(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の印刷胴は、スリーブ胴を交換できるようにするために、回転軸にスリーブ胴を挿入、抜き出し自在に嵌合して着脱自在に取り付けているので、スリーブ胴が回転軸の周りを回転したり、軸方向に動くことがないように、スリーブ胴と回転軸を結合して回転軸とスリーブ胴を一体として回転できるようにすること、その結合を解除してスリーブ胴と回転軸を分離してスリーブ胴を回転軸に挿入、抜き出し自在とすることが必要である。
しかも、スリーブ胴の交換作業を短時間に実施できるようにする等のために、前述のスリーブ胴と回転軸の結合、分離を簡単にできることが望ましい。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、回転軸にスリーブ胴を挿入、抜き出し自在に嵌合して着脱自在に取り付けて印刷胴とし、そのスリーブ胴と回転軸を簡単に結合、分離できるようにした印刷機の印刷胴とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転軸と、この回転軸に挿入、抜き出し自在に嵌合して着脱自在に取り付けたスリーブ胴と、スリーブ胴を回転軸に結合及び分離する結合機構を備え、
前記結合機構は、回転軸に設けたカム軸の回転により結合部材が、回転軸の径方向に移動し、その結合部材がスリーブ胴の内径部に接触して摩擦締結によりスリーブ胴と回転軸を結合する結合状態、前記結合部材がスリーブ胴の内径部と離れスリーブ胴と回転軸を分離する分離状態となるようにし
、
前記カム軸は、周方向に平坦面と円弧面を有したカム部を備え、
前記結合部材は、カム部と対向した可動ピンと、前記スリーブ胴の内径部と対向した加圧ブロックと、前記可動ピンと加圧ブロックを連結する加圧用弾性部材を備え、
前記カム軸の回転により円弧面が可動ピンに接することで、加圧用弾性部材が撓んで弾性力が増大し、その弾性力で加圧ブロックがスリーブ胴の内径部に接触して前記結合状態となり、
前記カム軸の回転により平坦面が可動ピンに接することで、加圧用弾性部材が元の状態に復元して前記分離状態となるようにしたことを特徴とする印刷機の印刷胴である。
【0009】
本発明の印刷機の印刷胴は、前記加圧ブロックを回転軸の径方向に移動自在とすると共に、その加圧ブロックを回転軸の中心方向に移動する戻り用弾性部材を設け、
前記カム軸の円弧面が可動ピンに接することで、加圧用弾性部材の弾性力が戻り用弾性部材の弾性力よりも大きくなることで加圧ブロックが前記結合状態となり、
前記カム軸の平坦面が可動ピンに接することで加圧用弾性部材の弾性力が元の状態に復元して加圧ブロックが戻り用弾性部材で回転軸の中心方向に移動して前記分離状態となるようにできる。
【0010】
このようにすれば、カム軸を回転することで確実に結合状態、分離状態とすることができる。
【0011】
本発明の印刷機の印刷胴は、前記スリーブ胴は、アルミ合金製の胴本体と、この胴本体の軸方向一端に取り付けた鋼鉄製の一側胴枕と、前記胴本体の軸方向他端に取り付けた鋼鉄製の他側胴枕を備え、
前記結合機構は一側胴枕の内周面に接触する結合部材と、他側胴枕の内周面に接触する結合部材を有するものにできる。
【0012】
このようにすれば、スリーブ胴を軽量として交換作業を容易とすることができると共に、スリーブ胴と回転軸を強固に結合できる。
【0013】
本発明の印刷機の印刷胴は、前記回転軸は、その軸方向一端部が軸心の振れやスラスト荷重の発生しないように片持ち構造で軸支され、
前記カム軸は回転軸の軸方向他端部から突出し、その突出部に操作つまみを有し、
スリーブ胴は、中空で内周側に円板状のリブを軸方向に複数設けたアルミ合金の鋳造により成形され、その複数のリブで回転軸に嵌合する内径部を形成し、
このスリーブ胴を回転軸の軸方向他端部から挿入、引き出し自在とすることができる。
【0014】
このようにすれば、スリーブ胴を軽量にできるから、回転軸の軸方向他端部から手作業で回転軸に簡単に挿入、抜き出しできると共に、回転軸の軸方向他端部から操作つまみを持ってカム軸を回転してスリーブ胴と回転軸を結合、分離できるので、スリーブ胴を手作業で容易に交換することができる。
【0015】
本発明の印刷機の印刷胴は、前記結合機構は、回転軸の周方向に120°間隔で3つの結合部材を有し、その3つの結合部材がスリーブ胴の内径部の周方向3ヶ所に接するようにできる。
【0016】
このようにすれば、スリーブ胴と回転軸を周方向3ヶ所で結合するから、強固に結合できる。
【0017】
本発明の印刷機の印刷胴は、前記スリーブ胴は、筒体の内周面に円板状のリブを軸方向に複数有し、その複数のリブで回転軸に嵌合する内径部とすると共に、筒体の内周面に溝加工用凸部と動バランス用凸部を径方向に対称となるように備えたアルミ合金製で、
前記溝加工用凸部に、差し込み式刷版の咥側、咥尻側を差し込む刷版差し込み溝を形成することができる。
【0018】
このようにすれば、スリーブ胴の筒体の肉厚(スリーブ胴の肉厚)よりも刷版差し込み溝を深くして差し込み式刷版の咥側、咥尻側をしっかりと支持できる。
しかも、スリーブ胴の回転バランスを保つことができ、スリーブ胴を高速回転することが可能であるので、高速印刷できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カム軸を回転することでスリーブ胴と回転軸を簡単に結合、分離できるから、スリーブ胴の交換作業を短時間に実施できる。
また、本発明によれば、カム軸を回転して円弧面を可動ピンに接することで、加圧ブロックをスリーブ胴の内径部に強い力で接触してスリーブ胴と回転軸を結合でき、カム軸を回転して平坦面を可動ピンに接することでスリーブ胴と回転軸を分離できる。
しかも、加圧用弾性部材の弾性力を増大し、その弾性力で加圧ブロックをスリーブ胴の内径部に接するので、各部の寸法誤差などがあってもスリーブ胴と回転軸を確実に結合できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、本体フレーム1に版胴2、ブランケット胴3、圧胴4が回転自在に取り付けてある。版胴2、ブランケット胴3が印刷胴である。
図1、
図2、
図3に示すように、本体フレーム1は各胴の軸方向一側方の一側本体フレーム1aと、軸方向他側方の他側本体フレーム1bを有している。
図2に示すように、版胴2は回転軸20と、その回転軸20に挿入、抜き出し自在に嵌合して着脱自在に取り付けたスリーブ胴30を有している。
回転軸20とスリーブ胴30は結合機構40で回転、軸方向に移動しないように結合及び回転、軸方向に移動できるように分離できるようにしてある。
回転軸20とスリーブ胴30は図示しない回転軸側のキーと、スリーブ胴側のキー溝を嵌合することで回転方向において回転軸20とスリーブ胴30は一体化される構造になっている。
【0022】
図3に示すように、ブランケット胴3は版胴2と同様に、回転軸20と、その回転軸20に挿入、抜き出し自在に嵌合して着脱自在に取り付けたスリーブ胴30を有している。
この回転軸20とスリーブ胴30は前述した結合機構40で結合及び分離できるようにしてある。
この回転軸20とスリーブ胴30は前述と同様に図示しないキーとキー溝を嵌合することで回転方向に一体化される構造になっている。
【0023】
版胴2の回転軸20とブランケット胴3の回転軸20は同様の形状で、版胴2の回転軸20は
図2に示すように取り付けられ、ブランケット胴3の回転軸20は
図3に示すように取り付けられるので、ブランケット胴3の回転軸20が版胴2の回転軸20よりも長くなっている。
版胴2のスリーブ胴30とブランケット胴3のスリーブ胴30は同様の形状で、長さは同一である。
【0024】
版胴2の回転軸20の取り付けを
図2を参照して説明する。
一側本体フレーム1aに回転軸20の軸方向一端部を一端軸受部10で回転自在に片持ち構造で軸支し、他側本体フレーム1b側から径の異なるスリーブ胴30と交換することで版胴2の径を変えるようにしてある。
【0025】
他側本体フレーム1bは版胴2及びブランケット胴3の挿入、引き出し用の開口部11を有していると共に、版胴用の旋回フレーム12がヒンジ13で回動自在に取り付けてある。
この版胴用の旋回フレーム12は他側本体フレーム1bの外側面に接して、版胴2の軸方向他端部と対峙した第1の位置と、他側本体フレーム1bの外側面と離れて版胴2の軸方向他端部と離隔してスリーブ胴30を開口部11から抜き出し可能とする第2の位置とに渡って回動する。
版胴用の旋回フレーム12は回転軸20の軸方向他端寄り部分が挿通する孔14を有すると共に、この孔14に版胴ハウジング15が嵌合して取り付けてある。
【0026】
版胴ハウジング15に設けた他端軸受部16で回転軸20の軸方向他端部が回転自在で、かつ軸方向に挿入、抜き出し自在に支持してある。
そして、版胴ハウジング15は移動部17を操作することで版胴用の旋回フレーム12に接近、離隔する方向に移動し、版胴用の旋回フレーム12が第1の位置のときに版胴2の軸方向に、他端軸受部16が回転軸20の軸方向他端部を支持する支持位置となる位置と、支持を解放する解放位置となる位置とに渡って平行姿勢を維持して移動する。
【0027】
移動部17は
図1に示すように、版胴ハウジング15の左右両側に設けてあると共に、版胴2の回転軸20は版胴ハウジング15の左右中間に支持され、その左右の移動部17を操作することで版胴ハウジング15が回転軸20の軸方向に平行移動するようにしてある。
【0028】
このようであるから、版胴ハウジング15を移動して他端軸受部16を回転軸20の軸方向他端部から抜き出し、版胴用の旋回フレーム12を回動して開口部11を解放することができる。
そして、回転軸20は一側本体フレーム1aに、軸芯の振れやスラスト荷重の発生しない構造にて片持ち構造で軸支され、他側本体フレーム1bの開口部11からスリーブ胴30を回転軸20から抜き出し、挿入することができる。
したがって、スリーブ胴30を径の異なるものに交換できる。
【0029】
次に、ブランケット胴3の回転軸20の取り付けを
図3を参照して説明する。
図3に示すように、本体フレーム1の一側本体フレーム1a、他側本体フレーム1bの外側に、一側補助フレーム50と他側補助フレーム51が版胴2に接近、離隔する方向に移動自在にそれぞれ設けてある。
例えば、一側本体フレーム1aの外側面に左右一対の一側リニアガイド52で一側補助フレーム50を版胴2に接近、離隔する方向に移動自在に取り付ける。
他側本体フレーム1bの外側面に左右一対の他側リニアガイド53で他側補助フレーム51を版胴2に接近、離隔する方向に移動自在に取り付ける。
【0030】
他側補助フレーム51にブランケット胴用の旋回フレーム54がヒンジ55で回動自在に取り付けてある。
このブランケット胴用の旋回フレーム54は、他側補助フレーム51の開口部51aを閉じブランケット胴3の軸方向他端部と対峙した第1の位置と、前記開口部51aを開放しスリーブ胴30を開口部51aから抜き出し可能な第2の位置とに渡って回動する。この開口部51aは他側本体フレーム1bの開口部11と対向してブランケット胴3が挿通可能である。
ブランケット胴用の旋回フレーム54の孔56にブランケット胴ハウジング57が嵌合して取り付けてある。
【0031】
回転軸20の軸方向一端部は一側本体フレーム1aの孔58を貫通して一側補助フレーム50に一端軸受部60で回転自在に片持ち構造で軸支してある。
回転軸20の軸方向他端部は他側本体フレーム1aの開口部11、他側補助フレーム51の開口部51aから軸方向他側方に突出し、その軸方向他端部はブランケット胴ハウジング57に設けた他端軸受部61で回転自在で、かつ軸方向に挿入、引き出し自在に支持されている。
そして、ブランケット胴ハウジング57は、版胴ハウジング15と同様に、移動部62を操作することでブランケット胴用の旋回フレーム54に接近、離隔する方向に移動し、ブランケット胴用の旋回フレーム54が第1の位置のときに、他端軸受部61が支持位置となる位置と、解放位置となる位置とに渡ってブランケット胴3の軸方向に平行移動する。
他端軸受部61が支持位置のときには回転軸20の軸方向他端部に嵌合して回転自在に支持し、解放位置のときには抜き出して支持を解放する。
【0032】
このようであるから、ブランケット胴ハウジング57を移動して他端軸受部61を回転軸20の軸方向他端部から抜き出し、ブランケット胴用の旋回フレーム54を第2の位置に回動して開口部51aを開放することができる。
そして、回転軸20は一側補助フレーム50に軸芯の振れやスラスト荷重の発生しない構造にて片持ち構造で軸支され、他側補助フレーム51の開口部51a、他側本体フレーム1bの開口部11からスリーブ胴30を回転軸20から抜き出し、挿入することができる。
したがって、スリーブ胴30を径の異なるものに交換できる。
【0033】
図1に示すように、移動機構59を駆動することで、一側補助フレーム50と他側補助フレーム51が移動し、ブランケット胴3が版胴2に接近、離隔するので、版胴2の中心とブランケット胴3の中心との距離が変化する。
これにより、前述したように、版胴2のスリーブ胴30、ブランケット胴3のスリーブ胴30を径の異なるものと交換し、版胴2、ブランケット胴3の周長を変えることで、天地長さの異なる印刷画像を印刷するときに、版胴2、ブランケット胴3の径の変化に応じて版胴2の中心とブランケット胴3の中心との距離を変化することで版胴2とブランケット胴3が適切な状態で接触する。
【0034】
ブランケット胴3の回転軸20の軸方向両端部を一側・他側補助フレーム50,51に回転自在に支持する一端軸受部60、他端軸受部61は偏心軸受で、ブランケット胴3を版胴2、圧胴4から離れる方向に移動できるようにしてある。
例えば、他端軸受部61の軸受箱61aの外周面と内周面を偏心させ、その軸受箱61aをブランケット胴ハウジング57の孔57aに回転可能に取り付け、その軸受箱61aを図示しない回転手段で回転すると回転軸20が偏心回転することで、ブランケット胴3が版胴2、圧胴4に接近する方向、離れる方向に動くようにする。
一端軸受部60も同様に、軸受箱60aを一側補助フレーム50の孔50aに回転自在に支承してある。
【0035】
軸受箱60a,61aの回転手段は、軸受箱60a,61aにアームを固定し、シリンダや電動モータにより揺動されるリンクをアームを連結することで、リンクの揺動で軸受箱60a,61aが回転するものであるが、これに限ることはない。
【0036】
前述のようにブランケット胴3を版胴2、圧胴4から離れる方向に移動することで、版胴2の版を交換する作業がやり易いと共に、紙通し作業を容易にできる。
【0037】
圧胴4は
図1に示すように、揺動機構4aで揺動するアーム4bに回転自在に取り付けてある。
【0038】
次に、版胴2の詳細を
図2、
図4、
図5を参照して説明する。
版胴2の回転軸20は、中間筒状部21と、この中間筒状部21の軸方向一側部に嵌合して取り付けた中実の一側軸部22と、中間筒状部21の軸方向他側部に嵌合して取り付けた中実の他側軸部23とで、軸方向中間部が中空となっている。
他側軸部23の軸方向他側寄りは先細のテーパー形状で、スリーブ胴30を挿入し易くしてある。
【0039】
スリーブ胴30は、筒体31の内周面に中心部分が円形に開口した円板状のリブ32を軸方向に間隔を置いて複数有し、各リブ32の円形開口32aが回転軸20の外周面に嵌合する胴本体33と、この胴本体33の軸方向一端に取り付けた一側胴枕34と、胴本体33の軸方向他端に取り付けた他側胴枕35を備えている。
一側胴枕34、他側胴枕35は筒形状で、内周面34a,35aが各リブ32の円形開口32aと同一径で、それらによって回転軸20の外周面に嵌合する内径部としてある。
【0040】
前記胴本体33はアルミ合金を用いた鋳造により成形され、筒体31の外周面(外周)及びリブ32の円形開口32a(内周)を機械加工にて仕上げられた構成になっている。
つまり、胴本体33は、中空にすると共に内周側に回転軸20に嵌合する内径部を有する円板状のリブ32を軸方向に多数設けてアルミ合金を用いた鋳造により成形され、外周及び内周を機械加工にて仕上げられた構成になっている。
【0041】
前記一側胴枕34、他側胴枕35は鋼鉄製で、内周側にリング状の突片34b,35bを有し、その突片34b,35bを胴本体33の軸方向両端面に形成した環状凹部33aに嵌合すると共に、ボルト34c,35cを胴本体33に螺合して取り付けている。
【0042】
前述のように、スリーブ胴30は、その大部分が中空で、内周に複数のリブ32を有した形状で、アルミ合金製であるから、版胴2のスリーブ胴30の重量を軽量化することができるので、そのスリーブ胴30を回転軸20に挿入、抜き出して取り付け、取り外しの際のスリーブ胴30の手作業による取り扱いが容易で、その交換作業の容易化を図ることができる。
なお、スリーブ胴30は一側胴枕34、他側胴枕35を用いずに胴本体33のみとすることができる。
【0043】
図4に示すように、版胴2のスリーブ胴30(胴本体33)には、差し込み式刷版5の咥側5a、咥尻側5bを差し込むための溝としてスリーブ胴30の外周に軸方向に延びる刷版差し込み溝36が形成されている。
そして、
図5(a)に示すように刷版差し込み溝36に差し込み式刷版5の咥側5aを挿入し、その差し込み式刷版5を
図5(b)に示すようにスリーブ胴30の外周面に巻き付け、
図5(c)に示すように差し込み式刷版5の咥尻側5bを刷版差し込み溝36に挿入することで、差し込み式刷版5をスリーブ胴30の外周面に取り付ける。
【0044】
前述の刷版差し込み溝36は差し込み式刷版5の咥側5a、咥尻側5bが挿入する深さが必要であるが、前述のようにスリーブ胴30(筒体31)の肉厚は、軽量化のために薄いので、スリーブ胴30の内周面(筒体31の内周面)に溝加工用凸部37を軸方向に連続して設け、その溝加工用凸部37に刷版差し込み溝36を形成することで、スリーブ胴30の肉厚が薄くとも所定の深さの刷版差し込み溝36を形成できるようにしてある。つまり、スリーブ胴30(筒体31)の肉厚よりも刷版差し込み溝36の深さが大きい。
【0045】
前述のように、スリーブ胴30の内周面の一部分に溝加工用凸部37を形成するとスリーブ胴30の回転バランスが悪くなるので、スリーブ胴30の内周面における溝加工用凸部37と径方向に対称位置に動バランス用凸部38を設け、スリーブ胴30の回転バランスがとれて安定して回転するようにしてある。
これにより、版胴2を高速回転して高速印刷が可能となる。
【0046】
次にブランケット胴3の詳細を
図3、
図6、
図7を参照して説明する。
ブランケット胴3の回転軸20は
図3、
図6に示すように、前述の版胴2の回転軸20と同様に、中間筒状部21、一側軸部22、他側軸部23を有している。
そして、中間筒状部21が版胴2の回転軸20の中間筒状部21と同一長さで、一側軸部22、他側軸部23が版胴2の回転軸20の一側軸部22、他側軸部23よりも長く、全体の長さが版胴2の回転軸20よりも長くしてある。
【0047】
ブランケット胴3のスリーブ胴30は前述の版胴2のスリーブ胴30と同様に、筒体31と複数の円板状のリブ32より成るアルミ合金製の胴本体33と、鋼鉄製の一側胴枕34、他側胴枕35を備え、各リブ32の円形開口32aと一側胴枕34の内周面34a、他側胴枕35の内周面35aとで回転軸の外周面に嵌合する内径部を有している。
一側胴枕34、他側胴枕35は版胴2のそれらと同様に、突片34b,35bを環状凹部33aに嵌合し、ボルト34c,35cで固定して取り付けてある。
【0048】
このようであるから、ブランケット胴3のスリーブ胴30を、版胴2のスリーブ胴30と同様に回転軸20に手作業で容易に挿入、抜き出しできるから、その交換作業の容易化を図ることができる。
【0049】
ブランケット胴3のスリーブ胴30(胴本体33)の外周面には
図6に示すように、ブランケット切断V溝部39が軸方向に連続して形成してある。
そして、
図7(a)に示すように粘着剤付きブランケット6の一端縁6aをブランケット切断V溝部39に沿って貼り付け、そのV溝部39を基準として粘着剤付きブランケット6をスリーブ胴30の外周面に貼り付け、その粘着剤付きブランケット6をスリーブ胴30の外周面に巻きつけ、
図7(b)に示すように粘着剤付きブランケット6の他端縁6bをブランケット切断V溝部39を越え、他端縁6aに貼り付ける。
【0050】
この状態で、切断用カッター刃7をブランケット切断V溝部39に沿って軸方向に移動することで粘着剤付きブランケット6を、そのV溝部39で切断し、
図7(c)に示すようにスリーブ胴30の外周面に粘着剤付きブランケット6を貼り合わせる。
【0051】
このようであるから、粘着剤付きブランケット6を、その一端縁6aと切断縁6cが重なり合うことがないように貼り合わせることができる。
しかも、切断用カッター刃7をブランケット切断V溝部39に沿って移動すれば良いから、その作業が容易である。
【0052】
次に、結合機構40を説明する。
図2、
図3に示すように、回転軸20にはカム軸41と、このカム軸41の回転により回転軸20の径方向に移動する結合部材42が設けてある。
カム軸41は結合位置と分離位置とに渡って所定の角度回転する。
カム軸41を結合位置に回転することで、カム軸41で結合部材42が回転軸20の外周面に向かう方向に移動し、回転軸20の外周面から突出し、スリーブ胴30の内径部に強い力で接触し、摩擦締結によりスリーブ胴30が回転及び軸方向に移動しないように回転軸20に結合される。
カム軸41を分離位置に回転することで、結合部材42がカム軸41で回転軸20の外周面に向かう方向に移動されず、スリーブ胴30の内径部に強い力で接触しないので、摩擦締結されずにスリーブ胴30が回転及び軸方向に移動するように回転軸20と分離される。
【0053】
このようにカム軸41を結合位置、分離位置に回転する操作で、スリーブ胴30を回転軸20に結合、分離できるので、スリーブ胴30と回転軸20を簡単に結合、分離できるから、スリーブ胴30の交換作業を短時間に実施できる。
【0054】
カム軸41は、回転軸20の中間筒状部21を挿通して一側軸部22の軸心に形成した孔22aと他側軸部23の軸心に形成した孔23aに嵌合し、他側軸部23から他側方に突出していると共に、その突出部41aに操作つまみ43が取り付けてある。
このようにすることで、カム軸41は軸方向の両端部分が孔22a、孔23aで回転可能に支承され、結合部材42を回転軸20の外周面に向かう方向に確実に移動でき、操作つまみ43を持ってカム軸41を容易に回転できる。
【0055】
回転軸20の一側軸部22、他側軸部23には、孔22a、孔23aを外周面に開口する径方向の取付用孔44がそれぞれ形成され、この各取付用孔44に結合部材42がそれぞれ径方向に移動自在に設けてある。
カム軸41の軸方向両端寄りに各結合部材42と接するカム部41bが形成してある。
そして、一方の結合部材42は一側胴枕34の内周面34aに接触し、他方の結合部材42は他側胴枕35の内周面35aに接触するようにしてある。
【0056】
このようにスリーブ胴30の内径部の軸方向両端寄りに結合部材42がそれぞれ接触して軸方向の2ヶ所で摩擦締結により結合するから、強固に結合することができる。
しかも、鋼鉄製の一側胴枕34、他側胴枕35の内周面34a,35aに結合部材42が接触するので、摩擦締結の強さが大きく、より強固に結合できる。
【0057】
次に、カム軸41のカム部41bと結合部材42を
図8〜
図10を参照して説明する。
カム軸41は断面円形で、その外周面の周方向一部を平坦面に加工することで、周方向に平坦面41cと円弧面41dを有する形状としてカム部41bとしてある。
この実施の形態では、120°間隔で3つの平坦面41cを有し、その平坦面41cの間が3つの円弧面41dである。
【0058】
取付用孔44は、
図9に示すように他側軸部23の孔23aに開口した内周側孔44aと、この内周側孔44aと連続して他側軸部23の外周面に開口した外周側孔44bを有し、内周側孔44aは円形で、外周側孔44bは内周側孔44aの径よりも大きな矩形で、外周に向けて開口した形状で、取付用孔44は段部44cを有した段付き形状である。
取付用孔44は放射状に120°間隔で3つ形成してある。
【0059】
結合部材42は3つの取付用孔44にそれぞれ設けられ、3つの結合部材42が放射状に設けてある。
結合部材42は外周側孔44bに設けた加圧ブロック45と、内周側孔44aに摺動自在に挿入した可動ピン46を有している。
加圧ブロック45は、案内ピン47に沿って回転軸20の径方向に移動自在に設けられ、戻り用弾性部材、例えば戻り用皿バネ48で回転軸20の中心に向かう方向(以下内周側方向という)に移動され、回転軸20の中心に向かう内側面が段差44cに接している可動ブロック45aと、この可動ブロック45aの回転軸20の外周面に向かう外側面に取り付けた接触ブロック45bを備え、この接触ブロック45bは径方向に位置調整可能に取り付けてある。
例えば、可動ブロック45aの外周側面にシム(図示せず)を介在してボルト45cで固着して取り付けてあり、そのシムの厚さ(枚数)を変えることで径方向の取付位置を調整する。
【0060】
可動ピン46はベアリングで内周側孔44aに径方向に摺動自在に挿入してある。
この可動ピン46の基端部がカム軸41のカム部41b(平坦面41c又は円弧面41d)に接し、先端部を加圧用弾性部材、例えば加圧用皿バネ49を介して可動ブロック45aに連結してある。
【0061】
カム軸41を回転して
図9に示すようにカム軸41のカム部41bの円弧面41dが可動ピン46の基端部に接触した状態では、可動ピン46はカム軸41で回転軸20の外周面に向かう方向(以下外周側方向という)に移動し、加圧用皿バネ49が撓む(弾性圧縮変形)ことで、その加圧用皿バネ49の弾性力が増大し、その加圧用皿バネ49の弾性力が戻り用皿バネ48の弾性力よりも大きくなるので、加圧ブロック45に加圧用皿バネ49の弾性力で外周側方向の力が負荷し、加圧ブロック45は外周側方向に移動して加圧ブロック45(接触ブロック45b)がスリーブ胴30の内径部(他側胴枕35の内周面35a)に強い力で接触し、スリーブ胴30が回転、軸方向に移動しないようにスリーブ胴30と回転軸20を結合する状態となる。
【0062】
カム軸41を回転して
図10に示すように、カム軸41のカム部41bの平坦面41cが可動ピン46の基端部に接触した状態では、可動ピン46がカム軸41で外周側方向に移動されないので、加圧用皿バネ49の撓みがなくなり、その弾性力が元の状態に復元し、加圧用皿バネ49の弾性力で加圧ブロック45に外周側方向の力が負荷しないから、加圧ブロック45(接触ブロック45b)がスリーブ胴30の内径部から離れ、スリーブ胴30が回転、軸方向に移動できる分離状態となる。
【0063】
この分離状態となったときに、戻り用皿バネ48の弾性力で加圧ブロック45が内周側方向に移動し、その加圧ブロック45(接触ブロック45b)が回転軸20の外周面から突出しなくなると共に、その位置に保持される。
このようであるから、スリーブ胴30を回転軸20の外周面に沿って挿入、抜き出しするときにスリーブ胴30の内径部が加圧ブロック45と干渉することがなく、スリーブ胴30を容易に回転軸20に挿入、抜き出しすることができる。
【0064】
このように、加圧用皿バネ49の弾性力で加圧ブロック45をスリーブ胴30の内径部に強い力で接触することで、スリーブ胴30と回転軸20を結合したので、カム軸41のカム部41bの寸法誤差や結合部材42の寸法誤差などを加圧用皿バネ49の弾性変形で吸収し、寸法誤差などがある場合でも確実に加圧ブロック45を強い力でスリーブ胴30の内径部に接触できると共に、各部が損傷などすることを防止できる。
【0065】
前述の実施の形態では版胴2とブランケット胴3と圧胴4を有する印刷機について述べたが、版胴2と圧胴4を有する印刷機においても、その版胴2を前述のように構成しても良いことは勿論である。
また、各旋回フレーム12,54に他端軸受部16,61を移動しないように取り付け、その各旋回フレーム12,54を軸方向に平行移動自在として他端軸受部16,61を回転軸20の軸方向他端部に嵌合、抜き出し可能とし、その抜き出した状態で各旋回フレーム12,54を第2の位置に回動するようにしても良い。