(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054013
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】貼付製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/70 20060101AFI20161219BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20161219BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20161219BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20161219BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20161219BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
A61K9/70 401
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/32
A61K47/36
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-500640(P2010-500640)
(86)(22)【出願日】2009年2月9日
(86)【国際出願番号】JP2009052181
(87)【国際公開番号】WO2009107479
(87)【国際公開日】20090903
【審査請求日】2012年1月13日
【審判番号】不服2015-10861(P2015-10861/J1)
【審判請求日】2015年6月9日
(31)【優先権主張番号】特願2008-46804(P2008-46804)
(32)【優先日】2008年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(74)【代理人】
【識別番号】100152191
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100139000
【弁理士】
【氏名又は名称】城戸 博兒
(72)【発明者】
【氏名】内田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直子
【合議体】
【審判長】
大熊 幸治
【審判官】
齊藤 光子
【審判官】
関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−528413(JP,A)
【文献】
特表2005−535686(JP,A)
【文献】
特表2002−509878(JP,A)
【文献】
特表平7−506083(JP,A)
【文献】
国際公開第96/16642(WO,A1)
【文献】
国際公開第02/38139(WO,A1)
【文献】
特開平11−60475(JP,A)
【文献】
特開平11−209271(JP,A)
【文献】
特開平11−209270(JP,A)
【文献】
特表2003−528045(JP,A)
【文献】
特開2007−16019(JP,A)
【文献】
特開2007−16020(JP,A)
【文献】
特開平8−291069(JP,A)
【文献】
特表2002−509874(JP,A)
【文献】
特表2002−509879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性薬物、金属塩、吸着剤及び粘着基剤を含有する貼付製剤であって、
前記金属塩は、前記塩基性薬物と結合して薬物塩を形成可能な物質の構成成分を含有するものであり、
前記金属塩の含有量は、前記貼付製剤に含まれる前記塩基性薬物と同一モルの薬物塩が形成された場合に、当該塩基性薬物と結合して薬物塩を形成する物質の構成成分のモル数又はそれ以下であり、
前記金属塩は、製造中又は製造後の貼付製剤中で生じたものであり、
前記吸着剤は、タルク、カオリン、ベントナイト、含水シリカ、フュームドシリカ、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、クロスポビドン、乳酸、酸化亜鉛、デキストリン及び乾燥水酸化アルミニウムゲルからなる群より選ばれる少なくとも1つである、貼付製剤。
【請求項2】
前記金属塩は、金属塩化物、金属臭化物、金属よう化物及び有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩である、請求項1記載の貼付製剤。
【請求項3】
前記金属塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、臭化ナトリウム及びコハク酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩である、請求項1又は2に記載の貼付製剤。
【請求項4】
前記塩基性薬物は、塩基性薬物酸付加塩から生じたものである、請求項1記載の貼付製剤。
【請求項5】
前記塩基性薬物酸付加塩は、塩基性薬物の、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、よう化水素酸塩、臭化水素酸塩、メシル酸塩、酒石酸塩又はコハク酸塩である、請求項4記載の貼付製剤。
【請求項6】
支持体と、当該支持体上に設けられ、請求項1〜5のいずれか一項に記載の貼付製剤を含有する粘着剤層と、を備える貼付製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貼付製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物を含有する貼付製剤は、その薬物の消化管への組織吸収性及び肝臓への初回通過の回避による副作用低減効果や、患者のコンプライアンスの向上を期待し、様々な種類が開発されている。
【0003】
しかし、全ての薬物が経皮投与、経粘膜投与、経爪投与等において良好な組織吸収性を示すわけではなく、その組織吸収性を向上させるために種々の検討が行なわれている。
【0004】
薬物はその取り扱い性や安定性の面から酸付加塩の形で市場に出回っている。しかしながら、酸付加塩の薬物をそのまま経皮投与等に適用した場合には組織吸収性が低くなる傾向があることが一般的に知られている。一方、薬物の遊離塩基(フリー体)が組織吸収性の面で好ましいことも知られている。
【0005】
そこで、貼付製剤に用いる薬物の酸付加塩を、その酸付加塩を完全に脱塩する強塩基である水酸化ナトリウム等の金属水酸化物で中和(脱塩)する手法が検討されているが(例えば特許文献1及び2)、これらの手法はいずれも、予めろ過処理を行うことにより生成した金属塩を除くか、そのまま粘着基剤と混和させるものである。
【特許文献1】特開2007−16020号公報
【特許文献2】特表2002−509874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、薬物の酸付加塩の中和反応により薬物のフリー体と金属塩(塩化ナトリウム等)を形成させ、この金属塩をろ過処理で除去することなく粘着基剤とともに混和する、より簡便な製造方法を適用した場合には、中和反応により発生する金属塩が結晶析出することがあり、この結晶は経時的に凝集・成長し、貼付製剤の製造効率、製剤安定性、製剤特性に好ましくない影響を及ぼすことを、本発明者らは見出した。
【0007】
そこで、本発明の目的は、薬物塩を中和した場合に、生じる金属塩の経時的な凝集や成長が抑制された貼付製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、中和反応後に生じた薬物酸付加塩由来の塩は、貼付製剤の製造や中和反応を行なう際に使用した極性溶媒(水、メタノール、エタノール等)の微量な残留物を中心に凝集・成長する可能性があることを見出し、さらにこの凝集・成長は、粘着剤層中に吸着剤を含有させることにより抑制できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、薬物、金属塩、吸着剤及び粘着基剤を含有する貼付製剤であって、上記金属塩は、薬物と結合して薬物塩を形成可能な物質又はその構成成分を含有するものであり、金属塩の含有量は、貼付製剤に含まれる薬物と同一モルの薬物塩が形成された場合に、薬物と結合して薬物塩を形成する物質又はその構成成分のモル数又はそれ以下であり、吸着剤は、前記貼付製剤に含まれる極性溶媒を吸着する吸着剤である、貼付製剤を提供するものである。
【0010】
ここで、薬物が塩基性薬物である場合を例にとり、本発明の貼付製剤中の金属塩について説明する。塩基性薬物を「A」、薬物「A」と結合して薬物酸付加塩を形成可能な物質を「HX」、薬物酸付加塩を「A・HX」と表すと、上述した中和反応は、A・HX+MOH→A+MX+H
2Oと表すことができ、中和反応で生じた塩は「MX」となる。本発明の貼付製剤における金属塩は、この例では「MX」であり、これは、薬物「A」と結合して薬物塩を形成可能な物質「HX」の構成成分「X」を含有する。また、「MX」の含有量は、「A・HX」中の「HX」のモル数又はそれ以下となる。
【0011】
本発明の貼付製剤が含有する吸着剤は、上記中和反応で生じ貼付製剤中に留まる水や、製造工程で使用し貼付製剤中に留まる水、メタノール、エタノール等、極性溶媒を吸着するものであり、無機及び/又は有機物質からなる。
【0012】
本発明においては、金属塩の種類及び含有量が上記のように限定されている上に、極性溶媒を吸着する吸着剤が含まれているために、薬物塩を中和して貼付製剤を製造した場合であっても、生じる金属塩の経時的な凝集や成長が抑制されると考えられ、これにより、貼付製剤の製造効率、製剤安定性及び製剤特性が向上する。
【0013】
本発明の貼付製剤が含有する金属塩は、上記のように製造中に生じたものであってもよいが、製造後の貼付製剤中に(すなわち、製造後使用前の保管時に)生じたものであってもよい。
【0014】
本発明においては、薬物は塩基性薬物であることが好ましく、金属塩は、金属塩化物、金属臭化物、金属よう化物及び有機酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。金属塩として特に好適なものは、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、臭化ナトリウム及びコハク酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【0015】
貼付製剤に含まれる極性溶媒を吸着する能力が高いことから、吸着剤は、タルク、カオリン、ベントナイト、含水シリカ、フュームドシリカ、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、クロスポビドン、カルボキシビニルポリマー、乳酸、酢酸、酸化亜鉛、デキストリン及び乾燥水酸化アルミニウムゲルからなる群より選ばれる少なくとも1つの吸着剤が好ましい。
【0016】
本発明の効果が顕著に奏される上に、適用できる薬効成分の種類も多いことから、塩基性薬物は、塩基性薬物酸付加塩から生じたものであり、塩基性薬物酸付加塩は、塩基性薬物の、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸、よう化水素酸塩、メシル酸塩、酒石酸塩又はコハク酸塩であることが好ましい。
【0017】
本発明の貼付製剤は、いわゆる膏薬としてそのまま皮膚などに適用してもよいが、支持体上に粘着層を形成させ、粘着剤層に貼付製剤を含有させて、プラスター剤等として適用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、薬物塩を中和した場合であっても、生じる金属塩の経時的な凝集や成長が抑制された貼付製剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の貼付製剤の好適な一実施形態を示す斜視図である。
【0020】
1…貼付製剤、2…支持体、3…粘着剤層、4…剥離シート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、好適な実施形態について詳細に説明する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致しない。
【0022】
図1は、本発明の貼付製剤の好適な一実施形態を示す斜視図である。
図1において、貼付製剤1は、支持体2と、支持体2上に積層された粘着剤層3と、粘着剤層3上に貼着された剥離シート4とを備えるものである。粘着剤層3は、薬物、金属塩及び吸着剤を含有する。また、金属塩は、薬物と結合して薬物塩を形成可能な物質又はその構成成分を含有するものであり、その含有量は、貼付製剤に含まれる前記薬物と同一モルの薬物塩が形成された場合に、薬物と結合して薬物塩を形成する物質又はその構成成分のモル数又はそれ以下である。
【0023】
粘着剤層3は2層以上積層されていてもよく、支持体2の一方の面だけでなく両方の面に積層されていてもよい。貼付する際には剥離シート4をはがして使用する。
【0024】
支持体2の材料としては、通常貼付製剤に使用できるものであれば特に限定されるものではなく、伸縮性又は非伸縮性のものが用いられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂で形成された、フィルム若しくはシート又はこれらの積層体、多孔質膜、発泡体、織布及び不織布、あるいは紙材を好適に用いることができる。
【0025】
粘着剤層3は、粘着基剤を含有する。粘着基剤は、粘着剤層3の基剤となり得るものであれば特に限定されないが、アクリル系粘着基剤、ゴム系粘着基剤、シリコーン系粘着基剤等が例示される。
【0026】
アクリル系粘着基剤としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体若しくは共重合体、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他の官能性モノマーとの共重合体が好適に用いられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0027】
ゴム系粘着基剤としては、天然ゴム、合成ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」と略記する)、イソプレンゴム、ポリイソブチレン(以下、「PIB」と略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」と略記する)、スチレン−ブタジエンゴム(以下、「SBR」と略記する)、ポリブテン等が好適に用いられ、通常は粘着付与剤を添加して用いる。
【0028】
シリコーン系粘着基剤としては、ポリジメチルシロキサン等を主成分とするものが使用可能であり、通常はMQレジン等の粘着付与剤を添加して用いる。
【0029】
以上に列挙した粘着基剤の中でも、アクリル酸エステル共重合体又は粘着付与剤が添加されたSISが特に好ましく用いられる。
【0030】
これらの粘着基剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、粘着基剤の配合量は、粘着剤層3の形成及び有効成分の組織透過性を考慮すると、粘着剤層3の全体の質量を基準として10〜95質量%であることが好ましく、15〜80質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることが特に好ましい。
【0031】
粘着剤層3は、薬物を含有する。薬物には、薬物塩が中和反応によってフリー体となったもの、及び中和が不完全で塩形態で残ってしまったものが含まれる。
【0032】
貼付製剤1の製造に用いられる薬物としては、特に限定はされないが、例えば、催眠・鎮静剤(塩酸フルラゼパム、塩酸リルマザホン、フェノバルビタール、アモバルビタール、塩酸メデトミジン、塩酸デクスメデトシン等)、解熱消炎鎮痛剤(酒石酸ブトルファノール、クエン酸ペリソキサール、アセトアミノフェン、メフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、アスピリン、アルクロフェナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ペンタゾシン、インドメタシン、サリチル酸グリコール、アミノピリン、ロキソプロフェン、メロキシカム、ロルノキシカム等)、ステロイド系抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等)、興奮・覚醒剤(塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート等)、精神神経用剤(塩酸イミプラン、ジアゼパム、塩酸セルトラリン、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、臭化水素酸シタロプラム、塩酸フルオキセチン、アルプラゾラム、ハロペリドール、クロミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、アモクサピン、マプロチリン、ミアンセリン、セチプチリン、トラザドン、ロヘプラミン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラフェキシン、塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、ジアゼパム、メプロバメート、エチゾラム等)、ホルモン剤(エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メテロノン、テストステロン等)、局所麻酔剤(塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸テトラカイン、塩酸ジブカイン、塩酸プロピトカイン等)、泌尿器官用剤(塩酸オキシブチニン、塩酸タムスロシン、塩酸プロピベリン、イミダフェナシン、コハク酸ソリフェナシン等)、骨格筋弛緩剤(塩酸チザニジン、塩酸エペリゾン、メシル酸プリジノール、塩酸スキサメトニウム等)、生殖器官用剤(塩酸リトドリン、酒石酸メルアドリン)、抗てんかん剤(バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、カルバマゼピン等)、自律神経用剤(塩化カルプロニウム、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等)、抗パーキンソン病剤(メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、塩酸ロピニロール、塩酸タリペキソール、カベルゴリン、ドロキシドパ、ピペリデン、塩酸セレギリン等)、利尿剤(ヒドロフルメチアジド、フロセミド等)、呼吸促進剤(塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等)、抗片頭痛剤(メシル酸ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタン、酒石酸エルゴタミン、塩酸フルナリジン、塩酸サイプロヘプタジン等)、抗ヒスタミン剤(フマル酸クレマスチン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェニルピラリン、プロメタジン等)、気管支拡張剤(塩酸ツロブテロール、塩酸プロカテロール、硫酸サルブタモール、塩酸クレンブテロール、臭化水素酸フェノテロ−ル、硫酸テルブタリン、硫酸イソプレナリン、フマル酸ホルモテロール等)、強心剤(塩酸イソプレナリン、塩酸ドパミン等)、冠血管拡張剤(塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、ニコランジル等)、末梢血管拡張剤(クエン酸ニカメタート、塩酸トラゾリン等)、禁煙補助薬(ニコチン、バレニクリン酒石酸塩等)、循環器官用剤(塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、フェロジピン、ベシル酸アムロジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、塩酸マニジピン、塩酸ベニジピン、マレイン酸エナラプリル、塩酸デモカプリル、アラセプリル、塩酸イミダプリル、シラザプリル、リシノプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、アテノロール、フマル酸ビソプロロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ベタキソロール、塩酸アロチノロール、塩酸セリプロロール、カルベジロール、塩酸カルテオロール、塩酸ベバントロール、バルサルタン、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、塩酸クロニジン等)、不整脈用剤(塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシチレン、ナドロール、ジソピラミド等)、抗悪性潰瘍剤(シクロフォスファミド、フルオロウラシル、デガフール、塩酸プロカルバジン、ラニムスチン、塩酸イリノテカン、フルリジン等)、抗脂血症剤(プラバスタチン、シンバスタチン、ベザフィブレート、プロブコール等)、血糖降下剤(グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、グリミジンナトリウム、グリブゾール、塩酸ブホルミン等)、消化性潰瘍治療剤(プログルミド、塩酸セトラキサート、スピゾフロン、シメチジン、臭化グリコピロニウム等)、利胆剤(ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等)、消化管運動改善剤(ドンペリドン、シサプリド等)、肝臓疾患用剤(チオプロニン等)、抗アレルギー剤(フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン等)、抗ウイルス剤(アシクロビル等)、鎮暈剤(メシル酸ベタヒスチン、塩酸ジフェニドール等)、抗生剤(セファロリジン、セフジニル、セフポドキシムプロキセチル、セファクロル、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、メチルエリスロマイシン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン、テトラサイクリン、ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、カルベニシリンナトリウム、クロラムフェニコール等)、習慣性中毒用剤(シアナミド等)、食欲抑制剤(マジンドール等)、化学療法剤(イソニアシド、エチオナミド、ピラジナミド等)、血液凝固促進剤(塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム等)、抗アルツハイマー剤(フィゾスチグミン、塩酸ドネペジル、タクリン、アレコリン、キサノメリン、臭化水素酸ガランタミン等)、セロトニン受容体拮抗制吐剤(塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、塩酸ラモセトロン、塩酸アザセトロン等)、痛風治療剤(コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等)、麻薬系の鎮痛剤(硫酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン等)、抗真菌薬(塩酸テルビナフィン、塩酸ブテナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸ネチコナゾール、硝酸ミコナゾール、ルリコナゾール、イトラコナゾール、リラナフタート等)が挙げられる。
【0033】
これらの薬物は、相互作用による不都合が生じない場合、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。また、貼付製剤として十分な薬効が得られること、製剤物性及び組織吸収性を考慮すると、粘着剤層3の全体の質量を基準として0.5〜50質量%で配合されることが好ましく、1〜30質量%で配合されることが特に好ましい。
【0034】
薬物は塩基性薬物であることが好ましく、酸付加塩から生じた塩基性薬物であることがさらに好ましい。酸付加塩の形態としては、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、よう化水素酸塩、臭化水素酸塩、メシル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩等が例示できる。
【0035】
粘着剤層3は、薬物と結合して薬物塩を形成可能な物質又はその構成成分を含有する金属塩を含有する。この金属塩は製造工程中に生じたものであることが好ましい。薬物としては、酸付加塩から生じた塩基性薬物が好適なことから、塩基性薬物の酸付加塩を原材料として使用し、中和剤と混和することにより薬物の中和反応を起こさせ、より組織吸収性が高い薬物のフリー体を粘着剤層3に存在させるとともに、薬物の中和反応により生じた金属塩を含有させることが好ましい。
【0036】
中和反応(脱塩反応)により生じる金属塩の種類は、薬物塩とそれを中和するための中和剤により決定される。塩基性薬物の酸付加塩を中和した場合に生じる金属塩は、金属塩化物、金属臭化物、金属よう化物、有機酸金属塩のいずれかが好ましく、この中でも特に、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、臭化ナトリウム、コハク酸ナトリウムのうちの少なくとも1種が特に好ましい。
【0037】
中和反応に用いる中和剤としては、特に限定はされないが、薬物として、酸付加塩から生じた塩基性薬物を用いる場合は、塩基性薬物の酸付加塩を完全に脱塩せしめる強塩基がよく、特にアルカリ金属の水酸化物が好適に用いられる。具体的には、中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等が例示でき、これらの中では水酸化ナトリウムが特に好ましい。中和剤は、塩基性薬物の全部又は一部を遊離塩基(フリー体)の状態に変換するために配合される。ここで、過剰な中和剤により薬物の分解を引き起こさないためには、薬物の酸塩基当量に対し、0.5〜4当量の範囲で中和剤を配合することが好ましい。配合は、製造工程中1回で行ってもよいし、数回に分けて行ってもよい。
【0038】
中和反応を経て製造された貼付製剤1は、その粘着剤層3に中和により生じた金属塩を含む。
【0039】
粘着剤層3中に存在する金属塩は、貼付製剤の製造や中和反応を行なう際に使用した極性溶媒(水、メタノール、エタノール等)の微量な残留物を中心に凝集・成長する傾向にあるが、粘着剤層3に、吸着剤を含有させることで、金属塩の凝集や成長が抑制される。また、吸着剤を含有させることで、結晶を均一に分散させることができる。これにより、貼付製剤1の製造効率、製剤安定性及び製剤特性が向上する。
【0040】
このように、粘着剤層3は吸着剤を含有するものであるが、適用可能な吸着剤としては、「医薬品添加物辞典2000 2000年4月28日第1刷発行」に挙げられている添加物のうち、吸湿性、防湿性、吸着性を有すると記載されている無機物質及び有機物質、並びに上記の「医薬品添加物辞典2000」には記載がないが吸着性を有することが知られている、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、酸化亜鉛等が挙げられる。このうち、タルク、カオリン、ベントナイト等の鉱物;フュームドシリカ(アエロジル(登録商標)等)、含水シリカ等のケイ素化合物;酸化亜鉛、乾燥水酸化アルミニウムゲル等の金属化合物;乳酸、酢酸等の弱酸、デキストリン等の糖、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、クロスポビドン及びカルボキシビニルポリマー等の高分子ポリマーが好適であり、これらは必要に応じて2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0041】
粘着剤層3中に含まれる吸着剤の含有量は、粘着剤層3の全質量を基準として0.5〜50質量%であることが好ましい。0.5質量%以下であると、金属塩の結晶の凝集・成長を抑制し、結晶を均一に分散させる効果が十分に得られなくなる傾向がある。また、50質量%以上含有すると、粘着剤層3の粘着力が低下して貼付が困難になる傾向がある。
【0042】
本発明の貼付製剤1は、上記の組成物の他、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、吸収促進剤、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、保存剤、紫外線吸収剤を含有してもよい。
【0043】
粘着付与剤としては、例えば、「エステルガム(商品名、荒川化学工業)」、「ハリエスター(商品名、ハリマ化成)」、「ペンタリン(商品名、イーストマンケミカル)」、「フォーラル(商品名、イーストマンケミカル)」等のロジン系樹脂、「YSレジン(商品名、ヤスハラケミカル)」、「ピコライト(商品名、ルースアンドディルワース)」等のテルペン系樹脂、「アルコン(商品名、荒川化学工業)」、「リガレッツ(商品名、イーストマンケミカル)」、「ピコラスチック(商品名、イーストマンケミカル)」、「エスコレッツ(商品名、エクソン)」、「ウイングタック(商品名、グッドイヤー)」、「クイントン(商品名、日本ゼオン)」等の石油樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が使用可能である。
【0044】
これらの粘着付与剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、粘着付与剤の配合量は、貼付製剤1の十分な粘着力及び剥離時の局所刺激性を考慮すると、粘着剤層3の全質量を基準として10〜90質量%であることが好ましく、15〜70質量%であることがさらに好ましく、20〜60質量%であることが特に好ましい。
【0045】
可塑剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイル等の石油系オイル;スクワラン、スクワレン;オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油及びラッカセイ油等の植物系オイル;ジブチルフタレート及びジオクチルフタレート等の二塩基酸エステル;ポリブテン及び液状イソプレンゴム等の液状ゴム;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
本実施形態においては特に、流動パラフィン、液状ポリブテンを用いるのが好ましい。
【0047】
粘着剤層3中の上記可塑剤の含有量は、貼付製剤1としての十分な粘着力の維持を考慮して、粘着剤層3の全質量を基準として1〜60質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましく、3〜40質量%であることが特に好ましい。
【0048】
吸収促進剤としては、イソステアリルアルコール等の脂肪族アルコール、カプリン酸のような脂肪酸、プロピレングリコールモノラウレートやミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸誘導体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミン等が好適に使用できる。これらの吸収促進剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、吸収促進剤の配合量は、製剤としての組織への有効成分の充分な透過性及び局所刺激牲等を考慮すると、貼付製剤1の全質量を基準として1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがさらに好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。
【0049】
抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと略記する)、ブチルヒドロキシアニソール等が利用可能であり、BHTが特に好ましく用いられる。
【0050】
充填剤としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム;ケイ酸アルミニウムやケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩;ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が例示できる。
【0051】
架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、並びに、金属及び金属化合物等の無機系架橋剤が挙げられる。
【0052】
保存剤としては、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が好ましく利用できる。
【0053】
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が例示できる。
【0054】
上記の抗酸化剤、充填剤、架橋剤、保存剤、紫外線吸収剤は、合計で、粘着剤層3の全質量に基づいて、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下の量で配合できる。
【0055】
次に、本実施形態の貼付製剤1の製造方法の一例について説明する。
【0056】
まず、粘着剤層3形成用の混合物を調製する。混合機を用いて、上述した粘着基剤、薬物の酸付加塩、中和剤、吸着剤、及びその他の成分を、粘着基剤の溶媒に溶解又は分散させることにより、粘着剤層3形成用の混合物が得られる。
【0057】
粘着基剤の溶媒としては、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、酢酸ブチル、エタノール、メタノール、キシレン、イソプロパノール等が使用できる。これらは、溶解又は分散させる成分に応じて適宜選択し、1種を単独で又は2種以上を混合して組み合わせて用いることができる。
【0058】
続いて、得られた粘着剤層3形成用の混合物を、支持体2の上に直接展延して粘着剤層3を形成するか、あるいは、離型処理された紙若しくはフィルム上に展延して粘着剤層3を形成し、その上に支持体2を載せて、粘着剤層3を支持体2上に圧着転写させる。続いて、粘着剤層3を保護するための剥離シート4を粘着剤層3上に粘着させて、貼付製剤1を得ることができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
混合機を用いて、予め塩酸ロピニロール、水酸化ナトリウム、アエロジル(登録商標)、流動パラフィン及びトルエン(溶剤)を混合させた後、これに対して、別途調整しておいたSIS(JSR社製、SIS5000)、テルペン系樹脂(YSレジン)及びトルエンの混合溶液を添加・混合し、粘着剤溶液を得た。これを離型処理されたフィルム上に展延し溶剤を乾燥除去させて粘着剤層を形成し、その上に支持体を載せて、粘着剤層を圧着転写させることにより、貼付製剤を得た。
【0061】
なお、溶剤以外の成分の配合量は、塩酸ロピニロール15質量部、水酸化ナトリウム4質量部(塩酸ロピニロールに対して2.0倍当量)、アエロジル(登録商標)5質量部、流動パラフィン24.1質量部、SIS20.1質量部、テルペン系樹脂(YSレジン)31.8質量部であった。
【0062】
(実施例2〜8)
吸着剤として、アエロジル(登録商標)の代わりに、同一質量部の、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、クロスポビドン、乳酸、タルク、デキストリン、プロピレングリコール又はポリビニルピロリドンを用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ実施例2〜8の貼付製剤を作製した(表1)。
【0063】
(比較例1)
吸着剤を含まない点以外は、実施例1と同様にして、比較例1の貼付製剤を作製した(表1)。なお、塩酸ロピニロール、水酸化ナトリウム、流動パラフィン、SIS及びテルペン系樹脂(YSレジン)の配合比率は実施例1と同様にした。
【0064】
(比較例2〜20)
吸着剤として、アエロジル(登録商標)の代わりに、同一質量部の、イソステアリン酸、オレイン酸、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、グリセロ−ルモノオレート、トリアセチン、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ポリブテン、プロピレングリコールモノラウレート、Tween80(登録商標)、ラウリン酸ジエタノールアミド、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール又はベンジルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ比較例2〜21の貼付製剤を作製した(表1)。
【0065】
(実施例9)
混合機を用いて、予め塩酸テルビナフィン、水酸化ナトリウム、アエロジル(登録商標)、ミリスチン酸イソプロピル及び酢酸エチル(溶剤)を混合させた後、これに対して、アクリル系粘着剤(ナショナルスターチ アンド ケミカル社製、Duro−TAK87−2516、固形分:41.5%)を添加・混合し、粘着剤溶液を得た。これを離型処理されたフィルム状に展延し溶剤を乾燥除去させて粘着剤層を形成し、その上に支持体を載せて、粘着剤層を圧着転写させることにより、貼付製剤を得た。
【0066】
なお、溶剤以外の成分の配合量は、塩酸テルビナフィン10質量部、水酸化ナトリウム2.4質量部(塩酸テルビナフィンに対して2.0倍当量)、アエロジル(登録商標)5質量部、ミリスチン酸イソプロピル10質量部、アクリル系粘着剤中のアクリル系粘着基剤72.6質量部であった。
【0067】
(実施例10〜22)
吸着剤として、アエロジル(登録商標)の代わりに、同一質量部の、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、クロスポビドン、酸化亜鉛、ベントナイト、カオリン、ポリビニルピロリドン、タルク、含水シリカ又は乾燥水酸化アルミニウムゲルを用いた以外は、実施例9と同様にして、それぞれ実施例10〜22の貼付製剤を作製した(表2)。
【0068】
(比較例21)
吸着剤を含まない点以外は、実施例9と同様にして、比較例21の貼付製剤を作製した(表2)。なお、塩酸テルビナフィン、水酸化ナトリウム、アエロジル(登録商標)、ミリスチン酸イソプロピル及びアクリル系粘着基剤の配合比率は実施例9と同様にした。
【0069】
(実施例23)
混合機を用いて、予め酒石酸バレニクリン、水酸化ナトリウム、クロスポビドン及びメタノール(溶剤)を混合させた後、これに対してアクリル系粘着材(ナショナルスターチ アンド ケミカル社製、Duro−TAK87−2516、固形分:41.5%)を添加・混合し、粘着剤溶液を得た。これを離型処理されたフィルム上に展延し溶剤を乾燥除去させて粘着剤層を形成し、その上に支持体を載せて、粘着剤層を圧着転写させることにより、貼付製剤を得た。
【0070】
なお、溶剤以外の成分の配合量は、酒石酸バレニクリン10質量部、水酸化ナトリウム2.2質量部(酒石酸バレニクリンに対して2.0倍当量)、クロスポビドン3質量部、アクリル系粘着剤中のアクリル系粘着基材84.8質量部であった。
【0071】
(実施例24及び25)
吸着剤としてクロスポビドンの代わりに、アミノアルキルメタクリレートコポリマー又はポリビニルピロリドンを用いた以外は、実施例23と同様にして、それぞれ実施例24及び25の貼付製剤を作製した(表3)。
【0072】
(比較例22)
吸着剤を含まない点以外は、実施例23と同様にして、比較例22の貼付製剤を作製した(表3)。なお、酒石酸バレニクリン及び水酸化ナトリウムの配合比率は実施例23と同様にし、アクリル系粘着基材は87.8質量部とした。
【0073】
(貼付製剤の評価)
製造した直後の貼付製剤の外観を観察し、金属塩の結晶の凝集物の有無を目視にて評価した。表1〜表3に吸着剤、吸着剤の含有量及び評価の結果を示す。凝集物が見られなかったものを「a」、平均粒径100〜250μmの小さな凝集物が認められるが実用上問題のないものを「b」、平均粒径250μmを超える大きな凝集物が多く認められるものを「c」で表示する。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、薬物塩を中和した場合であっても、生じる金属塩の経時的な凝集や成長が抑制された貼付製剤が提供される。