(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6053875
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】密着型支持具の製作方法
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
A47G29/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-121141(P2015-121141)
(22)【出願日】2015年6月16日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】391038143
【氏名又は名称】大一鋼業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082083
【弁理士】
【氏名又は名称】玉田 修三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由紀子
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3159056(JP,U)
【文献】
特開2007−046334(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3156118(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00−29/093
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持具本体を備えるベース体の裏面に、相手方平滑面に重なり状に密着可能でかつ上記ベース体の裏面の全周囲に張り出す大きさを有する柔軟なシート体が固着されている密着型支持具の製作方法であって、
上記ベース体の裏面に上記シート体を固着する工程に、
ベース体の裏面側にその裏面と平行に配備したシルク網の上から、その網目を通してペースト状の接着剤をベース体の裏面に塗り付ける接着剤塗布処理と、
透明なガラス板の片面に重ね合わせた上記シート体を、接着剤が塗り付けられた上記ベース体の裏面に重ねて上記ガラス板で押し付ける接着処理と、
この接着処理を行った後に、ガラス板の片面に重ね合わされた上記シート体と上記ベース体の裏面との間に介在されている上記接着剤を硬化させる接着剤硬化処理と、
が含まれることを特徴とする密着型支持具の製作方法。
【請求項2】
上記接着剤が紫外線硬化型接着剤であり、上記接着剤硬化処理が、上記シート体と上記ベース体の裏面との間に介在されている紫外線硬化型接着剤を光照射によって硬化させる処理である請求項1に記載した密着型支持具の製作方法。
【請求項3】
上記接着剤塗布処理と上記接着処理とを、裏面を上にした姿勢で治具にセットされ、かつ、裏面が上記治具の上面から突出された上記ベース体に対して行う請求項1又は請求項2に記載した密着型支持具の製作方法。
【請求項4】
上記接着剤塗布処理では、矩形の版枠に張ったシルク網を用いる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した密着型支持具の製作方法。
【請求項5】
上記接着剤塗布処理は、シルク網の上の1箇所に供給したペースト状の上記接着剤を、スキージを用いてシルク網の上を移動させつつ、シルク網の網目を通してベース体の裏面に移行させる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した密着型支持具の製作方法。
【請求項6】
上記接着剤硬化処理は、上記ベース体を上記治具にセットしたまま行う請求項3に記載した密着型支持具の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟なシート体を相手方平滑面に重なり状に密着させることによって、相手方平滑面に取り付けられるようになっている密着型支持具の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小物などを引掛けて吊り下げることなどのために利用される支持具として、ゴムや合成樹脂などで作られた先拡がり形状の吸盤に、L字形、J字形、U字形などに形成したフックやアームなどの支持具本体を取り付けたものが知られていた。しかしながら、この種の支持具は、柔軟性を有する吸盤の中心にフックやアームなどの支持具本体が連結されていたため、吸盤を相手方平滑面に押し付けて吸着させ、支持具本体に小物類を引掛けて吊り下げたときに、吸盤の中心に小物類などの重量が負荷されてその箇所がぐらついてしまい、そのぐらつきによって吸盤と相手方平滑面との間に空気が入り込んで、吸盤が、相手方平滑面から剥がれやすくなったり脱落したりしてしまうことが多々あり、それほど大きな吊下げ荷重に耐え得るものではなかった。
【0003】
その一方で、先行例として、支持具本体を相手方平滑面にぐらつきなく取り付けることが可能であり、しかも、きわめて大きな吊下げ荷重に耐え得るものでありながら、相手方平滑面に対する着脱操作性に優れ、相手方平滑面から取り外しても装着跡が相手方平滑面に残りにくい密着型支持具が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
図10は特許文献1によって提案されているものと同様の基本構成を有する密着型支持具Aの斜視図である。同図の密着型支持具Aは、相手方平滑面に裏面を重ね合わせることによってその平滑面に密着する円形のシート体1が、L字状フックでなる支持具本体2を備える円形のベース体3の裏面に固着されていて、シート体1がベース体3の裏面の全周囲に張り出す大きさを有している。この支持具Aにおいて、支持具本体2には、リング状、突出ピン状、その他の様々な形状のフックが適宜採用される。また、シート体1の形状には、円形以外に、たとえば矩形や六角形などの任意の形状が適宜選択される。
【0005】
この密着型支持具Aでは、シート体1を、たとえば窓ガラス表面や平滑なパネル表面などの相手方平滑面に重ね合わせて両者の間の空気を抜き出しておくだけで、相手方平滑面にシート体が重なり合って密着する。また、シート体1が固着されているベース体3に、相手方平滑面から引き上げる方向の外力が加わったり、相手方平滑面に密着しているシート体の表面に平行に沿う方向の外力が加わったりした場合などにおいても、シート体が相手方平滑面から容易に剥がれることはない。このため、支持具本体2に引掛けた小物類が重くても、ベース体3が相手方平滑面から脱落するという事態が起こりにくい。さらに、相手方平滑面に対するシート体1の密着状態は、シート体1の端縁部を相手方平滑面からめくり上げることによってきわめて容易に解放することのできる状態になっているので、シート体1の端縁部を相手方平滑面からめくり上げるだけで当該支持具Aを相手方平滑面からきわめて容易に取り外すことが可能であり、しかも、シート体1を剥がした後に、相手方平滑面にシート体1の重なり痕跡が残ることもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3159056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図10を参照して説明した密着型支持具Aにおいて、相手方平滑面にベース体3を強固に保持させることによって相手方平滑面からのベース体3の脱落を防ぐためには、相手方平滑面に対するシート体1の密着状態が良好であり、両者の間に空気が閉じ込められにくい構成になっていることが有益であると考えられる。そして、そのためには、シート体1におけるベース体3の裏面の固着領域が平坦に保たれていて、その領域内でシート体1に凹凸や皺などが生じていないことが求められる。
【0008】
本発明は、以上の状況の下でなされたものであり、シート体におけるベース体の裏面の固着領域が平坦に保たれる密着型支持具の製作方法を提供することを目的としている。
【0009】
また、本発明は、シート体におけるベース体の裏面の固着領域に凹凸や皺などが生じないようになる密着型支持具の製作方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る密着型支持具の製作方法は、支持具本体を備えるベース体の裏面に、相手方平滑面に重なり状に密着可能でかつ上記ベース体の裏面の全周囲に張り出す大きさを有する柔軟なシート体が固着されている密着型支持具の製作方法であって、上記ベース体の裏面に上記シート体を固着する工程に、ベース体の裏面側にその裏面と平行に配備したシルク網の上から、その網目を通してペースト状の接着剤をベース体の裏面に塗り付ける接着剤塗布処理と、透明なガラス板の片面に重ね合わせた上記シート体を、接着剤が塗り付けられた上記ベース体の裏面に重ねて上記ガラス板で押し付ける接着処理と、この接着処理を行った後に、ガラス板の片面に重ね合わされた上記シート体と上記ベース体の裏面との間に介在されている上記接着剤を硬化させる接着剤硬化処理と、が含まれる、というものである。
【0011】
この発明に係る製作方法によると、接着剤塗布処理でベース体の裏面に均一な厚みで一様に接着剤が塗り付けられることに加えて、接着処理ではガラス板を介してその片面に重ね合わされたシート体がベース体の裏面に押し付けられるので、ベース体の裏面の固着領域でシート体に凹凸が生じにくく、その領域内でシート体1に皺などが生じくい。したがって、その後の接着剤硬化処理を行うことによって製作された密着型支持具は、相手方平滑面に対するシート体の密着状態が良好になり、両者の間に空気が閉じ込められにくい構成になる。なお、シルク網とは、円形又は矩形の微細な網目を密に備えたネットを意味しており、材質はシルクに限定されず、合成樹脂や紙などであってもよい。
【0012】
本発明では、上記接着剤が紫外線硬化型接着剤であり、上記接着剤硬化処理が、上記シート体と上記ベース体の裏面との間に介在されている紫外線硬化型接着剤を光照射によって硬化させる処理であることが望ましい。上記接着剤塗布処理で用いる接着剤には、様々な種類のペースト状の接着剤を用いることができるけれども、この発明のように紫外線硬化型接着剤を用いると、その紫外線硬化型接着剤を光照射によって硬化させるという接着剤硬化処理に要する時間が短時間で済み、又、溶剤を使用しないため、溶剤の揮発による痩せがないので、溶剤の膜厚が変わることがなく硬化する。
【0013】
本発明では、上記接着剤塗布処理と上記接着処理とを、裏面を上にした姿勢で治具にセットされ、かつ、裏面が上記治具の上面から突出された上記ベース体に対して行うことが望ましい。この態様で治具にセットしたベース体に対して接着剤塗布処理と接着処理とを
行うことによって、それらの各処理を容易かつ確実に行うことができるようになる。
【0014】
本発明において、上記接着剤塗布処理では、矩形の版枠に張ったシルク網を用いることが望ましい。この手法を採用すると、接着剤塗布処理の途中でシルク網が弛んだり凹凸や皺を発生したりすることを防ぐことが容易に可能になり、接着剤塗布処理を容易かつ円滑に行うことが可能になる。
【0015】
本発明において、上記接着剤塗布処理は、シルク網の上の1箇所に供給したペースト状の上記接着剤を、スキージを用いてシルク網の上を移動させつつ、シルク網の網目を通してベース体の裏面に移行させる、という手法を採用することが望ましい。この手法は、所謂シルク印刷におけるインク塗布手法に準じるものであり、接着剤塗布処理を容易かつ円滑に行うことが可能になるという利点を発揮する。
【0016】
本発明において、上記接着剤硬化処理は、上記ベース体を上記治具にセットしたまま行うことが望ましい。この発明によると、接着剤塗布処理と接着処理と接着剤硬化処理との一連の処理中に、ベース体を治具から取り外す必要がなくなるので、当該製作方法の全体の効率を向上させやすい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の密着型支持具の製作方法によれば、シート体におけるベース体の裏面の固着領域が平坦に保たれるようになり、また、その領域でシート体に凹凸や皺などが生じないようになる。そのため、この発明によって製作された密着型支持具は、支持具本体を相手方平滑面にぐらつきなく強固に取り付けられ、小物類を吊り下げたりするのに便利に使用することが可能になる。さらに、相手方平滑面に対する着脱操作性に優れ、相手方平滑面から取り外した後にシート体の重なり痕跡が残ることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る密着型支持具の製作方法の手順を説明するための工程図である。
【
図3】ベース体の裏面側にシルク網を配置するステップS3の操作の説明図である。
【
図4】UV硬化型接着剤を塗り付けるステップS4の処理の説明図である。
【
図5】シート体1を片面に重ね合わせたガラス板をベース体の上に配備した状態の説明図である。
【
図6】シート体1を重ね合わせたガラス板5をベース体3の裏面に押し付けるステップS6の処理の説明図である。
【
図7】ガラス板をシート体を剥がして撤去したステップS8の操作の説明図である。
【
図8】シート体をカットすることにより得られた支持具の説明図である。
【
図10】本発明の製作方法によって製作される密着型支持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明に係る密着型支持具の製作方法を説明するための工程図である。また、
図2は治具10の概略斜視図、
図3〜
図8は
図1に示した各工程、各操作又は各処理を示した説明図である。
【0020】
図1において、ステップS1はベース体3を製作する工程を示している。この工程では、
図10に示した支持具本体2を装備するベース体3が射出成形される。この射出成形に際しては、ベース体3を離型させるためのエジェクションピンの押し跡(EP痕跡)がベース体3の裏面に残らないようにすることが望まれる。そのための具体策としては、ベース体3の側面をエジェクションピンで押すことによって、EP痕跡をベース体3の側面に残すようにするという対策がある。
【0021】
ステップS2は、ベース体3を、裏面を上にして治具10にセットする操作を示している。
図2に示したように、治具10は矩形板状に形成されていて、その複数箇所、図例では縦横に並んだ4箇所に、段付き環状の座面12を有する嵌合孔部11を有する。また、
図3のように、治具10にセットされたベース体3は、その裏面を上にして上記嵌合孔部11に嵌合されていると共に、その嵌合孔部11の座面12により支えられて、裏面が治具10の上面から一定幅だけ突出している。ここで、治具10の上面からのベース体3の裏面の突出幅Hは、たとえば0.02mmに定められる。ベース体3の裏面を治具10の上面から突出させておくことは、後述するステップS4の接着剤塗布処理を効率よく確実に行うことに役立つ。
【0022】
図1のように、ステップS2の操作を行った後、ベース体3の裏面にシート体1を固着する工程(シート体固着工程)Pが行われる。この実施形態において、シート体固着工程Pには、ステップS3のベース体3の裏面側にシルク網4を配置する操作、ステップS4の紫外線硬化型接着剤(UV硬化型接着剤)を塗り付ける処理(接着剤塗布処理)、ステップS5のシルク網4を撤去する操作、ステップS6のシート体1を重ね合わせたガラス板5をベース体3の裏面に押し付ける処理(接着処理)、ステップS7のUV硬化型接着剤を硬化処理する処理(接着剤硬化処理)、が含まれている。
【0023】
ステップS3の操作では、
図3のように、ベース体3の裏面側に、シルク網4が所定の間隔を隔ててベース体3の裏面と平行に配備される。シルク網4は、円形又は矩形の微細な網目を密に備えたネットを意味しており、材質はシルクに限定されず、合成樹脂や紙などであってもよい。また、このシルク網4は、矩形の版枠6に、弛みや皺を生じていない状態で張られている。そして、矩形の版枠6のサイズは、
図2に示した治具10のサイズと同等程度になっている。
【0024】
ステップS4の接着剤塗布処理では、
図4のように、シルク網4の上の1箇所に供給したペースト状のUV硬化型接着剤20を、スキージ30を用いて矢印Fのようにシルク網4の上を移動させつつ、シルク網4の微細な網目を通してベース体3の裏面に移行させる処理が行われる。この際、スキージ30の押し付け作用によってシルク網4を撓ませながらUV硬化型接着剤20をベース体3の裏面に移行させる。この手法は、所謂シルク印刷におけるインク塗布手法に準じるものであり、接着剤塗布処理を容易かつ円滑に行うことが可能になるという利点がある。また、治具10にセットされたベース体3の裏面が、治具10の上面から一定幅だけ突出していることにより、UV硬化型接着剤20が治具10の上面に付着しにくくなって、次のステップS5でのシルク網4の撤去を容易に行えるようになるという利点がある。このステップS4の接着剤塗布処理では、シルク網4をベース体3の裏面に重ね合わせ、その状態でスキージ30を用いて矢印Fのようにシルク網4の上を移動させつつ、シルク網4の微細な網目を通してベース体3の裏面に移行させる処理を行ってもよい。
【0025】
ステップS5のシルク網4を撤去する操作は、ベース体3の裏面に一定厚さで一様にUV硬化型接着剤20を塗り付けた後に行われる。
【0026】
ステップS6の接着処理では、
図5のように、ガラス板5の片面にシート体1を重ね合わせてから、シート体1を下にしたガラス板5を、UV硬化型接着剤20の塗布層が形成されているベース体3の上に配備し、その後、同図矢印Dのようにガラス板5を下降させる。そして、
図6のように、ガラス板5を介してシート体1をベース体3の裏面に押し付ける。このようにすると、ベース体3の裏面とガラス板5とによってシート体1が挟圧され、UV硬化型接着剤20の上記塗布層を介してシート体1がベース体3の裏面に接着される。しかも、ベース体3とシート体1との間に存在する空気が外部に押し出される。その結果、ベース体3とシート体1との間に空気が閉じこめられてシート体1とベース体3の裏面との重なり領域でシート体に凹凸や皺が生じるといった事態が生じなくなる。
【0027】
ステップS7の接着剤硬化処理では、
図6のように、ガラス板5を介してシート体1をベース体3の裏面に押し付けさせたまま、ガラス板5の上から光照射を行うことにより、ベース体3の裏面にシート体1を接着しているUV硬化型接着剤20の塗布層を硬化させる。この処理は、
図6のように治具10にセットされたベース体3とその上に重ね合わされたシート体1及びガラス板5とをユニットとし、そのユニットを、走行速度が調整された搬送ベルトに(不図示)乗せて光照射装置(不図示)に送り込むことによって行われる。
【0028】
ステップS7の接着剤硬化処理を行った後、ステップS8で、ガラス板5をシート体1から剥がして撤去し、
図7のように、シート体1が接着されたベース体3が治具10にセットされている状態にする。次に、ステップS9で、治具10からシート体1が接着されたベース体3を取り外す。
【0029】
以上説明したステップS2からステップS9までの操作又は処理は、
図2に示した治具10の4箇所の嵌合孔部11にセットされたそれぞれのベース体3に対して同一のタイミングで行われる。したがって、ステップS9で、治具10から取り外された複数のベース体3は1枚のシート体1に接着されている。
【0030】
そのため、次のステップS10でシート体1をカットすることにより、
図8に示した個々の支持具Aに分割する。その後、ステップS11で、シート体1の裏面に保護紙(不図示)を貼り付ける。また、必要があれば、ステップS12で、ベース体3の表面に柄模様などの装飾を施す。
【0031】
なお、保護紙の貼り付けを、治具10からシート体1を取り外した後、シート体1をカットする前に行い、その後に、シート体1をカットして
図8に示した個々の支持具Aに分割してもよい。
【0032】
ところで、
図1に示したステップS4又は
図4に示した接着剤塗布処理で用いるシルク網4は、
図9に示したシルク網ユニットUの形態で用いることが望ましい。
図9はスクリーン印刷の手法に準じて作成したシルク網ユニットUの平面図である。同図において、4はシルク網、6は矩形の版枠、7はシルク網4の縦横に並ぶ4箇所に形成された円形の網目領域であり、この網目領域7は
図7に示した治具10の嵌合孔部11に嵌合されたベース体3の裏面の形状及びサイズと同一の形状及びサイズを有している。8はシルク網4の4箇所の網目領域7を除く部分の全体を占めるマスク領域である。このものにおいて、版枠6は
図2に示した治具10と同等の形状及びサイズを有し、4箇所の網目領域7は、版枠6を治具10に重ねたときに、治具10の4箇所の嵌合孔部11に上下方向で位置合わせされるようになっている。そして、版枠6を治具10に位置合わせして重ねた状態で、
図4のように、ペースト状のUV硬化型接着剤20を、スキージ30を用いて矢印Fのようにシルク網4の上を移動させつつ、シルク網4の微細な網目を通してベース体3の裏面に移行させるという接着剤塗布処理を行うと、網目領域7のみをUV硬化型接着剤20が通過してベース体3の裏面に移行し、マスク領域8では、ベース体3の裏面へのUV硬化型接着剤20の移行が行われない。そのため、ベース体3の裏面に正確にUV硬化型接着剤20が塗り付けられる一方で、治具10の上面にUV硬化型接着剤20が付着するということがなくなり、次のステップS5でのシルク網4の撤去を容易に行えるようになるという利点がある。
【0033】
この実施形態では、接着剤としてUV硬化型接着剤20を用いているけれども、他の接着剤、たとえば熱硬化型接着剤を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
A 密着型支持具
1 シート体
2 支持具本体
3 ベース体
4 シルク網
5 ガラス板
10 治具
20 UV硬化型接着剤
30 スキージ
P シート体固着工程
S4 接着剤塗布処理
S6 接着処理
S7 接着剤硬化処理
【要約】
【課題】密着型支持具のシート体において、ベース体の裏面との固着領域が平坦に保たれる密着型支持具の製作方法を提供する。
【解決手段】ベース体3の裏面にシート体1を固着する工程に、ベース体3の裏面側にその裏面と平行に配備したシルク網4の上から、その網目を通してペースト状のUV硬化型接着剤20をベース体3の裏面に塗り付ける接着剤塗布処理S4と、透明なガラス板5の片面に重ね合わせたシート体1を、UV硬化型接着剤20が塗り付けられたベース体3の裏面に重ねてガラス板5で押し付ける接着処理S6と、接着処理S6を行った後に、ガラス板5の片面に重ね合わされたシート体1とベース体3の裏面との間に介在されているUV硬化型接着剤20を硬化させる接着剤硬化処理S7と、が含まれる。
【選択図】
図1