特許第6054120号(P6054120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054120
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】車両のオープントレイ取付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B60R7/06 Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-213550(P2012-213550)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-65451(P2014-65451A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087619
【弁理士】
【氏名又は名称】下市 努
(72)【発明者】
【氏名】中田 千秋
(72)【発明者】
【氏名】車 淳一
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−071819(JP,A)
【文献】 特開2003−335179(JP,A)
【文献】 特開平09−030333(JP,A)
【文献】 実開平03−078650(JP,U)
【文献】 特開2006−142870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内側の開口の下辺部に収納物の飛び出しを規制する凸条部を有するオープントレイをインパネのグローブボックス上方に配設し、該オープントレイの開口周縁部に設けられた係合部をインパネに形成された被係合部に係合させる車両のオープントレイ取付け構造において、
前記インパネの、前記グローブボックスを収容するボックス開口部と前記オープントレイを収容するトレイ開口部との間の部分には、インパネ被係合部と、該インパネ被係合部より車両前方奥に位置する被係合部とが形成され、
前記オープントレイは、前記凸条部を含むトレイ本体と、該トレイ本体にこれの開口部と前記インパネのトレイ開口部との間を覆うように固定された意匠パネルとで構成され、
前記意匠パネルの裏面には、前記インパネ被係合部に着脱可能に係合するパネル係合爪が一体形成され、
前記トレイ本体の下面には、前記被係合部に着脱可能に係合する下面係合爪が一体形成され、
該下面係合爪及び前記パネル係合爪は、前記グローブボックスを開いたとき、前記ボックス開口部から視認可能の部位で、かつ前記トレイ開口部寄りの部位に配設されている
ことを特徴とする車両のオープントレイ取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネル(以下、インパネと記す)にグローブボックスを設け、該グローブボックスの上方にオープントレイを取り付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インパネに、車室内側に開口するオープントレイを取り付ける構造として、従来、トレイ開口の周縁に設けた係合爪をインパネコアの被係合孔に係合させるようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
またインパネにグローブボックスを設け、該グローブボックスの上方に、該グローブボックスの蓋の延長部分で開閉される凹状のボックスを配置し、該凹状ボックスの底部をPPメンバにビスで結合したものがある(例えば特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−137589号公報
【特許文献2】特開2001−71819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで前記オープントレイでは、該トレイの車室内側開口の下辺部に収納物の飛び出しを規制する凸条部が形成されており、この凸条部を乗員が姿勢を保つ等のためにアシストグリップの如く引っ張る場合がある。前記特許文献1の従来構造のように、オープントレイをトレイ開口周縁に設けられた係合爪のみでインパネに固定している場合に、乗員が前記凸条部を引っ張ると、特にトレイを構成している樹脂が熱で軟化している場合は、該トレイがインパネから外れるおそれがある。
【0006】
一方、前記特許文献2に記載されているように、オープントレイの奥底部を車体部材にビス止めすれば、乗員が引っ張っても容易に外れるのを防止できる。しかしこのようにすれば、部品点数が増加し、またビスが車室内側から見えるため見栄えが悪くなるといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、前記従来の実情に鑑みてなされたもので、部品点数を増加させることなく、また見栄えを悪化させることなく、乗員が引っ張ることによるトレイの外れを防止できる車両のオープントレイ取付け構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車室内側の開口の下辺部に収納物の飛び出しを規制する凸条部を有するオープントレイをインパネのグローブボックス上方に配設し、該オープントレイの開口周縁部に設けられた係合部をインパネに形成された被係合部に係合させる車両のオープントレイ取付け構造において、
前記インパネの、前記グローブボックスを収容するボックス開口部と前記オープントレイを収容するトレイ開口部との間の部分には、インパネ被係合部と、該インパネ被係合部より車両前方奥に位置する被係合部とが形成され、
前記オープントレイは、前記凸条部を含むトレイ本体と、該トレイ本体にこれの開口部と前記インパネのトレイ開口部との間を覆うように固定された意匠パネルとで構成され、
前記意匠パネルの裏面には、前記インパネ被係合部に着脱可能に係合するパネル係合爪が一体形成され、前記トレイ本体の下面には、前記被係合部に着脱可能に係合する下面係合爪が一体形成され、
該下面係合爪及び前記パネル係合爪は、前記グローブボックスを開いたとき、前記ボックス開口部から視認可能の部位で、かつ前記トレイ開口部寄りの部位に配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両のオープントレイ取付け構造によれば、トレイ本体及び意匠パネルの、トレイ開口部寄りの部位、つまりトレイの車室内側の開口の下辺部に形成された凸条部に近い部位に下面係合爪及びパネル係合爪を形成したので、乗員が凸条部を握って引っ張った場合、その握り部に近く、最も大きな引っ張り力が作用する位置で各係合爪及び各被係合部が引っ張り力に対抗することとなり、オープントレイのインパネからの外れを確実に防止できる。
【0010】
またオープントレイの下面に一体形成された係合部とインパネ側の被係合部とによりオープントレイの外れを防止しているので、ビス等の別部品を設ける必要がなく、部品点数の増加や見栄えの悪化を招くこともない。
【0011】
さらにまた、オープントレイの下面の、グローブボックスを開いたときボックス開口部から視認可能の部位に各係合爪を形成したので、オープントレイを取り外す場合は、ボックス開口部から手を差し入れることで、前記各係合爪の被係合部への係合を容易に解除でき、オープントレイの取り外し作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1によるオープントレイ取付け構造が適用されるインパネの正面図である。
図2】前記オープントレイ取付け構造の断面側面図である。
図3】前記オープントレイの意匠パネル装着状態の正面図である。
図4】前記オープントレイの意匠パネル装着状態の平面図である。
図5】前記オープントレイ取付け構造の断面側面図(図3のV-V線断面図)である。
図6】前記オープントレイ取付け構造の断面側面図(図3のVI-VI線断面図)である。
図7】前記オープントレイ取付け構造の断面側面図(図3のVII-VII線断面図)である。
図8】前記オープントレイ取付け構造の断面正面図(図3のVIII-VIII線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1ないし図8は、本発明の実施例1による車両のオープントレイ取付け構造を説明するための図である。なお、本実施例で、左,右とは車室内側から車両前方を見た状態での左,右を意味する。
【0015】
図において、1は車室内の前部に配設された樹脂製のインパネである。該インパネ1には各種計器等を取り付けるための開口が形成されている。前記インパネ1の左側下部には、樹脂製のグローブボックス2を取り付けるためのボックス開口部1aが形成され、その上側には樹脂製のオープントレイ3を取り付けるためのトレイ開口部1bが形成され、さらにその上側にはエアバッグ4を取り付けるためのエアバッグ開口部1cが形成されている。なお、1dはメータパネルを取り付けるためのメータ開口部、1eは空調機の空気吹き出し口等を取り付ける空調開口部、1fはオーディオ機器等を取り付けるオーディオ開口部である。
【0016】
前記グローブボックス2は、底壁2cと、該底壁2cの周囲に立設された周壁2bと、上端開口2aとを有する箱状のものである。前記底壁2cと周壁2bとの奥コーナ部2dが図示しないヒンジ部材を介して前記インパネ1の支持部1a′に前後方向に回動可能に支持されている。前記グローブボックス2は、前記周壁2bの車室内側に配設された把手1nを手前に引くと、図示しないロック機構が解除されて手前側に回動し、この状態で物品を出し入れすることができる。
【0017】
前記エアバッグ4は、インフレータと袋体からなるエアバッグモジュール4aと、前記エアバッグ開口部1cを閉塞する蓋部材4bとから構成されている。前記エアバッグモジュール4aの底部に取付けられたブラケット4cは、支持ブラケット5aにボルト5bにより締め付け固定されており、該支持ブラケット5aは、前記オープントレイ3の車両前方にて車幅方向に延び、図示しない左,右のピラー部材間に架け渡されたPPメンバ5に固定されている。
【0018】
前記オープントレイ3は、車室内側に開口する横長のトレイ開口6aを有する箱状のトレイ本体6と、該トレイ本体6のトレイ開口6a側端面を覆うように装着された意匠パネル7とで構成されている。
【0019】
前記意匠パネル7は、前記インパネ1のトレイ開口部1bを塞ぐ外形状を有する大略平板状のものであり、また前記トレイ本体6のトレイ開口6aと略同じ形状に設定されたパネル開口7aを有する。
【0020】
また前記トレイ本体6は、上トレイ半体6bと下トレイ半体6cからなる上下2分割構造となっている。そして前記上,下トレイ半体6b,6cは、該両トレイ半体の合面6f,6g同士を当接させるとともに、上トレイ半体6bに形成された複数の係合爪6dを下トレイ半体6cに形成された複数の係合孔6eに係合させることにより結合され、一体化されている。また前記上トレイ半体6bには照明用ランプ9が配設されている。
【0021】
前記トレイ本体6と意匠パネル7は、トレイ本体6のトレイ開口6a周縁部に形成されたフランジ6hから意匠パネル7のパネル開口7a周縁部に形成されたボス部7bにビス8aをねじ込むことにより結合されている。
【0022】
前記オープントレイ3の前記トレイ開口6a,パネル開口7aの下辺部には、缶飲料やティッシュペーパー等の収容物Wが車室内側に飛び出すのを規制する凸条部3aが形成されている。この凸条部3aは前記下トレイ半体6cの下縁部6iを上方に屈曲延長するとともに、前記意匠パネル7のパネル開口7aの下縁部7cを上方に延長し、両下縁部6i,7cを前述のようにビス8aで結合させることにより構成されている。
【0023】
そして前記オープントレイ3は、前記意匠パネル7の裏面に車両前方に向けて突出するように形成されたパネル係合爪7dを前記インパネ1に形成されたインパネ係合孔1gに係合させるとともに、前記トレイ本体6の開口縁部に車両前方に向けて突出するように形成されたトレイ係合爪6jを前記インパネ1に形成されたインパネ係合孔1hに係合させることにより、前記インパネ1のトレイ開口部1bの周縁に取り付けられている。
【0024】
ここで、前記パネル係合爪7dとインパネ係合孔1g、及びトレイ係合爪6jとインパネ係合孔1hは、前記オープントレイ3をインパネ1のトレイ開口部1b内に挿入し、前方に押し付けることにより係合し、また逆に後方に引っ張ることにより前記係合が解除され、前記オープントレイ3を車室内側に取り外すことができるようにその係合強さが設定されている。
【0025】
前記トレイ本体6の下トレイ半体6cの下側には、引抜き不能型の係合部が形成されている。この係合部は前記下トレイ半体6cの下面6c′に一体形成された下面係合爪6kと、これに係合する被係合片1jとで構成されている。
【0026】
前記下面係合爪6kは、前記オープントレイ3の着脱時の挿入方向aに対して略直交する係合面6mを有し、前記下面6c′の、車幅方向略中央で、かつ前記グローブボックス2を手前側に回動させて開いたとき、前記ボックス開口部1aから視認可能の部位で、さらに前記トレイ開口部1b寄りの部位に位置している。
【0027】
前記被係合片1jは、前記インパネ1の、前記グローブボックス2を収容するボックス開口部1aと前記オープントレイ3を収容するトレイ開口部1bと間の部分1iに形成されている。この被係合片1jは前記挿入方向aに沿って車両前方に延び、その先端面1kに前記下面係合爪6kの係合面6mが係合する。
【0028】
そして図2に示すように、前記被係合片1jに連続するようにボス部1mが形成されており、該ボス部1mはインパネブラケット1pにビス8bで固定されている。このインパネブラケット1bは、前記PPメンバ5に固定された支持ブラケット5dにボルト5cで固定されている。このようにして、前記ボス部1mひいては前記被係合片1jは、特に車両前後方向への移動を阻止できるように強固に支持されている。
【0029】
本実施例に係るオープントレイ3をインパネ1に取り付けるには、まず、トレイ本体6と意匠パネル7をビス8aで結合する。続いて、前記トレイ本体6を前記インパネ1のトレイ開口部1b内に挿入するとともに、前方に押し込むことにより、意匠パネル7のパネル係合爪7d,トレイ本体6のトレイ係合爪6jをそれぞれインパネ1のインパネ係合孔1g,1hに係合させる。これと同時に下トレイ半体6cの下面6c′に形成された下面係合爪6kが被係合片1jの先端部を乗り越えて前方に移動し、該下面係合爪6kの係合面6mが前記被係合片1jの先端面1kに係合する。
【0030】
また前記エアバッグ4の着脱作業をスムーズに行うには、オープントレイ3を取り外すのが望ましく、これにより前記固定ボルト5bを工具Tにより容易に締込み又は抜き取ることができる。この場合、前記グローブボックス2を開位置に回動させ、または取り外した状態で、前記下面係合爪6kを手で上方に押し上げることにより係合面6mと被係合部1jの先端面1kとの係合を外す。これにより前記オープントレイ3をインパネ1のトレイ開口部1bから車室内側に取り外すことができる。
【0031】
このように本実施例に係るオープントレイ3の取付け構造によれば、下トレイ半体6cの下面係合爪6kの係合面6mとインパネ1側の被係合片1jの先端面1kがオープントレイ3の着脱方向aの力を受け止めるように係合しているので、乗員が前記凸条部3aを車室内側に引っ張ってもオープントレイ3が容易に外れることはない。
【0032】
しかも下トレイ半体6cの下面6c′の、トレイ開口部1b寄りの部位、つまりトレイ本体6の車室内側のトレイ開口6aの下辺部に形成された凸条部3aに近い部位に下面係合爪6k及び被係合片1jを形成したので、乗員が凸条部3aを握って引っ張った場合、その握り部に近く、最も大きな引っ張り力が作用する位置で下面係合爪6k及び被係合片1jが引っ張り力に対抗することとなり、オープントレイ3がインパネ1から外れるのを確実に防止できる。
【0033】
また、前記下面係合爪6kと係合する被係合片1jをボス部1m,ブラケット1p,5dを介してPPメンバ5に接続したので、前記被係合片1jの支持剛性を高めることができ、この点からもオープントレイ3がインパネ1から外れるのを防止できる。
【0034】
またオープントレイ3の下面6c′に一体形成された下面係合爪6k及び被係合片1jによりオープントレイ3の外れを防止しているので、ビス等の別部品を設ける必要がなく、部品点数の増加や見栄えの悪化を招くこともない。
【0035】
さらにまた、オープントレイ3の下面6c′の、グローブボックス2を開いたときボックス開口部1aから視認可能の部位に下面係合爪6k及び被係合片1jを形成したので、オープントレイ3を取り外す場合は、前記下面係合爪6kを手で上方に押し上げることで、該下面係合爪6kの被係合片1jへの係合を容易に解除でき、オープントレイ3の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0036】
また前記実施例では、オープントレイ3をトレイ本体6と意匠パネル7とで構成したので、樹脂成形時の型構造上の制約を抑制でき、デザイン上の自由度を拡大できる。さらにまた、トレイ本体6を上トレイ半体6bと下トレイ半体6cとの二分割構造としたので、さらにデザイン上の自由度を拡大できる。
【符号の説明】
【0037】
3 オープントレイ
3a 凸条部
1 インパネ
1a ボックス開口部
1b トレイ開口部
1g,1h インパネ係合孔(インパネに形成された被係合部)
1i インパネの間の部分
1j 被係合片(被係合部)
2 グローブボックス
6a トレイ開口
6c′ 下面
6j,7d トレイ係合爪,パネル係合爪(オープントレイの開口周縁部の係合部)
6k 下面係合爪(係合部)
W 収納物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8