特許第6054156号(P6054156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6054156曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054156
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システム
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B21D5/02 F
   B21D5/02 P
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-262054(P2012-262054)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-104506(P2014-104506A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】茨木 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】増子 亘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康治
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】横山 匡
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−160547(JP,A)
【文献】 特開2006−305609(JP,A)
【文献】 特開2001−219221(JP,A)
【文献】 特開平10−180358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/00−5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工部品取付部に加工部品を取付けたのちに所定の折り曲げ加工動作を行う曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムであって、
作業工程ごとの折り曲げ加工の情報を与える入力手段と、曲げ加工装置ネットワークに接続された折り曲げ加工情報データベースと、工場ネットワークと作業者が操作する前記入力手段に接続された作業情報データベースとを備え、
前記作業情報データベースには前記曲げ加工装置が実行する作業工程の情報が記憶され、前記入力手段を通じて次の作業工程が指示され、あるいは記憶済みの作業工程の変更が行われており、前記折り曲げ加工情報データベースには、当該作業工程の時に前記曲げ加工装置で使用する加工部品の情報として、使用する加工部品及び加工部品を取付ける場所の情報を含めて記憶されており、
前記曲げ加工装置は、折り曲げ作業以前の段取り段階として、前記曲げ加工装置ネットワークを介して前記折り曲げ加工情報データベースから得た当該作業工程の時に曲げ加工装置で使用する加工部品の情報を用いて、前記加工部品取付部に前記加工部品を取付けるときの取付位置を指示する取付位置指示手段と、取付位置指示手段の制御手段を備えているとともに、
前記曲げ加工装置は、次の作業工程が指示され、次の折り曲げ加工部品の取付を行う時は、前記折り曲げ加工情報データベースから得た当該作業工程の時に曲げ加工装置で使用する加工部品の情報を用いて、次の折り曲げ加工部品の取付位置を指示し、折り曲げ加工部品取付けが完了するまで、前記取付位置の指示制御、および作業者による取付作業を繰り返すことを特徴とする曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システム。
【請求項2】
請求項1記載の曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムであって、
前記取付位置指示手段の制御手段として、前記取付位置指示手段を加工部品の取付指示位置に導くための駆動機構を備え、該駆動機構は移動方向ごとの駆動部と移動方向ごとの位置検出部を備えることを特徴とする曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システム。
【請求項3】
請求項1記載の曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムであって、
前記取付位置指示手段は光学手段であり、前記制御手段は前記折り曲げ加工情報データベースから得た情報を用いて、加工部品取付部に前記加工部品を取付るときの取付位置を指示する光学手段を操作することを特徴とする曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムであって、
前記加工部品取付部に前記加工部品を取付けたときの取付状態を検知する取付位置検出部を備えることを特徴とする曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムであって、
前記加工部品取付部に前記加工部品を取付けたとき、前記所定の折り曲げ加工動作後の加工製品の情報を表示する手段を備えることを特徴とする曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り曲げ加工装置(以下単に曲げ加工装置という)を用いた折り曲げ作業は、使用する折り曲げ加工部品の種類や取付位置、曲げ方法等を曲げ加工装置付帯の制御装置で加工寸法等を登録し、この登録されたデータに基づいて加工等を実施していた。
【0003】
図2に一般的な曲げ加工装置1の概略構成を示す。図2(a)は曲げ加工装置の正面図、図2(b)は曲げ加工装置の側断面を示している。
【0004】
図2の曲げ加工装置1は、上側折り曲げ加工部品取付部2に上側折り曲げ加工部品3を取付け、下側折り曲げ加工部品取付部5に下側折り曲げ加工部品4を取付けている。これらの取付部2、5は加工部品3,4を取付けた状態で相対的に上下方向(Z方向)に移動し、加工部品3,4の間に配置された製品部材(図示せず)を上下から圧迫して形成加工する。
【0005】
なお、加工部品3,4は、いわゆる金型であり、例えば図2(b)に示すように一方の金型に凹部、他方の金型に凸部が形成されている。また図2(a)に示すように、1台の曲げ加工装置1には、左右方向(X方向)に上下対にされた加工部品が複数組設置され、一度の形成加工作業で複数の製品が形成加工されるように構成されている。この場合に、複数の製品は同じものを複数同時に製造(同一品種製造)するものであっても、また異なる製品を多品種生産するものであってもよい。
【0006】
係る従来の曲げ加工装置1においては、折り曲げ加工部品3、4の例えばX方向取付位置は、作業者6が曲げ加工装置1付帯の制御装置に登録されたデータと曲げ加工装置1の折り曲げ加工部品3、4取付位置を確認、比較して取付けていた。
【0007】
しかるに、使用する折り曲げ加工部品の選択や取付にあたり、曲げ加工装置付帯の制御装置に登録したデータを確認して行う方法では、選択間違いや取付場所の間違い等が発生し、製品不良の一因となっていた。
【0008】
前記の課題に対し、これまで、使用する折り曲げ加工部品の個別指示や折り曲げ加工部品取付後の折り曲げ加工部品検出機能の確立により、折り曲げ加工部品選定間違いや折り曲げ加工部品取付位置間違いを折り曲げ作業前に検出出来る様になった。
【0009】
そして、次の段階として、折り曲げ加工部品取付位置の間違いを検出するのではなく、作業時に折り曲げ加工部品取付位置を間違わない様にする機構の開発が求められている。
【0010】
また係る問題の解決のために折り曲げ加工部品3、4の種類や取付位置を検出し、正常に取付けられているかを判別する機能が開発された。然しながら、この機能により折り曲げ加工部品3、4取付位置を間違えたことが判明した場合には、同機能による異常通知や目視確認結果を受けて、折り曲げ加工部品3、4取付位置を再調整する後戻り作業が発生していた。
【0011】
これらの加工部品取付に関する課題の解決のために、特許文献1には「曲げ加工装置において、ストレッチに取付けた突き当てやサイドゲージなどのワーク位置決め機構を利用し、可視光線やレバーなどの指示子でパンチ固定位置を直接表示するパンチ固定位置表示手段」が開示されている。
【0012】
また特許文献2には「板金加工機械において、ストレッチに取付けたバックゲージの移動動作を利用し、バックゲージセンサで金型取付位置を指示する方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−305609号公報
【特許文献2】特開平9−155452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1、特許文献2ではバックゲージあるいはサイドゲージなどを利用して加工部品の取付位置を指示しているが、間接的な位置決めであり、取付位置精度に欠けるという問題がある。
【0015】
また、1台の曲げ加工装置が複数組の加工部品を備え、一度の操作で複数製品の加工を行うような場合、あるいは多種類の加工操作を1台で実施するような場合には、加工部品取付の都度相違する取付位置とする必要がある。このようなケースでは、バックゲージあるいはサイドゲージなどを利用して加工部品の取付位置を間接的に位置決めする手法には限界がある。
【0016】
本発明の曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムは、上記の課題を解決するために、折り曲げ加工部品3、4取付位置を具体的に指示し、折り曲げ加工部
品3、4の取付位置間違いを未然に防ぐ事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明は加工部品取付部に加工部品を取付けたのちに所定の折り曲げ加工動作を行う曲げ加工装置における加工部品取付位置指示システムであって、作業工程ごとの折り曲げ加工の情報を与える入力手段と、曲げ加工装置ネットワークに接続された折り曲げ加工情報データベースと、工場ネットワークと作業者が操作する入力手段に接続された作業情報データベースとを備え、作業情報データベースには曲げ加工装置が実行する作業工程の情報が記憶され、入力手段を通じて次の作業工程が指示され、あるいは記憶済みの作業工程の変更が行われており、折り曲げ加工情報データベースには、当該作業工程の時に曲げ加工装置で使用する加工部品の情報として、使用する加工部品及び加工部品を取付ける場所の情報を含めて記憶されており、曲げ加工装置は、折り曲げ作業以前の段取り段階として、曲げ加工装置ネットワークを介して折り曲げ加工情報データベースから得た当該作業工程の時に曲げ加工装置で使用する加工部品の情報を用いて、加工部品取付部に加工部品を取付けるときの取付位置を指示する取付位置指示手段と、取付位置指示手段の制御手段を備えているとともに、曲げ加工装置は、次の作業工程が指示され、次の折り曲げ加工部品の取付を行う時は、折り曲げ加工情報データベースから得た当該作業工程の時に曲げ加工装置で使用する加工部品の情報を用いて、次の折り曲げ加工部品の取付位置を指示し、折り曲げ加工部品取付けが完了するまで、取り付け位置の指示制御、および作業者による取付作業を繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、曲げ加工装置における折り曲げ加工部品取付時の折り曲げ加工部品取付位置間違いを未然に防止し、製品不良や装置、他折り曲げ加工部品を壊す要因を排除し、また、折り曲げ加工部品取付位置間違いに伴う折り曲げ加工部品取付作業のやり直しという後戻り作業を排除する効果が見込める。
【0020】
また、折り曲げ加工部品取付位置確認の容易化により、折り曲げ加工部品取付作業に要する時間を短縮する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1(a)】実施例1に係る加工部品取付位置指示装置の平面図。
図1(b)】実施例1に係る加工部品取付位置指示装置の側断面図。
図2(a)】従来の曲げ加工装置の正面図。
図2(b)】従来の曲げ加工装置の側断面図。
図3】実施例1に係る折り曲げ加工部品取付位置指示システム構成を示す図。
図4(a)】実施例1に係る表示部の平面図。
図4(b)】実施例1に係る表示部の側断面図。
図5(a)】実施例2に係る表示部の平面図。
図5(b)】実施例2に係る表示部の側断面図。
図6】実施例2に係る折り曲げ加工部品取付位置指示システムの構成を示す図。
図7(a)】実施例2に係る可視光表示部の平面図。
図7(b)】実施例2に係る可視光表示部の拡大図。
図7(c)】実施例2に係る可視光表示部の側断面図。
図8(a)】実施例3に係る回動表示装置構成の平面図。
図8(b)】実施例3に係る回動表示装置構成の正面図。
図9】実施例3に係る折り曲げ加工部品取付位置指示システムの構成を示す図。
図10(a)】実施例4に係る可視光投射表示部の平面図。
図10(b)】実施例4に係る可視光投射表示部の側断面図。
図11(a)】実施例1に係る押し当て表示部の平面図。
図11(b)】実施例1に係る押し当て表示部の側断面図。
図12(a)】実施例5に係る加工部品取付位置指示装置の平面図。
図12(b)】実施例5に係る加工部品取付位置指示装置の側断面図。
図13】実施例5に係る折り曲げ加工部品取付位置指示システム構成を示す図。
図14】実施例5に係る検出装置の平面図。
図15】実施例6に係る折り曲げ加工後形状表示を示す図。
図16】実施例6に係る折り曲げ加工部品取付位置指示システム構成を示す図。
図17】実施例6に係る折り曲げ加工後形状表示を示す図。
図18】実施例6に係る折り曲げ加工部品取付位置指示システム構成を示す図。
図19】従来と本発明の加工部品取付手順について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明では、折り曲げ加工部品取付位置を指示器により指示し、取付位置間違いを未然に防止する。以下図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1図3図4に本発明の実施例1に係る加工部品取付位置指示装置及びシステムの概略構成を示す。実施例1では、多次元の駆動機構に取付けた表示部により取付位置を指示する。
【0024】
図1の加工部品取付位置指示装置50は、基本的に図2で説明した従来の曲げ加工装置1に適用される。図1(a)は本発明の加工部品取付位置指示装置50の平面図、図1(b)は加工部品取付位置指示装置50の側断面を示している。
【0025】
図1(a)の平面図には、左右方向(X方向)と奥行き方向(Y方向)が図示されている。図1(b)の側断面図には、上下方向(Z方向)と奥行き方向(Y方向)が図示されている。なお、図からも明らかなように左右方向(X方向)は、複数の加工部品の取付方向であり、上下方向(Z方向)は折り曲げ加工動作方向である。
【0026】
図1の加工部品取付位置指示装置50は、折り曲げ加工部品取付位置表示部7が設置されており、折り曲げ加工部品取付位置表示部7を曲げ加工装置1の任意の取付位置に誘導する例えばX,Y,Zの3次元の駆動機構を備えている。
【0027】
X軸の駆動機構11,13は図1(a)に特徴がよく表れており、Y軸の駆動機構9,10,12とZ軸の駆動機構8,14,15は図1(b)に特徴がよく表れている。なお図1(a)の左右方向には下側折り曲げ加工部品取付部5を例示している。取付部5には、加工部品を取付固定するための加工部品固定部35(例えばスリット)が形成されている。
【0028】
各駆動機構は、モータの回転を往復動に変換することで3次元位置を定めるものが採用可能である。具体的には、折り曲げ加工部品取付位置表示部7を折り曲げ加工部品取付開始位置まで移動、または、加工時に退避位置に移動させるための各軸の駆動部9、10、15、折り曲げ加工部品取付位置表示部7を折り曲げ加工部品取付部2、5と平行に移動させるための駆動軸10、13、14を備えている。
【0029】
なお11と12はX軸とY軸の端部に設けられた固定部である。図示以外の設備としては、折り曲げ加工部品取付位置表示部7の現在位置を検出する検出部、全体の制御を司る制御部を有する。
【0030】
本発明の折り曲げ加工部品取付位置指示システムの具体的な構成を図3に示す。
【0031】
図3の折り曲げ加工部品取付位置指示システムは、工場ネットワークNW1に接続された作業情報データベースDB1と、曲げ加工装置ネットワークNW2に接続された折り曲げ加工情報データベースDB2とを備えている。また作業情報データベースDB1は、作業者が操作するキーボード、マウスなどの作業管理機器40に接続されている。
【0032】
この構成では、作業情報データベースDB1にはこの工場または曲げ加工装置1が実行する作業工程の情報が記憶されており、工場ネットワークNW1あるいは作業管理機器40を通じて、次の作業工程が指示され、あるいは記憶済みの作業工程の変更などが行われる。折り曲げ加工情報データベースDB2には、当該作業工程の時に曲げ加工装置1で使用する加工部品の情報が記憶されており、特に加工部品として何を使用し、取付ける場所についての3次元位置情報を含めて記憶している。
【0033】
曲げ加工装置1は、折り曲げ加工情報データベースDB2からの情報を曲げ加工装置ネットワークNW2を介して入手して折り曲げ制御を実行する折り曲げ制御部41を含んでいる。折り曲げ制御部41の出力により、別途図示せぬ駆動機構により加工部品を上下動させて、曲げ作業を実施する。
【0034】
本発明では、曲げ作業以前の段取り段階として、加工部品の取り付け場所の指示を行わせる。この状態では折り曲げ制御部41の出力は、折り曲げ加工部品取付位置表示部7内の各軸の駆動部11,12,15に伝達されて、折り曲げ加工部品取付位置表示部7の指示部の位置を所定位置に導く。なお、折り曲げ加工部品取付位置表示部7には各軸の位置が位置検出部43,44,45から帰還されている。
【0035】
このようにして折り曲げ加工部品3、4の段取時は、曲げ加工装置1付帯の制御装置に登録されたデータをもとに、制御部41が各軸の駆動部11,12,15に動作指示を出し、検出部43,44,45の検出結果を元に、駆動の減速、停止、修正のフィードバック制御を行い、折り曲げ加工部品取付位置表示部7を所定の位置に移動する。
【0036】
これらにより、作業者6は、使用する折り曲げ加工部品3、4を、数値等を確認せずとも、指示部による所定の位置に間違いなく取付ける事が可能となる。
【0037】
また、次の折り曲げ加工部品3、4の取付時は、前記同様の制御により、次の折り曲げ加工部品取付開始位置に移動し、折り曲げ加工部品3、4取付けが完了するまで、前記の制御、作業者による取付作業を繰り返す。
【0038】
なお図3の構成において、例えば、駆動軸10、13、14をボールねじ、駆動部11,12,15をサーボモータ等の回転アクチュエータ、各駆動軸10、13、14上の位置検出を、回転式エンコーダを用いて実現することができる。
【0039】
あるいは、駆動軸10、13、14の一部、または全てを例えばリニアガイド等の直動ガイドとし、その駆動部11,12,15を、リニアモータ等の直動アクチュエータし、各駆動軸10、13、14上の位置検出に、リニアスケール等の直動エンコーダを用いて、前記を実現することもできる。
【0040】
本発明では、図4(a)に表示部の平面図、図4(b)に表示部の側断面図を示すように、折り曲げ加工部品取付位置表示部7は、折り曲げ加工部品取付開始位置を表示するための指示部16を有し、この指示部16により折り曲げ加工部品取付開始位置を表示する。
【0041】
図11(a)の平面図、図11(b)の正面図は、それぞれ図4(a)、図4(b)と対して明らかなように、指示部16にさらに加工部品取付時のストッパの機能をもたせて押し当て表示部26としたものである。これは、押し当てて折り曲げ加工部品3、4の取付位置を押し当て表示部26を用いて判断し、折り曲げ加工部品3、4の取付位置を得る構成を示している。
【0042】
この例では、折り曲げ加工部品取付部2、5に移動した表示部26の端面が折り曲げ加工部品取付開始位置に移動し、表示部26の端面と折り曲げ加工部品3、4の端面を押し当てる事で、折り曲げ加工部品取付開始位置を直接表示する。
【0043】
また、表示部26の端面に例えば、接触式のセンサを配置し、折り曲げ加工部品3、4が取付されたい位置を検出し、その情報を制御部にて、所定の位置情報と比較する事で、折り曲げ加工部品取付位置間違いをリアルタイムに作業者に通知することも可能である。
【実施例2】
【0044】
図5図6図7に本発明の実施例2に係る加工部品取付位置指示装置及びシステムの概略構成を示す。実施例2では、加工部品取付部に沿って表示部を設置する。実施例2では、表示部が加工部品取付位置指示装置50に相当する。
【0045】
図5(a)に表示部の平面図、図5(b)に表示部の側断面図を示すように、曲げ加工装置1の折り曲げ加工部品取付部2、5、またはその周辺に、折り曲げ加工部品取付部2、5と同等の長さをもつ折り曲げ加工部品取付位置表示具17を備え、表示具17の該当位置を表示する。
【0046】
この場合の折り曲げ加工部品取付位置指示システム構成は、図6に示すように実施例1とは折り曲げ加工部品取付位置表示部7が7aのように構成されている点で相違する。つまり3次元駆動機構と指示部16を用いず、表示具17の該当位置を表示するのみであるので、表示具17のみを有し、駆動部も位置検出部も使用しない。
【0047】
ここでは表示具17としてLCD等のモニタ表示部18を用いて折り曲げ加工部品取付位置を表示する。折り曲げ加工部品取付部2、5と同等以上の長さを有するLCD、または、複数のLCDを直列に折り曲げ加工部品取付部2、5に設置し、曲げ加工装置1付帯の制御装置に登録されたデータをもとに、制御部よりLCDに指示を行う。ここで、この表示は、例えば、位置が判る様に取付部とそれ以外を色分けして表示する。または、取付折り曲げ加工部品3、4の画像を、折り曲げ加工部品取付位置に表示し、その位置と種類を直接表示する。
【0048】
実施例2において、LCD等のモニタ表示部17ではなく、表示具18としてLED等の可視光投射部19により、折り曲げ加工部品2、4の取付位置を表示する。図7にこの時の装置構成とシステム構成を示す。
【0049】
また、LED点灯による表示では、図7(a)に示すようにより細かいピッチでLEDを配置する。また図7(b)に示すようにLEDとスリットを組み合わせ、所定の位置のみを点灯出来る様にし、複数段に分けて、隣接するLEDが接触しない様に配置する。点灯の制御においては、対象位置のLEDを全て点灯する様に制御し、折り曲げ加工部品取付位置を直接表示する。
【0050】
なお図7(a)において18は短冊状に細く配置された可視光表示部、可視光表示部18を拡大した図7(b)において、19は可視光投射部、21は遮光板である。可視光表示部18の側断面を示す図7(C)において、20は反射板であり、可視光投射部19からの光が可視光の経路22を経由してスリットから外部に流出することで位置表示を可能とする。
【0051】
これらにより、作業者は、使用する折り曲げ加工部品3、4を数値等を確認せずとも、所定の位置に間違いなく取付ける事が可能となる。
【0052】
また、次の折り曲げ加工部品取付時は、前記同様の制御により、次の折り曲げ加工部品取付開始位置に移動し、折り曲げ加工部品取付けが完了するまで、前記の制御、作業者による取付作業を繰り返す。
【実施例3】
【0053】
図8図9に本発明の実施例3に係る加工部品取付位置指示装置及びシステムの概略構成を示す。実施例3では、加工部品取付部に沿って回動表示部を設置する。実施例3では、回動表示部が加工部品取付位置指示装置50に相当する。
【0054】
図8(a)は、回動表示装置構成の平面図である。下側折り曲げ加工部品取付部5の上に取付けた回動表示部50の構成を示す。回動表示部50は、下側折り曲げ加工部品取付部5の所定位置に固定的に設置されており、ベルト駆動部23によりベルト25が回転移動する。ベルト25の移動方向は、下側折り曲げ加工部品取付部5に沿って設定されている。
【0055】
図8(b)は、回動表示装置構成の正面図である。折り曲げ加工部品取付部2、5に沿ってX軸方向に移動するベルト25の一部には位置指示部51が設けられており、この指示位置に加工部品3,4を設置することで正しい位置に据え付けることが可能である。
【0056】
なお、位置指示部51を有するベルトの駆動部23としてはサーボモータ等の回転アクチュエータとし、その位置検出に回転アクチュエータに対する回転式エンコーダ、または、表示部のベルトに対する直動エンコーダを用いて位置検出実現するのがよい。
【0057】
図9にこの時の折り曲げ加工部品取付位置指示システムの構成を示す。折り曲げ加工部品取付位置表示部7bは、ベルトの駆動部23を制御し位置検出器から表示位置を検知入力する。これらにより、作業者は、使用する折り曲げ加工部品3、4を、数値等を確認せずとも、所定の位置に間違いなく取付ける事が可能となる。
【0058】
また、次の折り曲げ加工部品取付時は、前記同様の制御により、次の折り曲げ加工部品取付開始位置に移動し、折り曲げ加工部品取付が完了するまで、前記の制御、作業者による取付作業を繰り返す。
【実施例4】
【0059】
図10(a)の平面図、図10(b)の正面図に本発明の実施例4に係る加工部品取付位置指示装置の概略構成を示す。実施例4では、図1の多次元位置駆動機構の先端に設置された多次元の駆動機構に取付けた表示部7に可視光投射部19が採用されている。この構造は、図4の指示部16を可視光投射部19に置き換えたものである。
【0060】
この例では、表示部7の上に、例えば、レーザ照射等の可視光投射部19を設置し、可視光の経路を形成するガイド22を経由して折り曲げ加工部品取付開始位置を折り曲げ加工部品取付部5に照射して表示する。
【実施例5】
【0061】
実施例5では上記実施例1から実施例4において、曲げ加工装置1内部、または外部に、折り曲げ加工部品3、4の検出部27を設置する。
【0062】
その検出結果により、折り曲げ加工部品3、4の種類及び折り曲げ加工部品取付位置が正常である時は、自動的に次の折り曲げ加工部品取付位置に移動し、折り曲げ加工部品3、4の種類及び折り曲げ加工部品取付位置に誤りがある場合は、その間違い内容をリアルタイムに作業者に通知する。
【0063】
実施例5の実施の一例では、例えば図12(a)の平面図、図12(b)の側断面図を、それぞれ実施例1の図2(a)の平面図、図2(b)の側断面図と比較して明らかなように、折り曲げ加工部品取付位置表示部7に折り曲げ加工部品3、4の取付位置検出部27を備える。
【0064】
ここで、例えば、折り曲げ加工部品3、4の取付位置検出部27をカメラとし、折り曲げ加工部品3、4の種類と折り曲げ加工部品取付位置の画像を入手する。入手された画像は画像認識され、その情報を制御部にて、所定の折り曲げ加工部品3、4の種類、折り曲げ加工部品取付位置を比較する事で、折り曲げ加工部品取付における間違いをリアルタイムに作業者に通知することができる。
【0065】
これらにより、作業者は、使用する折り曲げ加工部品3、4について数値等を確認せずとも、所定の位置に間違いなく取付る事が可能となる。また、折り曲げ加工部品取付けにおける間違いをリアルタイムに作業者に通知することで、他折り曲げ加工部品取付後に、折り曲げ加工部品3、4種類、または、折り曲げ加工部品取付位置を修正する後戻り作業を防止する事が可能となる。
【0066】
ここでリアルタイムとは、加工部品が折り曲げ加工部品取付部2,5に仮置きされ固定前の状態での確認、あるいは複数個の加工部品を順次固定しながら次の加工部品の設置に移る場合などに次に移る前の段階での確認などを意味している。このため、加工部品の固定を解いて、再設置するといったような後戻り作業を防止する事が可能となる。
【0067】
図13は実施例5に係る折り曲げ加工部品取付位置指示システム構成を示す図であり、実施例1に示す図3と比較して明らかなように、折り曲げ加工部品取付位置検出部27が制御部に取り込まれている。
【0068】
なお取付位置検出部27は、カメラの代わりに超音波センサ等を用いることができる。例えば図14に示す様に、折り曲げ加工部品取付部2、5の端面付近に、超音波センサ等の位置検出用のセンサ27を設置し、その検出結果を、制御部にて所定の折り曲げ加工部品取付位置と比較することで、折り曲げ加工部品取付位置の間違いをリアルタイムに作業者に通知することができる。
【実施例6】
【0069】
実施例6では上記の実施例において、折り曲げ加工後の製品形状を表示する機構を有し、折り曲げ加工前の製品と折り曲げ加工後の形状を直接比較出来る様にする折り曲げ加工部品取付位置指示装置及びシステムについて説明する。
【0070】
図15において、作業者6は折り曲げ加工後の製品形状を表示する機構として、画像の網膜機能を有する眼鏡30を使用する。作業者が、眼鏡30を使用して網膜に形成された画像は例えば網膜画像Vのようである。ここでは、加工部品3,4を取付けた加工部品取付部2,5を見たときに、折り曲げ加工前の製品28と、折り曲げ加工後の製品形状29を重ねて視認することができる。
【0071】
図16にこの時のシステム構成を示す。なお網膜機能を有する眼鏡30、網膜投射装置には、折り曲げ加工データベースDB2から折り曲げ加工後の製品形状の情報が送られて網膜機能を有する眼鏡30を装着した作業者6に折り曲げ加工後の製品イメージを与え、網膜投射装置30からは、この位置での実画像と仮想画像の合成画像を得る。
【0072】
なお、折り曲げ加工部品取付部2,5に複数の折り曲げ加工部品を設置するとき、その設置位置の折り曲げ加工部品ごとに異なる加工後製品をイメージとして与えることは言うまでもない。
【0073】
これらにより、作業者は、折り曲げ加工の指示等を確認せずとも、折り曲げ加工前の製品設置方法などを直接確認出来る様になり、例えば、折り曲げ加工方向の間違いなどの製品不良を未然に防止することが可能となる。
【0074】
折り曲げ加工後の製品形状を表示する機構として、例えば、プロジェクタ31を使用した例を図17に示す。プロジェクタ31から折り曲げ加工後の製品29形状を折り曲げ加工場所に投射して、折り曲げ加工前の製品28と直接表示する。
【0075】
図18に折り曲げ加工後の製品29形状を直接比較出来る様にする折り曲げ加工部品取付位置指示システムの例を示す。プロジェクタ31(映像当社装置)には、折り曲げ加工データベースDB2から折り曲げ加工後の製品形状の情報が送られて加工部品近傍に折り曲げ加工後の製品イメージを与え、プロジェクタ31からは、この位置での画像を得る。
【0076】
最後に従来における加工部品取付手順と、本発明における加工部品取付手順について対比して説明する。
【0077】
まず従来における加工部品取付手順の場合、図19左側に示すように金型(加工部品)取付開始から取付完了までの間に、8工程の処理を必要とする。このときの各処理は、必要金型の準備(処理S1),金型取付位置情報の検索(処理S2)、金型取付位置情報の表示(処理S3)、金型取付位置情報の確認(処理S4)、金型取付位置の確認(処理S5)、指定位置に金型取付(処理S6)、金型追加がある場合の上記処理の繰り返し(処理S7)である。
【0078】
このうち、装置側が実行してくれるのは金型取付位置情報の表示(処理S3)のみであり、他の処理は逐一の作業者の判断と処理に頼り実行される。
【0079】
これに対し本発明では、処理S1で必要金型の準備を行うのみで、装置はあらかじめ定められた加工部品取付作業工程に従い、データベースDBを参照して取付位置の指示を行う。ここでは最終取付位置が表示されるので、金型取付位置情報の検索(処理S2)、金型取付位置情報の表示(処理S3)、金型取付位置情報の確認(処理S4)、金型取付位置の確認(処理S5)といった作業者依存の処理、判断が不必要である。
【0080】
作業者は指示された位置に加工部品を取付る(処理S6)のみである。あとは、指示位置に逐次装着していけばよい。
【0081】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明しているものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、またある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0082】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、またはICカード、SDカード、DVDなどの記録媒体に置くことができる。
【0083】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1:曲げ加工装置
2:上側折り曲げ加工部品取付部
3:上側折り曲げ加工部品
4:下側折り曲げ加工部品
5:下側折り曲げ加工部品取付部
6:作業者
7:折り曲げ加工部品取付位置表示部
8:Z軸昇降部
9:Y軸駆動部
10:Y軸駆動軸
11:X軸固定部
12:Y軸固定部
13:X軸駆動軸
14:Z軸駆動軸
15:Z軸駆動部
16:指示部
17:表示部
18:可視光表示部
19:可視光投射部
20:反射板
21:遮光板
22:可視光の経路を形成するガイド
23:ベルト駆動部
25:ベルト型表示部
26:押し当て表示部
27:取付位置検出部
28:加工前の製品
29:加工後の製品
30:網膜投射型装置
31:映像投射装置
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11(a)】
図11(b)】
図12(a)】
図12(b)】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19