特許第6053645号(P6053645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053645
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】SiC半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L21/66 L
   H01L21/265 Z
   H01L21/265 602A
   H01L21/324 T
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-186847(P2013-186847)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-56410(P2015-56410A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 和雄
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−231037(JP,A)
【文献】 特開平11−307467(JP,A)
【文献】 特開2011−060939(JP,A)
【文献】 特開2013−118212(JP,A)
【文献】 特開2014−116449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/265
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度モニタ工程を備えるSiC半導体装置の製造方法であって、
前記温度モニタ工程は、
(a)温度モニタ用のSiC基板の表面層に1×1020cm−3以上の濃度で不純物を注入する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記SiC基板の表面にグラファイト膜を形成する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記SiC基板をアニール処理することにより前記不純物を活性化させる工程と、
(d)前記工程(c)の後、前記グラファイト膜を除去する工程と、
(e)前記工程(d)の後、前記SiC基板の表面を酸化して酸化膜を形成する工程と、
(f)前記酸化膜を除去する工程と、
(g)前記工程(f)の後、当該SiC基板に対して4探針法により抵抗値の測定を行う工程と、
(h)前記工程(g)において測定した抵抗値に基づいて、前記SiC基板の表面温度を決定する工程と、
を備える、
SiC半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(a)における前記不純物はアルミニウムである、
請求項1に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(b)において形成する前記グラファイト膜の膜厚は30nm以上であり、
前記工程(c)における前記アニール処理は1600℃以上で行なわれることを特徴とする、
請求項1または請求項に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(e)における前記酸化膜の形成は1150℃以上の水蒸気雰囲気で行なわれ、
前記酸化膜の膜厚は30nm以上40nm以下であることを特徴とする、
請求項1から請求項のいずれかに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はSiC半導体装置の製造方法に関し、特に4探針法による抵抗値の測定が可能なSiC半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SiC(炭化珪素)半導体装置の製造工程において使用されている活性化アニール装置は1600℃以上の温度にてアニール処理を実施している。従来のSi(シリコン)半導体装置では、アニールの温度は最大でも1300℃程度までとなっており、熱処理装置の内部に熱電対(例えば、JIS規格のRタイプもしくはBタイプの熱電対)を挿入して温度校正を行っている。
【0003】
活性化アニール装置により1600℃以上の高温で熱処理を行う場合、タングステン・レニウム(W−Re)合金の熱電対により温度校正を行うことができるが、熱電対の酸化により素線劣化が起こる。よって、高温熱雰囲気に熱電対を2回程度挿入すると、劣化により素線に断線が生じるため、定常的に活性化アニール装置の温度校正管理を行うことは非常に困難となっている。
【0004】
また、基板面内の温度分布の測定に関しては、この熱電対を用いた手法では熱電対付基板にて測定することになる。しかし、SiC基板へ熱電対の素線を溶着する手法も課題が多く、管理運用が難しい。このため、現在の運用ではSiC基板にて簡易的なパターニング基板を作成し、この基板のC−V特性(容量電圧特性)を測定して基板中のアクセプタ濃度を算出し、温度換算値に置き換える手法が用いられている。上述の簡易的なパターニング基板は以下の工程により製造される。
【0005】
まず、基板表面層にP型層を形成するために、SiC基板にAl(アルミニウム)を注入する。次に、アニール処理の前処理として、基板表面に保護膜(例えばグラファイト膜)を形成する。そして、注入した不純物を活性化させるために、活性化アニール装置にて1600℃以上の高温でアニール処理を実施する。その後、保護膜を除去して、SiC基板表面に円筒状のAl電極を形成する。SiC基板に対する不純物注入、アニール処理等は、例えば特許文献1、特許文献2を参照。
【0006】
以上の工程によって形成されたSiC基板に対してC−V測定を実施し、基板中のAlアクセプタ濃度を算出して、これを温度に換算することにより温度校正を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−231037号公報
【特許文献2】特開2012−248648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のSiC半導体装置の製造方法に適用される、簡易的なパターニング基板の製造工程においては、Al電極形成、パターニングなど、他プロセスも多く含まれるため、製造工程数が増大する問題があった。
【0009】
また、基板の面内測定も、電極を形成した箇所でのみ測定は行えるが、電極のない部分では測定することができないため、測定箇所に限りがあり、温度の詳細な面内分布分析までは実施することができなかった。
【0010】
このモニタ手法の置き換えとして、Siデバイスの熱処理装置にて採用されている4探針シート抵抗測定器による測定をSiC基板に対しても実施できれば、Al電極の形成を行う必要がなく、基板上のあらゆる箇所の測定が可能となる。しかし、SiC基板自体が非常に硬く、針とのコンタクトがとれないため、測定が実施できない状況となっていた。
【0011】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、4探針法による抵抗値の測定が可能なSiC半導体装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るSiC半導体装置の製造方法は、温度モニタ工程を備えるSiC半導体装置の製造方法であって、温度モニタ工程は、(a)温度モニタ用のSiC基板の表面層に1×1020cm−3以上の濃度で不純物を注入する工程と、(b)工程(a)の後、SiC基板の表面にグラファイト膜を形成する工程と、(c)工程(b)の後、SiC基板をアニール処理することにより不純物を活性化させる工程と、(d)工程(c)の後、グラファイト膜を除去する工程と、(e)工程(d)の後、SiC基板の表面を酸化して酸化膜を形成する工程と、(f)酸化膜を除去する工程と、(g)工程(f)の後、当該SiC基板に対して4探針法により抵抗値の測定を行う工程と、(h)工程(g)において測定した抵抗値に基づいて、SiC基板の表面温度を決定する工程と、を備える。

【発明の効果】
【0013】
本発明に係るSiC半導体装置の製造方法によれば、4探針法によるシート抵抗の測定が可能なSiC基板を製造することが可能となるため、基板上に電極形成をする必要がなく、最小限のプロセス数で温度測定用SiC基板を作成することができる。また、作成した温度測定用のSiC基板は基板上のどの箇所に対しても測定が行えることから、基板面内をより多点で測定することができ、基板面内の温度分布傾向を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係るSiC半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図2】実施の形態1に係るSiC基板の表面からの深さと不純物濃度の関係を示す図である。
図3】実施の形態1に係るシート抵抗値と基板表面温度の相関を示す図である。
図4】従来技術に係るアクセプタ濃度と基板表面温度の相関を示す図である。
図5】実施の形態1に係るシート抵抗とアクセプタ濃度の相関を示す図である。
図6】従来技術に係るパターニング基板の平面図である。
図7】従来技術に係るパターニング基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
SiC半導体装置の製造工程には、SiC基板をアニール処理する工程が含まれる。アニール処理は1600℃以上の高温で行なわれるが、このアニール処理中にSiC基板の温度をモニタする必要がある。前述した様に、温度モニタ手段としてSiC基板に対して4探針法を適用することができれば好ましい。
【0016】
本実施の形態におけるSiC半導体装置の製造方法において温度モニタ手段として適用されるSiC基板は、従来のSi系熱処理装置で用いられている4探針シート抵抗測定器を用いて抵抗値を測定することが可能なSiC基板である。本実施の形態におけるSiC半導体装置の製造方法は、温度モニタ工程を含む。温度モニタ工程は、温度モニタを行うためのサンプル基板としての温度モニタ用のSiC基板(以下、単にSiC基板と記載)を製造する工程と、製造したSiC基板に対して4探針法により抵抗値を測定して温度を得る工程とを備える。
【0017】
図1はSiC半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、特に、その製造方法において実施される温度モニタ工程を詳細に示すフローチャートである。図1に示す温度モニタ工程のフローチャートを用いて、温度モニタ工程の各工程について説明する。まず、図1のステップS01において、SiC基板表面層にP型層を形成するために、SiC基板表面に不純物(例えばAl)を注入する。ステップS01において、Alの注入は、基板表面層(基板深さ50nm程度)の濃度が1×1020cm−3以上となるように行う。これ以下の濃度では、針とのコンタクトが取れず、4探針法による測定の際に測定値が出ない。
【0018】
図2は、SiC基板のプロファイル(表面からの深さと不純物濃度の関係)である。注入エネルギーを40keV、70keV、150keVの3段階に変化させてイオン注入法によりAlイオンの注入を行なう。結果として、図2に示す様に、表面からの深さが50nm付近において、不純物濃度が1×1020cm−3以上となる。
【0019】
なお、本実施の形態では不純物としてAlを注入した。Alに限らず、他の不純物であっても同じ効果が得られると考えられるが、SiC基板への一般的なP層形成方法としてAl注入を採用した。特に、N型のSiC基板に対してPN接合を形成するP型の不純物が望ましい。
【0020】
次に、図1のステップS02において、SiC基板表面に保護膜を形成する。保護膜を形成するのは、続くステップS03におけるアニール処理において、SiC基板に注入した不純物が表面から熱拡散するのを防止するためである。1600℃以上の高温に耐えうるように、保護膜としてグラファイト膜を形成する。
【0021】
グラファイト膜は、写真製版プロセスにて用いられるレジスト液を基板表面に塗布することによっても形成可能である。しかし、例えばレジストによって形成したグラファイト膜に対して1850℃〜1900℃の温度領域にてアニール処理を実施すると、高温による局所昇華が発生し、注入したAlが保護されない部分が発生する。
【0022】
そこで本実施の形態では、減圧CVD法により、エタノールを気化させたガスにより950℃以上の処理温度にてグラファイト膜を成膜する。この方法により、緻密な膜を形成することが可能なため、より高温の温度領域でも保護膜として使用することができる。また、膜厚については30nm以上成膜することが望ましい。これは、膜厚が30nmに満たないと、高温による局所昇華が発生し保護されない部分が発生するためである。
【0023】
続いて、図1のステップS03において、SiC基板に対してアニール処理を実施する。1600℃以上で熱処理を行うことにより、ステップS01においてSiC基板の表面層に注入した不純物(Al)を活性化させる。
【0024】
次に、ステップS04において、SiC基板表面に成膜したグラファイト膜を除去する。グラファイト膜は、Oプラズマガスによりアッシャー装置を用いて除膜される。アッシャー装置はSi基板の製造の際に用いられるものを適用可能である。
【0025】
Si基板であれば、アニール処理前に形成した保護膜(いわゆるキャップ膜)を除去した後に、4探針法により抵抗値の測定を行なうことが可能である。しかし、本実施の形態におけるSiC基板では、グラファイト膜除去後に4探針法による抵抗値の測定を実施しても、SiC基板表面の原子配列が崩れており、針とのコンタクトがとれない。また、図2に示したように、SiC基板最表面の不純物濃度が1×1020cm−3以下となっているため、この表面層を除去する必要がある。
【0026】
上記の理由から、図1のステップS05,S06においてSiC基板の表面層の除去を行なう。まず、ステップS05においてSiC基板表面層に対して熱酸化を実施する。熱酸化は、酸化速度を上げるために1150℃以上の水蒸気雰囲気にて行う。SiC基板表面から深さ30nm以上40nm以下の範囲を酸化する。
【0027】
次にステップS06において酸化膜のエッチングを行なう。ステップS05において形成した酸化膜をフッ化水素(HF)にて除去する。ステップS05,S06により基板表面からの深さが30〜40nmの部分が最表面として露出する。以上の工程(ステップS01〜S06)を経て、温度測定用のSiC基板が完成する。
【0028】
続いて、ステップS07において、温度測定用のSiC基板に対して4探針シート抵抗測定器によりシート抵抗値の測定を行う。シート抵抗測定器はSiデバイスにて使用している測定器でも使用することは可能である。ここで、シート抵抗測定器は、測定値の再現性向上のため針圧が管理できるように、針上下動作の駆動系をステッピングモーターなどにて一定圧で制御できるようにしておくことが望ましい。特にSiC基板の場合には結晶自体が硬いため、一定の針圧にて測定することが重要である。
【0029】
図3に、作成したSiC基板のシート抵抗値と、SiC基板の基板表面温度との相関図を示す。図3の横軸の基板表面温度とは、アニール装置にて設定した処理温度を基板の表面温度に置き換えた推定値である。図3において、シート抵抗値と基板表面温度との間には線形近似が取れている。
【0030】
4探針法によりSiC基板のシート抵抗値を測定し(ステップS07)、図3を参照することによりシート抵抗値を基板表面温度に換算して、1600℃以上の高温領域の基板表面温度を求めることが可能となる(ステップS08)。
【0031】
また、図4に、従来のパターニング基板にて測定したAlアクセプタ濃度と、基板表面温度の相関図を示す。図4の横軸の基板表面温度は、図3と同じく、アニール装置にて設定した処理温度を基板の表面温度に置き換えた推定値である。図4の縦軸はAlアクセプタ濃度値、横軸は基板表面温度であり、これらの間には線形近似が取れている。
【0032】
従って、図3および図4において共通の基板表面温度を介して、シート抵抗値とAlアクセプタ濃度を関係付けることが可能となる(図5)。図5に示すように、シート抵抗値とAlアクセプタ濃度の間には線形の相関関係が成り立っている。これは、従来Alアクセプタ濃度から基板表面温度を求めていたのと同様の換算方法によって、シート抵抗値から基板表面温度を求めることができることを意味している。
【0033】
なお、図4に示したAlアクセプタ濃度と基板表面温度との相関は、背景技術で述べたようにAl電極を形成したパターニング基板に対してC−V測定を行なうことにより得られる。図6にパターニング基板の平面図を示す。また、図7に、図6中の線分ABにおける断面図を示す。図6に示すように、Al電極4は例えば円筒状である。パターニング基板は、SiC基板2の表面層に形成されたP型層3、P型層3の表面に円筒状に形成されたAl電極4、基板裏面に形成された裏面電極1から構成される。C−V測定はAl電極4の電極内側と外側のそれぞれに針を接触させて行われる。
【0034】
<効果>
本実施の形態におけるSiC半導体装置の製造方法は、(a)SiC基板の表面層に1×1020cm−3以上の濃度で不純物を注入する工程と、(b)工程(a)の後、SiC基板の表面にグラファイト膜を形成する工程と、(c)工程(b)の後、SiC基板をアニール処理することにより不純物を活性化させる工程と、(d)工程(c)の後、グラファイト膜を除去する工程と、(e)工程(d)の後、SiC基板の表面を酸化して酸化膜を形成する工程と、(f)酸化膜を除去する工程と、(g)工程(f)の後、SiC基板に対して4探針法により抵抗値の測定を行う工程と、を備える。
【0035】
従って、本製造工程にて、4探針法によりシート抵抗の測定が可能なSiC基板を製造することが可能となるため、基板上に電極形成をする必要がなく、最小限のプロセス数で温度測定用SiC基板を作成することができる。また、作成した温度測定用のSiC基板は基板上のどの箇所に対しても測定が行えることから、基板面内をより多点で測定することができ、基板面内の温度分布傾向を確認することができる。
【0036】
また、本実施の形態におけるSiC半導体装置の製造方法は、温度モニタ工程を備えるSiC半導体装置の製造方法であって、温度モニタ工程は、前記工程(a)〜(g)を備え、前記工程(a)〜(g)におけるSiC基板は温度モニタ用のSiC基板であることを特徴とする。
【0037】
従って、温度モニタ工程において、最小限のプロセス数で温度測定用のSiC基板を作成することができる。また、作成した温度測定用のSiC基板は基板上のどの箇所に対しても測定が行えることから、基板面内の温度分布傾向を確認することができる。
【0038】
また、本実施の形態におけるSiC半導体装置の製造方法において、工程(a)における不純物はアルミニウムである。従って、SiC基板へのP層注入としてAlが一般的であり、特に、N型のSiC基板に対してPN接合を形成するP型の不純物が望ましい。
【0039】
また、本実施の形態におけるSiC半導体装置の製造方法において、工程(b)において形成するグラファイト膜の膜厚は30nm以上であり、工程(c)におけるアニール処理は1600℃以上で行なわれることを特徴とする。
【0040】
従って、不純物を注入したSiC基板の表面を30nm以上の膜厚を有するグラファイト膜で覆うことにより、1600℃以上の高温でアニール処理を行なう場合であっても、アニール処理中の不純物の熱拡散を防止することが可能である。
【0041】
また、本実施の形態におけるSiC半導体装置の製造方法において、工程(e)における酸化膜の形成は1150℃以上の水蒸気雰囲気で行なわれ、酸化膜の膜厚は30nm以上40nm以下であることを特徴とする。
【0042】
従って、酸化膜の形成を1150℃以上の水蒸気雰囲気で行なうことにより、酸化膜形成の速度をより速めることが可能である。また、酸化膜の膜厚を30nm以上40以下の範囲とすることにより、酸化膜を除去した際に、アクセプタ濃度が1×1020cm−3以上の領域を表面に露出することが可能となる。
【0043】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 裏面電極、2 SiC基板、3 P型層、4 Al電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7