【実施例】
【0058】
直鎖のメチル分岐したオレフィンをCBV20A H−モルデン沸石触媒を横切ってベンゼンとアルキル化させることによって、界面活性剤試料を調製した。これらのLABおよびMLAB試料を、薄膜スルホン化ユニットを用いてSO
3でスルホン化した。スルホン酸生成物を、30%活性スルホン酸ナトリウムを達成するように水酸化ナトリウムで中和した。
【0059】
以下の界面活性剤試料を使用した。
1)C10MLAS(高2−フェニル、モノ−メチル分岐)。
2)C10LAS(高2−フェニル、高直鎖)。
【0060】
他のLAS化学種。
1)C1013LAS(高2−フェニル、直鎖)。
2)C1213MLAS(高2−フェニル、モノ−メチル分岐)。
3)C11MLAS(高2−フェニル、モノ−メチル分岐)。
4)Solfodac(登録商標)AC−3−H(低2−フェニル、直鎖)[市販のC1013LAS]。
5)C1114LAS低2−フェニル(低2−フェニル、直鎖)。
【0061】
下記表1は、試験において使用された試料の詳細を示すものである。
【0062】
LAS/MLAS試料を調製するために使用されたパラフィン/オレフィンの供給源:
Olex:最初の原料は、原油由来の灯油である。オレフィンの基本的な特徴は、直鎖性(linearity)および内部オレフィンである。
Isalchem(登録商標)123、Isalchem(登録商標)11,Isalchem(登録商標)10:
最初の原料は灯油(原油)であり、それを用いて分岐アルコール(Isalchem)が調製されたものであり、これを脱水してメチルオレフィン(80+%メチル分岐)を生成する。
Aug−Pacol 1014:C10〜14パラフィン。Augusta,Italyで製造された灯油から抽出されたもの。
Solfodac(登録商標)AC−3−H:Terranovaから利用可能なUOP Detal技術により製造されたLABのスルホン化誘導体の商品名。
LC−Pacol 1213:C10〜14パラフィン。Lake Charles,USAで製造された灯油から抽出されたもの。
【0063】
【表1】
【0064】
分析方法:
直鎖アルキルベンゼン(LAB)および改変直鎖アルキルベンゼン(MLAB)試料を、以下の分析手順を用いて分析した。
【0065】
a.炭素鎖長、重量パーセント、および分岐を測定するためのキャピラリーGCおよびキャピラリーGCMS
水素炎イオン化検出(FID)または質量分析(MS)を伴うキャピラリーガスクロマトグラフィーにより、試料を分析した。GC条件を以下に示す。質量分析計は、電子衝撃を用いるAgilent MSDであった。
カラム:15m×.25mm×.25μのDB−1相
注入器:300°
検出器:320°
カラム流量:1.26ml/分
スプリット比:100:1
カラムランプ(column ramp):70°、1分維持、6度/分〜200°、次いで10度/分〜320°、5分維持
圧力プログラム:1.26ml/分を23分間、次いで2.5ml/分まで10ml/分/分
注入サイズ:オートサンプラーにより0.2μl
【0066】
既知の直鎖アルキルベンゼンの標準を、FIDおよびMS検出の両方を伴うGCにより調べた。次いで、GC溶出順序、保持時間、および質量スペクトルを、ここで調製された化合物と比較した。2−フェニル異性体は、その分子量および105amuにおいてピークを有する特徴的な質量スペクトルを有する。同様に、3−フェニル異性体は、その質量スペクトルにおいて119amuにピークを有する。ここで調製された物質のピーク割り当ては、それらの保持時間および質量スペクトルに基づき行った。メチル分岐アルキレートは、対応する直鎖同族体に先立って溶出する。第四級2−メチル−2−フェニルアルキレートは、119amuピークを含む質量スペクトルを有するが、3−フェニル異性体とはいくらか異なる時間に溶出する。
【0067】
b.MLAB試料およびLAB試料における分岐およびフェニル位置を確認するための
13C NMR
全ての試料を、5mmのブロードバンドプローブを用いてBruker AVANCE 500MHz NMRで
13C NMRにより分析した。重要な機器パラメータを、表2に列挙する。
【0068】
試料を、4.5グラムの生成物を0.05グラムのp−ジオキサン内部標準と合わせることによって調製した(それぞれ約0.1mgまで秤量した)。0.3mLのこの混合物をNMR管に移し、0.2mLの重水素化塩化メチレンロック溶媒に溶解させた。クロムアセチルアセトネートを、緩和剤として添加した。取得後、スペクトルを手動で位相調整(phase)し、ベースライン補正し、積分した。
【0069】
スペクトルを手動で位相調整し、ベースライン補正した。それぞれのMLAB試料についての分岐度を、全
13CNMRスペクトルが100となるように正規化する(溶媒および内部標準の共鳴は排除した)ことによって求めた。メチル共鳴を、標準的なDEPT135およびDEPT90実験を用いて特定した。「パーセントメチル炭素」を、試料の平均炭素数(GCにより決定)を乗じ、2を減じる(直鎖LABのメチルを計上するため)ことによって、1分子当たりの平均分岐に変換した。
【0070】
【表2】
【0071】
13CNMRによる第四級MLAB
スペクトルを、手動で位相調整し、ベースライン補正した。全第四級MLAB含有量を、2−フェニル異性体の芳香族炭素および>2−フェニル異性体のベンジル炭素を用いることにより測定した。それぞれの共鳴についてのTMSを基準とした化学シフトが、表3に列挙されている。標準的なDEPT135およびDEPT90 13C NMR実験を用いて第四級炭素を確認した。全ての積分値を、任意の値が与えられたp−ジオキサン内部標準を基準として割り当てた。
【0072】
【表3】
【0073】
他のLAS化学種と比べたC10MLASおよびC10LASの利点を明らかにする以下の試験に関して、本発明をより詳細に説明し、例示する。固有洗浄力性能、Ca
2+耐性/濁度、動的表面張力/Ca
2+耐性、表面張力/表面寿命および塩(NaCl)耐性を測定するために、試験を行った。さらに、種々の界面活性剤試料の冷水汚れ除去能力を比較した。
【0074】
1.固有洗浄力性能:
固有洗浄力性能を、40℃の洗浄温度にて実験室洗濯機で測定した。ポリエステル−綿布帛上に界面活性剤感受性の顔料汚れを有した市販の試験スワッチを適用した。洗濯後の反射率の変化を用いて、洗浄を測定した。白色度の増加を、反射率計によって測定した。洗浄性能は、%白色度として表される。界面活性剤濃度は、1000ppm(欧州の洗濯条件の典型的な界面活性剤レベルを反映)であった。
【0075】
4つの硬度レベル、すなわち0、45、90および180ppmのCa
2+硬度で、試験を実施した。それぞれの製品(C1013LAS、C10MLAS、C11MLASおよびC1213MLAS)について、洗浄力測定を6回行い、平均値を計算した。その結果を、標準偏差と一緒に
図1に示す。
【0076】
2.Ca
2+耐性/濁度:
次のように、界面活性剤溶液にCaCl
2を添加して、20℃で溶液の透明度を測定することによって、カルシウムイオン耐性を求めた。1.0g/Lの透明な界面活性剤溶液200mlを、サーモスタットで調温されたビーカー中で、150rpmで撹拌する。17800ppmのCa
2+(相当するCaCO
3として計算)を含むCaCl
2溶液を、0.03ml/分または2.67ppmのCa
2+毎分の速度で添加した。溶液の透明度を、光電極Mettler DP550を用いて測定し、自動記録した。この測定を、350ppmの最終Ca
2+濃度に至るまで続けた。この実験を、25℃および40℃の両方において実施した。
【0077】
図2は、C10MLASのカルシウムイオン耐性を、市販のLAS(Solfodac(登録商標)AC−3−H)、ならびにC10MLASと市販のLASとの70/30重量%および90/10重量%混合物と、20℃において比較したものである。
【0078】
図3は、C10MLASの硬水耐性を、C1013LASと、ならびにC10MLASとC1013LASとの10/90重量%、30/70重量%および50/50重量%混合物と、20℃において比較したものである。
図4は、40℃において実施された、同じ実験について得られた結果を示している。
【0079】
3.動的表面張力/Ca
2+耐性:
500mlの界面活性剤溶液を、無脈動ポンプ(Ismatec BVP−2、ポンプヘッド1409601)を用いて容器および測定セルを通って連続的に循環させた。動的表面張力を、Lauda MPT2(泡圧張力計)を用い、20mm
3/秒の一定の空気流量で測定した。実際の表面寿命は、表面張力に応じて変化するが、0.1秒の桁である。容器をサーモスタットで調温し、溶液を300rpmで撹拌した。17800ppmのCa
2+(相当するCaCO
3として計算)を含むCaCl
2溶液を、0.075ml/分または2.67ppmのCa
2+毎分の速度で容器に添加した。この測定を、350ppmの最終Ca
2+濃度に至るまで続けた。
【0080】
図5は、50ppmおよびそれ以上のCa
2+濃度におけるC10LASおよびC10MLASの表面張力特性を、他のLAS化学種、特にC1013LASおよびSulfodac(登録商標)AC−3−Hと比較して示している。
【0081】
図6および7は、純粋な界面活性剤試料(C10MLAS、Sulfodac(登録商標)およびC1013LAS)の表面寿命に関する界面活性(表面張力)ならびにC10MLASと他のLAS化学種との混合物の挙動を、25℃および90ppmのCa
2+において比較したものである。両方の実験について、表面寿命を、10秒から0.01秒に至るまで段階的に減少させた。
【0082】
図6は、C10MLASと市販のLAS(Solfodac(登録商標)AC−3−H)との10重量%、30重量%および50重量%混合物を、純粋試料と比較して示している。
図7は、C10MLASとC1013LASとの50重量%混合物について得られた結果を、純粋試料と比較して示している。
【0083】
4.表面張力/表面寿命:
1.0g/Lの濃度の界面活性剤溶液の動的表面張力を、泡圧張力計Lauda MPT2を用いて25℃および40℃において測定した。全ての実験について、Ca
2+濃度は180ppmで一定に保たれた。全ての実験について、表面寿命を、10秒から0.01秒に至るまで段階的に減少させた。
【0084】
図8は、純粋なC10MLAS試料およびSulfodac試料についてのみならず、10重量%、30重量%および50重量%のC10MLASと市販のLAS(Solfodac(登録商標)AC−3−H)との混合物の界面活性(表面張力)をも、25℃において比較したものである。10重量%および50重量%のC10MLASとC1013LASとの混合物、ならびに純粋なC10MLASおよびC1013LASもまた、25℃において評価した。結果を
図9に示す。
図10および
図11は、同じ実験を40℃において繰り返した時に得られた結果を示している。
【0085】
5.塩(NaCl)耐性:
1.0g/Lの透明な界面活性剤溶液200mlを、サーモスタットで調温されたビーカー中で、20℃において150rpmで撹拌した。25%のNaCl溶液を、1ml/分の添加速度(dosage rate)で添加した。溶液の透明度を、光電極Mettler DP550を用いて測定した。C10MLASについての結果は、
図12においてSolfodac(登録商標)AC−3−Hと比較される。
【0086】
6.冷水洗浄力性能:固体汚れを除去する能力
汚れ浸漬装置を用いて、種々の界面活性剤溶液の、固体のラード汚れを汚れ含浸綿布帛から除去する能力を測定した。手順は、以下の工程からなった。
・綿の濡れを測定するために一般的に使用される標準的な30mm円形綿布帛試験片(クーポン)を計量し、次いで溶融ラード中に浸漬させ、これによりおよそ200mgの溶融ラード汚れを各クーポンに付加した。クーポンを風乾させ、次いで各布クーポン上の汚れ重量を測定するために再計量した。
・試験界面活性剤溶液は、別個の250ml広口ガラス瓶に入っており、瓶は全て、16℃に設定された制御温度浴に沈んでいた。
・汚れたクーポンを、真空ベースの原動機により駆動されるクーポンを試験溶液の中におよび試験溶液から外に移動させるように設計されたラックに取り付けられた、金属ワニ口クリップで保持した。
・全てのクーポンを、それぞれの界面活性剤溶液中に、1時間の1期間の間、同時に沈め、次いで、試験溶液中への浸漬および試験溶液からのすくい上げを、1浸漬/1.5秒の速度で200回行った。次いで、残っている界面活性剤溶液をクーポンから洗い落すために、試験溶液を蒸留水に置き換え、クーポンを再度、1浸漬/1.5秒の速度で200回浸漬させた。
・クーポンを24時間風乾させ、界面活性剤溶液中に浸漬させた結果として生じた重量の変化を測定するために再計量した。
【0087】
短鎖C10MLASの、冷水洗浄力を促進する能力を、その性能を、冷水洗浄力性能のために設計(および宣伝)された、北米における主要な液体洗濯用洗剤である、Proctor & Gambleから入手可能な「Tide(商標)Coldwater Liquid Laundry Detergent」と比較することによって調べた。試験溶液は、以下のものからなった。
・「DET」と表記された試験溶液1は、0.01モルの塩化ナトリウム(イオン強度の影響を減らすため)および50mgのカルシウム(水硬度を示すためCaCO
3として)を含有する蒸留水で希釈され、8に等しいpHを達成するように水酸化ナトリウムで調整された、0.1%活性液体洗濯用洗剤(上記)からなった。洗剤の組成を調べ、33.5%の総界面活性剤活性含有量を有すると決定し、これを用いて0.1%活性溶液を生成した。
・「DET:C1114LAS低2−フェニル」と表記された試験溶液2は、1:1ブレンド(各成分0.05重量%)からなった。ここで、C1114LAS低2−フェニルは、標準的なC12平均の市販のLASを表す。試験溶液1について上に記載されたように、試験溶液を、イオン強度、水硬度およびpHについて調整した。
・「DET:C10MLAS」と表記された試験溶液3は、1:1ブレンド(各成分0.05重量%)からなり、ここで、C10MLASは、80%より多くの2−フェニル異性体含有量を有しかつアルキル鎖沿いの分岐(主としてメチル)を40%より多く有するC10−アルキルベンゼンから作られた、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなった。試験溶液1について上に記載されたように、試験溶液を、イオン強度、水硬度およびpHについて調整した。
・「DET:C10LAS」と表記された試験溶液4は、1:1ブレンド(各成分0.05重量%)からなった。ここで、C10LASは、約70%の2−フェニル異性体含有量を有しかつアルキル鎖沿いの分岐をごく少量有するC10−アルキルベンゼンから作られた、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなる。試験溶液1について上に記載されたように、試験溶液を、イオン強度、水硬度およびpHについて調整した。
【0088】
次に、上に示された試験プロトコルに記載されたように、試験溶液を調べた。結果を
図13に示す。
【0089】
7.使用法および用途
洗浄剤(実施例7.1)、皿洗い液(実施例7.2)、洗濯用液体(実施例7.3)、洗濯用粉末(実施例7.4)、掘削流体(実施例7.5)、フラクチャリング流体(実施例7.6)およびEOR用途(実施例7.7)において本発明のMLASを使用するための典型的な配合例を、以下に示す。
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
【0096】
【表10】