特許第6053886号(P6053886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6053886抗インターロイキン6受容体(IL−6R)抗体を含有する安定化製剤
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  • 特許6053886-抗インターロイキン6受容体(IL−6R)抗体を含有する安定化製剤 図000038
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053886
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】抗インターロイキン6受容体(IL−6R)抗体を含有する安定化製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20161219BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A61K39/395 DZNA
   A61K39/395 N
   A61K47/18
   A61K47/26
   A61K47/34
   A61K9/08
   A61P29/00 101
   A61P19/02
   A61P37/06
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-171642(P2015-171642)
(22)【出願日】2015年9月1日
(62)【分割の表示】特願2012-548134(P2012-548134)の分割
【原出願日】2011年1月7日
(65)【公開番号】特開2016-20371(P2016-20371A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】61/293,227
(32)【優先日】2010年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/986,223
(32)【優先日】2011年1月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ビー・ディックス
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・エス・グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・イー・カメン
(72)【発明者】
【氏名】スコット・エム・ウォルシュ
【審査官】 伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5805660(JP,B2)
【文献】 特表2009−539349(JP,A)
【文献】 特表2004−538287(JP,A)
【文献】 特表2007−524602(JP,A)
【文献】 国際公開第02/013860(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/106812(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61K 9/00
A61K 47/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ヒトインターロイキン6受容体(hIL−6R)へ特異的に結合するヒト抗体、ここで当該抗体は、5〜200mg/mLの濃度であり、配列番号18のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む;
(ii)10mM〜25mM未満の濃度のヒスチジン;
(iii)25〜50mMの濃度のアルギニン;
(iv)2〜10重量/体積%の量のスクロース;及び
(v)0.1〜0.2重量/体積%の量のポリソルベートを含む、
安定な薬学的製剤。
【請求項2】
ヒスチジンが21mMの濃度で存在する、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項3】
アルギニンが45mMの濃度で存在する、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項4】
スクロースが5重量/体積%の量で存在する、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項5】
ポリソルベートが0.2重量/体積%の濃度で存在する、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項6】
前記製剤がpH6を有する、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項7】
hIL−6Rへ特異的に結合する前記ヒト抗体25〜200mg/mLを含む、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項8】
hIL−6Rへ特異的に結合するヒト抗体50〜180mg/mL を含む、請求項7に記載の薬学的製剤。
【請求項9】
hIL−6Rへ特異的に結合する前記ヒト抗体150mg/mLを含む、請求項8に記載の薬学的製剤。
【請求項10】
hIL−6Rへ特異的に結合する前記ヒト抗体175mg/mLを含む、請求項8に記載の薬学的製剤。
【請求項11】
サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)によって測定して、前記抗体の未変性形態の少なくとも90%が5℃での9ヶ月の保存後に回収される、請求項10に記載の薬学的製剤。
【請求項12】
サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)によって測定して、前記抗体の未変性形態の少なくとも95%が5℃での9ヶ月の保存後に回収される、請求項11に記載の薬学的製剤。
【請求項13】
サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)によって測定して、前記抗体の未変性形態の少なくとも96%が5℃での9ヶ月の保存後に回収される、請求項12に記載の薬学的製剤。
【請求項14】
製剤が15センチポアズ未満の粘度を示す、請求項10に記載の薬学的製剤。
【請求項15】
製剤が12センチポアズ未満の粘度を示す、請求項10に記載の薬学的製剤。
【請求項16】
製剤が9センチポアズ未満の粘度を示す、請求項10に記載の薬学的製剤。
【請求項17】
製剤がガラスバイアル中に含有される、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項18】
製剤が注射器中に含有される、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項19】
製剤がマイクロインフューザー中に含有される、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項20】
前記注射器がフルオロカーボンコートプランジャーを含む、請求項18に記載の薬学的製剤。
【請求項21】
前記注射器が低タングステン注射器である、請求項18に記載の薬学的製剤。
【請求項22】
(i)ヒトインターロイキン6受容体(hIL−6R)へ特異的に結合するヒト抗体 25〜200mg/mL、ここで当該抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む;
(ii)ヒスチジン21、22、23又は4mM;
(iii)スクロース 3、4又は5重量/体積%;
(iv)ポリソルベート20 0.18、0.19又は0.2重量/体積%;及び
(v)アルギニン45又は50mMを含む、
安定な薬学的製剤。
【請求項23】
(i)ヒトインターロイキン6受容体(hIL−6R)へ特異的に結合するヒト抗体175mg/mL、ここで、該抗体は配列番号18/26の重鎖及び軽鎖可変領域(HCVR/LCVR)アミノ酸配列対を含む;
(ii)ヒスチジン 21mM;
(iii)スクロース 5%;
(iv)ポリソルベート20 0.2%;及び
(v)アルギニン 45mMを含む、
安定な薬学的製剤。
【請求項24】
製剤がステイクト注射針充填済み注射器中に含有される、請求項23に記載の薬学的製剤。
【請求項25】
サイズ排除高速液体クロマトグラフィーによって測定して、前記抗体の未変性形態の少なくとも96%が5℃での2ヶ月の保存後に回収される、請求項23又は24に記載の薬学的製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、治療用抗体製剤の分野に関する。より具体的には、本発明は、ヒトインターロイキン6受容体へ特異的に結合するヒト抗体を含む薬学的製剤の分野に関する。
【0002】
配列表
配列表のWIPO標準ST.25(1988)準拠テキストファイルを本明細書と同時に提出する。
テキストファイルの内容が参照により本明細書に組み入れられる。配列表を含むテキストファイルは、「IL6RAbFormulationSeqList」と名付けられ、2010年1月7日に作成され、37,387バイトを含む。
【背景技術】
【0003】
背景
治療用高分子(例えば、抗体)は、分子を患者への投与に適切にするだけでなく保存の間それらの安定性を維持もする様式で処方されなければならない。例えば、液体溶液中の治療用抗体は、溶液が適切に処方されない限り、分解、凝集及び/又は望ましくない化学修飾の傾向がある。液体製剤中の抗体の安定性は、製剤中に使用される賦形剤の種類にだけでなく、互いに比べての賦形剤の量及び割合にも依存する。さらに、安定性は別として他の考慮が、液体抗体製剤を作製する際に検討されなければならない。このような追加の考慮の例としては、所定の製剤によって提供され得る溶液の粘度及び抗体の濃度が挙げられる。従って、治療用抗体を処方する場合、安定のままであり、適切な濃度の抗体を含有し、かつ、適切な粘度並びに製剤が患者へ都合よく投与されることを可能にする他の特性を有する、製剤に達するためには、大きな注意が払われなければならない。
【0004】
ヒトインターロイキン6受容体(hIL−6R)に対する抗体は、適切な処方を必要とする治療的に重要な高分子の一例である。抗hIL−6R抗体は、関節リウマチ、強直性脊椎炎、及
び他の状態などの疾患の治療及び/又は予防に臨床的に有用である。例示的な抗IL−6R抗体は、特に、特許文献1〜5に記載されている。大きな治療可能性を有する特に重要な抗hIL−6R抗体は、特許文献1においてVQ8F11−21と呼ばれる抗体である(本明細書におい
て「mAb1」とも呼ばれる)。
【0005】
抗hIL−6R抗体は公知であるが、十分に安定でありかつ患者への投与にも適している抗hIL−6R抗体を含む新規の薬学的製剤について当技術分野において必要性が存在するままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US 7,582,298
【特許文献2】US 6,410,691
【特許文献3】US 5,817,790
【特許文献4】US 5,795,695
【特許文献5】US 6,670,373
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明は、ヒトインターロイキン6受容体(hIL−6R)へ特異的に結合するヒト抗体を含
む薬学的製剤を提供することによって前述の必要性を満たす。本発明の製剤は、抗hIL−6R抗体に加えて賦形剤を含み得る。例えば、ある実施態様において、製剤は、(i)hIL−6Rへ特異的に結合するヒト抗体;(ii)少なくとも1つのアミノ酸;及び(iii)少なくとも1つの炭水化物を含み得る。アミノ酸は、例えば、ヒスチジン及び/又はアルギニンであり得る。炭水化物は、例えば、スクロース、グルコース、マンニトール、ラクトース又はトレハロースなどの糖であり得る。
【0008】
本発明のある実施態様によれば、製剤は、非イオン性界面活性剤をさらに含む。非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリエチレングリコールなどであり得る。
【0009】
本発明の薬学的製剤中に含有される抗体は、hIL−6Rへ特異的に結合する任意の抗体で
あり得る。本発明の製剤中に含有され得る例示的な抗体は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含む抗体であり、ここで、HCVRは、配列番号20のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号22のアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号24のアミノ酸配列を有するHCDR3を含み;ここで、LCVRは、配列番号28のアミノ酸配
列を有する軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号30のアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。ある実施態様において、本発明の製
剤中に含有される抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有するHCVR及び配列番号26のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体である。
【0010】
本発明の抗体製剤は、薬学的製剤を保存するために有用な任意の適切な容器内に含有され得る。このような適切な容器の例としては、例えば、ガラス又はプラスチックバイアル、注射器及びカートリッジが挙げられる。容器は透明又は不透明(例えば、琥珀色)であり得る。
【0011】
本発明のある局面によれば、薬学的製剤は、所定の温度での数日、数ヶ月又は数年間の保存後、比較的安定のままである。例えば、本発明のある例示的な実施態様において、高いパーセンテージの抗体(例えば、90%、95%、96%又はそれ以上)が、少なくとも3、6、9ヶ月又はそれ以上の保存後、その未変性形態で維持されている。抗体の未変性形態の
パーセンテージは、例えば、SE−HPLCによって、又は当技術分野において公知の任意の他の方法によって測定され得る。抗体の安定性が維持される保存温度は、例えば、−80℃、−40℃、−20℃、0℃、5℃、25℃、45℃、又はそれ以上であり得る。
【0012】
本発明の他の実施態様は、次の詳細な説明を検討することによって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】−20℃(黒三角)、−30℃(黒四角)、及び−80℃(黒菱形)での様々な時間量の保存後の、SE−HPLCによって測定された、残存している天然mAb1のパーセントを示す。
図2】−20℃(黒三角)、−30℃(黒四角)、及び−80℃(黒菱形)での様々な時間量の保存後の、CEX−HPLCによって測定された、mAb1の酸性種のパーセントを示す。
図3】−30℃での様々な時間量の保存後の、SE−HPLCによって測定された、様々な最小限賦形剤製剤中に残存している天然mAb1のパーセントを示す。黒菱形は製剤1(80 mg/mL mAb1、0.13%ポリソルベート20、6%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;黒四角は製剤2(80 mg/mL mAb1、0.13%ポリソルベート20、10 mMヒスチジン)を示し;黒三角は製剤3(80 mg/mL mAb、1%スクロース、10 mM ヒスチジン)を示し;白四角は製剤4(80 mg/mL mAb1、2%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;アスタリスクは製剤5(80 mg/mL mAb1、4%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;黒丸は製剤6(80 mg/mL mAb1、6%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;十字は製剤7(80 mg/mL抗体、10 mMヒスチジン)を示し;白丸は製剤8(65 mg/mL抗体、10 mM ヒスチジン)を示す。全ての製剤を表6に記載する(下記実施例2を参照のこと)。
図4】−20℃での様々な時間量の保存後の、SE−HPLCによって測定された、様々な最小限賦形剤製剤中に残存している天然mAb1のパーセントを示す。黒菱形は製剤1(80 mg/mL mAb1、0.13%ポリソルベート20、6%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;黒四角は製剤2(80 mg/mL mAb1、0.13%ポリソルベート20、10 mMヒスチジン)を示し;黒三角は製剤3(80 mg/mL mAb、1%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;白四角は製剤4(80 mg/mL mAb1、2%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;アスタリスクは製剤5(80 mg/mL mAb1、4%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;黒丸は製剤6(80 mg/mL mAb1、6%スクロース、10 mMヒスチジン)を示し;十字は製剤7(80 mg/mL抗体、10 mMヒスチジン)を示し;白丸は製剤8(65 mg/mL抗体、10 mMヒスチジン)を示す。全ての製剤を表6に記載する(下記実施例2を参照のこと)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本発明を説明する前に、本発明は、このような方法及び条件は変化し得るので、記載される特定の方法及び実験条件に限定されないことが理解される。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を説明する目的のために過ぎず、限定的であるようには意図されないことも理解される。
【0015】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において使用される場合、用語「約」は、特定の記載の数値を参照して使用される場合、値が記載の値とは1%以下異なり得ることを意味する。例えば、本明細書において
使用される場合、表現「約100」は、99及び101並びに間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0016】
本明細書に記載のものと同様又は等価の任意の方法及び材料が本発明の実施又は試験において使用され得るが、好ましい方法及び材料をここで説明する。本明細書に記載される全ての刊行物は、説明のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0017】
薬学的製剤
本明細書において使用される場合、表現「薬学的製剤」は、少なくとも1つの活性成分
(例えば、ヒト又は非ヒト動物において生物学的効果を発揮することができる小分子、高分子、化合物など)と、活性成分及び/又は1つ又はそれ以上の追加の不活性成分と組み
合わされた場合に、ヒト又は非ヒト動物への治療的投与に適している、少なくとも1つの
不活性成分との組み合わせを意味する。用語「製剤」は、本明細書において使用される場合、特に指定されない限り、「薬学的製剤」を意味する。本発明は、少なくとも1つの治
療用ポリペプチドを含む薬学的製剤を提供する。本発明のある実施態様によれば、治療用ポリペプチドは、ヒトインターロイキン6受容体(hIL−6R)へ特異的に結合する抗体又はその抗原結合性フラグメントである。より具体的には、本発明は、(i)hIL−6Rへ特異的に結合するヒト抗体;(ii)ヒスチジン;及び(iii)炭水化物を含む薬学的製剤を含む
。追加の成分、例えば、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、及び少なくとも1つの追加のアミノ酸が、本発明の製剤中に含まれ得る。本発明内に含まれる具体的で例示的な成分及び製剤を下記に詳細に説明する。
【0018】
本発明の薬学的製剤は、ある実施態様において、流体製剤であり得る。本明細書において使用される場合、表現「流体製剤」は、約5℃〜約45℃で主に流体状態で存在する少な
くとも2つの成分の混合物を意味する。流体製剤としては、特に、液体製剤が挙げられる
。流体製剤は、それらの特定の成分に応じて、低、中又は高粘度のものであり得る。
【0019】
hIL−6Rへ特異的に結合する抗体
本発明の薬学的製剤は、hIL−6Rへ特異的に結合するヒト抗体又はその抗原結合性フラ
グメントを含み得る。本明細書において使用される場合、用語「hIL−6R」は、インター
ロイキン6(IL−6)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を意味する。ある実施態様において、本発明の薬学的製剤中に含有される抗体は、hIL−6Rの細胞外ドメインへ特
異的に結合する。hIL−6Rの細胞外ドメインは、配列番号74のアミノ酸配列によって示さ
れる。
【0020】
用語「抗体」は、本明細書において使用される場合、ジスルフィド結合によって相互に連結された4つのポリペプチド鎖である2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む免疫グ
ロブリン分子、並びにその多量体(例えば、IgM)を指すように一般的に意図され;しか
し、重鎖のみからなる(即ち、軽鎖を欠いている)免疫グロブリン分子もまた、用語「抗体」の定義内に包含される。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてHCVR又はVHと略される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてLCVR又はVLと略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域へさらに細分され得る。各VH及びVLは、以下の順序でア
ミノ末端からカルボキシ末端へ配置された、3つのCDR及び4つのFRから構成されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0021】
特に指定されない限り、用語「抗体」は、本明細書において使用される場合、完全な抗体分子並びにその抗原結合性フラグメントを包含するように理解される。用語、抗体の「抗原結合性部分」又は「抗原結合性フラグメント」(又は単に「抗体部分」又は「抗体フラグメント」)は、本明細書において使用される場合、hIL−6Rへ特異的に結合する能力
を保持する抗体の1つ又はそれ以上のフラグメントを指す。
【0022】
「単離抗体」は、本明細書において使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すように意図される(例えば、hIL−6Rに特異的に結合す
る単離抗体は、hIL−6R以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。
【0023】
用語「特異的に結合する」などは、抗体又はその抗原結合性フラグメントが、生理学的条件下で比較的安定である抗原との複合体を形成することを意味する。特異的結合は、少なくとも約1x10−6M又はそれ以上の解離定数を特徴とし得る。2つの分子が特異的に結合
するかどうかを測定するための方法は、当技術分野において周知であり、これらとしては、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。しかし、hIL−6Rに特異的
に結合する単離抗体は、他の種由来のIL−6R分子などの、他の抗原に対して交差反応性を有し得る。本発明の文脈において、hIL−6R並びに1つ又はそれ以上の追加の抗原へ結合する多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、hIL−6Rに「特異的に結合する」と見なさ
れる。さらに、単離抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まない場合がある。
【0024】
本発明の薬学的製剤中に含まれ得る例示的な抗hIL−6R抗体は、特許文献1に記載され
ており、この開示は参照によりその全体が組み入れられる。
【0025】
本発明のある実施態様によれば、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは、
配列番号4、20、36及び52からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決
定領域(HCDR)1;配列番号6、22、38及び54からなる群より選択されるアミノ酸配列を有
するHCDR2;並びに配列番号2、18、34及び50からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む。ある実施態様において、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号4−6−8;(ii)配列番号20−22−24;(iii)配列番号36−38−40
;及び(iv)配列番号52−54−56からなる群よりそれぞれ選択されるHCDR1−HCDR2−HCDR3ドメインを含む。
【0026】
本発明のある実施態様によれば、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは、
配列番号12、28、44及び60からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(LCDR)1;配列番号14、30、46及び62からなる群より選択されるアミノ酸配列を
有するLCDR2;及び配列番号16、32、48及び64からなる群より選択されるアミノ酸配列を
有するLCDR3を含む。ある実施態様において、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号12−14−16;(ii)配列番号28−30−32;(iii)配列番号44−46−48;及び(iv)配列番号60−62−64からなる群よりそれぞれ選択されるLCDR1−LCDR2−LCDR3ドメインを含む。
【0027】
ある実施態様において、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号4−6−8/配列番号12−14−16;(ii)配列番号20−22−24/配列番号28−30−32;(iii)配列番号36−38−40/配列番号44−46−48;及び(iv)配列番号52−54−56/配列番号60−62−64からなる群よりそれぞれ選択されるHCDR1−HCDR2−HCDR3/LCDR1−LCDR2−LCDR3ドメインを含む。
【0028】
ある実施態様において、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは、配列番号2、18、34及び50からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)を含む。ある実施態様において、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは、配列
番号10、26、42及び58からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む。ある実施態様において、抗hIL−6R抗体又はその抗原結合性フラグメントは
、配列番号2/10;18/26;34/42及び50/58からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。
【0029】
本明細書の実施例において使用される非限定的で例示的な抗体は、「mAb1」と呼ばれる。この抗体はまた、特許文献1においてVQ8F11−21と呼ばれる。mAb1(VQ8F11−21)は、配列番号18/26を有するHCVR/LCVRアミノ酸配列対、及び配列番号20−22−24/配列番号28
−30−32によって示されるHCDR1−HCDR2−HCDR3/LCDR1−LCDR2−LCDR3ドメインを含む。
【0030】
本発明の薬学的製剤中に含有される抗体又はその抗原結合性フラグメントの量は、製剤に望まれる特定の特性、並びに製剤が使用されるように意図される特定の状況及び目的に応じて変化し得る。ある実施態様において、薬学的製剤は、hIL−6Rへ特異的に結合する
抗体又はその抗原結合性フラグメントを、約1 mg/mL〜約500 mg/mLの抗体;約5 mg/mL〜
約400 mg/mLの抗体;約5 mg/mL〜約200 mg/mLの抗体;約25 mg/mL〜約180 mg/mLの抗体;約25 mg/mL〜約150 mg/mLの抗体;又は約50 mg/mL〜約180 mg/mLの抗体を含有し得る。例えば、本発明の製剤は、約1 mg/mL;約2 mg/mL;約5 mg/mL;約10 mg/mL;約15 mg/mL;
約20 mg/mL;約25 mg/mL;約30 mg/mL;約35 mg/mL;約40 mg/mL;約45 mg/mL;約50 mg/mL;約55 mg/mL;約60 mg/mL;約65 mg/mL;約70 mg/mL;約75 mg/mL;約80 mg/mL;約85
mg/mL;約86 mg/mL;約87 mg/mL;約88 mg/mL;約89 mg/mL;約90 mg/mL;約95 mg/mL;約100 mg/mL;約105 mg/mL;約110 mg/mL;約115 mg/mL;約120 mg/mL;約125 mg/mL;約130 mg/mL;約131 mg/mL;約132 mg/mL;約133 mg/mL;約134 mg/mL;約135 mg/mL;約140 mg/mL;約145 mg/mL;約150 mg/mL;約155 mg/mL;約160 mg/mL;約165 mg/mL;約170 mg/mL;約175 mg/mL;約180 mg/mL;約185 mg/mL;約190 mg/mL;約195 mg/mL;又は約200 mg/mL含み得る。
【0031】
賦形剤及びpH
本発明の薬学的製剤は、1つ又はそれ以上の賦形剤を含む。用語「賦形剤」は、本明細
書において使用される場合、所望のコンシステンシー、粘度又は安定効果を提供するために製剤へ添加される任意の非治療剤を意味する。
【0032】
ある実施態様において、本発明の薬学的製剤は、少なくとも1つのアミノ酸を含む。本
発明の製剤における使用に適した例示的なアミノ酸としては、特に、アルギニン及び/又はヒスチジンが挙げられる。
【0033】
本発明の薬学的製剤中に含有されるアミノ酸の量は、製剤に望まれる特定の特性、並びに製剤が使用されるように意図される特定の状況及び目的に応じて変化し得る。ある実施態様において、製剤は、約1 mM〜約200 mMのアミノ酸;約2 mM〜約100 mMのアミノ酸;約5 mM〜約50 mMのアミノ酸;又は約10 mM〜約25 mMのアミノ酸を含有し得る。例えば、本
発明の薬学的製剤は、約1 mM;約1.5 mM;約2 mM;約2.5 mM;約3 mM;約3.5 mM;約4 mM;約4.5 mM;約5 mM;約5.5 mM;約6 mM;約6.5 mM;約7 mM;約7.5 mM;約8 mM;約8.5 mM;約9 mM;約9.5 mM;約10 mM;約10.5 mM;約11 mM;約11.5 mM;約12 mM;約12.5 mM;約13 mM;約13.5 mM;約14 mM;約14.5 mM;約15 mM;約15.5 mM;16 mM;約16.5 mM;約17 mM;約17.5 mM;約18 mM;約18.5 mM;約19 mM;約19.5 mM;約20 mM;約20.5 mM;約21 mM;約21.5 mM;約22 mM;約22.5 mM;約23 mM;約23.5 mM;約24 mM;約24.5 mM;約25 mM;約25.5 mM;約26 mM;約26.5 mM;約27 mM;約27.5 mM;約28 mM;約28.5 mM;約29 mM;約29.5 mM;約30 mM;約35 mM;約40 mM;約45 mM;又は約50 mMのアミノ酸(
例えば、ヒスチジン及び/又はアルギニン)を含み得る。
【0034】
本発明の薬学的製剤はまた、1つ又はそれ以上の炭水化物、例えば、1つ又はそれ以上の糖を含み得る。糖は、還元糖又は非還元糖であり得る。「還元糖」は、例えば、ケトン又はアルデヒド基を有する糖を含み、糖が還元剤として作用することを可能にする、反応性ヘミアセタール基を含有する。還元糖の具体例としては、フルクトース、グルコース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マンノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース及びマルトースが挙げられる。非還元糖は、アセタールであるアノマー炭素を含み得、メイラード反応を開始するようにはアミノ酸又はポリペプチドと実質的に反応性でない。非還元糖の具体例としては、スクロース、トレハロース、ソルボース、スクラロース、メレチトース及びラフィノースが挙げられる。糖酸としては、例えば、サッカリン酸、グルコナート及び他のポリヒドロキシ糖、並びにそれらの塩が挙げられる。
【0035】
本発明の薬学的製剤中に含有される糖の量は、製剤が使用される特定の状況及び意図される目的に応じて変化し得る。ある実施態様において、製剤は、約0.1%〜約20%糖;約0.5%〜約20%糖;約1%〜約20%糖;約2%〜約15%糖;約3%〜約10%糖;約4%〜約10%糖;又は約5%〜約10%糖を含有し得る。例えば、本発明の薬学的製剤は、約0.5%;約1.0%;約1.5%;約2.0%;約2.5%;約3.0%;約3.5%;約4.0%;約4.5%;約5.0%;約5.5%;約6.0%;6.5%;約7.0%;約7.5%;約8.0%;約8.5%;約9.0%;約9.5%;約10.0%;約10.5%;約11.0%;約11.5%;約12.0%;約12.5%;約13.0%;約13.5%;約14.0%;約14.5%;約15.0%;約15.5%;約16.0%;16.5%;約17.0%;約17.5%;約18.0%;約18.5%;約19.0%;約19.5%;又は約20.0%糖(例えば、スクロース)を含み得る。
【0036】
本発明の薬学的製剤はまた、1つ又はそれ以上の界面活性剤を含み得る。本明細書にお
いて使用される場合、用語「界面活性剤」は、それが溶解されている流体の表面張力を減らす及び/又は油と水との間の界面張力を減らす物質を意味する。界面活性剤はイオン性又は非イオン性であり得る。本発明の製剤中に含まれ得る例示的な非イオン性界面活性剤
としては、例えば、アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルポリグルコシド(例えば、オクチルグルコシド及びデシルマルトシド)、脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール及びオレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、及びコカミドTEAが挙げられ
る。本発明の製剤中に含まれ得る具体的な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、及びポリソルベート85;ポロキサマー、例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー407;ポリエチレン−ポリプロピレングリコール;又はポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。ポリソル
ベート20は、TWEEN 20、ソルビタンモノラウラート及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートとしても公知である。
【0037】
本発明の薬学的製剤中に含有される界面活性剤の量は、製剤に望まれる特定の特性、並びに製剤が使用されるように意図される特定の状況及び目的に応じて変化し得る。ある実施態様において、製剤は、約0.05%〜約5%界面活性剤;又は約0.1%〜約0.2%界面活性
剤を含有し得る。例えば、本発明の製剤は、約0.05%;約0.06%;約0.07%;約0.08%;約0.09%;約0.10%;約0.11%;約0.12%;約0.13%;約0.14%;約0.15%;約0.16%;約0.17%;約0.18%;約0.19%;約0.20%;約0.21%;約0.22%;約0.23%;約0.24%;約0.25%;約0.26%;約0.27%;約0.28%;約0.29%;又は約0.30%界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含み得る。
【0038】
本発明の薬学的製剤は、約5.0〜約8.0のpHを有し得る。例えば、本発明の製剤は、約5.0;約5.2;約5.4;約5.6;約5.8;約6.0;約6.2;約6.4;約6.6;約6.8;約7.0;約7.2;約7.4;約7.6;約7.8;又は約8.0のpHを有し得る。
【0039】
例示的な製剤
本発明の一局面によれば、薬学的製剤は、(i)hIL−6Rへ特異的に結合するヒト抗体(例えば、mAb1);(ii)アミノ酸(例えば、ヒスチジン);及び(iii)糖(例えば、ス
クロース)を含む。本発明のこの局面によって包含される具体的で非限定的で例示的な実施態様を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
本発明の別の局面によれば、薬学的製剤は、(i)hIL−6Rへ特異的に結合するヒト抗体(例えば、mAb1);(ii)アミノ酸(例えば、ヒスチジン);(iii)糖(例えば、スク
ロース);及び(iv)界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。本発明のこの局面によって包含される具体的で非限定的で例示的な実施態様を表2A及び2Bに示す。
【0042】
本発明の別の局面によれば、薬学的製剤は、(i)hIL−6Rへ特異的に結合するヒト抗体(例えば、mAb1);(ii)第1アミノ酸(例えば、ヒスチジン);(iii)糖(例えば、スクロース);(iv)界面活性剤(例えば、ポリソルベート20);及び(v)第2アミノ酸(例えば、アルギニン)を含む。本発明のこの局面によって包含される具体的で非限定的で
例示的な実施態様を表3A、3B、3C、3D、3E及び3Fに示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
【表9】
【0051】
本発明によって包含される薬学的製剤の追加の非限定的な例は、下記に示される実施例を含む、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0052】
薬学的製剤の安定性及び粘度
本発明の薬学的製剤は、高レベルの安定性を典型的に示す。用語「安定な」は、薬学的製剤を参照して本明細書において使用される場合、薬学的製剤中の抗体が、規定の時間量
の保存後、許容される程度の構造及び/又は機能及び/又は生物学的活性を保持していることを意味する。その中に含有される抗体が規定の時間量の保存後に100%のその構造及
び/又は機能及び/又は生物学的活性をたとえ維持しないとしても、製剤は安定であり得る。ある状況下で、規定の時間量の保存後の抗体の構造及び/又は機能及び/又は生物学的活性の約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の維持は、「安定」と見なされ得る。
【0053】
安定性は、特に、所定の温度での規定の時間量の保存後の製剤中に残存している天然抗体のパーセンテージを測定することによって、測定され得る。天然抗体のパーセンテージは、特に、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー[SE−HPLC])によって測定され得る。「許容される程度の安定性」は、その句が本明細書において使用される場合、抗体の未変性形態の少なくとも90%が、所定の温度での規定の時間量の保存後の製剤中において検出され得ることを意味する。ある実施態様において、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の抗体の未変性形態が、所定の温度での規定の時間量の保存後の製剤中において検
出され得る。その後に安定性が測定される規定の時間量は、少なくとも1ヶ月、少なくと
も2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少
なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11
ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、又はそれ以上であり得る。安定性を評価する場合に薬学的製剤が保存され得る温度は、約−80℃〜約45℃の任意の温度、例えば、約−30℃、約−20℃、約0℃、約5℃、約25℃、又は約45℃での保存であり得る。例えば、5℃での3ヶ月の保存後に約90%、95%、96%又は97%を超える天然抗体がSE−HPLCによって検出される場合、薬学的製剤は安定と見なされ得る。5℃での6ヶ月の保存後に約90%、95%、96%又は97%を超える天然抗体がSE−HPLCによって検出される場合、薬学的製剤はまた安定と見なされ得る。5℃での9ヶ月の保存後に約90%、95%、96%又は97%を超える天然抗体がSE−HPLCによって検出される場合、薬学的製剤はまた安定と見なされ得る。25℃での3ヶ月の保存後に約90%、95%、96%又は97%を超える天然抗体
がSE−HPLCによって検出される場合、薬学的製剤はまた安定と見なされ得る。25℃での6
ヶ月の保存後に約90%、95%、96%又は97%を超える天然抗体がSE−HPLCによって検出される場合、薬学的製剤はまた安定と見なされ得る。25℃での9ヶ月の保存後に約90%、95
%、96%又は97%を超える天然抗体がSE−HPLCによって検出される場合、薬学的製剤はまた安定と見なされ得る。
【0054】
本発明の製剤の安定性を評価するために、他の方法、例えば、熱安定性を測定するための示差走査熱量測定(DSC)、機械的安定性を測定するための制御撹拌、及び溶液濁度を
測定するための約350 nm又は約405 nmでの吸光度が使用され得る。例えば、本発明の製剤は、約5℃〜約25℃での6ヶ月又はそれ以上の保存後、製剤のOD405の変化がt=0での製剤
のOD405から約0.05未満(例えば、0.04、0.03、0.02、0.01、又はそれ以下)である場合
、安定と考えられ得る。
【0055】
安定性はまた、その標的への抗体の結合親和性及び/又は生物学的活性を測定することによって、評価され得る。例えば、本発明の製剤は、規定の時間量(例えば、1〜12ヶ月
)の間の例えば5℃、25℃、45℃などでの保存後、製剤中に含有される抗IL−6R抗体が該
保存前の抗体の結合親和性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれ以上である親和性でIL−6Rへ結合する場合、安定と見なされ得る。製剤中の抗体の安定性を評価するための追加の方法は、下記に示される実施例において示される。
【0056】
流体形態において、本発明の薬学的製剤は、ある実施態様において、低〜中レベルの粘度を示し得る。「粘度」は、本明細書において使用される場合、「動粘度」又は「絶対粘度」であり得る。「動粘度」は、重力の影響下での流体の抵抗性流動の指標である。等し
い体積の2つの流体を同一の毛細管粘度計へ置き、重力によって流動させる場合、粘性流
体は、毛細管を通って流動するためにより低粘性の流体よりも長い時間を要する。例えば、ある流体がその流動を完了するために200秒を要し、別の流体が400秒を要する場合、第2の流体は、動粘度スケールで第1のものの2倍粘性である。力学的又は単純粘度と時には
呼ばれる、「絶対粘度」は、動粘度及び流体密度の積である(絶対粘度=動粘度×密度)。動粘度の寸法はL2/Tであり、ここで、Lは長さであり、Tは時間である。一般的に、動粘度は、センチストークス(cSt)で表される。動粘度のSI単位はmm2/sであり、これは1 cStである。絶対粘度は、センチポアズ(cP)の単位で表される。絶対粘度のSI単位はミリ
パスカル−秒(mPa−s)であり、ここで、1 cP=1 mPa−sである。
【0057】
本明細書において使用される場合、低レベルの粘度は、本発明の流体製剤を参照して、約20センチポアズ(cP)未満の絶対粘度を示す。例えば、本発明の流体製剤は、標準粘度測定技術を使用して測定される場合に、製剤が約19 cP、約18 cP、約17 cP、約16 cP、約15 cP、約14 cP、約13 cP、約12 cP、約11 cP、約10 cP、約9 cP、約8 cP、約7 cP、約6 cP、約5 cP、約4 cP、又はそれ以下の絶対粘度を示すならば、「低粘度」を有すると見なされる。本明細書において使用される場合、中レベルの粘度は、本発明の流体製剤を参照して、約30 cP〜約20 cPの絶対粘度を示す。例えば、本発明の流体製剤は、標準粘度測定技術を使用して測定される場合に、製剤が約30 cP、約29 cP、約28 cP、約27 cP、約26 cP、約25 cP、約24 cP、約23 cP、約22 cP、約21 cP又は約20 cPの絶対粘度を示すならば
、「中粘度」を有すると見なされる。
【0058】
下記の実施例6に説明されるように、本発明者らは、高濃度の抗hIL−6R抗体(例えば、少なくとも175 mg/mLまで)を含む低〜中粘度の流体製剤が、抗体を25 mM〜100 mMヒスチジン及び25 mM〜50 mMアルギニンと共に処方することによって得ることができるという驚くべき発見をした。さらに、スクロース含有量を10%未満へ調節することによって製剤の粘度をさらに大きな程度まで減少させ得ることをさらに発見した。
【0059】
薬学的製剤用の容器及び投与方法
本発明の薬学的製剤は、医薬及び他の治療用組成物の保存に適した任意の容器内に含有され得る。例えば、薬学的製剤は、バイアル、アンプル、注射器、カートリッジ、又はボトルなどの、規定の体積を有する密閉及び殺菌されたプラスチック又はガラス容器内に含有され得る。例えば、透明又は不透明(例えば、琥珀色)ガラス又はプラスチックバイアルを含む、種々のタイプのバイアルが、本発明の製剤を含有するために使用され得る。同様に、任意のタイプの注射器が、本発明の薬学的製剤を含有する及び/又は投与するために使用され得る。
【0060】
本発明の薬学的製剤は、「通常のタングステン」注射器又は「低タングステン」注射器中に含有され得る。当業者によって認識されるように、ガラス注射器を作製するプロセスは、ガラスに穴をあけるように機能する熱いタングステンロッドを使用し、それによって、液体が注射器から引き出され放出され得る穴を作製することを一般的に必要とする。このプロセスは、注射器の内部表面上における微量のタングステンの堆積をもたらす。その後の洗浄及び他のプロセッシング工程が、注射器中のタングステンの量を減らすために使用され得る。本明細書において使用される場合、用語「通常のタングステン」は、注射器が、500十億分率(ppb)を超えるタングステンを含有することを意味する。用語「低タングステン」は、注射器がタングステンを500 ppb未満含有することを意味する。例えば、
低タングステン注射器は、本発明によれば、約490、480、470、460、450、440、430、420、410、390、350、300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10 ppb未満又はそれ以下のタングステンを含有し得る。
【0061】
注射器において使用されるゴムプランジャー、及びバイアルの開口部を閉じるために使
用されるゴム栓は、注射器又はバイアルの医薬内容物の汚染を防ぐため及び/又はそれらの安定性を保つために、コーティングされ得る。従って、ある実施態様に従う、本発明の薬学的製剤は、コーティングされたプランジャーを含む注射器内に、又はコーティングされたゴム栓で密封されているバイアル内に、含有され得る。例えば、プランジャー又は栓は、フルオロカーボンフィルムでコーティングされ得る。本発明の薬学的製剤を含有するバイアル及び注射器と共の使用に適したコーティングされた栓及び/又はプランジャーの例は、例えば、米国特許第4,997,423号;第5,908,686号;第6,286,699号;第6,645,635号;及び第7,226,554号に記載されており、これらの内容は、参照によりそれらの全体が本
明細書に組み入れられる。本発明の文脈において使用され得る特定の例示的なコーティングされたゴム栓及びプランジャーは、West Pharmaceutical Services, Inc. (Lionville,
PA)から入手可能な、商品名「FluroTec(登録商標)」で市販されている。
【0062】
本発明のある実施態様によれば、薬学的製剤は、フルオロカーボンコートプランジャーを含む低タングステン注射器内に含有され得る。下記の実施例セクションにおいて議論されるように、低タングステン注射器及びフルオロカーボンコートプランジャーの組み合わせは、本発明の薬学的製剤に関して驚くべき安定性をもたらすことが観察された。
【0063】
薬学的製剤は、非経口経路、例えば、注射(例えば、皮下、静脈内、筋内、腹腔内など)又は経皮、経粘膜、経鼻、経肺及び/又は経口投与によって患者へ投与され得る。多数の再使用可能なペン及び/又はオートインジェクター送達デバイスが、本発明の薬学的製剤を皮下に送達するために使用され得る。例としては、少数だけ例を挙げると、以下が挙げられるが、これらに限定されない:AUTOPEN(商標)(Owen Mumford, Inc., Woodstock, UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems, Bergdorf, Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co., Indianapolis, IN)、NOVOPEN(商標)I、II及びIII(Novo Nordisk, Copenhagen, Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk, Copenhagen, Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)、OPTIPEN(商標
)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、及びOPTICLIK(商標)(sanofi−aventis, Frankfurt, Germany)。本発明の薬学的組成物の皮下送達における適用を有す
る使い捨てのペン及び/又はオートインジェクター送達デバイスの例としては、少数だけ例を挙げると、以下が挙げられるが、これらに限定されない:SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi−aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)オートインジェクター(Amgen, Thousand Oaks, CA)、PENLET(
商標)(Haselmeier, Stuttgart, Germany)、EPIPEN(Dey, L.P.)、及びHUMIRA(商標
)ペン(Abbott Labs, Abbott Park, IL)。
【0064】
本発明の薬学的製剤を送達するためのマイクロインフューザー(microinfusor)の使用もまた本明細書において考えられる。本明細書において使用される場合、用語「マイクロインフューザー」は、長時間(例えば、約10、15、20、25、30分又はそれ以上)にわたって大量(例えば、約2.5 mL又はそれ以上まで)の治療製剤を徐々に投与するように設計された皮下送達デバイスを意味する。例えば、U.S. 6,629,949;US 6,659,982;及びMeehan
et al., J. Controlled Release 46:107−116 (1996)を参照のこと。マイクロインフュ
ーザーは、高濃度(例えば、約100、125、150、175、200 mg/mL又はそれ以上)及び/又
は粘性溶液中に含有される多量の治療用タンパク質の送達に特に有用である。
【0065】
薬学的製剤の治療使用
本発明の薬学的製剤は、特に、IL−6受容体の活性化によって媒介される疾患又は障害
を含む、IL−6活性に関連する任意の疾患又は障害の治療、予防及び/又は改善に有用で
ある。本発明の薬学的製剤の投与によって治療及び/又予防され得る例示的で非限定的な疾患及び障害としては、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸
炎、膵臓炎、若年性特発性関節炎、脈管炎、川崎病、全身性エリテマトーデス(systemic
lupus erythematosis)、乾癬、乾癬性関節炎、シェーグレン病、スティル病、キャッスルマン病、多発性硬化症、異常な血液凝固又はフィブリン溶解に関連する疾患(例えば、血栓症)、癌(例えば、乳癌、白血病、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、膵臓癌、リンパ腫、肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、多発性骨髄腫など)、悪液質、移植臓器及び細胞の慢性拒絶、心臓障害、ウイルス感染(例えば、HIV感染、EBV感染など)、形質細胞増加症、高免疫グロブリン血症、貧血、腎炎、中皮腫、並びに聴力損失及び他の内耳障害が挙げられる。
【0066】
従って、本発明は、IL−6活性又はIL−6R活性化に関連する任意の疾患又は障害(上述
の例示的な疾患、障害及び状態のいずれかを含む)を治療、予防及び/又改善する方法を含む。本発明の治療方法は、本明細書に開示される抗hIL−6R抗体を含む任意の製剤を被
験体へ投与する工程を含む。薬学的製剤が投与される被験体は、例えば、このような治療、予防及び/又は改善の必要があるか、又はそうでなければIL−6及び/又はIL−6R媒介
活性の阻害又は減少から利益を得る、任意のヒト又は非ヒト動物であり得る。例えば、被験体は、上述の疾患又は障害のいずれかと診断されるか、又は上述の疾患又は障害のいずれかに冒される危険性があると思われる、個体であり得る。本発明はさらに、IL−6活性
又はIL−6R活性化に関連する任意の疾患又は障害(上述の例示的な疾患、障害及び状態のいずれかを含む)の治療、予防及び/又は改善のための医薬の製造における本明細書に開示される薬学的製剤のいずれかの使用を含む。
【実施例】
【0067】
下記の実施例は、本発明の方法及び組成物の製造及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するために示され、本発明者らが本発明と見なすものの範囲を限定するようには意図されない。使用した数(例えば、量、温度など)に関して精度を確実にするように努力したが、いくらかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に示されない限り、部は質量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又は大気圧付近においてである。
【0068】
実施例1.低温での保存後の完全なヒト抗ヒトインターロイキン6受容体(IL−6R)抗体
(「mAb1」)の安定性
この実施例において、賦形剤無しで抗ヒトIL−6R抗体を含有する様々な製剤を作製した。この実施例及び下記の全てのその後の実施例において使用した例示的な抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)及び配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む抗体である。この抗体は本明細書において「mAb1」と呼ばれる。
【0069】
予備実験として、液体溶液中のmAb1の安定性を、−20℃、−30℃及び−80℃での凍結保存において様々な時間量の後に測定した。この実施例において使用したmAb1の濃度は128 mg/mLであった。様々な時点で、mAb1の安定性を、サイズ排除高速液体クロマトグラフィ
ー(SE−HPLC)及び陽イオン交換高速液体クロマトグラフィー(CEX−HPLC)によって測
定した。サンプル中に残存している天然mAb1のパーセンテージに基づいて(SE−HPLCによる;表4)及びサンプル中に観察される酸性種のパーセンテージによって(CEX−HPLCによる;表5)、安定性を評価した(パーセント酸性種の増加は、抗体の脱アミド化と一致し
、従って、本発明の薬学的製剤に関して望ましくない現象と考えられる)。
【0070】
【表10】
【0071】
【表11】
【0072】
表3及び4の結果をそれぞれ図1及び2に示す。これらの結果は、−80℃で保存された場合、mAb1は、少なくとも9ヶ月間、128 mg/mLの濃度で安定のままであり得ることを示している。
【0073】
実施例2.最小限の賦形剤を含有するmAb1製剤の安定性
表6に示されるmAb1及び最小限の賦形剤を含有する8つの異なる製剤を作製した。
【0074】
−30℃及び−20℃での様々な時間量後に、SE−HPLCによって製剤の安定性を試験した。残存している天然mAb1のパーセントで表される結果を表7(−30℃保存)及び8(−20℃)に示す。
【0075】
【表12】
【0076】
【表13】
【0077】
【表14】
【0078】
表7及び8の結果をそれぞれ図3及び4に示す。この実施例に示されるように、mAb1の安定性は、−20℃及び−30℃での数ヶ月の保存後、製剤1、4、5及び6において著しい程度まで維持された。これらの結果は、−20℃及び−30℃でのmAb1の安定性は少なくとも2%のス
クロースの添加によって増強され得ることを示している。
【0079】
実施例3.mAb1の安定化製剤
様々な濃度のmAb1を含有する安定化製剤を下記の実施例4及び5における使用のために作製した。「製剤A」と名付けたこの製剤を表9に示す。
【0080】
【表15】
【0081】
実施例4.5℃での保存後の製剤Aの安定性
mAb1を25、50又は100 mg/mL含有する製剤A(実施例3を参照のこと)を、透明バイアル
中における5℃での数ヶ月の保存後の安定性について試験した。安定性を以下のパラメー
タによって評価した:(a)外観;(b)濁度(OD 405 nm);(c)pH;(d)回収された
パーセント総mAb1(RP−HPLCによって測定);(d)回収されたパーセント天然mAb1(SE
−HPLCによって測定);(e)回収されたパーセント主要ピークmAb1(CEX−HPLCによって測定);及び(f)回収されたパーセント酸性種mAb1(CEX−HPLCによって測定)。25、50及び100 mg/mLのmAb1を含有する製剤Aについての安定性結果を、それぞれ、表10、11及び12に要約する。
【0082】
【表16】
【0083】
【表17】
【0084】
【表18】
【0085】
【表19】
【0086】
【表20】
【0087】
この実施例の結果は、mAb1を25、50又は100 mg/mL含有する製剤Aは、透明バイアル中における5℃での少なくとも9ヶ月の保存後、安定なままであり、約97%以上の天然mAb1がこのような条件下での9ヶ月の保存後に全てのサンプル中に残存していたことを示している
。50及び100 mg/mL製剤について、それぞれ、96.9%及び96.5%の天然mAb1が、5℃での24ヶ月までの保存後に検出された。さらに、パーセント酸性種は、分析した全ての時点について29%以下のままであり、従って製剤の安定性が確認された。
【0088】
2〜8℃での保存後に、mAb1を75 mg/mL含有する製剤Aを使用して、同様の安定性研究を
また行った。SE−HPLC及びCEX−HPLCによって測定した場合、2〜8℃保存での24ヶ月後、
試験した濃度のいずれについても著しい分解は観察されなかった(データは示さず)。
【0089】
【表21】
【0090】
実施例5.透明及び琥珀色ガラスバイアル中において製造された製剤Aの安定性
追加の実験を行い、琥珀色ガラスバイアル中において製造された25及び100 mg/mL mAb1
を含有する製剤A(実施例3を参照のこと)の安定性を透明バイアル中において製造された同一の製剤と比較した。2つのタイプの琥珀色バイアルをこの実施例において使用した:5
mL及び20 mL琥珀色バイアル。実施例4において使用したのと同一のパラメータに基づい
て5℃、25℃又は45℃での保存後に、安定性を評価した。25 mg/mL及び100 mg/mL製剤についての結果を表13〜21に要約する。
【0091】
【表22】
【0092】
【表23】
【0093】
【表24】
【0094】
【表25】
【0095】
【表26】
【0096】
【表27】
【0097】
【表28】
【0098】
【表29】
【0099】
この実施例に示されるように、mAb1を25 mg/mL又は100 mg/mL含有する製剤Aは、透明又は琥珀色バイアルのいずれかにおいて保存した場合、同等の安定性プロフィールを示した。さらに、透明バイアル中における保存について実施例4において示されたように、12ヶ
月間まで5℃で透明又は琥珀色バイアルのいずれかに中において保存した場合、mAb1の比
較的高い安定性が製剤Aにおいて維持された。
【0100】
実施例6.mAb1を150 mg/mL含有する製剤の粘度及び安定性に対するアルギニン、ヒスチ
ジン及びスクロース濃度の効果
mAb1 150 mg/mL、175 mg/mL及び200 mg/mL並びに様々な量のヒスチジン、アルギニン及びスクロースを含有する、いくつかの製剤を作製した。粘度及びオスモル濃度を各製剤について測定した。さらに、45℃での4週間の保存後の150 mg/mL製剤の安定性を、残存しているパーセント天然mAb1(SE−HPLCによる)及び残存しているパーセント主要ピーク(CEX−HPLCによる)の観点から評価した。結果を表22に要約する。
【0101】
【表30】
【0102】
表16に示される結果は、ヒスチジン濃度を25 mM又は100 mMへ増加させかつアルギニン
を製剤へ添加する(25 mM又は50 mM)ことは、ヒスチジンを10 mMだけ含有しかつアルギ
ニンを含有しない製剤と比較した場合、製剤の粘度を著しく減少させたことを示している。さらに、ヒスチジン及びアルギニンを添加しスクロース濃度を10%から5%へ減らすこ
とは、さらに大きな程度まで製剤の粘度を減少させた。
【0103】
前述に少なくとも一部分基づいて、表23に記載される下記の製剤(「製剤B」及び「製
剤C」と名付けた)を作製した。
【0104】
【表31】
【0105】
実施例7.バイアル及び注射器中において製造された場合のmAb1を150 mg/mL含有する製
剤Bの安定性
mAb1を150 mg/mL含有する製剤B(表23を参照のこと)を、2 mLガラスバイアル中において及び2つの異なる注射器:標準及び低タングステン中において調製した。調製物を、様
々な時間量の間、5、25及び45℃で保存した。保存後のmAb1の安定性をSE−HPLC及びCEX−HPLCによって測定した。結果を表24に示す。(パーセント酸性種の増加は、抗体の脱アミド化と一致し、従って、本発明の薬学的製剤に関して望ましくない現象と考えられる)。
【0106】
【表32】
【0107】
この表に示されるように、ガラスバイアル又は注射器中において5℃で保存された、mAb1を150 mg/mL含有する製剤Bは、少なくとも3ヶ月間、比較的安定のままであった。
【0108】
実施例8:充填済み注射器中におけるmAb1製剤の安定性
一連の実験を行い、充填済み注射器中における種々のmAb1製剤の安定性を評価した。これらの実験について、様々なルアー及びステイクト注射針(staked needle)、標準タン
グステン及び低タングステン注射器を、異なるタイプのプランジャー(コーティング有り及びコーティング無し)及び先端キャップと組み合わせて使用した。様々な時間量(試験した条件に応じて、14日間から12ヶ月間に及ぶ)の間の45℃、25℃及び5℃での充填済み
注射器中における保存後、製剤の安定性を試験した。
【0109】
mAb1の6つの異なる製剤の充填済み注射器中における安定性をこの実施例において試験
した:(1)mAb1を100 mg/mL含有する製剤A(表9を参照のこと)(2)mAb1を25 mg/mL含
有する製剤A(表9を参照のこと);(3)mAb1を150 mg/mL含有する製剤B(表23を参照の
こと);(4)mAb1を25 mg/mL含有する製剤B(表23を参照のこと);(5)mAb1を175 mg/mL含有する製剤C(表23を参照のこと);及び(6)mAb1を25 mg/mL含有する製剤C(表23
を参照のこと)。
【0110】
安定性を以下のパラメータによって評価した:(a)視覚分析;(b)濁度(OD405nm
;(c)RP−HPLCによるパーセント回収;(d)SE−HPLCによるパーセント天然mAb1;(e
)CEX−HPLCによるパーセント主要ピークmAb1;及び(f)CEX−HPLCによるパーセント酸
性種。
【0111】
2つの異なる注射器(注射器番号1及び注射器番号2)中にmAb1を100 mg/mL含有する、製剤Aの安定性を評価する代表的な実験からの結果を、下記の表25及び26に示す。
【0112】
【表33】
【0113】
【表34】
【0114】
2つの異なる注射器(注射器番号1及び注射器番号3)中にmAb1を175 mg/mL含有する、製剤Cの安定性を評価する別の代表的な実験からの結果を、下記の表27及び28に示す。
【0115】
このセットの実験からの結果は、種々の製剤が、1ヶ月以上の間、特に25℃以下の温度
で保存された場合、充填済み注射器中において比較的安定のままであることを示している。さらに、本発明の様々な製剤は、フルオロカーボンコートプランジャーを含有する低タングステン注射器中に含有される場合、増強された安定性を有するようであった。
【0116】
【表35】
【0117】
【表36】
【0118】
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施態様によって範囲が限定されない。実際には、本明細書に記載されるものに加えて本発明の様々な改変物が、前述の説明及び添付の図から、当業者に明らかとなる。このような改変物は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るように意図される。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]