特許第6053899号(P6053899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053899
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】手持ち式工具装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20161219BHJP
   B25D 16/00 20060101ALI20161219BHJP
   B23B 45/16 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B25B21/02 G
   B25D16/00
   B23B45/16 A
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-229860(P2015-229860)
(22)【出願日】2015年11月25日
(62)【分割の表示】特願2014-549428(P2014-549428)の分割
【原出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-27952(P2016-27952A)
(43)【公開日】2016年2月25日
【審査請求日】2015年12月22日
(31)【優先権主張番号】102011089910.3
(32)【優先日】2011年12月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヘル
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−116000(JP,A)
【文献】 特開2001−219383(JP,A)
【文献】 特表2013−540601(JP,A)
【文献】 実開平05−049268(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/101556(WO,A1)
【文献】 特表2010−519059(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1690642(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B21/02
B23B45/16
B25D16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの直線的に移動可能なハンマ(44a)と、少なくとも打撃穴あけ運転の際に前記ハンマ(44a)を軸方向の打撃方向(54a)に駆動するカーブガイド(62a,64a)とを有した打撃機構(22a;22b;22c)と、
前記ハンマ(44a)が少なくとも1つの面で少なくともほぼ取り囲んでいる工具スピンドル(38a)と、を備え、
前記打撃機構(22a;22b;22c)は、打撃機構スピンドル(46a;46c)を有しており、該打撃機構スピンドルは、前記カーブガイド(62a,64a)の少なくとも一部を有しており、前記工具スピンドル(38a)は、前記打撃機構スピンドル(46a;46c)に対して少なくともほぼ同軸に配置されている、手持ち式工具装置であって、
前記ハンマ(44a)は、前記カーブガイド(62a,64a)の少なくとも一部を有していることを特徴とする、手持ち式工具装置。
【請求項2】
前記カーブガイド(62a,64a)は、打撃フリー走行領域(78a,80a)を有している、請求項1記載の手持ち式工具装置。
【請求項3】
前記カーブガイド(62a,64a)は、打撃引戻し領域(82a,84a)を有している、請求項1又は2記載の手持ち式工具装置。
【請求項4】
前記カーブガイド(62a,64a)は、組付け穴(86a,88a)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置。
【請求項5】
打撃機構スピンドル(46a;46c)は前記カーブガイド(62a,64a)のガイドカーブ(66a,68a)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置。
【請求項6】
前記ハンマ(44a)は前記打撃機構スピンドル(46a;46c)を少なくとも1つの面で少なくともほぼ取り囲んでいる、請求項1から4までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置。
【請求項7】
前記打撃機構(22a;22b;22c)は、少なくとも1つの運転状態でハンマ(44a)に運動を伝達する係合手段(70a,72a)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置。
【請求項8】
前記打撃機構(22a;22b;22c)は、前記ハンマ(44a)を相対回動不能に支持するハンマガイド(52a)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置。
【請求項9】
手持ち式工具ケーシング(14a)が設けられており、前記打撃機構(22a;22b;22c)は打撃機構ばね(48a)を有しており、該打撃機構ばね(48a)は前記ハンマ(44a)と前記手持ち式工具ケーシング(14a)とに支持されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置。
【請求項10】
前記打撃機構(22a;22b;22c)は、第1のカーブガイド(62a)と第2のカーブガイド(64a)とを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の手持ち式工具装置(12a)を備えた手持ち式工具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
欧州特許1690642A1号明細書では既に、少なくとも1つのハンマと、少なくとも打撃穴あけ運転の際に前記ハンマを駆動するカーブガイドとを有した打撃機構を備えた手持ち式工具装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】欧州特許1690642A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
本発明は、少なくとも1つのハンマと、少なくとも打撃穴あけ運転の際に前記ハンマを駆動するカーブガイドとを有した打撃機構を備えた手持ち式工具装置を起点としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ハンマが、前記カーブガイドの少なくとも一部を有していることが提案される。「打撃機構」とは特に、打撃パルスを発生させて特に装着工具の方向に与えるために設けられている装置を意味する。好適には打撃機構は、打撃パルスを少なくとも打撃穴あけ運転の際に、好適には工具スピンドルを介して、かつ/又は特に手持ち式工具装置の工具チャックを介して、装着工具へとさらに送る。好適には打撃機構は、回転運動を、特に並進的な打撃運動へと変換するために設けられている。「設けられている」とは特に、特別に設計されている、かつ/又は装備されていることを意味する。特に「ハンマ」の記載は、少なくとも打撃穴あけ運転の際に、特に並進的に加速されて、加速の際に吸収したパルスを、打撃パルスとして装着工具の方向で付与する手段を意味する。好適にはハンマは一体的に形成されている。選択的にはハンマは複数の部分から形成することもできる。特に「カーブガイド」とは、打撃を発生させるために、回転エネルギを、少なくとも打撃穴あけ運転の際に係合手段が沿って動く、少なくとも特別に成形されたガイド面によって、ハンマの直線運動エネルギへと変換する装置を意味する。好適には打撃機構は打撃機構ばねを有しており、該打撃機構ばねは、打撃を発生させるためにハンマの直線的な運動エネルギを蓄える。好適には、特別に成形された面が、カーブガイドのガイドカーブを制限する面を成す。「係合手段」とは特に、打撃穴あけ運転の際に回転運動する打撃機構の少なくとも一部、特に打撃機構スピンドルと、特に直線運動するハンマとの間を機械的に連結する手段を意味する。特に「ガイドカーブ」とは、少なくとも1つの運転状態で係合手段が動く、ガイド面によって制限された領域を意味する。「打撃機構ばね」とは特に、少なくとも1つの運転状態で、打撃エネルギの少なくとも一部を蓄えるばねを意味する。特に「支持する」とは、打撃機構ばねの一部がハンマに対して相対的に不動に配置されること、又は打撃機構ばねの一部が手持ち式工具ケーシングに対して相対的に不動に配置されることを意味する。打撃機構ばねは、当業者に好適とみなされるばねとして形成されるが、好適にはコイルばねとして形成されている。「駆動する」とは、この関連では特に、カーブガイドが、打撃を発生させるためのエネルギをハンマに伝達することを意味する。「ハンマはカーブガイドの少なくとも一部を有している」という表現は特に、打撃運動を行わせるためのエネルギを係合手段が直接伝達する面をハンマが有していることを意味する。好適には、ハンマが有するカーブガイドの部分は、係合手段をハンマに対して相対的に定置に固定する面として形成されている。好適には、ハンマが有するカーブガイドの部分は、係合手段をハンマに対して相対的に定置に固定している前記面によって制限されている固定穴を含む。好適にはハンマは、所定の運転時に、カーブガイドの一部と、カーブガイドの別の一部、特にガイドカーブとを結合する係合手段を取り付けるように設けられている。好適には係合手段とハンマとはばね支持されずに結合されている。即ち特に、係合手段とハンマとの間には作用的にばねは配置されていない。選択的に係合手段は少なくとも部分的にハンマと一体的に形成されていて良い。さらに選択的に、ハンマが有するカーブガイドの部分は、ガイドカーブとして形成することができる。「定置に」とは特に、係合手段の対称軸線及び/又は中心軸線が、打撃運転の際にハンマに対して相対的に少なくともほぼ不動であることを意味する。手持ち式工具装置の本発明の構成によれば、特に小型で、軽量かつ高性能な打撃機構を提供することができる。特に好適には、振動軸受及びロッカアームを省くことができる。
【0005】
別の構成では、カーブガイドが打撃フリー走行領域を有しており、これにより、短い構成長さで大きな打撃エネルギと、好適には僅かな摩耗とを得ることができる。「打撃フリー走行領域」とは特に、打撃機構ばねがハンマを打撃方向で加速する際に係合手段が配置されている、カーブガイドのガイドカーブの領域を意味している。好適には打撃フリー走行領域は、係合手段が打撃フリー走行領域を様々な軌道に沿って通ることができるように幅広く形成されている。好適には、打撃フリー走行領域は少なくとも打撃穴あけ運転の際にハンマに力を加えない。
【0006】
さらに、カーブガイドが打撃引戻し領域を有していることが提案される。これにより、特に僅かな振動を伴う好適な運転を得ることができる。特に「打撃引戻し領域」とは、ハンマを、少なくとも打撃穴あけ運転の際に、特に手持ち式工具ケーシングに対して相対的に打撃方向とは逆方向に動かすカーブガイドのガイドカーブの領域を意味する。好適には、打撃方向とは逆方向で打撃引戻し領域により生ぜしめられるトライカの運動により、打撃機構ばねは圧縮させられる。好適には、打撃引戻し領域のガイド面は、打撃方向に対して相対的に、5°〜35°の、好適には10°〜25°の傾斜を有している。
【0007】
さらにカーブガイドが組付け穴を有していることが提案される。これにより有利な組み付け及び特に小さい構成が可能である。「組付け穴」とは特に、組み付けの際に係合手段を通過させてガイドカーブ内に取り付けることができる、打撃機構スピンドル及び/又はハンマによって制限された領域を意味する。
【0008】
さらに打撃機構が打撃機構スピンドルを有していて、該打撃機構スピンドルはカーブガイドの少なくとも一部を有していることが提案される。これによりコンパクトな構成を得ることができる。「打撃機構スピンドル」とは特に、手持ち式工具装置の遊星歯車伝動装置による回転運動をカーブガイドに伝達する軸を意味する。好適には、打撃機構スピンドルは中空軸として構成されている。
【0009】
さらに、打撃機構スピンドルがカーブガイドのガイドカーブを有していることが提案される。これにより簡単な製造が可能である。選択的又は付加的に打撃機構スピンドルは、打撃機構スピンドルに対して相対的に的に係合手段を取り付けるための固定穴を有していて良い、かつ/又は少なくとも部分的に係合手段と一体的に形成されていて良い。
【0010】
本発明の好適な構成では、ハンマが少なくとも1つの面で打撃機構スピンドルを少なくともほぼ取り囲んでいることが提案される。これにより僅かな体積と重量を有した構成が可能である。特に「少なくとも1つの面で少なくともほぼ取り囲む」という表現は、この面上に位置する、打撃機構スピンドルの軸線を基点とした半直線が、少なくとも180°の、好適には少なくとも270°の角度範囲にわたってハンマに交差していることを意味している。特に好適にはハンマは打撃機構スピンドルを360°取り囲んでいる。
【0011】
別の構成では、打撃機構が、少なくとも1つの運転状態で、特に打撃機構スピンドルの運動をハンマに伝達する係合手段を有していることが提案される。これにより僅かな摩耗、効果的な製造、簡単な組み付けを得ることができる。
【0012】
さらに、手持ち式工具装置が工具スピンドルを有しており、該工具スピンドルをハンマが少なくとも1つの面で少なくともほぼ取り囲んでいることが提案される。「工具スピンドル」とは特に、遊星歯車伝動装置の回転運動を工具チャックへと伝達する軸を意味する。好適には工具スピンドルは中実の軸として形成されている。選択的に、工具スピンドルを中空軸として形成することもできる。
【0013】
さらに、工具スピンドルが打撃機構スピンドルに対して少なくともほぼ同軸に配置されていることが提案される。これにより特にコンパクトな構成が可能である。特に「少なくともほぼ同軸に配置されている」との表現は、工具スピンドルの回転軸線と、打撃機構スピンドルの回転軸線との互いの間隔が少なくとも一点で、20mmよりも小さくなるように、好適には10mmよりも小さくなるように配置されていて、互いの方向の差が15°よりも小さく、好適には5°よりも小さいことを意味している。特に好適には、工具スピンドルの回転軸線及び打撃機構スピンドルの回転軸線は同じ直線上に配置されていて、同じ方向に向けられている。
【0014】
さらに、打撃機構が、ハンマを相対回動不能に支持するハンマガイドを有していることが提案される。これにより構造的に簡単なカーブガイドが可能となる。「ハンマガイド」とは特に、ハンマを打撃方向に対して平行に可動に支持している装置を意味している。特に「相対回動不能に支持する」との表現は、ハンマガイドが特に、手持ち式工具ケーシングに対して相対的なハンマの各回転運動に反して作用することを意味する。
【0015】
さらに、手持ち式工具装置が手持ち式工具ケーシングを有しており、打撃機構が、ハンマと手持ち式工具ケーシングとに支持されている打撃機構ばねを有していることが提案される。これにより軸方向の構成長さを特に小さくすることができる。特に「手持ち式工具ケーシング」とは、少なくとも打撃機構と、遊星歯車伝動装置と、手持ち式工具装置の駆動ユニットとが配置された内室を有するケーシングを意味する。好適には、手持ち式工具ケーシングは、少なくとも打撃機構と、遊星歯車伝動装置と、手持ち式工具装置の駆動ユニットとを少なくとも部分的に互いに結合させる。
【0016】
本発明の好適な構成では、打撃機構は第1のカーブガイドと第2のカーブガイドとを有していることが提案される。これにより僅かな摩耗と高度なスムーズな動きが可能である。
【0017】
さらに本発明は、本発明による手持ち式工具装置を備えた手持ち式工具を基点としている。好適には手持ち式工具は、装着工具を、ねじ締めモード、穴あけモード、打撃穴あけモード、特にハツリモードで駆動するように設けられている。
【0018】
図面
さらなる利点は以下の図面の説明に記載されている。図面には本発明の5つの実施例が記載されている。図面、明細書、請求項には、組み合わされた複数の特徴が含まれている。当業者はこれらの特徴を目的に応じて個々に考察し、好適な別の組み合わせにまとめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による手持ち式工具装置を備えた手持ち式工具を示した断面図である。
図2図1の手持ち式工具装置の打撃機構と遊星歯車伝動装置を部分的に示した断面図である。
図3図1のA−A線に沿って断面した手持ち式工具装置の打撃機構の第1の断面Aを示した図である。
図4図1のB−B線に沿って断面した手持ち式工具装置の打撃機構の第2の断面Bを示した図である。
図5図1の手持ち式工具装置の打撃機構の打撃機構スピンドルを示した斜視図である。
図6図1の手持ち式工具装置の打撃機構のハンマを示した斜視図である。
図7図1のC−C線に沿って断面した手持ち式工具装置の第1の遊星歯車伝動段と第1の打撃切替装置の断面Cを示した図である。
図8図1のD−D線に沿って断面した手持ち式工具装置の制御エレメントと第2の打撃切替装置の断面Dを示した図である。
図9図1の手持ち式工具装置の一部を断面して示した斜視図である。
図10図1のE−E線に沿って断面した手持ち式工具装置のスピンドルロック装置の断面Eを示した図である。
図11図1のF−F線に沿って断面した手持ち式工具装置のスピンドルロック装置のロック手段の断面Fを示した図である。
図12図1のG−G線に沿って断面した手持ち式工具装置の第2の遊星歯車伝動段の断面Gを示した図である。
図13図1のH−H線に沿って断面した手持ち式工具装置の第3の遊星歯車伝動段の断面Hを示した図である。
図14図1のI−I線に沿って断面した手持ち式工具装置の第4の遊星歯車伝動段の断面Iを示した図である。
図15図1の手持ち式工具装置の操作装置と保護装置とを概略的に示した図である。
図16】本発明による手持ち式工具装置の第1の打撃切替装置の選択的な実施例を示した図である。
図17】本発明による手持ち式工具装置の第1の打撃切替装置の別の実施例を示した図である。
図18】本発明による手持ち式工具装置の打撃切替ばねの選択的な実施例を示した図である。
図19】本発明による手持ち式工具装置の操作装置と保護装置の選択的な実施例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例の説明
図1には手持ち式工具10aが示されている。この手持ち式工具10aは打撃ドライバドリルとして構成されている。この手持ち式工具10aは、本発明による手持ち式工具装置12aと、手持ち式工具ケーシング14aと、バッテリインターフェース16aとを有している。バッテリインターフェース16aは、手持ち式工具装置12aに、手持ち式工具バッテリ(図示せず)から電力を供給するために設けられている。手持ち式工具ケーシング14aはピストル型に形成されている。手持ち式工具ケーシング14aは多部分から成っている。手持ち式工具ケーシング14aは、操作者が作業過程で手持ち式工具10aを保持するためのハンドグリップ18aを有している。手持ち式工具装置12aは、工具ガイドユニット20aと、打撃機構22aと、第1の打撃切替装置24aと、第2の打撃切替装置26aと、遊星歯車伝動装置28aと、駆動ユニット30aと、操作装置32aと、トルク制限ユニット34aとを有している。
【0021】
工具ガイドユニット20aは、工具チャック36aと、工具スピンドル38aとを有する。工具チャック36aは作業過程で、装着工具(図示せず)、例えばドリルビット若しくはドライバビットを固定している。工具チャック36aは装着工具を摩擦接続的に固定する。工具チャック36aは、操作者によって動かすことができる取り付けられた3つの緊締ツメを有しており、これらの緊締ツメが作業過程で装着工具を固定する。さらに工具チャック36aは、作業過程で装着工具を工具チャック36aに対して、特に工具スピンドル38aに対して軸方向不動に固定する。工具チャック36aの一部と工具スピンドル38aの一部とは互いに相対的に不動であるように互いに結合されている。ここでは工具チャック36aと工具スピンドル38aとは互いに螺合されている。手持ち式工具装置12aは、工具スピンドル38aを、工具チャック36a側で軸受する軸受手段40aを有している。この軸受手段40aは工具スピンドル38aを軸方向摺動可能に支持している。軸受手段40aは工具スピンドル38aに軸方向不動に結合されている。軸受手段40aは手持ち式工具ケーシング14a内で軸方向可動に支持されている。手持ち式工具装置12aは、工具スピンドル38aを、遊星歯車伝動装置28a側で支持する別の軸受手段41aを有している。この軸受手段41aは、転がり軸受として、この場合、ニードル軸受として形成されていて、これにより遊びの少ない軸受が可能である。この軸受手段41aは工具スピンドル38aを軸方向摺動可能に軸受している。打撃機構スピンドル46aは軸受手段41aを取り囲んでいる。軸受手段41aは工具スピンドル38aと打撃機構スピンドル46aとの間に作用的に配置されている。
【0022】
工具スピンドル38aは打撃面42aを有しており、この打撃面42aを、打撃穴あけ運転時に打撃機構22aのハンマ44aが打つ。ハンマ44aは、工具ガイドユニット20aの質量の最大で2/3の質量を有する。ここではハンマ44aの質量は、工具ガイドユニット20aの質量の半分以下である。ハンマ44aの質量は、工具ガイドユニット20aの質量の約45%である。
【0023】
図2には、打撃機構22aと遊星歯車伝動装置28aとが詳しく示されている。打撃機構22aは、ハンマ44aと、打撃機構スピンドル46aと、打撃機構ばね48aと、ハンマ駆動装置50aと、ハンマガイド52aとを有している。ハンマ44aは打撃方向54aで並進的に移動可能に支持されている。打撃方向54aは打撃機構スピンドル46aの軸方向と平行に向けられている。
【0024】
図3及び図4には、打撃機構22aの断面Aと断面Bとが示されている。ハンマガイド52aはハンマ44aを、手持ち式工具ケーシング14aに対して相対回動不能に支持している。ハンマガイド52aは、3つのガイドロッド56aを有しており、ガイドロッド56aに沿ってハンマ44aが滑動する。これらのガイドロッド56aは通常、ハンマ44aを取り囲んで配置されている。ハンマ44aは滑動面58aを有しており、この滑動面58aはガイドロッド56aを、打撃方向54aに対して垂直な面において180°取り囲んでいる。ハンマ44aは、打撃機構スピンドル46aを、打撃方向54aに対して垂直な面で360°取り囲んでいる。さらにハンマ44aは、工具スピンドル38aをこの面で360°取り囲んでいる。さらに打撃機構スピンドル46aは、この面で工具スピンドル38aを360°取り囲んでいる。打撃機構スピンドル46aは、工具スピンドル38aに対して同軸に配置されている。
【0025】
打撃機構ばね48aはハンマ44aを打撃前に打撃方向54aで加速させる。このために手持ち式工具ケーシング14aは打撃機構ばね48aを、ハンマ44aとは反対側で支持している。打撃機構ばね48aは直接ハンマ44aを押す。ハンマ44aはばね取付部60aを有している。ばね取付部60aは環状の凹部として形成されている。図5には、打撃機構スピンドル46aが斜視図で示されている。図6には、ハンマ44aが斜視図で示されている。ハンマ駆動装置50aは第1のカーブガイド62aと第2のカーブガイド64aとを有している。カーブガイド62a,64aはそれぞれ1つのガイドカーブ66a,68aと係合手段70a,72aとを有している。係合手段70a,72aはボール状に形成されている。ハンマ44aは、係合手段70a,72aをハンマ44aに対して相対的に定置に支持している。ハンマ44aは半球状の固定穴74aを有している。係合手段70a,72aは、打撃穴あけ運転の際にガイドカーブ66a,68を滑動する。打撃機構スピンドル46aはカーブガイド62a,64aの一部を、即ちガイドカーブ66a,68aを有している。打撃機構スピンドル46aは、打撃穴あけ運転の際に係合手段70a,72aが移動する空間を制限している。
【0026】
打撃機構スピンドル46aは、中空軸として構成されている。遊星歯車伝動装置28aは打撃機構スピンドル46aを駆動する。このために打撃機構スピンドル46aは、工具チャック36aとは反対側に歯列76aを有している。ガイドカーブ66a,68aはそれぞれ1つの打撃フリー走行領域78a,80aと、打撃引戻し領域82a,84aと、組付け穴86a,88aとを有している。組み付け時には、係合手段70a,72aが組付け穴86a,88aを通ってハンマ44aの固定穴74a内に取り付けられる。打撃機構スピンドル46aは、打撃穴あけ運転時に打撃方向54aで見て時計回りに回転する。打撃引戻し領域82a,84aは螺旋状に形成されている。打撃引戻し領域82a,84aは、打撃機構スピンドル46aの回転軸線90aを中心として180°にわたって延在している。打撃引戻し領域82a,84aは、打撃穴あけ運転の際に、係合手段70a,72aを、ひいてはハンマ44aを打撃方向とは逆方向に動かす。従って、打撃機構22aは、少なくとも1つの運転状態で、打撃機構スピンドル46aの運動をハンマ44aに伝える係合手段70a,72aを有している。
【0027】
打撃フリー走行領域78a,80aは、打撃引戻し領域82a,84aのそれぞれ2つの端部92a,94a,96a,98aを接続している。打撃フリー走行領域78a,80aは、打撃機構スピンドル46aの回転軸線90aを中心として180°にわたって延びている。打撃フリー走行領域78a,80aはそれぞれ1つの打撃側面100a,102aを有しており、打撃側面100a,102aは、打撃引戻し領域82a,84aの、遊星歯車伝動装置28a側の端部を起点として、打撃方向54aにほぼ平行に延びている。係合手段70a,72aが打撃フリー走行領域78a,80aに進入してからは、打撃機構ばね48aはハンマ44aと係合手段70a,72aとを打撃方向54aで加速する。この場合、係合手段70a,72aは打撃フリー走行領域78a,80aによって、軸方向の力を受けることなく、ハンマ44aが打撃面42aに到達するまで動く。カーブガイド62a,64aは回転軸線90aの周りに180°ずらされて配置されている。カーブガイド62a,64aは軸方向で相前後して配置されている。
【0028】
遊星歯車伝動装置28aは、第1の遊星歯車伝動段104aと、第2の遊星歯車伝動段106aと、第3の遊星歯車伝動段108aと、第4の遊星歯車伝動段110aとを有している。図7には、第1の遊星歯車伝動段104aの断面Cが示されている。図7図12図13図15に示された遊星歯車伝動段104a,106a,108a,110aは、当業者にとって有利とみなされる数の歯を備えた歯車を有している。遊星歯車伝動段104a,106a,108a,110aの歯車は互いに係合しており、このことはここでは部分的には示されていない。第1の遊星歯車伝動段104aは、打撃機構22aを駆動するために第2の遊星歯車伝動段106aの第1の回転速度を高める。第2の遊星歯車伝動段106aは、この第1の回転速度で工具スピンドル38aを駆動する。打撃機構スピンドル46aの歯列76aは、第1の遊星歯車伝動段104aのサンギアを成している。歯列76aは、第1の遊星歯車伝動段104aのプラネタリキャリア114aによってガイドされている、第1の遊星歯車伝動段104aのプラネタリギア112aに噛み合っている。第1の遊星歯車伝動段104aのリングギア116aは、第1の遊星歯車伝動段104aのプラネタリギア112aに噛み合っている。
【0029】
第1の打撃切替装置24aは、打撃穴あけ運転の際に、第1の遊星歯車伝動段104aのリングギア116aを手持ち式工具ケーシング14aに対して相対的に不動となるように位置固定する。第1の打撃切替装置24aは、第1の右回転穴あけ回転方向でハンマ駆動装置50aを接続し、第2の左回転穴あけ回転方向でハンマ駆動装置50aを自動的に遮断するように設けられている。第1の打撃切替装置24aは、第1の遊星歯車伝動段104aのリングギア116aに作用する。第1の打撃切替装置24aは、第1の右回転穴あけ回転方向で、第1の遊星歯車伝動段104aのリングギア116aをロックする。第1の打撃切替装置24aは、第2の左回転穴あけ回転方向で、第1の遊星歯車伝動段104aのリングギア116aを解放するので、リングギア116aは回転することができる。このために第1の打撃切替装置24aは3つのクランプ機構122aを有している。これらのクランプ機構122aはそれぞれ1つのロック手段124aと、第1のクランプ面126aと、第2のクランプ面128aと、フリー回転面130aとを有している。ロック手段124aは転動体として形成されている。第1のクランプ面126aは、第1の遊星歯車伝動段104aのリングギア116aの表面の外側に位置する領域である。第2のクランプ面128aは、手持ち式工具ケーシング14aに対して相対的に動かないように配置されている。第1の右回転穴あけ方向での運転の際に、ロック手段124aは、第1のクランプ面126aと第2のクランプ面128aとの間でクランプされる。第2の左回転穴あけ回転方向での運転の際には、フリー回転面130aがロック手段124aをガイドし、クランプを阻止する。
【0030】
さらに図7には、工具スピンドル38aと第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aとを相対回動不能に結合する結合手段118aが示されている。この結合手段118aは、工具スピンドル38aと第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aとを、この場合は軸方向で摺動可能であるように結合する。
【0031】
さらに、図3図4図7には、第2の打撃切替装置26aの3つの第1の伝達手段132aが示されている。これらの伝達手段132aはロッドとして形成されている。図8には、手持ち式工具装置12aの制御エレメント134aの断面Dが示されている。図9には、第2の打撃切替装置26aの断面が斜視図で示されている。制御エレメント134aは、工具ガイドユニット20aを、図1図8図9に示されたねじ締めモードと、穴あけモードにおいて、打撃方向54aとは逆方向で支持している。工具ガイドユニット20aに加えられる力は、軸受手段40aと、第2の打撃切替装置26aの第2の伝達手段136aと、第1の伝達手段132aとを介して、制御エレメント134aの支持面138aに作用する。制御エレメント134aは3つの切欠140aを有している。図2に示した打撃穴あけモードでは、第1の伝達手段132aが切欠140a内に入り込むことができ、これにより工具ガイドユニット20aが軸方向で可動となる。
【0032】
第2の打撃切替装置26aは打撃切替クラッチ142aを有している。打撃切替クラッチ142aは遊星歯車伝動装置28aと部分的に一体的に形成されている。打撃切替クラッチ142aは、第1の遊星歯車伝動段104aと第2の遊星歯車伝動段106aとの間に配置されている。打撃切替クラッチ142aは、第1の遊星歯車伝動段104aのプラネタリキャリア114aに回動不能に結合されている第1のクラッチエレメント144aを有している。打撃切替クラッチ142aは、第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aに回動不能に結合されている第2のクラッチエレメント146aを有している。図示のねじ締めモードと穴あけモードでは打撃切替クラッチ142aは切られている。打撃穴あけ過程では、操作者が装着工具をワークに押し付けると、工具スピンドル38aが軸方向の連結力を打撃切替クラッチ142aに伝達する。この連結力により打撃切替クラッチ142aはつながれる。図2には打撃切替クラッチ142aがつながれた状態で示されている。操作者が装着工具をワークから離すと、手持ち式工具装置12aの打撃切替ばね148aが打撃切替クラッチ142aを切る。
【0033】
第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aは2つの部分から成っている。第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aの第1の部分150aは工具スピンドル38aに回動不能に結合されている。プラネタリキャリア120aの第1の部分150aは軸方向摺動可能に工具スピンドル38aに結合されており、これによりプラネタリキャリア120aは打撃の際も工具スピンドル38aに回動連結されたままである。従って第1の部分150aは永続的に工具スピンドル38aに結合されている。プラネタリキャリア120aの第1の部分150aは打撃切替ばね148aに抗して軸方向摺動可能に支持されている。第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aの第2の部分152aは相対回動不能にプラネタリキャリア120aの第1の部分150aに結合されている。プラネタリキャリア120aの第1の部分150aと第2の部分152aとは互いに軸方向に摺動可能に結合されている。プラネタリキャリア120aの第1の部分150aと第2の部分152aとは永続的に相対回動不能に結合されている。
【0034】
図10には、手持ち式工具装置12aのスピンドルロック装置154aの断面が示されている。スピンドルロック装置154aは、例えば装着工具を工具チャック36aに緊締する際に、工具トルクが工具チャック36aに加えられると、工具スピンドル38aを相対回動不能に手持ち式工具ケーシング14aに結合するために設けられている。スピンドルロック装置154aは部分的に、第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aに一体的に形成されている。スピンドルロック装置154aは、ロック手段156aと、第1のクランプ面158aと、第2のクランプ面160aと、フリー回転面162aとを有している。ロック手段156aは転動体状に形成されている。第1のクランプ面158aは、第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aの第1の部分150aの表面の領域として形成されている。第1のクランプ面158aは偏平に形成されている。第2のクランプ面160aはスピンドルロック装置154aのクランプリング164aの内面として形成されている。クランプリング164aは手持ち式工具ケーシング14aに回動不能に結合されている。フリー回転面162aは、第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aの第2の部分152aの表面の領域として形成されている。工具トルクが工具チャック36aに加えられると、ロック手段156aは第1のクランプ面158aと第2のクランプ面160aとの間にクランプされる。駆動ユニット30aが駆動されると、フリー回転面162aはロック手段156aを円軌道に沿ってガイドし、クランプを阻止する。プラネタリキャリア120aの第1の部分150aと第2の部分152aとは互いに遊びをもって噛み合っている。
【0035】
図1図2図9図10にはトルク制限ユニット34aが示されている。トルク制限ユニット34aは、ねじ締めモードにおいて、工具チャック36aから伝達される最大の工具トルクを制限するために設けられている。トルク制限ユニット34aは、操作エレメント166aと、調節エレメント168aと、制限ばね170aと、伝達手段(詳しくは図示せず)と、第1のストッパ面172aと、第2のストッパ面174aと、制限手段176aとを有している。操作エレメント166aはリング状に形成されている。操作エレメント166aは遊星歯車伝動装置28aの方向で工具チャック36aに接続されている。操作エレメント166aは、調節エレメント168aの調節ねじ山180aに連結されている調節ねじ山178aを有している。調節エレメント168aは回動不能及び軸方向摺動可能に支持されている。操作エレメント166aの回転は調節エレメント168aを軸方向で摺動させる。制限ばね170aは一方では、調節エレメント168aに支持されている。制限ばね170aは、他方では、伝達手段を介してトルク制限ユニット34aのストッパ手段182aに支持されている。ストッパ手段182aの表面は第1のストッパ面172aを有している。ストッパ手段182aはねじ締めモードで軸方向で制限ばね170aに抗して可動に支持されている。第2のストッパ面174aは、第2の遊星歯車伝動段106aのリングギア184aの表面の領域として形成されている。第2のストッパ面174aは、開口部状の凹部186aを有している。制限手段176aはボール状に形成されている。制限手段176aは管状の切欠188aにおいて、打撃方向54aで摺動可能に支持されている。図11には、トルク制限ユニット34aの断面Fが示されている。ねじ締め過程では、制限手段176aが開口部状の凹部186a内に配置されている。制限手段176aは、第2の遊星歯車伝動段106aのリングギア184aを相対回動不能に固定している。調節された最大の工具トルクに達すると、制限手段176aはストッパ手段182aを制限ばね170aに抗して押し離す。次いで制限手段176aはそれぞれ次の開口状の凹部186aに飛び込む。この際に第2の遊星歯車伝動段106aのリングギア184aは回転し、これによりねじ締め工程が中断される。
【0036】
手持ち式工具装置12aの制御エレメント134aは支持手段190aを有しており、該支持手段190aは、少なくとも穴あけ運転の際にストッパ手段182aの軸方向運動を阻止する。このために支持手段190aはストッパ手段182aを軸方向で支持している。ストッパ手段182aはねじ締め切欠192aを有しており、特に図9に示したねじ締め運転で工具トルクが最大に達した際に、ストッパ手段182aはねじ締め切欠192aの部分に入って沈む。支持手段190aは制御エレメント134aのねじ締め位置で相応に配置されている。打撃穴あけ運転の際には支持手段190aはストッパ手段182aの軸方向運動も阻止し、ひいては、トルク制限ユニット34aの反応を阻止する。選択的にストッパ手段182aは、打撃穴あけ運転の際に、ねじ締め切欠192aの部分に入って沈むように配置されていても良い。この場合、トルク制限ユニット34aは打撃穴あけ運転で有効である。
【0037】
図12には、第2の遊星歯車伝動段106aの断面Gが示されている。第2の遊星歯車伝動段106aのリングギア184aは少なくとも穴あけ運転の際に、完全には1回転しないように保持されて、手持ち式工具ケーシング14aに支持されている。第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリギア194aは、第2の遊星歯車伝動段106aのリングギア184aとサンギア196aとに噛み合っている。
【0038】
図13には、第3の遊星歯車伝動段108aの断面Hが示されている。第2の遊星歯車伝動段106aのサンギア196aは、第3の遊星歯車伝動段108aのプラネタリキャリア198aに相対回動不能に結合されている。第3の遊星歯車伝動段108aのプラネタリギア200aは、第3の遊星歯車伝動段108aのサンギア202aとリングギア204aとに噛み合っている。第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aは歯列206aを有しており、この歯列206aは、第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aを第1の変速比で相対回動不能に手持ち式工具ケーシング14aに結合している。
【0039】
図14には、第4の遊星歯車伝動段110aの断面Iが示されている。第3の遊星歯車伝動段108aのサンギア202aは、第4の遊星歯車伝動段110aのプラネタリキャリア208aに回動不能に結合されている。第4の遊星歯車伝動段110aのプラネタリギア210aは、第4の遊星歯車伝動段110aのサンギア212aとリングギア214aとに噛み合っている。リングギア214aは手持ち式工具ケーシング14aに回動不能に結合されている。第4の遊星歯車伝動段110aのサンギア212aは、駆動ユニット30aのロータ216aに回動不能に結合されている。
【0040】
第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aは図2に示したように軸方向に摺動可能に支持されている。第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aは第1の変速比で相対回動不能に手持ち式工具ケーシング14aに結合されている。第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aは第2の変速比で第4の遊星歯車伝動段110aのプラネタリキャリア208aに相対回動不能に結合されていて、手持ち式工具ケーシング14aに対して相対回動可能に支持されている。従って、駆動ユニット30aのロータ216aと、第3の遊星歯車伝動段108aのプラネタリキャリア198aとの間に、第2の変速比の減速比よりも大きな第1の変速比の減速比が生じる。
【0041】
操作装置32aは、第1の操作エレメント218aと第2の操作エレメント220aとを有している。第1の操作エレメント218aは、手持ち式工具ケーシング14aのハンドグリップ18aとは反対の側に配置されている。第1の操作エレメント218aは、遊星歯車伝動装置28aの軸方向に対して平行に運動可能に支持されている。第1の操作エレメント218aは、操作装置32aの調節手段222aを介して、第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aに軸方向で結合されている。第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aは溝224aを有しており、該溝224aに調節手段222aが係合している。従って第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aは、調節手段222aに対して相対的に軸方向回転可能に、調節手段222aに軸方向で結合されている。調節手段222aはばね弾性的に構成されており、これにより第3の遊星歯車伝動段108aのリングギア204aの回転位置とは関係なく変速比を調節することができる。第1の操作エレメント218aが工具チャック36aの方向で摺動されていると、第1の変速比が調節されている。第2の操作エレメント220aが工具チャック36aから離れる方向で摺動されていると、第2の変速比が調節されている。
【0042】
第2の操作エレメント220aは、手持ち式工具ケーシング14aのハンドグリップ18aとは反対の側に配置されている。第2の操作エレメント220aは、遊星歯車伝動装置28aの軸方向に対して平行に向けられた軸線を中心として摺動可能に配置されている。第2の操作エレメント220aは、手持ち式工具装置12aの制御エレメント134aに相対回動不能に結合されている。第2の操作エレメント220aによっては、ねじ締めモード、穴あけモード、打撃穴あけモードにセットすることができる。第2の操作エレメント220aが打撃方向54aで見て左側に向かって摺動されていると、打撃穴あけモードにセットされている。第2の操作エレメント220aが打撃方向54aで見て右側に向かって摺動されていると、ねじ締めモードに調節されている。第2の操作エレメント220aが打撃方向54aで見て真ん中に配置されていると、穴あけモードに調節されている。
【0043】
図15には概略的に、打撃穴あけモードにおいて第1の変速比での運転を阻止する、手持ち式工具装置12aの保護装置226aが示されている。図15では第1の変速比と穴あけモードとがセットされている。保護装置226aは操作装置32aと部分的に一体的に構成されている。第1の操作エレメント218aには保護装置226aの第1のロック手段228aが一体成形されている。第2の操作エレメント220aには保護装置226aの第2のロック手段230aが一体成形されている。ロック手段228aはそれぞれニッパ状に形成されている。第1のロック手段228aは第2の操作エレメント220aの方向で延在している。第2のロック手段230aは第1の操作エレメント218aの方向で延在している。保護装置226aは、第1の変速比にセットされている場合に、打撃穴あけモードへの切替を阻止する。保護装置226aは、打撃穴あけモードにセットされている場合に、第1の変速比への切替を阻止する。
【0044】
駆動ユニット30aは電動モータとして形成されている。駆動ユニット30aは、第1の変速比で15Nmよりも大きく、第2の変速比で15Nmよりも小さい最大の工具トルクを発生させる最大トルクを有している。第1の変速比における最大工具トルクは30Nmである。第2の変速比における最大工具トルクは10Nmである。この場合、工具トルクは、DIN規格のDIN EN60745により規定されている。
【0045】
手持ち式工具装置12aの打撃切替ばね148aは、打撃穴あけ運転の際に使用者が装着工具をワークから離すと、打撃切替クラッチ142aを切る。打撃切替ばね148aは、遊星歯車伝動装置28aの遊星歯車伝動段104a,106a,108a,110aに対して同軸に配置されている。第2の遊星歯車伝動段106aと第3の遊星歯車伝動段108aとはそれぞれ、遊星歯車伝動装置28aの軸方向に対して垂直方向の少なくとも1つの面で打撃切替ばね148aを取り囲んでいる。第2の遊星歯車伝動段106aと第3の遊星歯車伝動段108aとそれぞれ作用的に、遊星歯車伝動装置28aの少なくとも2つの別の遊星歯車伝動段104a,106a,108a,110aの間に配置されている。第2の遊星歯車伝動段106aのプラネタリキャリア120aは打撃切替ばね148aを、工具チャック36aとは反対の側で支持している。
【0046】
図16図19には本発明の別の実施例が示されている。以下の説明及び図面は、上述した実施例との相違点にほぼ限定しており、同様に示された構成部分、特に符号が同じ構成部分は基本的に、別の実施例の、特に図1図15の図面及び/又は説明、を参照することができる。実施例の相違点は、図1図15の実施例の符号aを変更している。図16図19の実施例では、符号aを符号b〜eに変更されている。
【0047】
図16には、第1の打撃切替装置24bの選択的な別の実施例が概略的に示されている。第1の遊星歯車伝動段104bのプラネタリキャリア114bは2つの部分から成っている。プラネタリキャリア114bの第1の部分232bは第1の遊星歯車伝動段104bのプラネタリギア112bをガイドしている。プラネタリキャリア114bの第2の部分234bは第2の遊星歯車伝動段106bに回転を伝えるように連結されている。打撃機構22bの第1の打撃切替装置24bは、当業者に有利とみなされるフリーホイール236bを有しており、このフリーホイール236bは、右回り穴あけ回転方向ではプラネタリキャリア114bの第1の部分232bと第2の部分234bとを回動不能に結合しており、左回り穴あけ回転方向では分離する。第1の遊星歯車伝動段104bのリングギア116bは手持ち式工具ケーシングに継続的に相対回動不能に結合されている。
【0048】
図17には、第1の打撃切替装置24cの次の実施例が概略的に示されている。打撃機構22cの打撃機構スピンドル46cは2つの部分から形成されている。打撃機構スピンドル46cの第1の部分238cは打撃駆動装置に接続されている。打撃機構スピンドル46cの第2の部分240cは第2の遊星歯車伝動段106cに結合されている。第1の打撃切替装置24cは、当業者に有利とみなされるフリーホイール242cを有しており、このフリーホイール242cは、右回り穴あけ回転方向では打撃機構スピンドル46cの第1の部分238bと第2の部分240cとを相対回動不能に結合しており、左回り穴あけ回転方向では分離している。第1の遊星歯車伝動段104cのリングギア116cは継続的に、回動不能に手持ち式工具ケーシング14aに結合されている。
【0049】
図18には、第1の打撃切替ばね148dの別の実施例が示されている。第2の遊星歯車伝動段106dは打撃切替ばね148dを工具チャック側で支持している。駆動ユニット30dは打撃切替ばね148dを、工具チャックとは逆側で支持している。第2の遊星歯車伝動段106dと第3の遊星歯車伝動段108dと第4の遊星歯車伝動段110dとはそれぞれ、遊星歯車伝動段106d,108d,110dの軸方向に対して垂直方向の少なくとも1つの面で打撃切替ばね148dを取り囲んでいる。駆動ユニット30dは相対回動不能に遊星歯車伝動段110dの一部に結合されている。
【0050】
図19には、操作装置32eと保護装置226eの選択的な実施例が示されている。操作装置32eは、第1の操作エレメント218eと第2の操作エレメント220eとを有している。操作エレメント218e,220eは回転軸線244e,246eを中心として旋回可能に支持されている。操作エレメント218e,220eは円板状の基本形状を有している。第1の操作エレメント218eは詳しくは示されていない、当業者に好適であるとみなされる機構を介して遊星歯車伝動装置に接続されている。第1の切替エレメント218eによって第1の変速比及び第2の変速比をセットすることができる。第2の操作エレメント220eは詳しくは示されていない、当業者に好適であるとみなされる機構を介して制御エレメントに接続されている。第2の操作エレメント220eによっては、ねじ締めモード、穴あけモード、打撃穴あけモードにセットすることができる。さらにハツリモードにセットすることができる。
【0051】
保護装置226eは、第1の操作エレメント218eによって画定されるフリー回転領域248eを有している。保護装置226eは、第2の操作エレメント220eによって画定されるフリー回転領域250eを有している。第1の操作エレメント218eのフリー回転領域248eにより、第2の変速比がセットされている場合に、ねじ締めモード、穴あけモード、打撃穴あけモードにセットすることができる。第1の変速比がセットされている場合、第2の操作エレメント220eのフリー回転領域250eによりねじ締めモードと穴あけモードにセットすることができる。打撃穴あけモードでは、保護装置226eによって第1の変速比のセットを阻止する。第1の変速比にセットされている場合には、保護装置226eは打撃穴あけモードのセットを阻止する。
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