特許第6053707号(P6053707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053707
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20161219BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20161219BHJP
   H04M 1/24 20060101ALI20161219BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H04R29/00 310
   H04R1/00 317
   H04M1/24 F
   H04M1/00 R
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-30708(P2014-30708)
(22)【出願日】2014年2月20日
(62)【分割の表示】特願2012-114894(P2012-114894)の分割
【原出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2014-99927(P2014-99927A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 智裕
【審査官】 渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−041683(JP,A)
【文献】 特開昭58−198338(JP,A)
【文献】 実開平06−038359(JP,U)
【文献】 特表平11−500284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00−17/00
H04M 1/00
H04M 1/24− 1/82
H04M 99/00
H04R 1/00− 1/08
H04R 1/10
H04R 1/12− 1/14
H04R 1/42− 1/46
H04R 25/00−25/04
H04R 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定装置であって、
人体の耳を模した耳模型と、人工外耳道を構成する人工外耳道部とを備える耳型部と、
該耳型部の前記耳模型とは逆側における、前記人工外耳道と交差する面に配置された振動検出部と、
音圧検出面が前記人外耳道の端部にほぼ一致するように配置された音圧測定部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
人体の頭部模型をさらに備え、前記耳型部は、前記頭部模型を構成する人工耳として、当該頭部模型に着脱自在である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記人工外耳道は、20mmから40mmの長さを有する、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記電子機器を保持する保持部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記保持部は、人が前記電子機器を自身の耳に押し当てるように、当該電子機器を少なくとも2箇所において支持する支持部を備える、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に移動調整可能である、請求項4又は5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に回動調整可能である、請求項4又は5に記載の測定装置。
【請求項8】
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して0Nから10Nの範囲で押圧力を調整可能である、請求項6又は7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して3Nから8Nの範囲で押圧力を調整可能である、請求項6又は7に記載の測定装置。
【請求項10】
前記保持部は、前記耳型部に対する前記電子機器の接触姿勢を変更可能に、前記電子機器を前記耳型部に対して当該電子機器の上下方向に移動調整可能である、請求項4から9のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項11】
前記接触姿勢は、前記振動体が前記耳型部を覆うように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含む、請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
前記接触姿勢は、前記振動体の一部が前記耳型部に接触するように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含む、請求項10に記載の測定装置。
【請求項13】
前記耳型部は、IEC60959に準拠した素材からなる、請求項1から12のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項14】
前記振動検出部は、前記人工外耳道の周辺部に配置された複数個の振動検出素子を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項15】
前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁から延在するチューブ部材に保持されたマイクを備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項16】
前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁からフローティング状態で配置されたマイクを備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項17】
振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器を評価するにあたり、
人体の耳を模した耳模型と、人工外耳道を構成する人工外耳道部とを備える耳型部の前記耳模型に前記振動体を押し当て、該振動体の振動により前記耳型部の前記耳模型とは逆側における、前記人工外耳道と交差する面に伝達される振動を振動検出部により検出するとともに、音圧検出面が前記人外耳道の端部にほぼ一致するように配置された音圧測定部により音を測定する、測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に保持された振動体を人間の耳に押し当てることで振動伝達により音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定装置及び測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯電話などの電子機器として、気導音と骨導音とを利用者(ユーザ)に伝えるものが記載されている。また、特許文献1には、気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。また、特許文献1には、骨導音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された電話機では、圧電バイモルフ及び可撓性物質からなる短形板状の振動体が、筐体の外面に弾性部材を介して取り付けられる旨が記載されている。また、特許文献1には、この振動体の圧電バイモルフに電圧が印加されると、圧電材料が長手方向に伸縮することにより振動体が屈曲振動し、利用者が耳介に振動体を接触させると、気導音と骨導音とが利用者に伝えられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−348193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発明者らは、上記特許文献1に記載された電話機とは異なり、携帯電話の表面に配置された表示パネルや保護パネル等のパネルを振動させることにより発生する気導音と、振動するパネルを人間の耳に当てた時に伝わる振動伝達による音成分である振動音とを用いて音を伝える携帯電話を開発している。そして発明者は、特許文献1のような電話機や発明者らが開発を行っている携帯電話等の振動により何らかの音を伝える電子機器を適切に評価するには、振動体の振動によって人体に音圧と振動量がどれだけ伝わるかを可能な限り人体に近似させて測定することが好ましいことに思い至った。なお、一般に振動量の測定法としては、以下の二つの測定法が知られている。
【0006】
第1の測定法は、耳の後ろの乳突部を機械的に模擬した骨導振動子測定用の人工マストイドに、測定対象の振動体を押し当てて振動量を電圧として測定するものである。第2の測定法は、例えば圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップを、測定対象の振動体に押し当てて振動量を電圧として測定するものである。
【0007】
しかしながら、上記第1の測定法により得られる測定電圧は、振動体を人体の耳の後ろの乳突部に押し当てたときの人体の特徴が機械的に重み付けされた電圧であって、振動体を人体の耳に押し当てたときの振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。また、上記第2の測定法により得られる測定電圧は、振動体の振動量を振動する物体から直接的に測定したものであって、同様に、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。そのため、従来の測定法により振動体の振動量を測定しても、電子機器が人体に伝える振動量を正しく評価することができないことになる。
【0008】
本発明は、上述した観点に鑑みてなされたもので、人体の耳、特に耳の軟骨を中心とした各部への振動伝達の特徴が重み付けされた振動量を測定でき、振動体を有する電子機器を正しく評価できる測定装置及び測定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明に係る測定装置の発明は、振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定装置であって、
人体の耳を模した耳模型と、人工外耳道を構成する人工外耳道部とを備える耳型部と、
該耳型部の前記耳模型とは逆側における、前記人工外耳道と交差する面に配置された振動検出部と、
音圧検出面が前記人外耳道の端部にほぼ一致するように配置された音圧測定部と、を備える。
【0010】
人体の頭部模型をさらに備え、前記耳型部は、前記頭部模型を構成する人工耳として、当該頭部模型に着脱自在であってもよい。
【0011】
前記人工外耳道は、20mmから40mmの長さを有してもよい。
【0012】
前記電子機器を保持する保持部をさらに備えてもよい。
【0013】
前記保持部は、人が前記電子機器を自身の耳に押し当てるように、当該電子機器を少なくとも2箇所において支持する支持部を備えてもよい。
【0014】
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に移動調整可能であってもよい。
【0015】
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に回動調整可能であってもよい。
【0016】
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して0Nから10Nの範囲で押圧力を調整可能であってもよい。
【0017】
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して3Nから8Nの範囲で押圧力を調整可能であってもよい。
【0018】
前記保持部は、前記耳型部に対する前記電子機器の接触姿勢を変更可能に、前記電子機器を前記耳型部に対して当該電子機器の上下方向に移動調整可能であってもよい。
【0019】
前記接触姿勢は、前記振動体が前記耳型部を覆うように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含んでもよい。
【0020】
前記接触姿勢は、前記振動体の一部が前記耳型部に接触するように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含んでもよい。
【0021】
前記耳型部は、IEC60959に準拠した素材からなってもよい。
【0022】
前記振動検出部は、前記人工外耳道の周辺部に配置された複数個の振動検出素子を備えてもよい。
【0023】
前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁から延在するチューブ部材に保持されたマイクを備えてもよい。
【0024】
前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁からフローティング状態で配置されたマイクを備えてもよい。
【0025】
さらに、上記目的を達成する本発明に係る測定方法の発明は、振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器を評価するにあたり、
人体の耳を模した耳模型と、人工外耳道を構成する人工外耳道部とを備える耳型部の前記耳模型に前記振動体を押し当て、該振動体の振動により前記耳型部の前記耳模型とは逆側における、前記人工外耳道と交差する面に伝達される振動を振動検出部により検出するとともに、音圧検出面が前記人外耳道の端部にほぼ一致するように配置された音圧測定部により音を測定する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた振動量を測定でき、振動体を有する電子機器を正しく評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。
図2】測定対象の電子機器の一例を示す平面図である。
図3図1の測定装置の部分詳細図である。
図4図1の測定装置の要部の機能ブロック図である。
図5図1の測定装置による測定結果の一例を示す図である。
図6図5と同一の電子機器についての従来の測定法による振動量の測定結果を示す図である。
図7】本発明の第2実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。
図8図7の測定装置の部分詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0029】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る測定装置10は、基台30に支持された耳型部50と、測定対象の電子機器100を保持する保持部70とを備える。なお、以下の説明において、電子機器100は、図2に平面図を示すように、矩形状の筐体101の表面に、人の耳よりも大きい矩形状のパネル102を有するスマートフォン等の携帯電話で、パネル102が振動体として振動するものとする。先ず、耳型部50について説明する。
【0030】
耳型部50は、人体の耳を模したもので、耳模型51と、該耳模型51に結合された人工外耳道部52とを備える。人工外耳道部52は、耳模型51を覆う大きさを有し、中央部に人工外耳道53が形成されている。耳型部50は、人工外耳道部52の周縁部において、支持部材54を介して基台30に支持されている。
【0031】
耳型部50は、例えば人体模型のHATS(Head And Torso Simulator)やKEMAR(ノウルズ社の音響研究用の電子マネキン名)等に使用される平均的な耳模型の素材と同様の素材、例えば、IEC60959に準拠した素材からなる。この素材は、例えば硬度35から55のゴム等の素材で形成することができる。なお、ゴムの硬さは、例えばJIS K 6253やISO 48 などに準拠した国際ゴム硬さ(IRHD・M 法)に準拠して測定されるとよい。また、硬さ測定装置としては、株式会社テクロック社製 全自動タイプIRHD・M法マイクロサイズ 国際ゴム硬さ計GS680が好適に使用される。なお、耳型部50は、年齢による耳の硬さのばらつきを考慮して、大まかに、2から3種類程度、硬さの異なるものを準備し、これらを付け替えて使用するとよい。
【0032】
人工外耳道部52の厚さ、つまり人工外耳道53の長さは、人の鼓膜(蝸牛)までの長さに相当するもので、例えば20mmから40mmの範囲で適宜設定される。本実施の形態では、人工外耳道53の長さを、ほぼ30mmとしている。
【0033】
耳型部50には、人工外耳道部52の耳模型51側とは反対側の端面において、人工外耳道53の開口周辺部に位置するように振動検出部55が配置されている。振動検出部55は、例えば、圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップからなる振動検出素子56を備える。図3(a)は、耳型部50を基台10側から見た平面図である。図3(a)では、人工外耳道53の開口周辺部を取り囲むようにリング状の振動検出素子56を配置した場合を例示しているが、振動検出素子56は、複数個であってもよい。複数個の振動検出素子56を配置する場合は、人工外耳道53の周辺部に適時の間隔で配置してもよいし、人工外耳道53の開口周辺部を取り囲むように円弧状の2個の振動検出素子を配置してもよい。なお、図3(a)において、人工外耳道部52は矩形状を成しているが、人工外耳道部52は任意の形状とすることができる。
【0034】
さらに、本実施の形態に係る測定装置10は、人工外耳道53を経て伝播される音の音圧を測定するための音圧測定部60を備える。音圧測定部60は、図3(b)に図3(a)のb−b線断面図を示すように、人工外耳道53の外壁(穴の周壁)から、リング状の振動検出素子56の開口部を通して延在するチューブ部材61に保持されたコンデンサマイク等の公知のマイク62を備える。マイク62は、音圧検出面が人工外耳道部52の端面にほぼ一致するように配置される。なお、マイク62は、例えば、人工外耳道部52や基台10に支持して、人工外耳道53の外壁からフローティング状態で配置してもよい。
【0035】
次に、保持部70について説明する。電子機器100が、スマートフォン等の平面視で矩形状を成す携帯電話の場合、人が当該携帯電話を片手で保持して自身の耳に押し当てようとすると、通常、携帯電話の両側面部を手で支持することになる。また、耳に対する携帯電話の押圧力や接触姿勢は、人(利用者)によって異なったり、使用中に変動したりする。本実施の形態では、このような携帯電話の使用態様を模して、電子機器100を保持する。
【0036】
そのため、保持部70は、電子機器100の両側面部を支持する支持部71を備える。支持部71は、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向に、y軸と平行な軸y1を中心に回動調整可能にアーム部72の一端部に取り付けられている。アーム部72の他端部は、基台30に設けられた移動調整部73に結合されている。移動調整部73は、アーム部72を、y軸と直交するx軸と平行な方向で、支持部71に支持される電子機器100の上下方向x1と、y軸及びx軸と直交するz軸と平行な方向で、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向z1とに移動調整可能に構成されている。
【0037】
これにより、支持部71に支持された電子機器100は、軸y1を中心に支持部71を回動調整することで、又は、アーム部72をz1方向に移動調整することで、振動体(パネル102)の耳型部50に対する押圧力が調整される。本実施の形態では、0Nから10Nの範囲、好ましくは3Nから8Nの範囲で押圧力が調整される。
【0038】
ここで、0Nから10Nの範囲は、人間が電子機器を耳に押し当てて通話等の使用をするに想定される押し当て力よりも十分な広い範囲での測定を可能とすることを目的としている。なお、0Nの場合として、例えば耳型部50に接触しているが押し当てていない場合のみならず、耳型部50から1cmきざみで離間させて保持でき、それぞれの離間距離において測定ができるようにしてもよい。これにより、気道音の距離による減衰の度合いもマイク62による測定により可能となり、測定装置としての利便性が向上する。また、3Nから8Nの範囲は、通常、健聴者が従来型のスピーカを用いて通話をする際に耳に押し当てる平均的な力の範囲を想定している。人種、性別により差があるかもしれないが、要は従来型のスピーカを搭載したスマートフォンや従来型携帯電話等の電子機器において、通常、ユーザが押し付ける程度の押圧力において振動音や気道音を測定できることが好ましい。
【0039】
また、アーム部72をx1方向に移動調整することで、耳型部50に対する電子機器100の接触姿勢が、例えば、振動体(パネル102)が耳型部50のほぼ全体を覆う姿勢や、図1に示されるように、振動体(パネル102)が耳型部50の一部を覆う姿勢に調整される。なお、アーム部72を、y軸と平行な方向に移動調整可能に構成したり、x軸やz軸と平行な軸回りに回動調整可能に構成したりして、耳型部50に対して電子機器100を種々の接触姿勢に調整可能に構成してもよい。
【0040】
図4は、本実施の形態に係る測定装置10の要部の機能ブロック図である。振動検出素子56及びマイク62は、信号処理部75に接続される。信号処理部75は、振動検出素子56及びマイク62の出力に基づいて、電子機器100による人工外耳道部52を介しての振動量及び人工外耳道53を介しての音圧をそれぞれ測定する。また、信号処理部75は、測定した振動量及び音圧に基づいて聴感を測定する。これらの測定結果は、表示部、プリンタ、記憶部等の出力部76に出力されて、電子機器100の評価に供される。
【0041】
図5は、本実施の形態に係る測定装置10による測定結果の一例を示す図である。図6は、比較のために、図5と同一の測定対象の電子機器についての従来の測定法による振動量の測定結果を示す図である。図5及び図6において、横軸は音響周波数(Hz)を示し、縦軸は測定電圧(dBV)を示す。図5において、太線は振動レベルを示し、細線は音圧レベルを示し、破線は聴感レベルを示す。また、図6において、太線は振動ピックアップを測定対象の振動体に押し当てて測定した振動レベルを示し、細線は人工マストイドを介して測定した振動レベルを示す。
【0042】
図5及び図6から明らかなように、本実施の形態により測定される振動レベルは、従来の人工マストイド法と比較すると、人工マストイド法による測定レベルよりも大きい。また、従来の振動ピックアップによる直接測定法と比較すると、ある値を超える周波数帯域で、直接測定法よりも小さくなる。つまり、本実施の形態により測定される振動レベルは、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされたものとなる。
【0043】
このように、本実施の形態に係る測定装置10によると、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた振動レベルを測定することができるので、電子機器100を正しく評価することができる。また、振動レベルと同時に人工外耳道53を介しての音圧も測定でき、これにより人間の耳への振動伝達量に相当する振動レベルと気導音に相当する音圧レベルとが合成された聴感レベルを測定できるので、電子機器100をより詳細に評価することが可能となる。さらに、電子機器100の耳型部50に対する押圧力を可変できるとともに、接触姿勢も可変できるので、電子機器100を種々の態様で評価することが可能となる。
【0044】
(第2実施の形態)
図7は、本発明の第2実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る測定装置110は、人体の頭部模型130と、測定対象の電子機器100を保持する保持部150とを備える。頭部模型130は、例えばHATSやKEMAR等からなる。頭部模型130の人工耳131は、頭部模型130に対して着脱自在である。
【0045】
人工耳131は、図8(a)に頭部模型130から取り外した側面図を示すように、第1実施の形態の耳型部50と同様の耳模型132と、該耳模型132に結合され、人工外耳道133が形成された人工外耳道部134とを備える。人工外耳道部134には、人工外耳道133の開口周辺部に、第1実施の形態の耳型部50と同様に、振動検出素子を備える振動検出部135が配置されている。また、頭部模型130の人工耳131の装着部には、図8(b)に人工耳131を取り外した側面図を示すように、中央部にマイクを備える音圧測定部136が配置されている。音圧測定部136は、頭部模型130に人工耳131が装着されると、人工耳131の人工外耳道133を経て伝播される音の音圧を測定するように配置されている。なお、音圧測定部136は、第1実施の形態の耳型部50と同様に、人工耳131側に配置してもよい。
【0046】
保持部150は、頭部模型130に着脱自在に取り付けられるもので、頭部模型130への頭部固定部151と、測定対象の電子機器100を支持する支持部152と、頭部固定部151及び支持部152を連結する多関節アーム部153と、を備える。保持部150は、多関節アーム部153を介して、支持部152に支持された電子機器100の人工耳131に対する押圧力及び接触姿勢を、第1実施の形態の保持部70と同様に調整可能に構成されている。
【0047】
本実施の形態に係る測定装置110によると、第1実施の形態の測定装置10と同様の効果が得られる。特に、本実施の形態では、人体の頭部模型130に、振動検出用の人工耳131を着脱自在に装着して電子機器100を評価するので、頭部の影響が考慮された実際の使用態様により即した評価が可能となる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、測定対象の電子機器100として、スマートフォン等の携帯電話で、パネル102が振動体として振動するものを想定したが、折り畳み式の携帯電話で、通話等の使用態様において耳に接触するパネルが振動する電子機器も同様に評価することが可能である。また、携帯電話に限らず、他の圧電レシーバも同様に評価することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 測定装置
30 基台
50 耳型部
51 耳模型
52 人工外耳道部
53 人工外耳道
54 支持部材
55 振動検出部
56 振動検出素子
60 音圧測定部
61 チューブ部材
62 マイク
70 保持部
71 支持部
72 アーム部
73 移動調整部
75 信号処理部
76 出力部
100 電子機器
101 筐体
102 パネル(振動体)
110 測定装置
130 頭部模型
131 人工耳
132 耳模型
133 人工外耳道
134 人工外耳道部
135 振動検出部
136 音圧測定部
150 保持部
151 頭部固定部
152 支持部
153 多関節アーム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8