特許第6054137号(P6054137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ 三菱日立パワーシステムズ株式会社の特許一覧
特許6054137遮熱コーティングを有するガスタービン用高温部材
<>
  • 特許6054137-遮熱コーティングを有するガスタービン用高温部材 図000002
  • 特許6054137-遮熱コーティングを有するガスタービン用高温部材 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054137
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】遮熱コーティングを有するガスタービン用高温部材
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/28 20060101AFI20161219BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20161219BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F01D5/28
   F02C7/00 C
   F23R3/42 B
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-234278(P2012-234278)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-84791(P2014-84791A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】有川 秀行
(72)【発明者】
【氏名】児島 慶享
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 忠
(72)【発明者】
【氏名】目幡 輝
(72)【発明者】
【氏名】市川 国弘
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 宏之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 孝夫
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06511762(US,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第02072634(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0102360(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0153685(US,A1)
【文献】 特開2006−144061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/08、28
F01D 25/08
F02C 7/00
F23R 3/42
C23C 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の燃焼ガスに曝される基材表面に、合金下地層を設け、さらに、その表面上に遮熱セラミック層を設けてなる遮熱コーティングを有するガスタービン用高温部材において、前記合金下地層は、合金粉末粒子が概略球形を維持した状態で積層されたものであり、前記合金下地層と遮熱セラミック層に、基材側から表面側に連通した微細通路を設け、前記微細通路を前記合金下地層の概略球形が維持された合金粉末粒子間の間隙により形成されたものとし、部材を冷却する冷媒の一部を、これら微細通路を通じて、部材外部に流出させることを特徴とするガスタービン用高温部材。
【請求項2】
前記基材が、Ni基、Co基、またはFe基の耐熱合金からなることを特徴とする請求項1記載のガスタービン用高温部材。
【請求項3】
前記合金下地層が、MCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coから選ばれる少なくとも1種)合金からなることを特徴とする請求項1記載のガスタービン用高温部材。
【請求項4】
前記合金下地層は、粒径の範囲が5〜100μmの前記合金粉末粒子の積層組織を有し、かつ、積層粒子間の隙間によって形成される連通した微細通路の皮膜内体積分率が30〜70%であることを特徴とする、請求項1記載のガスタービン用高温部材。
【請求項5】
前記合金下地層が、前記合金粉末粒子を、合金の融点以下の温度の作動ガスによって加速して溶融を伴わずに、高速で基材表面に衝突させる方法で形成されることを特徴とする、請求項1記載のガスタービン用高温部材。
【請求項6】
前記遮熱セラミック層が、部分安定化ジルコニアであることを特徴とする、請求項1記載のガスタービン用高温部材。
【請求項7】
前記遮熱セラミック層の微細通路が、クラックによって形成されていることを特徴とする、請求項1記載のガスタービン用高温部材。
【請求項8】
前記遮熱セラミック層の微細通路が、気孔によって形成されていることを特徴とする、請求項1記載のガスタービン用高温部材。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のガスタービン用高温部材を備えたことを特徴とするガスタービン。
【請求項10】
請求項9に記載のガスタービンを備えたことを特徴とするガスタービン複合発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性に優れた遮熱コーティングを有する、ガスタービンの動静翼,燃焼器,シュラウド等のガスタービン用高温部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは効率向上を目的として運転温度が年々高くなってきている。運転温度の高温化に対処するために、ガスタービン高温部品には、耐熱性に優れた材料が用いられ、加えて、燃焼ガスに晒される面の反対面を、空気や蒸気等の流体冷媒で冷却する構造が採用されている。さらに、温度環境を和らげる目的で、表面に低熱伝導性のセラミックスよりなる遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:以下TBCと称す)を施すことが行われている。使用条件にもよるが、一般的にTBCの適用により、基材温度が50〜100℃低減できる。例えば、特開昭62−211387号公報(特許文献1)などには、基材に対して、MCrAlY合金層を介して、低熱伝導性で耐熱性に優れた部分安定化ジルコニアよりなる遮熱層を有するTBCが開示されている。ここで、Mは鉄(Fe),Ni及びCoからなるグループから選ばれた少なくとも1種を表し、Crはクロム、Alはアルミニウム、Yはイットリウムを表す。
【0003】
このような、TBCと冷却構造を有するガスタービン高温部品は、優れた耐熱性を示すが、さらなるガスタービンの性能向上に向け、より冷却効率の高い浸み出し冷却方式の採用が望まれている。浸み出し冷却は、部材の表面全体から、微細流路(一般的には多孔体)を通じて、微量の冷却媒体を均一に高温部材の表面から浸み出させることで、効率良く冷却を行う方法である。例えば、特開平10−231704号公報(特許文献2)、特開2010−65634号公報(特許文献3)には多孔質金属上に多孔質セラミック層による浸み出し冷却を採用したガスタービン高温部材が開示されている。また、特開2005−350341号公報(特許文献4)には、多孔質セラミックと耐熱合金基材を鋳造時に一体化した構造で、浸み出し冷却構造を採用したガスタービン高温部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−211387号公報
【特許文献2】特開平10−231704号公報
【特許文献3】特開2010−65634号公報
【特許文献4】特開2005−350341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、一部でTBCの遮熱セラミック層が採用されているものの、いずれの公知例においても、TBCの合金下地層に相当する層が、皮膜ではなく多孔質金属で代替されているか、あるいは、合金下地層に相当する層が省略されている。これは、冷却媒体の流路となる微細通路を従来の合金下地層の成膜方法を用いて形成することが困難なためである。TBCでは、遮熱セラミック層は、燃焼ガスからの熱を遮蔽する役割を担っており、みかけの熱伝導を低く抑え、さらに熱応力を緩和する効果を期待できることから、多孔質セラミック層が採用されている。一方、合金下地層は、セラミック層と基材の密着を確保すると共に、燃焼ガスによる酸化や腐食から基材を保護する役割を担っており、より緻密な組織が採用されている。このため、TBCと浸み出し冷却を組み合わせた高温部材を実現するためには、従来とは異なる、冷却媒体の流路を有した合金下地層が必要である。
そこで、本発明の目的は、浸み出し冷却に適した微細な冷却媒体の流路を有した合金下地層を実現し、これを用いた浸み出し冷却機能と遮熱コーティングを備え、耐熱性に優れるガスタービン用高温部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を鑑み、高温の燃焼ガスに曝される基材表面に、合金下地層を設け、さらに、その表面上に遮熱セラミック層を設けてなる遮熱コーティングを有し、かつ、合金下地層は、合金粉末粒子が概略球形を維持した状態で積層されたものであり、流体冷媒による冷却構造を有するガスタービン用高温部材において、合金下地層、及び、遮熱セラミック層に、基材側から表面側に連通した微細通路を設け、微細通路を合金下地層の概略球形が維持された合金粉末粒子間の間隙により形成されたものとし、部材を冷却する冷媒の一部を、これら微細通路を通じて、部材外部に流出させることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、TBCの合金下地層と遮熱セラミック層内に、基材側から表面側に連通した微細通路を設け、部材を冷却する冷媒の一部を、これら微細通路を通じて部材外部に流出させることで、TBC、特に合金下地層が効率良く冷却される。また、高温部材の表面全面から均一に冷媒が浸み出すことによって、均一で効率的なフィルム冷却効果が期待できる。これらの効果により、燃焼ガス温度の高温化に伴う部材温度上昇によって、従来技術の適用が困難となるような過酷な条件下でも、使用が可能となるという利点がある。また、本発明の遮熱コーティングと冷却構造を有するガスタービン用高温部材を用いたガスタービンは、より高温で運転が可能で、効率を高めることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の遮熱コーティングと冷却構造を有するガスタービン用高温部材の構造を示す断面模式図である。
図2】ガスタービンの構造を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明は、図1に示すように、基材1上に合金下地層2を設け、さらに、その上に遮熱セラミック層3を設けた構成である。基材1には、基材1の冷却媒体通路から、合金下地層2を設けた表面に向けて、基材1を貫通した冷却孔4が複数設けられている。合金下地層2は、多数の概略球形の合金粉末粒子5が積層され、基材1側からコーティング表面まで連通した粒子間の間隙6が存在する構造を有することを特徴とする。さらに、合金下地層2の上には、遮熱セラミック層3が設けられ、遮熱セラミック層3は、多数の縦方向クラック7を有する。基材1の冷却媒体通路から、冷却孔4を通じて、合金下地層2に達した流体冷媒8は、合金下地層内の粒子間の間隙6を通じて、合金下地層2内を拡散しながら表面側に流れ、遮熱セラミック層3に達し、遮熱セラミック層内の縦方向クラック7を通じて、遮熱セラミック層3の表面から流出する。
基材1は、ニッケル基,コバルト基、または、鉄基の耐熱合金を用いることができる。合金下地層2は、ニッケル基,コバルト基、または、鉄基の耐熱合金を用いることができるが、好ましくは、MCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coのうちの何れか、または複数)合金を用いることが望ましい。MCrAlY合金は、耐酸化性に優れるため、好適である。
また、合金下地層2は、多数の概略球形の合金粒子5が積層され、基材1側から合金下地層2の表面まで、連通した粒子間の間隙6が存在する構造を有する。このような構造の皮膜を形成するためには、例えば、ガスアトマイズ法で製造した概略球形の合金粉末を原料として用い、合金粉末を基材表面に高速で衝突させて積層する方法を用いることが好ましい。具体的には、例えば、プラズマ溶射法、高速ガス溶射(HVOF)法、コールドスプレー法等の方法を用いることができる。中でも、コールドスプレー法が最も好適に用いられる。
本発明の特徴である、基材1側からコーティング表面まで連通した粒子間の間隙6が存在する構造を有する合金下地層2を形成するには、アーク溶射や火炎(フレーム)溶射のように、合金粉末粒子を高温で溶融して基材に衝突させて積層する方法では、溶融した粉末粒子が基材に衝突した際に大きく扁平して積層するため、連通しない気孔(いわゆる閉気孔)が形成されやすくなる。また、大気中で溶融する温度まで加熱された合金粉末では、表面に酸化物が生じ、この酸化物が皮膜内に混入することで皮膜の耐酸化性を低下させる。また、粒子同士の結合が酸化物によって妨げられ、皮膜の強度が低下するという問題も生じる。
従って、本発明の遮熱コーティングの合金下地層2を形成する際には、原料として用いる概略球形の合金粉末を溶融、酸化させず、そのままの球形に近い形状を維持したまま積層することが望ましい。これには、より低温で成膜を行うことできるコールドスプレー法が好適である。しかし、低温でも粒子速度が高速になり過ぎると、基材に衝突した際に粉末粒子の扁平が生じ、皮膜が緻密化して連通気孔が減少するため、本発明の合金下地層2を形成できなくなるため、成膜条件を適当に調整する必要がある。なお、同様に成膜条件を、適宜、調整することで、プラズマ溶射法、高速ガス溶射(HVOF)法等を用いることもできる。
前記の成膜法を用いて形成した、本発明の基材側から表面側に連通した粒子間の間隙6を有する合金下地層2の連通間隙は、皮膜内体積分率が30〜70%の範囲が好ましい。間隙の体積分率が30%未満では、流通する冷却媒体量が少なくなり、浸み出し冷却の効果が十分に得られない。一方、間隙の体積分率が増加すると冷却効果は高まるが、皮膜強度が低下し、間隙の体積分率が70%を超えると、使用中にコーティングの損傷が生じ易くなってしまう。より好ましくは、間隙の体積分率が40〜60%の範囲が好適である。
また、本発明の遮熱コーティングは、合金下地層2、遮熱セラミック層3のいずれも、成膜後に熱処理を施すことが好ましい。合金下地層2では、熱処理による固相拡散によって粒子間の結合を強化することで皮膜強度を向上することができる。また、遮熱セラミック層3では、縦方向クラックの開口を促し、冷却媒体の流通を円滑にすることが期待できる。熱処理方法は、合金下地層2の酸化を防止するため、真空中で行うことが望ましい。熱処理条件は、コーティング、基材材料にも依るが、概ね、1000℃以上で2h以上保持することが好ましい。
以下、実施例を説明する。
(実施例1)
基体として、ニッケル基耐熱合金IN738(16%Cr−8.5%Co−3.4%Ti−3.4%Al−2.6%W−1.7%Mo−1.7%Ta−0.9%Nb−0.1%C−0.05%Zr−0.01%B−残部Ni、重量%)製で、内部に冷却空気通路を有する、ガスタービン1段動翼を準備した。動翼には、放電加工によって、基体表面から内部冷却通路まで貫通した冷却孔を複数加工した。また、原料粉末として、ガスアトマイズ法で製造された、概略球状で平均粒径約40μmのCoNiCrAlY合金粉末(Co−32%Ni−21%Cr−8%Al−0.5%Y、重量%)を準備した。コールドスプレー装置を用い、原料粉末を動翼の燃焼ガス通路面に対し、成膜した。成膜条件は、作動ガスに窒素ガスを用い、ガス圧力3MPa、ガス温度800℃、粉末供給量20g/min、成膜距離15mmの条件を用い、合金下地層2の厚さが約0.3mmまで成膜を実施した。
その後、合金下地層2を設けた基材1上に、イットリア部分安定化ジルコニア(ZrO2−8wt%Y23)粉末を用い、大気中プラズマ溶射(プラズマ出力約100kW)にて約0.6mmの厚さ、気孔率が約8%の縦クラックを有する遮熱セラミック層3を設けた。この際の成膜条件としては、予熱温度が約800℃、溶射ガンの移動速度は30m/min、溶射距離は90mmとし、熱流速約0.4MW/m2とした。さらに、遮熱セラミック層3を成膜後の動翼に対し、真空中で1120℃×2h、840℃×24hの熱処理を実施した。
このようにして製作した動翼を切断して断面組織を確認したところ、図1に示したように、合金下地層2は、多数の概略球形の合金粒子5が積層され、基材1側から合金下地層2の表面まで連通した粒子間の間隙6が存在する組織を呈していた。相対密度から気孔の体積分率を測定したところ、約50%であった。
前記手順で作製した別試験翼をガスタービンに組込み、1年間の試験運転を行った。この際、翼の冷却空気入口にオリフィスを設け、従来設計よりも冷却空気量を30%減じた。
試験運転後の、本発明のTBCを用いた動翼は、外観、切断調査のいずれにおいても、損傷はほとんど認められなかった。一方、比較のため、同時に冷却空気量を減じて運転に供した従来技術のTBCを設けた動翼では、外観上、TBCの剥離が部分的に認められ、さらに断面調査では、剥離部以外に合金下地層の酸化損傷が認められた。これらの結果から、本発明のTBCを設けたガスタービン高温部品が優れた耐熱性を有することが確認された。

(実施例2)
図2は発電用ガスタービン主要部の断面模式図である。ガスタービンは、タービンケーシング48の内部に、中心に回転軸(ロータ)49と、回転軸49の周囲に設置される動翼46とケーシング48側に支持される静翼45、タービンシュラウド47を有するタービン部44を備える。このタービン部44に連結され、大気を吸込み、燃焼用及び冷却媒体用の圧縮空気を得る圧縮機50と、燃焼器40を有する。燃焼器40は、圧縮機50から供給される圧縮空気と、供給される燃料(図示せず)を混合して噴射する燃焼器ノズル41を有し、この混合気を燃焼器ライナ42内で燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを発生し、トランジションピース(尾筒)43を介して、この燃焼ガスがタービン44に供給されることで、ロータ49が高速で回転する。圧縮機50より吐出された圧縮空気の一部は、燃焼器40のライナ42,トランジションピース43やタービン静翼45,タービン動翼46の内部冷却空気として用いられる。燃焼器40で発生した高温高圧の燃焼ガスは、トランジションピース43を経てタービン静翼45で整流され、動翼46に噴射されてタービン部44を回転駆動する。そして図示はしていないが、一般的には回転軸49の端部に結合されている発電機により発電するように構成されている。
【0011】
本実施例は、前述の実施例1に記載の本発明のTBCを、動翼45に加え、さらに、静翼46、燃焼器ライナ42,トランジションピース43の燃焼ガス通路にあたる内周面、および、初段のタービンシュラウド47の燃焼ガス通路面に、実施例1に記載の方法に準じた方法によってTBCを設けた構成とした。具体的には各部品の燃焼ガス通路表面に、放電加工によって、基体表面から内部冷却通路まで貫通した冷却孔を複数加工した。また、原料粉末として、ガスアトマイズ法で製造された、概略球状で平均粒径約50μmのNiCoCrAlY合金粉末(Ni−23%Co−17%Cr−12.5%Al−0.5%Y、重量%)を準備した。コールドスプレー装置を用い、原料粉末を各部品の燃焼ガス通路面に対し、成膜した。成膜条件は、作動ガスに窒素ガスを用い、ガス圧力3MPa、ガス温度900℃、粉末供給量15g/min、成膜距離20mmの条件を用い、合金下地層2の厚さが約0.3mmまで成膜を実施した。その後、合金下地層2を設けた基材1上に、イットリア部分安定化ジルコニア(ZrO2−8wt%Y23)粉末を用い、大気中プラズマ溶射(プラズマ出力約50kW)にて約0.3mmの厚さ、気孔率が約25%の連通気孔を有する多孔質遮熱セラミック層を設けた。この際の成膜条件としては、予熱温度が約150℃、溶射ガンの移動速度は45m/min、溶射距離は100mmとした。さらに、遮熱セラミック層を成膜後の各部品に対し、それぞれの部品の基材として用いられている合金の熱処理条件に準じた真空中熱処理を実施した。
なお、本実施例では、3段で構成されるタービン部44の動翼45,静翼46,シュラウド47の各初段のみに、本発明のTBCを設けた構成を採用したが、さらに後段の2段,3段に適用することも可能である。さらには、他の段数で構成されるタービン、例えば、2段,4段で構成されるタービンの全段落、乃至は選択された段落に適用することも可能である。
【0012】
以上の構成による本実施例のガスタービンにおいて、本発明のTBCを設けた部品については冷却空気を約30%減じて運転した。2年間の運転後、各部品を観察したところ、本実施例のTBCを設けたガスタービン部品では、TBCにほとんど損傷は認められず健全であった。一方、冷却空気を減じたことにより、タービンンの効率は向上した。
【0013】
以上の結果から、本実施例のガスタービンは、その優れた高温部品の耐熱性により、高温で運転することが可能となり、経済性,安定運用性に優れる。
【符号の説明】
【0014】
1 基材
2 合金下地層
3 遮熱セラミック層
4 冷却孔
5 合金粉末粒子
6 粒子間の間隙
7 クラック
8 流体冷媒
40 燃焼器
41 燃焼器ノズル
42 燃焼器ライナ
43 トランジションピース
44 タービン
45 タービン動翼
46 タービン静翼
47 タービンシュラウド
48 タービンケーシング
49 タービンロータ
50 圧縮機
図1
図2