特許第6054131号(P6054131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニフコの特許一覧

<>
  • 特許6054131-燃料タンク用管継手 図000002
  • 特許6054131-燃料タンク用管継手 図000003
  • 特許6054131-燃料タンク用管継手 図000004
  • 特許6054131-燃料タンク用管継手 図000005
  • 特許6054131-燃料タンク用管継手 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054131
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】燃料タンク用管継手
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20161219BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20161219BHJP
   F16L 41/00 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   B60K15/04 Z
   B60K15/04 C
   F02M37/00 301M
   !F16L41/00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-229129(P2012-229129)
(22)【出願日】2012年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-80105(P2014-80105A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】堀 川 純 平
(72)【発明者】
【氏名】高 橋 英 明
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−011797(JP,A)
【文献】 実開昭62−163395(JP,U)
【文献】 特開平11−078549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04
F16L 41/00
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの壁面に設けられた開口部の周縁に当接されるフランジ部と、
前記フランジ部から燃料タンクの外側に突出するように設けられた接続管部と、
を備え、
前記接続管部の内側に、補強用リブが渡されており、
前記補強用リブは、前記接続管部の中心軸を中心とした放射線上に延びる放射線部と、前記接続管部の内側断面と略同心状の環状部と、を有している
ことを特徴とする燃料タンク用管継手。
【請求項2】
燃料タンクの壁面に設けられた開口部の周縁に当接されるフランジ部と、
前記フランジ部から燃料タンクの外側に突出するように設けられた接続管部と、
を備え、
前記接続管部の内側に、補強用リブが渡されており、
前記補強用リブは、前記接続管部の中心軸に近い部分より前記接続管部の中心軸から遠い部分の方が高さが高くなっている
ことを特徴とする燃料タンク用管継手。
【請求項3】
前記補強用リブは、樹脂製である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料タンク用管継手。
【請求項4】
前記接続管部は、前記フランジ部から燃料タンクの内側にも突出している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料タンク用管継手。
【請求項5】
前記補強用リブは、前記フランジ部に対して燃料タンクの外側の領域の前記接続管部の内側に設けられている
ことを特徴とする請求項に記載の燃料タンク用管継手。
【請求項6】
弁装置が、前記フランジ部に対して燃料タンクの内側の領域の前記接続管部の内側に設けられている
ことを特徴とする請求項4または5に記載の燃料タンク用管継手。
【請求項7】
前記接続管部は、前記フランジ部と一体の外側管部と、当該外側管部に対して結合される内側管部と、を有しており、
前記補強用リブは、前記内側管部の内部に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料タンク用管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに取り付けられ、燃料供給管等の配管の接続に用いられる管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクに対して燃料供給管等の配管を接続するために、燃料タンクに予め管継手を設けておくことが、従来から一般的に行われている。
【0003】
従来のこの種の管継手100は、図5(特許文献1の図3に基づく)に示すように、燃料タンクの壁面に設けられた開口部の周縁に当接されるフランジ部120と、当該フランジ部120から燃料タンクの外側に突出するように設けられる接続管部130と、を備えている。そして、接続管部130の内周側に、金属製の補強用カラー160が設けられている。
【0004】
一般に、燃料供給管等の配管Pを接続管部130に接続する際には、ホースクランプやホースバンド等の固定具Hを用いた締付固定が採用される。そして、配管Pの抜け外れを防止するために、締付固定の締付力は比較的強固に設定される。そのため、接続管部130の破損等を回避するために、金属製の補強用カラー160が用いられているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−111316
【特許文献2】特許4253620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属製の補強用カラー160は、確かに、接続管部130の強度を補強するのに十分効果的である。しかしながら、金属製であるために、コストが高い。また、金属製の補強用カラー160を固定するためには熱カシメ工程等が必要であり、そのための専用設備が必要である。一方、樹脂によって補強用カラー160を製造しても、強度的に十分なものができない。
【0007】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、金属製の補強用カラーを用いることなく、接続管部において十分な強度を有する燃料タンク用管継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、燃料タンクの壁面に設けられた開口部の周縁に当接されるフランジ部と、前記フランジ部から燃料タンクの外側に突出するように設けられる接続管部と、を備え、前記接続管部の内側に、補強用リブが渡されていることを特徴とする燃料タンク用管継手である。
【0009】
本発明によれば、接続管部の内側に補強用リブが渡されていることにより、金属製の補強用カラーを用いずとも、接続管部において十分な強度を実現することができる。特に、本件発明者による知見によれば、樹脂製の補強用リブであっても、接続管部において十分な強度を実現することができる。従って、金属製の補強用カラーを用いる従来の燃料タンク用管継手と比較して、コストの面で非常に有利である。
【0010】
補強用リブは、接続管部の中心軸を中心とした放射線上に延びる放射線部と、接続管部の内側断面と略同心状の環状部と、を有するように設けられることが好ましい。この場合、補強用リブの配置バランスが良く補強強度の点で好適であるだけでなく、接続管部内の流路抵抗も低いという利点が得られる。更にこの場合、アンチサイフォン機能をも奏することができる。
【0011】
もっとも、少なくとも本願出願の時点においては、補強用リブが接続管部の中心軸を中心とした放射線上に延びる放射線部のみからなるものも、本発明の範囲に含まれる。
【0012】
なお、接続管部は、フランジ部から燃料タンクの内側にも突出していてよい。この場合、補強用リブは、フランジ部に対して燃料タンクの外側の領域の接続管部の内側に設けられることが好ましい。ホースクランプやホースバンド等の固定具は、フランジ部に対して燃料タンクの外側の領域の接続管部に対して適用されるからである。また、接続管部がフランジ部から燃料タンクの内側にも突出している場合、当該内側の領域の接続管部の内側に、弁装置が設けられ得る。弁装置としては、例えば公知のフラップ弁装置が適用され得る。
【0013】
また、接続管部は、フランジ部と一体の外側管部と、外側管部に対して結合(嵌合、溶着、インサート成形等)される内側管部と、を有していることが好ましい。この場合、補強用リブは、内側管部の内部に設けられる。このような場合、燃料タンクに対してフランジ部と一体の外側管部を取り付ける際に内側管部が直接には関与しないため、部品点数が多く高価になりがちな内側管部を損傷してしまうというおそれが顕著に軽減される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続管部の内側に補強用リブが渡されていることにより、金属製の補強用カラーを用いずとも、接続管部において十分な強度を実現することができる。特に、本件発明者による知見によれば、樹脂製の補強用リブであっても、接続管部において十分な強度を実現することができる。従って、金属製の補強用カラーを用いる従来の燃料タンク用管継手と比較して、コストの面で非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態の燃料タンク用管継手の概略正面図である。
図2図1のB−B線縦断面図である。
図3図1の燃料タンク用管継手の概略平面図である。
図4】補強用リブの変形例を示す、図3と同様の図である。
図5】従来の燃料タンク用管継手の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態の燃料タンク用管継手の概略正面図である。図2は、図1のB−B線縦断面図である。図3は、図1の燃料タンク用管継手の概略平面図である。
【0018】
特に図1及び図2に示すように、本実施の形態の燃料タンク用管継手10は、不図示の燃料タンクの壁面に設けられた開口部の周縁に当接されるフランジ部20と、フランジ部20から燃料タンクの外側(図2の上側)に突出するように設けられた接続管部30と、を備えている。
【0019】
本実施の形態の接続管部30は、フランジ部20に対して燃料タンクの内側(図2の上側)にも突出している。そして、接続管部30は、図2に示すように、フランジ部20の一部を構成する小フランジ21と一体の外側管部31と、外側管部31の燃料タンク内側端部(図2の下側端部)を挟み込むようにして嵌合されるようになっている内側管部32(フラップケースの差込部とも称される)と、を有している。
【0020】
本実施の形態では、更に、小フランジ21を覆う大フランジ23と一体のハウジング部33(取付部とも称される)が、外側管部31に対して、性質が異なる2種類の樹脂材料を2色成形することによって一体に形成されている。より具体的には、小フランジ21を含む外側管部31がポリアミドで形成され、大フランジ23を含むハウジング部33がポリエチレンで形成され、両者が一体化されている。
【0021】
そして、フランジ部20に対して燃料タンクの外側の領域の縦方向の略中央位置の内側管部32の内側に、本発明の特徴である補強用リブ60が渡されている。本実施の形態の補強用リブ60は、具体的には、図2及び図3に示すように、内側管部32の中心軸を中心とした放射線上に延びる6本の放射線部61と、内側管部32の内側断面と略同心状の環状部62と、を有している。また、図2に示すように、補強用リブ60の6本の放射線部61の各々は、内側管部32の中心軸に近い部分より内側管部32の中心軸から遠い部分の方が高さが末広がり状に2倍程度にまで高くなっている(幅に関しては、図3に示す通り、一様である)。
【0022】
本実施の形態では、ハウジング部33、外側管部31、内側管部32、補強用リブ60の全てが樹脂製である。具体的には、ハウジング部33は、燃料タンクに対する溶着が容易であるように、燃料タンクと同様の樹脂、例えばポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の合成樹脂、で形成される。一方、内側管部32と補強用リブ60とは、強度が高く耐燃料油性に優れる樹脂、例えばポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等で形成される。
【0023】
また、本実施の形態では、フランジ部20に対して燃料タンクの内側の領域の内側管部32の内側に、弁装置70が設けられている。本実施の形態の弁装置70は、公知のフラップ弁装置であり、それ自体の詳細な説明は省略する。
【0024】
次に、以上のような本実施の形態の燃料タンク用管継手10の作用について説明する。
【0025】
まず、補強用リブ60及び弁装置70を有する内側管部32が、図2に示すように、外側管部31に対して嵌合される。本実施の形態では、前述の通り、外側管部31とハウジング部33とが2色成形によって予め一体形成されていて、ハウジング部33の大フランジ23と外側管部31の小フランジ21とがフランジ部20を形成している。このフランジ部20が、燃料タンクの壁面に設けられた開口部の周縁に取り付けられ、ハウジング部33が燃料タンクの壁面に溶着される。このように、本実施の形態の燃料タンク用管継手10は、金属部材の熱カシメのような特殊な工程を要することなく、燃料タンクに容易に取り付けることができる。
【0026】
以上のようにして燃料タンクに取り付けられた本実施の形態の燃料タンク用管継手10は、内側管部32の内側に補強用リブ60が渡されていることにより、金属製の補強用カラーを用いずとも、接続管部30において十分な強度を実現することができる。特に、本実施の形態では、補強用リブ60が樹脂製であるにも拘わらず接続管部30において十分な強度を実現するため、金属製の補強用カラーを用いる従来の燃料タンク用管継手と比較してコストの面で非常に有利である。
【0027】
また、本実施の形態の補強用リブ60は、接続管部30の中心軸を中心とした放射線上に延びる放射線部61と、接続管部30の内側断面と略同心状の環状部61と、を有するように設けられているため、補強用リブ60の配置バランスが良く補強強度の点で好適である。また、接続管部30内の流路抵抗も低く、例えば燃料供給時の圧力損失が小さいという利点がある。更に、アンチサイフォン機能を奏することができるという利点もある。
【0028】
また、本実施の形態の補強用リブ60の環状部61は、接続管部30の中心軸に近い部分より接続管部30の中心軸から遠い部分の方が高さが高くなっている。このことによっても、補強用リブ60の配置バランスが良くなっていて、補強強度の点で好適となっている。
【0029】
以上の通り、本実施の形態によれば、内側管部32の内側に補強用リブ60が渡されていることにより、金属製の補強用カラーを用いずとも、接続管部30において十分な強度を実現することができる。特に、本実施の形態では、補強用リブ60が樹脂製であるにも拘わらず接続管部30において十分な強度を実現するため、金属製の補強用カラーを用いる従来の燃料タンク用管継手と比較してコストの面で非常に有利である。
【0030】
また、本実施の形態によれば、接続管部30が、フランジ部20と一体の外側管部31と、外側管部31に対して嵌合される内側管部32と、を有していて、燃料タンクに対してフランジ部20と一体の外側管部31を取り付ける際に内側管部32が直接には関与しない。このため、燃料タンクに燃料タンク用管継手10を取り付ける際に、部品点数が多く高価になりがちな内側管部32を損傷してしまうというおそれが顕著に軽減される。
【0031】
以上の実施の形態では、補強用リブ60が、接続管部30の中心軸を中心とした放射線上に延びる放射線部61と、接続管部30の内側断面と略同心状の環状部61と、を有するように設けられていたが、少なくとも本願出願の時点においては、そのような態様に限定されない。例えば図4に示すように、補強用リブ60’が接続管部30の中心軸を中心とした放射線上に延びる放射線部61’のみからなる燃料タンク用管継手10’も、本発明の範囲に含まれる。但し、図4に示す補強用リブ60’は、図3に示す補強用リブ60と比較すると、流路抵抗が大きいという点で劣る。
【符号の説明】
【0032】
10、10’ 燃料タンク用管継手
20 フランジ部
21 小フランジ
23 大フランジ
30 接続管部
31 外側管部
32 内側管部(フラップケースの差込部)
33 ハウジング部(取付部)
60、60’ 補強用リブ
61、61’ 放射線部
62 環状部
70 弁装置
100 従来の燃料タンク用管継手
120 フランジ部
130 接続管部
160 金属製の補強用カラー
図1
図2
図3
図4
図5