(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、標準試料や被検体から採取された被検試料を測定する分析部24と、分析部24で標準試料や被検試料の測定により生成される標準データや被検データに基づいて各検査項目の検量データや分析データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データ等を出力する出力部40と、各検査項目の分析パラメータの入力や、各種コマンド信号を入力する操作部50と、分析部24、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部51とを備えている。
【0011】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、試料容器17を移動可能に保持するサンプルディスク5とを備えている。また、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する試薬である1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を移動可能に保持する試薬ラック1aと、試薬ラック1aに保持された試薬容器6を保冷する試薬庫1とを備えている。
【0012】
また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を移動可能に保持する試薬ラック2aと、試薬ラック2aに保持された試薬容器7を保冷する試薬庫2とを備えている。また、各試料と試薬を収容する反応容器3と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0013】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3等へ吐出する分注を行うサンプル分注ノズル16と、サンプル分注ノズル16を回動及び上下移動可能に支持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して各試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注ノズル14と、第1試薬分注ノズル14を回動及び上下移動可能に支持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0014】
また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注ノズル15と、第2試薬分注ノズル15を回動及び上下移動可能に支持する第2試薬分注アーム9とを備えている。また、反応容器3内の混合液を測定する測光ユニット13と、サンプル分注ノズル16により吐出される各試料に含まれる電解質項目の成分である例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及び塩素イオン等の各電解質を測定する電解質測定ユニット22と、測光ユニット13により測定された後の反応容器3内を洗浄する洗浄ノズル12とを備えている。
【0015】
そして、測光ユニット13は、回転移動する反応容器3に光を照射して、標準試料や被検試料を含む混合試料を透過した光を検出する。そして、検出した光に基づいて標準データや被検データを生成してデータ処理部30へ出力する。また、電解質測定ユニット22は、標準試料や被検試料を測定して標準データや被検データ等を生成し、生成した標準データや被検データ等をデータ処理部30へ出力する。
【0016】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光ユニット13や電解質測定ユニット22で生成された標準データや被検データから検量データや分析データの生成を行う演算部31と、演算部31で生成された検量データや分析データを保存する記憶部32とを備えている。
【0017】
演算部31は、分析部24で生成された各検査項目の標準データに基づいて検量データを生成し、生成した検量データに基づいて分析部24で生成された被検データから活性値や濃度値などで表される分析データを生成する。そして、生成した検量データや分析データを記憶部32に保存すると共に出力部40に出力する。
【0018】
出力部40は、データ処理部30の演算部31で生成された検量データや分析データなどを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、データ処理部30から出力された検量データや分析データなどを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙に印刷出力する。また、表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面の表示や、データ処理部30から出力された検量データや分析データなどの表示を行う。
【0019】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータの設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の設定、被検試料毎に分析する検査項目の選択、標準試料や被検試料の測定操作などの様々な入力を行う。
【0020】
システム制御部51は、CPUと記憶回路を備え、操作部50から入力される各検査項目の分析パラメータ、被検体情報、被検試料毎に選択された検査項目などの入力情報を保存する。そして、入力情報に基づいて、分析部24の各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、検量データの生成や分析データの生成と出力に関する制御などシステム全体の制御を行なう。
【0021】
以下、
図1乃至
図11を参照して、分析部24における電解質測定ユニット22の構成及び動作について説明する。
図3は、電解質測定ユニット22の構成の一例を示した図である。この電解質測定ユニット22は、サンプル分注ノズル16より吐出される試料等を収容する容器61と、試料を希釈する液量Vdの希釈液を容器61内に吐出する希釈液吐出ノズル62とを備えている。また、希釈液で試料が希釈された混合液の測定により得られる測定データを校正するための液量Vcの校正液を容器61内へ吐出する校正液吐出ノズル63を備えている。
【0022】
また、電解質測定ユニット22は、容器61内の希釈液、混合液及び校正液の各液体を、この液体と希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63の下端との接触により検出する検出器64を備えている。また、希釈液吐出ノズル62に希釈液を供給する希釈液供給部65と、校正液吐出ノズル63に校正液を供給する校正液供給部66と、検出器64により検出された混合液や校正液を容器61から吸引して測定する測定部67とを備えている。
【0023】
容器61は、上端部と下端部中央に開口を有し、希釈液吐出ノズル62から吐出された希釈液を収容する。また、サンプル分注ノズル16により上方から吐出された試料を収容する。また、吐出された希釈液と試料の混合液を収容する。また、校正液吐出ノズル63から吐出された校正液を収容する。なお、図示しないが、容器61を介して容器61内の混合液や校正液を所定の温度に昇温させる加熱部を備えている。
【0024】
次に、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63の構成並びに検出器64の動作の一例を説明する。
図4は、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63の構成の一例を示した図である。
希釈液吐出ノズル62は例えばステンレススチール等の導体からなる管状をなし、容器61及び校正液吐出ノズル63から離間して下端を含む第1の範囲W1が容器61内に位置するように配置されている。また、
図5(a)に示すよう、希釈液を吐出する吐出口621を有する下端面622以外の外面のうちの第1の範囲W1がフッ素樹脂等の絶縁材623で被覆されている。そして、下端面622が、空の状態の容器61内に液量Vd吐出した希釈液や液量Vc吐出された校正液と接触する高さに配置されている。
【0025】
校正液吐出ノズル63は、希釈液吐出ノズル62と同じ材質、同じ寸法及び同じ形状をなし、容器61から離間して下端を含む第1の範囲W1が容器61内に位置するように配置されている。また、
図5(b)に示すよう、校正液を吐出する吐出口631を有する下端面632以外の外面のうちの第1の範囲W1が絶縁材633で被覆されている。そして、下端面632が、空の状態の容器61内に液量Vc吐出した校正液や、液量Vd吐出された希釈液に接触する高さに配置されている。
【0026】
検出器64は、希釈液吐出ノズル62の容器61外に配置された導体面の部分に一端部が接合された第1のケーブル641及び校正液吐出ノズル63の容器61外に配置された導体面の部分に一端部が接合された第2のケーブル642の他端部と接続され、希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗を測定する。
【0027】
そして、容器61内に希釈液や校正液の各液体が吐出されると、導体面である下端面622と下端面632に接触して介在する各液体によって希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が下がることにより、容器61内に各液体が有ることを検出する。また、容器61から混合液や校正液の各液体が吸引されると、下端面622と下端面632間が空気により遮断されて希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が上がることにより、容器61内に各液体が無いことを検出する。
【0028】
このように、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63を容器61内の液体を検出するための一対の電極として兼用することにより、専用の一対の電極を設ける必要がないため、容器61の小型化を図ることができる。
【0029】
なお、希釈液吐出ノズル62又は校正液吐出ノズル63の少なくともいずれか一方の吐出ノズルの下端面を絶縁被覆した吐出ノズルに置き換えて実施するようにしてもよい。この場合、下端面を絶縁被覆した吐出ノズルの内面が導体面であり、その導体面に接触して内部に吐出可能な状態の液体を保持しているため、保持している液体を介して一方の吐出ノズルと他方の吐出ノズル間に介在する液体と接触して抵抗が下がることにより、容器61内に液体があることを検出することができる。そして、一方の吐出ノズルが例えば校正液吐出ノズル63である場合、
図6(a)に示すように、下端面632を絶縁材633で被覆した校正液吐出ノズル63aに置き換える。これにより、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63aを容器61内の液体を検出するための一対の電極として兼用することができるため、容器61の小型化を図ることができる。
【0030】
また、希釈液吐出ノズル62又は校正液吐出ノズル63の少なくともいずれか一方の吐出ノズルの下端面、及び内面のうちの下端を含む第1の範囲W1よりも短い第2の範囲W2と絶縁被覆するように実施してもよい。この場合、下端面及び内面の第2の範囲W2を絶縁被覆した吐出ノズル内面のうちの第2の範囲W2以外の面が導体面であり、その導体面に接触して内部に吐出可能な状態の液体を保持しているため、保持している液体を介して一方の吐出ノズルと他方の吐出ノズル間に介在する液体と接触して抵抗が下がることにより、容器61内に液体があることを検出することができる。そして、一方の吐出ノズルが校正液吐出ノズル63である場合、
図6(b)に示すように、校正液吐出ノズル63の一端面632及び内面の第2の範囲W2を絶縁材633で被覆した校正液吐出ノズル63bに置き換える。これにより、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63bを容器61内の液体を検出するための一対の電極として兼用することができるため、容器61の小型化を図ることができる。
【0031】
そして、検出器64は、容器61内が空の状態であるときに希釈液供給部65により希釈液の供給動作が行われると、
図7(a)に示すように、容器61内に液量Vd吐出された希釈液が下端面622と下端面632間に介在して希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が下がることにより、容器61内に希釈液が有ることを検出する。また、下端面622と下端面632間に空気が介在して希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が下がらないとき、容器61内に希釈液が無いことを検出する。
【0032】
システム制御部51では、検出器64により容器61内の希釈液の有無が検出されたとき、希釈液供給部65が正常であるか否かを判定する。そして、容器61内に希釈液が有ることが検出された場合、容器61内に希釈液が吐出され、希釈供給部65が正常であると判定する。また、容器61内に希釈液が無いことが検出された場合、容器61内に希釈液が吐出されず、希釈液供給部65が異常であると判定してその異常情報を出力部40に印刷出力又は表示出力させる。
【0033】
また、検出器64は、
図7(b)に示すように、容器61内に吐出された試料及び希釈液が吐出された後、測定部67により吸引動作が行われると、
図7(c)に示すように、下端面622と下端面632の間が空気で遮断され希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が上がることにより、容器61内に混合液が無いことを検出する。また、下端面622と下端面632間に混合液が介在して希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が上がらないとき、容器61内に混合液が有ることを検出する。
【0034】
システム制御部51では、検出器64により容器61内の混合液の有無が検出されたとき、測定部67の吸引が正常であるか否かを判定する。そして、容器61内に混合液が無いことが検出された場合、容器61内の混合液が吸引され、測定部67の吸引が正常であると判定する。また、容器61内に混合液が有ることが検出された場合、容器61内の混合液が吸引されず、測定部67の吸引が異常であると判定してその異常情報を出力部40に印刷出力又は表示出力させる。
【0035】
ここで、界面活性剤が含まれている校正液や血清等の試料を含む混合液の場合、
図8(a)に示すように、容器61内で校正液や混合液の各液体の液面に泡が発生する。測定部67が予め設定された液量の液体を容器61から吸引した後、
図8(b)に示すように、希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間に泡が介在した状態で残留することがある。従って、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63の第1の範囲W1が絶縁被覆されずに導体面が露出していると、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63間の抵抗が所定のレベル以上に上がらずに測定部67の吸引が異常であると誤判定してしまう問題がある。
【0036】
この問題に対して、泡が付着しやすい第1の範囲W1を絶縁被覆した希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63を一対の電極として用いることにより、絶縁材623,633で希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間を電気的に遮断することができるため、吸引が行われた後の容器61内に液体が無いことを精度よく検出して誤判定を防ぐことができる。
【0037】
なお、希釈液吐出ノズル62又は校正液吐出ノズル63のいずれか一方の吐出ノズルを、この吐出ノズルから絶縁被覆を除いて第1の範囲W1の外面が導体面で構成される吐出ノズルに置き換えて実施するようにしてもよい。これにより、一方の吐出ノズルと他方の吐出ノズルの間に泡が介在した状態で残留した場合、絶縁被覆された他方の吐出ノズルと一方の吐出ノズル間を電気的に遮断することができるため、吸引が行われた後の容器61内に液体が無いことを精度よく検出して誤判定を防ぐことができる。
【0038】
更に、検出器64は、容器61内が空の状態であるときに校正液供給部66により校正液の供給動作が行われると、
図9(a)に示すように、容器61内に液量Vc吐出された校正液が下端面622と下端面632間に介在して希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が下がることにより、容器61内に校正液が有ることを検出する。また、下端面622と下端面632間が空気で遮断され希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が下がらないとき、容器61内に校正液が無いことを検出する。
【0039】
システム制御部51では、検出器64により容器61内の校正液の有無が検出されたとき、校正液供給部66が正常であるか否かを判定する。そして、容器61内に校正液が有ることが検出された場合、容器61内に校正液が吐出され、校正液供給部66が正常であると判定する。また、容器61内に校正液が無いことが検出された場合、容器61内に校正液が吐出されず、校正液供給部66が異常であると判定してその異常情報を出力部40に印刷出力又は表示出力させる。
【0040】
更にまた、検出器64は、容器61内に校正液が吐出された後、測定部67により吸引動作が行われると、
図9(b)に示すように、下端面622と下端面632の間が空気で遮断され希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が上がることにより、容器61内に校正液が無いことを検出する。また、下端面622と下端面632間に校正液が介在して希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間の抵抗が所定のレベル以上に上がらないとき、容器61内に校正液が有ることを検出する。
【0041】
システム制御部51では、検出器64により容器61内の校正液の有無が検出されたとき、測定部67が正常であるか否かを判定する。そして、容器61内に校正液が無いことが検出された場合、容器61内の校正液が吸引され、測定部67の吸引が正常であると判定する。また、容器61内に校正液が有ることが検出された場合、容器61内の校正液が吸引されず、測定部67の吸引が異常であると判定してその異常情報を出力部40に印刷出力又は表示出力させる。
【0042】
次に、希釈液供給部65及び校正液供給部66の構成及び動作を説明する。
図10は、希釈液供給部65及び校正液供給部66の構成を示した図である。この希釈液供給部65は、希釈液吐出ノズル62に一端部が接続されたチューブ651と、チューブ651の他端部に第1端子が接続された三方電磁弁652と、三方電磁弁652の第2端子に一端部が接続されたチューブ653と、チューブ653の他端部が配置された希釈液を収容する希釈液容器654と、三方電磁弁652の第3端子に一端部が接続されたチューブ655とを備えている。
【0043】
また、希釈液供給部65は、チューブ655の他端部に一端部が接続されたシリンジ及びこのシリンジの他端部に設けた開口に勘合するプランジャにより構成されるポンプ656と、ポンプ656のプランジャを矢印L1方向及び矢印L2方向へ吸引及び吐出駆動する駆動機構657とを備えている。
【0044】
駆動機構657は、チューブ651,653,655、三方電磁弁652内の各第1乃至第3端子に連通する流路、及びポンプ656内に希釈液が満たされた状態で、三方弁電磁弁652が第2端子と第3端子の間を開放すると共に第1端子を閉鎖しているとき、L1方向へポンプ657を吸引駆動する。次いで、三方弁電磁弁652が第1端子と第3端子の間を開放すると共に第2端子を閉鎖しているとき、L2方向へポンプ657を吐出駆動する。この吸引及び吐出駆動により、希釈液吐出ノズル62は、測定部67により吸引された後の空の状態の容器61内へ液量Vdの希釈液を吐出する。このとき、サンプル分注ノズル16により各試料が容器61内へ吐出される。
【0045】
そして、希釈液供給部65の異常の原因としては、希釈液容器654内の希釈液の不足、チューブ651と希釈液吐出ノズル62又は三方電磁弁652間の接続不良、チューブ653と三方電磁弁652間の接続不良、チューブ653他端部の希釈液容器654内における位置不良、チューブ655と三方電磁弁652又はポンプ656間の接続不良等を挙げることができる。
【0046】
校正液供給部66は、校正液吐出ノズル63に一端部が接続されたチューブ661と、チューブ661の他端部に第1端子が接続された三方電磁弁662と、三方電磁弁662の第2端子に一端部が接続されたチューブ663と、チューブ663の他端部が配置された校正液を収容する校正液容器664と、三方電磁弁662の第3端子に一端部が接続されたチューブ665とを備えている。
【0047】
また、校正液供給部66は、チューブ665の他端部に一端部が接続されたシリンジ及びこのシリンジの他端部に設けた開口に勘合するプランジャにより構成されるポンプ666と、ポンプ666のプランジャをL1方向及びL2方向へ吸引及び吐出駆動する駆動機構667とを備えている。
【0048】
駆動機構667は、チューブ661,663,665、三方電磁弁662の各第1乃至第3端子に連通する流路、及びポンプ666内に校正液が満たされた状態で、三方弁電磁弁662が第2端子と第3端子を開放すると共に第1端子を閉鎖しているときL1方向へポンプ666を吸引駆動する。次いで、三方弁電磁弁662が第1端子と第3端子の間を開放すると共に第2端子を閉鎖しているとき、L2方向へポンプ666を吐出駆動する。この吸引及び吐出駆動により、校正液吐出ノズル63は、測定部67により吸引された後の空の状態の容器61内へ液量Vcの校正液を吐出する。
【0049】
そして、校正液供給部66の異常の原因としては、校正液容器664内の校正液の不足、チューブ661と校正液吐出ノズル63又は三方電磁弁662間の接続不良、チューブ663と三方電磁弁662間の接続不良、チューブ663他端部の校正液容器664内における位置不良、チューブ665と三方電磁弁662又はポンプ666間の接続不良等を挙げることができる。
【0050】
次に、測定部67の構成及び動作の一例を説明する。
図3に示した測定部67は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及び塩素イオン等の各電解質を検出するイオンセンサ68と、容器61から混合液や校正液を吸引してイオンセンサ68へ導く吸引部69と、イオンセンサ68により検出された各電解質の検出信号に基づいて標準データや被検データを生成する信号処理部70とを備えている。
【0051】
イオンセンサ68は容器61と吸引部69の間に配置され、吸引部69により導かれる混合液や校正液の各液体が流入する貫通孔を有する。そして、貫通孔に導かれた各液体に含まれる各電解質を選択的に検出して濃度に応じた電位を示す各イオン選択性電極及び各イオン選択性電極に対して基準となる電位を示す参照電極を備えている。
【0052】
図11は、吸引部69の構成を示した図である。この吸引部69は、容器61の下端部中央の開口に一端部が接続され、他端部がイオンセンサ68の貫通孔の一端部に接続されたチューブ691と、一端部がイオンセンサ68の貫通孔の他端部に接続されたチューブ692と、チューブ692の他端部に第1端子が接続された三方電磁弁693と、三方電磁弁693の第2端子に一端部が接続されたチューブ694と、チューブ694の他端部が配置された測定を終了した各液体を収容する排液容器695とを備えている。
【0053】
また、吸引部69は、三方電磁弁693の第3端子に一端部が接続されたチューブ696と、チューブ696の他端部に一端部が接続されたシリンジ及びこのシリンジの他端部に設けた開口に勘合するプランジャにより構成されるポンプ697と、ポンプ697のプランジャを矢印L1方向及び矢印L2方向へ吸引及び吐出駆動する駆動機構698とを備えている。
【0054】
駆動機構698は、三方弁電磁弁692が第1端子と第3端子を開放すると共に第2端子を閉鎖しているとき、L1方向へポンプ697を吸引駆動する。そして、容器61内へ吐出され、検出器64により検出された希釈液と標準試料の混合液や校正液を吸引してイオンセンサ68内へ導く。次いで、三方弁電磁弁692が第2端子と第3端子を開放すると共に第1端子を閉鎖しているとき、L2方向へポンプ697を吐出駆動する。そして、イオンセンサ68から混合液や校正液を排出させる。
【0055】
そして、測定部67における吸引の異常の原因としては、吸引部69のチューブ691と容器61又はイオンセンサ68間の接続不良、チューブ692とイオンセンサ68又は三方電磁弁693間の接続不良、チューブ696と三方電磁弁693又はポンプ697間の接続不良等を挙げることができる。
【0056】
信号処理部70は、イオンセンサ68で標準試料を含む混合液及び校正液の測定により検出された検出信号に基づいて標準データを生成する。また、イオンセンサ68で被検試料を含む混合液及び校正液の測定により検出された検出信号に基づいて被検データを生成する。
【0057】
以上述べた第1の実施形態によれば、希釈液を吐出する希釈液吐出ノズル62及び校正液を吐出する校正液吐出ノズル63を容器61内の各液体の有無を検出するための一対の電極として兼用することにより、専用の電極を設ける必要がないため、容器61の小型化を図ることができる。
【0058】
また、容器61内で発生した泡が付着しやすい外面の第1の範囲W1を絶縁材623,633で絶縁被覆した希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63を一対の電極として用いることにより、希釈液吐出ノズル62と校正液吐出ノズル63間を電気的に遮断することができるため、吸引が行われた後の容器61内に液体が無いことを精度よく検出することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態に係る自動分析装置の電解質測定ユニットの構成を示した図である。この電解質測定ユニット22aでは、
図3に示した第1の実施形態に係る電解質測定ユニット22の各ユニットと同じ構成及び同じ機能を有するユニットについては同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
電解質測定ユニット22aは、サンプル分注ノズル16より吐出される試料等を収容する容器61a、希釈液吐出ノズル62及び校正液吐出ノズル63を備えている。また、容器61a内の希釈液、混合液及び校正液の各液体を、容器61a内面及び校正液吐出ノズル63下端との接触により検出する検出器64aを備えている。また、希釈液供給部65、校正液供給部66及び測定部67を備えている。
【0061】
容器61aは、第1の実施形態における
図3に示した容器61と同じ寸法及び同じ形状を有する例えばステンレススチール等の導体により構成される。そして、希釈液吐出ノズル62から吐出された希釈液を収容する。また、サンプル分注ノズル16により上方から吐出された試料を収容する。また、吐出された希釈液と試料の混合液を収容する。また、校正液吐出ノズル63から吐出された校正液を収容する。
【0062】
希釈液吐出ノズル62は、容器61a及び校正液吐出ノズル63から離間して第1の範囲W1が容器61a内に位置するように配置されている。また、下端面622が、空の状態の容器61a内に液量Vd吐出した希釈液や液量Vc吐出された校正液と接触する高さに配置されている。また、校正液吐出ノズル63は、容器61aから離間して第1の範囲W1が容器61a内に位置するように配置されている。また、下端面632が、空の状態の容器61a内に液量Vc吐出した校正液や、液量Vd吐出された希釈液に接触する高さに配置されている。
【0063】
検出器64aは、一端部が容器61aに接合された第1のケーブル641a及び校正液吐出ノズル63の容器61a外に配置された導体面の部分に一端部が接合された第2のケーブル642の他端部と接続され、容器61aと校正液吐出ノズル63間の抵抗を測定する。
【0064】
そして、容器61a内に希釈液や校正液の各液体が吐出されると、導体面からなる容器61a内面と下端面632に接触して介在する各液体によって容器61aと校正液吐出ノズル63間の抵抗が下がることにより、容器61a内に各液体が有ることを検出する。また、容器61aから混合液や校正液の各液体が吸引されると、容器61a内面と下端面632間が空気により遮断されて容器61aと校正液吐出ノズル63間の抵抗が上がることにより、容器61a内に各液体が無いことを検出する。
【0065】
このように、容器61a及び校正液吐出ノズル63を容器61a内の液体を検出するための一対の電極として兼用することにより、専用の一対の電極を設ける必要がないため、容器61aの小型化を図ることができる。
【0066】
なお、校正液吐出ノズル63を、
図6に示した校正液吐出ノズル63a又は校正液吐出ノズル63bに置き換えて実施するようにしてもよい。これにより、容器61a、及び校正液吐出ノズル63a又は63bを一対の電極として兼用することができるため、容器61aの小型化を図ることができる。また、第2のケーブル642の一端部を希釈液吐出ノズル62の容器61a外に配置された導体面の部分に接合すると共に他端部を検出器64aに接続し、容器61aと希釈液吐出ノズル62間の抵抗を測定するように実施してもよい。これにより、容器61a、及び希釈液吐出ノズル62を一対の電極として兼用することができるため、容器61aの小型化を図ることができる。更に、検出器64aを、校正液吐出ノズル63の下端面632が容器61a内の各液体に接触したときの静電容量の変化から容器61a内の液体を検出する静電容量方式の検出器に置き換えて実施するようにしてもよい。これにより、容器61aの小型化を図ることができる。
【0067】
そして、検出器64aは、容器61a内が空の状態であるときに希釈液供給部65により希釈液の供給動作が行われると、容器61a内に液量Vd吐出された希釈液が容器61a内面と下端面632間に介在して容器61aと校正液吐出ノズル63間の抵抗が下がることにより、容器61a内に希釈液が有ることを検出する。また、容器61a内面と下端面632間に空気が介在して抵抗が下がらないとき、容器61a内に希釈液が無いことを検出する。
【0068】
また、検出器64aは、容器61a内に吐出された試料及び希釈液が吐出された後、測定部67により吸引動作が行われると、容器61a内面と下端面632の間が空気で遮断されて抵抗が上がることにより、容器61a内に混合液が無いことを検出する。また、容器61a内面と下端面632間に混合液が介在して抵抗が上がらないとき、容器61a内に混合液が有ることを検出する。
【0069】
ここで、界面活性剤が含まれている校正液や血清等の試料を含む混合液の場合、
図13(a)に示すように、容器61a内で校正液や混合液の各液体の液面に泡が発生する。泡が発生した液体を容器61aから測定部67が吸引した後、
図13(b)に示すように、容器61aと校正液吐出ノズル63の間に泡が介在した状態で残留することがある。従って、校正液吐出ノズル63の第1の範囲W1が絶縁被覆されずに導体面が露出していると、容器61aと校正液吐出ノズル63間の抵抗が所定のレベル以上に上がらずに測定部67が異常であると誤判定してしまう問題がある。
【0070】
この問題に対して、容器61a及び校正液吐出ノズル63を一対の電極として用いることにより、容器61a内面と校正液吐出ノズル63の間を絶縁材633で電気的に遮断することができるため、吸引が行われた後の容器61a内に液体が無いことを精度よく検出して誤判定を防ぐことができる。
【0071】
更に、検出器64aは、容器61a内が空の状態であるときに校正液供給部66により校正液の供給動作が行われると、容器61a内に液量Vc吐出された校正液が容器61a内面と下端面632間に介在して抵抗が下がることにより、容器61a内に校正液が有ることを検出する。また、容器61a内面と下端面632間が空気で遮断されて抵抗が下がらないとき、容器61a内に校正液が無いことを検出する。
【0072】
更にまた、検出器64aは、容器61a内に校正液が吐出された後、測定部67により吸引動作が行われたとき、容器61a内面と下端面632の間が空気で遮断されて抵抗が上がることにより、容器61a内に校正液が無いことを検出する。また、容器61aと下端面632間に校正液が介在して抵抗が所定のレベル以上に上がらないとき、容器61a内に校正液が有ることを検出する。
【0073】
なお、第2の実施形態は上記実施形態に限定されたものではなく、希釈液を収容する試薬容器7を試薬ラック2aに保持させ、希釈液吐出ノズル62の代わりに、第2試薬分注ノズル15により試薬容器7内の希釈液を吸引させて容器61a内に吐出させるように実施してもよい。
【0074】
以上述べた第2の実施形態によれば、容器61a及び校正液吐出ノズル63を容器61a内の各液体の有無を検出するための一対の電極として兼用することにより、専用の電極を設ける必要がないため、容器61aの小型化を図ることができる。
【0075】
また、容器61a内で発生した泡が付着しやすい外面の第1の範囲W1を絶縁材633で被覆した校正液吐出ノズル63及び容器61aを一対の電極として用いることにより、容器61a内面と校正液吐出ノズル63間を電気的に遮断することができるため、吸引が行われた後の容器61a内に液体が無いことを精度よく検出することができる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。