特許第6054178号(P6054178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6054178抗生物質耐性細菌を検出するための方法およびキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054178
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】抗生物質耐性細菌を検出するための方法およびキット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20161219BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   !C12N15/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-510325(P2012-510325)
(86)(22)【出願日】2010年5月17日
(65)【公表番号】特表2012-526540(P2012-526540A)
(43)【公表日】2012年11月1日
(86)【国際出願番号】FI2010050395
(87)【国際公開番号】WO2010130882
(87)【国際公開日】20101118
【審査請求日】2013年5月8日
(31)【優先権主張番号】20095544
(32)【優先日】2009年5月15日
(33)【優先権主張国】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513033869
【氏名又は名称】アムプリディアグ、オサケ、ユキチュア
【氏名又は名称原語表記】AMPLIDIAG OY
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】ユハ、キルベスカリ
(72)【発明者】
【氏名】スビ、コスケラ
【審査官】 星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/140004(WO,A1)
【文献】 特表2005−511055(JP,A)
【文献】 特表2004−531251(JP,A)
【文献】 特開2006−115811(JP,A)
【文献】 Clin. Microbiol. Rev., 2007, Vol. 20, No. 3, pp. 440-458
【文献】 J. Antimicrob. Chemother., 2002, Vol. 49, No. 2, pp. 269-273
【文献】 Antimicrob. Agents Chemother., 2009.12, Vol. 53, No. 12, pp. 5046-5054, [Available online on 2009.09.21]
【文献】 J. Antimicrob. Chemother., 2012, Vol. 67, No. 4, pp. 906-909
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルバペネム耐性遺伝子を同定するためのオリゴヌクレオチドプライマー対セットであって、該オリゴヌクレオチドが15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号15と16、配列番号1もしくは49と2、配列番号9と10、配列番号13と14、配列番号19と20、および配列番号21と22からなる群から選択されるヌクレオチド配列をプライマーの3’末端側に含んでなり、生体サンプルが細菌においてカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を含んでなることを示す、KPC、OXA−48遺伝子、およびVIM、GES、またはIMP遺伝子の少なくとも一つの存在を判定するための、オリゴヌクレオチドプライマー対セット
【請求項2】
生体サンプルにおいてカルバペネマーゼ遺伝子を検出する方法であって、下記工程を含んでなる方法:
生体サンプル由来の核酸鋳型と、請求項1に記載のプライマー対セットの存在下でマルチプレックス増幅反応を行う工程、
これらの産物の解離曲線を分析する工程、および
その生体サンプルが細菌においてカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を含んでなることを示す、カルバペネム耐性を担うKPC、OXA−48遺伝子、およびVIM、GES、またはIMP遺伝子の少なくとも一つの存在を判定する工程。
【請求項3】
15〜50ヌクレオチド長であり、かつ配列番号3と4、配列番号5と6、配列番号7と8、配列番号11と12、および配列番号17と18からなる群から選択されるヌクレオチド配列をプライマーの3’末端側に含んでなる、SME、GIM−1、SIM−1、SPM、および/またはIMI/NMC−A遺伝子またはそれらのサブバリアントの2以上の存在を判定するためのプライマー対をさらに含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
15〜50ヌクレオチド長であり、かつ配列番号3と4、配列番号5と6、配列番号11と12、および配列番号17と18からなる群から選択されるヌクレオチド配列をプライマーの3’末端側に含んでなる、SME、GIM−1、SPM、および/またはIMI/NMC−A遺伝子の2以上の存在を判定するためのプライマー対をさらに含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
15〜50ヌクレオチド長であり、かつ配列番号23と24、配列番号25と26、配列番号27と28、配列番号29と30、配列番号31と32、配列番号33と34、配列番号35と36、配列番号37と38、配列番号39と40、および配列番号41と42からなる群から選択されるヌクレオチド配列をプライマーの3’末端側に含んでなる、OXA−24、25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−71、75−78、83、84、86−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、SFC−1、および/またはCMY−1、−10、−11遺伝子またはそれらのサブバリアントの2以上の存在を判定するためのプライマー対をさらに含んでなる、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
反応が、共通の適合増幅条件を有する二つ以上の独立したマルチプレックス反応で行われる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載のプライマー対セットを含んでなる、キット。
【請求項8】
15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号3と4、配列番号5と6、配列番号7と8、配列番号11と12、および配列番号17と18からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる、SME、GIM−1、SIM−1、SPM、IMI/NMC−A遺伝子またはそれらのサブバリアントの2以上の存在を判定するためのプライマー対をさらに含んでなる、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号3と4、配列番号5と6、配列番号11と12、および配列番号17と18からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる、SME、GIM−1、SPM、および/またはIMI/NMC−A遺伝子またはそれらのサブバリアントの2以上の存在を判定するためのプライマー対をさらに含んでなる、請求項7に記載のキット。
【請求項10】
15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号23と24、配列番号25と26、配列番号27と28、配列番号29と30、配列番号31と32、配列番号33と34、配列番号35と36、配列番号37と38、配列番号39と40、および配列番号41と42からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる、OXA−24、25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−71、75−78、83、84、86−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、SFC−1および/またはCMY−1、−10、−11遺伝子またはそれらのサブバリアントの2以上の存在を判定するためのプライマー対をさらに含んでなる、請求項7〜9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
第一および第二のマルチプレックス反応を含んでなり、第一のマルチプレックス反応において、KPC、OXA−48遺伝子およびVIM、GES、またはIMPの少なくとも一つが一反応内で検出され、該検出が、請求項1に記載のプライマー対セットを使用することによって行われる、細菌においてカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を同定するための方法。
【請求項12】
マルチプレックス反応において、一反応内でSME、GIM−1、SPM、およびIMI/NMC−Aからなる群から選択される遺伝子、遺伝子ファミリー、および/またはサブバリアントの2以上または全てがさらに検出され、該検出が、15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号3と4、配列番号5と6、配列番号11と12、および配列番号17と18からなる群から選択されるプライマー対を含んでなるプライマーを用いることによって行われる、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、細菌(すなわち、カルバペネム耐性細菌)においてカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を検出するための方法およびキットに関する。本発明はまた、その検出において使用することができるオリゴヌクレオチドプライマーに関する。
【0002】
背景技術
ペニシリンおよびケファロスポリン(kefalosporins)などのβ−ラクタム系抗生物質に対する耐性の増大は、グラム陰性桿菌によって引き起こされる感染の治療上の問題となっている。従って、β−ラクタム系抗生物質を広いスペクトルを有する抗生物質に置き換えていかなければならない。
【0003】
カルバペネム類は、難しい院内感染を処置するための重要な広域抗生物質群である。カルバペネム類は一般にほとんどの好気性グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、また嫌気性細菌に対して効果的である。よく用いられるカルバペネム類は、イミペネム、メロペネム、およびエルタペネムである。これらの薬剤に対して耐性のある細菌株が、特にギリシャ、イスラエル、米国、トルコおよび極東(中国)、また中央アメリカにおいて、入院患者に見られる。
【0004】
カルバペネム感受性が低下した典型的な細菌は大腸菌、クレブシエラ種(Klebsiella sp.)、および他の腸内細菌種(Enterobacteriaceae sp.)である。さらに、環境起源の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)およびその近縁種、ならびに免疫応答が弱まった患者に見られるアシネトバクター種は、カルバペネム感受性が低い場合が多い。
【0005】
カルバペネム抗生物質に対する感受性の低下は、何百という異なるβ−ラクタム系抗生物質耐性遺伝子により、細胞壁透過性の変化(例えば、特異的ポーリンの変化)および/またはampC β−ラクタマーゼの過剰生産に関連した能動的流出と相まって引き起こされると考えられる。一般に、これがカルバペネム感受性の低下を引き起こし、この低下は可逆的であり、抗生物質処置を止めれば終わる。この理由は、この機構の維持が細菌にとってエネルギーを消耗し、その栄養供給に不利であるためである。
【0006】
カルバペネム耐性のもう一つの、より重要な理由は、カルバペネム抗生物質を分解する酵素、いわゆる、カルバペネマーゼ(carbapenemase)である。カルバペネマーゼの存在下では、細菌は野生型細菌に比べてその競合能を有意に呈する必要はない。従って、カルバペネマーゼはそれだけで著しいカルバペネム耐性の理由となり得る。この機構は、最初に述べた、感受性の低下とその結果としての耐性を増す機構と組み合わさっているものと思われる。カルバペネマーゼ遺伝子は、染色体とプラスミドの双方に存在し得る。特に、プラスミドに存在するものは、基質拡張型β−ラクタマーゼ(ESBL)株の場合と同様に、他の細菌種に容易に移行する。カルバペネマーゼを産生する株は、多くの場合、ESBL株でもある。特に、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)遺伝子およびVeronaイミペネマーゼ(VIM)遺伝子ファミリーは、現在入手可能な抗生物質処置にとって潜在的な脅威である。KPC産生細菌は、慣例の抗生物質感受性検査に基づく検出は困難であるので、感染管理措置において問題をなり得る。カルバペネマーゼ特性を有するもう一つの一般的なβ−ラクタマーゼファミリーは、ギアナ基質拡張型β−ラクタマーゼ(GES)であり、これもまた、慣例の抗生物質感受性検査に基づく検出が特に困難である。
【0007】
環境種におけるカルバペネム耐性遺伝子の大きなリザーバーと、増加するカルバペネム使用が相まって、まだ同定されていない稀なまたは新規なカルバペネマーゼ遺伝子の出現の危険を誘発する。他方、カルバペネム耐性は上記のような可逆的機構によっても生じ得る。従って、細菌サンプルにおいてカルバペネム耐性細菌を誘発するカルバペネマーゼ遺伝子を検出する方法が改良される必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一つの目的は、この従来技術の問題の少なくともいくつかを解決することである。特に、本発明の一つの目的は、ある細菌サンプルがカルバペネム抗生物質群に耐性のある細菌を含むか否かを見つけ出す方法を提供することである。
【0009】
より具体的には、本発明の一つの目的は、細菌においてカルバペネム耐性を引き起こす、すなわち、カルバペネム群の抗生物質に対する耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子をスクリーニングする方法を提供することである。
【0010】
本発明は、生体サンプルから耐性遺伝子をスクリーニングする分子生物学的方法の使用に基づくものである。特に、本発明は、カルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を検出することができる、特異的に設計されたプライマーの使用に基づくものである。これらの方法は生物学的方法の代わりに用いるかまたはこれら併用することができる。
【0011】
本発明は、生体サンプル中に存在する細菌(カルバペネム耐性細菌)においてカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を検出する方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、カルバペネマーゼ遺伝子を同定するためのキットおよびプライマーも提供する。
【0013】
さらに、本発明は、カルバペネマーゼ遺伝子を同定するための構成(arrangement)を提供する。本発明は、多くの利点を有する。病院の衛生および継続管理を脅かす株を迅速に同定することが可能となる。これは生化学的方法を用いるだけでも部分的に可能となる。分子生物学的方法を単独で用いるかまたは生化学的方法と併用すれば、従来技術が著しく改良される。
【0014】
以下、本発明を、詳細な説明の目的で、いくつかの実施例を参照しながら、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、4つの異なるカルバペネマーゼ遺伝子の遺伝子増幅曲線を示す。
図2図2は、融解曲線分析を示す。種々の遺伝子産物をそれらの融解温度の違いに基づいて分離することができる。
【発明の具体的説明】
【0016】
本発明は、カルバペネム抗生物質に対して耐性のある遺伝子をスクリーニングすることを可能とする。この方法は細菌においてカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子の検出に基づくものである。より具体的には、このスクリーニングは、LCR(リガーゼ連鎖反応)またはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法などの増幅法に使用に基づくものである。
【0017】
好ましくは、増幅反応はPCR法、特に、リアルタイムPCRである。より有利には、この方法は、リアルタイムSYBR Green検出に基づくPCR、好ましくは、その産物の融解曲線分析を用いる。
【0018】
本明細書においてSYBR Greenとは、蛍光を惹起し、蛍光の放出をモニタリングし、蛍光の放出が、反応の完了を示すプラトー相に達するサイクルを決定するために選択された光の波長で、核酸結合蛍光色素が結合した核酸結合蛍光色素が発光する増幅産物を意味する。好ましくは、核酸結合蛍光色素は、SYBR.TM. GREEN I、臭化エチジウム、ピコグリーン、EVA Green、アクリジンオレンジ、チアゾールオレンジ、YO−PRO−1、およびクロモマイシンA3からなる群から選択されるメンバーである。
【0019】
本明細書においてリアルタイムSYBR Green検出とは、生体サンプル中の標的核酸配列のポリメラーゼ連鎖反応による増幅をリアルタイムにモニタリングする方法を意味する。この方法は、好ましくは、SYBR.TM. Green Iの存在下でのポリメラーゼ連鎖反応により標的配列を増幅する工程(このポリメラーゼ連鎖反応は、生体サンプルに熱安定性ポリメラーゼおよび標的化された核酸配列に対するプライマーを加える工程と、この生体サンプルを少なくとも変性温度と伸長温度の間で温度周期に曝す工程を含んでなる)、この生体サンプルを、SYBR.TM. Green Iによって吸収される波長の光で励起し、生体サンプルからの発光を検出する工程、およびSYBR.TM. Green Iからの温度依存性蛍光をモニタリングする工程を含んでなる。好ましくは、このモニタリング工程は、増幅された標的配列の融解特性を決定することを含んでなる。
【0020】
本明細書において「生体サンプル」とは、直接的臨床サンプル、例えば、血液もしくは尿などの体液、または咽頭スワブ、鼻腔スワブ、皮膚スワブ、唾液、糞便もしくは気管支吸引物を意味する。生体サンプルはまた、様々環境からの細菌の純粋培養物も意味する場合がある。一般に、細菌培養物は、細菌を平板培養し、増殖させることによって生体サンプルから調製することができる。
【0021】
増幅反応、一般にPCR反応は、生体サンプル、本明細書では一般に臨床サンプル中、または細菌の純粋培養物中で核酸をそのまま増幅させるために使用することができ、あるいは増幅反応、一般にPCR反応は、単離された核酸を増幅させるためにも使用することができる。
【0022】
本明細書において「プライマー」とは、検出されるポリヌクレオチドに特異的となるように設計されたオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーは、標的ポリヌクレオチド配列と相補的な配列を含んでなるように、または有するように設計することができる。塩基対形成によって標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるフォワードおよびリバースプライマーを設計することができる。本発明の一実施形態では、プライマーは、カルバペネム耐性を引き起こすと思われるカルバペネマーゼ遺伝子を検出するように設計される。本発明の好ましい実施形態では、プライマーは、配列番号1〜49を含んでなる群から選択される配列を少なくとも部分的に含むかまたはそれを含んでなるかまたは有する。
【0023】
これらのプライマーは好ましくは15〜50ヌクレオチド長、一般に20〜40、または20〜35ヌクレオチド長である。これらのプライマーのいずれかの一端または両端に、例えば1個、2個または3個の付加的ヌクレオチドを付加してもよい。あるいは、1個、2個または3個のヌクレオチドがこれらのプライマーのいずれかの一端または両端から欠失されていてもよいし、またはいずれかの一端または両端において置換されていてもよい。場合によっては、1個、2個または3個のヌクレオチドが、このプライマーの中央で、すなわち末端部分以外の部分において付加、欠失、または置換されていてもよい。
【0024】
プライマーが標的核酸配列とハイブリダイズすることができる、標的核酸配列との十分な相補性を有する限り、プライマーの改変(特に、遺伝的改変)または部分的配列が可能である。標的ポリヌクレオチド配列、すなわち、カルバペネム耐性を担う遺伝子であるカルバペネマーゼ(carabapenemase)遺伝子をなお検出することができる改変プライマーまたはプライマーの部分的配列も本発明の範囲内ある。
【0025】
ハイブリダイゼーション条件は好ましくはストリンジェント条件であり、本明細書においては、58℃+/−7℃、好ましくは+/−3℃でのハイブリダイゼーションを表す。試験は、最適濃度のイオン、例えば、プライマーハイブリダイゼーション(PCRの場合にはアニーリング)および伸長反応のためにはMg2+、KおよびNH4+を含有する市販のPCRマスターを用いて実施することができる。例えば、高いPCR効率に対してSYBR Greenの使用量が少ないMAXIMA SYBR qPCR Master Mix。この反応における成分は、10マイクロリットルのqPCRマスターミックス、6.8マイクロリットルのオリゴミックス1、または6.4マイクロリットルのオリゴミックス2、および1マイクロリットルのDNA鋳型である。
【0026】
耐性は110を超える遺伝子によって引き起こされるので、生化学的方法を用いるだけでは、カルバペネム耐性の背景にある遺伝機構を解明することはできない。この耐性機構の知見は、抗生物質感受性アッセイの解釈および患者の治療に用いる薬剤の選択を本質的に改善する。例えば、VIMなどの広い基質域を有するカルバペネマーゼはβ−ラクタム系抗生物質のin vivo使用を妨げるが、IMIなどの他の機構は、いくつかのβ−ラクタム処置の選択肢を利用可能なものとして、その余地を残し得る。
【0027】
本開示は、カルバペネム耐性を担う遺伝子(すなわち、カルバペネマーゼ耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子)を検出するように設計されたプライマーを提供する。これらのプライマーは実験的に試験し、至適化されたものである。本発明の好ましい一実施形態によれば、この同定反応は二つの独立した反応で行われる。これらの反応では、増幅条件は共通に適合するものである。これによりHTPスクリーニン(ハイスループットスクリーニング)が可能となる。
【0028】
結果として、この方法は、試験コストを最小にすることができる。この方法はまた簡単で使いやすい。さらに、この方法は日常的診断の使用に好適である。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、この試験は、それらのサブバリアント(subvariant)を含む110の耐性遺伝子を同定することができる。これは、リアルタイムSYBR Greenをもとにした同定に基づく、また、解離温度の決定を伴う、好ましくは二つ(またはそれを超える、好ましくは二つの)マルチプレックス(multiplex)PCR反応で行われる。
【0030】
本発明の好ましい一実施形態によれば、一つの(または第一の)マルチプレックス反応は、腸内細菌科内の99%を超えるカルバペネマーゼをカバーする。この第一のマルチプレックス反応を使用することで、腸内細菌科に属する大腸菌群桿菌をスクリーニングすることができる。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、もう一つの(第二の)マルチプレックス反応は、特に、免疫抑制患者から多剤耐性細菌をスクリーニングすることを目的とする。一般に、これらはシュードモナス種およびアシネトバクター種に属する細菌である。
【0032】
さらなる一実施形態によれば、一つ(または第一の)マルチプレックス反応は一般に、メタロ−β−ラクタマーゼ遺伝子B群、大部分のカルバペネマーゼ遺伝子A群(ペニシリナーゼ遺伝子)およびD群に属するOXA−48遺伝子(オキサシリナーゼ)を検出する。他方の(または第二の)マルチプレックス反応は一般に、カルバペネマーゼ遺伝子D群(オキサシリナーゼ遺伝子)、カルバペネマーゼ遺伝子C群(セファロスポリナーゼ遺伝子)およびA群に属するSFC遺伝子(ペニシリナーゼ)およびNMD−1を検出する。
【0033】
本発明の好ましい一実施形態によれば、この方法は、次の工程を含んでなる。
【0034】
工程1および2 生体サンプルの調製
これは核酸の単離を含み得る。これは一般に煮沸または抽出ロボットにより半自動的に行われる。サンプルはそのまま使用してもよいし、またはそのサンプルから調製された細菌の純粋培養物を使用してもよい。
【0035】
3.遺伝子増幅
a)ポリメラーゼおよびPCRバッファーを含んでなるマスターミックス、
b)ヌクレオシド3リン酸モノマー、
c)これらの反応のためのオリゴヌクレオチドプライマー、
d)サンプル由来の核酸鋳型、
e)増幅とその産物の解離曲線の分析。
これは好ましくはリアルタイムPCR装置によって行われる。
【0036】
4.結果の分析
a)陽性対照および陰性対照の提供、
b)解離温度は多くの場合この機構の指標となり、その結果は、必要であれば、別の反応においてその産物の配列決定により確認することができ、
c)この試験は臨床種において開示されている本質的に総てのカルバペネマーゼ遺伝子を含んでいるので、陰性結果は高い確率のカルバペネマーゼを持って排除する。
【0037】
サンプルから単離される核酸および核酸鋳型は好ましくはDNAである。
大部分のサンプルは陰性であるので、このスクリーニング法はその性質において極めて効果的でハイスループットなものである。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、
VIM 1−22、IMP 1−24、OXA−48、KPC 1−7、GES 1−10、SPM、NMC−A、IMI 1−3、SME 1−3、GIM−1、およびSIM−1
を含んでなる群から選択される遺伝子または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアントの検出のために設計される。
【0039】
さらに好ましい実施形態によれば、遺伝子または遺伝子ファミリーのそれぞれの少なくとも一つが一反応で検出される。さらにより好ましい実施形態では、2以上の遺伝子もしくは遺伝子ファミリー、または2以上の遺伝子サブバリアント、または総ての遺伝子もしくは遺伝子ファミリーもしくは遺伝子サブバリアントが一つの反応で検出される。
【0040】
本発明の別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、
OXA−24−25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−66、68−71、75−78、83、84、86−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、SFC−1、およびCMY−1、−10
を含んでなる群から選択される遺伝子または遺伝子ファミリーまたはそれらのサブバリアントの検出のために設計される。
【0041】
さらに好ましい実施形態によれば、遺伝子または遺伝子ファミリーのそれぞれの少なくとも一つが一反応で検出される。さらにより好ましい実施形態においては、2以上の遺伝子もしくは遺伝子ファミリー、または2以上の遺伝子サブバリアント、または総ての遺伝子もしくは遺伝子ファミリーもしくは遺伝子サブバリアントが一反応で検出される。
【0042】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、各OXA遺伝子または遺伝子ファミリーのそれぞれの少なくとも一つが一反応で検出され、より好ましくは、2以上の遺伝子もしくは遺伝子ファミリー、または2以上のサブバリアント、または総てのOXA遺伝子もしくは遺伝子ファミリーもしくはサブバリアントが一反応で検出される。
【0043】
本発明のさらなる好ましい一実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、
OXA−48、SME、GIM−1、VIM 1−22、SPM、GES 1−10、KPC 1−7、IMI 1−3/NMC−A、IMP 1−24
を含んでなる群から選択される遺伝子または遺伝子ファミリーまたはそれらのサブバリアントの検出のために設計される。
【0044】
さらに好ましい実施形態によれば、遺伝子または遺伝子ファミリーのそれぞれの少なくとも一つが一反応で検出される。さらにより好ましい実施形態では、2以上の遺伝子もしくは遺伝子ファミリー、または2以上の遺伝子サブバリアント、または総ての遺伝子もしくは遺伝子ファミリーもしくは遺伝子サブバリアントが一反応で検出される。
【0045】
本発明の他のさらなる好ましい一実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、
ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、CMY 1、−10、−11、SFC−1、NDM−1およびSIM−1
を含んでなる群から選択される遺伝子または遺伝子ファミリーまたはそれらのサブバリアントの検出のために設計される。
【0046】
さらに好ましい実施形態によれば、遺伝子または遺伝子ファミリーのそれぞれの少なくとも一つが一つの反応により検出される。さらにより好ましい実施形態では、2以上の遺伝子もしくは遺伝子ファミリー、または2以上の遺伝子サブバリアント、または総ての遺伝子もしくは遺伝子ファミリーもしくは遺伝子サブバリアントが一反応で検出される。
【0047】
NDM−1は、インドおよびパキスタン由来の新たなメタロ−β−ラクタマーゼ(MBL)であり、他のMBLとの同一性は極めて低く、最も類似性の高いMBLはVIM−1/VIM−2であるが、それが持つ同一性は32.4%に過ぎない。NDM−1は、アズトレオナムを除く総てのβ−ラクタムを加水分解することができる。VIM−2に比べて、NDM−1は、ほとんどのセファロスポリン、特に、セフロキシム、セホタキシムおよびセファロチンと、また、ペニシリンとも強固な結合を示す。NDM−1はin vivoで他の細菌種と接合することができ、この接合は接合完了体プラスミドによって媒介される。
【0048】
生体サンプルにおけるカルバペネマーゼ耐性の最も確度の高い結果は多くのカルバペネマーゼ遺伝子の存在を調べることによって得ることができるが、検出すべき最も重要な遺伝子(または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアント)は、KPC 1−7、OXA−48、VIM 1−22、GES 1−10および/またはIMP1−24を含んでなる群から選択される。検出に最も重要なのはKPC 1−7であり、2番目に最も重要なのはOXA−48および/またはVIM 1−22であり、3番目に重要なのはGES 1−10であり、4番目に重要なのはIMP1−24である。
【0049】
さらに、検出に重要なのはまた、遺伝子(または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアント)SME 1−3、GIM−1、SPM、および/またはIMI 1−3/NMC−Aである。
【0050】
また、検出に重要なのは、遺伝子(または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアント)ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、ならびにOXA−51群ならびにOXA−58および/またはNDM−1である。さらに、検出に重要なのはまた、CMY−1、−10、−11、SFC−1および/またはSIM−1遺伝子(または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアント)である。また、OXA−55、OXA−60および/またはOXA−62遺伝子(または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアント)も検出可能である。
【0051】
しかしながら、どの遺伝子が検出に重要なのかは、地理的地域、すなわち、その地理的地域におけるある特定の耐性遺伝子および/または細菌の分布にもよる。
【0052】
上述の遺伝子は総て文献に記載されている。この試験は、陽性対照株に加え、250を超える臨床ESBL株、50を超える多剤耐性アシネトバクター株およびシュードモナス株、および最も重要な臨床好気性桿菌を包含する約60の他の陰性対照株(特異性)でもバリデーションを行った。
【0053】
本発明の一つの実施形態においては、オリゴヌクレオチドは好ましくは次の配列を有するかまたは含む。
【表1】
【0054】
オリゴヌクレオチドは、次の標的遺伝子が好ましくは次のオリゴヌクレオチドで検出されること以外は、上記に示されたような配列を有するかまたは含む。
【表2】
【0055】
本発明の好ましい一つの実施形態では、次の遺伝子、遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアント:OXA−48、SME 1−3、GIM−1、VIM 1−22、SPM、GES 1−10、KPC 1−7、IMI 1−3/NMC−A、Iおよび/またはIMP 1−24は、一反応(第一の反応)において検出することができる。
【0056】
好ましくは、もう一つの(第二の)反応は、次の遺伝子、遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアント:ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、CMY−1、−10、−11、SFC−1、NDM−1、および/またはSIM−1を検出することができる。
【0057】
OXA−23群はOXA−23とOXA−27の双方を検出することができる。OXA−51は、ISAbal−OXA−51連結部位で置換されている。OXA−51は総てのアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)細菌に見出すことができ、遺伝子の読み取りを増強する遺伝子領域ISAbalと連結された場合、臨床上重要である。OXA−24向けに設計されたプライマーは、OXA−24、−25、−26、−40および−72を検出することができる。
マルチプレックス反応における反応条件は同じである。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、増幅反応は、典型的な二段階の遺伝子増幅およびアニーリング/伸張工程でのリアルタイム検出、およびその後の解離温度の分析を含んでなるPCRプログラムを使用することにより、PCR反応として行われる。この装置は好ましくはStratagene MxPro 3005Pである。
【0059】
【表3】
【0060】
また、PCR条件が若干改変されている実施形態も本発明の範囲内にある。工程1〜8で温度を1℃、2℃もしくは3℃上昇させる条件、あるいは工程1で反応工程の時間を1〜5分もしくは1〜3分、または工程2〜8で1〜3秒短縮または延長する条件は当業者の範囲内である。
【0061】
反応混合物中のオリゴヌクレオチドプライマーの量は等量であってもよいし、あるいは各オリゴヌクレオチドの量を反応に最適となるように選択することもできる。
【0062】
生体サンプル中の標的核酸配列の増幅はリアルタイムでモニタリングするが、この方法は、一定量のSYBR.TM. Green Iの存在下でのポリメラーゼ連鎖反応によって標的配列を増幅させる工程(このポリメラーゼ連鎖反応はSYBR.TM. Green I、熱安定性ポリメラーゼおよび標的核酸配列に対するプライマーを生体サンプルに加えて増幅混合物を作出する工程、およびこの増幅混合物を少なくとも変性温度と伸長温度の間で複数回の増幅周期で温度周期に曝す工程を含んでなる)、複数回の増幅周期の少なくとも一部において、その混合物にSYBR.TM. Green Iによって吸収される波長の光を照射する工程、およびサンプル照射後にSYBR.TM. Green Iからの蛍光放出を検出する工程(該蛍光放出はそのサンプル中の増幅された標的核酸の量と相関している)を含んでなる。温度を上昇させつつサンプルを照射し、蛍光を検出して、融解曲線を作成する。
【0063】
リアルタイムで標的核酸配列の増幅をモニタリングするのに好適な方法は例えば米国特許第6,569,627号公報に記載されている。
【0064】
本発明は、多くの利点を有する。病院の衛生および継続管理を脅かす株を迅速に同定することが可能となる。これは一つには、生化学的方法を用いるだけでも可能となる。分子生物学的方法を単独で用いるかまたは生化学的方法と併用すれば、従来技術が著しく改良される。
【0065】
遺伝機構の明確かつ正確な知見は、最適な抗生物質の選択を含む適切な処置を使用することを可能とする(Poirel L et al, Future Microbiol. 2007, 2(5), 501-512)。
【0066】
特に、リアルタイム−PCRは、使用が容易で、コンタミネーションのリスクが小さい(閉系)ので、臨床診断ルーチンに技術的に非常に適している。
【0067】
本発明の好ましい実施形態では、標識されたプローブは必要なく、SYBR GreenまたはEVA Green化学が好ましい。
【0068】
実施例に記載されているように、この新規なハイスループットスクリーニングアッセイを使用することにより、IMI−2遺伝子を保有するE.クロアカエ(E.cloacae)が同定された。IMI−2遺伝子を保有するE. cloaceaは過去に中国で一度だけ明確に報告された。
【0069】
生化学的方法は、カルバペネム耐性機構を同定するには不十分であると考えられていた(Giskeら、2009)。本発明は、その好ましい実施形態において、特に、腸内細菌科、アシネトバクター種およびシュードモナス種で、臨床上重要なカルバペネム耐性遺伝子(カルバペネマーゼ遺伝子)のスクリーニングのためのリアルタイムマルチプレックスPCRに基づく同定方法を提供する。
【0070】
次の符番された各段落で本発明の1以上の例示的変形形態を簡潔に定義する。
1.生体サンプルにおいてカルバペネマーゼ遺伝子を検出する方法であって、下記工程を含んでなる方法:
生体サンプル由来の核酸鋳型と、プライマー(該プライマーは15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号1〜49を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる)との存在下で増幅反応を行う工程、
それらの産物の解離曲線を分析する工程、および
その生体サンプルがカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を含んでなることを示す、耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子の証拠であるポリヌクレオチドの存在を判定する工程。
【0071】
2.生体サンプル由来の核酸鋳型、ポリメラーゼ酵素およびPCRバッファー、ヌクレオシド3リン酸モノマーとPCRプライマーの混合物の存在下で、ポリメラーゼ連鎖反応として増幅を行うことを含んでなる、パラグラフ1に記載の方法。
【0072】
3.反応の産物が配列決定されることを含んでなる、パラグラフ1または2に記載の方法。
【0073】
4.配列番号1または49を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号2の第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号3を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号4を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号5を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号6を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号7を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号8を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号9を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号10を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号11を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号12を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号13を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号14を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号15を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号16を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号17を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号18を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号19を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号20を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号21を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号22を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号23を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号24を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号25を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号26を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号27を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号28を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号29を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号30を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号31を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号32を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号33を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号34を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号35を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号36を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号37を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号38を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号39を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号40を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号41を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号42を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号43を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号44を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号45を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号46を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号47を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号48を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー
を含んでなる群から選択されるプライマー対を含んでなる、パラグラフ1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【0074】
5.反応が、好ましくはSYBR(商標)Green化学同定に基づくリアルタイムPCRによって行われる、パラグラフ1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【0075】
6.反応が、共通の適合増幅条件(commonly compatible amplification condition)を有する二つの独立したマルチプレックス反応で行われる、パラグラフ1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【0076】
7.第一のマルチプレックス反応が
KPC 1−7、OXA−48、VIM 1−22、GES 1−10およびIMP1−24
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーを一反応内で検出することができる、パラグラフ1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【0077】
8.第一のマルチプレックス反応が、
KPC 1−7、OXA−48、VIM 1−22、GES 1−10、IMP 1−24、SME 1−3、GIM−1、SPM、IMI 1−3/NMC−A
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーを一反応内で検出することができる、パラグラフ1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【0078】
9.第一のマルチプレックス反応が、
VIM 1−22、IMP 1−24、OXA−48、KPC 1−7、GES 1−10、SPM、NMC−A、IMI 1−2、SME 1−3、GIM−1およびSIM−1
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーを一反応内で検出することができる、パラグラフ1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【0079】
10.第一のマルチプレックス反応が、各遺伝子または遺伝子ファミリーの少なくとも一つを一反応内で検出することができる、パラグラフ7〜9のいずれか一つに記載の方法。
【0080】
11.第一のマルチプレックス反応が、総ての遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる、パラグラフ7〜10のいずれか一つに記載の方法。
【0081】
12.第二のマルチプレックス反応が、
OXA−24、−25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−71、75−78、83−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、SFC−1およびCMY−1、−10、−11
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーを一反応内で検出することができる、パラグラフ1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【0082】
13.第二のマルチプレックス反応が、
ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−58およびNDM−1
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーを検出することができる、パラグラフ1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【0083】
14.第二のマルチプレックス反応が、
ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、CMY−1、−10、SFC−1、NDM−1およびSIM−1
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーを検出することができる、パラグラフ1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【0084】
15.第二のマルチプレックス反応が、各遺伝子または遺伝子ファミリーの少なくとも一つを一反応内で検出することができる、パラグラフ12〜14のいずれか一つに記載の方法。
【0085】
16.第二のマルチプレックス反応が、総ての遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる、パラグラフ12〜15のいずれか一つに記載の方法。
【0086】
17.第二のマルチプレックス反応が、各OXA遺伝子または遺伝子ファミリーの少なくとも一つを一反応内で、好ましくは総てのOXA遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる、パラグラフ12〜16のいずれか一つに記載の方法。
【0087】
18.細菌においてカルバペネム耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を同定するための1セットのプライマー対を含んでなるキットであって、該プライマーが15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号1〜49を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、キット。
【0088】
19.配列番号1または49を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号2を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号3を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号4を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号5を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号6を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号7を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号8を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号9を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号10を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号11を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号12を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号13を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号14を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号15を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号16を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号17を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号18を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号19を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号20を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号21を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号22を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号23を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号24を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号25を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号26を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号27を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号28を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号29を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号30を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号31を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号32を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号33を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号34を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号35を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号36を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号37を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号38を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号39を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号40を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号41を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号42を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号43を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号44の第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号45を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号46を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー、
配列番号47を含んでなる第一のオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号48を含んでなる第二のオリゴヌクレオチドプライマー
を含んでなる群から選択されるプライマー対を含んでなる、パラグラフ12に記載のキット。
【0089】
14.KPC 1−7、OXA−48、VIM 1−22、GES 1−10およびIMP1−24
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアントを一反応内で同定するためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12または13に記載のキット。
【0090】
15.KPC 1−7、OXA−48、VIM 1−22、GES 1−10、IMP 1−24、SME 1−3、GIM−1 、SPM、IMI 1−3/NMC−A
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアントを一反応内で同定するためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12〜14のいずれか一つに記載のキット。
【0091】
16.VIM 1−22、IMP 1−24、OXA−48、KPC 1−7、GES 1−10、SPM、NMC−A、IMI 1−2、SME 1−3、GIM−1およびSIM−1
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアントを一反応内で同定するためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12〜14のいずれか一つに記載のキット。
【0092】
17.各遺伝子または遺伝子ファミリーの少なくとも一つを一反応内で検出することができる第一のマルチプレックス反応のためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12〜16のいずれか一つに記載のキット。
【0093】
18.総ての遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる第一のマルチプレックス反応のためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12〜17のいずれか一つに記載のキット。
【0094】
19.第二のマルチプレックス反応が、
OXA−24、−25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51 、64−71、75−78、83−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、SFC−1およびCMY−1、−10、−11
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる、パラグラフ12〜18のいずれか一つに記載のキット。
【0095】
20.第二のマルチプレックス反応が、
ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−58、およびNDM−1
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる、パラグラフ12〜18のいずれか一つに記載のキット。
【0096】
21.第二のマルチプレックス反応が、
ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、CMY−1、−10、SFC−1、NDM−1およびSIM−1
を含んでなる群から選択される1以上の遺伝子または遺伝子ファミリーまたは遺伝子サブバリアントを検出することができる、パラグラフ12〜20のいずれか一つに記載のキット。
【0097】
22.各遺伝子または遺伝子ファミリーの少なくとも一つを一反応内で検出することができる第二のマルチプレックス反応のためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12〜21のいずれか一つに記載のキット。
【0098】
23.総ての遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる第二のマルチプレックス反応のためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12〜22のいずれか一つに記載のキット。
【0099】
24.各OXA遺伝子または遺伝子ファミリーの少なくとも一つを一反応内で、好ましくは総てのOXA遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントを一反応内で検出することができる第二のマルチプレックス反応のためのプライマー対を含んでなる、パラグラフ12〜23のいずれか一つに記載のキット。
【0100】
25.オリゴヌクレオチドが、配列番号1〜49を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、カルバペネム耐性遺伝子を同定するためのオリゴヌクレオチドプライマー。
【0101】
26.配列番号1〜49を含んでなる群から選択されるオリゴヌクレオチド。
【0102】
27.第一および第二のマルチプレックス反応を含んでなり、第一のマルチプレックス反応において、
KPC 1−7、OXA−48、SME 1−3、GIM−1、VIM 1−22、SPM、GES 1−10、IMP 1−24、NMC−A/IMI 1−2およびSIM−1、または
KPC 1−7、OXA−48、SME、GIM−1、VIM 1−22、SPM、GES 1−10、IMP 1−24、およびIMI 1−3/NMC−A
を含んでなる群から選択される1以上のまたは総ての遺伝子または遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントが検出され、かつ、第二のマルチプレックス反応において、
OXA−24、−25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−71、75−78、83−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62
を含んでなる群から選択される、または
ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、NDM−1、およびSIM−1
を含んでなる群から選択される1以上のまたは総ての遺伝子または遺伝子ファミリーおよび/またはサブバリアントが検出される、カルバペネマーゼ遺伝子を同定するための構成。
【0103】
28.第二のマルチプレックス反応において、SFC−1、CMY−1、−10、−11の1以上のまたは総ての遺伝子または遺伝子ファミリーまたはサブバリアントがさらに検出される、パラグラフ27に記載の構成。
【0104】
29.生体サンプルにおいてカルバペネマーゼ遺伝子を検出する方法であって、
生体サンプル由来の核酸鋳型とプライマー(該プライマーは15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号15と16、1、49、2、9、10、13、14、19、20、21、22を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、または該配列の改変配列を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる)の存在下で増幅反応を行う工程:
これらの産物の解離曲線を分析する工程、および
その生体サンプルが細菌においてカルバペネマーゼ耐性を引き起こすカルバペネマーゼ遺伝子を含んでなることを示す、カルバペネム耐性を担うKPC、OXA−48、VIM、GES、および/またはIMP遺伝子またはそれらのサブバリアントの存在を判定する工程
を含んでなる、方法。
【0105】
30.前記プライマー配列が標的ポリヌクレオチド配列であるカルバペネマーゼ遺伝子を検出することができる、パラグラフ29に記載の方法。
【0106】
31.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号3、4、5、6、7、8、11、12、17、および18を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、SME、GIM−1、SIM−1、SPM、NMC−Aおよび/またはIMI遺伝子またはそれらのサブバリアントの存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ29または30に記載の方法。
【0107】
32.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号3、4、5、6、11、12、17、および18を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、SME、GIM−1、SPM、および/またはIMI/NMC−Aの存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ29〜30のいずれか一つに記載の方法。
【0108】
33.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33および34、35、36、37、38、39、40、41、および42を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、OXA−24、25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−71、75−78、83、84、86−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、SFC−1、および/またはCMY−1、−10遺伝子またはそれらのサブバリアントの1以上の存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ29〜32のいずれか一つに記載の方法。
【0109】
34.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号25、26、43、44、45、46、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、47、および48を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、CMY−1、−10、SFC−1、NDM−1、および/またはSIM−1遺伝子またはそれらのサブバリアントの1以上の存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ29〜32のいずれか一つに記載の方法。
【0110】
35.反応が、共通の適合増幅条件を有する二つの独立したマルチプレックス反応で行われる、パラグラフ29〜34のいずれか一つに記載の方法。
【0111】
36.カルバペネマーゼ遺伝子を同定するための1セットのプライマー対を含んでなるキットであって、該プライマーが15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号15、16、1または49、2、9、10、13、14、19、20、21、および22を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなり、KPC、OXA−48、VIM、GES、および/またはIMP遺伝子またはそれらのサブバリアントの存在を判定するためのものである、キット。
【0112】
37.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号3、4、5、6、7、8、11、12、17、および18を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、SME、GIM−1、SIM−1、SPM、NMC−A、および/またはIMI遺伝子またはそれらのサブバリアントの存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ36に記載のキット。
【0113】
38.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、3、4、5、6、11、12、17、および18を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、SME、GIM−1、SPM、および/またはIMI 1−3/NMC−Aの存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ36または37に記載のキット。
【0114】
39.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33および34、35、36、37、38、39、40、41、および42を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、OXA−24、25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−71、75−78、83、84、86−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、SFC−1、および/またはCMY−1、−10遺伝子またはそれらのサブバリアントの存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ36〜38のいずれか一つに記載のキット。
【0115】
40.15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、25、26、43、44、45、46、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、47、および48を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなる、ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、ならびにOXA−51群、OXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、CMY−1、−10、SFC−1、NDM−1、およびSIM−1遺伝子またはそれらのサブバリアントの1以上の存在を判定するためのプライマーをさらに含んでなる、パラグラフ36〜38のいずれか一つに記載のキット。
【0116】
41.カルバペネマーゼ遺伝子を同定するためのオリゴヌクレオチドであって、配列番号15、16、1、49、2、9、10、13、14、19、20、21、および22を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる、オリゴヌクレオチド。
【0117】
42.第一および第二のマルチプレックス反応を含んでなり、第一のマルチプレックス反応において、KPC、OXA−48、VIM、GESおよび/またはIMPの1以上のまたは総ての遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/または遺伝子サブバリアントが一反応内で検出され、該検出が、15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号15、16、1、2、9、10、13、14、19、20、21、および22を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなるプライマーを使用することによって行われる、カルバペネマーゼ遺伝子を同定するための構成。
【0118】
43.第二のマルチプレックス反応において、ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−58および/またはNDM−1の1以上のまたは総ての遺伝子、遺伝子ファミリーおよび/またはサブバリアントが一反応内で検出され、該検出が、15〜50ヌクレオチド長であり、かつ、配列番号24、25、43、44、45、46、47、33、34、および48を含んでなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその改変形態を少なくとも部分的に有するかまたはそれらを含んでなるプライマーを使用することによって行われる、パラグラフ42に記載の構成。
【0119】
参考文献
1. Queenan AM, Bush K. Carbapenemases: the Versatile β-Lactamases, Clinical Microbiology Reviews, 2007 20(3), 440-458.
2. Poirel L, Pitout JD, Nordman P. Carbapenemases: molecular diversity and consequences, Future Microbiol. 2007 2(5), 501-512.
3. Giske CG, Redefining extended-spectrum {beta}-lactamases: balancing science and clinical need. J Antimicrob Chemother. 2009 63(1), 1-4. Epub 2008 Oct 28.
【実施例】
【0120】
方法
リアルタイムPCRアッセイの設計は、二つのマルチプレックス反応に分割された。第一のマルチプレックスは、VIM 1−22、IMP 1−24、OXA−48、KPC 1−7、GES 1−10、SPM、NMC−A、IMI 1−2、SME 1−3、GIM−1およびSIM−1遺伝子を検出するように設計された。他方のマルチプレックスは、OXA−24、−25、26、−40、−72、OXA−23、−27、OXA−50、OXA−51、64−71、75−78、83−89、−92、−94、−95、OXA−55、OXA−58、OXA−60、およびOXA−62を含む、カルバペネマーゼ特性を有するOXA遺伝子のみに対して設計された。一反応内で多数の遺伝子の検出を可能とするようにSYBR Green化学を選択した。融解曲線分析を用いて陽性サンプルの推定分子機構を予備同定し、参照プライマーを用いて配列決定した。このアッセイをも用いて、推定ESBL株を体系的にスクリーニングした。さらに、このスクリーニングアッセイは、NLSI標準に従ってメロペネム、イミペネムまたはエルタペネムに対する感受性が低下した(メロペネムディスク径<23mm)、またはMIC(I/R)が低下した推定腸内細菌種をスクリーニングするための診断ルーチンの一部である。
【0121】
結果
250を超える推定ESBL株を体系的にスクリーニングしてカルバペネマーゼ産生株の分布を評価した。対照的に、IMI−2遺伝子を保有する高カルバペネム耐性エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)株は、集中治療室の患者から単離された。このIMI−2陽性株は、メロペネム(MIC>32)、イミペネム(MIC>32)およびエルタペネム(MIC>256)に対して多高い耐性を有していたが、興味深いことに、第三世代のセファロスポリンまたはトリメトプリム/スルファに対しては耐性でなった。さらに、このアッセイを用い、OXA−23群および/またはOXA−51群、またはVIM−2カルバペネマーゼを保有する30を超える臨床アシネトバクター単離株の同定にも成功した。
【0122】
実施例2
実施例1に記載の方法を繰り返し、第一のマルチプレックス反応において、OXA−48、SME、GIM−1、VIM、SPM、GES、KPC、IMI 1−3/NMC−A、IMP−10、IMP−11を、そして第二のマルチプレックス反応において、ISabalプロモーターを有するOXA−23群、OXA−24群、OXA−51群、ならびにOXA−55、OXA−58、OXA−60、OXA−62、CMY−1、−10、SFC−1、NDM−1およびSIM−1を検出した。
【0123】
これらの試験では、KPC遺伝子を有する肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)4株、OXA−48を有する大腸菌1株、GESを有する緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)3株、およびIMP遺伝子を有する緑膿菌/シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)6株が見出された。
【0124】
また、OXA−23、OXA−24、OXA−58遺伝子の種々の組合せを有する、50株を超えるアシネトバクター・バウマニー複合株も見出された。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]