【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、特に記載のない全ての操作は温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で行った。
【0060】
〔発色粒子の平均粒子径測定〕
装置としては日機装社製のナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(動的光散乱式)を用いた。測定サンプルとして、発色粒子が0.01重量%、純水99.99重量%のサンプルを用いた。測定条件としては積算回数を30回、1測定辺りの測定時間を30秒とし、体積平均の粒子径分布を用いそのメジアン径を平均粒子径とした。また、30回の積算によって得られた粒度分布の標準偏差と平均粒子径を用いCV値を算出した。
【0061】
〔発色粒子の発色強度測定〕
装置としては日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計JASCO V−650(光学系:シングルモノクロメータ、ツェルニターナマウント、ダブルビーム方式 光源:重水素ランプ(190〜350nm)、ハロゲンランプ(330〜900nm))に同社製の積分球ユニットISV−722を取り付けた装置を用いた。測定するサンプルは、任意の濃度の発色粒子の水分散液又は乾燥粒子を、分散媒として蒸留水を用いて発色粒子が0.01重量%、純水99.99重量%になるよう濃度を調整したものを使用した。この濃度調整した水分散液を、光路長10mmの石英セル(容量:3.5mL 光路幅:10mm)に2.5mL加え、この石英セルを紫外可視近赤外分光光度計のサンプルフォルダにセットし、その後、測定を実施した。得られた吸光度ピークのうち、400〜800nm可視光範囲での最大値(ABS)を発色強度とした。
【0062】
〔発色粒子の着色成分の割合の算出〕
所定回数の着色操作を行った後の発色粒子の重量と、着色前の粒子の重量から計算し算出した。例えば、1.0gのセルロース粒子を着色し、2.5gの着色セルロース粒子を得た場合の着色成分は2.5g−1.0g=1.5gとして計算した。この場合の着色成分の割合は1.5g÷2.5g×100=60.0重量%となる。
【0063】
〔発色粒子のセルロース由来成分の割合の算出〕
前記の通り、「発色粒子のセルロース由来成分の割合」=100%−(発色粒子の着色成分の割合)の計算式によって計算した。
【0064】
〔発色粒子のL/D比測定〕
装置としては日本電子株式社製の走査型電子顕微鏡JSM-6700を用いた。発色粒子が0.01重量%、純水99.99重量%のサンプルを雲母板に滴下し、10秒経過させることで発色粒子を雲母板上に吸着させ、キムワイプで余分な液体を吸い取り乾燥させた。得られた雲母板をプラチナでコーティングし、電子顕微鏡測定用のサンプルを調製した。加速電圧1.6kV、測定倍率5万倍で観測を行い、粒子画像が100個以上になるように必要枚数の画像を撮影し、それぞれの粒子の長径(L)と短径(D)を測定し、粒子100個のL/Dの平均値を算出した。
【0065】
〔不織布の厚みの測定〕
JIS−L1096準拠の厚み試験にて荷重を1.96kPaとして測定した(単位はmm)。
【0066】
〔不織布の目付の測定〕
0.5m
2以上の面積の不織布を、105℃で一定重量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその重量を測定し、不織布の単位面積当たりの重量を測定した(単位はg/m
2)。
【0067】
〔不織布の嵩密度の測定〕
前記の不織布の単位面積当たりの重量を厚みで割り返すことで算出した(単位はg/cm
3)。
【0068】
〔不織布の脱落繊維数の測定〕
純水300mlに25cm×25cmのサンプルを入れ2分間静置した。サンプルを取り出した残りの液を黒色濾紙(ADVANTEC NO131)で濾過し、濾過後の濾紙を恒温室(20℃、65%RH)に12時間入れて乾燥した後、ビデオマイクロスコープにて大きさ100μm以上の脱落繊維数の個数を測定した(単位は個/m
2)。
【0069】
〔イムノクロマト診断キットの診断時間の測定〕
5mm幅にカットしたイムノクロマト診断キットをプラスチックのハウジングに入れた。得られたハウジング入りの診断キットを、浜松ホトニクス社製のイムノクロマトリーダーC10066−10を用い測定した。用いる粒子の色に応じて装置の設定を行った。検査対象物質にはヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下「hCG」という。)を用い、hCGを、1重量%の牛血清アルブミン(以下「BSA」という。)を含む66mM、PH7.4のリン酸緩衝液(以下「PBS」という。)で希釈し、hCG濃度が10mIU/mlの陽性検体を調製した。この陽性検体120μlを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、以降20秒毎にイムノクロマトリーダーで測定を行い、TLの経時変化を測定した。ここで20秒毎とした理由は、測定1回につき20秒弱が必要なためである。イムノクロマトリーダーで得られるTLの発色強度(単位はmABS)が20mABS以上になった時間を測定した。ここで20mABSとした理由は、個人差もあるが20mABS以上になれば目視でもTLの存在を確認できるからである。この測定を5回行い、平均の時間を診断時間とした。
【0070】
〔イムノクロマト診断キットの再現性の測定〕
前記同様に120ulの陽性検体を診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のTLの発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を20回行い、得られた値の平均値をTL強度、その標準偏差をTL強度標準偏差とした。再現性を表す指標%CVは下記式(1)により算出した:
%CV=TL強度標準偏差/TL強度×100・・・式(1)
【0071】
〔イムノクロマト診断キットの偽陽性の測定〕
1重量%BSAを含む66mM、PH7.4のPBSを調整し陰性検体を調製した。120ulの陰性検体を診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のTLの発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を5回行い、得られた値の平均値が5mABS以下であれば偽陽性はないと判断した。ここで5mABSとした理由は、個人差もあるが5mABS以下であれば目視ではTLの存在が確認できないからである。
【0072】
〔イムノクロマト診断キットの検出限界の測定〕
hCG濃度を3.20mIU/ml、1.60mIU/ml、0.80mIU/ml、0.40mIU/ml、0.20mIU/ml、0.10mIU/ml、0.05mIU/ml、0.025mIU/mlと段階的に薄くしていった陽性検体を調製した。前記同様に120μlを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のTLの発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を各濃度で5回行い、得られた値の平均値が陰性検体を測定した時の値+20mABS以上の場合は陽性判定、以下の場合は検出限界以下と見なした。この陽性判定が得られる下限のhCG濃度を検出限界とした。
【0073】
[実施例1]
[抗体感作着色セルロース粒子の調製]
既知の方法で調製した1.0重量%の着色セルロース粒子1(平均粒子径352nm、発色強度2.9ABS、着色成分の割合49%)120μlを15mlの遠心管に入れ、更にトリス緩衝液(50mM、PH7.0)を240μl、0.1%の抗hCG-αマウス抗体(Fitzgerald社製、10-C25C)を120μl加え、ボルテックスで10秒撹拌した。続いて37℃に調整した乾燥機内に入れ120分間静置した。続いて1.0重量%のカゼイン(和光純薬工業社製、030−01505)を含有するブロッキング液(100mMホウ酸、PH8.5)を14.4ml加え、更に37℃の乾燥機内で60分間静置した。続いて遠心分離機(クボタ商事社製、6200)と遠心分離ローター(クボタ商事社製、AF−5008C)を用い、10,000gの遠心を15分間行い、感作粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。続いてホウ酸緩衝液(50mMホウ酸、PH10.0)を14.4ml加え、超音波分散機(エスエムテー社製、UH−50)で10秒間処理した。続いて10,000gの遠心を15分間行い、感作粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。続いてスクロース(和光純薬工業社製、196−00015)を0.6g、1.0重量%のカゼインブロッキング液を0.8g加え、ホウ酸緩衝液(50mMホウ酸、PH10.0)を用い重量を4.0gに調整し、0.03重量%の抗体感作着色セルロース粒子分散液を調整し、超音波分散機で10秒間処理した。
【0074】
〔コンジュゲートパッドへの抗体感作着色セルロース粒子の含浸および乾燥〕
ポリエチレン製コンジュゲートパッド(Pall社製、6613)を大過剰の0.05重量%のTween−20(シグマアルドリッチ社製、T2700)に浸漬し、余分な液を取り除いた後に50℃で60分乾燥させた。続いて高さ10mm、長さ300mmの形状にカットした。続いてマイクロピペットを用い0.03重量%の抗体感作着色セルロース粒子分散液1020μlを均等に塗布し、50℃で60分乾燥させた。
【0075】
〔再生セルロース連続長繊維不織布サンプルパッドの前処理〕
既知の方法で調整した再生セルロース連続長繊維不織布1(目付57.2g/m
2、厚み0.52mm、嵩密度0.11g/cm
3、脱落繊維数2.0千個)を、大過剰の2.0重量%のBSA(シグマアルドリッチ社製、A7906)と2.0重量%のTween−20を含有するPBS緩衝液(66mM、PH7.4)に含浸し、余分な液を取り除いたのちに50℃で60分乾燥させた。続いて高さ20mm、長さ300mmの形状にカットした。
【0076】
〔捕捉抗体塗布ニトロセルロース膜の調製〕
ニトロセルロース膜(Millipore社製、SHF0900425)を高さ25mm、長さ300mmの形状にカットした。液体塗布装置(武蔵エンジニアリング社製、300DS)を用い、0.1重量%抗hCG-βマウス抗体(MedixBiochemica社製、6601)を含むPBS溶液(66mM、PH7.4)を0.1μl/mmの割合で高さ7mmの部分に塗布した。続いて0.1重量%の抗マウス-ウサギ抗体(Daco社製、Z0259)を含むPBS溶液(66mM、PH7.4)を0.1μl/mmの割合で高さ12mmの部分に塗布した。続いて37℃で30分乾燥させた。
【0077】
〔イムノクロマト診断キットの調製〕
バッキングカード(Adhesives Reserch社製、AR9020)に、調整した捕捉抗体塗布ニトロセルロース膜、吸収パッド(Millipore社製、C083)、抗体感作着色セルロース粒子を含有したコンジュゲートパッド、再生セルロース連続長繊維不織布サンプルパッドを、
図1のようなレイアウトで張り合わせた。続いて裁断機にて5mmの幅にカットし、幅5mm、高さ60mmのイムノクロマト診断キットを得た。
【0078】
〔イムノクロマト診断キットの性能評価〕
得られたイムノクロマト診断キットの性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0079】
[実施例2]
発色粒子が着色セルロース粒子2(平均粒子径588nm、発色強度2.7ABS、着色成分の割合45%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0080】
[実施例3]
発色粒子が着色セルロース粒子3(平均粒子径790nm、発色強度2.6ABS、着色成分の割合42%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0081】
[実施例4]
発色粒子が着色セルロース粒子4(平均粒子径185nm、発色強度3.4ABS、着色成分の割合61%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0082】
[実施例5]
発色粒子が着色セルロース粒子5(平均粒子径394nm、発色強度4.8ABS、着色成分の割合75%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0083】
[実施例6]
発色粒子が着色セルロース粒子6(平均粒子径332nm、発色強度1.5ABS、着色成分の割合32%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0084】
[実施例7]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布2(目付72.0g/m
2、厚み0.08mm、嵩密度0.90g/cm
3、脱落繊維数1.1千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0085】
[実施例8]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布3(目付50.3g/m
2、厚み0.75mm、嵩密度0.07g/cm
3、脱落繊維数2.1千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0086】
[実施例9]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布4(目付17.9g/m
2、厚み0.13mm、嵩密度0.14g/cm
3、脱落繊維数1.5千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0087】
[実施例10]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布(目付61.5g/m
2)とポリエステル不織布(目付32.0g/m
2)をウォータジェットで水流交絡させた複合不織布(目付92.5g/m
2、厚み0.30mm、嵩密度0.31g/cm
3、脱落繊維数0.9千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0088】
[実施例11]
キュプラアンモニウム繊維を繊維長30mmにカットし、空気中に親水性バインダーと共に分散し積層させる、乾式エアレイド不織布の製法の一つであるキノクロス法にて、再生セルロース短繊維不織布1(目付49.2g/m
2、厚み0.24mm、嵩密度0.21g/cm
3、脱落繊維数10.5千個)を調製し、それをサンプルパッドに用いること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0089】
[実施例12]
用いる繊維としてリヨセル繊維を用い、実施例11と同様の方法で再生セルロース短繊維不織布2(目付61.3g/m
2、厚み0.50mm、嵩密度0.12g/cm
3、脱落繊維数8.9千個)を調製し、それをサンプルパッドに用いること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0090】
[実施例13]
用いる繊維としてレーヨン繊維を用い、実施例11と同様の方法で再生セルロース短繊維不織布3(目付31.7g/m
2、厚み0.19mm、嵩密度0.17g/cm
3、脱落繊維数10.0千個)を調製し、それをサンプルパッドに用いること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0091】
〔実施例1〜13の説明〕
実施例1〜13においてはいずれも、粒子径が大きく発色強度が高い所定の発色粒子と、嵩密度が低く厚みが薄い所定の再生セルロース系繊維からなる不織布のサンプルパッドを併用することにより、以下の表1に示すように、発色が早く、1分以内に線が発色し、診断時間が短く、分析感度が高く、結果の再現性に優れるイムノクロマト診断キットを得ることができた。
【0092】
[比較例1]
発色粒子が粒子径の小さい着色セルロース粒子7(平均粒子径69nm、発色強度2.8ABS、着色成分の割合48%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子の平均粒子径が小さい場合、1分を超えて線が発色し、診断時間が遅く、分析感度も低かった。
【0093】
[比較例2]
発色粒子が粒子径の大きい着色セルロース粒子8(平均粒子径1017nm、発色強度2.4ABS、着色成分の割合41%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子の平均粒子径が大きい場合は粒子が詰まるためか、診断時間がいくぶん遅く、結果の再現性が悪く、偽陽性も発生した。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
【0094】
[比較例3]
発色粒子が着色ラテックス粒子(平均粒子径351nm、発色強度0.4ABS、着色成分の割合は不明)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子がラテックスの場合は粒子の発色強度が低く、診断時間が遅く、分析感度も低かった。
【0095】
[比較例4]
発色粒子が金コロイド(平均粒子径63nm、発色強度2.3ABS)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子が金コロイドの場合は粒子径が小さく、診断時間が遅く、分析感度も低く、結果の再現性も悪かった。
【0096】
〔比較例1〜4の説明〕
実施例1〜13と比較例1〜4との間の比較から明らかなように、発色粒子の粒子径が最適範囲にない場合や、発色強度が低い場合である比較例1〜4においては、検査時間、分析感度、結果の再現性、偽陽性の有無などを全て兼ね備える診断キットを提供することはできなかった。
【0097】
[比較例5]
サンプルパッドが目付の低い再生セルロース連続長繊維不織布5(目付9.1g/m
2、厚み0.12mm、嵩密度0.08g/cm
3、脱落繊維数2.9千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドに用いる再生セルロース系繊維からなる不織布の目付が低い場合、いくつかの診断キットは検体液の一部が診断キット上から漏れてしまい、コンジュゲートパッドに十分な液量が供給されなかったために粒子のリリースが悪かった。そのためいくつかの診断キットは診断時間が遅く、分析感度が低く、その影響で結果の再現性も悪かった。また、サンプルパッドの前処理の段階で湿潤時のハンドリングが悪く扱いにくかった。
【0098】
[比較例6]
サンプルパッドが、目付が大きく、厚みが厚い再生セルロース連続長繊維不織布6(目付170g/m
2、厚み1.09mm、嵩密度0.16g/cm
3、脱落繊維数2.9千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドに用いる再生セルロース系繊維からなる不織布の目付が大きく、厚みが厚い場合、サンプルパッド自体がある程度の液量を保持してしまうためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
【0099】
[比較例7]
サンプルパッドが厚みの薄い再生セルロース連続長繊維不織布7(目付57.2g/m
2、厚み0.05mm、嵩密度1.14g/cm
3、脱落繊維数1.0千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドに用いる再生セルロース系からなる繊維不織布の厚みが薄い場合、嵩密度が高く吸液速度が悪くなり単位時間当たりの流量が十分でないためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
【0100】
[比較例8]
サンプルパッドがパルプ短繊維不織布1(目付68.0g/m
2、厚み0.16mm、嵩密度0.43g/cm
3、脱落繊維数9.2千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドにパルプ短繊維不織布を用いた場合、繊維自体の親水性が低く単位時間当たりの流量が十分でないためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
【0101】
[比較例9]
サンプルパッドがパルプ短繊維不織布2(市販のイムノクロマト用サンプルパッド、目付179.0g/m
2、厚み0.48mm、嵩密度0.37g/cm
3、脱落繊維数11.1千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドにパルプ短繊維不織布を用いた場合、繊維自体の親水性が低く単位時間当たりの流量が十分でないためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
【0102】
〔比較例5〜9の説明〕
実施例1〜13と比較例5〜9との間の比較から明らかなように、サンプルパッドに用いる再生セルロース系繊維からなる不織布の目付や厚みが所定範囲外である場合や、再生セルロース系繊維以外の繊維からなる場合には、表1に示すように、診断時間、分析感度、結果の再現性、偽陽性の有無などを全て兼ね備える診断キットを提供することはできなかった。
【0103】
[比較例10]
発色粒子が比較例4で用いた金コロイド、サンプルパッドが比較例9で用いたパルプ短繊維不織布2であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。この組み合わせの場合、診断時間は非常に遅く、分析感度は低く、結果の再現性も悪かった。
【0104】
[比較例11]
発色粒子が比較例3で用いた着色ラテックス粒子、サンプルパッドが比較例9で用いたパルプ短繊維不織布2であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。この組み合わせの場合、診断時間は非常に遅く、分析感度は低く、結果の再現性も悪かった。
【0105】
〔実施例1、比較例4、比較例9、比較例10のTL経時変化の比較〕
実施例1、比較例4、比較例9、比較例10で実施したイムノクロマト診断キットの診断時間の測定の結果を用い、TLの発色強度の経時変化を比較した。その結果を
図5に示す。
図5から明らかなように、発色粒子に金コロイドを用いた比較例4、比較例10はサンプルパッドの影響をあまり受けない。また、特定の発色粒子を用いたもののサンプルパッドに市販品のイムノクロマトサンプルパッドを用いた比較例9はある程度の時間が経過した後も緩やかに発色強度が増大している。これはサンプルパッドの吸液速度が十分ではなく、単位時間当たりの検体液の流量が少ないため、コンジュゲートパッドから発色粒子がリリースされ続けているためである。それに対し実施例1では発色強度が非常に高く、かつ発色強度が早く安定化している。これは本発明の奏する所定の発色粒子と所定のサンプルパッドを組み合わせた効果であり、より早い段階でコンジュゲートパッドから粒子がリリースされていることを裏付けるものといえる。
【0106】
実施例1、比較例4、比較例9において、hCG系をインフルエンザ系に変更した以外は全く同じ条件で性能を評価したところ、インフルエンザ系においてもhCG系と同様の効果が確認できた。
【0107】
〔コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率の影響〕
〔実施例14〕
サンプルパッドを長さ17mmにすることでコンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を70%とした以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調整し、その性能を評価した。結果を以下の表2に示す。
【0108】
〔実施例15〕
サンプルパッドの長さを15mmにすることでコンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を50%とした以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調整し、その性能を評価した。結果を以下の表2に示す。
【0109】
〔比較例12〕
サンプルパッドの長さを12mmにすることでコンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を20%とした以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調整し、その性能を評価した。結果を以下の表2に示す。
【0110】
表2に記載の結果から明らかなように、コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を変えると、発色時間は変わらないが、結果の再現性が劣る場合があった。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】