特許第6054111号(P6054111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6054111タイヤ用コードプライの製造装置と製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054111
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】タイヤ用コードプライの製造装置と製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/44 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B29D30/44
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-204554(P2012-204554)
(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-58112(P2014-58112A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知之
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−077677(JP,A)
【文献】 特開昭57−036640(JP,A)
【文献】 特開平07−156295(JP,A)
【文献】 特開2002−248672(JP,A)
【文献】 特開平08−118514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行するコードプライの後縁部と後続するコードプライの前縁部とをオーバーラップさせ、オーバーラップ部を押さえて接合することを繰り返して長尺化されたタイヤ用コードプライを製造するタイヤ用コードプライの製造装置であって、
前記オーバーラップ部を押さえて接合する接合押さえ装置の下流側に、前記先行するコードプライの後縁部に下方から圧縮エアーを噴き付けて先行するコードプライの前記後縁部を持ち上げるように構成された圧縮エアー噴き出し装置が設けられており、
前記圧縮エアー噴き出し装置が、前記オーバーラップ部と平行に配置され、一列に複数のエアー噴き出し口が設けられたロールであることを特徴とするタイヤ用コードプライの製造装置。
【請求項2】
前記エアー噴き出し口の形状が、直径0.7〜3.0mmの円形であることを特徴とする請求項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置。
【請求項3】
前記エアー噴き出し口が、50〜100mmの間隔で設けられていることを特徴とする請求項または請求項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置。
【請求項4】
前記ロールが、金属製であることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか1項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置。
【請求項5】
前記ロールが、前記接合押さえ装置の下流側100mm以内の位置に配置されていることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか1項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置を用いたタイヤ用コードプライの製造方法であって、
前記先行するコードプライの後縁部を、前記接合押さえ装置の接合位置を通過するまで搬送する先行コードプライ搬送工程と、
前記接合押さえ装置の接合位置を通過するまで搬送された前記先行するコードプライの後縁部を、前記接合押さえ装置の位置に前記オーバーラップ部を形成するに必要な距離だけ戻す先行コードプライ戻し工程と、
前記後続するコードプライの前縁部を、前記接合押さえ装置の接合位置まで搬送して、前記先行するコードプライの後縁部とのオーバーラップ部を形成するオーバーラップ部形成工程と、
前記オーバーラップ部を前記接合押さえ装置により押さえて接合するオーバーラップ部接合工程とを備えており、
前記先行コードプライ戻し工程が、前記先行するコードプライの後縁部に、下方から圧縮エアーを噴き付けて、前記先行するコードプライの後縁部を持ち上げながら戻す工程である
ことを特徴とするタイヤ用コードプライの製造方法。
【請求項7】
前記先行コードプライ戻し工程における前記圧縮エアーの圧力が、0.05〜0.10Mpaであることを特徴とする請求項に記載のタイヤ用コードプライの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤ用コードプライの製造装置と製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造に際しては、カーカスプライやベルトプライなどのタイヤ用コードプライが用いられている。このようなタイヤ用コードプライは、従来より、タイヤコードが平行に配列されたコード配列体に未加硫ゴムを被覆して作製されたコードプライ原反を所定の幅および角度でバイアスカットした後、カットされた2枚のコードプライの非カット縁部をオーバーラップさせ、このオーバーラップ部を押圧して接合することを繰り返して長尺化することにより製造されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記した従来のタイヤ用コードプライの製造方法について、図3を用いて具体的に説明する。図3の右側に示すように、リール(図示せず)から巻き出された長尺のコードプライ原反10は、コードプライ原反10の搬送方向に対して所定の角度でX方向に移動(図1では搬送方向に対して直角に移動)するカッター20によって所定の幅にバイアスカットされて、コードプライ11とされる。カットされたコードプライ11は、その後、図1の左側に示すコードプライ接合装置30に搬送され、後続するコードプライ(以下、「後続コードプライ」という)12として、先行するコードプライ(以下、「先行コードプライ」という)14と接合される。
【0004】
接合は、図3の左側に示すコードプライ製造装置30を用いて行われる。コードプライ製造装置30は、後続コードプライ12を接合押さえ装置36まで搬送するベルトコンベア34、接合押さえ装置36、および長尺化途中の先行コードプライ14を搬送するベルトコンベア(図示せず)を備えている。
【0005】
接合押さえ装置36により先行コードプライ14の後縁部とコードプライ12の前縁部とが接合されると、接合されたコードプライ(一体化されたコードプライ14およびコードプライ12)は新たな先行コードプライ14として、ベルトコンベアにより区間Aに移動させられる。そして、この新たな先行コードプライ14の後縁部が接合押さえ装置36の接合位置を通過すると、ベルトコンベアによる搬送が停止する。
【0006】
その後、ベルトコンベアの搬送方向を逆転させ、先行コードプライ14の後縁部を接合オーバーラップ量分(通常5mm程度)だけ区間B方向に戻す。
【0007】
次に、コードプライ11を後続コードプライ12として区間Bへ送り込み、後続コードプライ12の先端側縁部を接合押さえ装置36の接合位置まで、ベルトコンベア34により搬送する。これにより、先行コードプライ14の後縁部の上に後続コードプライ12の前縁部がオーバーラップされる。
【0008】
その後、このオーバーラップ部を接合押さえ装置36により押圧し、接合する。
【0009】
以上の一連の動作を繰り返し行うことによって、コードプライを長尺化して、リールなどに巻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−21514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した従来のタイヤ用コードプライの製造方法の場合、先行するコードプライを逆方向に搬送して接合オーバーラップ量分戻す際、コードプライの粘着力が高すぎて、先行するコードプライとベルトコンベアが密着して、十分に戻すことができなくなる場合があった。このように、先行するコードプライを十分に戻すことができないと、不良のタイヤ用コードプライが製造される恐れがある。即ち、所定のオーバーラップ量を確保することができないため十分な接合を行うことができない。また、コードプライにシワが発生するなどの不具合を生じる恐れもある。
【0012】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、コードプライの粘着力が高い場合でも、先行するコードプライを確実に安定して上流側に戻して、十分なオーバーラップ量を確保して、十分な接合を行うと共に、シワなどの不具合が発生することがないタイヤ用コードプライの製造装置と製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、以下に記載の技術に基づいて本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明に関連する第1の技術は、
先行するコードプライの後縁部と後続するコードプライの前縁部とをオーバーラップさせ、オーバーラップ部を押さえて接合することを繰り返して長尺化されたタイヤ用コードプライを製造するタイヤ用コードプライの製造装置であって、
前記オーバーラップ部を押さえて接合する接合押さえ装置の下流側に、前記先行するコードプライの後縁部に下方から圧縮エアーを噴き付けて先行するコードプライの前記後縁部を持ち上げるように構成された圧縮エアー噴き出し装置が設けられていることを特徴とするタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0015】
本発明に関連する第2の技術は、
前記圧縮エアー噴き出し装置が、前記オーバーラップ部と平行に配置され、一列に複数のエアー噴き出し口が設けられたロールであることを特徴とする第1の技術に記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0016】
本発明に関連する第3の技術は、
前記エアー噴き出し口の形状が、直径0.7〜3.0mmの円形であることを特徴とする第2の技術に記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0017】
本発明に関連する第4の技術は、
前記エアー噴き出し口が、50〜100mmの間隔で設けられていることを特徴とする第2の技術または第3の技術に記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0018】
本発明に関連する第5の技術は、
前記ロールが、金属製であることを特徴とする第2の技術ないし第4の技術のいずれかに記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0019】
本発明に関連する第6の技術は、
前記ロールが、前記接合押さえ装置の下流側100mm以内の位置に配置されていることを特徴とする第2の技術ないし第5の技術のいずれかに記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0020】
本発明に関連する第7の技術は、
第1の技術ないし第6の技術のいずれかに記載のタイヤ用コードプライの製造装置を用いたタイヤ用コードプライの製造方法であって、
前記先行するコードプライの後縁部を、前記接合押さえ装置の接合位置を通過するまで搬送する先行コードプライ搬送工程と、
前記接合押さえ装置の接合位置を通過するまで搬送された前記先行するコードプライの後縁部を、前記接合押さえ装置の位置に前記オーバーラップ部を形成するに必要な距離だけ戻す先行コードプライ戻し工程と、
前記後続するコードプライの前縁部を、前記接合押さえ装置の接合位置まで搬送して、前記先行するコードプライの後縁部とのオーバーラップ部を形成するオーバーラップ部形成工程と、
前記オーバーラップ部を前記接合押さえ装置により押さえて接合するオーバーラップ部接合工程とを備えており、
前記先行コードプライ戻し工程が、前記先行するコードプライの後縁部に、下方から圧縮エアーを噴き付けて、前記先行するコードプライの後縁部を持ち上げながら戻す工程である
ことを特徴とするタイヤ用コードプライの製造方法である。
【0021】
本発明に関連する第8の技術は、
前記先行コードプライ戻し工程における前記圧縮エアーの圧力が、0.05〜0.10Mpaであることを特徴とする第7の技術に記載のタイヤ用コードプライの製造方法である。
【0022】
本発明は上記した各技術に基づいた発明であり、請求項1に記載の発明は、
先行するコードプライの後縁部と後続するコードプライの前縁部とをオーバーラップさせ、オーバーラップ部を押さえて接合することを繰り返して長尺化されたタイヤ用コードプライを製造するタイヤ用コードプライの製造装置であって、
前記オーバーラップ部を押さえて接合する接合押さえ装置の下流側に、前記先行するコードプライの後縁部に下方から圧縮エアーを噴き付けて先行するコードプライの前記後縁部を持ち上げるように構成された圧縮エアー噴き出し装置が設けられており、
前記圧縮エアー噴き出し装置が、前記オーバーラップ部と平行に配置され、一列に複数のエアー噴き出し口が設けられたロールであることを特徴とするタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0023】
請求項2に記載の発明は、
前記エアー噴き出し口の形状が、直径0.7〜3.0mmの円形であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0024】
請求項3に記載の発明は、
前記エアー噴き出し口が、50〜100mmの間隔で設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0025】
請求項4に記載の発明は、
前記ロールが、金属製であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0026】
請求項5に記載の発明は、
前記ロールが、前記接合押さえ装置の下流側100mm以内の位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置である。
【0027】
請求項6に記載の発明は、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ用コードプライの製造装置を用いたタイヤ用コードプライの製造方法であって、
前記先行するコードプライの後縁部を、前記接合押さえ装置の接合位置を通過するまで搬送する先行コードプライ搬送工程と、
前記接合押さえ装置の接合位置を通過するまで搬送された前記先行するコードプライの後縁部を、前記接合押さえ装置の位置に前記オーバーラップ部を形成するに必要な距離だけ戻す先行コードプライ戻し工程と、
前記後続するコードプライの前縁部を、前記接合押さえ装置の接合位置まで搬送して、前記先行するコードプライの後縁部とのオーバーラップ部を形成するオーバーラップ部形成工程と、
前記オーバーラップ部を前記接合押さえ装置により押さえて接合するオーバーラップ部接合工程とを備えており、
前記先行コードプライ戻し工程が、前記先行するコードプライの後縁部に、下方から圧縮エアーを噴き付けて、前記先行するコードプライの後縁部を持ち上げながら戻す工程である
ことを特徴とするタイヤ用コードプライの製造方法である。
【0028】
請求項7に記載の発明は、
前記先行コードプライ戻し工程における前記圧縮エアーの圧力が、0.05〜0.10Mpaであることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ用コードプライの製造方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、上記の問題に鑑み、コードプライの粘着力が高い場合でも、先行するコードプライを確実に安定して上流側に戻して、十分なオーバーラップ量を確保して、十分な接合を行うと共に、シワなどの不具合が発生することがないタイヤ用コードプライの製造装置と製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係るタイヤ用コードプライの製造装置を説明する概略断面図である。
図2】ロールの概略平面図である。
図3】従来のタイヤ用コードプライの製造方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施の形態に基づき、本発明を具体的に説明する。
【0032】
1.タイヤ用コードプライの製造装置
はじめに、タイヤ用コードプライの製造装置について説明する。図1は、本発明に係るタイヤ用コードプライの製造装置を説明する概略断面図である。
【0033】
図1に示すように、コードプライ製造装置30は、長尺化途中の先行コードプライ14の後縁部と後続コードプライ12の前縁部とを、接合押さえ装置36によって接合する。
【0034】
コードプライ製造装置30は、ベルトコンベア32、34と、搬出側(下流側)区間Aと搬入側(上流側)区間Bとの境界部分に配置されている接合押さえ装置36と、接合押さえ装置36の下流側に配置され、コードプライ側に圧縮空気の噴き出し口が設けられたロール38とを備えている。
【0035】
ロール38は、図1に示すように、コードプライの搬送方向に対して直交する方向に配置されている。そして、ロール38には、図2に示すように、圧縮エアーを噴き出す複数のエアー噴き出し口40が一列に設けられている。
【0036】
ロール38のエアー噴き出し口40から先行コードプライ14の後縁部に圧縮エアーを噴き出させることにより、先行コードプライ14の後縁部が持ち上げられる。この結果、コードプライの粘着力が高い場合でも、先行するコードプライを確実に安定して上流側に戻して、十分なオーバーラップ量を確保することができ、十分な接合を行うことができる。また、シワなどの不具合の発生を低減することができる。
【0037】
2.タイヤ用コードプライの製造方法
次に、上記した製造装置を用いたタイヤ用コードプライの製造方法について図1を参照しながら説明する。
【0038】
先行コードプライ14の後縁部が接合押さえ装置36の接合位置を通過するまでの動作は従来と同様である。
【0039】
即ち、先行コードプライ14の後縁部が接合押さえ装置36の接合位置を通過すると、ベルトコンベア32による搬送を一旦停止させる。
【0040】
次に、先行コードプライ戻し工程で、ロール38のエアー噴き出し口40から圧縮エアーを噴き出させ、先行コードプライ14の後縁部に吹き付けて後縁部を持ち上げ、ベルトコンベア32から先行コードプライ14を引き離す。次に、先行コードプライ14を搬入側区間B側にオーバーラップ量、具体的には5mm程度戻す。
【0041】
次に、後続コードプライ12を接合押さえ装置36の接合位置まで搬入し、後続コードプライ12の前縁部を先行コードプライ14の後縁部の上にオーバーラップさせ、後続コードプライ12の搬送を停止する。
【0042】
次に、接合押さえ装置36を作動させて先行コードプライ14の後縁部と後続コードプライ12の前縁部とを接合する。
【0043】
この一連の工程を繰り返し行うことによって長尺化し、タイヤ用コードプライを製造する。製造したタイヤ用コードプライは、リールに巻取り次工程に送る。
【0044】
以上のように、本実施の形態においては、先行コードプライ戻し工程で、ロール38のエアー噴き出し口40から圧縮エアーを噴き出させ、先行コードプライ14の後縁部に下方から吹き付けて後縁部を持ち上げることにより、ベルトコンベア32から先行コードプライ14を引き離した後、制御装置を作動させて、先行コードプライ14を搬入側区間B側に所定のオーバーラップ量だけ戻している。これにより、コードプライの接合に際して、コードプライの粘着力が高くても、先行コードプライを確実に安定して上流側に所定のオーバーラップ量だけ戻すことができ、十分な接合を行うことができる。そして、先行コードプライがベルトコンベアと密着して戻りきれない場合に発生するシワなどの不具合が無いコードプライを製造することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、圧縮エアーを噴き出させる手段として、ロール38を用いたが、これに限らず圧縮エアーを噴き出させる任意の手段を用いることができる。
【0046】
3.ロール
次に、ロールからの圧縮エアー噴き出しについて詳しく説明する。
【0047】
圧縮エアーは、前記の通り、図2に示すロール38に一列に設けられた複数のエアー噴き出し口40から噴き出させる。これにより、先行コードプライ14の後縁部が確実に持ち上げられる。省エネルギー化を図るため、圧縮エアーの噴き出しは、間欠噴き出とし、先行コードプライ戻し工程を実施する間のみ噴き出させることが好ましい。
【0048】
また、エアー噴き出し口40は、直径が0.7〜3.0mmの円形であることが好ましい。直径が0.7mm未満の場合は、先行コードプライ12の後縁部を持ち上げる力が弱く、効果が低くなる。直径が3.0mmを超える場合は、先行コードプライ14の後縁部を持ち上げる力が強過ぎて、先行コードプライ14が所定の位置からズレる可能性がある。
【0049】
また、エアー噴き出し口40の間隔は50〜100mmであることが好ましい。間隔が50mm未満の場合は、先行コードプライ12の後縁部を持ち上げる力が強過ぎて、先行コードプライ14が所定の位置からズレる可能性がある。間隔が100mmを超える場合は、先行コードプライ14の後縁部を持ち上げる力が弱く、効果が低くなる。
【0050】
また、ロール38は、接合押さえ装置36から下流側に100mm以内の位置に配置されていることが好ましい。100mmを超える場合は、先行コードプライ14の後縁部を持ち上げる力が弱く、効果が低くなる。
【0051】
また、ロール38は横断面が円形の長尺円筒管であり、金属製(スチール製、アルミ製など)であることが好ましい。
【0052】
なお、圧縮エアーの圧力は、0.05〜0.10Mpaであることが好ましい。エアーの圧力が0.05Mpa未満の場合は、先行コードプライ14の後縁部を持ち上げる力が弱く、効果が低くなる。エアーの圧力が0.10Mpaを超える場合は、先行コードプライ14の後縁部を持ち上げる力が強過ぎて、先行コードプライ14が所定の位置からズレる可能性がある。
【0053】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 コードプライ原反
11、12 後続コードプライ
14 先行コードプライ
20 カッター
30 コードプライ製造装置
32、34 ベルトコンベア
36 接合押さえ装置
38 ロール
40 エアー噴き出し口
A 搬出側(下流側)区間
B 搬入側(上流側)区間
図1
図2
図3