、軸線方向の両端に、周方向に間隔をおいて配列された複数の係合部32を備えている。
【0003】
円筒状の接点部材30は、両端の係合部32を捻れた位置関係で、円筒状のスリーブ20の両端の係合部21に係合させることにより、捻れた状態に保持された複数のコンタクトストリップ31の集合体により双曲面を形成している。そして、円筒状の接点部材30により構成される双曲面の内方に凸に湾曲した部分を、径方向に弾性を備えるバネ部として、雌端子10が構成されている。この雌端子10に図示しない雄端子を挿入すると、雄端子に押されて接点部材30が弾性変形しながら、雄端子に接触荷重を加え、雄端子と雌端子の電気的接続が成立する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4209775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した雌端子の場合、雄端子が挿入される前に、最初から接点部材が予め双曲面状に固定的に形成されているので、接点部材によるバネ荷重を受けながら、雄端子を雌端子に挿入する必要がある。従って、バネ荷重が摩擦抵抗となり、挿入荷重が高くなってしまうという問題がある。また、摩擦抵抗を受けながら挿入することから、雄端子と雌端子の接点部が摩耗しやすいという問題もある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、雄端子を挿入するときの摩擦抵抗を減らすことができ、それにより、挿入荷重を小さくすることができると共に、接点部の摩耗を減らすことのできる雌端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 前部に筒状の接点ホルダを有する端子本体と、
前記筒状の接点ホルダの内部に収容され、前方からピン状の雄端子が挿入される筒状の接点部材と、
前記筒状の接点ホルダに回動可能に装着された回動リングと、を備え、
前記筒状の接点部材が、両端に配された一対の保持リングと、該一対の保持リングで両端が保持され、初期状態において前記雄端子の外径よりも内径が大きく設定され、前記一対の保持リングが相対的に逆方向に捻られることで、前記雄端子の外径よりも内径が小さく収縮する径可変部と、からなり、
前記筒状の接点部材が前記筒状の接点ホルダの内部に収容された状態で、前記両端の保持リングのうちの一方の前記保持リングが前記筒状の接点ホルダに回転不能に固定され、他方の前記保持リングが前記筒状の接点ホルダに対して回転可能且つ前記回動リングに対し一体回転するように固定されていることを特徴とする雌端子。
【0008】
(2) 前記径可変部として、各両端が前記保持リングに固定された状態で周方向に間隔をおいて配列され、前記筒状の接点部材の軸線方向に平行に延在する初期状態から、前記一対の保持リングが相対的に逆方向に捻られることで、全体で双曲面を構成する多数の金属線材が設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の雌端子。
【0009】
(3) 前記雄端子が前記筒状の接点部材に挿入されて電気的に接続されたときに、前記回動リングと前記筒状の接点ホルダとの回転位置を固定する固定機構が設けられていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の雌端子。
【0010】
(4) 前記固定機構は、前記筒状の接点ホルダの周面に設けられた係止突起と、前記回動リングの周面に設けられ前記係止突起を収容して回転方向の動きを規制する係止溝とを有することを特徴とする上記(3)に記載の雌端子。
【0011】
上記(1)の構成の雌端子によれば、初期状態において、円筒状の接点部材の径可変部の内径が、接点部材の内部に挿入される雄端子の外径よりも大きく設定されているので、接点部材との間に隙間を確保した状態で、雄端子を雌端子の筒状の接点部材の内部に挿入することができる。従って、ほとんど接点部材との間に摩擦抵抗を生じずに、雄端子を雌端子に挿入することができ、挿入抵抗を低くすることができると共に、接点部の摩耗を減らすことができる。また、雄端子の挿入後に回動リングを回動させ、接点部材の他方の保持リングを一方の保持リングに対して捻ることにより、接点部材の径可変部を縮径させることができるので、径可変部の内周を雄端子の外周に圧接させることができ、電気的に安定した雌端子と雄端子の接続状態を成立させることができる。
【0012】
上記(2)の構成の雌端子によれば、両端の保持リングを相対的に捻ることで、多数の金属線材を双曲面上に位置させることができるので、双曲面の最小内径部分で雄端子の外周に多数の金属線材を圧接させることができる。従って、全周に多数の接点(金属線材と雄端子の接触点)が存在することになり、雄端子と雌端子との間に安定した接触状態を得ることができ、接点部の温度上昇の低減を図ることができる。また、捻りの角度によって双曲面の湾曲度合いを変えることができるので、雄端子に対する接触荷重を変えることができ、接触抵抗の管理が容易にできる。
【0013】
上記(3)の構成によれば、雄端子と雌端子との電気的接続状態を安定に保持することができる。
【0014】
上記(4)の構成によれば、簡単な構成で雄端子と雌端子との電気的接続状態を安定に保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、雌端子を構成する筒状の接点部材に雄端子を挿入するとき、接点部材と雄端子との間に隙間を確保できるので、挿入時の摩擦抵抗を減らすことができる。従って、挿入荷重を小さくすることができると共に、接点部の摩耗を減らすことができる。また、雄端子の挿入後に回動リングを回動させるだけで、接点部材の径可変部を縮径させて、接点部材を雄端子に圧接させることができ、雌端子と雄端子を電気接続させることができる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の実施形態の雌端子の構成を示す斜視図である。
図2図2図1の雌端子を縦方向に沿った断面で半割りした状態を示す斜視図で、図2(a)は接点部材に捻りを加えていない初期状態を示す図、図2(b)は接点部材に捻りを加えて径可変部を双曲面状に変形させた状態を示す図である。
図3図3図1の雌端子に使用する接点部材の構成を示す斜視図で、図3(a)は接点部材に捻りを加えていない初期状態を示す図、図3(b)は接点部材に捻りを加えて径可変部を双曲面状に変形させた状態を示す図である。
図4図4図1の雌端子の側断面図で、図4(a)は接点部材に捻りを加えていない初期状態を示す図、図4(b)は接点部材に捻りを加えて径可変部を双曲面状に変形させた状態を示す図である。
図5図5図1の雌端子と嵌合する雄端子の先端部の構成を示す側面図である。
図6図6図1の雌端子に雄端子を挿入した状態を示す側断面図で、図6(a)は接点部材に捻りを加えていない初期状態を示す図、図6(b)は接点部材に捻りを加えて径可変部を双曲面状に変形させた状態を示す図である。
図7図7(a)は回動リングが固定機構により接点ホルダに固定される前の状態の斜視図、図7(b)は回動リングが固定機構により接点ホルダに固定された後の状態の斜視図である。
図8図8(a)は固定機構の固定前の状態の平面図、図8(b)は固定機構の固定後の状態の平面図である。
図9図9は従来の雌端子の組み立て前の状態を示す構成図である。
図10図10は従来の雌端子の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の雌端子の構成を示す斜視図、図2は雌端子を縦方向に沿った断面で半割りした状態を示す斜視図、図3は雌端子に使用する接点部材の構成を示す斜視図、図4は雌端子の側断面図、図5は雌端子と嵌合する雄端子の先端部の構成を示す側面図、図6は雌端子に雄端子を挿入した状態を示す側断面図、図7(a)は回動リングが固定機構により接点ホルダに固定される前の状態の斜視図、図7(b)は回動リングが固定機構により接点ホルダに固定された後の状態の斜視図、図8(a)は固定機構の固定前の状態の平面図、図8(b)は固定機構の固定後の状態の平面図である。なお、図2図3図4図6の各図の(a)は接点部材に捻りを加えていない初期状態を示す図、(b)は接点部材に捻りを加えて径可変部を双曲面状に変形させた状態を示す図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、実施形態の雌端子100は、前部に筒状の接点ホルダ111を有し後部に電線加締部117を有する端子本体110と、端子本体110の筒状の接点ホルダ111の内部に収容されて、前方からピン状の雄端子が挿入される筒状の接点部材120と、筒状の接点ホルダ111の前端に回動可能に装着された回動リング130と、を備えている。端子本体110と接点部材120と回動リング130は、全て金属製のものであるが、回動リング130は、必ずしも金属で構成されていなくてもよく、樹脂などの非導電材で構成されていてもよい。
【0020】
図2図4に示すように、筒状の接点部材120は、両端に配された一対の保持リング121、122と、これら一対の保持リング121、122で両端が保持されて、図4(a)に示すように、初期状態において図5に示すピン状の雄端子200の外径Dよりも内径d1が大きく設定され、図4(b)に示すように、一対の保持リング121、122が相対的に逆方向に捻られることで、雄端子の外径Dよりも内径が小さく収縮する径可変部125と、を備えている。
【0021】
この径可変部125は、軸線方向に沿って延在し且つ周方向に一定間隔をもって配列された多数の金属線材(例えば金属ワイヤ)125aの集合体によって構成されている。これら金属線材125aは、各両端が保持リング121、122に固定された状態で周方向に一定間隔をおいて配列されており、図3(a)及び図4(a)に示すように、接点部材120の軸線方向に平行に延在する初期状態から、図3(b)及び図4(b)に示すように、一対の保持リング121、122が相対的に逆方向に捻られることで、全体で双曲面Sを構成することができるようになっている。
【0022】
保持リング121、122は、細帯板を円形に丸めたもので、図3に示すように、周方向の1カ所に僅かな隙間121c、122c(後側の保持リング121側の隙間121cについては、図3に図示されていないが、前側の保持リング122側の隙間122cと同様に設けられている)があいている。これら保持リング121、122は、自然状態において外径が、接点ホルダ111の内径よりも僅かに大きく形成されており、弾性的に縮径させながら接点ホルダ111の内部に収容されている。そして、縮径を解除することにより、その弾性反力で保持リング121、122の外周が接点ホルダ111の内周112に圧接しており、それにより、接点部材120と端子本体110とが電気的に導通した状態に保たれている。なお、接点ホルダ111内に収容されている保持リング121、122の内径は、雄端子200の外径Dよりも当然大きく設定されている。
【0023】
図2及び図4に示すように、後側の保持リング121は、接点ホルダ111に設けられた回転止めリブ116が保持リング121に形成された隙間121cに入り込むことで、接点ホルダ111の内部に回転不能に且つ軸方向に移動可能に収容保持されている。接点ホルダ111に設けられた回転止めリブ116は、接点部材120が軸方向に縮長した際にも隙間121c内に入り込んだ状態に維持されるような、軸方向長さに設定されている。接点ホルダ111のリブ116が、保持リング121の隙間121cに入り込むことで、保持リング121は、回転不能に且つ軸方向に移動可能になっている。また、前側の保持リング122は、接点ホルダ111に対して回転可能に収容されている。
【0024】
回動リング130は、図2及び図4に示すように、外周側円筒壁131と、内周側円筒壁132と、外周側円筒壁131と内周側円筒壁132と繋ぐ端壁133と、を有しており、筒状の接点ホルダ111の前端凸部113が外周側円筒壁131と内周側円筒壁132との間に挿入された状態で、外周側円筒壁131の環状爪134が接点ホルダ111の前端凸部113の後側段部に係合することで、抜け止めされた状態で接点ホルダ111の前端に回動可能に装着されている。
【0025】
接点部材120の前側の保持リング122は、この回動リング130の内周側円筒壁132に形成した係合部135に、前端に突設した係合突片122aを係合させることで、回動リング130と一緒に回動するようになっている。
【0026】
次に作用を説明する。
図2(a)及び図4(a)に示すように、回動リング130を回動させていない初期状態においては、接点部材120の径可変部125の内径d1が、接点部材120の内部に挿入される雄端子200の外径Dよりも大きく設定されている。従ってその状態で、図6(a)に示すように、雄端子200を雌端子100の内部に挿入することで、接点部材120との間に隙間を確保した状態で、雄端子200を雌端子100の接点部材120の内部に挿入することができる。その結果、ほとんど接点部材120との間に摩擦抵抗を生じずに、雄端子200を雌端子100に挿入することができ、挿入抵抗を低くすることができると共に、接点部の摩耗を減らすことができる。
【0027】
雄端子200を雌端子100に挿入したら、図2(b)の矢印R1で示すように、回動リング130を回動させる。そうすると、接点部材120の前側保持リング122が一緒に回動し、図3(b)に示すように、前側の保持リング122が後側の保持リング121に対して矢印R1で示す方向に捻られることにより、接点部材120の後端側は、回転止めリブ116と隙間121cの作用で、後側の保持リング121により回転を規制された状態で軸方向前方に移動し、接点部材120の径可変部125が縮径する。即ち、両端の保持リング121、122が相対的に捻られることで、多数の金属線材125aで構成される径可変部125が双曲面状に変形し、図4(b)及び図6(b)に示すように、径可変部125が、双曲面の最小内径d2(<D)の部分で雄端子200の外周に圧接する。
【0028】
このように、多数の金属線材125aが雄端子200の外周に圧接することになるので、電気的に安定した雌端子100と雄端子200の接続状態が成立する。また、全周に多数の接点が存在することになるので、接点部の温度上昇の低減を図ることができる。また、回動リング130の回動角度により、径可変部125の捻りの角度を変えて、雄端子200に対する金属線材125aの接触荷重を変えることができるので、接触抵抗の管理が容易にできる。
【0029】
なお、多数の金属線材125aが雄端子200の外周に圧接した状態で、回動リング130は、接点ホルダ111に対する回転位置が固定される。回動リング130の回転位置を固定する構成としては、回転位置での位置を固定できるものであればよく、摩擦係合構造、凸部と凹部との嵌合構造、ロック爪による係止構造等を採用することができる。
【0030】
回動リング130の回転位置を固定する構成としては、例えば図7及び図8に示す固定機構150を採用することができる。
【0031】
図7及び図8に示すように、接点ホルダ111の周面には半径方向外方に突出した円柱状の係止突起151が設けられ、回動リング130の周面には軸方向の溝152aと周方向の溝152bとからなるL字状の係止溝152が形成されている。固定機構150は、係止突起151と係止溝152とで構成されている。回動リング130は、接点ホルダ111に装着されるに際し、接点ホルダ111の係止突起151が軸方向の溝152aの開口端から挿入されて軸方向の最奥部に達した状態で、接点ホルダ111に回転可能に装着されて軸方向の位置が固定される。
【0032】
回動リング130と接点ホルダ111との相対回転により、係止突起151は、周方向の溝152b内を移動するようになっている。係止溝152の最奥部の手前には、弾性係止部155が設けられている。弾性係止部155は、係止溝152内に両持ち梁状に湾曲して張り出したものである。係止突起151は、係止溝152内において弾性係止部155が当接により弾性変形することで、圧接状態で弾性係止部155を乗り越えることができる。弾性係止部155を乗り越えて係止溝152の最奥部に達した係止突起151は、係止溝152の閉塞端によりそれ以上の移動を規制され、弾性係止部155により逆方向の移動を規制される。これにより回動リング130は接点ホルダ111に対する回転位置が固定される。
【0033】
このように、係止突起151と係止溝152とにより回動リング130と接点ホルダ111との回転位置が固定されることで、接点部材120の径可変部125の縮径状態が保持され、金属線材125aと雄端子200との電気的接続が安定に保持される。
【0034】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0035】
例えば、上記実施形態では、金属線材125aが金属ワイヤであるが、金属線材125aが弾性の高い金属ストリップ(細帯板)で構成されていてもよい。
【0036】
ここで、上述した本発明に係る雌端子の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0037】
[1] 前部に筒状の接点ホルダ(111)を有する端子本体(110)と、
前記筒状の接点ホルダ(111)の内部に収容され、前方からピン状の雄端子(200)が挿入される筒状の接点部材(120)と、
前記筒状の接点ホルダ(111)に回動可能に装着された回動リング(130)と、を備え、
前記筒状の接点部材(120)が、両端に配された一対の保持リング(121、122)と、該一対の保持リング(121、122)で両端が保持され、初期状態において前記雄端子(200)の外径(D)よりも内径(d1)が大きく設定され、前記一対の保持リング(121、122)が相対的に逆方向に捻られることで、前記雄端子(200)の外径(D)よりも内径(d2)が小さく収縮する径可変部(125)と、からなり、
前記筒状の接点部材(120)が前記筒状の接点ホルダ(111)の内部に収容された状態で、前記両端の保持リング(121、122)のうちの一方の前記保持リング(121)が前記筒状の接点ホルダ(111)に回転不能に固定され、他方の前記保持リング(122)が前記筒状の接点ホルダ(111)に対して回転可能且つ前記回動リング(130)に対し一体回転するように固定されていることを特徴とする雌端子(100)。
【0038】
[2] 前記径可変部(125)として、各両端が前記保持リング(121、122)に固定された状態で周方向に間隔をおいて配列され、前記筒状の接点部材(120)の軸線方向に平行に延在する初期状態から、前記一対の保持リング(121、122)が相対的に逆方向に捻られることで、全体で双曲面(S)を構成する多数の金属線材(125a)が設けられていることを特徴とする上記[1]に記載の雌端子(100)。
【0039】
[3] 前記雄端子(200)が前記筒状の接点部材(120)に挿入されて電気的に接続されたときに、前記回動リング(130)と前記筒状の接点ホルダ(111)との回転位置を固定する固定機構(150)が設けられていることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の雌端子(100)。
【0040】
[4] 前記固定機構(150)は、前記筒状の接点ホルダ(111)の周面に設けられた係止突起(151)と、前記回動リング(130)の周面に設けられ前記係止突起(151)を収容して回転方向の動きを規制する係止溝(152)とを有することを特徴とする上記[3]に記載の雌端子(100)。
【符号の説明】
【0041】
100 雌端子
110 端子本体
111 接点ホルダ
117 電線加締部
120 接点部材
121 保持リング
122 保持リング
125 径可変部
125a 金属線材
130 回動リング
150 固定機構
151 係止突起
152 係止溝
200 雄端子
D 雄端子の外径
d1 径可変部の初期状態の時の内径
d2 径可変部の縮径時の内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10