特許第6053809号(P6053809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6053809工作機械内で用いられる装置及び工作機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053809
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】工作機械内で用いられる装置及び工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B23Q1/00 E
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-541710(P2014-541710)
(86)(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公表番号】特表2015-502862(P2015-502862A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】EP2012073134
(87)【国際公開番号】WO2013076097
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年9月3日
(31)【優先権主張番号】202011108153.6
(32)【優先日】2011年11月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506381599
【氏名又は名称】ディッケル マホ プロンテン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ユング
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−162646(JP,A)
【文献】 特開2005−279803(JP,A)
【文献】 特開平07−001206(JP,A)
【文献】 特開平08−039320(JP,A)
【文献】 特開昭60−167728(JP,A)
【文献】 特開昭63−068380(JP,A)
【文献】 特開2001−198749(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0212193(US,A1)
【文献】 西独国特許出願公告第02727434(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(1)内で用いられる装置(5’)であって、
第1のユニット(9)と、
前記第1のユニット(9)に連結される第2のユニット(10)であって、前記第1のユニット(9)は該第2のユニット(10)に対して回転軸(D)の回りに回転可能である、第2のユニット(10)と、
前記第2のユニット(10)に連結される主軸モーター(6)と、
前記回転軸(D)に沿って前記第1のユニット(9)から前記第2のユニット(10)に延びる配線フィードスルー(15)と、
前記第1のユニット(9)の内部から前記配線フィードスルー(15)及び前記第2のユニット(10)を通って前記主軸モーター(6)に延びる配線(16)と、
前記第1のユニット(9)内に形成されるとともに、前記配線(16)の、前記第1のユニット(9)内で前記配線フィードスルー(15)のすぐ前に配置された部分をガイドする役目を果たす配線ガイド装置(17)であって、該配線ガイド装置(17)は、前記回転軸(D)に対して垂直に向いた平面において形成され、該配線ガイド装置(17)は、前記第1のユニット(9)に対する前記第2のユニット(10)の回転時に前記配線(16)を送り、前記回転によって引き起こされる前記配線フィードスルー(15)の領域における前記配線(16)のねじれが回避又は軽減されるようになっている、配線ガイド装置(17)と、
を備え
前記配線フィードスルー(15)の、前記第2のユニット(10)に面するか又は該第2のユニット(10)内にある端部に位置する、前記配線(16)の第1の領域(46)は、前記第2のユニット(10)に固定接続されており、前記回転軸(D)に対する前記配線(16)の前記第1の領域(46)の第1の回転角度(β)は、前記第1のユニット(9)に対して前記第2のユニット(10)が回転される前記回転軸(D)に対する回転角度(β)に相当するようになっており、前記配線(16)は前記配線フィードスルー(15)内で前記第1のユニット(9)に対して自由に動くことができる、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(5’)であって、
前記配線ガイド装置(17)を、前記第1のユニット(9)に対する前記第2のユニット(10)の回転時に、該配線ガイド装置(17)が弓状セグメントを形成する第1の状態と、該配線ガイド装置(17)が螺旋形を形成する第2の状態との間で交互にガイドすることができる、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(5’)であって、
前記配線ガイド装置(17)は、互いに対して回転可能な一連のガイド部材(23)を有する、装置。
【請求項4】
請求項に記載の装置(5’)であって、
前記配線ガイド装置(17)によって、前記配線フィードスルー(15)の、前記第1のユニット(9)に面するか又は該第1のユニット(9)内にある端部に位置する、前記配線(16)の第2の領域(45)は、前記回転軸(D)に対して前記第1の回転角度(β)とは無関係に第2の回転角度(α)だけ回転可能であり、前記第1の回転角度(β)と前記第2の回転角度(α)との差は、前記配線フィードスルー(15)内における前記配線(16)のねじれの大きさに対応するようになっている、装置。
【請求項5】
請求項に記載の装置(5’)であって、
前記第1の回転角度(β)は前記第2の回転角度(α)に相当する、装置。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の装置(5’)であって、
前記配線フィードスルー(15)は、前記第1のユニット(9)に面する端部に、前記回転軸(D)に沿って延びる第1の管状部材を有し、該第1の管状部材の、前記第2のユニット(10)に面しない端部(25)には、第2の管状部材(26)が枢動可能に支持されており、前記第2の管状部材(26)の向きには前記回転軸(D)に対して垂直に延びる少なくとも1つの要素があり、前記第2の管状部材(26)は、前記回転軸(D)に対して垂直に延在する平面に対して枢動可能に支持されており、前記配線(16)は前記第1の管状部材及び前記第2の管状部材(26)を通って延びる、装置。
【請求項7】
請求項に記載の装置(5’)であって、
前記第1のユニット(9)に対して前記第2のユニット(10)が角度βだけ回転する際、前記第2の管状部材(26)も前記角度βだけ回転する、装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の装置(5’)であって、
前記配線(16)は、以下の配線のうちの少なくとも1つ、すなわち、前記主軸モーター(6)の軸受に潤滑油を供給する配管、前記主軸モーターの温度センサーからの温度信号を伝える配線、シールエアを導く配管、ブローエアを導く配管、冷却潤滑油を導く配管、前記主軸モーターに冷却水を導く配管、クランプ装置に油圧作動油を導く配管、作業灯に電流を伝える配線、前記主軸モーターの振動センサーからの振動信号を伝える配線、前記主軸モーターのロータリーエンコーダーのロータリーエンコーダー信号を伝える配線、前記主軸モーターを駆動する電流を伝える配線、及び前記主軸モーターの接地配線を含む、装置。
【請求項9】
工作機械(1)であって、
請求項1〜のいずれか1項に記載の装置(5’)を備える、工作機械。
【請求項10】
請求項に記載の工作機械(1)であって、
前記装置(5’)は往復台(31)に取り付けられ、該往復台(31)は該工作機械(1)のガイドレール(4)に沿って可動である、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械内で用いられる装置及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は製造業において重要な生産装置である。図1は工作機械1の一例を示している。工作機械1は以下の構成要素、すなわち、第1のガイド機構2と、第2のガイド機構3と、第3のガイド機構4と、装置5と、往復台7と、回転テーブル8とを有する。往復台7は第1のガイド機構2に沿ってX方向にガイド可能である。回転テーブル8は、往復台7上に配置されており、往復台7に対して軸Aの回りに相対的に回転可能である。第2のガイド機構3は、第1のガイド機構2に強固に連結されており、第3のガイド機構4をY方向にガイドすることを可能にする。装置5は、第3のガイド機構4に沿ってZ方向にガイド可能である。装置5は第1のユニット9を有し、第2のユニット10が第1のユニット9に連結しているとともに、主軸モーター6が第2のユニット10に連結している。第2のユニット10は第1のユニット9に対して(区分面(sectional plane)11において)回転軸Dの回りに回転可能である。主軸モーター6は第2のユニット10に強固に連結している。さらに、装置5はチューブ12を有する。チューブ12は、弾性材料から製造されており、第1のユニット9及び第2のユニット10の外部に、第1のユニット9における開口13から主軸モーター6における開口14まで延びている。チューブ12は種々の配線を収納する役目を果たす。種々の配線は電気信号、流体、駆動流体等を主軸モーター6に供給する。
【0003】
装置5の構造において、チューブ12を設けることによって、第1のユニット9に対する第2のユニット10の回転自由度、ひいては主軸モーター6の回転自由度が制限されることが不利である。これは図2及び図3に示されている。図2は、装置5の、主軸工具を収める主軸モーター6の開口30がX方向に対して平行に向いている状態を示している。図3は、装置5の、主軸モーター6の開口30がZ方向に対して平行に向いている状態を示している。図3から明らかであるように、第1のユニット9に対する第2のユニット10の更なる反時計回りの回転が可能でない。なぜならこの場合、チューブ12はきつく張った状態(tensioned state)であり、更なる回転を妨げると考えられるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の根底にある課題は、上述の問題を回避することができる装置を規定することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明は請求項1に記載の装置及び請求項8に記載の工作機械を提供する。本発明の理念の有利な形態又は発展は従属請求項において見出される。
【0006】
本発明の一実施形態によると、工作機械内で用いられる装置が提供される。本装置は、第1のユニットと、前記第1のユニットに連結される第2のユニットであって、前記第1のユニットは該第2のユニットに対して回転軸の回りに回転可能である、第2のユニットと、前記第2のユニットに連結される主軸モーターと、前記回転軸に沿って前記第1のユニットから前記第2のユニットに延びる配線フィードスルーと、前記第1のユニットの内部から前記配線フィードスルー及び前記第2のユニットを通って前記主軸モーターに延びる配線と、前記第1のユニット内に形成されるとともに、前記配線の、前記第1のユニット内で前記配線フィードスルーのすぐ前に配置された部分をガイドする役目を果たす配線ガイド装置とを備える。該配線ガイド装置は、前記回転軸に対して垂直に向いた平面(又は「層」)において形成される。該配線ガイド装置は、前記第1のユニットに対する前記第2のユニットの回転時に、前記平面/層内の前記配線を送り、前記回転によって引き起こされる前記配線フィードスルーの領域における前記配線のねじれが軽減又は回避されるようになっている。該配線ガイド装置は、前記配線フィードスルーの、前記第2のユニットに面するか又は該第2のユニット内にある端部に位置する、前記配線の第1の領域は、前記第2のユニットに固定接続されている。そのため、前記回転軸Dに対する前記配線の前記第1の領域の第1の回転角度βは、前記第1のユニットに対して前記第2のユニットが回転される前記回転軸Dに対する回転角度に相当する。前記配線は前記配線フィードスルー内で前記第1のユニットに対して自由に動くことができる。
【0007】
本発明の一実施形態によると、前記配線ガイド装置を、前記第1のユニットに対する前記第2のユニットの回転によって、該配線ガイド装置が弓状セグメントを形成する第1の状態と、該配線ガイド装置が螺旋形を形成する第2の状態との間で交互にガイド可能である。
【0008】
本発明の一実施形態によると、前記配線ガイド装置は、互いに対して回転可能な一連のガイド部材を有する。
【0010】
本発明の一実施形態によると、前記配線フィードスルーの、前記第1のユニットに面するか又は該第1のユニット内にある端部に位置する、前記配線の第2の領域は、前記配線ガイドユニットによって、前記回転軸Dに対して前記第1の回転角度βとは無関係に第2の回転角度αだけ回転可能である。そのため、前記第1の回転角度βと前記第2の回転角度αとの差は、前記配線フィードスルー15内における前記配線16のねじれの大きさ(amount)に対応する。本明細書の文脈において、「無関係に」とは、配線ガイド装置を、第1のユニットに対する第2のユニットの回転により、配線ガイド装置による配線の自動的な送り、ひいては配線の第2の領域の回転が必ずしも起こらないように構成することができることを意味する。例えば、配線の送りは、大きなねじれが見込まれる場合の必要に応じて選択的に作動することができる。例えば、配線の送りは、第1の回転角度βが第2の回転角度αに相当するように実現することができる。代替的には、配線の送りは、送る際に許容されるねじれがまだ容認できる場合、第1の回転角度βが第2の回転角度αよりも大きくなるように実現することができる。
【0011】
本発明の一実施形態によると、配線は配線ガイド装置によって送ることができ、配線フィードスルーの、第1のユニットに面する端部における配線の回転角度は、第2のユニット内の配線の回転角度に相当するようになっている。2つの作用が互いに「打ち消し合う」ため、配線の(相対的な)ねじれを回避することができる。
【0012】
本発明の一実施形態によると、前記配線フィードスルーは、前記第1のユニットに面する前記端部に、前記回転軸に沿って延びる第1の管状部材を有する。該第1の管状部材の、前記第2のユニットに面しない前記端部には、第2の管状部材が枢動可能に支持されている。前記第2の管状部材の向きには前記回転軸に対して垂直に延びる少なくとも1つの要素がある。前記第2の管状部材は、前記回転軸に対して垂直に延在するとともに、前記配線フィードスルーの、前記第1のユニットに面する前記端部を通る平面に対して枢動可能に支持されている。前記配線は前記第1の管状部材及び前記第2の管状部材を通って延びる。
【0013】
本発明の一実施形態によると、第1の管状部材と、第2の管状部材と、配線ガイド装置とは、互いに動作可能に接続している。そのため、第1のユニットに対して第2のユニットが角度αだけ回転する際、第2の管状部材も角度αだけ回転する。それにより、第1の管状部材及び第2の管状部材内の(特に、第1の管状部材と第2の管状部材との間の境界面における)配線のねじれを回避することができる。
【0014】
本発明の一実施形態によると、前記配線は、以下の配線のうちの少なくとも1つを有する。以下の配線とは、前記主軸モーターの軸受に潤滑油を供給する線、前記主軸モーターの温度センサーからの温度信号を伝える線、シールエアを導く線、ブローエアを導く線、冷却潤滑油を導く線、前記主軸モーターに冷却水を導く線、クランプ装置に油圧作動油(hydraulic fluid)を導く線、作業灯(working room lamp)に電流を伝える線、前記主軸モーターの振動センサーからの振動信号を伝える線、前記主軸モーターのロータリーエンコーダーのロータリーエンコーダー信号を伝える線、前記主軸モーターを駆動する電流を伝える線、及び前記主軸モーターの接地線である。
【0015】
上述の実施形態のうちの1つによる装置を工作機械内で用いることができる。具体的には、その装置は工作機械の往復台上に取り付けることができ、往復台はガイドレールに沿って可動である。
【0016】
以下において、本発明の例示的な実施形態が図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の工作機械の一例の図である。
図2図1に示されている装置の第1の回転状態における図である。
図3図1に示されている装置の第2の回転状態における図である。
図4】本発明の一実施形態に係る装置の一部の第1の状態における図である。
図5】本発明の一実施形態に係る装置の一部の第2の状態における図である。
図6】本発明の一実施形態に係る装置の一部の第1の状態における図である。
図7】本発明の一実施形態に係る装置の一部の第2の状態における図である。
図8】本発明の一実施形態に係る装置の一部の図である。
図9】本発明の一実施形態に係る装置の一部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面において、同一又は相互に対応する範囲、要素若しくは要素群は同じ参照符号で示される。さらに、図面は本質的に概略的なものであり、縮尺通りである必要はないことに言及するべきである。
【0019】
図4は、本発明の一実施形態に係る工作機械内で用いられる装置5’を示している。装置5’は、その外部構造が、図1図3に示されている装置5の外部構造と対応する。しかしながら、大きな違いは、装置5’には第1のユニット9、第2のユニット10及び主軸モーター6の外部にチューブ12が設けられていないことである。代わりに、それに相当する配線が第1のユニット9及び第2のユニット10の内部を通って主軸モーター6に延びている。
【0020】
装置5’は、第1のユニット9と、第1のユニット9に連結している第2のユニット10であって、第1のユニット9は第2のユニット10に対して回転軸Dの回りに回転可能である、第2のユニット10と、第2のユニット10に強固に連結している主軸モーター6と、回転軸Dに沿って第1のユニット9から第2のユニット10に延びる配線フィードスルー15と、第1のユニット9の内部から配線フィードスルー15及び第2のユニット10を通って主軸モーター6に延びる配線16と、配線ガイド装置17(ケーブルキャリ
ア又はエナジーチェーン(energy carrying chain)とも称される)とを有する。配線ガイド装置17は、第1のユニット9内に形成されるとともに、配線16の、第1のユニット9内で配線フィードスルー15のすぐ前に配置された部分をガイドする役目を果たす。図4及び図5に見られる配線フィードスルー15の一部(すなわち、配線フィードスルー15の、第1のユニット9に面する端部)は、管状部材として形成される。管状部材は第1のユニット9内に突出している。配線フィードスルー15の、第1のユニット9内に突出している部分は省略することもできる。配線ガイド装置17は、回転軸Dに対して垂直に向いた平面又は「層」において形成される。配線ガイド装置17は、第1のユニット9に対する第2のユニット10の回転時に、配線16を送る。そのため、回転によって通常生じる、配線フィードスルー15の領域における配線16のねじれが回避又は軽減される。
【0021】
換言すると、図4に示されている回転状態に達するために、主軸モーター6が第1のユニット9と第2のユニット10との相互回転によって矢印R1で示されている方向に回転する場合、配線ガイド装置17も矢印R1で示されている方向に回転するため、配線ガイド装置17は螺旋形状を呈する。一方、主軸モーター6が第1のユニット9と第2のユニット10との相互回転によって矢印R2で示されている方向(回転方向R1とは反対方向)に回転する場合、図5に示されているように、配線ガイド装置17は螺旋形状から弓状セグメントに対応する形状に変化する。第1のユニット9と第2のユニット10との相互回転は、ピニオン20を介してリングギヤ21に動作可能に接続している電気モーター19を介して行われる。ピニオン20は更に第2のユニット10に接続している。回転方向R1又はR2への配線ガイド装置17の回転によって、すなわち、回転時の配線ガイド装置17の端部22の共回転によって、端部22内に位置する配線16の一部、ひいては配線ガイド装置17内に位置する配線16の全部が、回転に伴って送られることが実現される。配線16が配線ガイド装置17の端部22から配線フィードスルー15に延びているため、特に、送られる際に配線ガイド装置17の端部22と配線フィードスルー15の入力部25との間の領域において配線16がねじれないことが実現される。
【0022】
この実施形態では、配線ガイド装置17は互いに対して回転可能な一連のガイド部材23を有する。ガイド部材23は、回転軸Dに対して平行に向いた軸27の回りに相互回転することができる。この様式では、一連のガイド部材は全体としてケージ型を形成し、このケージ内に配線16が設けられる。
【0023】
配線16の送りの程度は、様々となる場合がある。したがって、配線16を送ることは、配線ガイド装置17の端部22と配線フィードスルー15の入力部25との間の領域における配線16のねじれが、或る特定の程度まで許容されるように実現することができる。この場合、配線16の送りは第1のユニット9に対する第2のユニット10の回転よりも僅かに少なくなることができる。配線16のねじれが完全に回避される場合、配線ガイド装置17の送りは第1のユニット9に対する第2のユニット10の回転に対応するはずである。
【0024】
第1のユニット9に対する第2のユニット10の回転時、配線ガイド装置17が第1のユニット9内で制御されない様式で動くことを防ぐために、この実施形態では、ベルト24が提供される。ベルト24は弓状の形状を有し、ベルト24の内側には、配線ガイド装置17が巻かれていない状態で(つまり弓状の状態で)接触する。
【0025】
図6及び図7は、図4及び図5において示されている実施形態に対応する実施形態を示している(加えて、図4及び図5では省略されている、第1のユニット9の外壁の一部も見て取れる)。加えて、図6及び図7において、第2の管状部材26が配線フィードスルー15の入力部25上に枢動可能に支持されている(回転軸Dに対して垂直にかつ入力部25を通って延在する平面において枢動可能である)ことが示されている。しかしながら、第2の管状部材26はまた、この平面に対して或る特定の角度で傾いていることができる。配線16は配線ガイド装置17の端部22から第2の管状部材26を通って配線フィードスルー15に延びる。第1のユニット9に対する第2のユニット10の回転時、配線ガイド装置17は第2の管状部材26とともに送られる。これにより、配線16のねじれを回避することができる。例えば、第2の管状部材26の回転角度が、第2のユニット10が第1のユニット9に対して回転する回転角度に相当する場合、ねじれを完全に回避することができる。ねじれを回避又は軽減することにより、図2及び図3に示されている実施形態において可能であるよりも、第1のユニット9に対する第2のユニット10の更なる回転を可能にする。なぜなら、第1のユニット9に対する第2のユニット10の回転を妨げる可能性がある力が、配線16又は外部チューブ12のねじれのいずれによっても生じる可能性がないからである。
【0026】
図8において、本発明の一実施形態に係る第1のユニット9と第2のユニット10との間の配線16の拡大された概略断面図が示されている。第2のユニット10は第1のユニット9に対して区分面11に沿って回転可能である。配線16は締結具40によって第2のユニット10に固定接続されている。締結具40は、図8に示されているように第1のユニット9と第2のユニット10との間の境界面に必ずしも配置される必要はなく、第2のユニット10内の別の好適な場所に設けることもできる。締結具は、例えば、配線16を囲む保持要素を有し、ねじによって又は別様に第2のユニット10に固定することができる。図8から明らかであるように、配線16は配線フィードスルー15内では第1のユニット9に接続されていない、すなわち第1のユニット9に対して自由に可動である。
【0027】
第2のユニット10が第1のユニット9に対して区分面11に沿って回転する場合、配線16は、第2のユニット10に取り付けられていることにより第2のユニットとともに回転する。それにより、配線16も配線フィードスルー15内で第1のユニット9に対して回転する。配線フィードスルー15内でのこの回転による配線16のねじれを防ぐために、本発明によると、(配線フィードスルー15の上方に位置する)配線16の上側領域45が、少なくとも部分的に、第2のユニット10の回転とともに送られる。配線16を送ることは、例えば、図6及び図7に示されているように、第2の管状部材26(配線16がこの中に延びる)を第1のユニット9に対して(区分面11に対して平行に)枢動させることによって実現することができる。この例では、第2の管状部材26の回転角度(第2の管状部材26が区分面11において枢動する角度)が、第2のユニット10が第1のユニット9に対して区分面11に沿って回転される回転角度に相当する場合、配線フィードスルー15内で配線16のねじれは生じない。対照的に、第2の管状部材26の回転角度が、第2のユニット10が第1のユニット9に対して区分面11に沿って回転される回転角度よりも小さい場合、配線フィードスルー15内で生じる配線16のねじれが軽減される(配線16の送りが全く行われない場合と比べて軽減される)。配線16を送ることは、別の装置によっても実現することができる、すなわち第2の管状部材26は送り部材の例示でしかない。オプションとして、第2の管状部材26を省略することもでき、配線ガイド装置17(チェーン)のみを、配線をガイドするのに用いることができる。
【0028】
配線フィードスルー15は、第1のユニット9に面する端部に第1の管状部材41(概略的に破線で示されている)を有することができる。第1の管状部材41の下端42は第1のユニット9に固定接続されており、第1の管状部材41の上端43には第2の管状部材26が枢動可能に支持されている。ここでは、第2の管状部材26は、第2の管状部材26の、回転軸Dに対して垂直に延びる部分44が、回転軸Dに対して垂直に延在する平面において枢動されるように支持される。第1の管状部材41は、適切であれば省略することができる。
【0029】
図9において、図8において示されている実施形態の一部の平面図が示されている。図9において、第1のユニット9に対して第2のユニット10が回転軸Dに対して角度βだけ回転する際、上側領域45では回転軸Dに対して角度αだけ回転するように、第2の管状部材26によって配線16が送られる場合が示されている。対照的に、締結具40付近の配線の下側領域46は回転軸Dに対して角度βだけ回転する。なぜならこの部分は第2のユニット10に固定接続されているためである。角度αが角度βに相当する場合、配線フィードスルー15内で配線16のねじれは生じない。αがβよりも小さい場合、僅かなねじれが生じる。αがβよりもずっと小さいか又はα=0の場合、大きなねじれが生じる。したがって、配線16の送りの程度によって配線フィードスルー15内でのねじれの大きさが決まる。
【0030】
配線ガイド装置17によってガイドされる配線16は、例えば以下の配線を有することができる。以下の配線とは、主軸モーター6の軸受に潤滑油を供給する配管、主軸モーター6の温度センサーからの温度信号を伝える配線、シールエアを導く配管、ブローエアを導く配管、冷却潤滑油を導く配管、主軸モーター6に冷却水を導く配管、(例えば、主軸モーター6におけるクランプ装置に対して)油圧作動油を導く配管、作業灯に電流を伝える配線、主軸モーター6の振動センサーからの振動信号を伝える配線、主軸モーター6のロータリーエンコーダーのロータリーエンコーダー信号を伝える配線、主軸モーター6を駆動する電流を伝える配線、及び主軸モーター6の接地配線である。他の目的の配線も用いることができる。
【0031】
図4図7において示されている装置5’の実施形態は、任意の工作機械内で用いることができる。例えば、装置5’は装置5の代わりに、図1に示されている工作機械1内で用いることができる。すなわち、装置5’は往復台31によって第3のガイド機構4に沿ってY方向に可動となる。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9