特許第6054190号(P6054190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

特許6054190構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム
<>
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000002
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000003
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000004
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000005
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000006
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000007
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000008
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000009
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000010
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000011
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000012
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000013
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000014
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000015
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000016
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000017
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000018
  • 特許6054190-構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054190
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20161219BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G06F17/50 612G
   G06F17/50 680B
   E04B1/00ESW
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-16386(P2013-16386)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-149567(P2014-149567A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】坂口 知弘
(72)【発明者】
【氏名】梶原 武志
(72)【発明者】
【氏名】岸田 久之
(72)【発明者】
【氏名】浦川 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝治
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】吉村 範久
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−018315(JP,A)
【文献】 特開平11−085814(JP,A)
【文献】 特開2003−233640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて、建物の構造材のうちの少なくとも梁の断面を、登録された各種断面の中から選定する方法であって、
前記梁は端部の支持条件がピン接合であり、
断面の選定対象となる梁上の等分割された各節点に作用する鉛直荷重である節点荷重を全ての節点について入力する節点荷重入力過程と、
この入力された各節点の節点荷重をマトリクスの形で表現した節点荷重マトリクスに、それぞれ定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスを乗算して前記各節点に生じる仮想の応力状態量および変形量を演算する応力・変形量等演算過程と、
登録された梁の断面種類毎に予め定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量と前記応力・変形量等演算過程で計算された応力状態量および変形量とをそれぞれ比較し、全ての節点の応力状態量および変形量が前記許容応力状態量および許容変形量を満足する断面の梁のうちで、定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ構造材断面選定過程とを含む、
ことを特徴とする構造材の最適断面選定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の構造材の最適断面選定方法において、前記応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスは、それぞれ、梁スパンおよび前記節点の数が異なる梁毎に設けられて、前記定められた係数が縦横の行列として並び、その行および列の数がいずれも節点数であり、前記応力・変形量等演算過程で用いる前記応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスは、梁断面の選定対象となる梁と同じ梁スパンおよび節点数のマトリクスである構造材の最適断面選定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の構造材の最適断面選定方法において、前記節点荷重マトリクスに、定められた係数のマトリクスからなる支点反力係数マトリクスを乗算して前記梁の各支点に生じる支点反力を演算する支点反力演算過程と、
登録された柱の断面種類毎に定められている仮想の許容耐力と前記支点反力演算過程で得られた支点反力とを前記各支点毎に比較し、前記各支点毎に、前記許容耐力を満足する柱のうちで、定められた優先度が最も高い断面の柱を選ぶ柱断面選定過程とを含む、
ことを特徴とする構造材の最適断面選定方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の構造材の最適断面選定方法において、前記断面の選定対象となる梁が、両端と中間とに柱で支持される支点があって連続梁と見なす場合は、節点荷重入力過程で入力された各節点の節点荷重に対して、前記中間の支点となる節点について、この中間の支点の支点反力の値を、絶対値が同じでマイナスの値として節点荷重に加えた値を、前記荷重をマトリクスとして用いて、前記応力・変形量等演算過程における前記応力状態量および変形量の演算、および前記支点反力演算過程における支点反力の演算を行う構造材の最適断面選定方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の構造材の最適断面選定方法において、前記造材断面選定過程では、登録された梁の断面種類毎に予め定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量のいずれ一方または両方につき、任意の安全率を乗じた値を、前記応力状態量および変形量との比較に用いる構造材の最適断面選定方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記定められた優先度は、構造材の断面が最も小さいことである構造材の最適断面選定方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記定められた優先度は、構造材の価格が最も安価であることである構造材の最適断面選定方法。
【請求項8】
柱および梁を用いて梁端部の支持条件がピン接合の3次元の架構体のモデルを設計する過程と、
前記架構体のモデルから柱梁接合部毎に梁を分解する過程と、
分解された各梁につき、用いる梁の断面を選定する過程とを含み、
この断面を選定する過程に、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載された構造材の最適断面選定方法を適用する、
構造体の設計支援方法。
【請求項9】
建物の構造材のうちの少なくとも梁の断面を、登録された各種断面の中から選定する構造材の最適断面選定装置であって、
前記梁は端部の支持条件がピン接合であり、
断面の選定対象となる梁上の等分割された各節点に作用する鉛直荷重である節点荷重につき、入力手段から入力された全ての節点についての荷重を記憶する入力節点荷重記憶手段と、
それぞれ定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスを記憶した係数マトリクス記憶部を有し、前記節点荷重入力記憶手段に記憶された各節点の節点荷重をマトリクスの形で表現した節点荷重マトリクスに、前記係数マトリクス記憶部に記憶されている前記応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスをそれぞれ乗算して前記各節点に生じる仮想の応力状態量および変形量を演算する応力・変形量等演算手段と、
梁の断面種類毎に仮想の許容応力状態量および許容変形量を登録した構造材断面毎・許容値登録手段と、
この構造材断面毎・許容値登録手段に登録されている前記梁の断面種類毎の許容応力状態量および許容変形量と前記応力・変形量等演算手段で計算された応力状態量および変形量とをそれぞれ比較し、全ての節点の応力状態量および変形量が前記許容応力状態量および許容変形量を満足する断面の梁のうちで定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ構造材断面選定手段とを備える、
ことを特徴とする構造材の最適断面選定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の構造材の最適断面選定装置において、前記節点荷重マトリクスに、定められた係数のマトリクスからなる支点反力係数マトリクスを乗算して前記梁の各支点に生じる仮想の支点反力を演算する支点反力演算部と、
柱の断面種類毎に許容耐力が登録された柱断面毎・許容値登録部と、
この柱断面毎・許容値登録部に登録された柱の断面種類毎に定められている仮想の許容耐力と前記支点反力演算手段で得られた支点反力とを前記各支点毎に比較し、前記各支点毎に、前記許容耐力を満足する柱のうちで定められた優先度が最も高い断面の柱を選ぶ柱断面選定部とを備える、
構造材の最適断面選定装置。
【請求項11】
コンピュータで実行され、建物の構造材のうちの少なくとも梁の断面を、登録された各種断面の中から選定するプログラムであって、
前記梁は端部の支持条件がピン接合であり、
断面の選定対象となる梁上の等分割された各節点に作用する鉛直荷重である節点荷重につき、入力手段から入力された全ての節点についての荷重を定められた記憶領域に記憶する節点荷重入力手順と、
この記憶された各節点の節点荷重をマトリクスの形で表現した節点荷重マトリクスに、それぞれ定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスを乗算して前記各節点に生じる仮想の応力状態量および変形量を演算する応力・変形量等演算手順と、
所定の記憶領域に登録された梁の断面種類毎に定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量と前記応力・変形量等演算手順で計算された応力状態量および変形量とをそれぞれ比較し、全ての節点の応力および変形量が前記許容応力状態量および許容変形量を満足する断面の梁のうちで定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ断面選定手順とを含む、
ことを特徴とする構造材の最適断面選定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工業化住宅等のような、部材配置位置がモジュール化され梁上に作用する荷重が均等に設定した節点位置に限られる建物、特に型式適合認定の建物において、端部支持条件がピン接合の梁に適用される設計支援のための構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の通常の構造設計では、図18に示すように、構造計画(Q1)、部品配置(Q2)、および設計荷重の算定(Q3)の後、梁や柱の断面寸法を選定する過程では、予め使用断面を仮定し(Q4)、応力計算(Q5)をしている。そのため、経済的に適正断面の決定(Q6)、つまり検定値が1に近い最適な構造材断面を決定するためには、前記使用断面の仮定(Q4)と応力計算(Q5)とでなる検定フローを繰り返す必要があり、非常に手間がかかる。また、構造設計の専門家が応力計算をし、構造判断をすることが必要となる。
【0003】
また、工業化住宅では、型式適合認定を適用し、個々の建物毎に応力計算するのではなく、国が予め一定の建築基準に適合することを認定した規格(ルール)に従って構造材断面を選定することが必要となる。型式適合認定では、個々の建築物毎に応力解析をして安全性を確認することは認められていない。このため、前記規格(ルール)のみに依存すると、邸別に見た場合、柱や梁などの部材が過剰設計になる場合があり、住宅価格の高騰を招きやすいという問題があった。
【0004】
なお、工業化住宅の設計支援方法として、柱・梁、耐力壁で構成された耐力フレーム架構に単位水平荷重を与えて得られる係数によって建物を設計する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−18315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法は、工業化住宅の設計支援方法として、架構体の設計を効率的に支援できる方法ではあるが、梁等の個々の部材の断面選定を適切に行おうとするものではない。
従来の方法では、個々の梁等の部材の断面選定を行うには、上記のように断面の仮定と応力計算とを最適断面が得られるまで繰り返して行うか、または型式適合認定の規格〈ルール〉のみに依存して大まかに選ぶため、組み合わせによっては、十分に安全を見込んだ過剰設計とせざるを得ない。
【0007】
この発明の目的は、端部支持条件がピン接合の梁に適用されて、設計条件に応じた最適な構造材断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用できる構造材の最適断面選定方法、選定装置、および選定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の構造材の最適断面選定方法は、コンピュータを用いて、建物の構造材のうちの少なくとも梁の断面を、登録された各種断面の中から選定する方法であって、
前記梁は端部の支持条件がピン接合であり、
断面の選定対象となる梁上の等分割された各節点に作用する鉛直荷重である節点荷重を全ての節点について入力する節点荷重入力過程(R1)と、
この入力された各節点の節点荷重をマトリクスの形で表現した節点荷重マトリクス [P] に、それぞれ定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] を乗算して前記各節点に生じる仮想の応力状態量および変形量を演算する応力・変形量等演算過程(R2)と、
登録された梁の断面種類毎に予め定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量と前記応力・変形量等演算過程で計算された応力状態量および変形量とをそれぞれ比較し、全ての節点の応力状態量および変形量が前記許容応力状態量および許容変形量を満足する断面の梁のうちで定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ構造材断面選定過程(R3)とを含む。なお、「登録された梁の断面種類毎に予め定められている」とある中の「予め」とは、「登録時に既に」と言う意味である。
また、上記造材断面選定過程(R3)において、「登録された梁の断面種類毎に予め定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量と前記応力・変形量等演算過程で計算された応力状態量および変形量とをそれぞれ比較し、」とは、登録された値をそのまま用いて比較する場合に限らず、登録された値に、何らかの処理を施した値、例えば安全率を乗じた値を用いて比較し、または常数等を加算した値を用いて比較する場合を含む意味である。
【0009】
前記節点荷重入力過程(R1)において、荷重が作用していない節点については、0の値を入力し、前記荷重マトリクス [P] では0荷重が作用しているとする。
なお、上記の「応力状態量」とは、応力、または曲げモーメント等の応力に換算可能な状態量を言う。また、上記の「仮想の」とは、前記応力状態量および変形量の単位が、必ずしも応力、曲げモーメント、または変形量を示す単位ではなくても良く、応力、曲げモーメント、または変形量を、これらについての許容値と同じ単位で比較できる単位であることを意味する。以下の説明においても、上記と同様である。なお、以下の説明において、「仮想の」と言う語を省略する場合がある。
【0010】
上記各係数マトリクス [α] [β] は、一例を示すと、それぞれ任意の節点に単位荷重が作用した場合に、各節点に作用する応力状態量(例えば、曲げモーメント)および変形量を予め応力計算により示した値を係数として示すことで構成したマトリクスであり、行を荷重節点、列を節点位置で表現される。
【0011】
この方法によると、梁に生じる仮想の応力状態量および変形量と、登録された梁の断面種類毎に予め定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量とをそれぞれ比較し、梁の断面を選ぶため、過剰に余裕を見込むことなく、設計条件に応じて適切な断面の梁を選ぶことができる。梁に生じる仮想の応力状態量および変形量は、各節点に作用する節点荷重を入力することで、係数のマトリクスからなる応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスを乗算することで得られるため、精度良く求めることができる。このため、設計条件に応じた最適な梁断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行える。また、構造計算が不要で、特に、型式適合認定の建物にも適用できて、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行え、邸別の最適化設計を容易に行うことができる。
【0012】
前記の「定められた優先度」は、例えば、断面諸元が最も小さな断面の梁であること、または価格が最も安価であること等である。前記「断面諸元」は、断面二次モーメント、断面係数、断面積などであり、これらのうち、いずれか一つまたは複数の組み合わせを優先度に用いる。「定められた優先度」が、最も小さな断面の梁であることである場合は、設計条件に応じて、最適な断面、すなわち仮想の許容応力状態量及び変形量が仮想の応力状態量及び変形量を上回っており、かつその差が零に最も近い断面の梁を、登録断面の中から容易に選定することができる。「定められた優先度」が、最も価格の易い梁であることである場合は、設計条件に応じて、最も低コストの梁を容易に選定することができる。なお、「定められた優先度」として、梁断面以外を条件とする場合は、その優先度を示す値、例えば価格等についても各梁の断面と共に登録しておき、その登録された値を優先度の判断に用いる。
【0013】
また、前記のように、構造材断面選定過程(R3)では、登録された梁の断面種類毎に予め定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量のいずれ一方または両方につき、任意の安全率を乗じた値を、前記応力状態量および変形量との比較に用いても良い。この場合に、前記安全率は常に一定の率としても良く、複数種類定められた安全率の中から選択し、または予め定められた範囲内で、計算毎に任意に決めても良い。
これにより、例えば、個々の建物の施主の希望に応じて、検定値が1に近い構造材断面を決定したり、より安全性の高い構造材断面を決定したりすることが選択できる。
【0014】
この発明の構造材の最適断面選定方法において、前記応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] は、それぞれ、梁スパンおよび前記節点の数が異なる梁毎に設けられて、前記定められた係数が縦横の行列として並び、その行および列の数がいずれも節点数であり、前記応力・変形量等演算過程(R2)で用いる前記応力係数マトリクスおよび変形係数マトリクスは、梁断面の選定対象となる梁と同じ梁スパンおよび節点数のマトリクスであっても良い。
このような梁スパン,節点数毎に設けられた応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] を用い、そのうちで、梁断面の選定対象となる梁と同じ梁スパンおよび節点数のマトリクスを用いることで、前記各節点に生じる仮想の応力状態量および変形量を簡単にかつ精度良く演算することができ、より一層適切に梁断面を選定することができる。
【0015】
この発明方法において、前記節点荷重マトリクス [P] に、定められた係数のマトリクスからなる支点反力係数マトリクス [ε] を乗算して前記梁の各支点に生じる仮想の支点反力を演算する支点反力演算過程(R2b)と、
登録された柱の断面種類毎に定められている仮想の許容耐力と前記支点反力演算過程(R2b)で得られた支点反力とを前記各支点毎に比較し、前記各支点毎に、前記許容耐力を満足する柱のうちで定められた優先度が最も高い断面の柱を選ぶ柱選定過程(R3b)とを含んでも良い。
前記支点反力係数マトリクス [ε] は、例えば、単純梁の任意の節点に単位荷重が作用した場合に、節点の単位荷重に対する梁端部の支点反力の割増係数を示したものである。
【0016】
この場合、求められた支点反力と、登録された柱の断面種類毎に予め定められている仮想の許容耐力と比較して柱の断面を選ぶため、過剰に余裕を見込むことなく、適切な断面の柱を選ぶことができる。柱に生じる支点反力は、各節点に作用する節点荷重を入力することで、定められた係数のマトリクスからなる支点反力係数マトリクスを乗算して得られるため、精度良く求めることができる。このため、設計条件に応じて最適な柱断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物の設計支援にも適用できる。
前記各節点に作用する節点荷重の入力は、梁断面を選ぶ過程で入力するため、柱断面を選ぶために再入力する必要がない。そのため、各節点に作用する節点荷重を入力することで、最適な梁断面と最適な柱断面との両方を選ぶことができる。
【0017】
またこの場合に、前記断面の選定対象となる梁が、両端と中間とに柱で支持される支点があって連続梁と見なすときは、節点荷重入力過程(R1)で入力された各節点の節点荷重に対して、前記中間の支点となる節点について、この中間の支点の支点反力の値を、絶対値が同じでマイナスの値として節点荷重に加えた値を、前記荷重をマトリクスとして用いて、前記応力・変形量等演算過程(R2)における前記応力状態量および変形量の演算、および前記支点反力演算過程(R2b)における支点反力の演算を行うようにしても良い。
これにより、中間に柱で支持される支点がある梁について、両端支持の単純梁に置き換えて、梁に生じる仮想の応力状態量および変形量、並びに柱に作用する支点反力を求めることができる。
【0018】
この発明の構造体の設計支援方法は、
柱および梁を用いて梁端部の支持条件がピン接合の3次元の架構体のモデルを設計する過程(M1,M2)と、
前記架構体のモデルから柱梁接合部毎に梁を分解する過程(M3)と、
分解された各梁につき断面を選定する過程(M4〜M7)とを含み、
この断面を選定する過程(M4〜M7)に、この発明の上記いずれかの構成の構造材の最適断面選定方法を適用することを特徴とする。
この方法によると、この発明の構造材の最適断面選定方法を用いるため、設計条件に応じた最適な構造材断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行える。また、構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用でき、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行える。
【0019】
この発明の構造材の最適断面選定装置(21)は、建物の構造材のうちの少なくとも梁の断面を、登録された各種断面の中から選定する構造材の最適断面選定装置(21)であって、
前記梁は端部の支持条件がピン接合であり、
断面の選定対象となる梁上の等分割された各節点に作用する鉛直荷重である節点荷重につき、入力手段から入力された全ての節点についての荷重を記憶する入力節点荷重記憶手段(32)と、
それぞれ予め定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] を記憶した係数マトリクス記憶部(34)を有し、前記節点荷重入力記憶手段(32)に記憶された各節点の節点荷重をマトリクスの形で表現した節点荷重マトリクス [P] に、前記係数マトリクス記憶部(34)に記憶されている前記応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] をそれぞれ乗算して前記各節点に生じる仮想の応力状態量および変形量を演算する応力・変形量等演算手段(33)と、
梁の断面種類毎に許容応力状態量および許容変形量を登録した構造材断面毎・許容値登録手段(36)と、
この構造材断面毎・許容値登録手段(36)に登録されている前記梁の断面種類毎の許容応力状態量および許容変形量と前記応力・変形量等演算手段(33)で計算された応力状態量および変形量とをそれぞれ比較し、全ての節点の応力状態量および変形量が前記許容応力状態量および許容変形量を満足する断面の梁のうちで定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ構造材断面選定手段(35)とを備える、
ことを特徴とする。
【0020】
この構成の構造材の最適断面選定装置(21)によると、この発明方法について前述した内容と同様に、設計条件に応じた最適な梁断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用できる。
【0021】
この発明の構造材の最適断面選定装置(21)において、前記節点荷重マトリクス [P] に、定められた係数のマトリクスからなる支点反力係数マトリクス [ε] を乗算して前記梁の各支点に生じる仮想の支点反力を演算する支点反力演算部(33b)と、
柱の断面種類毎に許容耐力が登録された柱断面毎・許容値登録部(36b)と、
この柱断面毎・許容値登録部(36b)に登録された柱の断面種類毎に定められている仮想の許容耐力と前記支点反力演算部(33b)で得られた支点反力とを前記各支点毎に比較し、前記各支点毎に、前記許容耐力を満足する柱のうちで定められた優先度が最も高い断面の柱を選ぶ柱断面選定部(35b)とを備えるようにしても良い。
【0022】
この構成の場合、この発明方法について前述した内容と同様に、設計条件に応じた最適な柱断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用でき、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行える。
【0023】
この発明の構造材の最適断面選定プログラム(17)は、コンピュータで実行され、建物の構造材のうちの少なくとも梁の断面を、登録された各種断面の中から選定するプログラムであって、
前記梁は端部の支持条件がピン接合であり、
断面の選定対象となる梁上の等分割された各節点に作用する鉛直荷重である節点荷重につき、入力手段から入力された全ての節点についての荷重を定められた記憶領域に記憶する入力節点荷重記憶手順(S1)と、
この記憶された各節点の節点荷重をマトリクスの形で表現した節点荷重マトリクス [P] に、それぞれ定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] を乗算して前記各節点に生じる仮想の応力状態量および変形量を演算する応力・変形量等演算手順(S2)と、
所定の記憶領域(36)に登録された梁の断面種類毎に定められている仮想の許容応力状態量および許容変形量と前記応力・変形量等演算手順(S2)で計算された応力状態量および変形量とをそれぞれ比較し、全ての節点の応力状態量および変形量が前記許容応力状態量および許容変形量を満足する断面の梁のうちで定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ構造材断面選定手順(S3)とを含む。
【0024】
この構成の最適断面選定プログラム(17)によると、この発明方法について前述した内容と同様に、設計条件に応じた最適な梁断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用でき、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行える。
【発明の効果】
【0025】
この発明の構造材の最適断面選定方法によると、端部支持条件がピン接合の梁に適用されて、設計条件に応じた最適な構造材断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用でき、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行える。
【0026】
この発明の構造体の設計支援方法によると、設計条件に応じた最適な構造材断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行える。また、構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用でき、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行える。
【0027】
この発明の構造材の最適断面選定装置によると、端部支持条件がピン接合の梁に適用されて、設計条件に応じた最適な構造材断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用でき、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行える。
【0028】
この発明の構造材の最適断面選定プログラムによると、端部支持条件がピン接合の梁に適用されて、設計条件に応じた最適な構造材断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用でき、型式適合認定を受けた工業化建築の設計の支援が行える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】この発明の一実施形態に係る構造体の設計支援方法を示す流れ図である。
図2】設計支援および構造材断面の選定の対象となる建物の概念構成を示す模式図である。
図3】同模式図から抽出した単純梁モデルの説明図である。
図4】同模式図から抽出した連続梁モデルの説明図である。
図5】同構造体の設計支援方法を示す他の流れ図である。
図6】同構造体の設計支援方法の各過程を構造材のモデルで示す説明図である。
図7】構造材の最適断面を選定する作業フローを平面計画から示す流れ図である。
図8】この発明の一実施形態に係る構造材の最適断面選定方法の概要を示す流れ図である。
図9】同最適断面選定方法を構造材のモデルと共に説明する説明図である。
図10】同最適断面選定方法に用いるコンピュータの一例の説明図である。
図11】この発明の一実施形態に係る構造材の最適断面選定装置の概念構成を示すブロック図である。
図12】同最適断面選定方法および装置で用いる各種の係数マトリクスの概念図である。
図13】同最適断面選定方法および装置で用いる構造材断面毎・許容値登録手段の一例を示す概念図である。
図14】この発明の一実施形態に係る構造材の最適断面選定プログラムの各手順を示す流れ図である。
図15】同最適断面選定方法により梁断面を選定する過程を梁モデルおよび数値例と共に示す単純梁モデルの場合の説明図である。
図16図15の一部を抽出して示す説明図である。
図17】同最適断面選定方法により梁断面を選定する過程を梁モデルおよび数値例と共に示す連続梁モデルの場合の説明図である。
図18】従来例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1は、構造体の設計支援方法を示し、建物の構造計画から、梁,柱等の構造材の断面決定までの概要を示す。構造材断面選定の対象となる建物は、梁の端部支持構造がピン接合の鉄骨系軸組構造の建物、例えば図2に架構体のモデルを示すように、柱1と大梁である梁2とが柱梁接合部5でピン接合され、耐力フレーム4等が組まれた柱梁骨組架構を持つ建物である。大梁である梁2の間に小梁である梁3が設けられていても良いが、断面選定の対象となる梁は、大梁である梁2である。この明細書において、特に説明をしない場合は、「梁」は大梁を意味する。またこの方法の対象となる建物は、工業化住宅やシステム建築物等のような、部品配置位置がモジュール化され、梁2上に、梁2を1/n(n:2以上の整数)に、具体的には1/2,1/3,…1/100というように均等間隔に設定した節点位置に限られる構造である。なお、モジュール化において、1モジュールは、一般的には800〜1100mm程度の範囲で、例えば910mmに設定される。
【0031】
工業化住宅やシステム建築物では、使用する梁2や柱1等の構造材は、断面(断面形状および断面寸法)が、国が予め一定の建築基準に適合することを認定した規格(ルール)にのっとって複数種類決まっていて、その中から選んで使用される。また、部材寸法や取り合い位置が規格化されモジュール化されている。このような建物の場合に、この構造材の最適断面選定方法が効果的に適用される。
【0032】
図1において、先ず、建物全体の柱梁骨組架構の構造計画を行い(N1)、部品配置(N2)、設計荷重の算定(N3)を行う。同図では単に「荷重」と称しているが、算定する設計荷重は、梁2については、各節点pの位置に作用する荷重と、その節点位置で梁2に作用する応力状態量(実施形態では曲げモーメント)と、変形量とである。
一方、使用する梁2および柱1等の構造材の断面については、使用する複数種類のものを予め登録し(N5)、その登録した各断面の梁2,柱1の耐力の一覧を予め設けておく(N6)。
【0033】
上記の設計荷重の算定の過程(N3)で算定した梁2に作用する荷重と、前記耐力一覧(N6)の各梁の耐力とをそれぞれ比較し(N4)、登録した断面の中から、荷重条件を上回る耐力を有し、かつ優先度が最も高い断面を選ぶ(N7)。優先度が梁断面である場合、荷重条件に最も近い断面の梁を選ぶ。ここでは、各梁断面が持つ耐力値を定量的に評価し、梁上に作用する鉛直荷重である節点荷重を、評価した耐力値と比較できるように、梁の耐力値と同じ次元の設計値に変換するように工夫している。
ここで言う「荷重」または「荷重条件」は、具体的には、この実施形態では応力状態量(例えば曲げモーメント)と変形量であり、また「耐力」は、定められた応力状態量の許容値、および変形量の許容値である。なお、この明細書において、説明の簡明のために、作用する応力や変形量を単に「荷重」と称し、これに対する許容値を「耐力」と称する場合がある。
【0034】
この実施形態の構造材の最適断面選定方法・選定装置・選定プログラムは、図1における、設計荷重の算定(N3)のうち、各節点位置に作用する荷重の計算後の、応力状態量および変形量の計算,入力と、使用断面の登録および一覧の作成(N5,N6)、荷重と耐力の比較(N4)、適正断面の決定(N7)の過程に適用される。
【0035】
このように、登録断面の耐力一覧を設けておき、作用する荷重と耐力とをそれぞれ比較して適正断面を選ぶ単純な照査方法であるため、システム化が容易であり、応力計算等の構造的な判断が不要となる。
【0036】
また、梁の耐力値に安全率を乗じることで、全ての部材を設定した安全率以内とすることができる。
すなわち、登録断面の耐力一覧に設定された耐力と、作用する荷重とを比較するときに、耐力(仮想の許容応力状態量および仮想の許容変形量)は、登録された値に安全率を乗じた値を用いて比較しても良い。登録された値をそのまま用いると構造検定値が1にできるだけ近い断面が選択されるが、安全率を乗じた値を用いることで、より安全性の高い構造材断面を決定することができ、全ての部材を設定した安全率以内とすることができる。安全率を乗じるか否か、また安全率を乗じる場合に安全率をどのような値とするかは、例えば、建物の施主と設計者の協議により定めればよい。
【0037】
整理すると、次の利点が得られる。
・登録断面の中から最適断面を選ぶことができる。
・構造材断面選定において、応力計算の必要がない。
・システム化することで、部材配置が終了すると同時に構造材断面が決定できる仕組みを容易に構成できる。
・構造の専門家が応力の可否を判断する必要がない。
・設定した設計クライテリアの範囲内に自動的に部材が選定される仕組みであるため、架構を構成する柱梁部材の変形、応力の性能を一律に制御できる。
【0038】
さらに、この断面選定過程で、応力状態量の許容応力状態量に対する比率が、部材の安全率(検定値)に相当し、変形量の許容変形量に対する比率を変形量に乗じることで、部材の計算上の変形量が導き出せ、結果としてこの最適断面選定法により、構造材の構造性能(応力安全率・変形量)の見える化を行うことができる。すなわち、応力状態量および変形量には、計算の簡易や迅速のために、応力や長さの単位とは異なる単位で示した仮想の応力状態量および変形量を用いているが、
構造材の仮の選定の後に、その選定された構造材を用いた場合に、実際の応力および長さの単位でそれぞれ示される応力および変形量を換算により求めることで、施主や設計者が応力および変形量を知ることができる。そのため、応力や変形量を設計者等が確認した上で、その仮に選定した構造材に決定し、あるいは再度の条件を変えた選定を行うことができる。一例として、後述の例では、仮想の変形量を(P‘’)で表しているが、この(仮想の変形量)に(L/6EI)を乗じることで、実際の変形量を求めることができる。
【0039】
なお、主に梁2につき説明したが、上記と同様に柱1についても耐力値を設定し、梁上の鉛直荷重である節点荷重を集計した値との比較で最適断面を決定する。基礎梁については、上記大梁である梁2と同様に最適断面を決定しても良く、また他の手法で最適断面を決定しても良い。
【0040】
以下、構造計画から適正断面の決定までを簡単にさらに説明し、その後に最適断面の選定につき具体的に説明する。
【0041】
図3図4は、図2に示す3次元柱梁骨組架構の模式図から作成した梁のモデルの模式図であり、図3は単純梁モデルの模式図、図4は連続梁モデルの模式図をそれぞれ示す。梁2上の節点荷重の計算には、これら図3図4のような梁のモデルを作成する。なお、同図における括弧付きの符号は、各梁2,および柱1を相互に区別する符号である。
【0042】
図5は、建物の構造計画から、各構造材の断面決定までの概要を、図6と対応させて示す設計支援方法の流れ図である。まず、平面計画・柱梁部品の配置を行い(M1)、図6(A)に一例を示す3次元の柱梁骨組架構のモデルを作成する(M2)。このモデルにおける柱1には、耐力壁付帯柱、つまり耐力壁を構成する柱を含む。なお、これらM1,M2を合わせた過程が、図1のN1,N2を合わせた過程に相当する。
【0043】
次に、図6(B)に示すように、同図(A)の3次元の柱梁骨組架構のモデルから、各柱梁接合部5毎、または梁−梁接合部毎に梁2を分割して、分類し、同図(C)のように通り毎に梁2を取り出す(図5(M3))。通り毎の梁2は、図6(D)のように、柱梁接合部5で個々の梁2(例えば図6(D)の大梁(1),と大梁(2) )に分割する。分割された各梁2は、両端の柱梁接合部5がピン接合の単純梁と仮定する。なお、各柱梁接合部5において梁勝ちとなる接合部、つまり梁2の上面または下面に柱1が接合される接合部に関しては、図4図17に示すように2スパン連続梁として梁を分解する。
【0044】
上記のように取り出され、またはさらに分割された各梁は、柱1に支持され柱1に荷重を伝達する機能を持つ大梁2と、梁にのみ支持され荷重を伝達する機能のみを持った小梁3とに分類し、大梁である梁2にこの最適断面選定方法を適用する。なお、大梁2と小梁3との両方を抽出してから大梁2であるか小梁3であるかを分類しても、また抽出時に大梁2のみを抽出しても良い。
【0045】
このように取り出した各梁2に、梁長さをn個(n:2以上の整数)に分割し、図6(D)のように、梁2上に(n−1)個の節点pを設定する(図5(M4))。
このように設定された各節点pの荷重を、図1の設計荷重の算定過程(N3)で算定し、その算定された節点荷重を用いて、梁2の最適断面の選定(図5(M5))、柱1の最適断面の選定(図5(M6))、および基礎梁の最適断面の選定(図5(M5))を行う。
【0046】
図7と共に、最適断面選定の概要を説明する。平面計画、柱梁部品配置の過程(U1)の後、各梁2毎に梁上の節点荷重(長期、短期、終局)を集計する。ここで、「(長期、短期、終局)」と記載したのは、集計する節点荷重が、長期、短期、終局のいずれの荷重であっても、またこれら3種類の全ての荷重であっても良いことを意味する。以下の説明においても同様である。この後、梁2について、仮想の応力状態量P‘(長期、短期、終局)の計算(U4)、および仮想の変形量P‘’(長期、短期、終局)の計算(U5)をする。
【0047】
このように計算した後、登録された各梁断面の中から任意の梁断面を順次選択し(U5)、選択された梁断面の場合に、次の2式、
仮想の応力状態量(P‘)≦仮想の許容応力状態量(Py‘)
仮想の変形量(P‘’)≦仮想の許容変形量(Py‘’)
で示される条件を満足するか否かを判定する(U6)。
両式の条件を共に満足する場合は、その選択された梁断面が設計条件を満足しているとする。両式のいずれか一方でも満足しない場合は、選択された梁断面が設計条件を満足していないと判定し、別の梁断面を選択し(U5)、条件満足判定(U6)を繰り返す。
なお、上記の比較に用いる仮想の許容応力状態量(Py‘)および仮想の許容変形量(Py‘’)は、登録された値をそのまま用いても良く、また登録された値に何らかの処理を施した値、例えば安全率を乗じた値を用いて比較し、または常数等を加算した値を用いても良い。
登録された値をそのまま用いると構造検定値が1にできるだけ近い断面が選択されるが、安全率を乗じた値を用いることで、より安全性の高い構造材断面を決定したりすることが選択できる。いずれを用いるか、また安全率を乗じる場合に安全率をどのような値とするかは、
例えば、建物の施主と設計者の協議により定めればよい。
【0048】
柱については、前記梁毎の梁上の節点荷重の集計(U2)の後、梁端部の支点反力(長期、短期、終局)の計算を行い(U7)、柱負担荷重(長期、短期、終局)を計算する(U8)。
このように計算した後、登録された各柱断面の中から任意の柱断面を順次選択し(U9)、選択された梁断面の場合に、次式、
柱負担荷重≦柱設計耐力
で示される条件を満足するか否かを判定する(U10)。
【0049】
条件満足の場合は、その選択された柱断面が設計条件を満足しているとする。条件不満足の場合は、選択された柱断面が設計条件を満足していないと判定し、別の柱断面を選択し(U9)、条件満足判定(U10)を繰り返す。
【0050】
基礎梁については、前記柱負担荷重の計算(U8)の後、基礎梁負担荷重(長期、短期、終局)を計算する(U11)。
このように計算した後、登録された各基礎梁断面の中から任意の基礎梁断面を順次選択し(U12)、選択された基礎梁断面の場合に、次式、
基礎梁負担荷重≦基礎梁設計耐力
で示される条件を満足するか否かを判定する(U13)。
【0051】
条件満足の場合は、その選択された基礎梁断面が設計条件を満足しているとする。条件不満足の場合は、選択された基礎梁断面が設計条件を満足していないと判定し、別の基礎梁断面を選択し(U12)、条件満足判定(U13)を繰り返す。
【0052】
上記の梁、柱、基礎梁の条件満足の判定(U6,U10,U13)のいずれかにおいて、登録された断面のいずれも条件不満足の場合は、平面計画・柱梁部品配置(U1)の設計からやり直す。
また、上記の梁、柱、基礎梁の条件満足の判定(U6,U10,U13)において、条件満足の場合も、登録された中の断面小のものから順に選択して判定を行った場合の他は、登録されている他の断面についての選択,判定を行い、条件満足の断面の中から、さらに定められた優先度が最も高い断面を選択する。
【0053】
次に、前述の構造体の設計支援方法の一部の過程となる構造材の最適断面選定方法と、この方法を実行する最適断面選定装置、および最適断面選定プログラムについて具体的に説明する。図8はこの最適断面選定方法を示す流れ図を、図10図11は最適断面選定装置を、図14は最適断面選定プログラムをそれぞれ示す。
【0054】
図10において、コンピュータ11は、そのハードウェア構成として、CPU(中央処理装置)およびメモリ等からなる演算制御部12と、ハードディスクや記憶素子等からなるプログラム等記憶部13と、キーボード,マウス,外部記憶媒体の読み込み装置等の入力機器14と、液晶表示装置等の画面表示装置15aやプリンタ等からなる出力機器15と、インターネットやその他の広域ネットワーク,LAN等の通信ネットワークに接続する通信機器16とを有し、オペレーションプログラム16を前記プログラム等記憶部13またはその他の記憶手段に備えている。このようなコンピュータ11に、このコンピュータ11で実行可能なプログラムである構造材の最適断面選定プログラム17が記憶されてインストール等により実行可能な状態とされることにより、図11に概念構成を示す構造材の最適断面選定装置21の各機能達成手段が構成される。図11については後に説明する。
【0055】
コンピュータ11に、前記最適断面選定プログラム17が実行可能状態に備えられることで、プログラム等記憶部13等の定められた記憶領域に、構造材断面毎・許容値登録手段36が設けられる。構造材断面毎・許容値登録手段36は、コンピュータ11に常設状態に設けられた記憶部13に設ける代わりに、コンピュータ11に入力機器14を介して接続されるUSBメモリや磁気ディスク等の外部記憶装置、またはコンピュータ11に通信機器16および通信ネットワークを介して接続されたサーバ機や他のコンピュータ等に設けられていても良い。
【0056】
この構造材の最適断面選定方法は、前記コンピュータ11を用いて、建物の構造材のうちの梁2および柱1の断面を、登録された各種断面の中から選定する方法であって、図2図6と共に前述した梁2の端部の支持条件がピン接合である建物に適用される。
図8に示すように、この最適断面選定方法は、節点荷重入力過程(R1)と、応力・変形量等演算過程(R2)と、構造材断面選定過程(R3)とを含む。
【0057】
節点荷重入力過程(R1)は、断面の選定対象となる梁2上の等分割された各節点に作用する鉛直荷重である節点荷重P,P,…および梁スパンを、全ての節点pについてコンピュータ11に入力する過程である。荷重が作用していない節点については、0の値を入力する。梁スパンは、この例では、モジュールGの倍数、例えば、3Gであれば「3」を、4.5Gであれば「4.5」を入力する。例えば、図9の例の節点荷重入力過程R1では、梁2には等分割された5個の各節点pに節点荷重P,P,…,Pが作用するが、この全ての節点荷重P,P,…,Pを節点pの並び順と対応させて入力する。なお、入力する節点荷重Pは集中荷重であるが、梁に分布荷重が作用する場合は、分布荷重を集中荷重に置き換えて入力することで、分布荷重の梁にも適用可能となる。
【0058】
コンピュータ11(図10)は、最適断面選定プログラム17の節点荷重入力手順(S1)(図14)において、コンピュータ11の画面表示装置15aの画面に、節点荷重と梁スパンを入力させる入力ボックスを表示し、節点荷重と梁スパンが入力されると、入力された全ての節点pについての荷重および梁スパンを、定められた記憶領域である入力節点荷重記憶手段32(図11)に記憶する。この記憶された節点荷重は、節点pの並び順に読み出すことで、マトリクスの形で表現した節点荷重マトリクス [P] として行列の形で表現される。荷重が作用していない節点pは、節点荷重をマトリクス[ P ]では0荷重が作用しているとする。
各入力は入力機器14等から行うが、入力方法は任意であり、キーボードやマウス等で入力するようにしても、また記憶媒体や、他のコンピュータ、あるいは同じコンピュータ11においてファイル等として記憶しておいて纏めて入力する方法であっても良い。
【0059】
応力・変形量等演算過程(R2)は、コンピュータ11がその最適断面選定プログラム17(図14)における応力・変形量等演算手順(S2)によって行う過程であり、応力・変形量等演算過程(R2)と応力・変形量等演算手順(S2)で行う処理とは同じである。
応力・変形量等演算過程(R2)には、応力・変形量演算過程(R2a)と、支点反力演算過程(R2b)とが含まれる。これら応力・変形量演算過程(R2a)と、支点反力演算過程(R2b)は、最適断面選定プログラム17における応力・変形量演算手順(S2a)と、支点反力演算手順(S2b)でそれぞれ行う処理のことである。
【0060】
応力・変形量演算過程(R2a)では、前記節点荷重マトリクス [P] に、それぞれ定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] を乗算して全ての節点pに生じる仮想の応力状態量[P‘]および仮想の変形量[P‘‘]を演算する。この演算により、例えば、図9に示した応力・変形量演算過程R2の図中におけるように、全ての節点pに生じる仮想の応力状態量P‘および変形量P‘’を演算する。演算結果となる仮想の応力状態量P‘および変形量P‘’は、節点p毎の値をそれぞれ示す1行の行列式となる。なお、これらの仮想の応力状態量P‘および変形量P‘’は、例えば曲げモーメントや、距離の単位による変形量であるが、次の説明するように、必ずしも曲げモーメントおよび変形量の単位で示される値でなくても良く、曲げモーメントまたは変形量と比較する場合と実質的に同様に許容値と比較できる単位の値であれば良い。なお、以下の説明において、単位が違う値を用いる場合であっても、説明の簡明のために、単に「応力状態量」または「変形量」と称す場合がある。
【0061】
応力係数マトリクス [α] は、梁スパンおよび前記節点pの数が異なる梁毎に設けられて、図12(B)に例示するように、前記「定められた係数」が縦横の行列として並ぶ。その行および列の数は、いずれも節点数である。なお、図中に記載した係数は、単に数値が記載されていることを示すためであり、実際の値とは無関係である。梁スパンは、mm表示等の長さの単位で定めても良いが、この例では、入力過程と同様に、モジュールGの倍数としている。応力・変形量演算過程(R2a)で用いる応力係数マトリクス [α] は、梁断面の選定対象となる梁と同じ梁スパンおよび節点数のマトリクスである。
【0062】
応力係数マトリクス [α] における各行,列で定まる箇所の各応力係数としては、実際に応力計算を行って、その応力係数マトリクス [α] を節点荷重マトリクス [P] と乗算することで、各節点pに生じる応力状態量P’が得られる値とする。具体的には、応力係数マトリクス [α] は、任意の節点pに単位荷重が作用した場合に、各節点pに作用する応力(例えば、曲げモーメント)を予め応力計算により示した値を係数として示したマトリクスであり、行を荷重節点、列を節点位置で表現される。
すなわち、応力係数マトリクス [α]は、節点pの数がn(nは、2以上の整数)であるとすると、第1の節点pに単位荷重を与えたときに各節点p〜pに生じる応力状態量P‘11〜P’1nが、第1列の各行に記載され、第2の節点pに単位荷重を与えたときに各節点p〜pに生じる応力状態量P‘21〜P’2nが第2列の各行に記載され、以下、これと同様にして、第nの節点pに単位荷重を与えたときの各節点p〜pに生じる応力状態量P‘n1〜P’nnが第n列の各行に記載されている。
このため、応力計算を行うことなく、各節点pに生じる応力状態量P’が得られる。
なお、前記単位荷重は単位集中荷重であるが、分布荷重が作用する梁に適用する場合は、その分布荷重を単位集中荷重に置き換えた値とする。
【0063】
ここで言う「応力状態量」は、応力もしくは曲げモーメント、またはこれら応力もしくは曲げモーメントに換算可能なであり、必ずしも応力または曲げモーメントの単位でなくても良い。すなわち、構造材断面毎・許容値登録手段36に登録される許容応力状態量Py‘と同じ単位であれば良い。このとき、応力状態量P’の単位は、一例としてkNである。例えば、応力・変形量演算過程(R2a)で求める値と、構造材断面毎・許容値登録手段36に登録される許容値とは、応力または曲げモーメントとする場合に対して、比較する両者から同じ定数を省いた値としても良い。このことを、請求項では、「仮想の応力状態量」と称して示している。
【0064】
変形係数マトリクス [β] は、その一例を図12(B)に示すが、応力係数マトリクス [α] について図12(A)に示した例と同様に、梁スパンおよび前記節点pの数が異なる梁毎に設けられて、前記「定められた係数」が縦横の行列として並ぶ。その行および列の数は、いずれも節点数である。応力・変形量演算過程(R2a)で用いる変形係数マトリクス [β] は、梁断面の選定対象となる梁と同じ梁スパンおよび節点数のマトリクスである。
【0065】
変形係数マトリクス [β] における各行,列で定まる箇所の各応力係数としては、実際に応力計算を行って、その変形係数マトリクス [β] を節点荷重マトリクス [P] と乗算することで、各節点pに生じる変形量P‘’が得られる値とする。具体的には、変形係数マトリクス [β] は、応力係数マトリクス [α] と同様に、任意の節点pに単位荷重が作用した場合に、各節点pに生じる変形量P‘’の分布を予め応力計算により示した値を係数として示したマトリクスであり、行を荷重節点、列を節点位置で表現される。
すなわち、変形係数マトリクス [β]は、節点pの数がn(nは、2以上の整数)であるとすると、第1の節点pに単位荷重を与えたときに各節点p〜pに生じる変形量P‘’11〜P‘’1nが、第1列の各行に記載され、第2の節点pに単位荷重を与えたときに各節点p〜pに生じる変形量P‘’21〜P‘’2nが第2列の各行に記載され、以下、これと同様にして、第nの節点pに単位荷重を与えたときの各節点p〜pに生じる変形量P‘’n1〜P‘’nnが第n列の各行に記載されている。
このため、応力計算を行うことなく、各節点pに生じるP‘’が得られる。
ここで言う「変形量」についても、必ずしも長さの単位で示される量でなくても良い。すなわち、構造材断面毎・許容値登録手段36に登録される許容変形量Py‘’と同じ単位であれば良い。例えば、応力・変形量演算過程(R2a)で求める値と、構造材断面毎・許容値登録手段36に登録される許容値とは、長さの単位の変形量とする場合に対して、比較する両者から同じ定数を省いた値としても良い。このことを、請求項では、「仮想の変形量」と称して示している。
【0066】
構造材断面選定過程(R3)(図8図9)は、コンピュータ11がその最適断面選定プログラム17における構造材断面選定手順(S3)(図14)によって行う過程であり、構造材断面選定過程(R3)と構造材断面選定手順(S3)で行う処理とは同じである。
構造材断面選定過程(R3)には、柱断面選定過程(R3a)と、柱断面選定過程(R3b)とが含まれる。これら柱断面選定過程(R3a)と、柱断面選定過程(R3b)とは、最適断面選定プログラム17における柱断面選定手順(R3b)と、柱断面選定手順(R3b)とでそれぞれ行う処理のことである。
【0067】
梁断面選定過程(R3a)では、構造材断面毎許容値登録手段36に登録された梁の断面種類毎に定められている仮想の許容変形量Py‘’と、前記応力・変形量演算過程(R2a)で計算された変形P‘’量とをそれぞれ比較し、全ての節点pの変形P‘’量が前記許容変形量Py‘’を満足する断面の梁のうちで、定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ。
前記の「定められた優先度」は、例えば、最も小さな断面の梁であること、または価格が最も安価であること等である。「定められた優先度」として、梁断面以外を条件とする場合は、その優先度を示す値、例えば価格等についても各梁の断面と共に登録しておき、その登録された値を優先度の判断に用いる。
【0068】
構造材断面毎・許容値登録手段36は、図11に示すように、梁2につき登録した梁断面毎・許容値登録部36aと、柱1につき登録した柱断面毎・許容値登録部36bとを含む。これら構造材断面毎・許容値登録手段36は、登録内容の追加、変更、削除等の更新が可能なものとしておくことが好ましい。
【0069】
梁断面毎・許容値登録手段36aは、図13に具体例を示すように、各梁の断面の種類A,B,C,…毎に、許容応力状態量Py‘と、許容変形量Py‘’と、優先度とを登録したテーブルからなる。梁の断面の種類は、例えばH形鋼、溝形鋼、リップ溝形鋼等の形状の区別、ウェブやフランジの幅,板厚等の寸法値、断面係数、材質等の違いによる種類である。各梁の断面の種類については、識別番号や代表値等の適宜の呼び名で区別する。許容応力状態量Py‘は、前述のように応力または曲げモーメントであるが、ここでは曲げモーメントを用いている。ただし、必ずしも曲げモーメントの値ではなくても良く、応力・変形量演算過程(R2a)で計算する結果と同じ単位となる値としている。許容変形量Py‘’についても、必ずしも長さの単位での値でなくても良く、応力・変形量演算過程(R2a)で計算する結果と同じ単位となる値としている。
【0070】
一例として、仮想の許容応力状態量 [Py‘]は、(fb.・Z)/L で表される。
仮想の許容変形量 [Py‘‘]は、δ×6EI/Lで表される。
ここで、
b.は、許容曲げ応力度
Z は、断面係数
Lは、梁のスパン
Eは、ヤング率
Iは、断面二次モーメント
δは、設計者が任意に定める値で、例えば10μm
である。
【0071】
優先度については、断面以外の要素を優先度とする場合に定められ、断面を優先度とする場合は、梁断面毎・許容値登録手段36aに優先度を登録する必要はない。図示の例では、価格を優先度としている。
【0072】
梁断面選定過程(R3a)は、具体的には、図9に構造材断面選定過程R3の概念を示すように、応力チェックの過程と変形チェックの過程とを含む。
応力チェックの過程では、同図のように全ての節点pの応力状態量P‘が、登録された各断面の梁(図9の例ではH30,H31,H32で断面の種類を示す)のうち、許容応力状態量Py‘以下である梁を、許容応力状態量Py‘を満足する梁とする。図示の例では、H32の梁だけが許容応力状態量Py‘を満足する。
変形チェックの過程では、全ての節点pの変形量P‘’が登録された各断面の梁のうち、許容変形量P‘’y以下である梁を、許容変形量Py‘’を満足する梁とする。図示の例では、H32の梁だけが許容変形量Py‘’を満足する。
【0073】
上記の応力チェックの過程と変形チェックの過程との両方の条件を満足する全ての梁を選び(図9の例ではH32の梁のみ)、その中から、定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ。
【0074】
このようにして選ばれた梁の呼び名が、梁断面選定手順(S3a)によりその選定結果として、コンピュータ11の画面表示装置15aに表示される。
【0075】
この実施形態の方法によると、このように、梁2に生じる仮想の応力状態量P’および変形量P‘’と、登録された梁の断面種類毎に定められている仮想の許容応力状態量Py‘および許容変形量Py‘’とをそれぞれ比較し、梁2の断面を選ぶため、過剰に余裕を見込むことなく、設計条件に応じて適切な断面の梁2を選ぶことができる。梁2に生じる仮想の応力状態量P’および変形量P‘’は、各節点pに作用する節点荷重を入力することで、係数のマトリクスからなる応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] を乗算することで得られるため、精度良く求めることができる。このため、設計条件に応じた最適な梁断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行える。また、構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用できる。すなわち、型式適合認定を受けた工業化建物の設計支援が行え、邸別の最適化設計を容易に行うことができる。
【0076】
前記の「定められた優先度」は、例えば、最も小さな断面の梁であること、または価格が最も安価であること等であるが、「定められた優先度」が、最も小さな断面の梁であることである場合は、設計条件に応じて、結果的に構造検定値が1に最も近い最適な断面の梁を、登録断面の中から容易に選定することができる。「定められた優先度」が、最も価格の易い梁であることである場合は、設計条件に応じて、最も低コストの梁を容易に選定することができる。
【0077】
柱1の断面の選定につき説明する。
柱1の断面の選定は、次のように行われる。前記応力・変形量等演算過程(R2)(図8)における支点反力演算過程(R2b)では、前記節点荷重マトリクス [P] に、定められた係数のマトリクスからなる支点反力係数マトリクス [ε] を乗算して前記梁2の各支点に生じる支点反力R(図9)を演算する。
【0078】
支点反力係数マトリクス [ε] は、応力係数マトリクス [α] と同様に、図12(D)〜(F)に示すように、梁スパンおよび前記節点pの数が異なる梁毎に設けられて、前記「定められた係数」が縦横の行列として並ぶ。支点反力係数マトリクス [ε] には、左右の梁端部のもの(図12(D),(E))と、中間支点のもの(図12(F))とがある。梁端部の支点反力係数マトリクス [ε] (図12(D),(E))は、1行であって、列の数は節点数である。ただし、図12(D),(E)は、複数の梁長さの支点反力係数マトリクスを行方向に並べることで複数行とされている。中間支点の支点反力係数マトリクス [ε]の行および列の数は、いずれも節点数である。支点反力演算過程(R2b)で用いる支点反力係数マトリクス [ε] は、柱断面の選定対象となる柱1が支点となる梁と同じ梁スパンおよび節点数のマトリクスである。
【0079】
支点反力係数マトリクス [ε] における各行,列で定まる箇所の各支点反力係数としては、その支点反力係数マトリクス [ε] を節点荷重マトリクス [P] と乗算することで、各支点Rに生じる支点反力が得られる値とする。梁端部の支点反力係数マトリクス [ε] (図12(D)(E))は、具体的には、単純梁の任意の節点pに単位荷重が作用した場合に、節点pの単位荷重に対する梁端部の支点反力の割増係数を示したものである。これにより、応力計算を行うことなく、各支点Rに生じる支点反力が得られる。
すなわち、梁端部の支点反力係数マトリクス [ε]は、節点pの数がn(nは、2以上の整数)であるとすると、第1の節点pに単位荷重を与えたときに梁端部に生じる支点反力Rが、第1列に記載され、第2の節点pに単位荷重を与えたときに同じ梁端部に生じる支点反力Rが第2列に記載され、以下、これと同様にして、第nの節点pに単位荷重を与えたときの同じ梁端部に生じる支点反力Rが第n列に記載されている。
【0080】
支点反力係数マトリクス [ε] における支点反力係数についても、応力係数マトリクス [α] と同様に、必ずしも力の単位でなくても良く、構造材断面毎・許容値登録手段36に登録された許容耐力と同じ単位で比較できる単位で示された値であれば良い。
【0081】
中間支点の支点反力係数マトリクス [ε] は、2スパン連続梁の任意の節点pに単位荷重が作用した場合に、節点pの単位荷重に対する中間支点反力の割増係数を、中間支点となる節点位置に応じて示したマトリクスである。
中間支点の支点反力係数マトリクス [ε]は、第1の節点pに単位荷重を与えたときに各節点p〜pに中間支点がある場合に生じる支点反力R11〜R1nが、第1列の各行に記載され、第2の節点pに単位荷重を与えたときに各節点p〜pに中間支点がある場合に生じる支点反力R21〜R2nが第2列の各行に記載され、以下、これと同様にして、第nの節点pに単位荷重を与えたときの各節点p〜pに中間支点がある場合に生じる支点反力Rn1〜Rnnが第n列の各行に記載されている。
【0082】
このように各支点反力が求まった後、構造材断面選定過程(R3)における柱断面選定過程(R3b)では、構造材断面毎・許容値登録手段36に柱1の断面種類毎に定められている仮想の許容耐力と、前記支点反力演算過程(R2b)で得られた支点反力とを前記各支点毎に比較し、前記各支点毎に、前記許容耐力を満足する柱1のうちで、定められた優先度が最も高い断面の柱1を選ぶ。
【0083】
構造材断面毎・許容値登録手段36は、図11に示すように前述の梁断面毎・許容値登録部36aと、柱断面毎・許容値登録部37aとがある。柱断面毎・許容値登録部37aに、柱の断面の種類毎に、許容耐力と優先度とが示されている。許容耐力は、必ずしも力の単位でなくても良く、支点反力演算過程(R2b)で得られた値と同じ単位であれば良い。すなわち、仮想の許容耐力であっても良い。また、構造材断面毎・許容値登録手段36についても、優先度が耐力である場合は、優先度の登録は不要である。
【0084】
このように、求められた支点反力と、登録された柱の断面種類毎に定められている仮想の許容耐力とを比較して柱1の断面を選ぶため、過剰に余裕を見込むことなく、適切な断面の柱1を選ぶことができる。柱1に生じる支点反力Rは、各節点pに作用する節点荷重を入力することで、定められた係数のマトリクスからなる支点反力係数マトリクス [ε] を乗算して得られるため、精度良く求めることができる。このため、設計条件に応じて最適な柱断面の選定が、構造設計の専門家ではなくても簡単かつ迅速に行え、また構造計算が不要で、型式適合認定の建物にも適用できる。
前記各節点pに作用する節点荷重の入力は、梁断面を選ぶ過程で入力するため、柱断面を選ぶために再入力する必要がない。そのため、各節点pに作用する節点荷重を入力することで、最適な梁断面と最適な柱断面との両方を選ぶことができる。
【0085】
図11に示す構造材の最適断面選定装置21につき説明する。前述のように、コンピュータ11(図10)に最適断面選定プログラム17が記憶されて実行可能な状態とされることにより、図11に概念構成を示す構造材の最適断面選定装置21の各機能達成手段が構成される。
この最適断面選定装置21は、入力手段31、入力節点荷重記憶手段32、応力変形量等演算手段33、構造材断面選定手段35、構造材断面毎・許容値登録手段36、および出力手段38を有する。
【0086】
入力節点荷重記憶手段32は、断面の選定対象となる梁上の等分割された各節点pに作用する節点荷重につき、入力手段31から入力された全ての節点pについての荷重を記憶する手段である。入力された梁スパンについても、入力節点荷重記憶手段32に記憶される。入力手段31は、コンピュータ11の画面表示装置15aの画面に節点荷重および梁スパンの入力を促す表示を行い、キーボードやその他の入力機器14から入力された節点荷重および梁スパンを前記入力節点荷重記憶手段32に記憶させる手段である。
【0087】
応力・変形量等演算手段33は、応力・変形量等手順S2(図14)を実行する手段であり、それぞれ定められた係数のマトリクスからなる応力係数マトリクス [α] 、変形係数マトリクス [β] 、および支点反力係数マトリクス [ε] を記憶した係数マトリクス記憶部34を有し、かつ応力・変形量演算部33aおよび支点反力演算部33bを有する。
【0088】
応力・変形量演算部33aは、応力・変形量演算手順(S2a)を実行する手段であり、節点荷重入力記憶手段34に記憶された各節点pの節点荷重をマトリクスの形で表現した節点荷重マトリクス [P] に、前記係数マトリクス記憶部34に記憶されている前記応力係数マトリクス [α] を乗算して前記各節点に生じる前記仮想の応力状態量を演算する。
支点反力演算部33bは、支点反力演算手順(S2b)を実行する手段であり、前記節点荷重マトリクス [P] に、前記係数マトリクス記憶部34に記憶されている支点反力係数マトリクス [ε] を乗算して前記各支点に生じる前記仮想の支点反力を演算する。
【0089】
構造材断面毎・許容値登録手段36は、梁の断面種類毎に前記仮想の許容応力状態量Py‘および許容変形量Py‘’を登録した梁断面毎・許容値登録部36aと、柱の断面種類毎に許容耐力を登録した柱断面毎・許容値登録部36bとを有する。
【0090】
構造材断面選定手段35は、構造材断面登録手順(S3)を実行する手段であり、梁断面選定部35aおよび柱断面選定部35bを有する。梁断面選定部35aは、梁断面選定手順(S3a)を実行する手段であり、梁断面毎・許容値登録部36aに登録されている梁の断面種類毎の許容応力状態量Py‘およびPy‘’と前記応力・変形量等演算手段33で計算された応力状態量P’および変形量P‘’とをそれぞれ比較し、全ての節点の応力状態量P’および変形量P‘’が前記許容応力状態量Py‘および許容変形量Py‘’を満足する断面の梁のうちで定められた優先度が最も高い断面の梁を選ぶ。
【0091】
柱断面選定部35bは、柱断面選定手順(S3b)を実行する手段であり、柱断面毎・許容値登録部36bに登録されている柱断面毎の許容耐力と、前記支点反力演算部33bで演算された支点反力とを各支点毎に比較し、全ての支点の支点反力が前記許容耐力を満足する断面の柱のうちで定められた優先度が最も高い断面の柱を選ぶ。
【0092】
出力手段38は、構造材断面選定手段35で選定された梁および柱の断面を画面表示装置15aに表示する手段である。出力手段38は、柱断面選定手順(S3b)の一部を実行する手段である。
【0093】
この構造材の最適断面選定装置21における各手段のさらに具体的な機能は、最適断面選定方法につき前述した内容、および最適断面選定方法について以下に説明する内容と同様である。
【0094】
図15図18共に、図8図14に示した例につき、理解の容易のために、各節点荷重に仮の数値の例を与えて説明する。なお、数値の単位は省略する。また、各図において2本の梁(大梁(1) ,大梁(2) )につき、各過程の内容を並べて示しているが、各過程は個々の梁(大梁(1) ,大梁(2) )毎に順に行っても、また2本の梁(大梁(1) ,大梁(2) )につき平行して行っても良い。
【0095】
図15は、1本の通りの梁2を、両端支持の2本の単純梁である大梁(1) ,大梁(2) に分けた場合の構造材選定例を示す。同図(A)に示すように、大梁(1) は、5つの節点pを有し、各節点pには左側端から順に、0,80,0,0,80の節点荷重が作用しているとする。大梁(2) についても、5つの節点pを有し、各節点pには左側端から順に、0,80,0,0,80(単位は省略)の節点荷重が作用している。これらの節点荷重を節点荷重入力過程R1(図8)で入力する。節点荷重マトリクス [P] は、左右のいずれの梁についても、 [0,80,0,0,80] となる。なお、図16は、図15の左側1本の大梁(1) についての各図を抽出した図である。
【0096】
このように入力された節点荷重マトリクス [P] (= [0,80,0,0,80] )に、前記応力・変形量演算過程(R2a)として、前記応力係数マトリクス [α] および変形係数マトリクス [β] を乗算し、各梁(大梁(1) ,大梁(2) )の仮想の応力状態量[P‘]および仮想の変形量[P‘’]を求める。
同図の例において、大梁(1) につき、仮想の応力状態量P’は、各節点pにつき、順に25,50,45,40,35であり、仮想の変形量P‘’は37,64,73,63,38である。したがって、[P‘]=[25,50,45,40,35]であり、[p‘’]=[37,64,73,63,38]である。大梁(2) については、説明を省略する。
【0097】
このように、各節点pの仮想の応力状態量[P‘]と仮想の変形量[P‘’]を求めた後、これらを、梁断面選定過程(R3a)(図8)において、梁断面毎・許容値登録手段36(図16(D),図13)に登録されている各梁(A,B,C,……)の仮想の許容応力状態量Py‘および仮想の許容変形量Py‘’と比較する。なお、図16(D)においては、比較する値を明確にするために、各仮想の許容応力状態量Py‘および仮想の許容変形量Py‘’を各節点p毎に示しているが、仮想の許容応力状態量Py‘および仮想の許容変形量Py‘’は、節点位置に係わらず一定である。
【0098】
同図の例において、梁Aの場合、仮想の許容応力状態量Py‘が20であり、仮想の応力状態量[P‘]が25,50,45,40,35であるため、いずれの節点pにおいても、仮想の応力状態量P‘が仮想の許容応力状態量Py‘よりも大きく、条件不満足(NG)である。
梁Bの場合、仮想の許容応力状態量Py‘が50であり、仮想の応力状態量[P‘]が25,50,45,40,35であるため、全ての節点pについて仮想の許容応力状態量Py‘未満であり、仮想の許容応力状態量Py‘についての条件は満足(OK)である。仮想の変形量[P‘’]37,64,73,63,38についても、仮想の許容変形量[Py‘’]が100であるため、全ての節点pについて仮想の許容変形量Py‘’未満であり、仮想の許容変形量[Py‘’]についての条件も満足する(OK)。したがって、梁断面として梁Bが用いることができる。梁Cは、仮想の許容応力状態量Py‘および仮想の許容変形量Py‘’が共に梁Bよりも大きく、梁Cについても条件を満足する(OK)。
この条件を満足する梁B,梁Cのうち、梁Bの方が小さな断面(設計耐力が小さい断面)であるため、優先度を梁断面が小さいこととする場合、梁Bが最適断面として選定されることになる。
【0099】
なお、大梁(2) の場合、各節点pの仮想の応力状態量が5,10,15,20,25であり、梁Aの仮想の許容応力状態量Py‘が20である。この場合、梁Aは、4つの節点pについては仮想の許容応力状態量Py‘に対して条件を満足(OK)しているが、仮想の応力状態量が25である右端の節点pについて、仮想のPy‘の条件を満足せず(NG)、梁Aを用いることができない。
【0100】
上記の応力・変形量演算過程(R2a)と並行して、あるいはその後に、梁の両端の支点反力を演算する支点反力演算過程(R2b)を行う。支点反力の演算は、上述のように節点荷重の節点荷重マトリクス [P] と支点反力係数マトリクス [ε] とを乗算して得られる。図15に示した例では、大梁(1) の左右の支点反力 1L 1は、それぞれ67,93である。また、大梁(2) の左右の支点反力 2L 2は、それぞれ13,67である。
【0101】
柱の断面を選定するにつき、梁の通りの両端の支点、図示の例では大梁(1) の左端の 1L と大梁(2) の右端の支点反力 2は、そのまま柱断面の選定のための柱荷重に用いられるが、両梁(1) ,(2) の間の柱は、両側の梁(大梁(1) ,大梁(2) )の共通する支点の支点反力 12L を加算した支点反力(93+13=106)が生じる。そのため、この加算した支点反力「106」を柱断面の選定のための設計荷重に用いる。すなわち、柱の設計荷重は、図15(C)のように、左側から順に、柱(1) は67、柱(2) は106、柱(3) は67となる。
【0102】
図15(D)に示すように、柱Aの設計耐力は50、柱Bの設計耐力は200である。したがって、柱(1) ,(2) ,(3) のいずれも、柱Aでは、その設計荷重67,106,67が設計耐力50を上まわるため、柱Aは条件不満足(NG)である。柱(1) ,(2) ,(3) のいずれも、柱Bでは、その設計荷重67,106,67が設計耐力200未満であるため、柱Bは条件満足(OK)であり、柱断面として柱Bが選定される。柱Bの他にも条件満足の柱断面がある場合は、その中で、優先度の最も高い柱断面を選定する。
【0103】
図17は、1本の通りの梁2を2スパン連続梁した場合の例を示す。このような連続梁と見なす場合は、節点荷重入力過程(R1)で入力された各節点の節点荷重に対して、前記中間の支点となる節点p(同図の例では3つ目の節点)について、この中間の支点の支点反力の値を、絶対値が同じでマイナスの値として節点荷重に加えた値を、前記節点荷重マトリクス [P] として用いて、前記応力・変形量演算過程(R2a)における前記応力状態量P’および変形量P‘’の演算、および前記支点反力演算過程(R2b)における支点反力の演算を行う。中間支点の支点反力の値を前記のようにマイナスの値として節点荷重に加えることで、2スパン連続梁を両端支持の単純梁に置き換えて計算が行える。なお、中間支点の支点反力の値は、節点荷重マトリクス [P]に中間支点の前記支点反力係数マトリクス [ε]〈図12(F)〉を乗算して得る。
【0104】
図17に図示の例では、連続梁は7つの節点pを持つ梁であって、3番目の節点pが中間支点となる。この場合、各節点の節点荷重は、左側から順に、0,0,0,0,0,80,0であるが、中間支点の支点反力が「54」である。そのため、この支点反力1Vrを絶対値が同じでマイナスの値とした「−54」を、3つの節点荷重(この例では「0」)に加算し、演算に用いる節点荷重マトリクス [P] は [0,0,−54,0,0,80,0] とする。これが、2スパン連続梁の節点荷重マトリクスとなる。
【0105】
この節点荷重マトリクス [P] を用いて通常の両端支点の単純梁と同様に仮想の応力状態量P’、および仮想の変形量P‘’を求める(図17(B))。この求められた仮想の応力状態量P’、および仮想の変形量P‘’と、構造材断面毎・許容値登録手段36に登録されている各梁A〜Cの仮想の許容応力状態量P’,仮想の許容変形量Py‘’と比較し、前記と同様に梁断面を選定する。
【0106】
また、連続梁の両端の支点反力を前記と同様に演算し、各柱(4)(5)(6) につき、前記と同様に構造材断面毎・許容値登録手段36に登録されている各柱A,Bの柱設計耐力と比較し、条件満足の柱断面を選び、その中から優先度の最も高い柱断面を選定する。中間の柱1(5) の支点反力は、前記の節点荷重入力過程(R1)で入力する中間の支点の支点反力の値を用いる。
【符号の説明】
【0107】
1…柱
2…梁(大梁)
3…梁(小梁)
5…柱梁接合部
10…コンピュータ
21…最適断面選定装置
31…入力手段
32…入力節点荷重記憶手段
33…応力変形量等演算手段
33a…応力・変形量演算部
33b…支点反力演算部
34…構造材断面選定手段
35…構造材断面毎・許容値登録手段
35a…梁断面選定部
35b…柱断面選定部
36…構造材断面毎・許容値登録手段
36a…梁断面毎・許容値登録部
36b…柱断面毎・許容値登録部
38…出力手段
[α] …応力係数マトリクス
[β] …変形係数マトリクス
[ε] …支点反力係数マトリクス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18