(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の透明電極部と第2の透明電極部との間の静電容量値の変化に基づいて入力位置を検出する入力装置について記載されている。
図11は、特許文献1に記載されている従来例の入力装置について、部分拡大平面図を示す。
【0003】
図11に示すように、従来例の入力装置110は、透明基材120と、透明基材120に形成された第1の透明電極130及び第2の透明電極140とを有して構成される。第1の透明電極130は、間隔を設けて配置された複数の第1の透明電極部131がブリッジ部132によって接続されて、X1−X2方向において延在している。また、第2の透明電極140は、複数の第2の透明電極部141が幅細部142によって接続されて、Y1−Y2方向において延在している。そして、
図11に示すように、第1の透明電極130のブリッジ部132が、第2の透明電極140の幅細部142の上に交差して形成されており、ブリッジ部132と幅細部142とは、絶縁層133を介して電気的に絶縁されている。
【0004】
従来例の入力装置110は、第1の透明電極部131と第2の透明電極部141との間で静電容量を有するように構成されており、操作者の入力操作による静電容量の変化に基づいて、入力位置情報を検出することができる。入力装置110は、表示装置等の上に重ねて用いられて、表示装置の表示画像を視認しながら入力操作が可能な透光型の入力装置である。そのため、外部から視認されない良好な不可視特性を実現するために、ブリッジ部132は幅細に形成されている。なお、幅細部142とブリッジ部132とが重なる部分において生じる静電容量は、寄生容量となるため、ブリッジ部132及び幅細部142は第1の透明電極部131及び第2の透明電極部141よりも幅細に形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来例の入力装置110の製造工程において、透明基材120の帯電や人体等の外部の物体の帯電などにより、静電気放電(ESD:Electro−Static−Discharge)が発生し、入力装置110が損傷するという課題がある。
【0007】
具体的には、
図11に示す従来例の入力装置110において、ブリッジ部132及び幅細部142は第1の透明電極部131や第2の透明電極部141よりも幅細に形成され抵抗値が高くなっているため、ESDによりサージ電流が発生した場合に、ブリッジ部132及び幅細部142が溶断しやすくなる。また、幅細部142とブリッジ部132とが絶縁層133を介して積層された部分において、絶縁層133の絶縁耐圧以上のESDが発生した場合には絶縁層133が絶縁破壊されて、幅細部142とブリッジ部132とのショートや、幅細部142又はブリッジ部132の溶断が発生する。このような場合、入力装置110としての機能が損なわれて、入力位置の検出ができなくなる。
【0008】
ブリッジ部132及び幅細部142を幅広に、又は厚く形成することにより、ESD耐性を向上させて溶断を抑制することが可能である。しかし、この場合ブリッジ部132、及び幅細部142が外部から視認され易くなるため、不可視特性を確保しつつESD耐性を向上させることは困難である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決して、良好な不可視特性を確保するとともに、ESD耐性を向上させることが可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の入力装置は、 透明基材と、前記透明基材に形成された複数の第1の透明電極
および複数の第2の透明電極とを有し、
前記第1の透明電極は、複数の第1の透明電極部と、前記第1の透明電極部
の間を接続するブリッジ部とを有し、
前記第2の透明電極は、複数の第2の透明電極部と、
隣り合う前記第2の透明電極部
の間を接続する幅細部
とを有し、
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極
は、互いに交差する方向に
延び、前記ブリッジ部が絶縁層を介して前記幅細部の上に形成
され、
前記第1の透明電極部と前記第2の透明電極部は第1の間隔を設けて隣り合う位置に形成され、前記第1の透明電極部
と前記第2の透明電極部の
少なくとも一方
の透明電極部が突出部を有し、
前記突出部は、島状部と、一方の前記透明電極部と前記島状部とを接続する接続部とを有し、前記突出部が延び出る方向と交差する方向での前記接続部の幅寸法が前記島状部の幅寸法よりも小さく、
前記突出部
が向かう他方の透明電極部には、前記突出部の少なくとも前記島状部の周囲 全体を囲む凹部が形成されており、
前記島状部と前記接続部のそれぞれと、前記凹部の内縁との間に、第2の間隔が形成されて、前記第2の間隔が前記第1の間隔よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
これによれば、突出部が設けられた箇所において、第1の透明電極部と第2の透明電極部との間隔の小さい箇所が形成される。そのため、突出部と第1の透明電極部との間、または突出部と第2の透明電極部との間において静電気の放電経路が形成される。したがって、ブリッジ部、幅細部とは異なる箇所において放電させることが可能であるため、ブリッジ部、幅細部が静電気放電により損傷を受けることを抑制できる。また、突出部と第1の透明電極部との間、または突出部と第2の透明電極部との間を放電経路とすることにより、ESDの耐性を向上させるためブリッジ部及び幅細部の幅及び厚さ寸法を従来例に比べて大きく形成する必要がないため、良好な不可視特性を確保できる。したがって、本発明の入力装置によれば、良好な不可視特性を確保するとともに、ESD耐性を向上させることができる。
【0012】
また、第2の間隔が第1の間隔よりも小さいことから、凹部の内周と突出部との間に静電気の放電の経路となる箇所を設けることが容易であり、静電気放電の発生によるブリッジ部及び幅細部の損傷が確実に抑制される。
【0013】
また、静電気放電が発生したときに接続部が優先的に溶断するように形成することが容易であり、静電気放電の発生によるブリッジ部及び幅細部の損傷が確実に抑制される。
【0014】
本発明の入力装置において、前記絶縁層は前記幅細部を覆い形成されており、前記接続部は、前記第1の透明電極部または前記第2の透明電極部の一方に形成された接続部は、前記第1の透明電極部または前記第2の透明電極部の他方に向かい延在するとともに、前記島状部は、前記接続部の端部において前記絶縁層から離れる方向に向かい形成されていることが好適である。これによれば、突出部を介した静電気の放電経路が、絶縁層から離れた位置を経由するため、絶縁層の周縁部における沿面放電の発生を防止して、沿面放電による第1の透明電極部または第2の透明電極部の損傷を防止できる。
【0015】
本発明の入力装置は、前記第1の透明電極部には第1の突出部が形成されるとともに、前記第2の透明電極部には第2の突出部が形成されており、前記第1の突出部と前記第2の突出部とは、前記第1の間隔よりも小さい第3の間隔を設けて対向して形成されていることを特徴とする。これによれば、第1の突出部と第2の突出部とが対向した箇所において静電気放電の経路が形成され、ブリッジ部、幅細部とは異なる箇所において放電させることが可能であるため、静電気放電の発生によるブリッジ部及び幅細部の損傷が抑制される。
【0016】
本発明の入力装置は、前記第1の透明電極が延在する方向に対して直交する方向において、前記第1の突出部と前記第2の突出部とが対向して形成されていることが好ましい。これによれば、前記第1の突出部及び前記第2の突出部を介した静電気放電の経路が、ブリッジ部から離れた位置に形成されるため、ブリッジ部及び幅細部での静電気放電の発生が確実に抑制される。
【0017】
本発明の入力装置において、前記第2の透明電極部は、前記ブリッジ部を介して接続された2つの第1の透明電極部に挟まれて形成されており、前記2つの第1の透明電極部のうち、一方の前記第1の透明電極部と前記第2の透明電極部とが対向する領域、及び他方の前記第1の透明電極部と前記第2の透明電極部とが対向する領域のいずれかの領域においてのみ、前記突出部が形成されていることが好適である。これによれば、静電気の放電経路が第2の透明電極部を横断して形成されないため、大きな静電気放電が発生した場合においても、第2の透明電極部が損傷を受けることが防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の入力装置によれば、良好な不可視特性を確保するとともに、ESD耐性を向上させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態の入力装置について説明する。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の入力装置を構成する透明基材の平面図である。
図2は、
図1のII−II線で切断して矢印方向から見たときの、入力装置の部分拡大断面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の入力装置10は、透明基材20と、透明基材20に形成された複数の第1の透明電極30及び複数の第2の透明電極40とを有して構成される。複数の第1の透明電極30の各々は、X1−X2方向において間隔を設けて配列された複数の第1の透明電極部31と、第1の透明電極部31同士を接続するブリッジ部32とを有して構成される。また、複数の第2の透明電極40の各々は、複数の第2の透明電極部41と、第2の透明電極部41同士を接続する幅細部42とを有して構成される。
図1に示すように、第1の透明電極30はX1−X2方向に延在して形成され、第2の透明電極40はY1−Y2方向に延在して形成されており、第1の透明電極30と第2の透明電極40とは、互いに交差して形成されている。
【0023】
図1及び
図2に示すように、入力装置10において、幅細部42とブリッジ部32とが交差するように第1の透明電極30及び第2の透明電極40が形成されている。
図2に示すように、ブリッジ部32は、絶縁層33(
図1では省略して示す)を介して幅細部42の上に形成されており、ブリッジ部32は、幅細部42及び絶縁層33を跨がって第1の透明電極部31同士を接続する。
【0024】
また、
図2に示すように、本実施形態の入力装置10は、透明基材20が光学粘着層26を介してパネル28に貼り合わされて構成される。本実施形態の入力装置10は静電容量式の入力装置であり、操作者が指などをパネル28(
図1では図示しない)の表面に接触又は接近させて入力操作を行う際に、第1の透明電極部31と第2の透明電極部41との間の静電容量の変化に基づいて入力位置を検出する。
【0025】
図1に示すように、第1の透明電極30及び第2の透明電極40は、入力操作を行う入力領域15に形成されている。また、入力領域15の外周の非入力領域16において、第1の透明電極30及び第2の透明電極40から引き出された引出配線22が形成されており、引出配線22は、外部のフレキシブル基板と接続するための端子部23に接続されている。なお、入力領域15は透光領域であり、操作者から視認されないように第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41、幅細部42には透明な材料が用いられる。また、非入力領域16は、加飾層(図示しない)などが設けられた非透光領域であるため、操作者から引出配線22及び端子部23が視認されることはない。
【0026】
透明基材20は、フィルム状の樹脂材料を用いて形成されており、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の透光性樹脂材料が用いられる。そして、第1の透明電極部31、第2の透明電極部41、及び幅細部42は、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO
2、ZnO等の透明導電材料を用いて形成されており、スパッタや蒸着等の薄膜法により形成される。また、引出配線22及び端子部23には、CuやAg、またはCu合金、Ag合金等の金属材料が用いられる。
【0027】
次に、第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41の構成について説明する。
図3は、本実施形態における、第1の透明電極部及び第2の透明電極部の部分拡大平面図である。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の入力装置10において、複数の第1の透明電極部31及び複数の第2の透明電極部41は、それぞれ菱形形状に形成されている。隣り合う位置に配置された第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41は、対向する辺同士が略平行となるように形成されている。そして、間隔を設けて隣り合う位置に形成された第1の透明電極部31または第2の透明電極部41の一方において突出部50が設けられており、突出部50は、第1の透明電極部31または第2の透明電極部41の他方に向かい突出している。また、隣り合う第1の透明電極部31または第2の透明電極部41の他方において、突出部50を囲むように凹部54が形成されている。
【0029】
図3に示すように、第1の透明電極部31aにおいて、Y2方向に臨む2辺のそれぞれに突出部50が形成されており、第1の透明電極部31aに隣り合う位置に形成される第2の透明電極部41a、第2の透明電極部41bには、それぞれ突出部50を囲むように凹部54が形成されている。第1の透明電極部31aのY1方向において隣り合う位置に形成された第2の透明電極部41cは、同様に、Y2方向に臨む2辺のそれぞれに突出部50が形成されており、第1の透明電極部31aのY1方向に臨む2辺のそれぞれに突出部50を囲むように凹部54が形成されている。
【0030】
本実施形態の入力装置10において、
図3に示すように、突出部50が設けられた箇所において、第1の透明電極部31と第2の透明電極部41との間隔が小さい箇所が形成される。そのため、静電気放電(ESD:Electro−Static−Discharge)が発生した場合において、突出部50と第1の透明電極部31、または突出部50と第2の透明電極部41との間において静電気の放電経路が形成される。したがって、ブリッジ部32や幅細部42よりも放電しやすい放電経路を設けて、ブリッジ部32や幅細部42とは異なる箇所において放電させることが可能であるため、ブリッジ部32、幅細部42が静電気放電により損傷を受けることを抑制できる。また、突出部50と第1の透明電極部31、または突出部50第2の透明電極部41との間を静電気の放電経路とすることにより、ESDの耐性を向上させるためブリッジ部32及び幅細部42の幅及び厚さ寸法を大きく形成する必要がないため、良好な不可視特性を確保できる。
【0031】
したがって、本実施形態の入力装置10によれば、良好な不可視特性を確保するとともに、ESD耐性を向上させることができる。
【0032】
図4は、突出部50の部分拡大平面図であり、
図3に示す点線IVで囲む領域について、拡大して示す。
図4に示すように、突出部50は、島状部50aと、島状部50aと第1の透明電極部31bとを接続する接続部50bを有して構成される。
【0033】
図4に示すように、島状部50aは矩形状に形成されており、島状部50aの長辺に接続部50bが設けられている。
図4に示すように、第1の透明電極部31bと第2の透明電極部41aとは第1の間隔Aを設けて隣り合う位置に形成されている。また、突出部50と凹部54の内周は、第2の間隔B〜Eを設けて形成されている。島状部50aの各辺と凹部54の内周とは第2の間隔C、D、Eを有して形成され、接続部50bと凹部54とは第2の間隔Bを有して形成されている。
図4に示すように、第1の間隔Aは、第1の透明電極部31bと第2の透明電極部41aとの対向する辺に対して直交する方向における間隔を示す。また、第2の間隔B〜Eはいずれも、凹部54の内周と突出部50とのそれぞれ対向する辺に直交する方向における間隔を示している。そして、第2の間隔B〜Eは第1の間隔Aよりも小さく形成されている。
【0034】
図4に示すように、突出部50と凹部54の内周とは、第1の透明電極部31と第2の透明電極部41との第1の間隔Aよりも小さい第2の間隔B〜Eを設けて形成される。これにより、ESDが発生した場合における静電気の放電経路となる箇所を複数設けることが容易である。よって、ブリッジ部32及び幅細部42の静電気放電による損傷が確実に抑制される。なお、本実施形態において、突出部50と凹部54との第2の間隔C、D、Eは、ほぼ等しい間隔で形成されているが、互いに異ならせて形成することもできる。
【0035】
また、接続部50bの幅は、島状部50aよりも幅細に形成されている。よって、静電気放電が発生したときに接続部50bが優先的に溶断して、静電気放電のエネルギーが熱に変換されて、ブリッジ部32及び幅細部42等、他の箇所での損傷が抑制される。なお、第1の透明電極部31または第2の透明電極部41の各々の面積に対して、島状部50aの面積は10%以下、より好ましくは3〜5%にすることが望ましい。こうすれば、静電気放電により接続部50bが断線した場合であっても、入力装置10の感度の低下を抑制して、入力位置検出機能が確保される。
【0036】
以上のように本実施形態の入力装置10によれば、良好な不可視特性を確保するとともに、ESD耐性を向上させることができ、ブリッジ部32及び幅細部42の断線を防止できる。
【0037】
なお、島状部50aの形状は
図4に示すような矩形状に限られず、三角形状、多角形状など他の形状であっても良い。
【0038】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態の入力装置11を示し、第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41の部分拡大平面図である。
図5に示すように、第2の透明電極部41aは、ブリッジ部32を介して接続された2つの第1の透明電極部31a、31bにより、X1−X2方向に挟まれて配置されている。本実施形態の入力装置11においては、第2の透明電極部41aを挟む2つの第1の透明電極部31a、31bのうち、一方の第1の透明電極部31bと前記第2の透明電極部41aとが対向する領域においてのみ突出部50及び凹部54が形成されている。そして、第1の透明電極部31a、31bのうち他方の第1の透明電極部31aと第2の透明電極部41aとが対向する領域においては、突出部50及び凹部54が形成されていない。
【0039】
すなわち、第1の透明電極部31bにおいて、第1の透明電極部31bのY2側に臨む2辺のうち、一方の辺にのみ突出部50が形成されており、第2の透明電極部41aのY1側に臨む2辺のうち、一方の辺側にのみ突出部50を囲むように凹部54が形成されている。
【0040】
図3に示す第1の実施形態の入力装置10においては、第2の透明電極部41の4辺について突出部50または凹部54が設けられており、ブリッジ部32及び幅細部42以外の箇所に静電気放電経路を設けることができる。しかし、大きい静電気放電が発生した場合において、第2の透明電極部41をX1−X2方向に平行に挟んで形成された2つの突出部50間に静電気放電が集中して、第2の透明電極部41が断線する場合がある。
【0041】
第2の実施形態の入力装置11においては、静電気の放電経路が第2の透明電極部41をX1−X2方向に平行に横断して形成されず、また、突出部50同士の間隔が長くなるため、大きな静電気放電が発生した場合においても、第2の透明電極部41が損傷を受けて断線することが抑制される。
【0042】
なお、本実施形態において、第1の透明電極部31においても同様に、第1の透明電極部31をY1−Y2方向に横断する静電気の放電経路も形成されないため、第1の透明電極部31の損傷も防止できる。
【0043】
<第3の実施形態>
第1の実施形態の入力装置10及び第2の実施形態の入力装置11においては、幅細部42を覆い、幅細部42とブリッジ部32とを絶縁する絶縁層33が形成されており、突出部50の島状部50aが絶縁層33に比較的近い位置に形成される。そして、静電気の放電経路が突出部50を通過して、ブリッジ部32及び幅細部42を通過しないように突出部50が形成される。しかしながら、絶縁層33に近い突出部50に静電気が集中すると、絶縁層33の周縁部において沿面放電が発生して、絶縁層33の周囲の第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41が損傷し、断線する場合がある。
【0044】
図6は、第3の実施形態の入力装置を示す、第1の透明電極部及び第2の透明電極部の部分拡大平面図である。
図6に示すように、第3の実施形態の入力装置12は、第2の実施形態と同様の位置に突出部51及び凹部54が形成されており、突出部51及び凹部54の形状が異なって形成されている。突出部51は、島状部51aと接続部51bとを有して構成されており、接続部51bは、第1の透明電極部31bから第2の透明電極部41aに向かい延在するとともに、島状部51aは、接続部51bの端部において絶縁層33から離れる方向に向かい形成されている。
【0045】
このように突出部51を形成することにより、ESDが発生した際に突出部51を通過する静電気の放電経路が、絶縁層33から離れた位置を経由するため、絶縁層33の周縁部における沿面放電の発生を防止して、第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41の損傷を防止できる。
【0046】
図7は、第3の実施形態の入力装置の変形例を示す部分拡大平面図である。また、
図8は第3の実施形態の変形例における突出部の部分拡大平面図である。
【0047】
本変形例において、
図7及び
図8に示すような突出部52の形状であっても、同様に絶縁層33の周縁部における沿面放電を防止する効果が得られる。
図7及び
図8に示すように、接続部52bを島状部52aと同等に幅広に形成してもよい。そして、接続部52bは、第1の透明電極部31から第2の透明電極部41に向かい延在している。また、島状部52aは、接続部52bの端部に設けられており、第1の透明電極30の延在方向(X1−X2方向)に対して直交する方向において、絶縁層33から離れる方向に向かい形成されている。
【0048】
図8に示すように、第2の透明電極部41に形成された凹部54の内周には、島状部52aの角部に対向する位置に微小凸部54aが形成されている。島状部52aと微小凸部54aとの第2の間隔Fは、微小凸部54aが設けられていない凹部54と島状部52aとの第2の間隔H、及び接続部52bと凹部54との第2の間隔Gよりも小さくなるように形成されている。
【0049】
図7及び
図8に示すように突出部52及び凹部54を形成することにより、静電気の放電経路が、島状部52a及び微小凸部54aを通過するように形成され、絶縁層33から離れた位置を経由するように形成される。よって絶縁層33の周縁部における沿面放電の発生を防止して、第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41の損傷を防止できる。
【0050】
なお、凹部54の内周に形成された微小凸部54aは、
図1から
図6に示した各実施形態の入力装置10、11、12に適用してもよい。
【0051】
<
参考例>
図9は
参考例となる入力装置における、第1の透明電極部及び第2の透明電極部の部分拡大平面図である。
図9に示すように、
参考例の入力装置13は、間隔を設けて隣り合う位置に形成された第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41において、第1の透明電極部31には第1の突出部53aが形成されるとともに、第2の透明電極部41には第2の突出部53bが形成されている。そして、第1の突出部53aと第2の突出部53bとは間隔を設けて対向して形成されている。本実施形態において、第1の突出部53a及び第2の突出部53bは、三角形状に形成されており、それぞれの頂点同士が向かい合って形成されている。
図9に示すように、対向する第1の突出部53aと第2の突出部53bとは第3の間隔Jを設けて形成されており、第3の間隔Jは、第1の透明電極部31と第2の透明電極部41との第1の間隔Aよりも小さく形成されている。
【0052】
これにより、ESDが発生した際に、第1の突出部53aと第2の突出部53bとが対向した箇所を通して静電気放電の経路が形成されて、ブリッジ部32、幅細部42とは異なる箇所において放電させることが可能であるため、ブリッジ部32及び幅細部42の静電気放電の発生による損傷が抑制される。
【0053】
また、第2の実施形態の入力装置11と同様に、2つの第1の透明電極部31a、31bに挟まれた第2の透明電極部41aにおいて、第2の透明電極部41aのX1−X2方向のいずれか一方の領域においてのみ第1の突出部53a及び第2の突出部53bが形成されている。すなわち、第2の透明電極部41aのY1方向に臨む2辺のうち一方の辺にのみ第2の突出部53bが形成されるとともに、第1の透明電極部31bのY2側に臨む2辺のうち一方の辺にのみ第1の突出部53aが形成されて、第1の突出部53aと第2の突出部53bとが対向するように配置される。よって、静電気の放電経路が第2の透明電極部41をX1−X2方向に平行に横断して形成されないことから、第2の透明電極部41が静電気放電により損傷を受けて断線することが防止される。
【0054】
図10は、
参考例の変形例における、入力装置の部分拡大平面図である。本変形例の入力装置13は、間隔を設けて隣り合う第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41において、第1の突出部53a及び第2の突出部53bが設けられている。そして、第1の突出部53aと第2の突出部53bとが、第2の透明電極40の延在方向(Y1−Y2方向)において向かい合って形成されている。そして、第1の突出部53aと第2の突出部53bとの、Y1−Y2方向における第3の間隔Kは、第1の透明電極部31と第2の透明電極部41との第1の間隔Aよりも小さくなるように形成されている。
【0055】
本変形例の入力装置13によれば、ESDが発生した際に、静電気の放電経路が第1の突出部53a及び第2の突出部53bをY1−Y2方向に通過して形成される。よって、静電気の放電経路が、絶縁層33から離れた位置を通過するように形成されるため、絶縁層33の周縁部における沿面放電の発生を防止して、第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41の損傷を防止できる。
【0056】
なお、各実施形態の入力装置10〜
12において、第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41の形状はいずれも菱形形状であるが、第1の透明電極部31及び第2の透明電極部41の形状や配列は、この態様に限定されない。矩形状、あるいは多角形状であっても良く、第1の透明電極部31と第2の透明電極部41との形状を異ならせたり、配列を変えたりした場合であっても同様の効果を奏する。