特許第6053630号(P6053630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6053630-電池モジュール搭載用構造体 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053630
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電池モジュール搭載用構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-154761(P2013-154761)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-26491(P2015-26491A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】赤井 稔
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
(72)【発明者】
【氏名】初見 浩之
(72)【発明者】
【氏名】木戸 耕介
(72)【発明者】
【氏名】小崎 秋弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 武徳
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−089449(JP,A)
【文献】 特開2013−089448(JP,A)
【文献】 特開2002−234347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に電池モジュールを搭載するための構造体であって、
ロア部材と、当該ロア部材の上方に配置したアッパ部材との車両前後方向の両側の端部を側面部材でそれぞれ連結することで内部に電池モジュールの搭載空間を形成してあり、
少なくとも一方の側面部材は、当該側面部材の上部に沿って車両幅方向に中空部を形成した側面アッパ中空部を有し、
前記アッパ部材は端部に沿って車両幅方向の中空部を有するアッパフレームとパネル状のアッパパネル体とを連結してあり、
前記アッパフレームは側面部材の側面アッパ中空部と連結してあるとともにアッパフレームの中空部の変形荷重が当該側面アッパ中空部の変形荷重よりも小さく設定してあり、
前記アッパフレームは上下に略平行で車両幅方向に延在する一対のフランジ部を有し、当該フランジ部の間に前記アッパパネル体の端部を差し込み連結してあることを特徴とする電池モジュール搭載用構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池モジュールを車両に搭載するとともに、この電池モジュールを保護する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車,ハイブリッド自動車,プラグインハイブリッド自動車等の分野においては、走行用の駆動源として、あるいは内燃機関と組み合せた駆動源として電池モジュールが搭載されている。
これらの電池モジュールとしては、ニッケル−カドミウム電池,ニッケル水素電池,リチウムイオン電池等の各種電池が採用されている。
また、これらの電池モジュールに加わる外部入力を吸収しつつ、電池モジュールを車両に搭載するためのフレーム構造体が、電池モジュールの周囲に設けられる。
特許文献1には電池モジュールのフレーム構造体が開示されており、同公報に開示されているフレーム構造体は、外部入力をフレーム構造体全体で受けつつ、その外部入力を車両側に伝達させんとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−9178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の燃費向上の観点からは、フレーム構造体に対して軽量化が要求されている。
その一方で、電池モジュールを外部入力から保護する必要もある。
本発明は、軽量で外部入力の吸収性に優れた構造からなる電池モジュール搭載用構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電池モジュール搭載用構造体は、車両に電池モジュールを搭載するための構造体であって、ロア部材と、当該ロア部材の上方に配置したアッパ部材との車両前後方向の両側の端部を側面部材でそれぞれ連結することで内部に電池モジュールの搭載空間を形成してあり、少なくとも一方の側面部材は、当該側面部材の上部に沿って車両幅方向に中空部を形成した側面アッパ中空部を有し、前記アッパ部材は端部に沿って車両幅方向の中空部を有するアッパフレームを有し、アッパフレームは側面部材の側面アッパ中空部と連結してあるとともにアッパフレームの中空部の変形荷重が当該側面アッパ中空部の変形荷重よりも小さいことを特徴とする。
ここで電池モジュールとは、広義の二次電池の集合体をいい、構造や形状に制限がない。
現在、一般的な電池モジュールは、複数の単セルを積層したものが多い。
ロア部材は、電池モジュールを載置した構造体を車両側に取り付けるためのものであり、フレーム構造体でもパネル構造でもよく、その構造に制限はない。
アッパ部材は、電池モジュールを上部から保護するためのものである。
本発明において側面部材とは、ロア部材とアッパ部材との車両前後方向の両側の端部間を連結し、電池モジュールを保護するための部材をいう。
【0006】
本発明における構造体は、側面部材に外部から加わる外部入力をこの側面部材及びアッパフレームの変形によりエネルギーを吸収し、電池モジュールを保護するのが目的である。
本発明における側面部材の側面アッパ中空部は、側面部材の上端付近であって水平方向の車両幅方向に延在した中空断面形状からなり、アッパ部材のアッパフレームと連結される。
【0007】
本発明において、アッパ部材はパネル状のアッパパネル体とアッパフレームとを連結してあり、アッパフレームは上下に略平行で車両幅方向に延在する一対のフランジ部を有し、当該フランジ部の間にアッパパネル体の端部を差し込み連結してあってもよい。
この連結方法には、溶接接合、ボルト締結等が例として挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る構造体にあっては、アッパ部材の端部に沿って車両幅方向に設けた中空断面形状からなるアッパフレームと側面部材の上部に設けた車両幅方向の側面アッパ中空部とを連結するとともに、この側面アッパ中空部の変形強度をアッパフレームの変形強度よりも強くしたことにより、例えば図1(a)に示すように側面部材に外部から入力された荷重Fは、側面部材の側面アッパ中空部の方が剛性が強く、それよりも変形しやすいアッパフレーム全長に荷重が分散(f)される。
また、側面部材の上部に側面アッパ中空部を設けたことにより、側面部材の上下方向下側より上部側の側面アッパ部の方が強く、側面部材の下側を支点にして上部側が内側に倒れ込むように作用し、例えば図3(b)に示すように側面アッパ中空部に加わった外部入力がアッパ部材のアッパレール全長に伝達されやすくなる。
このように側面部材に加わった外部入力がアッパレールを介してアッパ部材全体に分散伝達されるので、側面部材やアッパ部材の肉厚を薄くすることができ、全体として軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る構造体の斜視図を示し、(a)は車両に取り付けた状態のリア側から見た状態、(b)はフロント側から見た状態を示す。
図2】(a)は構造体の平面視とその正面視及び背面視を示し、(b)は側面視を示す。
図3】(a)はA−A線断面図を示し、(b)は変形を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る構造体の側面部材は、主に、この構造体を車両に取り付けた状態で車両のフロント側の側面、リア側の側面のいずれかあるいはその両方に設けることができるが、本実施例はリア側に設けた例で説明する。
【0011】
構造体10は、図1〜3に示すようにロア部材とアッパ部材との前後の端部を第1側面部材13と、第2側面部材11を介して連結した箱形の構造体になっている。
本実施例は、第1側面部材としてのリア部材13に本発明に係る側面部材を適用した例を示す。
【0012】
本発明に係る構造体10の第1側面部材としてのリア部材13は、図2(b)及び図3(a)に示すように上部の水平方向である車両幅方向に沿って延在する側面アッパ中空部13aを有し、本実施例では下部の車両幅方向に沿った側面ロア中空部13bとを板状の連結部13cにて上下に連結した構造を有する。
なお、この側面ロア中空部はリソッド断面でもよい。
アッパ部材はパネル状のアッパパネル体16と、このアッパパネル体の端部に沿って設けた中空断面形状からなるアッパフレーム14を有し、アッパフレーム14は中空部14aから上下に略平行で車両幅方向に延在する一対のフランジ部114a,114aを形成し、このフランジ部の間にアッパパネル体16の端部を差し込み、溶接接合してあり、中空部14aの反対側には連結フランジ部14bを延在させ、リア部材13の側面アッパ中空部13aとボルト14c等で連結してある。
アッパパネル体16の反対側の端部は、フロント部材11側と連結してある。
また、リア部材13の側面ロア中空部13bからは上下一対の平行で車両幅方向に延在するフランジ部113b,113bを形成し、このフランジ部の間にロアパネル体15の端部を差し込み連結してある。
【0013】
図1及び図2に示すように、フロント部材11はアッパパネル体(アッパ部材)16のフロント側の端部に沿って車両幅方向に形成した上部中空部11aと、この下側にやや斜めに形成した連結部11cを介して側面中空部11bを有する。
側面中空部11bは、図1(b)に示すように車両幅方向に所定の間隔を隔てて上下方向につぶし加工した補強部11eを有する。
本実施例では、側面中空部11bの表側の側壁と裏側の側壁とが相互に重なり、かつ、内側に凹んだ溝部が形成されるようにビード状につぶし加工した例になっている。
側面中空部11bの下側はフランジ部11dを形成し、ロア部材を構成するロアフレーム12とリベット、ビス等の締結部材11fで締結してある。
パネル状のロアパネル体15の前側の端部は、ロアフレーム12に設けた上下に平行で車両幅方向に延在したフランジ部112a,112aで挟み込むように連結してある。
ロアフレーム12は、ロアパネル体15の端部に沿って配置した中空部12aと車両側に固定するためのフランジ部12bを有し、中空部12aとフロント部材11のフランジ部11dと締結し、フランジ部12bには図1(b)に示すように車両との取付孔12cを有する。
また、ロアパネル体15の車両幅方向の両側の側部に車両との連結フランジ部15aを有し、この連結フランジ部15aに連結孔15bを有する。
【0014】
図3(b)に示すようにリア部材13の側面アッパ中空部13aの変形強度がアッパフレーム14の中空部14aよりも強くなっているとともに側面ロア中空部13bとの連結部13cが板状になっているので、外部から入力された荷重Fは側面アッパ中空部13aの内側への倒れ込みにより、アッパフレーム14の全長にわたって荷重が分散し、中空部14aの変形によりエネルギーが吸収される。
なお、側面ロア中空部13bは、ロアパネル体15の端部と連結できればフランジ部を有するソリッド断面でもよい。
【符号の説明】
【0015】
1 電池モジュール
11 フロント部材(第2側面部材)
12 ロアフレーム
13 リア部材(第1側面部材)
13a 側面アッパ中空部
14 アッパフレーム
15 ロアパネル体
16 アッパパネル体
図1
図2
図3