特許第6053815号(P6053815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6053815噴霧ノズル、噴霧ノズルを備えたバーナ及びバーナを備えた燃焼装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053815
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】噴霧ノズル、噴霧ノズルを備えたバーナ及びバーナを備えた燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 11/38 20060101AFI20161219BHJP
   F23D 11/40 20060101ALI20161219BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F23D11/38 F
   F23D11/40 A
   F23D11/40 B
   B05B7/04
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-546800(P2014-546800)
(86)(22)【出願日】2012年11月16日
(86)【国際出願番号】JP2012079768
(87)【国際公開番号】WO2014076812
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 洋文
(72)【発明者】
【氏名】倉増 公治
(72)【発明者】
【氏名】沖本 英雄
(72)【発明者】
【氏名】折井 明仁
(72)【発明者】
【氏名】越智 健一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 祐樹
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−126511(JP,A)
【文献】 特開2012−145026(JP,A)
【文献】 特開平10−005633(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/096318(WO,A1)
【文献】 特開昭62−191061(JP,A)
【文献】 米国特許第04644878(US,A)
【文献】 特公平05−050646(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 11/38
F23D 11/40
B05B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧流体を噴霧用媒体と混合して微粒化した混合流体を噴霧する噴霧ノズルであって、前記噴霧ノズルは噴霧ノズルの外面を形成する隔壁と、この隔壁の内部に収容される構造物とから構成されており、
前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の外面に複数の溝部を設けて前記隔壁の内壁とこれらの溝部とで噴霧流体を供給する複数の噴霧流体流路を形成し、
前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の内部に噴霧用媒体を供給する複数の噴霧用媒体流路を形成し、
噴霧流体を供給する前記複数の噴霧流体流路には、その噴霧流体流路の途中に、前記噴霧用媒体流路が連通して前記噴霧流体と該噴霧用媒体流路から供給された噴霧用媒体とが合流して混合流体となる第1の合流部を形成し、
前記第1の合流部の下流側となる前記複数の噴霧流体流路には、この噴霧流体流路を流下した混合流体が互いに対向して流れるように該噴霧流体流路と連通した混合流体流路を対向して配設し、
前記混合流体流路には、噴霧ノズルの先端部の近傍に、対向して配設した前記混合流体流路を流下した混合流体が互いに衝突する第2の合流部を形成し、
前記混合流体流路に形成した第2の合流部に面した噴霧ノズルの先端部の前記隔壁に、混合流体を噴霧ノズルから外部に噴霧する出口孔を設け、
前記混合流体流路の前記出口孔の噴出側と対向側となる第2の合流部に面した流路壁面に前記混合流体流路内に突出した部分を設け、第2の合流部に面した前記混合流体流路を形成する溝の深さが、第2の合流部の上流側となる部分での混合流体流路を形成する溝の深さよりも短くなるように形成していることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項2】
噴霧流体を噴霧用媒体と混合して微粒化させる噴霧ノズルであって、前記噴霧ノズルは噴霧ノズルの外面を形成する隔壁と、この隔壁の内部に収容される構造物とから構成されており、
前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の外面に複数の溝部を設けて前記隔壁の内壁とこれらの溝部とで噴霧流体を供給する複数の噴霧流体流路を形成し、
前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の内部に噴霧用媒体を供給する複数の噴霧用媒体流路を形成し、
噴霧流体を供給する前記複数の噴霧流体流路には、その噴霧流体流路の途中に、前記噴霧用媒体流路が連通して前記噴霧流体と該噴霧用媒体流路から供給された噴霧用媒体とが合流して混合流体となる第1の合流部を形成し、
前記第1の合流部の下流側となる前記複数の噴霧流体流路には、この噴霧流体流路を流下した混合流体が互いに対向して流れるように該噴霧流体流路と連通した混合流体流路を対向して配設し、
前記混合流体流路には、噴霧ノズルの先端部の近傍に、対向して配設した前記混合流体流路を流下した混合流体が互いに衝突する第2の合流部を形成し、
前記混合流体流路に形成した第2の合流部に面した噴霧ノズルの先端部の前記隔壁に、混合流体を噴霧ノズルから外部に噴霧する出口孔を設け、
前記混合流体流路の前記出口孔の噴出側と対向側となる流路壁面に、混合流体の流れ方向と垂直な断面において該混合流体流路の流路幅方向の中央部に凸状部を設け、前記混合流体流路を形成する溝の深さは、流路幅方向の中央部での溝の深さが、流路幅方向の端部での溝の深さに比べて短くなるように形成していることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の噴霧ノズルにおいて、
前記第2の合流部に面した混合流体流路に形成した縮流部は、前記第2の合流部に面した前記隔壁に設けた出口孔とは反対側となる前記構造物の壁面に障害物となる該混合流体流路内に突出した突出部によって形成していることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の噴霧ノズルにおいて、
前記混合流体流路内に突出するように前記構造物の壁面に設けた突出部は、前記構造物に取り換え可能に設置されていることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の噴霧ノズルにおいて、
前記混合流体流路の第2の合流部に面した出口孔を形成した隔壁に、対向して配置された前記混合流体流路を通じて前記第2の合流部に流下する混合流体の流れ方向と直交方向に第2の溝部を設け、前記出口孔は前記第2の合流部と前記第2の溝部との交差部に形成していることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の噴霧ノズルにおいて、
前記混合流体流路には、該混合流体流路が前記噴霧流体流路と連通する連通部に混合流体の流れ方向を変える屈曲部が形成されていることを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項7】
液体燃料を燃料として利用する噴霧ノズルを備えたバーナであって、
噴霧ノズルとして請求項1〜6の何れか1項に記載の噴霧ノズルを用い、前記液体燃料を前記噴霧流体として前記噴霧ノズルに供給し、蒸気または圧縮空気を前記噴霧用媒体として前記噴霧ノズルに供給することを特徴とする噴霧ノズルを備えたバーナ。
【請求項8】
固体燃料とその搬送気体を噴出する燃料ノズルと、液体燃料を噴霧する噴霧ノズルと、前記固体燃料及び液体燃料を燃焼させる燃焼用気体を噴出する燃焼用気体ノズルを備えたバーナであって、
前記噴霧ノズルとして、請求項1〜6の何れか1項に記載の噴霧ノズルを用い、前記液体燃料を前記噴霧流体として前記噴霧ノズルに供給し、蒸気または圧縮空気を前記噴霧用媒体として前記噴霧ノズルに供給することを特徴とする噴霧ノズルを備えたバーナ。
【請求項9】
化石燃料を燃焼させるバーナを備えた燃焼装置であって、
化石燃料を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉に化石燃料を供給する燃料供給系統と、前記燃焼炉に燃焼用気体を供給する燃焼用気体供給系統と、前記燃料供給系統と前記燃焼用気体供給系統が接続し前記燃焼炉の炉壁に設けられた化石燃料を燃焼させるバーナと、前記燃焼炉で発生した燃焼排ガスから熱回収する熱交換器と、前記熱回収された燃焼排ガスを前記燃焼炉の外部へ供給する煙道とを有し、
前記バーナとして、化石燃料の液体燃料を使用した請求項7または8に記載のバーナを用いていることを特徴とするバーナを備えた燃焼装置。
【請求項10】
固体燃料と液体燃料を燃焼させるバーナを備えた燃焼装置であって、
燃料を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉に固体燃料を供給する固体燃料供給系統と、前記燃焼炉に液体燃料を供給する液体燃料供給系統と、前記燃焼炉に燃焼用気体を供給する燃焼用気体供給系統と、前記燃料供給系統と前記燃焼用気体供給系統が接続し前記燃焼炉の炉壁に設けられた前記固体燃料や液体燃料を燃焼させる複数のバーナと、前記燃焼炉で発生した燃焼排ガスから熱回収する熱交換器と、前記熱回収された燃焼排ガスを前記燃焼炉の外部へ供給する煙道とを備えており、
前記バーナとして、請求項7または8に記載のバーナを用いていることを特徴とするバーナを備えた燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧流体(液体)を噴霧用媒体(気体)を利用して微粒化する二流体噴霧ノズルに係り、特に、液体燃料の噴霧流体を噴霧用媒体を利用して微粒化させる噴霧ノズルと、噴霧ノズルを備えたバーナ、及びバーナを備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電用のボイラのように高出力、高負荷の燃焼装置では、燃料を燃焼装置に設けた火炉空間(以下、火炉と記す)に水平方向に噴霧して燃焼させる浮遊燃焼方式が多く採用される。
【0003】
液体燃料を燃焼させる場合、噴霧ノズルによって燃料を噴霧用媒体で微粒化して火炉内に浮遊させて燃焼させる。
【0004】
この噴霧ノズルは液体燃料を主燃料とする燃焼装置で使用される他、微粉炭の固体燃料を主燃料として使用する燃焼装置においても、燃焼装置の起動や助燃用の液体燃料を燃焼させるために設置されることが多い。
【0005】
液体燃料の燃焼では、主に下記の3項目が求められる。
【0006】
(1)高い燃焼効率
(2)ばいじん、一酸化炭素や窒素酸化物に代表される燃焼排出物の低減
(3)燃焼装置の大型化に伴う噴霧ノズルの大容量化
前記(1)、(2)の要求に対しては、燃焼用空気量の調整と液体燃料の噴霧の微粒化が望ましい。
【0007】
燃焼用空気量の調整に関しては、燃焼効率を高めるために空気量を減らし、燃焼後の排ガスと共に排出される顕熱を減らすことが望ましい。
【0008】
しかし、空気量が減ると不完全燃焼して、ばいじんや一酸化炭素が発生し易くなる。このため、空気量は液体燃料の燃焼に必要な理論空気量に対し5%以上の余剰空気量を与えることが一般的であり、そのことが、燃焼工学ハンドブック、日本機械学会、167−169頁、272頁(非特許文献1)に記載されている。
【0009】
液体燃料の噴霧の微粒化に関しては、液体燃料の微粒化により燃焼反応が早まり、燃焼用空気量が少ない場合でも、ばいじんや一酸化炭素が発生し難くなる。また、燃焼反応が早まることで、高温で高い酸素濃度の雰囲気が形成し難くなり、窒素酸化物も発生し難くなる。
【0010】
このため、燃焼装置のバーナに用いられる噴霧ノズルでは、液体燃料の微粒化と燃焼装置の大容量化の両立が必要となる。
【0011】
一般的に、大容量のボイラや加熱炉のような燃焼装置では、バーナの噴霧ノズルとして液体燃料を微細化するために空気や蒸気などの噴霧用媒体と混合して噴霧する内部混合式の二流体噴霧ノズル(以下、従来噴霧ノズルと記す)が用いられることが非特許文献1に記載されている。
【0012】
前記従来噴霧ノズルでは、液体燃料を微粒化させるために用いる噴霧用媒体の使用量や、噴霧の際の噴霧流体や噴霧用媒体の加圧量の低減が課題である。
【0013】
例えば、噴霧流体である液体燃料を微細化させる噴霧用媒体として蒸気を用いる場合、燃焼装置内に投入された噴霧用媒体の蒸気は燃焼装置で発生する燃焼排ガス中の水分となる。この水分により排ガス量が増加すると、燃焼装置の燃焼効率が低下する。このため、液体燃料の微粒化を妨げない範囲で噴霧用媒体として用いる蒸気の使用量を低減することが望ましい。
【0014】
また、噴霧流体となる液体燃料を微細化する噴霧用媒体を噴霧する際に、噴霧流体や噴霧用媒体を加圧するが、その加圧量を減らすと加圧に使用するエネルギー消費量を低減できる。
【0015】
そこで上記した課題を解決するため、噴霧流体を微細化させる噴霧用媒体の混合方法等が検討されてきた。このうち、噴霧流体と噴霧用媒体を混合させた混合流体を噴霧ノズルの出口孔近傍で対向させて供給し、これらの対向した混合流体を衝突させることで噴霧流体の微粒化を促進させる技術の一例が、例えば特開平9−239299号公報(特許文献1)に開示されている。
【0016】
なお、前記技術は噴霧ノズルの出口孔から扇状に噴霧されるため、ファンスプレー式噴霧ノズルとも呼ばれる。
【0017】
特開平9−239299号公報に開示されたファンスプレー式噴霧ノズルの技術では、噴霧用媒体を噴霧ノズルの出口孔の上流側の流路にて液体燃料等の噴霧流体と混合させ、この混合流体を噴霧ノズルの出口孔近傍で衝突させるように構成している。
【0018】
そして、液体燃料は噴霧用媒体との混合と、出口孔近傍での混合流体の衝突により微粒化される。この2段階の微粒化により、噴霧用媒体の使用量を減らしても、噴霧した液体燃料の粒子径の粗大化を防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平9−239299号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】燃焼工学ハンドブック 日本機械学会 167−169頁、272頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前記特開平9−239299号公報に開示されたファンスプレー式噴霧ノズルは、噴霧ノズルの内部に噴霧流体(液体)の流路と、その外周位置に噴霧用媒体(気体)の流路を設けている。
【0022】
噴霧流体と噴霧用媒体の流路はそれぞれ噴霧ノズル先端の出口孔を囲む隔壁により流れ方向が変わり、両方の流路が交差して混合し、この混合流体の流路が出口孔近傍で対向して設けられる構成となっている。
【0023】
前記したファンスプレー式噴霧ノズルでは、対向して流れる混合流体が出口孔近傍で衝突することにより噴霧流体が微粒化されるが、このとき、衝突により噴霧ノズルの出口孔から噴出する混合流体は、衝突前の流れ方向と直交する平面に沿って拡がる扇型の噴霧となる。
【0024】
噴霧ノズルの出口孔から噴出される噴霧流体の扇型の噴霧は一般に噴霧の中央部は流量が多く、噴霧の外縁部は流量が少ない。さらに、発明者の測定によると、ファンスプレー式噴霧ノズルから噴出される噴霧流体の噴霧の粒子径は、扇型の噴霧の中央部で比較的に大きく、扇型の噴霧の外縁部で小さくなる。
【0025】
噴霧された噴霧流体の扇型の噴霧の中央部は噴霧の外縁部に比べて流量が多いために燃焼用空気との混合が進み難い。さらに、噴霧の中央部は噴霧の粒子径が大きいために燃焼反応が遅く、燃焼排出物が生成し易くなるという課題がある。
【0026】
この場合、噴霧流体の微粒化を促進するには噴霧用媒体の使用量を増加、または加圧力を高める必要が生じるが、噴霧用媒体の使用量を増加、または加圧力を高めた場合には、噴霧用媒体の供給や加圧力に使用なエネルギー消費量が増大して燃焼装置の燃焼効率が低下するという課題がある。
【0027】
本発明の目的は、噴霧流体の粒子径が比較的大きくなる噴霧の中央部の微粒化を促進して噴霧流体全体の微粒化の促進と、噴霧流体の微細化に用いる噴霧用媒体の使用量の低減または加圧力の低減とを両立させて燃焼効率を向上させた噴霧ノズル、噴霧ノズルを備えたバーナ、及びバーナを備えた燃焼装置を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の噴霧ノズルは、噴霧流体を噴霧用媒体と混合して微粒化した混合流体を噴霧する噴霧ノズルであって、前記噴霧ノズルは噴霧ノズルの外面を形成する隔壁と、この隔壁の内部に収容される構造物とから構成されており、前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の外面に複数の溝部を設けて前記隔壁の内壁とこれらの溝部とで噴霧流体を供給する複数の噴霧流体流路を形成し、前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の内部に噴霧用媒体を供給する複数の噴霧用媒体流路を形成し、噴霧流体を供給する前記複数の噴霧流体流路には、その噴霧流体流路の途中に、前記噴霧用媒体流路が連通して前記噴霧流体と該噴霧用媒体体流路から供給された噴霧用媒体とが合流して混合流体となる第1の合流部を形成し、前記第1の合流部の下流側となる前記複数の噴霧流体流路には、この噴霧流体流路を流下した混合流体が互いに対向して流れるように該噴霧流体流路と連通した混合流体流路を対向して配設し、前記混合流体流路には、噴霧ノズルの先端部の近傍に、対向して配設した前記混合流体流路を流下した混合流体が互いに衝突する第2の合流部を形成し、前記混合流体流路に形成した第2の合流部に面した噴霧ノズルの先端部の前記隔壁に、混合流体を噴霧ノズルから外部に噴霧する出口孔を設け、前記混合流体流路の前記出口孔の噴出側と対向側となる流路壁面に、前記混合流体流路内に突出した部分を設け、前記混合流体流路を形成する溝の深さが、第2の合流部の上流側となる部分での混合流体流路の流路を形成する溝の深さよりも短くなるように形成していることを特徴とする。
【0029】
また本発明の噴霧ノズルは、噴霧流体を噴霧用媒体と混合して微粒化させる噴霧ノズルであって、前記噴霧ノズルは噴霧ノズルの外面を形成する隔壁と、この隔壁の内部に収容される構造物とから構成されており、前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の外面に複数の溝部を設けて前記隔壁の内壁とこれらの溝部とで噴霧流体を供給する複数の噴霧流体流路を形成し、前記噴霧ノズルの入口側となる前記構造物の内部に噴霧用媒体を供給する複数の噴霧用媒体流路を形成し、噴霧流体を供給する前記複数の噴霧流体流路には、その噴霧流体流路の途中に、前記噴霧用媒体流路が連通して前記噴霧流体と該噴霧用媒体流路から供給された噴霧用媒体とが合流して混合流体となる第1の合流部を形成し、前記第1の合流部の下流側となる前記複数の噴霧流体流路には、この噴霧流体流路を流下した混合流体が互いに対向して流れるように該噴霧流体流路と連通した混合流体流路を対向して配設し、前記混合流体流路には、噴霧ノズルの先端部の近傍に、対向して配設した前記混合流体流路を流下した混合流体が互いに衝突する第2の合流部を形成し、前記混合流体流路に形成した第2の合流部に面した噴霧ノズルの先端部の前記隔壁に、混合流体を噴霧ノズルから外部に噴霧する出口孔を設け、前記混合流体流路の前記出口孔の噴出側と対向側となる流路壁面に、混合流体の流れ方向と垂直な断面において該混合流体流路の流路幅方向の中央部に凸状部を設け、前記混合流体流路を形成する溝の深さは、流路幅方向の中央部での溝の深さが、流路幅方向の端部での溝の深さに比べて短くなるように形成していることを特徴とする。
【0030】
本発明の噴霧ノズルを有するバーナは、液体燃料を燃料として利用する噴霧ノズルを備えたバーナであって、噴霧ノズルとして上記した本発明の噴霧ノズルを用い、前記液体燃料を前記噴霧流体として前記噴霧ノズルに供給し、蒸気または圧縮空気を前記噴霧用媒体として前記噴霧ノズルに供給することを特徴とする。
【0031】
また本発明の噴霧ノズルを有するバーナは、固体燃料とその搬送気体を噴出する燃料ノズルと、液体燃料を噴霧する噴霧ノズルと、前記固体燃料及び液体燃料を燃焼させる燃焼用気体を噴出する燃焼用気体ノズルを備えたバーナであって、前記噴霧ノズルとして、上記した本発明の噴霧ノズルを用い、前記液体燃料を前記噴霧流体として前記噴霧ノズルに供給し、蒸気または圧縮空気を前記噴霧用媒体として前記噴霧ノズルに供給することを特徴とする。
【0032】
本発明のバーナを有する燃焼装置は、化石燃料を燃焼させるバーナを備えた燃焼装置であって、化石燃料を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉に化石燃料を供給する燃料供給系統と、前記燃焼炉に燃焼用気体を供給する燃焼用気体供給系統と、前記燃料供給系統と前記燃焼用気体供給系統が接続し前記燃焼炉の炉壁に設けられた化石燃料を燃焼させるバーナと、前記燃焼炉で発生した燃焼排ガスから熱回収する熱交換器と、前記熱回収された燃焼排ガスを前記燃焼炉の外部へ供給する煙道とを有し、前記バーナとして、化石燃料の液体燃料を使用した上記した本発明のバーナを用いていることを特徴とする。
【0033】
また本発明のバーナを有する燃焼装置は、固体燃料と液体燃料を燃焼させるバーナを備えた燃焼装置であって、燃料を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉に固体燃料を供給する固体燃料供給系統と、前記燃焼炉に液体燃料を供給する液体燃料供給系統と、前記燃焼炉に燃焼用気体を供給する燃焼用気体供給系統と、前記燃料供給系統と前記燃焼用気体供給系統が接続し前記燃焼炉の炉壁に設けられた前記固体燃料や液体燃料を燃焼させる複数のバーナと、前記燃焼炉で発生した燃焼排ガスから熱回収する熱交換器と、前記熱回収された燃焼排ガスを前記燃焼炉の外部へ供給する煙道とを備えており、前記バーナとして、上記した本発明のバーナを用いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、噴霧流体の粒子径が比較的大きくなる噴霧の中央部の微粒化を促進して噴霧流体全体の微粒化の促進と、噴霧流体の微細化に用いる噴霧用媒体の使用量の低減または加圧力の低減とを両立させて燃焼効率を向上させた噴霧ノズル、噴霧ノズルを備えたバーナ及びバーナを備えた燃焼装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1実施例である噴霧ノズルの構造を示す噴霧ノズル先端部の断面図であって図3のA−A方向の断面図。
図2図1に示した本発明の第1実施例に係る噴霧ノズル先端部を別の方向から見た噴霧ノズル先端部の断面図であって図3のB−B方向の断面図。
図3図1に示した本発明の第1実施例に係る噴霧ノズル先端部を出口孔から見た平面図。
図4】本発明の実施例に係る噴霧ノズルの微粒化性能の一例を示す説明図。
図5】本発明の第2実施例である噴霧ノズルの構造を示す噴霧ノズル先端部の断面図であって図7のA−A方向の断面図。
図6図5に示した本発明の第2実施例に係る噴霧ノズル先端部を示す噴霧ノズル先端部の断面図であって図7のB−B方向の断面図。
図7図5に示した本発明の第2実施例に係る噴霧ノズル先端部を出口孔から見た平面図。
図8図1に示した第1実施例の噴霧ノズル、または図5に示した第2実施例の噴霧ノズルを備えた本発明の第3の実施例であるバーナの構造を示す概略構成図。
図9図8に示した第3実施例のバーナを備えた本発明の第4の実施例である燃焼装置の構造を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施例である噴霧ノズル、噴霧ノズルを備えたバーナ、及びバーナを備えた燃焼装置について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0037】
本発明の第1実施例である噴霧ノズルの構造について、図1図4を用いて説明する。本実施例の噴霧ノズル1は、液体燃料である噴霧流体2と、この噴霧流体2を微細化するために使用する噴霧用媒体3とを噴霧流体流路4の第1の合流部91で合流させ混合し、この第1の合流部91から噴霧ノズル1の出口孔11の間の混合流体流路9、10で噴霧流体2と噴霧用媒体3とを混合させた混合流体8を噴霧ノズル1の外部に噴霧させる出口孔11の近傍で、混合流体流路9、10の流路断面積が狭まるように構成し、混合流体8を出口孔11近傍で衝突させて、前記出口孔11から噴霧ノズル1の外部に噴霧させるように構成している。
【0038】
図1図3は本実施例の噴霧ノズル1の先端部を示しており、図1は上流側が噴霧流体2(液体燃料)の供給系統(図示せず)と前記噴霧流体2を微細化するために使用する噴霧用媒体3(蒸気または圧縮空気など)の供給系統(図示せず)に接続する噴霧ノズル1の先端部の断面図であって図3のA−A方向の断面図を示し、図2図1に示した本実施例の噴霧ノズル先端部を別の方向から見た噴霧ノズル1の先端部の断面図であって図3のB−B方向の断面図を示し、図3図1に示した本実施例の噴霧ノズル先端部を出口孔から見た平面図をそれぞれ示している。尚、X方向は噴霧ノズル1から噴霧する噴出方向を示している。
【0039】
図1に示すように、本実施例の噴霧ノズル1の先端部は、噴霧ノズル1の先端部の外面を形成する円筒状の隔壁15と、前記円筒状の隔壁15の内部に収容される円柱状の構造物16を備えている。
【0040】
更に前記構造物16の外周側に液体燃料である噴霧流体2を供給する複数の噴霧流体流路4、5となる溝を設け、円筒状の隔壁15の内周壁と構造物16に設けた溝との間で該噴霧流体流路4、5を形成し、これらの噴霧流体流路4、5を例えば周方向の対称な位置に偶数個(2個又は4個)配設されている。
【0041】
また前記構造物16の内部には、該噴霧流体流路4、5を通じて流下する噴霧流体2を微細化するために使用する噴霧用媒体3を供給する複数の噴霧流体流路6、7が前記噴霧流体流路4、5と独立して配設されている。
【0042】
これらの噴霧流体流路6、7を通じて供給された噴霧用媒体3は、前記噴霧流体流路6、7が構造物16の外面に設けた前記噴霧流体流路4、5とそれぞれ連通することで、該噴霧流体流路4、5を流れる噴霧流体2と噴霧流体流路6、7を流れる噴霧用媒体3とが前記噴霧流体流路4、5内の第1の合流部91で合流して混合し、混合流体8となって該噴霧流体流路4、5の下流側に向けて流下する。
【0043】
前記噴霧流体流路4、5はその下流側で、隔壁15の内周側となる前記構造物16の外面にそれぞれ対抗して配置された混合流体流路9、10とそれぞれ連通している。
【0044】
この噴霧流体2と噴霧用媒体3との混合流体8は、前記噴霧流体流路4、5及び混合流体流路9、10を通じて更に流下するが、対向配置された前記混合流体流路9を流れる混合流体8と対向配置された前記混合流体流路10を流れる混合流体8とがお互いに対抗して流れて第2の合流部92で衝突するように形成されている。
【0045】
そして、互いに対向配置された混合流体流路9、10を通って流下した混合流体8は、噴霧ノズル1の先端部に形成され、混合流体流路9、10と連通した出口孔11の近傍となる第2の合流部92にて相互に衝突し、第2の合流部92に面した噴霧ノズル1の先端部となる隔壁15に形成された前記出口孔11から混合流体8を外部に扇型の噴霧を形成させて噴霧する。
【0046】
この場合、前記混合流体流路9、10は前記噴霧流体流路4、5と連通する混合流体流路9、10の上流側で屈曲部13、14をそれぞれ形成して混合流体8の流れ方向を90度変えることで、前記混合流体流路9、10の流路内での噴霧流体2と噴霧用媒体3との混合による混合流体8の微粒化を促進させている。
【0047】
本実施例の噴霧ノズル1では、混合流体8を外部に噴霧する出口孔11の噴出側と対向側となる第2の合流部92に面した構造物16の壁面に混合流体流路9、10内に障害物となる混合流体流路9、10内に突出した凸状部16aを構造物16と一体となるように設けて、第2の合流部92に面した前記混合流体流路9、10に、この第2の合流部92に面した前記混合流体流路9、10の流路断面積が、第2の合流部92の上流側となる前記混合流体流路9、10の流路断面積よりも狭くなる縮流部17を形成している。
【0048】
前記縮流部17は、前記混合流体流路9、10の第2の合流部92に面した該混合流体流路9、10に、該混合流体流路の流路断面積が混合流体の流れ方向と垂直な断面において該該混合流体流路9、10の流路幅方向の中央部で流路幅方向の端部に比べて狭くなる縮流部17を形成していると規定することもできる。
【0049】
前記第2の合流部92に面した前記混合流体流路9、10の流路断面積が狭くなる縮流部17を形成する手段として、この第2の合流部92に面した隔壁15に設けた前記出口孔11とは反対側となる構造物16の壁面に、混合流体流路9、10内を流れる混合流体8の障害物となる混合流体流路9、10内に突出した凸状部16aを設けている。
【0050】
縮流部17を形成する前記混合流体流路9、10内に突出した突出部である凸状部16aは、第2の合流部92に面した前記構造物16の壁面に着脱自在に設置されて交換可能に構成されている。
【0051】
そして、対向配置された混合流体流路9、10を流下した混合流体8は出口孔11の近傍の第2の合流部92にて相互に衝突して噴霧ノズル1の先端部に形成した出口孔11から外部に噴霧されることで、微粒化した混合流体8は混合流体流路9、10の流れ方向(混合流体流路9、10が配設された方向)に対して直角方向(図3のB−B線の方向)となる図2に示す扇型の噴霧を形成して外部に噴出される。
【0052】
混合流体8を外部に噴霧する噴霧ノズル1の出口孔11を形成した噴霧ノズル1の先端部の隔壁15には、扇型噴霧の形成方向と同じ方向に溝部12が形成されており、
対向して配置された前記混合流体流路9、10を通じて前記第2の合流部92に流下する混合流体8の流れ方向と直交する方向に前記溝部12を設けて、この溝部12と混合流体流路9、10との交差部が混合流体8を外部に噴霧する出口孔11となるように構成している。
【0053】
なお、図1に示す本実施例の噴霧ノズル1では、噴霧ノズル1の先端部は外側の隔壁15と、この隔壁15の内側の構造物16とが組み合わされた構造となっている。
【0054】
噴霧ノズル1を構成する外側の隔壁15と、前記流体流路及び噴霧用媒体流路を備えた内側の構造物16を組み合わせ構造にすることで、流体流路等の加工が容易となる利点がある。
【0055】
本実施例の噴霧ノズル1では、噴霧ノズル1の先端部に形成された出口孔11から噴出する混合流体8は主に以下の3つの作用によって噴霧流体の微粒化を促進させている。
【0056】
(1)噴霧流体と噴霧用媒体の流路が合流し、両者の混合による混合流体の微粒化。
【0057】
(2)合流後の混合流体流路が屈曲することによる流路内での噴霧流体と噴霧用媒体の混合による混合流体の微粒化
(3)対向して流れる混合流体が出口孔近傍で衝突することによる混合流体の微粒化。
【0058】
このうち、前記(3)の衝突により、出口孔11から噴出する混合流体8は、図3のA−A線で示す衝突前の流れ方向と直交した図3のB−Bで示す線に沿って拡がる、丁度、図2に示した扇型の噴霧となる。
【0059】
本実施例の噴霧ノズル1の出口孔11から噴出する混合流体8が図2に示した扇型の噴霧を形成することから、上述のような噴霧ノズルを一般にファンスプレー式噴霧ノズルと呼ぶ。
【0060】
ファンスプレー式噴霧ノズルで生成する噴霧は、一般に扇型の噴霧中央部18は流量が多く、扇型の噴霧中央部18の周囲部分となる扇型の噴霧外縁部19は流量が少ない。
【0061】
さらに、発明者の測定によると、扇型の噴霧中央部18で噴霧の粒子径は比較的に大きく、扇型の噴霧外縁部19で小さくなる。
【0062】
そして、扇型の噴霧外縁部19では噴霧が拡がり易く、薄い液膜が形成されるので、微粒子(直径100μm未満)が多くなる。また、運動量が低いため微粒子は噴霧ノズル1の近傍に留まりやすくなる。
【0063】
直径で100μm未満、出来れば50μm以下に微粒化させた粒子(以下、微粒子と記す)は体積に占める表面積が大きく、燃焼装置である炉内からの熱放射により昇温して燃焼し易い。
【0064】
このため、これらの微粒子を噴霧ノズル1の近傍に滞留させることで、噴霧の着火が早まり、火炎の安定化や燃焼反応の促進に寄与する。
【0065】
なお、微粒化の程度は、混合流体8の圧力や噴霧用媒体量(噴霧流体2に対する噴霧用媒体3の割合)により調整することができる。
【0066】
一方、扇型の噴霧中央部18は扇型の噴霧外縁部19に対して流量が多く、噴霧が拡がり難いため外縁部に比べて厚い液膜が形成される。このため、大粒子(直径100〜300μm)が多い。
【0067】
大粒子は微粒子に比べて運動量が高く、離れた位置を流れる燃焼用空気と混合し易いものの、微粒子に比べて燃焼反応は遅れる。
【0068】
燃焼反応を促進するには、扇型の噴霧中央部18の流量を減らして噴霧の粒子径を小さくすることが望ましい。このため、混合流体8の衝突速度を高めて上記(3)の作用を高めることが望ましい。
【0069】
ところで、衝突速度を高めるために混合流体流路9、10の流路断面積を一様に狭めると、混合流体8の流速は上昇するものの、圧力損失が高くなり、噴霧流体2や噴霧用媒体3の加圧に必要なエネルギーが増加するという課題がある。
【0070】
そこで本実施例の噴霧ノズル1においては、噴霧ノズル1を構成する外側の隔壁15の内壁と、該隔壁15の内側に設置した構造物16の外面に設置の前記流路構成において、図1図3に示したように、混合流体8を相互に衝突させるように出口孔11の近傍にて対向して配設した混合流体流路9、10の流路断面のうち、第2の合流部92に面した混合流体流路9、10の流路幅方向の中央部に、出口孔11の噴出側と対向側となる構造物16の壁面に該混合流体流路9、10内に突出した凸状部16aを構造物16と一体となるように設けて前記混合流体流路9、10の流路断面積が狭まる縮流部17を形成するようにしている。
【0071】
すなわち、本実施例の噴霧ノズル1においては、以下の(A)、(B)で示す2つの構成を付与することで、上記した課題の解決を図っている。
【0072】
(A)出口孔11の近傍のみ混合流体流路9、10の流路断面積を狭める。
【0073】
(B)混合流体流路9、10の流路断面積は流路幅方向の中央部を特に狭める。
【0074】
本実施例の噴霧ノズル1においては、前記(A)の構成を採用することにより、混合流体8の流速は噴霧ノズル1の出口孔11の近傍では高いが、高流速部分は混合流体流路9、10の流路断面積を一様に狭める場合に比べて少ない。このため、圧力損失の増加を抑制できる。
【0075】
また、流速が変化して上昇することで、前記混合流体流路9、10に形成した流路断面積の縮流部17にて混合流体8の静圧は低下する。このとき、混合流体8中の噴霧用媒体3は気体であり、静圧の低下に伴い体積が増加する。体積が増加する際、噴霧流体2(液体)を分断し微粒化するので、混合流体8の微粒化が進む。
【0076】
なお、図1に示すように、出口孔11の噴出側と対向側の構造物16の壁面に混合流体流路9、10内に突出した凸状部16aを構造物16と一体となるように設けて前記混合流体流路9、10に形成した流路断面積を狭める縮流部17は、滑らかにその流路断面積が変わるように、前記凸状部16aの形状を、例えば曲線形状とすることが望ましい。
【0077】
前記凸状部16aの形状を曲線形状にして前記混合流体流路9、10に形成した縮流部17が滑らかに流路断面積を変えるように形成することで、混合流体流路9、10の流路断面積を段階状に変化させる場合に比べて圧力損失の増加を低減できる。
【0078】
また、混合流体流路9、10の断面積が狭まった部分での静圧を低下することで、混合流体8の微粒化が促進される。
【0079】
本実施例の噴霧ノズル1においては、前記(B)の構成を採用することにより、噴霧ノズル1の出口孔11の近傍で混合流体流路9、10の流路幅方向の中央部を流れる混合流体8の流量が低下し、混合流体流路9、10の流路幅方向の端部を流れる混合流体8の流量が増加する。
【0080】
混合流体8は出口孔11近傍の混合流体流路9、10の第2の合流部92にて相互に衝突した後に、出口孔11から混合流体流路9、10の配設方向と直角方向(図3のB−B線の方向)に図2に示す扇型の噴霧を形成して噴霧ノズル1の外部に噴出される。
【0081】
この際、混合流体流路9、10の流路幅方向の端部を流れる混合流体8は、流路幅方向の中央部を流れる混合流体8により流れ方向の制約を受けるので、直角方向(図3のB−B線の方向)に曲げられて図2に示す扇型の噴霧外縁部19を流れ易くなる。
【0082】
よって本実施例の噴霧ノズル1では、出口孔11近傍では混合流体流路9、10の流路幅方向の端部を流れる混合流体8が増えることで、噴霧ノズル1の出口孔11から噴出する混合流体8は扇型の噴霧外縁部19を流れる流量が増加し、扇型の噴霧中央部18を流れる流量が低下する。
【0083】
このため、扇型の噴霧中央部18では液膜は薄くなり、この液膜が表面張力等により分離して形成する噴霧の粒子径も小さくなる。この結果、扇型の噴霧中央部18の微粒化性能が向上する。
【0084】
図4に本発明の第1の実施例に係る噴霧ノズルの微粒化性能の一例である説明図を示す。図中の縦軸は噴霧の平均粒子径を表し、横軸は噴霧の角度を示す。噴霧の平均粒子径は出口孔11から噴出する扇型噴霧について、噴霧の下流300mmの位置で扇型噴霧の中心軸を通る長辺方向(図3のB−B線の方向)について噴霧の粒子径を光学計測により計測し、体面積平均粒子径で示したものである。ここでは,比較例の噴霧ノズルでの体面積平均粒子径を基準として、本実施例の噴霧ノズルでの粒子径の分布を相対値で提示する。
【0085】
図4に示したように、比較例の噴霧ノズルでは噴霧の中央部は噴霧の外周部に比べて平均粒子径が大きい。
【0086】
一方、本実施例の噴霧ノズルの場合では、噴霧の中央部の平均粒子径が比較例の噴霧ノズルによるものに比べて小さくできる。
【0087】
一方、本実施例の噴霧ノズルの場合では、噴霧の外縁部では粒子径が若干大きくなる。しかしながら、比較例の噴霧ノズルでは平均粒子径が大きくなる噴霧の中央部は、本実施例の噴霧ノズルの場合では、粒子径を低下させることができるので、混合流体8の全体的な微粒化性能は向上する。
【0088】
図1図3に示した本実施例の噴霧ノズル1では、混合流体流路9、10の流路断面積は流路断面が狭まる縮流部17を形成するために出口孔11の噴出側と対向側となる構造物16の先端の壁面に、混合流体流路9、10内側に障害物となる突出した凸状部16aを設けているが、この凸状部16aの設置に代えて前記混合流体流路9、10の流路を形成する溝の深さを変更して流路断面が狭まる縮流部17を形成することも可能である。
【0089】
尚、障害物となる前記凸状部16aを構造物16の先端の壁面に設置する場合は、ネジやピンなどの締結物により取り付けることが望ましい。
【0090】
そして高流速部分で混合流体流路9、10内の前記凸状部16aに摩耗が生じた場合、対象となる凸状部16aの部分のみを交換すれば良い。
【0091】
なお、障害物となる凸状部16aを耐摩耗材で形成すれば、耐用時間が増加する他、混合流体流路9、10全体を耐摩耗材で形成する場合に比べて、耐摩耗材の適用部分が低減でき、コスト的に優位となる。
【0092】
耐摩耗材は一般的に耐摩耗性が他の材料に比べて高いものの、耐熱性や熱変形に対する耐力が低いことが多い。そこで前記凸状部16aを耐摩耗材で形成するようにすれば、耐摩耗材の適用部分を減らすことができ、熱変形での変位量が小さいことにより耐熱性や熱変形に対する耐力が向上する。このため、噴霧ノズル1の混合流体流路9、10の全体を耐摩耗材とする場合に比べて、耐用時間が増加する。
【0093】
また、本実施例の噴霧ノズル1では、出口孔11が単一の場合を示したが、出口孔11を複数設けた場合にも本実施例の噴霧ノズル1に、混合流体8を流下させる混合流体流路9、10の流路断面積が第2の合流部92に面した出口孔11の近傍で、前記混合流体流路9、10の流路幅方向の中央部の流路断面積が狭まる縮流部17を形成する、即ち、図3に破線で示したように、混合流体流路9、10の幅方向の中央部の流路断面積が混合流体流路9、10の流路幅方向の端部の流路断面積よりも流路断面積が狭まる縮流部17を形成することによって、噴霧する混合流体8を微粒化する微粒化効果を得ている。
【0094】
また、噴霧ノズル1の出口孔11の数を増やす、いわゆる多孔化により、ひとつの出口孔11から噴霧する混合流体8の噴出量を多くせずに、噴霧ノズル1から噴霧する混合流体8の噴出量を増加させることができる。すなわち、出口孔11の多孔化により微粒化性能を維持しながら噴霧ノズル1の大容量化が可能となる。
【0095】
上記した本実施例の噴霧ノズル1によれば、前記噴霧流体2と噴霧用媒体3が混合した混合流体8を流下させる混合流体流路9、10の流路断面積が第2の合流部92に面した出口孔11の近傍の前記混合流体流路9、10で狭まるように縮流部17を形成することで、混合流体8の流速は出口孔11の近傍で加速される。
【0096】
そして加速された混合流体8の流れが出口孔11の近傍で対向した流れとして混合流体流路9、10に形成した第2の合流部92で衝突し、出口孔11から噴霧ノズル1の外部に噴出して噴霧されることで、対向した混合流体8の流れの衝突により出口孔11から噴出する混合流体8の噴霧は、扇型の液膜の厚さが薄くなり、その薄い液膜から形成される噴霧の粒子径は小さくなる。
【0097】
出口孔11の近傍の縮流部17でのみ混合流体流路9、10の流路断面積が狭まることで、混合流体8の衝突に必要な流速を確保しながら、混合流体流路9、10を流れる混合流体8の圧力損失を低減することができる。
【0098】
また、混合流体流路9、10を流下する混合流体8の流速が第2の合流部92に面した出口孔11の近傍で上昇することで、混合流体8を形成する噴霧流体2と噴霧用媒体3の混合が促進され、混合促進による混合流体8の微粒化が促進される。
【0099】
さらに、第2の合流部92に面した出口孔11の近傍の縮流部17で前記混合流体流路9,10の流路断面積が狭まる際に、混合流体流路9,10の流路幅方向の中央部のみの流路断面積が、その周囲部分となる流路幅方向の端部の流路断面積と比べて狭まるように形成することで、前記混合流体8は混合流体流路9,10の流路幅方向の中央部を流れる流量が減り、混合流体流路9,10の流路幅方向の端部を流れる流量が増加する。
【0100】
この結果、出口孔11の近傍の混合流体流路9、10の第2の合流部92で混合流体8が衝突して出口孔11から噴霧ノズル1の外部に噴霧された混合流体8の噴霧である扇型噴霧の液膜の厚さは、図2に示す扇型噴霧の噴霧中央部18で薄くなり、噴霧の粒子径が小さくなる。
【0101】
また、扇型噴霧の流量は、扇型噴霧の噴霧中央部18での流量が減る。一方、扇型噴霧の噴霧中央部18の周囲部分となる扇型噴霧の噴霧外縁部19では流量が増加するが、扇型噴霧の噴霧中央部18の流量と比べて扇型噴霧の噴霧外縁部19の流量は同等以下であり、扇型噴霧の噴霧外縁部19では扇型噴霧の噴霧中央部18よりも周囲気体との混合が進み易い。このため、噴霧の粒子径はほとんど変わらない。
【0102】
本実施例の噴霧ノズル1では、流量に関しては扇型噴霧の噴霧中央部18で減り、噴霧外縁部19で増加する。粒子径に関しては扇型噴霧の噴霧中央部18で小さくなり、噴霧外縁部19はほとんど変わらない。このため、扇型噴霧の噴霧中央部18と噴霧外縁部19を合せた全体では噴霧の粒子径が小さくなる。
【0103】
すなわち、本実施例の噴霧ノズルを用いることで、同じ噴霧用媒体の使用量で微粒化を促進できる。また、微粒化性能を得るのに必要な噴霧用媒体の使用量を抑制し、または噴霧流体や噴霧用媒体に加える圧力を低減できる。
【0104】
さらに、本実施例の噴霧ノズルでは、扇型噴霧の噴霧中央部18の流量が減ることで、噴霧がまんべんなく空間に拡がり、燃焼用空気との混合が進む。
【0105】
微粒化と燃焼用空気との混合促進により、燃焼反応が進み、燃焼装置出口での未燃焼分やばいじん、一酸化炭素が低減し、燃焼効率を高くできる。また、燃焼反応を早く進めることで、酸素の消費が進み、窒素酸化物の発生を抑えることができる。さらに、未燃焼分やばいじん、一酸化炭素が低減することで、燃焼装置に投入する余剰な空気を削減できる。
【0106】
余剰な空気が減ると、燃焼排ガス量も低下し、燃焼排ガスとともに燃焼装置外に放出される顕熱を低下させ、熱効率を高めることができる。
【0107】
本実施例の噴霧ノズルを用いた燃焼装置では、噴霧用媒体の使用量の抑制や圧力の低減により、各々の供給や加圧力に使用なエネルギー消費量を低減できる。
【0108】
また、噴霧用媒体として蒸気を用いる場合、燃焼装置内に投入された蒸気による燃焼装置での熱効率が低下するが、本実施例の噴霧ノズルを用いると、蒸気の使用量を減らしても微粒化を維持できるため、熱効率の低下を防ぐことができる。
【0109】
本実施例によれば、噴霧流体の粒子径が比較的大きくなる噴霧の中央部の微粒化を促進して噴霧流体全体の微粒化の促進と、噴霧流体の微細化に用いる噴霧用媒体の使用量の低減または加圧力の低減とを両立させて燃焼効率を向上させた噴霧ノズルが実現できる。
【実施例2】
【0110】
本発明の第2実施例である噴霧ノズルの構造について、図5図7を用いて説明する。
【0111】
図5図7に示した本実施例の噴霧ノズル61は、図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1と基本的な構成は共通しており、よって両実施例に共通した構成の説明は省略する。
【0112】
図5図7に本実施例の噴霧ノズル61の先端部を示しており、図5は上流側が噴霧流体2(液体燃料)の供給系統(図示せず)と前記噴霧流体2を微細化するために使用する噴霧用媒体3(蒸気または圧縮空気など)の供給系統(図示せず)に接続する噴霧ノズル1の先端部の断面図であって図7のA−A方向の断面図を示し、図6図7に示した本実施例の噴霧ノズル1の先端部を別の方向から見た噴霧ノズル1の先端部の断面図であって図7のB−B方向の断面図を示し、図7図5に示した本実施例の噴霧ノズル1の先端部を出口孔から見た平面図をそれぞれ示している。尚、X方向は噴霧ノズル1から噴霧する噴出方向を示している。
【0113】
図5図7に示した本実施例の噴霧ノズル61は、先に図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1と基本的に同じ構成のファンスプレー式の噴霧ノズルである。
【0114】
本実施例の噴霧ノズル61は前述の図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1と共通した流路構成であり、対向して配設した混合流体流路9、10の流路断面積が第2の合流部92となる出口孔11近傍にて狭まる縮流部17を形成するように構成している。
【0115】
本実施例の噴霧ノズル61では、第2の合流部92に面した出口孔11の近傍のみ、前記混合流体流路9、10の流路断面積を狭める縮流部17を、図7に示したように、流路幅方向の中央部だけでなく流路幅方向の端部を含んだ流路幅方向全体に亘って形成することで、混合流体8の流速は出口孔11の近傍で高くなる。
【0116】
一方、高流速部分は混合流体流路9、10の流路断面積を一様に狭める場合に比べて少ない。このため、圧力損失の増加を抑制できる。
【0117】
また、混合流体流路9、10を流下する混合流体8の流速が変化して上昇することで、混合流体8の静圧は縮流部17の近傍で低下する。このとき、混合流体8中の噴霧用媒体3は気体であり静圧の低下に伴い体積が増加する。
【0118】
体積が増加する際、噴霧流体2(液体)を分断して微粒化するので、混合流体8の微粒化が促進される。
【0119】
なお、図7に示すように、混合流体流路9、10の第2の合流部92に面した出口孔11の近傍で、出口孔11の噴出側と対向側の構造物16の壁面には、曲線形状の凸状部16bが混合流体流路9、10内に突出するように設けられて、前記混合流体流路9、10の流路断面積を狭める縮流部17を形成しているが、前記凸状部16bは構造物16とは別体として該構造物16に取り付けられた構造となっており、前記凸状部16bが交換可能となっている。
【0120】
前記縮流部17が滑らかに混合流体流路9、10の流路断面積を変えるように前記凸状部16bを曲率形状に形成することで、混合流体流路9、10の流路断面積を段階状に変化させる場合に比べて圧力損失の増加を低減できる。
【0121】
また、混合流体流路9、10の断面積が狭まった部分での静圧を低下することで、混合流体8の微粒化が促進される。
【0122】
図5図7に示す本実施例の噴霧ノズル61では、混合流体8を外部に噴霧する出口孔11の噴出側と対向側となる第2の合流部92に面した構造物16の壁面に混合流体流路9、10内に突出した曲線形状の凸状部16bを設けて前記混合流体流路9、10の流路断面が狭まる縮流部17を形成している。
【0123】
このように噴出側となる出口孔11とは反対側の構造物16の壁面に曲線形状の凸状部16bを設けると、出口孔11の近傍で混合流体流路9、10を流れる混合流体8は噴出方向(図5中のX方向)に向かう流れが誘起される。
【0124】
このため、高速で衝突しながらも混合流体8の噴霧は噴出方向(X方向)への速度成分が高くなり、噴霧ノズル61から噴霧される混合流体8の噴霧粒子の流速は早まり、高速でかつ粒子径の小さい粒子を噴霧することができる。
【0125】
そして、本実施例の噴霧ノズル61で対向配置された混合流体流路9、10を流下した混合流体8は出口孔11の近傍の第2の合流部92にて相互に衝突して噴霧ノズル61の先端部に形成した出口孔11から外部に噴霧されることで、微粒化した混合流体8は混合流体流路9、10の流れ方向(混合流体流路9、10が配設された方向)に対して直角方向(図7のB−B線の方向)となる図8に示す扇型の噴霧を形成して外部に噴出される。
【0126】
混合流体8を外部に噴霧する噴霧ノズル61の出口孔11となる噴霧ノズル61の先端部の隔壁15には、扇型噴霧の形成方向と同じ方向に溝部12が形成されており、この溝部12と混合流体流路9、10との交差部が混合流体8を外部に噴霧する出口孔11となる。
【0127】
また、障害物となる凸状部16bを構造物16の先端の壁面に設置する場合は、ネジやピンなどの締結物により取り付けることが望ましい。
【0128】
そして高流速部分で混合流体流路9、10内の前記凸状部16bに摩耗が生じた場合、対象となる凸状部16bの部分のみを交換すれば良い。
【0129】
なお、凸状部16bの部分を耐摩耗材とすれば、耐用時間が増加する他、混合流体流路9、10全体を耐摩耗材とする場合に比べて、耐摩耗材の適用部分が低減でき、コスト的に優位となる。
【0130】
耐摩耗材は一般的に耐摩耗性が他の材料に比べて高いものの、耐熱性や熱変形に対する耐力が低いことが多い。そこで前記凸状部16bを耐摩耗材で形成するようにすれば、耐摩耗材の適用部分を減らすことができ、熱変形での変位量が小さいことにより耐熱性や熱変形に対する耐力が向上する。このため、噴霧ノズル1の混合流体流路9、10全体を耐摩耗材とする場合に比べて、耐用時間が増加する。
【0131】
本実施例の噴霧ノズル61では、混合流体流路9、10の流路断面積は流路断面が狭まる縮流部17を形成するために出口孔11の噴出側と対向側となる構造物16の先端の壁面に、混合流体流路9、10内側に障害物となるように突出した曲面状の凸状部16bを設けているが、この凸状部16bの設置に代えて前記混合流体流路9、10の流路を形成する溝の深さを変更して流路断面が狭まる縮流部17を形成することも可能である。
【0132】
また、本実施例の噴霧ノズル61では、混合流体流路9、10の噴出孔11と反対側となる構造物16の先端側の壁面前面に障害物となる凸状部16bを設けたが、構造物16の先端側の壁面前面ではなく、構造物16の先端側の壁面側面に混合流体流路9、10内側に障害物となるように突出した曲面状の凸状部16bを設けても、混合流体流路9、10の流路断面積を狭めることになるので、上記した効果を得ることが可能である。
【0133】
本実施例の噴霧ノズル61を採用すれば、噴霧用媒体の使用量の抑制や圧力の低減により、各々の供給や加圧力に使用なエネルギー消費量を低減できる。また、噴霧用媒体として蒸気を用いる場合、燃焼装置内に投入された蒸気による燃焼装置での熱効率が低下するが、本実施例の噴霧ノズルを用いると、蒸気の使用量を減らしても微粒化を維持できるため、熱効率の低下を防ぐことができる。
【0134】
尚、本実施例の噴霧ノズル61では、混合流体8を噴霧ノズル61の外部に噴霧する出口孔11が単一の場合を示したが、出口孔11を複数設けた場合にも本実施例の噴霧ノズル61では、出口孔11近傍の混合流体流路9、10の第2の合流部92に面した構造物16の壁面に混合流体流路9、10内に突出した曲線形状の凸状部16bを設けて図5図7に示したように該混合流体流路9、10の流路幅方向全体に亘って流路断面が狭まる縮流部17を設けることで混合流体8の微粒化効果は得られる。
【0135】
また、噴霧ノズル61の出口孔11を増やす、いわゆる多孔化により、ひとつの出口孔11から噴霧する混合流体8の噴出量を多くせずに、噴霧ノズル1から噴霧する混合流体8の噴出量を増やすことができる。すなわち、出口孔11の多孔化により微粒化性能を維持しながら噴霧ノズル1の大容量化が可能となる。
【0136】
本実施例によれば、図6に示したように、噴霧流体の粒子径が比較的大きくなる扇型噴霧の噴霧中央部18中央部18の微粒化を促進して、噴霧流体全体の微粒化の促進と、噴霧流体の微細化に用いる噴霧用媒体の使用量の低減または加圧力の低減とを両立させて燃焼効率を向上させた噴霧ノズルが実現できる。
【実施例3】
【0137】
次に本発明の第2実施例の噴霧ノズル1または第2実施例の噴霧ノズル61を備えた本発明の第3実施例である噴霧ノズルを備えたバーナについて図8を用いて説明する。
【0138】
図8に示した本実施例の噴霧ノズルを備えたバーナに用いられる噴霧ノズル1及び61は、図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1、並びに図5図7に示した第2実施例の噴霧ノズル61であり、よって両実施例の噴霧ノズル1、61と共通した構成の説明は省略する。
【0139】
図8に本実施例の噴霧ノズルを備えたバーナの一例を示す。図8に示した本実施例の噴霧ノズル1または61を備えたバーナ20において、本実施例のバーナ20ではバーナ20の中心軸21の先端には、図1図3に示した噴霧流体と噴霧用媒体との混合流体8を噴霧する噴霧ノズル1、または図5図7に示した噴霧流体と噴霧用媒体との混合流体8を噴霧する噴霧ノズル61を備え、この中心軸21の先端近くに火炎安定用の障害物22を備えている。
【0140】
中心軸21に備えた前記障害物22としては旋回流発生用の旋回羽根やスリットを有する邪魔板などが一般的である。噴霧ノズル1または61からは噴霧流体2と噴霧用媒体3とを混合した混合流体8を噴霧して、図2及び図6に示した第1実施例及び第2実施例の噴霧ノズル1または61の場合と同様に、扇型の噴霧23が形成される。
【0141】
バーナ20の燃焼用空気はウインドボックス24から3つの流路に分かれて供給される。中心の噴霧ノズル1に近い方から、1次流路25、2次流路26、3次流路27である。1次流路25、2次流路26、3次流路27からそれぞれ1次空気28、2次空気29、3次空気30として供給されて火炉内31に噴出する。
【0142】
これらの燃焼用空気はウインドボックス24の2次流路26及び3次流路27内にそれぞれ設置した旋回流発生器32、33や、2次流路26と3次流路27との間の出口側に設置したガイド板34によって燃焼用空気の噴出方向を変えて火炉内31に供給され、ばいじんやNOxの発生を抑制する。
【0143】
なお、これらの燃焼用空気は前記各流路15、26、27にそれぞれ設けたダンパ(図示せず)によってその流量を制御する。
【0144】
バーナ20は火炉31の火炉壁35に設置されおり、火炉壁35には伝熱管36を設けて熱回収を行っている。
【0145】
本実施例の噴霧ノズル1または61を備えたバーナ20に供給される燃焼用空気は、後述する図9の第4実施例であるバーナを備えた燃焼装置に示したように、燃焼用空気供給系統41から配管45と46に分岐され、それぞれバーナ20と空気供給口44から火炉31内に噴出させて供給する。燃焼用空気をバーナ20と空気供給口44とに分けて火炉31内に供給することで、バーナ20で形成される火炎の温度を低減する。
【0146】
さらに、バーナ20の近傍の火炉31内にて空気不足で燃焼することで燃料中に含まれる窒素分の一部が還元剤として生成し、燃焼で発生するNOxを窒素に還元する反応が生じる。このため、火炉31の出口でのNOx濃度はバーナ20から全ての燃焼用空気を供給する場合に比べて低減させることができる。
【0147】
また、空気供給口44から残りの燃焼用空気を火炉31内に供給し、燃料を完全燃焼させることで未燃焼分を低減する。空気供給口44から供給された燃焼用空気と混合した燃焼ガス47は、火炉31の上部の熱交換器48で熱交換された後に、煙道49を通り、煙突50から大気に放出される。
【0148】
本実施例のバーナ20に備えられた噴霧ノズル1は、図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1、または図5図7に示した第2実施例の噴霧ノズル61を採用しているので、燃料液体である噴霧流体を微粒化し、液体燃料の単位重量当たりの表面積が増加するので、燃焼反応が進み、燃焼装置出口での未燃焼分やばいじん、一酸化炭素が低減し、燃焼装置の燃焼効率を高くできる。
【0149】
また、燃焼反応を早く進めることで、酸素の消費が進み、窒素酸化物の発生を抑えることができる。さらに、未燃焼分やばいじん、一酸化炭素が低減することで、燃焼装置に投入する余剰な空気を削減できる。
【0150】
そして余剰な空気を減少させることによって燃焼排ガス量も低下し、燃焼排ガスとともに燃焼装置外に放出される顕熱を低下させ、燃焼装置の熱効率を高めることができる。
【0151】
本実施例の噴霧ノズルを備えたバーナ20では、前記バーナ20に供給する噴霧用媒体の使用量の抑制や圧力の低減により、噴霧用媒体の供給や加圧力に使用なエネルギー消費量を低減できる。
【0152】
また、噴霧用媒体として蒸気を用いる場合、燃焼装置内に投入された蒸気による燃焼装置での熱効率が低下するが、本発明の噴霧ノズルを用いると、蒸気の使用量を減らしても微粒化を従来と同等に維持できるため、熱効率の低下を防ぐことができる。
【0153】
また、本実施例の噴霧ノズルを備えたバーナ20では、燃料として液体燃料を使用する場合を示したが、主燃料として微粉炭等の固体燃料を使用し、補助燃料として液体燃料を使用する場合も適用可能である。この場合、噴霧ノズル1または61から液体燃料を火炉内に噴霧する場合に上記の効果が得られる。
【0154】
本実施例によれば、噴霧流体の粒子径が比較的大きくなる噴霧の中央部の微粒化を促進して噴霧流体全体の微粒化の促進と、噴霧流体の微細化に用いる噴霧用媒体の使用量の低減または加圧力の低減とを両立させて燃焼効率を向上させた噴霧ノズルを備えたバーナが実現できる。
【実施例4】
【0155】
次に本発明の第4実施例であるバーナを備えた燃焼装置について図9を用いて説明する。
【0156】
図9に示した本実施例のバーナ20を備えた燃焼装置60に用いられる噴霧ノズル1または61は、図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1、または図5図7に示した第2実施例の噴霧ノズル61と同じものであり、噴霧ノズル1または61を備えたバーナ20は図8に示した第2実施例のバーナ20と同じものであることから、これらの実施例に共通した構成の説明は省略する。
【0157】
図9に本実施例のバーナを備えた燃焼装置の一例を示す。図9に示した本実施例のバーナ20を備えた燃焼装置60において、本実施例の燃焼装置60では噴霧ノズル1または61を備えたバーナ20は図9に示されるように火炉31の火炉壁35に複数個設置される。
【0158】
噴霧ノズル1または61を備えた前記バーナ20には燃焼用空気供給系統41、液体燃料供給系統42、及び噴霧用媒体供給系統43がそれぞれ接続されている。
【0159】
また、燃料として前記バーナ20に固体燃料を供給する場合には、固体燃料供給系統(図示せず)が更に配設されるように構成している。
【0160】
本実施例のバーナ20を備えた燃焼装置60に設置したバーナ20は、図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1、または図5図7に示した第2実施例の噴霧ノズル61が備えられており、このバーナ20に燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給系統41から、前記バーナ20に接続する配管45と、前記バーナ20の下流側となる火炉31の火炉壁35に設けられた空気供給口44に接続する配管46とが分岐して配設されている。
【0161】
前記燃焼用空気供給系統41から分岐した配管45と配管46には、供給する空気の流量を調節する流量調節弁(図示せず)が設置されている。
【0162】
また、前記液体燃料供給系統42と噴霧用媒体供給系統43には、それぞれの上流側に液体燃料や噴霧用媒体の圧力及び流量を調整する供給器(図示せず)が接続されており、これらの液体燃料供給系統42と噴霧用媒体供給系統43の下流端に図1図4に示した第1実施例の噴霧ノズル1、または図5図7に示した第2実施例の噴霧ノズル61が設置されている。
【0163】
本実施例の燃焼装置60に備えられたバーナ20には、供給される燃焼用空気は燃焼用空気供給系統41から配管45と配管46に分岐され、バーナ20と空気供給口44からそれぞれ火炉31内に噴出することになる。
【0164】
燃焼用空気を燃焼用空気供給系統41から配管45と配管46に分岐して供給することで、前記バーナ20から噴霧されて火炉31内に形成される火炎の温度を低減させる。
【0165】
さらに、本実施例のバーナ20を備えた燃焼装置60においては、バーナ20の近傍の火炉31内にて空気不足で燃料の噴霧流体を燃焼させることで燃料中に含まれる窒素分の一部が還元剤として生成し、燃焼で発生するNOxを窒素に還元する反応が生じる。
【0166】
このため、火炉31の出口でのNOx濃度はバーナ20から全ての燃焼用空気を火炉31内に供給する場合に比べて低減させることができる。
【0167】
また、燃焼用空気供給系統41から分岐した配管46を通じて空気供給口44から残りの燃焼用空気を火炉31内に供給し、燃料の噴霧流体を完全燃焼させることで未燃焼分を低減する。
【0168】
前記空気供給口44から供給された燃焼用空気と混合した燃焼ガス47は、火炉31の上部に設置された熱交換器48で熱交換した後に、煙道49を通り、煙突50から大気に放出される。
【0169】
また、本実施例の燃焼装置60に備えられたバーナ20に図1図4に示した第1実施例1の噴霧ノズル1、または図5図7に示した第2実施例の噴霧ノズル61を採用することによって、液体燃料の燃料流体を微粒化して噴霧することにより液体燃料の単位重量当たりの表面積が増加するので、燃焼反応が進み、燃焼装置60の出口での未燃焼分や、ばいじん、一酸化炭素が低減し、燃焼装置の燃焼効率を高くすることができる。
【0170】
また、燃焼反応を早く進めることで、酸素の消費が進み、窒素酸化物の発生を抑えることができる。さらに、未燃焼分や、ばいじん、一酸化炭素が低減することで、燃焼装置に投入する余剰な空気を削減できる。余剰な空気が減ると、燃焼排ガス量も低下し、燃焼排ガスとともに燃焼装置外に放出される顕熱を低下させ、燃焼装置の熱効率を高めることができる。
【0171】
噴霧用媒体の使用量の抑制や圧力の低減により、各々の供給や加圧力に使用なエネルギー消費量を低減できる。また、噴霧用媒体として蒸気を用いる場合、燃焼装置内に投入された蒸気による燃焼装置での熱効率が低下するが、前記した第1実施例の噴霧ノズル1または第2実施例の噴霧ノズル61を前記バーナ20に用いることで、蒸気の使用量を減らしても微粒化を維持できるため、燃焼装置の熱効率の低下を防ぐことができる。
【0172】
図9に示す本実施例のバーナ20を備えた燃焼装置60においては、燃焼用空気を燃焼用空気供給系統41から配管45及び配管46に分岐してバーナ20及び空気供給口44との双方から火炉31内に供給する例を示したが、燃焼用空気をバーナ20からのみ火炉31内に供給する場合にも図8に示した第2実施例の噴霧ノズル1または61を備えたバーナ20を適用することができる。
【0173】
また、図9に示す本実施例のバーナを備えた燃焼装置では、火炉31を構成する1つの火炉壁35に図8に示した第2実施例のバーナ20を設けた場合を示したが、火炉31を構成する複数の火炉壁31に前記バーナ20を設けた場合や、火炉31を構成する火炉壁31の角部に前記バーナ20を設けた場合にも適用できる。
【0174】
本実施例によれば、噴霧流体の粒子径が比較的大きくなる噴霧の中央部の微粒化を促進して噴霧流体全体の微粒化の促進と、噴霧流体の微細化に用いる噴霧用媒体の使用量の低減または加圧力の低減とを両立させて燃焼効率を向上させた噴霧ノズルを有するバーナを備えた燃焼装置が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は噴霧用媒体を利用して噴霧流体を微粒化する噴霧ノズル、この噴霧ノズルを備えたバーナ、及びこのバーナを備えた燃焼装置にそれぞれ適用可能である。
【符号の説明】
【0176】
1:噴霧ノズル、2:噴霧流体、3:噴霧用媒体、4、5:噴霧流体流路、6、7:噴霧用媒体流路、8:混合流体、9、10:混合流体流路、11:出口孔、12:溝部、13、14:屈曲部、15:隔壁、16:構造物、16a、16b:凸状部、17:縮流部、18:扇型の噴霧中央部、19:扇型の噴霧外縁部、20:バーナ、21:同軸流路構成部材、22:障害物、23:噴霧、24:ウインドボックス、25:1次流路、26:2次流路、27:3次流路、28:1次空気の流れ、29:2次空気の流れ、30:3次空気の流れ、31:火炉、32、33:旋回流発生器、34:ガイド板、35:火炉壁、36:伝熱管、41:燃焼用空気供給系統、42:液体燃料供給系統、43:噴霧用媒体供給系統、44:空気供給口、45、46:配管、47:燃焼ガスの流れ、48:熱交換器、49:煙道、50:煙突、60:燃焼装置、61:噴霧ノズル、91:第1の合流部、92:第2の合流部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9