特許第6053642号(P6053642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053642
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161219BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-173328(P2013-173328)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-42116(P2015-42116A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(72)【発明者】
【氏名】三間 彬
(72)【発明者】
【氏名】徳山 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊也
【審査官】 戸次 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−286158(JP,A)
【文献】 特開2009−296727(JP,A)
【文献】 特開2006−203974(JP,A)
【文献】 特開2009−038961(JP,A)
【文献】 特開2009−284604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M1/00
7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体素子が搭載され直流正極端子と直流負極端子を有するパワー半導体モジュールと、
直流電力を平滑化し負極側および正極側のコンデンサ端子を有するコンデンサと、
前記コンデンサの負極側のコンデンサ端子および前記パワー半導体モジュールの直流負極端子が接続される負極側の導体板と、
前記コンデンサの正極側のコンデンサ端子および前記パワー半導体モジュールの直流正極端子が接続される正極側の導体板と、を備え、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置であって、
前記直流負極端子又は前記直流正極端子の少なくとも一方は、寄生抵抗の異なる複数の分岐端子から成り、
前記複数の分岐端子が接続される導体板には、前記分岐端子と前記コンデンサ端子との間の電流経路上に、前記複数の分岐端子における発熱を分岐端子間で均等化するための経路抵抗増大部が形成されている、ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記直流負極端子又は前記直流正極端子の少なくとも一方は、第1分岐端子と該第1分岐端子よりも抵抗値の小さな第2分岐端子とから成り、
前記第1および第2分岐端子が接続される導体板には、前記第1および第2分岐端子の寄生抵抗に基づいて、前記コンデンサ端子と前記第1分岐端子との間の抵抗値よりも前記コンデンサ端子と前記第2分岐端子との間の抵抗値の方が大きくなるように設定された経路抵抗増大部が、前記コンデンサ端子と前記第2分岐端子との電流経路上に形成されている、ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記第1および第2分岐端子が接続される導体板は、
該導体板の縁に形成される第1端子部と、
前記第1端子部と所定間隔を空けて前記縁に形成される第2端子部と、
前記第1端子部と前記第2端子部との間に前記縁から導体板側に切れ込むように形成された第1スリットと、を備え、
前記第1端子部は、前記第1分岐端子と接続され、
前記第2端子部は、前記第2分岐端子と接続され、
前記経路抵抗増大部は、前記第2端子部から前記第1スリットを回り込むように形成された導体板領域である、ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、
前記第1および第2端子部の内、前記第2端子部が前記コンデンサ端子寄りに配置されており、
前記第1および第2分岐端子が接続される導体板は、
前記第2端子部を挟んで前記第1スリットと反対側に位置する導体板の縁に、該縁から前記第1スリットよりも深く導体板側に切れ込んだ第2スリットと、
前記第2スリットから前記第1端子部側に折れ曲がるように延びる第3スリットと、を備え、
前記経路抵抗増大部は、前記第1スリットと前記第2および第3スリットで挟まれた導体板領域である、ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記第1および第2分岐端子が接続される導体板は、
該導体板の縁に形成される第1端子部と、
前記第1端子部と所定間隔を空けて前記コンデンサ端子寄りに位置する前記縁に形成される第2端子部と、
前記第2端子部を挟んで前記第1端子部と反対側に位置する導体板の縁に該縁から導体板側に切れ込むように形成された第1スリットと、
前記第1スリットから前記第1端子部側に折れ曲がるように延びる第2スリットと、を備え、
前記第1端子部は、前記第1分岐端子と接続され、
前記第2端子部は、前記第2分岐端子と接続され、
前記経路抵抗増大部は、前記第1スリットと前記第2スリットにより囲まれた導体板領域である、ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記第1および第2分岐端子が接続される導体板は、
該導体板の縁に形成される第1端子部と、
前記第1端子部と所定間隔を空けて前記コンデンサ端子寄りに位置する前記縁に形成される第2端子部と、を備え、
前記第1端子部は、前記第1分岐端子と接続され、
前記第2端子部は、前記第2分岐端子と接続され、
前記第1端子部よりも前記第2端子部側における導体板領域の導体板厚さが、前記第1端子部を含む前記コンデンサ端子側における導体板領域の導体板厚さよりも薄いことを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記第1および第2分岐端子が接続される導体板は、
該導体板の縁に形成される第1端子部と、
前記第1端子部と所定間隔を空けて前記コンデンサ端子寄りに位置する前記縁に形成される第2端子部と、を備え、
前記第1端子部は、前記第1分岐端子と接続され、
前記第2端子部は、前記第2分岐端子と接続され、
前記第1端子部よりも前記第2端子部側の導体板領域における、電流経路にほぼ直交する方向の導体板幅寸法が、前記第1端子部を含む前記コンデンサ端子側の導体板領域における、電流経路にほぼ直交する方向の導体板幅寸法よりも小さく設定されている、ことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体モジュールを搭載した電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力変換装置としてのインバータ装置の高出力・高密度化が求められ、パワー半導体モジュールの小型化が注目されている。パワー半導体モジュールには、一般的に電力スイッチング用素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や電流還流用のダイオードが実装されているが、パワー半導体モジュールの高電流密度化に伴い、高速スイッチングによるスイッチング損失の低減が必須とされている。
【0003】
従来、高速スイッチングによって発生する電圧の跳ね上りを抑えるために、平滑化コンデンサとパワー半導体モジュールとを接続する配線の寄生インダクタンスを小さくする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、負極側板状導体および正極側板状導体のそれぞれに2つの端子を設けて電流経路の並列化をすると共に、負極側板状導体と正極側板状導体とを絶縁体を介して積層することで、コンデンサとパワー半導体モジュールを接続する配線の低インダクタンス化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−286158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている装置では、上述した2つの端子の長さが異なっており、それぞれの端子の寄生抵抗値が異なることが考えられる。寄生抵抗値が異なると、各端子に流れる電流のアンバランスが発生する。電流アンバランスが生じると、各端子の発熱のアンバランスが生じて高温になり易く、パワーモジュール全体の電流容量を低下させてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る電力変換装置は、パワー半導体素子が搭載され直流正極端子と直流負極端子を有するパワー半導体モジュールと、直流電力を平滑化し負極側および正極側のコンデンサ端子を有するコンデンサと、コンデンサの負極側のコンデンサ端子およびパワー半導体モジュールの直流負極端子が接続される負極側の導体板と、コンデンサの正極側のコンデンサ端子およびパワー半導体モジュールの直流正極端子が接続される正極側の導体板と、を備え、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置であって、直流負極端子又は直流正極端子の少なくとも一方は、寄生抵抗の異なる複数の分岐端子から成り、複数の分岐端子が接続される導体板には、分岐端子とコンデンサ端子との間の電流経路上に、複数の分岐端子における発熱を分岐端子間で均等化するための経路抵抗増大部が形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分岐端子の発熱を、分岐端子間で均等化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、インバータシステム60の概略構成を示す断面図である。
図2図2は、モジュールケース53内の構造を説明する図である。
図3図3は、接続導体板層9、パワー半導体モジュール1およびコンデンサ素子2の回路図である。
図4図4は、負極接続端子10a,10bにおける損失を説明する図である。
図5図5は、接続導体板層9によって接続されたパワー半導体モジュール1およびコンデンサ素子2を示す図である。
図6図6は、負極接続導体板91および正極接続導体板92と各接続端子との関係を説明する図である。
図7図7は、図6(a)のA−A断面を示す図である。
図8図8は、第2の実施例を説明する図である。
図9図9は、第3の実施例を説明する図である。
図10図10は、第4の実施例を説明する図である。
図11図11は、分岐端子が3つの場合の負極接続導体板91を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明に係る電力変換装置の一実施の形態を示す図である。図1は、インバータシステム60の概略構成を示す断面図である。インバータシステム60は、パワー半導体モジュール1、コンデンサ素子2、制御基板41および接続導体板層9等と、それらを収納するインバータ筐体50とを備えている。なお、図1ではパワー半導体モジュール1を一つしか図示していないが、本実施の形態のインバータシステム60は3相のインバータシステムであって、合計3つのパワー半導体モジュール1を備えている。
【0011】
コンデンサ素子2は、負極接続導体板91および正極接続導体板92で構成された接続導体板層9を介して、各パワー半導体モジュール1に接続される。本実施の形態のパワー半導体モジュール1は、それぞれ2つのパワー半導体素子(不図示)をモジュールケース53内に収納した、いわゆる2in1構造のパワー半導体モジュールである。モジュールケース53からは、図示上方に複数の端子、すなわち第1負極接続端子10a、第2負極接続端子10b、第1正極接続端子11a、第2正極接続端子11b、電力出力端子12および制御信号端子40が伸延している。
【0012】
第1負極接続端子10aおよび第2負極接続端子10bは、接続導体板層9の負極接続導体板91に接続されている。負極接続導体板91には、コンデンサ素子2のコンデンサ負極端子13が接続されている。一方、第1正極接続端子11aおよび第2正極接続端子11bは、接続導体板層9の正極接続導体板92に接続されている。正極接続導体板92には、コンデンサ素子2のコンデンサ正極端子14が接続されている。複数の制御信号端子40は、接続導体板層9の上方に配置された制御基板41に接続されている。
【0013】
インバータ筐体50には、冷却水が流れる水路52が形成されている。上述したパワー半導体モジュール1は水路52内に配置され、水路52内を流れる冷却水によって冷却される。モジュールケース53の外表面には冷却性能向上を図るために、放熱フィン53aが形成されている。水路52は、コンデンサ素子2が収納されているコンデンサ収納部51の外表面に沿って流れ、インバータ筐体50から排出される。コンデンサ素子2とコンデンサ収納部51との隙間は樹脂材が充填されている。
【0014】
インバータシステム60の動作時においては、制御基板41でパワー半導体モジュール1を制御し、コンデンサ素子2から接続導体板層9を介して、パワー半導体モジュール1に電流が流れ、電力出力端子12へ電流が出力される。その際、電流の流れる経路にあるコンデンサ素子2、接続導体板層9、パワー半導体モジュール1およびパワー半導体モジュールの接続端子10a、10b、11a、11bにおいて熱が発生する。
【0015】
コンデンサ素子2は前記樹脂材を介してインバータ筺体50に熱的に接触しており、また、接続導体板層9も絶縁層を介してインバータ筺体50に熱的に接触しているので、コンデンサ素子2および接続導体板層9で発生した熱は、インバータ筐体50を介して水路52内の冷却水へ放熱される。また、パワー半導体モジュール1で発生した熱も、放熱フィン53aが形成されたモジュールケース53を介して冷却水に放熱される。しかしながら、パワー半導体モジュール1の各接続端子10a、10b、11a、11bについては、直接冷却する構造となっていないため、各接続端子10a、10b、11a、11bの発熱を抑えることが重要である。
【0016】
図2は、モジュールケース53内の構造を説明する図である。上述したようにパワー半導体モジュール1は2in1構造であって、2つのパワー半導体素子30a,30bがモジュールケース53内に収納されている。パワー半導体素子30aは導体板31a,31bにより挟持され、パワー半導体素子30bは導体板32a,32bにより挟持されている。導体板32bは、導体板31aと電気的に接続される。導体板32aには2つに分岐した端子、すなわち第1負極接続端子10aおよび第2負極接続端子10bが形成されている。同様に、導体板31bには、2つに分岐した第1正極接続端子11aおよび第2正極接続端子11bが形成されている。
【0017】
図2において、実線で示す矢印21は第1負極接続端子10aを流れる電流の経路を示しており、破線で示す矢印20は第2負極接続端子10bを流れる電流の経路を示している。このように、負極接続端子が2つに分岐している構成の場合、導体板32aからより遠くに配置された第1負極接続端子10aの方が電流経路の長さが長くなる。その結果、パワー半導体素子30bから第1負極接続端子10aまでの抵抗(寄生抵抗)をRn1、パワー半導体素子30bから第2負極接続端子10bまでの抵抗(寄生抵抗)をRn2としたとき、Rn1>Rn2となっている。同様に、パワー半導体素子30aから第1正極接続端子11aまでの抵抗(寄生抵抗)をRp1、パワー半導体素子30aから第2正極接続端子11bまでの抵抗(寄生抵抗)をRp2としたとき、Rp1>Rp2となっている。
【0018】
図3は、接続導体板層9と、それに接続されたパワー半導体モジュール1およびコンデンサ素子2の回路図を示したものである。パワー半導体モジュール1に設けられたパワー半導体素子30a,30b(図2参照)は、図3に示すようにハーフブリッジ回路を構成している。パワー半導体素子30a,30bは、正極接続導体板92と負極接続導体板91との間に直列接続(トーテムポール接続)されている。パワー半導体素子30a,30bには例えばIGBT等が用いられる。
【0019】
上アームのパワー半導体素子30aのコレクタ電極は正極接続導体板92に接続され、エミッタ電極は下アームのパワー半導体素子30bのコレクタ電極に接続される。下アームのパワー半導体素子30bのエミッタ電極は、負極接続導体板91に接続される。また、2つのパワー半導体素子30a,30bの中間接続部(図2の導体板32b)には、電力出力端子12が配置されている。このように接続されることにより、上下アーム直列回路が形成される。
【0020】
上述したように、パワー半導体素子30aから第1正極接続端子11aおよび第2正極接続端子11bまでの抵抗値はRp1、Rp2とされ、同様に、パワー半導体素子30bから第1負極接続端子10aおよび第2負極接続端子10bまでの抵抗値はそれぞれRn1、Rn2とされる。さらに、負極接続端子10a,10bとコンデンサ負極端子13との間の抵抗値(負極接続導体板91における抵抗)をそれぞれRpbn1,Rpbn2とし、正極接続端子11a,11bとコンデンサ正極端子14との間の抵抗値(正極接続導体板92における抵抗)をそれぞれRpbp1およびRpbp2とする。
【0021】
上述したように、パワー半導体素子30a,30bの各端子の抵抗値はRn1>Rn2、およびRp1>Rp2のようになっている。一方、負極接続導体板91および正極接続導体板92は幅広い導体で構成されているので、本発明を適用する前の状態ではRpbn1≒Rpbn2、Rpbp1≒Rpbp2となっている。本実施の形態では、接続導体板層9の形状を工夫して上述した抵抗値Rpbn1,Rpbn2および抵抗値Rpbp1,Rpbp2を調整することにより、パワー半導体素子30a,30bの各端子の発熱を均等化するようにした。
【0022】
ここでは、負極接続導体板91の抵抗値に関する調整方法について説明するが、正極接続導体板92に関しても同様な方法で調整することができる。ここで、パワー半導体素子30bの第1負極接続端子10aで発生する損失をPn1、第2負極接続端子10bで発生する損失をPn2とする。各負極接続端子10a,10bの発熱を均等化するためには、Pn1≒Pn2とする必要がある。
【0023】
抵抗値Rn1の第1負極接続端子10aに流れる電流をIn1、抵抗値Rn2の第2負極接続端子10bに流れる電流をIn2とすると、損失Pn1,Pn2はそれぞれPn1=Rn1×In1、Pn2=Rn2×In2となる。よって、Pn1≒Pn2を仮定した場合、電流In1,In2には、Rn1×In1≒Rn2×In2の関係が成り立っている。また、負極側に流れるトータルの電流Inは、In=In1+In2となる。
【0024】
上述したように、第1負極接続端子10aの抵抗値Rn1に比べて第2負極接続端子10bの抵抗値Rn2は小さいので、第2負極接続端子10bが接続される負極接続導体板91の抵抗値Rpbn2を大きくする必要がある。例えば、負極接続導体板91の抵抗値Rpbn2(≒Rpbn1)をΔRpbn2だけ大きくした場合、すなわち、Rpbn2をRpbn2+ΔRpbn2とした場合を考える。その場合、キルヒホッフの電流則により、第1負極接続端子10aに流れる電流In1は次式(1)で表すことができる。また、第2負極接続端子10bに流れる電流In2は次式(2)のようになる。
【数1】
【0025】
上述したように、第1負極接続端子10aの発熱と第2負極接続端子10bの発熱とを均等化するためには、Rn1×In1≒Rn2×In2の関係が成り立つ必要があるので、次式(3)を満足する必要がある。式(3)が成立するとき、式(4),(5)が成り立つ。
【数2】
【0026】
ここで、Rpbn1≒Rpbn2、ΔRn=Rn1−Rn2とすると、式(6)の関係が求まる。式(6)は、パワー半導体モジュール1の第1及び第2負極接続端子10a,10bの抵抗Rn1及びRn2と、第1負極接続端子10aとコンデンサ負極端子13との間の抵抗Rpbn1を与えたときに、端子10a,10b間の発熱を均等化するために必要な抵抗Rpbn2の増加量ΔRpbn2を与える式である。よって、この関係に従って図3に示すパワー半導体モジュール1とコンデンサ素子2との間の抵抗値を調整することで、図4(b)に示すように、パワー半導体モジュール1における各端子の損失が均等化される。図4(a)は、均等化を図る前の各端子10a,10bにおける消費電力を示したものである。図4(b)では、これらのラインを破線で示した。なお、図4において、第1端子は第1負極接続端子10aが対応し、第2端子は第2負極接続端子10bが対応する。
【数3】
【0027】
上述したように、本実施の形態では、第1負極接続端子10aの発熱と第2負極接続端子10bの発熱との差を解消するために、式(6)に示したように、それらの抵抗Rn1、Rn2および差ΔRnに基づいて、第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの抵抗Rpbn2の大きさをΔRpbn2だけ大きくなるように設定した。
【0028】
また、パワー半導体モジュール1の第1および第2正極接続端子11a,11b間における発熱の均等化についても同様であって、抵抗Rpbp2の大きさをΔRpbp2だけ増加させる場合には、式(6)のRn1、Rn2、Rpbn1、ΔRpbn2を、正極に関するパラメータRp1、Rp2、Rpbp1、ΔRpbp2に置き換えれば良い。
【0029】
本実施の形態では、接続導体板層9の形状を工夫することにより、ΔRpbn2およびΔRpbp2を与えるようにしている。以下では、ΔRpbn2およびΔRpbp2を与える接続導体板層9の具体的な形状について説明する。
【0030】
(第1の実施例)
図5〜7は、接続導体板層9の形状の第1の実施例を示す図である。図5は、接続導体板層9によって接続されたパワー半導体モジュール1およびコンデンサ素子2を示す図である。なお、パワー半導体モジュール1については、その内部構造が分かりやすいように、モジュールケース53の図示は省略した。上述したように、第1および第2負極接続端子10a,10bは接続導体板層9の負極接続導体板91に接続され、第1および第2正極接続端子11a,11bは接続導体板層9の正極接続導体板92に接続される。なお、接続導体板層9は、負極接続導体板91と正極接続導体板92とを積層して一体化したものであり、負極接続導体板91と正極接続導体板92との間には絶縁層が形成され、電気的に互いに絶縁されている。ただし、本発明は、積層された負極接続導体板91、正極接続導体板92に限らず適用することができる。
【0031】
図6は、負極接続導体板91および正極接続導体板92と各接続端子との関係を説明する図である。図6(a)は負極接続導体板91の平面図を示し、図6(b)は正極接続導体板92の平面図を示す。また、図7は、図6(a)のA−A断面を示す図である。図5,7に示すように、負極接続導体板91は正極接続導体板92の上面側に積層されている。
【0032】
図6に示すように、負極接続導体板91には、パワー半導体モジュール1の端子10a,10b,11a,11bを通すための貫通孔910、コンデンサ負極端子13を通すための貫通孔912、コンデンサ正極端子14を通すための貫通孔913がそれぞれ形成されている。同様に、正極接続導体板92には、パワー半導体モジュール1の端子10a,10b,11a,11bを通すための貫通孔920、コンデンサ負極端子13を通すための貫通孔923、コンデンサ正極端子14を通すための貫通孔924がそれぞれ形成されている。貫通孔910と貫通孔920、貫通孔912と貫通孔923、貫通孔913と貫通孔924とは、それぞれ上下に重なるような配置で形成されている。なお、本実施の形態では、貫通孔910,920,912,913,923,924としたが、接続導体板層9の縁から切れ込んだスリットとしても良い。
【0033】
先ず、負極接続導体板91について説明する。負極接続導体板91の貫通孔910の部分には、第1負極接続端子10aが接続される端子部91aと、第2負極接続端子10bが接続される端子部91bとが形成されている。また、負極接続導体板91の貫通孔912の部分には、コンデンサ負極端子13が接続される端子部91dが形成されている。
【0034】
上述したように、第1負極接続端子10aの抵抗値Rn1は、第2負極接続端子10bの抵抗値Rn2よりも大きい。そこで、本実施の形態では、上述したように第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの抵抗値Rpbn2をΔRpbn2だけ増加させて、第1負極接続端子10aの発熱と第2負極接続端子10bの発熱との均等化を図るようにしている。
【0035】
そのために、図6(a)に示す負極接続導体板91においては、抵抗値の大きな第1負極接続端子10aの方がコンデンサ負極端子13により近くなるように配置し、さらに、スリット911を負極接続導体板91に形成した。
【0036】
図6(a)において、実線L1は第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの電流経路を示し、実線L2は第1負極接続端子10aからコンデンサ負極端子13までの電流経路を示す。また、破線L10は、スリット911を設けない場合の、第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの電流経路を示している。なお、電流経路L1,L2,L10は、電流密度の高い領域をラインで示したものである。
【0037】
スリット911は貫通孔910と連通しており、貫通孔910から負極接続端子10a,10bの配列方向と直交する方向に延びている。そのため、第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの電流経路は、実線L1で示すようにスリット911を迂回するような経路となり、スリット911を設けない場合の電流経路L10よりも長い経路となる。すなわち、符号S1で示す経路が、電流経路L1において経路抵抗増大部として機能している。その結果、電流経路L1に対して上述した抵抗増加ΔRpbn2を設定することが可能となる。
【0038】
このように、2つの負極接続端子10a,10bの抵抗が異なる場合であっても、負極接続導体板91を図6(a)に示すような構成とすることにより、負極接続端子10a,10bの発熱均等化を図ることができる。すなわち、本実施の形態においては、2つの負極接続端子10a,10bを設けて電流経路の並列化による低インダクタンス化を図るとともに、端子間の発熱均等化も図ることができる。
【0039】
なお、図6(a)の破線L10は、上述したようにスリット911を形成しない場合の電流経路を示している。この場合は、第1負極接続端子10aをコンデンサ負極端子13により近くなるように配置したことで、電流経路L10は電流経路L2に対して端子間距離分だけ長くなっている。そのため、端子間の発熱アンバランスを若干小さくすることはできるが、スリット911を形成する場合のように電流経路の長さを任意に変更することはできないので、この構成だけでは発熱アンバランスの解消は難しい。
【0040】
次に、正極接続導体板92について説明する。図6(b)に示すように、正極接続導体板92の貫通孔920の部分には、第1正極接続端子11aと接続される端子部92aと、第2正極接続端子11bと接続される端子部92bとが形成されている。また、正極接続導体板92の貫通孔924の部分には、コンデンサ正極端子14と接続される端子部92dが形成されている。
【0041】
上述のように、第1正極接続端子11aの抵抗値Rp1は、第2正極接続端子11bの抵抗値Rp2よりも大きい。そのため、第2正極接続端子11bからコンデンサ正極端子14までの抵抗値Rpbp2を、第1正極接続端子11aからコンデンサ正極端子14までの抵抗値Rpbp1よりも大きくする必要がある。すなわち、Rpbp2→Rpbp2+ΔRpbp2のように抵抗値Rpbp2を増加させる。
【0042】
ところで、上述したようにコンデンサ負極端子13に対する負極接続端子10a,10bの配置を設定しているので、コンデンサ正極接続端子41に対する正極接続端子11a,11bの配置は自動的に決まってしまう。すなわち、抵抗値の小さな第2正極接続端子11bの方が、コンデンサ正極接続端子41により近くなっている。そのため、正極接続導体板92の場合には、図6(b)に示すように、貫通孔920に連通するスリット921,922を形成するようにした。
【0043】
図6(b)において、破線L3は第1正極接続端子11aからコンデンサ正極端子14までの電流経路を示し、実線L4は第2正極接続端子11bからコンデンサ正極端子14までの電流経路を示している。上述したように、正極側第2接続端子11bの抵抗値Rp2は、正極側第1接続端子11aの抵抗値Rp1よりも小さい。そのため、正極接続導体板92にスリット921,922を形成して、コンデンサ正極端子14から端子11a側へ遠ざかるような迂回経路(経路抵抗増大部S2)を形成し、電流経路L4における抵抗値が電流経路L3における抵抗値よりも大きくなるようにした。その結果、端子11a,11b間の発熱均等化を図ることができる。
【0044】
(第2の実施例)
図8は、第2の実施例を説明する図である。上述した第1の実施例では、コンデンサ負極端子13およびコンデンサ正極端子14の配列方向と、パワー半導体モジュール1の端子10a,10b,11a,11bの配列方向とが直交するように、コンデンサ素子2およびパワー半導体モジュール1が接続導体板層9に接続されていた。一方、第2の実施例では、図8に示すように、コンデンサ負極端子13およびコンデンサ正極端子14の配列方向と、パワー半導体モジュール1の端子10a,10b,11a,11bの配列方向とが平行となるように、コンデンサ素子2およびパワー半導体モジュール1が接続導体板層9に接続されている。なお、以下では、負極接続導体板91について説明するが、正極接続導体板92についても同様に適用することができる。
【0045】
図8(a)に示すように、負極接続導体板91には貫通孔912,913,914が形成されている。貫通孔912の部分には、図6(a)に示した場合と同様に、端子部91dが形成されている。貫通孔914は、端子13,14の配列方向に細長い形状をしており、図示上下方向に端子10a,10b,11a,11bが配置されている。貫通孔914の部分には、第1負極接続端子10aと接続される端子部91aおよび第2負極接続端子10bと接続される端子部91bが形成されている。さらに、貫通孔914に連通するようにスリット915が形成されている。
【0046】
なお、図8(a)に示す例では、負極接続導体板91に貫通孔914を形成して、貫通孔の縁(すなわち、負極接続導体板91の縁)に端子部91aおよび91bを形成したが、図8(b)に示すように、負極接続導体板91の図示右側の縁に端子部91aおよび91bを形成するようにしても良い。
【0047】
実線L5は第1負極接続端子10aからコンデンサ負極端子13までの電流経路を示しており、実線L6は第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの電流経路を示している。また、破線L60は、スリット915を形成しなかった場合の、第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの電流経路を示している。
【0048】
上述したように、第1負極接続端子10aの抵抗値Rn1は、第2負極接続端子10bの抵抗値Rn2よりも大きい。そのため、接続端子10a,10bの発熱均等化を図るためには、第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの抵抗値Rpbn2を第1負極接続端子10aからコンデンサ負極端子13までの抵抗値Rpb1よりも大きくする必要がある。具体的には、上述した式(6)で与えられるΔRpbn2だけ抵抗値を増加させる。
【0049】
そのため、電流経路L6の方が電流経路R5よりも長くなるように、スリット915を形成した。スリット915は、第2負極接続端子10bと第1正極接続端子11aとの境界部分を端子13方向(図示左方向)に伸延し、途中から第1負極接続端子10aが配置されている図示下方向に折れ曲がり、第2正極接続端子11bと第1負極接続端子10aとの境界付近まで伸延している。
【0050】
このような形状のスリット915を形成することで、電流経路L6は電流経路L5の領域まで迂回した後に、コンデンサ負極端子13へと向かう。そのため、電流経路L6は、この迂回する分だけ電流経路L5よりも長くなっている。すなわち、符号S3で示す部分が、電流経路L6における経路抵抗増大部として機能する。その結果、第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの抵抗値Rpbn2は、経路が長くなった分だけ抵抗が増加する。そして、その増加量を式(6)から算出されるΔRpbn2に調整することで、第1負極接続端子10aの発熱と第2負極接続端子10bの発熱とを均等化することができる。
【0051】
(第3の実施例)
図9は、第3の実施例を説明する図である。第3の実施例においても、上述した第1の実施例の場合(図6(a)参照)と同様に、負極接続導体板91に、貫通孔910,912,913を形成すると共に、貫通孔910に連通するスリット911を形成する。貫通孔912の部分には、コンデンサ負極端子13が接続される端子部91dが形成されている。貫通孔910の部分には、第1負極接続端子10aと接続される端子部91aおよび第2負極接続端子10bと接続される端子部91bが形成されている。
【0052】
上述した第1の実施例では、負極接続導体板91の厚さは均一であったが、第3の実施例では、領域Cの部分の厚さを他の領域よりも薄くしている。すなわち、t2<t1のように設定している。端子10a,10b,11a,11bは図示左右方向に配列されているが、領域Cは第1負極接続端子10aよりも右側の部分に設定される。
【0053】
負極接続導体板91の厚さをこのように構成すると、第1負極接続端子10aからコンデンサ負極端子13までの電流経路L7は、その全体が厚さがt1の部分を通る。一方、第2負極接続端子10bからコンデンサ負極端子13までの電流経路L8の場合は、一部が厚さt2の領域Cを通っている。領域Cの厚さt2はt2<t1であるため、厚さt1の場合と比べて抵抗が大きくなる。そのため、本実施例では、電流経路L8の長さが第1の実施例に示した電流経路L1よりも小さくても、抵抗値の増分ΔRpbn2を第1の実施例の場合と同程度とすることができる。すなわち、スリット911の切れ込み深さ(図示上下方向の寸法)を、第1の実施例の場合よりも小さくすることができる。さらには、スリット911を形成しなくても、抵抗値の増分ΔRpbn2を設定することが可能である。
【0054】
(第4の実施例)
図10は、第4の実施例を説明する図である。上述した第3の実施の形態では、負極接続導体板91の領域Cの部分を薄くすることで、電流経路L8における抵抗値Rpbp2を増加させた。一方、第4の実施例では、負極接続導体板91の厚さは均一とし、領域Cの部分に切り欠き916を形成することで、領域Cの部分における電流経路L8の幅を小さくするようにした。その結果、この領域Cの符号S4の抵抗が大きくなり、この部分が電流経路L8において経路抵抗増大部として機能する。すなわち、経路抵抗増大部S4を設けることで、接続端子10a,10bにおける発熱アンバランスを解消するための抵抗増分ΔRpbn2を設定することが可能となる。
【0055】
ここでは、図6(a)に示したような矩形の負極接続導体板91を前提として切り欠き916と称したが、ここでは、切り欠くことが重要なのではなく、領域Cの端子部91bが形成されている部分の導体板幅D1が、図6(a)に示す負極接続導体板91における同一領域Cの幅D2よりも小さく設定されていることが重要である。その結果、図6(a)において切り込み深さの大きなスリット911を形成した場合と同様に、電流経路L8における抵抗値Rpbn2を増加させることができる。なお、本実施例の場合、スリット911を形成することは必須ではなく、端子10aと端子10bとの間の負極接続導体板91の幅D1が、必要な抵抗増分ΔRpbn2を得られる寸法であれば、スリット911を形成しなくても構わない。スリット911を形成しない場合には、上記D2は端子部91aと導体板の縁との間の幅寸法に相当する。
【0056】
上述した実施の形態では、直流接続端子が2つに分岐されている場合を例に説明したが、3つ以上に分岐されている場合にも同様に適用することができる。例えば、図11に示すように、直流接続端子が3つの分岐端子(第1負極接続端子10a(抵抗値Rn1),第2負極接続端子10b(抵抗値Rn2),第3負極接続端子10c(抵抗値Rn3))に分岐されている場合について説明する。ここで、Rn1>Rn2>Rn3とする。この場合、図11のように端子部91a,91b間にスリット911aを形成し、端子部91b,91c間に、より切り込みの深いスリット911bを形成する。なお、正極接続端子側も、3つの分岐端子11a,11b,11cが形成されており、正極接続導体板92にはそれらが接続される端子部92a,92b,92cが形成されている。
【0057】
このような構成とすることで、負極接続導体板91には、複数の端子の内で最も抵抗値の大きな端子10aを除く他の端子10b,10cとコンデンサ負極端子13との間の各電流経路L1b,L1c上に、発熱を均等化するための経路抵抗増大部S5,S6を形成することができる。その結果、端子10a,10b,10c間で発熱を均等化することができ、温度上昇の抑制による信頼性の向上や、温度上昇が抑制できることによる電流容量の向上、を図ることができる。
【0058】
また、図6に示す電力変換装置のように、コンデンサ素子2と、パワー半導体素子30が搭載されたパワー半導体モジュール1と、コンデンサ素子2のコンデンサ負極端子13およびパワー半導体モジュール1の負極側の直流端子(10a,10b)が接続される負極接続導体板91と、コンデンサ素子2のコンデンサ正極端子14およびパワー半導体モジュール1の正極側の直流端子(11a,11b)が接続される正極接続導体板92と、を備え、直流端子の少なくとも一方(図6では負極側の直流端子)は、第1直流接続端子10aと該第1直流接続端子10aよりも抵抗値の小さな第2直流接続端子10bとに分岐されている場合には、以下のような構成とする。
【0059】
すなわち、第1及び第2直流接続端子10a,10bが接続される負極接続導体板91には、コンデンサ負極端子13と第1直流接続端子10aとの間の抵抗値よりも、コンデンサ負極端子13と第2直流接続端子10bとの間の抵抗値が大きくなるように、第1直流接続端子10aの抵抗値と第2直流接続端子10bの抵抗値とに基づいて設定された経路抵抗増大部S1が、コンデンサ負極端子13と第2直流接続端子10bとの電流経路L1上に形成されている。
【0060】
このように、寄生抵抗が小さな第2直流接続端子10bに対して、その端子10bからコンデンサ負極端子13間での電流経路L1上に経路抵抗増大部S1を設けることで、上述した式(6)で算出される抵抗増大分ΔRpbn2だけ電流経路L1の抵抗を増加させることができる。その結果、端子10aと端子10bの発熱を均等化することができ、温度上昇の抑制による信頼性の向上や、温度上昇が抑制できることによる電流容量の向上、を図ることができる。
【0061】
経路抵抗増大部の形成方法の一つとしては、図6(a)に示すように、第1負極接続端子10aが接続される端子部91aと第2負極接続端子10bが接続される端子部91bとの間において導体板の縁から切れ込むようなスリット911を形成し、スリット911によりラインL10で示すような電流の流れを阻止し、スリット911を回り込むような電流経路L1を形成する。
【0062】
他の形成方法としては、図6(b)のように、抵抗値の小さな第2正極接続端子11bがコンデンサ正極端子14寄りに形成されている場合には、スリット921に加えて、第2正極接続端子11bが接続される端子部92bを挟んでスリット921と反対側に位置する導体板の縁に、該縁からスリット921よりも深く導体板側に切れ込んだスリットと、そのスリットから端子部92a側に折れ曲がるように延びるスリットとを有するスリット922、を形成する方法がある。この場合、スリット921とスリット922により挟まれた導体板領域が経路抵抗増大部S2を構成する。
【0063】
また、三番目の形成方法としては、図8に示すように、負極接続導体板91の縁に形成された端子部91a,91bの内、端子部91bがコンデンサ負極端子13よりに形成されている場合である。この場合には、端子部91bを挟んで端子部91aと反対側に位置する導体板の縁に設けられ、該縁から導体板側に切れ込むように形成されたスリットと、そのスリットから端子部91a側に折れ曲がるように延びるスリットとを有するスリット915を設ける。このスリット915により囲まれた導体板領域が経路抵抗増大部S3を構成する。
【0064】
また、図9に示すように、端子部91aよりも端子部91b側における導体板領域の導体板厚さt2を、端子部91aを含むコンデンサ負極端子13側における導体板領域の導体板厚さt1よりも薄く構成する。このような構成とすることで、電流経路L8において領域Cに含まれる導体板領域が経路抵抗増大部として機能することになる。
【0065】
さらにまた、図10に示すように、端子部91aよりも端子部91b側の導体板領域における、電流経路L8にほぼ直交する方向の導体板幅寸法D1を、端子部91aを含むコンデンサ負極端子13側の導体板領域における、電流経路にほぼ直交する方向の導体板幅寸法よりも小さく設定するようにしても良い。その結果、幅の狭くなった領域S4が経路抵抗増大部として機能する。
【0066】
なお、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。さらに、上述した実施例を組み合わせて用いても良い。また、本発明に係る電力変換装置は、図1に示したようなHEV(ハイブリッド自動車),EV(電気自動車)等に用いるインバータシステムや、一般作業機械に使用されるモータ駆動用の電力変換装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1:パワー半導体モジュール、2:コンデンサ、9:接続導体板層、10a,10b,10c:負極接続端子、13:負極接続端子、11a:第1正極接続端子、11b:第2正極接続端子、13:コンデンサ負極端子、14:コンデンサ正極端子、30a,30b:パワー半導体素子、60:インバータシステム、91:負極接続導体板、91a,91b,91c,91d,92a,92b,92c,92d:端子部、92:正極接続導体板、910、912,913,920,923,924:貫通孔、911,915,921,922:スリット、L1〜L8,L1a〜L1c,L10,L60:電流経路、S1〜S6:経路抵抗増大部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11