(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば上記回転体(90)をABS樹脂で構成した場合、この回転式電子部品を長年使用していると、摺動子(110)が回転体(90)から外れてしまうという問題があった。その原因は、例えば回転体(90)の回転潤滑用のグリスに含まれる有機溶剤や、この回転式電子部品を設置した室内や車内で使用されるヘアスプレー等に含まれる有機溶剤が、前記摺動子(110)を固定するために熱かしめされた回転体(90)の小突起状の摺動子取付部(94)に付着してこれを劣化・変質(ケミカルアタック又はケミカルクラック、ソルベントクラック)し、経時的に前記熱かしめによる摺動子(110)の取付力を弱めていくからである。
【0005】
上記問題を解決するには、例えば前記回転体(90)を耐有機溶剤性の高いPOM樹脂(ポリアセタール樹脂)で構成すればよい。POM樹脂は耐有機溶剤性が高いので、上記問題を解決することができる。そこで、上記特許文献1に示す回転式電子部品においては、例えば回転体(90)を耐有機溶剤性の高いPOM樹脂で構成し、外部に露出する回転つまみ(180)を外観や印刷性の良いABS樹脂で構成するのが好ましい。しかし、回転体(90)と回転つまみ(180)を別部品で構成すると、設置スペースが大きくなって装置の小型化が図れないばかりか、組立工数も増加してしまう。さらに上記特許文献1に示す回転式電子部品においては、導光板(40)を設置することで、回転つまみ(180)のつまみ操作部(183)の表面側の抜き文字や抜き模様の部分を明るく表示するように構成しているが、この導光板(40)によっても部品点数が増加し、装置の小型化が阻害され、組立工数も増加していた。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、有機溶剤によって摺動子が外れることを防止できる
回転つまみであり、且つ摺動子を取り付ける以外の機能も併せ持つことで、この
回転つまみを用いて構成される電子部品の部品点数の削減化が図れて電子部品の小型化・組立容易化も図ることができる
回転つまみを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、摺動子を取り付ける摺動子取付面を有し、前記摺動子取付面に設けた取付突起を前記摺動子に設けた取付孔に挿入してその先端を熱かしめすることで前記摺動子を固定する
回転つまみであって、
この回転つまみの外周側壁の外周側をつまみ操作面、内周側を凹部とし、この凹部内の底部から突出する突出部の上面を前記摺動子取付面とし、前記
回転つまみを少なくとも二色成形によって二種類の合成樹脂で構成し、前記二種類の合成樹脂の内、耐有機溶剤性が高い方の合成樹脂
は透光性を有する合成樹脂であり、且つこの合成樹脂によって、前記取付突起及び摺動子取付面を含む突出部の表面部分と、前記外周側壁の内周側を囲んで露出する形状であって前記凹部内に放射された光を入射又は反射する光導光部と、前記外周側壁の一部に設けた開口内に露出し前記光導光部によって導かれた光をつまみ操作面の外方に向けて出射する照光部と、が構成されていることを特徴としている。
このように耐有機溶剤性の高い合成樹脂によって取付突起を構成したので、摺動子の取り付けのために熱かしめした取付突起に有機溶剤が付着しても、取付突起が劣化して摺動子が外れてしまうというような問題は生じなくなる。また耐有機溶剤性の低い方の合成樹脂は、その合成樹脂が有する特性(長所)を、耐有機溶剤性を考慮することなく発揮させることができる。これらのことから、複数の機能を1つの
回転つまみに持たせることができ、この
回転つまみを用いて構成される電子部品の部品点数の削減化が図れ、装置の小型化、組立工数の減少化も図ることができる。
【0009】
また、取り付けた摺動子が有機溶剤によって外れてしまう恐れを防止した回転つまみに、さらに光導光体としての機能を兼用させることができ、この回転つまみを用いて構成される照光機能付き電子部品の部品点数の削減化が図れ、装置の小型化、組立工数の減少化も図ることができる。
【0010】
また、前記二種類の合成樹脂の内、耐有機溶剤性が低い方の合成樹脂は不透光性の合成樹脂であり、且つこの合成樹脂によって、前記外周側壁の内の前記つまみ操作面と開口を含む外周側部分と、前記底部の下面側部分と、前記突出部の内部部分と、が構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、摺動子が有機溶剤によって外れることを防止することができ、同時に複数種類の合成樹脂で構成されているので、それぞれの合成樹脂の特性を生かした複数の機能を1つの
回転つまみに併せ持たせることができる。これによってこの
回転つまみを用いて構成される電子部品の部品点数の削減化が図れて電子部品の小型化・組立容易化も図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態にかかる摺動子取付体(以下「回転つまみ」という)100を用いて構成された回転式電子部品1の斜視図、
図2は回転式電子部品1の概略断面図(
図1のA−A断面図)、
図3は回転式電子部品1の分解斜視図である。これらの図に示すように回転式電子部品1は、上下ケース50,10内に回転式電子部品1を構成する各種部品を収納して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは回転つまみ100から摺動子140を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0014】
図1〜
図3に示すように回転式電子部品1は、下ケース10と上ケース50の間に、摺動子140を取り付けた回転つまみ100と、発光素子170を取り付けた回路基板150とを収納し、さらに上下ケース50,10の前方に外装ケース200を取り付けて構成されている。また回転つまみ100と下ケース10の間には、コイルばね240とクリック用ボール245が介在される。
【0015】
下ケース10は合成樹脂の成形品であり、上方と前方が解放された略矩形箱型に形成されている。下ケース10の底面の前方側には、上方向に突出する円柱形状の軸部11が設けられ、また軸部11よりも後方の底面上には複数の凹凸を円弧状に連ねてなるクリック係合部13が形成されている。軸部11の下面側中央には
図2に示すようにビス挿入穴15が形成され、ビス挿入穴15の上部にはビス挿入穴15よりも小径のビス挿通孔17が形成されている。
【0016】
下ケース10の後方の側壁には8本の端子21がインサート成形によって取り付けられている。各端子21はL字状に折り曲げられ、後方の端部が後方の側壁から後方に向けて水平で上下2列に4本ずつ突出し、他方の端部が側壁の上辺から上方に向けて2列に4本ずつ突出している。一方下ケース10の左右の側壁の内側の前方と後方にはそれぞれ上方向に突出する基板係止爪23が形成され、また左右の側壁の所定の2か所ずつには上ケース係止孔25が形成されている。
【0017】
図4は回転つまみ100と摺動子140を拡大して示す斜視図、
図5は回転つまみ100を構成する2種類の合成樹脂A1,A2を分離して示す斜視図、
図6は回転つまみ100の断面図(
図4のB−B断面図)である。これらの図に示すように回転つまみ100は、二種類の合成樹脂A1,A2を、二色成形によって一体に成形して構成されている。
【0018】
ここで回転つまみ100は
図4に示すように、略円板状の底部101と、底部101の外周から上方向に突出する外周側壁103とを具備して構成されている。そして外周側壁103の外周側をつまみ操作面105、内周側を凹部107としている。底部101の中央には円筒状に突出する軸受部109が立設されている。回転つまみ100の凹部107内には、底部101から突出して外周側壁103の上部に至る突出部111が設けられ、その上面は摺動子140が取り付けられる摺動子取付面113となっている。また下記する
図6に示すように、突出部111の下面には円形凹状のクリック部材挿入穴115が形成されている。また
図4,
図5に示すように、外周側壁103の一部に設けた開口117内に照光部119が露出している。摺動子取付面113には、4つの小突起からなる取付突起121が形成されている。
【0019】
以上のように構成されている回転つまみ100において、合成樹脂A1はABS樹脂であり、
図5に示すように、外周側壁103の内の主として外周側部分(つまみ操作面105を含む)と、底部101の主として下面側部分と、軸受部109全体と、突出部111の内部部分とを有しており、各部分は一体に連結されている。外周側壁103の合成樹脂A1部分には前記開口117が設けられている。また突出部111の合成樹脂A部分には、上下に貫通する円筒形のクリック部材挿入穴115が形成されている。この例で用いる合成樹脂A1としては不透光性のもの、例えば黒色のものを用いる。ABS樹脂は上述のように、外観や印刷性が良いので、回転式電子部品1の外部に露出する部分に用いて好適である。
【0020】
一方、合成樹脂A2はPOM樹脂であり、
図5に示すように、外周側壁103の内の主として内周側部分と、底部101の主として上面側部分と、突出部111の表面部分(摺動子取付面113及び取付突起121を含む)と、前記照光部119とを有しており、各部分は一体に連結されている。外周側壁103を構成する合成樹脂A2部分は略円筒状であり、この円筒状の部分を光導光部123としている。また光導光部123の外周に、前記開口117内に位置する前記照光部119が突出して設けられている。この例で用いる合成樹脂A2としては透光性のもの、例えば乳白濁色のものを用い、内部を光が透過できるようにしている。POM樹脂は上述のように、耐有機溶剤性が高い。
【0021】
回転つまみ100の製造は、例えば、前記合成樹脂A1の形状のキャビティーを有する金型の前記キャビティー内にABS樹脂を充填固化した後、金型の一部を取り除き、取り除いた金型の代りに別の金型を装着して新たに合成樹脂A2の形状のキャビティーを形成し、このキャビティー内にPOM樹脂を充填固化した後、金型全体を取り外すことによって行われる。
【0022】
摺動子140は、
図4に示すようにこの例では一対用いられており、何れも弾性金属板製で同一形状である。即ち摺動子140は、平板状の基部141の1外周辺から2本の接点用アーム部143を突出し、これら接点用アーム部143を根元近傍部分で約180°折り返して構成されている。各接点用アーム部143の先端近傍には接点部145が設けられている。また基部141には、回転つまみ100の摺動子取付面113に設けた2つの取付突起121にそれぞれ挿入される2つの取付孔147が形成されている。
【0023】
図1〜
図3に戻って、回路基板150は硬質基板151の上下面に図示しない回路パターンを形成し且つ各種チップ部品を取り付けて構成されており、その前方側の辺の中央には略V字状の切り欠き153を設け、その最も深い部分に発光素子170を配置している。発光素子170には2本のリード線173が取り付けられており、これらリード線173は回路基板150の図示しない回路パターンに接続固定されている。回路基板150の後方には4つずつ2列に並ぶ小孔からなる端子取付孔155が形成されている。回路基板150の下面には、前記摺動子140が摺接する摺接パターン157(
図2参照)が、前記発光素子170を略中心にしてこれを囲むように円弧状に形成されている。この摺接パターン157は可変抵抗器用の摺接パターンでも良いし、スイッチ用の摺接パターンでも良いし、それら以外の摺接パターンでも良い。
【0024】
上ケース50は合成樹脂の成形品であり、下方と前方が解放された略矩形箱型に形成されている。上ケース50の左右両側壁の前記下ケース10の各上ケース係止孔25に対向する位置には、下方向に向かって突出する係止爪51(
図3では手前側の2つのみ示す)が形成されている。上ケース50の左右両側壁の前方の開口に近い位置には小突起状の外装ケース係止部53(
図3では手前側の1つのみ示す)が形成されている。
【0025】
外装ケース200は合成樹脂の成形品であり、後方が解放された略矩形箱型に形成されている。外装ケース200の前方の側壁の中央下部には横長で略矩形状のつまみ露出部201が形成されている。また外装ケース200の左右両側壁には、前記上ケース50の各外装ケース係止部53に係止される小孔からなる係止部205(
図3では手前側の1つのみ示す)が形成されている。
【0026】
回転式電子部品1を組み立てるには、まず
図4に示す回転つまみ100の摺動子取付面113に2つの摺動子140の基部141を載置し、その際摺動子取付面113上に設けられている2つずつの取付突起121をそれぞれ摺動子140の各取付孔147に挿入する。そして各取付突起121の先端を熱かしめすることで、これら摺動子140を回転つまみ100の摺動子取付面113上に取り付ける。
【0027】
次に回転つまみ100のクリック部材挿入穴115(
図5,
図6参照)に、
図3に示すコイルばね240とクリック用ボール245を挿入した状態で、下ケース10内に回転つまみ100を挿入し、下ケース10の軸部11を回転つまみ100の軸受部109内に回動自在に挿入し、次に軸部11及び軸受部109の上に抜け止め板250を載せ、軸部11の下面側からその中央のビス挿入穴15にビス260を挿入し、ビス260の頭部261をビス挿入穴15の底部に係止すると同時に、ビス260の先端側部分263を、ビス挿通孔17と抜け止め板250中央の挿通孔251に貫通し、抜け止め板250の上面側で先端側部分263をかしめ、これによって回転つまみ100を下ケース10に回動自在に取り付ける。このときクリック用ボール245は下ケース10のクリック係合部13に弾接する。
【0028】
次に下ケース10内に発光素子170等を取り付けた回路基板150を収納し、その外周を下ケース10の4つの基板係止爪23にスナップイン形式で係止し、固定する。このとき回転つまみ100に取り付けた摺動子140の接点部145は、回路基板150の摺接パターン157に弾接する。同時にこのとき下ケース10にインサート成形した8本の端子21の上方向を向く各端部は回路基板150の各端子取付孔155に挿入され、回路基板150の上面側から突出する。そしてこれら各端子21の端部を半田付けする。
【0029】
次に前記下ケース10の上に上ケース50を被せ、上ケース50の各係止爪51を下ケース10の各ケース係止孔25にスナップイン形式で係合し、これによって上下ケース50,10(両者を合わせて「ケース」という)を一体化する。
【0030】
次に外装ケース200を上下ケース50,10の前方に被せて挿入し、上ケース50の各外装ケース係止部53を外装ケース200の各係止部205にスナップイン形式で係止する。このとき回転つまみ100の外周側壁103のつまみ操作面105の一部は外装ケース200のつまみ露出部201から露出する。これによって回転式電子部品1が完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0031】
以上のようにして組み立てられた回転式電子部品1において、回転つまみ100を回転すると、摺動子140の接点部145が回路基板150の摺接パターン157上を摺動し、その電気的出力が変化する。同時にクリック用ボール245が下ケース10のクリック係合部13の凹凸に係合していくことで、クリック感触を生じる。
【0032】
一方発光素子170を点灯すると、その光の一部は回転つまみ100の内周面側を構成する光導光部123内に導入され、照光部119を通してつまみ操作面105の外部に放出され、この照光部119を明るく照らし出す。このとき発光素子170は回路基板150の外周辺外側の外周辺の厚みに一部が含まれる位置(切り欠き153内)に設置されているので、発光素子170の回路基板150表面からの高さを低くでき、その分回転式電子部品1の厚み寸法を小さくすることができる。つまりこの回転式電子部品1のように、回路基板150の外周辺近傍に照射したい部分がある場合、別途導光部材を設置しなくても発光素子170を前記照射したい部分近傍に配置できるばかりか、回転式電子部品1の小型化・薄型化も図ることができる。
【0033】
ここで発光素子170から発射された光について、さらに詳しく説明する。発光素子170から発射された光の一部は、回転つまみ100の凹部107内に導入される。このとき回転つまみ100の凹部107内は、その多くの面が透光性を有する合成樹脂A2によって構成されている。つまり、外周側壁103の内周面と、底部101の上面と、突出部111の表面には合成樹脂A2が露出している。従って凹部107内に導入された光の多くは、これら合成樹脂A2に照射され、それらの表面から内部に導入されると同時に、それらの表面で反射された光の多くも再び合成樹脂A2の別の表面に照射され、その内部に導入される。このとき合成樹脂A2の各部分は一体に連結されているので、合成樹脂A2の内部に導入された光は効果的に照光部119に導かれ、効果的にこれを明るく照らし出す。特に、光導光部123は外周側壁103の内周面をリング状に囲んでいるので、その内周全面から効果的に光を導入でき、またリング状の内周面で反射された光の一部は再び照光部119近傍に位置する光導光部123の内周面に照射されて導入され、さらにリング状なので、一旦内部に導入された光はリング内を反射しながら効果的に照光部119に導かれ、これらによって照光部119は効果的に照光される。
【0034】
一方この回転式電子部品1を取り付けた電子機器を設置した室内や車内等でヘアスプレー等が使用された場合、ヘアスプレー等に含まれる有機溶剤が、前記摺動子140を固定するために熱かしめされている回転つまみ100の取付突起121に付着する。しかしながら、取付突起121は耐有機溶剤性の高いPOM樹脂によって構成されているので、この取付突起121が劣化・変質することはなく、経時的に前記熱かしめによる摺動子140の取付力を常に強固なまま維持することができる。回転つまみ100の回転潤滑用のグリスに含まれる有機溶剤が前記取付突起121に付着した場合も、上記と同様である。
【0035】
以上説明したように回転つまみ100は二色成形によって二種類の合成樹脂A1,A2で構成され、且つ前記二種類の合成樹脂A1,A2の内、耐有機溶剤性が高い方の合成樹脂A2によって少なくとも前記取付突起121を形成したので、摺動子140の取り付けのために熱かしめした取付突起121に有機溶剤が付着しても、取付突起121が劣化して摺動子140が外れてしまうというような問題は生じなくなる。また耐有機溶剤性の低い方の合成樹脂A1は、その合成樹脂A1が有する特性(長所)を、耐有機溶剤性を考慮することなく発揮させることができる。これらのことから、複数の機能を1つの回転つまみ100に持たせることができ、この回転つまみ100を用いて構成される電子部品の部品点数の削減化が図れ、装置の小型化、組立工数の減少化も図ることができる。
【0036】
また上記回転つまみ100は、耐有機溶剤性が高い方の合成樹脂A2を透光性を有する合成樹脂で構成し、且つこの合成樹脂A2によって、取付突起121と、取付突起121に連結する摺動子取付面113と、入射した光を導く光導光部123と、光導光部123に連結してこの光導光部123によって導かれた光を放射する照光部119とを構成したので、取り付けた摺動子140が有機溶剤によって外れてしまう恐れを防止した回転つまみ100に、さらに光導光体としての機能を兼用させることができ、この回転つまみ100を用いて構成される照光機能付きの回転式電子部品1の部品点数の削減化が図れ、装置の小型化、組立工数の減少化も図ることができる。
【0037】
さらに具体的にいえば、回転つまみ100は、その外周側壁103の外周側をつまみ操作面105、内周側を凹部107とし、この凹部107を設けた側の面に摺動子取付面113を配置し、一方耐有機溶剤性が高い方の合成樹脂A2は透光性を有する合成樹脂であって、且つこの合成樹脂A2によって、取付突起121と、取付突起121に連結する摺動子取付面113と、外周側壁103の内周側に設置され凹部107内に導入された光を入射する光導光部123と、外周側壁103の一部に設けた開口117内に露出し光導光部123によって導かれた光をつまみ操作面105の外方に向けて出射する照光部119とが構成されている。この回転つまみ100の場合、外周側壁103の凹部107内に入射された光を、凹部107の内周側に設けた光導光部123に入射する構成なので、凹部107内において効率的に光導光部123に光を導入でき、効率的に照光部119を照光することができる。
【0038】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である
。
【0039】
また上記例では耐有機溶剤性の高い合成樹脂A2としてPOM樹脂を用いたが、本発明はこれに限られず、例えばガラス材入りABS樹脂、ガラス材入りポリアミド(PA)樹脂、ガラス材入りポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等、他の各種耐有機溶剤性の高い合成樹脂を用いても良い。また合成樹脂A1についても、ABS樹脂に限られず、他の各種機能を有する合成樹脂を用いても良い。
【0040】
また上記例では摺動子取付面113の面全体を合成樹脂A2によって構成したが、摺動子取付面113の一部のみを合成樹脂A2によって構成しても良い。その場合、摺動子取付面113と前記取付突起121、さらには摺動子取付面113と前記光導光部123を一体に連結する方がより好ましい。
【0041】
また上記例では、回転つまみ100を二色成形によって二種類の合成樹脂で構成したが、さらに三色成形などによって、三種類以上の合成樹脂で構成しても良い
。