(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、SOFCの熱サイクルによって、金属プレートの弾性が失われたり、熱サイクルによる燃料電池セル本体の変形によって、電気導通の信頼性が損なわれたりする可能性がある。
【0006】
また、金属プレートへの凸部の形成は、エッチングによってなされるのが通例であるが、エッチング時間等の関係で、製造コストを要する。このため、鍛造、プレス加工等、エッチング以外の手法による、凸部の形成が望まれる。
【0007】
一方、プレスによって、金属プレートに凸部を形成すると、プレス時のスプリングバックにより凸部の平坦性が悪化し、凸部の局部のみが燃料電池セル本体に接触する可能性がある(片あたり)。この片あたりにより、凸部と燃料電池セル本体の接触面積が減少し、接触抵抗が上昇する可能性がある。また、燃料電池セル本体の局部に応力が集中し、燃料電池セル本体が割れる可能性もある。
【0008】
また、プレス時に、金属プレートが歪み(破れ)て、ガスがリークしたり、凸部の片あたりにより固体酸化物形燃料電池セルが割れたりする可能性もある。即ち、凸部の間にガス流路を確保しつつ、かつ燃料電池セル本体の変形に追従することは、必ずしも容易ではない。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、大量生産が容易で、かつ燃料電池セル本体が変形した場合でも、電極の接触箇所における電気導通の確保が容易な固体酸化物形燃料電池およびインターコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一態様に係る固体酸化物形燃料電池は、空気電極層、酸化物で構成される固体電解質層、および燃料電極層を備え、発電機能を有する、燃料電池セル本体と、基台部と、この基台部から前記燃料電池セル本体に向かって突出し電気的に接続される複数の突出部と、を有し、金属材料から一体的に形成される、インターコネクタと、を具備し、前記突出部の輪郭が、並列に配置され、かつ直線をそれぞれ含む一対の線部と、これら一対の線部の両端を接続する曲線状の一対の曲線部と、から構成され、前記一対の線部の中心を結ぶ直線に沿い且つ前記一対の線部に直交する、前記突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの第1の領域と、この第1の領域の両端それぞれに接続される一端を有し、曲率半径が0.1〜0.5mmの一対の第2の領域と、これら一対の第2の領域の他端それぞれと前記基台部とを接続する一対の第3の領域と、を有する。
【0011】
この実施形態のインターコネクタは、基台部と、この基台部から前記燃料電池セル本体に向かって突出し電気的に接続される複数の突出部と、を有する。この突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの第1の領域と、この第1の領域の両端それぞれに接続される一端を有し、曲率半径が0.1〜0.5mmの一対の第2の領域と、これら一対の第2の領域の他端それぞれと前記基台部とを接続する一対の第3の領域と、を有する。突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの領域等を有することで、突出部による、製作中及び発電中の燃料電池セル本体の割れの防止、電気的接続の確保が可能となる。
【0012】
(2)(1)に係る固体酸化物形燃料電池において、第2の空気電極層、酸化物で構成される第2の固体電解質層、および第2の燃料電極層を備え、発電機能を有する、第2の燃料電池セル本体をさらに具備し、前記インターコネクタが、前記基台部から前記第2の燃料電池セル本体に向かって突出し電気的に接続される複数の第2の突出部をさらに有し、前記第2の突出部の輪郭が、並列に配置され、かつ直線をそれぞれ含む一対の第2の線部と、これら一対の第2の線部の両端を接続する曲線状の一対の第2の曲線部と、から構成され、前記一対の第2の線部の中心を結ぶ直線に沿い且つ前記一対の線部に直交する、前記第2の突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの第4の領域と、この第4の領域の両端それぞれに接続される一端を有し、曲率半径が0.1〜0.5mmの一対の第5の領域と、これら一対の第5の領域の他端それぞれと前記基台部とを接続する一対の第6の領域と、を有しても良い。
【0013】
このインターコネクタは、基台部から突出する突出部、および第2の突出部、を有する。これら突出部、第2の突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの領域等を有することで、突出部、第2の突出部による、製作中及び発電中の燃料電池セル本体の割れの防止、電気的接続の確保が可能となる。
【0014】
(3)本発明の一態様に係る固体酸化物形燃料電池は、空気電極層、酸化物で構成される固体電解質層、および燃料電極層を備え、発電機能を有する、燃料電池セル本体と、第2の空気電極層、酸化物で構成される第2の固体電解質層、および第2の燃料電極層を備え、発電機能を有する、第2の燃料電池セル本体と、金属材料から一体的に形成されて、前記燃料電池セル本体および前記第2の燃料電池セル本体の間に配置され、かつ前記燃料電池セル本体および前記第2の燃料電池セル本体それぞれに向かって突出し電気的に接続される複数の突出部および複数の第2の突出部を有する、インターコネクタと、を具備し、前記突出部、前記第2の突出部それぞれの輪郭が、並列に配置され、かつ直線をそれぞれ含む一対の線部と、これら一対の線部の両端を接続する曲線状の一対の曲線部と、から構成され、前記一対の線部の中心を結ぶ直線に沿い且つ前記一対の線部に直交する、前記突出部および前記第2の突出部の断面それぞれが、曲率半径が1〜70mmの第1の領域と、この第1の領域の両端それぞれに接続される一端を有し、曲率半径が0.1〜0.5mmの一対の第2の領域と、これら一対の第2の領域の他端それぞれと前記基台部とを接続する一対の第3の領域と、に区分される、ことを特徴とする。
【0015】
このインターコネクタは、前記燃料電池セル本体および前記第2の燃料電池セル本体それぞれに向かって突出し電気的に接続される複数の突出部および複数の第2の突出部を有する。これら突出部、第2の突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの領域等を有することで、突出部、第2の突出部による、製作中及び発電中の燃料電池セル本体の割れの防止、電気的接続の確保が可能となる。なお、このインターコネクタは、基台部を有しなくても良い。
【0016】
(4)(1)〜(3)の固体酸化物形燃料電池が、前記一対の線部に沿って、これら一対の線部の中間に配置される直線に沿い且つ前記一対の線部が存在する平面に直交する、前記突出部および前記第2の突出部の断面それぞれが、曲率半径が70mm〜500mmの領域を有しても良い。これら突出部、第2の突出部の断面が、曲率半径が70mm〜500mmの領域を有することで、突出部、第2の突出部による、製作中及び発電中の燃料電池セル本体の割れの防止、電気的接続の確保が可能となる。
【0017】
(5)(1)〜(4)の固体酸化物形燃料電池のインターコネクタが、板状の金属材料のプレス加工により形成されても良い。プレス加工を用いることで、インターコネクタを容易に製造できる。
【0018】
(6)(1)〜(5)の固体酸化物形燃料電池が、前記基台部は平坦形状を有し、前記インターコネクタ、前記燃料電池セル本体の少なくとも何れかに配置され、かつ前記基台部と電気的に接続される集電体をさらに具備しても良い。基台部が平坦形状を有すると、基台部と集電体との電気的接続が良好となり、接触抵抗に起因する加熱により、燃料電池セル本体が劣化することを抑制できる。また、応力の集中による燃料電池セル本体の破損を抑制可能となる。
【0019】
(7)本発明の一態様に係るインターコネクタは、金属材料から一体的に形成されて、燃料電池セル本体に向かって突出し電気的に接続される突出部を具備し、前記突出部の輪郭が、並列に配置され、かつ直線をそれぞれ含む一対の線部と、これら一対の線部の両端を接続する曲線状の一対の曲線部と、から構成され、前記一対の線部の中心を結ぶ直線に沿い且つ前記一対の線部に直交する、前記突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの第1の領域と、この第1の領域の両端それぞれに接続される一端を有し、曲率半径が0.1〜0.5mmの一対の第2の領域と、これら一対の第2の領域の他端それぞれと前記基台部とを接続する一対の第3の領域と、を有しても良い。
【0020】
このインターコネクタは、基台部の一方、他方の面それぞれから突出してする突出部、第2の突出部と、を有する。これら突出部、第2の突出部の断面が、曲率半径が1〜70mmの領域等を有することで、突出部、第2の突出部による、製作中及び発電中の燃料電池セル本体の割れの防止、電気的接続の確保が可能となる。
【0021】
・ここで、固体電解質体(固体電解質層)は、電池の作動時に燃料電極に導入される燃料ガス又は空気電極に導入される支燃性ガスのうちの一方の一部をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。このイオンとしては、例えば酸素イオン及び水素イオン等が挙げられる。また、燃料電極は、還元剤となる燃料ガスと接触し、固体酸化物形燃料電池セルにおける負電極として機能する。空気電極は、酸化剤となる支燃性ガスと接触し、固体酸化物形燃料電池セルにおける正電極として機能する。
【0022】
・固体電解質体は、酸化物で構成される。酸化物として、例えばZrO
2系セラミック、LaGaO
3系セラミック、BaCeO
3系セラミック、SrCeO
3系セラミック、SrZrO
3系セラミック、及びCaZrO
3系セラミック等が挙げられる。
【0023】
インターコネクタの材料としては、導電性及び耐熱性を有する、例えばステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金が挙げられる。尚、後述する金属フレームも同様である。
【0024】
具体的には、ステンレス鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。フェライト系ステンレス鋼としては、SUS430、SUS434、SUS405、SUS444等が挙げられる。マルテンサイト系ステンレス鋼としては、SUS403、SUS410、SUS431等が挙げられる。オーステナイト系ステンレス鋼としては、SUS201、SUS301、SUS305等が挙げられる。更に、ニッケル基合金としては、インコネル600、インコネル718、インコロイ802等が挙げられる。クロム基合金としては、Ducrlloy CRF(94Cr5Fe1Y
2O
3)等が挙げられる。また、Crofer22合金、ZMG232Lなども挙げられる。
【0025】
・燃料電極(燃料電極層)の材料としては、例えば、Ni及びFe等の金属と、Sc、Y等の希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のZrO
2系セラミック、CeO
2系セラミック及び酸化マンガン等のセラミックのうちの少なくとも1種との混合物などが挙げられる。また、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni及びFe等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。更に、これらの金属及び/又は合金と、上記セラミックの各々の少なくとも1種との混合物(サーメットを含む)が挙げられる。また、Ni及びFe等の金属の酸化物と、上記セラミックの各々の少なくとも1種との混合物などが挙げられる。
【0026】
・空気電極(空気電極層)の材料としては、例えば、各種の金属、金属の酸化物、金属の複酸化物等を用いることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru及びRh等の金属又は2種以上の金属を含有する合金が挙げられる。更に、金属の酸化物としては、La、Sr、Ce、Co、Mn及びFe等の酸化物(La
2O
3、SrO、Ce
2O
3、Co
2O
3、MnO
2及びFeO等)が挙げられる。また、複酸化物としては、少なくともLa、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe及びMn等を含有する複酸化物(La
1−xSr
xCoO
3系複酸化物、La
1−xSr
xFeO
3系複酸化物、La
1−xSr
xCo
1−yFe
yO
3系複酸化物、La
1−xSr
xMnO
3系複酸化物、Pr
1−xBa
xCoO
3系複酸化物(LSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))及びSm
1−xSr
xCoO
3系複酸化物等)が挙げられる。
【0027】
・固体電解質形燃料電池を用いて発電を行う場合、燃料電極側には燃料ガスを導入し、空気電極側には支燃性ガスを導入する。燃料ガスとしては、水素、還元剤となる炭化水素、水素と炭化水素との混合ガス、及びこれらのガスを所定温度の水中を通過させ加湿した燃料ガス、これらのガスに水蒸気を混合させた燃料ガス等が挙げられる。炭化水素は特に限定されず、例えば、天然ガス、ナフサ、石炭ガス化ガス等が挙げられる。この燃料ガスとしては水素が好ましい。これらの燃料ガスは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、50体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスを含有していてもよい。
【0028】
支燃性ガスとしては、酸素と他の気体との混合ガス等が挙げられる。更に、この混合ガスには80体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスが含有されていてもよい。これらの支燃性ガスのうちでは安全であって、且つ安価であるため、空気(約80体積%の窒素が含まれている。)が好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、大量生産が容易で、かつ燃料電池セル本体が変形した場合でも、電極の接触箇所における電気導通の確保が容易な固体酸化物形燃料電池およびインターコネクタを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(固体酸化物形燃料電池スタック)10を表す斜視図である。
図2は、固体酸化物形燃料電池10をX方向に切断した状態を表す断面図である。
図3は、インターコネクタ130の正面図である。
【0033】
固体酸化物形燃料電池10は、略直方体形状をなし、上面11、底面12、支燃性ガス流路21、23、燃料ガス流路22、24、貫通孔25〜28を有し、連結部材(締結具であるボルト41〜48、ナット51〜58)が取り付けられる。
【0034】
上面11に、支燃性ガス流路21、23、燃料ガス流路22、24と対応して、部材61、63、62、64が配置される。部材61、63、62、64はそれぞれ、支燃性ガス流路21、23、燃料ガス流路22、24と連通する貫通孔を有する。部材61〜64にボルト41〜44が挿通され、ナット51〜54がねじ込まれる。
【0035】
部材61〜64の貫通孔の径より、ボルト41〜44の軸の径が小さいことで、部材61〜64の貫通孔とボルト41〜44の軸間をガス(支燃性ガス(空気)、発電後の残余の燃料ガス、発電後の残余の支燃性ガス、燃料ガス)が通過する。即ち、支燃性ガス(空気)、燃料ガスがそれぞれ部材61、62から固体酸化物形燃料電池10内に流入する。発電後の残余の支燃性ガス(空気)、発電後の残余の燃料ガスが固体酸化物形燃料電池10から部材63、64へと流出する。
【0036】
固体酸化物形燃料電池10は、発電単位である平板形の固体酸化物形燃料電池セル100が複数個積層されて構成される。複数個の固体酸化物形燃料電池セル100(100(1)〜100(3))が電気的に直列に接続される。なお、見易さのために、
図2での固体酸化物形燃料電池セル100の個数を3としている。多くの場合、より多く(例えば、20個)の固体酸化物形燃料電池セル100が積層されて固体酸化物形燃料電池10が構成される。
【0037】
固体酸化物形燃料電池セル100は、直方体形状をなし、積層体(燃料電池セル本体)110を有する。積層体110は、燃料電極111、固体電解質体112、および空気電極113が、順次積層されてなる。燃料電極111は、燃料ガス(例えば水素)に接する。固体電解質体112は、酸化物から構成され、酸素イオン導電性を有する。空気電極113は、支燃性ガス(例えば空気(詳しくは空気中の酸素))に接触する。
【0038】
尚、本実施形態では、燃料電極111が支持基体となるいわゆる支持膜式の固体酸化物形燃料電池セル100を例に挙げているが、それに限定されるものではない。
【0039】
また、積層体110の側方の周囲には四角形の枠体150が設けられ、積層体110の上下方向には、インターコネクタ130、集電体140が設けられている。
【0040】
前記枠体150は、マイカ(雲母)からなる絶縁性枠体151、152と、その間に配置された例えばSUS430からなる金属フレーム153、154、セル内セパレータ155とから構成されている。
【0041】
このセル内セパレータ155は、固体電解質体112の上面の外周にて全周にわたって接合されたものである。セル内セパレータ155によって、固体酸化物形燃料電池セル100の内部の空間が、燃料ガスが供給される燃料室115と支燃性ガスが供給される空気室116とに分離されている。燃料室115内のY方向に燃料ガスが流通する。空気室116内のX方向に支燃性ガスが流通する。
【0042】
枠体150には、枠体150を同図の上下方向に貫通する支燃性ガス流路21、23、燃料ガス流路22、24が設けられている。
【0043】
インターコネクタ130は、空気電極113に接して電気的導通を得るように設けられたものである。インターコネクタ130は、外周部131、基台部132、および突出部133を有し、例えば、Crofer22合金、またはZMG232L合金から一体的に構成される。
【0044】
外周部131は、インターコネクタ130の外周に配置される。尚、外周部131には、X方向に支燃性ガス流路21、23が設けられ、Y方向に燃料ガス流路22、24が設けられており、外周部131にはボルト45〜48が貫通する貫通孔25〜28が設けられている。
【0045】
基台部132は、外周部131内に配置される、四角形の領域である。なお、基台部132は、外周部131と共に一つの平面を構成している。即ち、基台部132、外周部131は明確には区分されない。このため、外周部131と基台部132の境界を破線で表している。
【0046】
基台部132が平坦であると、基台部132と集電体140の電気的接続が良好となる(接触抵抗が低くなる)。その結果、接触抵抗に起因する加熱により、積層体110(燃料電池セル本体)等が、劣化することを抑制できる。また、基台部132が平坦形状を有することは、固体酸化物形燃料電池セル100内での応力集中を緩和することとなり、製作時等に集電体140が破損することを抑制できる。但し、基台部132は、必ずしも平坦でなくても良い。基台部132が、例えば、多少の凹凸を有することが許容される。
【0047】
突出部133は、基台部132から突出し、その先端が空気電極113の表面に接触するドーム形状の領域である。
【0048】
インターコネクタ130(2)、130(3)はそれぞれ、固体酸化物形燃料電池セル100(1)、100(2)、固体酸化物形燃料電池セル100(2)、100(3)で共用される。
【0049】
また、固体酸化物形燃料電池セル100(2)の燃料電極111は、集電体140、インターコネクタ130により固体酸化物形燃料電池セル100(3)の空気電極113に電気的に接続される。固体酸化物形燃料電池セル100(2)の空気電極113は、インターコネクタ130、集電体140、により固体酸化物形燃料電池セル100(1)の燃料電極111に電気的に接続されている。尚、固体酸化物形燃料電池セル100の個数が4以上でも、最上部、最下部の固体酸化物形燃料電池セル100を除き、接続関係は同様である。
【0050】
集電体140は、ニッケル(Ni)等の金属から構成できる。集電体140の形状として、板状、メッシュ(網目)状、多孔質状(セルメット)、フェルト状などを用いることができる。メッシュ(網目)状には、エキスパンドメタルのように、金属の板に複数の切れ込みを入れ、引き伸ばして網目状としたものも含まれる。
【0051】
最上部の固体酸化物形燃料電池セル100(1)の空気電極113は、正極となる金属エンドプレート121に、最下部の固体酸化物形燃料電池セル100(3)の燃料電極111は、負極となる金属エンドプレート122に、それぞれ電気的に接続されている。
【0052】
図4は、
図3に示す突出部133を拡大して表す平面図である。基台部132上に投影した、突出部133の輪郭は、線部161、162、曲線部163、164から構成される。線部161、162は、並列に配置され、かつ直線をそれぞれ含む一対の線状領域である。曲線部163、164は、線部161、162の両端を接続する曲線状の一対の線状領域である。
【0053】
図5は、インターコネクタ130を直線Ly(線部161、162の中心を結ぶ線)に沿って切断した状態を表す断面図である。即ち、直線Lyに沿い且つ線部161、162に直交する、突出部133の断面が表される。突出部133の断面は、領域A1、A2、A3を有する。
【0054】
領域A1は、曲率半径R1が1〜70mm(例えば、5mm)の領域である。曲率半径R1が1〜70mmであるのは、積層体110への応力集中を緩和し、積層体110、特に、空気電極113の割れ、破壊を低減するためである。また、反りのあるインターコネクタ130でも均等な接触面積を確保し、接触抵抗を低減するためである。
【0055】
曲率半径R1が1mm未満だと、突出部133の中央部のみが積層体110に接することで、積層体110への応力集中が発生し、積層体110が割れるおそれがある。また、必要十分な接触面積が得られず、接触抵抗が大きくなるおそれがある。
【0056】
曲率半径R1が70mmを超えると、積層体110の反りの影響で、突出部133の外周(エッジ)で接触して、応力が集中し、積層体110が割れる可能性がある。
【0057】
領域A2は、領域A1の両端それぞれに接続される一端を有し、曲率半径R2が0.1〜0.5mmの一対の領域である。領域A3は、一対の領域A2の他端それぞれと基台部132とを接続する一対の領域である。
【0058】
図6は、インターコネクタ130を直線Lxに沿って切断した状態を表す断面図である。即ち、一対の線部161、162に沿って、これら一対の線部161、162の中間に配置される直線Lxに沿い且つ前記一対の線部161、162が存在する平面に直交する、突出部133の断面が表わされる。突出部133の断面が、領域A4、A5、A6を有する。領域A4は、曲率半径R4が70mm〜500mm(例えば、500mm)の領域である。
【0059】
曲率半径R4が70mm〜500mmであるのは、積層体110への応力集中を緩和し、積層体110、特に、空気電極113の割れ、破壊を低減するためである。また、反りのあるインターコネクタ130でも均等な接触面積を確保し、接触抵抗を低減するためである。
【0060】
曲率半径R4が70mm未満だと、突出部133の中央部のみが積層体110に接することで、積層体110への応力集中が発生し、積層体110が割れるおそれがある。また、必要十分な接触面積が得られず、接触抵抗が大きくなるおそれがある。
【0061】
曲率半径R4が500mmを超えると、積層体110反りの影響で、突出部133の外周(エッジ)で接触して、応力が集中し、積層体110が割れる可能性がある。
【0062】
領域A5は、領域A4の両端それぞれに接続される一端を有する一対の領域である。
【0063】
領域A6は、一対の領域A5の他端それぞれと基台部132とを接続する一対の領域である。
【0064】
図4に示すように、突出部133は、長さDxと幅Dyを有し、X、Y方向に間隔Px、Pyをおいて配置される。既述のように、空気室116内のX方向(インターコネクタ130の下面上、突出部133の長手方向)を支燃性ガスが流通する。
【0065】
突出部133の長さDxと幅Dyの比K1(=Dx/Dy)は、1〜12(例えば、8.4)であることが好ましい。積層体110への応力集中を緩和し、積層体110、特に、空気電極113の割れ、破壊を低減するためである。また、積層体110に異方性なく追従し、接触抵抗を低減するためである。
【0066】
比K1が1未満だと、スタッキング(固体酸化物形燃料電池セル100の積層時)の際に荷重が不均一となり、応力集中による積層体110に割れが発生する可能性がある。また、熱膨張や差圧で、インターコネクタ130が反ったときに、反り方に異方性が発生し、接触抵抗が上昇する可能性がある。
【0067】
比K1が12を超えると、スタッキングの際に荷重が不均一となり、応力集中による積層体110に割れが発生する可能性がある。また、熱膨張や差圧で、インターコネクタ130が反ったときに、反り方に異方性が発生し、接触抵抗が上昇する可能性がある。
【0068】
突出部133の流路に垂直方向な間隔Pyは、2〜4mm(例えば、2.53mm)であることが好ましい。ガスの拡散不足による発電特性の低下を防止するためである。間隔Pyが2未満だと、ガスの拡散不足による発電特性が低下する可能性がある。間隔Pyが4を超えると、発電面積が低下し、発電特性が低下する可能性がある。
【0069】
突出部133の集電面積比K2は、10〜40%(例えば、25%)であることが好ましい。ガス流路との相関性が良好な範囲だからである。集電面積比K2が10%未満だと集電面積が減少する。集電面積比K2が40%を超えるとガス流路が減少する。突出部133の集電面積比K2は、突出部133全体の表面積S0に対して、突出部133の領域A1の表面積S1の割合(=S1/S0)である。
【0070】
突出部133の板厚tが0.2〜0.4mm(例えば、0.3mm)であることが好ましい。積層体110の変形に追従し、接触抵抗を減少するためである。板厚tが0.2mm未満だと接触抵抗が上昇する。板厚tが0.4mmを超えると、積層体110への追従性が劣化し、接触抵抗の上昇を招く。
【0071】
突出部133の高さhが、0.7mm程度であることが好ましい。ガス流路幅(流路面積)の減少し、発電反応の不均一化を招くおそれがある。また、突出部133に破れが多発し、クロスリークが発生するおそれがある。
【0072】
既述のように、突出部133は、支燃性ガスの流れに沿って配置される(突出部133の長手方向が支燃性ガスの流れの方向と対応する)。これによって、インターコネクタ130の強度はXY軸で異なる。突出部133を正方形や円形とすることも可能であるが、ガス拡散や、集電面積の減少につながるため、形状の最適化が必要となる。
【0073】
突出部133の長手方向の強度が高く、スタック組み付け時及び発電時に、インターコネクタ130の変形量は列ごとに異なってくる。発電時、インターコネクタ130に加わる力は、次が挙げられる。
1.各部材の熱膨張差に起因する力
2.燃料電極111と空気電極113の差圧に起因する力
3.積層体110の反りに起因する力
【0074】
インターコネクタ130をプレス化するとともに、薄肉化(例えば、1tから0.3tへの変更)し、弾性をもって、インターコネクタ130の反りへの追従性を上げる。突出部133の各列でのばらつきを均等に最適化する。
【0075】
図7のようにプレスによって、インターコネクタ130全体に歪みが発生したとする。この場合、スタックの組み付け時に、積層体110との平行が保たれず、組み付けが困難となる。また、インターコネクタ130の突出部133の角部から積層体110に接することとなり、応力集中が発生し、積層体110の割れの要因ともなる。併せて、突出部133の角部での接触となると集電面積の減少にもつながる。
【0076】
インターコネクタ130の突出部133の先端が大円弧形状となっている。この場合、一定の歪み(インターコネクタ130の傾き)までは、大円弧の範囲を超えなければ、突出部133の先端から接触することとなり、応力集中が緩和される。また、突出部133の弾性範囲内では、接触面積が増加し、集電効果の増加が期待される。
【0077】
(固体酸化物形燃料電池10の製造)
次に、固体酸化物形燃料電池10の製造方法について説明する。
(1)燃料電極111、固体電解質体112及び空気電極113からなる積層体110を製造する。
(2)次に、この積層体110にセル内セパレータ155をろう付けする。
【0078】
(3)一方、金属薄板をプレス等で型押して、ドーム形状の突出部133を製造する。次に、プレス等された金属薄板に支燃性ガス流路21、23、燃料ガス流路22、24、貫通孔25−28を形成する。
【0079】
(4)次に、前記セル内セパレータ155を接合した積層体110と、枠体150と、インターコネクタ130とを積層し、金属エンドプレート121、122も配置する。
【0080】
そして、固体酸化物形燃料電池10にボルト41〜48を挿入し、ナット51〜58により上下方向に押圧して固定する。これにより、固体酸化物形燃料電池10が完成する。
【0081】
(比較例)
本発明の比較例を説明する。
図8は、
図2に対応し、本発明の比較例に係る固体酸化物形燃料電池10xの断面図である。比較例に係るインターコネクタ130xは、薄板から構成されるのではなく、中実である。このため、インターコネクタ130xは剛性があり、発電中に反った積層体110に追従できず、積層体110とインターコネクタ130xの接点の確保が難しい。
【0082】
(耐久性試験)
固体酸化物形燃料電池の耐久性試験につき説明する。ここでは、固体酸化物形燃料電池として、20段スタックのものを用いた。耐久性試験として、固体酸化物形燃料電池を起動し700℃まで昇温し、その後、停止して室温まで温度を降下させることを10回繰り返し、その前後でのIR抵抗の平均値を測定した。
【0083】
図9は、本発明の実施例と従来例での試験結果を表すグラフである。IR抵抗R01、R02が従来例での耐久性試験前後での面積抵抗である。IR抵抗R11、R12が実施例での耐久性試験前後での面積抵抗(オーム損(抵抗))であり、インターコネクタ130、積層体110間の抵抗値を突出部133の領域A1の表面積S1の合計で除算したものである。
【0084】
IR抵抗の平均値を比較した。従来品では、初期での0.18Ωcm
2が耐久試験後に0.95Ωcm
2となり、IR抵抗の劣化(上昇)が見られた。これに対して、実施例では、初期での0.17Ωcm
2が耐久試験後に0.18cm
2となり、IR抵抗の劣化(上昇)は事実上見られない。積層体110に対するインターコネクタ130の追従性が向上したことにより、IR抵抗が保持され、耐久性が向上したと考えられる。
【0085】
(曲率半径R1等の影響)
ここで、曲率半径R1、R4、比K1、板厚t、間隔Py、集電面積比K2、突出部133の高さhを変化させて、固体酸化物形燃料電池10を作成、評価した。即ち、曲率半径R1等が固体酸化物形燃料電池10の特性に与える影響を評価した。
【0086】
図10〜
図13はそれぞれ、曲率半径R1、R4、比K1、板厚tを変化させた場合での、IR抵抗の変化を表すグラフである。
図14〜
図16はそれぞれ、間隔Py、集電面積比K2、突出部133の高さhを変化させた場合での、電圧の変化を表すグラフである。
【0087】
(1)曲率半径R1を0.5、1.0、5.0、30、70mmと変化させたところ、IR抵抗は0.45、0.2、0.17、0.19、0.2Ωcm
2と変化した(
図10参照)。なお、曲率半径R1が80、100mmの場合、作成中に積層体(燃料電池セル本体)110に割れが発生した。このように、曲率半径R1が0.5mmより大きく80mm未満の範囲で、概ね良好な結果が得られた。
【0088】
(2)曲率半径R4を50、70、200、400、500mmと変化させたところ、IR抵抗は0.35、0.2、0.19、0.17、0.18Ωcm
2と変化した(
図11参照)。なお、曲率半径R4が600mmの場合、作成中に積層体(燃料電池セル本体)110に割れが発生した。このように、曲率半径R4が50mmより大きく600mm未満の範囲で、概ね良好な結果が得られた。
【0089】
(3)比K1を0.5、1、4、8.4、10、12、15%と変化させたところ、IR抵抗は0.39、0.2、0.18、0.17、0.19、0.2、0.33Ωcm
2と変化した(
図12参照)。このように、比K1が0.5%より大きく15%未満の範囲で、概ね良好な結果が得られた。
【0090】
(4)板厚tを0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mmと変化させたところ、IR抵抗は0.56、0.2、0.17、0.18、0.31Ωcm
2と変化した(
図13参照)。このように、板厚tが0.1mmより大きく0.5mm未満の範囲で、概ね良好な結果が得られた。
【0091】
(5)間隔Pyを1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、4.5、5.0mmと変化させたところ、電圧は0.55、0.7、0.84、0.87、0.83、0.84、0.73、0.5[V]と変化した(
図14参照)。このように、間隔Pyが1.0mmより大きく5.0mm未満の範囲で、概ね良好な結果が得られた。
【0092】
(6)集電面積比K2を5、10、20、25、30、40、45、50%と変化させたところ、電圧は0.55、0.85、0.84、0.87、0.83、0.84、0.73、0.5[V]と変化した(
図15参照)。このように、集電面積比K2が5%より大きく50%未満の範囲で、概ね良好な結果が得られた。
【0093】
(7)突出部133の高さhを0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8mmと変化させたところ、電圧は0.45、0.66、0.82、0.84、0.87、0.83[V]と変化した(
図16参照)。このように、突出部133の高さhが0.2mmより大きく、0.7mm以下の範囲で、概ね良好な結果が得られた。
【0094】
(変形例)
本発明の変形例を説明する。
図17は、本発明の変形例に係る固体酸化物形燃料電池10のインターコネクタ130の正面図である。変形例では、突出部133の長さDx、幅Dy、間隔Px、Pyが、第1の実施形態での突出部133の長さDx等よりも小さい。このように、突出部133の長さDx等を変化させても、積層体110とインターコネクタ130xの接点の確保が可能である。
【0095】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施形態を説明する。
図18は、
図2に対応し、本発明の第2実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(固体酸化物形燃料電池スタック)10aを切断した状態を表す断面図である。
図19は、
図5に対応し、固体酸化物形燃料電池10aのインターコネクタ130aを切断した状態を表す断面図である。
【0096】
第1の実施形態では、インターコネクタ130、集電体140がそれぞれ空気電極113側、燃料電極111側に配置されている。また、インターコネクタ130の突出部133が、基台部132の下方に突出し、空気電極113に接触している。
【0097】
これに対して、第2の実施形態では、インターコネクタ130a、集電体140がそれぞれ燃料電極111側、空気電極113側に配置されている。また、インターコネクタ130の突出部133が、基台部132の上方に突出し、燃料電極111に接触している。このように、インターコネクタ130aによって、燃料電極111との電気的接続を確保しても良い。
【0098】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
図20A〜
図20Fは、インターコネクタ130、130a〜130eの断面を表す断面図である。
図20A、
図20Bはそれぞれ、第1、第2実施形態のインターコネクタ130、130aに対応する。既述のように、インターコネクタ130、130aは、基台部132を有し、その上方または下方のいずれかに突出部133が突出している。
【0099】
これに対して、
図20Cでは、インターコネクタ130bが基台部132を有し、その上方、下方の双方に突出部133、133aが突出している。また、
図20Dでは、インターコネクタ130cが突出部133、133aを有し、基台部132を有しない。
【0100】
さらに、
図20Eに示すように、インターコネクタ130dの突出部133dの曲率半径R1、R4が前述の範囲を満たす限り、基台部132dと突出部133dの厚さを異なるものとすることも可能である。即ち、基台部132dと突出部133dは、一方側の面が同じ平面に位置し、他方側の面において、突出部133dが基台部132dより突出するようにしてもよい。なお、この形状を形成するには、鍛造方法を採用できる。
【0101】
また、
図20Fに示すように、インターコネクタ130eの突出部133eの突出する側とは反対側に、対応する凹部134eを形成しても良い。基台部132eには、凹部134eは設けられていない。なお、この形状を形成するには、鍛造方法の他に、プレス方法を採用できる。