【実施例】
【0039】
以下では、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明のプレイリスト作成装置の一例として、楽曲データのプレイリストを作成する装置を例にとり説明する。
【0040】
<装置構成>
先ず、本実施例に係るプレイリスト作成装置の全体構成について、
図1を参照して説明する。ここに
図1は、実施例に係るプレイリスト作成装置の全体構成を示すブロック図である。
【0041】
図1において、本実施例に係るプレイリスト作成装置100は、多くの楽曲を記憶している楽曲データベース200から取得される楽曲データを利用して、プレイリストを作成することが可能に構成されている。なお、楽曲データベース200は、典型的にはユーザが保有する楽曲群を記憶するものとして構成されるが、現時点ではユーザが保有しない楽曲(例えば、課金することで入手可能な楽曲等)を含んでいてもよい。
【0042】
プレイリスト作成装置100は、作成したプレイリストを表示するための表示部300と接続されている。なお、表示部300は、プレイリストを作成する際のユーザによる選択操作をプレイリスト作成装置100に入力する入力手段としても機能する。
【0043】
本実施例に係るプレイリスト作成装置100は特に、楽曲データ取得部110、キー楽曲決定部120、設定条件決定部130、候補楽曲抽出部140、プレイリスト作成部150、プレイリスト決定部160、及び楽曲データ出力部170を備えて構成されている。
【0044】
楽曲データ取得部110は、楽曲データベース200から、楽曲データを取得可能に構成されている。なお、楽曲データ取得部110で取得される楽曲データは、プレイリストを作成するために利用するデータであるため、必ずしも楽曲を再生するためのデータ(例えば波形データ)でなくともよい。楽曲データ取得部110で取得された楽曲データは、表示部300に出力され表示される。
【0045】
キー楽曲決定部120は、本発明の「キーコンテンツ決定手段」の一例であり、表示部300において、ユーザが選択した楽曲データをキー楽曲として決定する。キー楽曲は、本発明の「キーコンテンツ」の一例であり、プレイリストを作成する際に基準となる楽曲である。プレイリストの作成時には少なくとも1つのキー楽曲が決定される。決定されたキー楽曲に関する情報は、候補楽曲抽出部140に出力される。
【0046】
設定条件決定部130は、本発明の「条件選択手段」の一例であり、表示部300において、ユーザが選択した条件を設定条件として決定する。設定条件は、プレイリストに含まれる候補楽曲を抽出するための条件であり、プレイリストの作成時には少なくとも1つの設定条件が決定される。決定された設定条件に関する情報は、候補楽曲抽出部140に出力される。
【0047】
候補楽曲抽出部140は、楽曲データベース200に記憶されている楽曲データの中から、キー楽曲に続いて再生されるべき候補楽曲を抽出する。候補楽曲は、本発明の「候補コンテンツ」の一例である。候補楽曲の抽出は、設定条件決定部130で決定された設定条件に基づいて行われる。抽出された候補楽曲に関する情報は、プレイリスト作成部150に出力される。なお、候補楽曲抽出部140が実行する候補楽曲を抽出する際の具体的な処理については後に詳述する。
【0048】
プレイリスト作成部150は、キー楽曲決定部120で決定されたキー楽曲、及び候補楽曲抽出部140で抽出された候補楽曲を含むものとして複数のプレイリストを作成する。作成されたプレイリストは、表示部300へと出力され表示される。なお、プレイリスト作成部150は、上述した候補楽曲抽出部140と共に、本発明の「リスト作成手段」の一例を構成している。
【0049】
プレイリスト決定部160は、表示部300において表示された複数のプレイリストの中から、ユーザが選択した一のプレイリストを、再生に使用すべきプレイリストとして決定する。プレイリスト決定部160において決定されたプレイリストに関する情報は、楽曲データ出力部170に出力される。
【0050】
楽曲データ出力部
170は、プレイリスト決定部160において決定されたプレイリストに基づいて、楽曲データを再生装置等に出力する。これにより、プレイリストに含まれるキー楽曲及び候補楽曲がプレイリストに定められた順番で再生されることになる。
【0051】
次に、上述した表示部300における表示態様について、
図2を参照して具体的に説明する。ここに
図2は、実施例に係るプレイリスト作成装置の表示部における表示例を示す平面図である。なお、ここでの表示態様はあくまで一例であり、異なる態様で表示が行われても構わない。
【0052】
図2において、本実施例に係る表示部300は、ユーザが直接触れることにより入力が可能なタッチパネルとして構成されている。ただし、表示部300はタッチパネルではなく、通常の液晶ディスプレイ等で構成されてもよい。この場合には、ユーザの選択操作を実現するために、マウスやキーボード等の入力手段が用いられる。表示部300の表示領域は、プレイリスト構成エリアA1、ブラウズエリアA2及びプレビューエリアA3の3つの領域に分割されている。
【0053】
プレイリスト構成エリアA1は、作成されたプレイリストを表示する領域であり、プレイリスト再生停止ボタン405、プレイリストに含まれるキー楽曲410及び候補楽曲420が表示される。なお、ここでのキー楽曲410及び候補楽曲420は、文字のみを含むアイコンとして表示されているが、例えばCDジャケットやアートワーク等の画像として表示されてもよい。プレイリスト構成エリアA1では、キー楽曲410及び候補楽曲420が再生順序を示す矢印によって結ばれ、分岐するルートのようにプレイリストが表示される。なお、本実施例に係るプレイリスト作成装置100は、数多くのプレイリストを表示する場合もあるため、全てのキー楽曲410及び候補楽曲420を
プレイリスト構成エリアA1に一度に表示することは難しい場合がある。このため、第2表示領域は、上下左右にスクロール可能とされる。なお、より多くの楽曲を一度に表示できるような表示モードへの変更が実行可能とされてもよい。
【0054】
ブラウズエリアA2は、ユーザがキー楽曲
410として選択することができる選択可能楽曲430を表示する領域である。即ち、ブラウズエリアA2は、楽曲データ取得部110(
図1参照)で取得された楽曲データを表示する。なお、本実施例に係るプレイリスト作成装置100は、膨大な数の楽曲データを扱う場合もあるため、全ての選択可能楽曲430をブラウズエリアA2に一度に表示することは難しい。このため、第2表示領域は、上下左右にスクロール可能とされる。なお、より多くの楽曲を一度に表示できるような表示モードへの変更が実行可能とされてもよい。
【0055】
プレビューエリアA3は、再生中の楽曲及びその再生状況を表示するための領域である。プレビューエリアA3には、再生中楽曲440、楽曲名(図中のTrack20)及びアーティスト名(図中のArtist20)を表示する曲情報表示部450、楽曲の再生及び停止を実行するための再生停止ボタン460、並びに詳細な再生状況を示すための再生状態表示部470が配置されている。
【0056】
なお、プレイリスト構成エリアA1、ブラウズエリアA2及びプレビューエリアA3の各領域は、表示及び非表示の切替えや、領域毎の拡大及び縮小操作が実現可能とされている。
【0057】
<動作説明>
次に、本実施例に係るプレイリスト作成装置の全体的な動作について、
図3を参照して説明する。ここに
図3は、実施例に係るプレイリスト作成装置の動作を示すフローチャートである。なお、以下では、本実施例に係るプレイリスト作成装置に特有の動作について詳細に説明し、その他の一般的な動作については適宜省略して説明を進める。
【0058】
図3において、本実施例に係るプレイリスト作成装置100の動作時には、先ず楽曲データベース200から、楽曲データ取得部110によって楽曲データが取得される(ステップS101)。取得された楽曲データは表示部300に出力され、
図2で示したように、ブラウズエリアA2に選択可能楽曲430として表示される(ステップS102)。
【0059】
プレイリストを作成しようとするユーザは、複数の選択可能楽曲430の中からキー楽曲410を選択する。ユーザによる選択が行われると、キー楽曲決定部120により、選択された楽曲がキー楽曲410として決定される。
【0060】
ここで、キー楽曲410の選択方法について、
図4を参照して具体的に説明する。ここに
図4は、キー楽曲の選択方法を示す概念図である。なお、以下では、ユーザがTrack20をキー楽曲として選択する場合について説明する。
【0061】
図4において、ユーザは、ブラウズエリアA2に表示されている選択可能楽曲430のアイコンをタッチして、プレイリスト構成エリアA1にドロップすることで、キー楽曲410を選択する。また、プレビューエリアA3に表示されている再生中楽曲440のアイコンをタッチして、プレイリスト構成エリアA1にドロップすることでも、キー楽曲410を選択することができる。なお、キー楽曲410を複数選択しようとする場合には、再生順を早くしたいキー楽曲410をプレイリスト構成エリアA1の左側、再生順を遅くしたいキー楽曲410を第1表示領域の右側にドロップするようにすればよい。
【0062】
図3に戻り、キー楽曲410が決定されると、設定条件決定部130により、ユーザが選択した条件がプレイリストを作成するための設定条件として決定される(ステップS104)。設定条件は、後述する候補楽曲420の抽出において判断基準となるパラメータとして設定される。なお、設定条件の決定は、プレイリスト作成の開始前に初期設定として実行されてもよい。即ち、設定条件を決定するタイミングは、キー楽曲410の決定直後に限定される訳ではない。
【0063】
設定条件としてユーザが選択し得るパラメータとしては、例えば楽曲のBPM、キー、ジャンル、アーティスト名、リリース日、トラックの長さ(再生時間)、ランキング、リリースされた国、レーティング、購入日、再生回数、前の曲との繋がり回数(即ち、プレイリストに抽出された回数)等が挙げられる。なお、上述したパラメータのうち、BPM、キー、トラックの長さは、楽曲データを分析することで入手することができるが、その他のパラメータに関しては、楽曲データに含まれていない可能性がある。
【0064】
ユーザは上述した設定条件に加えて、プレイリストの総再生時間、プレイリストに含まれる楽曲数又は作成されるプレイリストの数(即ち、ルートの数)を選択できる。なお、これらの条件を設定しないと制限なくプレイリストが作成されてしまうおそれがあるため、ユーザが選択しない場合であっても、所定の上限値を設定しておくことが求められる。
【0065】
ユーザは更に、複数のキー楽曲410を選択する場合、設定条件に基づく候補楽曲420の抽出に利用する相関係数も設定することもできる。以下では、この相関係数について
図5から
図10を参照して具体的に説明する。ここに
図5及び
図8は夫々、キー楽曲間に再生される候補楽曲を抽出するための相関係数を示すグラフである。また
図6及び
図9は夫々、キー楽曲間に再生される候補楽曲を抽出するための相関係数を示す表である。更に
図7及び
図10は夫々、BPMを設定条件とした場合の候補楽曲の抽出方法を示す概念図である。
【0066】
図5において、キー楽曲410が複数決定されている場合には、候補楽曲420がキー楽曲410の間に再生される楽曲として抽出される。よって、例えば第1キー楽曲及び第2キー楽曲間に再生される候補楽曲420は、第1キー楽曲及び第2キー楽曲に対する設定条件とされるパラメータの近似率が図に示すように変化するものとして抽出される。即ち、第1キー楽曲と近いタイミングで再生される候補楽曲420程、第1キー楽曲との設定条件の近似率が高くなるように、また第2キー楽曲と近いタイミングで再生される候補楽曲420程、第2キー楽曲との設定条件の近似率が高くなるように抽出される。このようにすれば、プレイリストを用いた再生を行う場合に、極めてスムーズな楽曲の切替えが実現される。
【0067】
図6において、例えば第1キー楽曲及び第2キー楽曲間に4曲の候補楽曲420を含むプレイリストを作成する場合を考える。この場合、第1キー楽曲の次に再生される第1候補楽曲としては、第1キー楽曲に対する近似率が80且つ第2キー楽曲に対する近似率が20の楽曲が抽出される。以下同様に、第1候補楽曲の次に再生される第2候補楽曲としては、第1キー楽曲に対する近似率が60且つ第2キー楽曲に対する近似率が40の楽曲が抽出される。第2候補楽曲の次に再生される第3候補楽曲としては、第1キー楽曲に対する近似率が40且つ第2キー楽曲に対する近似率が60の楽曲が抽出される。第3候補楽曲の次に再生される第4候補楽曲としては、第1キー楽曲に対する近似率が20且つ第2キー楽曲に対する近似率が80の楽曲が抽出される。
【0068】
図7において、例えば設定条件としてBPMが選択されており、第1キー楽曲のBPMが120、第2キー楽曲のBPMが130であったとする。この場合、第1候補楽曲としては、BPMが122の楽曲が抽出される。第2候補楽曲としては、BPMが124の楽曲が抽出される。第3候補楽曲としては、BPMが126の楽曲が抽出される。第4候補楽曲としては、BPMが128の楽曲が抽出される。
【0069】
図8に示すように、相関係数は比較的複雑な関数に基づく値とされてもよい。即ち、
図5で示した一次関数的な相関係数以外の相関係数を用いることもできる。
【0070】
図9において、
図8に示す相関係数を用いる場合には、第1候補楽曲として、第1キー楽曲に対する近似率が90且つ第2キー楽曲に対する近似率が10の楽曲が抽出される。以下同様に、第2候補楽曲としては、第1キー楽曲に対する近似率が80且つ第2キー楽曲に対する近似率が20の楽曲が抽出される。第3候補楽曲としては、第1キー楽曲に対する近似率が60且つ第2キー楽曲に対する近似率が40の楽曲が抽出される。第4候補楽曲としては、第1キー楽曲に対する近似率が40且つ第2キー楽曲に対する近似率が60の楽曲が抽出される。
【0071】
図10において、
図7と同様に、例えば設定条件としてBPMが選択されており、第1キー楽曲のBPMが120、第2キー楽曲のBPMが130であったとする。この場合、第1候補楽曲としては、BPMが121の楽曲が抽出される。第2候補楽曲としては、BPMが122の楽曲が抽出される。第3候補楽曲としては、BPMが124の楽曲が抽出される。第4候補楽曲としては、BPMが126の楽曲が抽出される。
【0072】
再び
図3に戻り、上述したように設定条件等の各種条件が設定されると、候補楽曲抽出部140による候補楽曲420の抽出処理が実行される(ステップS105)。そして、候補楽曲420が抽出されると、プレイリスト作成部150により、キー楽曲410及び候補楽曲420を含む複数のプレイリストが作成される(ステップS106)。作成された複数のプレイリストは、表示部300に出力され、
図2に示すようにプレイリスト構成エリアA1に表示される。即ち、キー楽曲410を基準として複数の候補楽曲420へと分岐する複数のルートとして表示される。ユーザは、このように表示された複数のプレイリストから、使用したい一のプレイリストを選択する。
【0073】
ユーザによりプレイリストが選択されると、プレイリスト決定部160において、選択されたプレイリストが使用すべきプレイリストとして決定される(ステップS107)。そして、
楽曲データ出力部170により、決定されたプレイリストに応じた音楽データが順次出力される(ステップS108)。こうして本実施例に係るプレイリスト作成装置100の一連の処理は終了する。
【0074】
次に、上述した処理の中でも特に本発明と関連の深い候補楽曲420の抽出処理について、
図11を参照して詳細に説明する。ここに
図11は、実施例に係るプレイリスト作成装置における候補楽曲の抽出処理を示すフローチャートである。
【0075】
図11において、候補楽曲420の抽出処理が開始されると、先ず楽曲データベース200に設定条件を有する楽曲データが存在しているか否かが判定される(ステップS201)。即ち、設定条件として選択されたパラメータを有する楽曲が存在しているか否かが判定される。設定条件となり得るパラメータには、上述したように、楽曲データに必ずしも存在しないパラメータも含まれる。このため、設定条件とされたパラメータを含む楽曲データが存在しない場合には、設定条件に基づく抽出処理を実行することができない。従って、設定条件を有する楽曲データが存在していない場合には(ステップS201:NO)、エラーメッセージが表示部300に表示され(ステップS211)、一連の処理は終了する。
【0076】
一方で、設定条件を有する楽曲データが存在する場合(ステップS201:YES)、設定条件に応じて楽曲データ毎にポイントが算出される。ここでのポイントは、各楽曲データがどれだけ候補楽曲420にふさわしいかを示す値として算出されるものであり、抽出すべき候補楽曲420の設定条件に近い楽曲ほど高いポイントが算出される。なお、設定条件として複数のパラメータが選択されている場合には、各パラメータに対して算出されるポイントの合計値を用いればよい。
【0077】
ポイントが算出されると、ポイントが高い上位の楽曲データのポイントが複数間で互いに同じ値であるか否かが判定される(ステップS203)。ここで、ポイント上位の楽曲データ間でポイントが同じ値でない場合(ステップS203:NO)、最もポイントが高い楽曲データが候補楽曲420として抽出される(ステップS209)。一方で、ポイントが同じ値である場合(ステップS203:YES)、ポイントの最も高い楽曲データが複数存在することになる。よって、このような場合には、設定条件に加えて、設定条件として選択されなかった楽曲のパラメータが新たな条件として設定される。なお、設定条件として選択され得るパラメータには、自動的に優先順位がつけられており、新たな条件を設定する場合には、優先順位の高いパラメータが新たな条件として設定される。
【0078】
各パラメータの優先順位は、例えば高い方から順に、BPM、キー、ジャンル、レーティング、前の曲との繋がり回数、再生回数、アーティスト名、リリース日、ランキング、トラックの長さ、リリースされた国、楽曲購入日として設定される。このような優先順位は、典型的には自動的に設定されるものであるが、ユーザによる設定が可能であっても構わない。
【0079】
新たな条件が設置されると、これまでの処理と同様に、先ず新たな条件を有する楽曲が存在するか否かが判定される(ステップS205)。ここで、新たな条件を有する楽曲が存在しない場合(ステップS205)、更に優先順位の低いパラメータが新たな条件として設定され(ステップS206)、ステップS205の処理が繰り返される。一方で、新たな条件を有する楽曲データが存在する場合(ステップS205:YES)、新たな条件に応じて楽曲データ毎にポイントが算出される。ここでのポイントは、上述した設定条件を用いて算出されるポイントと同様に、各楽曲データがどれだけ候補楽曲420にふさわしいかを示す値として算出されるものである。
【0080】
ポイントが算出されると、ポイントが高い上位の楽曲データのポイントが複数間で互いに同じ値であるか否かが判定される(ステップS208)。そして、ポイント上位の楽曲データ間でポイントが同じ値でない場合(ステップS208:NO)、最もポイントが高い楽曲データが候補楽曲420として抽出される(ステップS209)。一方で、ポイントが同じ値である場合(ステップS208:YES)、ポイントの最も高い楽曲データが複数存在することになる。よって、このような場合には、再び新たな条件の設定が行われる(ステップS206)。
【0081】
以上のように、1つの設定条件だけでは候補楽曲420を抽出できない場合であっても、設定条件として選択されていなかったパラメータを新たな条件として順次設定していくことで、適切に候補楽曲420を抽出できる。なお、優先順位が最も低いパラメータとして、他の楽曲と重複し得ない楽曲名等のパラメータを設定しておけば、ポイントが同じ値となってしまう状況を確実に防止できる。即ち、確実に候補楽曲420を抽出できる。
【0082】
候補楽曲420が抽出されると、候補楽曲420の数が設定した経路数(言い換えれば、プレイリスト数)を満たすか否かが判定される(ステップS210)。そして、設定した経路数を満たしていないと判定されると(ステップS210:NO)、ステップS203以降の処理が再び開始される。なお、この場合の処理は、既に候補楽曲420として抽出された楽曲データは除外された状態で実行される。このような抽出処理を繰り返すことで、複数の候補楽曲420が抽出されていく。そして、設定した経路数が満たされると(ステップS210:YES)、一連の処理は終了する。
【0083】
次に、上述した候補楽曲420の抽出処理の結果として作成される複数のプレイリストについて、
図12から
図15を参照して具体的に説明する。ここに
図12は、BPMを設定条件として作成されるプレイリストの一例を示す概念図であり、
図13は、BPM及びKEYを設定条件として作成されるプレイリストの一例を示す概念図である。また
図14は、BPM又はKEYを設定条件として作成されるプレイリストの一例を示す概念図であり、
図15は、使用するプレイリストが選択された場合の表示例を示す概念図である。
【0084】
なお、以下に示す例では、キー楽曲410として、始点となる第1キー楽曲410a及び終点となる第2キー楽曲
410bが決定されている場合について考える。
【0085】
図12において、例えば設定条件をBPMとして、候補楽曲420の数が2であるプレイリストを2つ作成するという条件が設定されているとする。この場合には、先ずBPMを基準とするポイントの算出が実行され、最も高いポイントを有する楽曲(言い換えれば、第1キー楽曲410aの直後に再生されるのに最もふさわしいBPMを有する楽曲)が、候補楽曲420aとして抽出される。続いて、ポイントが2番目に高い楽曲(言い換えれば、候補楽曲420aに次いで第1キー楽曲410aの直後に再生されるのにふさわしいBPMを有する楽曲)が、候補楽曲420bとして抽出される。
【0086】
候補楽曲が2つ(即ち、設定ルート分だけ)抽出されると、再びBPMを基準とするポイントの算出が実行され、最も高いポイントを有する楽曲(言い換えれば、候補楽曲420aの直後に再生されるのに最もふさわしいBPMを有する楽曲)が、候補楽曲420cとして抽出される。同様に、2番目に高いポイントを有する楽曲(言い換えれば、候補楽曲420cに次いで候補楽曲420aの直後に再生されるのにふさわしいBPMを有する楽曲)が、候補楽曲420dとして抽出される。
【0087】
上述したように、各段階でポイントの高い楽曲の方が上側に表示されることにより、総合的にポイントの高いプレイリストを目立たせて表示することができる。即ち、ユーザに対してより好適にプレイリストを提案できる。なお、上述した表示位置を変化させる手法に加えて或いは代えて、例えば表示アイコンの大きさや色、動き等を変化させる手法を用いてもよい。
【0088】
図13において、例えば設定条件をBPM及びキーとして、候補楽曲420の数が2であるプレイリストを2つ作成するという条件が設定されているとする。この場合には、先ずBPMを基準とするポイントの算出及びキーを基準とするポイント算出が実行され、楽曲データ毎にBPMを基準とするポイント及びキーを基準とするポイントの合計値が算出される。そして、最も高いポイントを有する楽曲が、候補楽曲420aとして抽出される。続いて、ポイントが2番目に高い楽曲が、候補楽曲420bとして抽出される。
【0089】
候補楽曲が2つ抽出されると、再びBPMを基準とするポイントの算出及びキーを基準とするポイント算出が実行され、楽曲データ毎にBPMを基準とするポイント及びキーを基準とするポイントの合計値が算出される。そして、最も高いポイントを有する楽曲が、候補楽曲420cとして抽出される。同様に、2番目に高いポイントを有する楽曲が、候補楽曲420dとして抽出される。
【0090】
図14において、例えば設定条件をBPM又はキーとして、候補楽曲420の数が2であるプレイリストを1つずつ作成するという条件が設定されているとする。この場合には、先ずBPMを基準とするポイントの算出が実行され、最も高いポイントを有する楽曲が、候補楽曲420aとして抽出される。続いて、再びBPMを基準とするポイントの算出が実行され、最も高いポイントを有する楽曲が、候補楽曲420cとして抽出される。
【0091】
BPMを基準とするプレイリストが作成されると、次にキーを基準とするポイントの算出が実行され、最も高いポイントを有する楽曲が、候補楽曲420bとして抽出される。続いて、再びキーを基準とするポイントの算出が実行され、最も高いポイントを有する楽曲が、候補楽曲420dとして抽出される。
【0092】
このように、設定条件が複数設定されている場合でも、その各々についてプレイリストを作成する場合には、候補楽曲420の抽出処理は別々に行われてもよい。
【0093】
図15において、上述したように作成された複数のプレイリストは、ユーザによって選択されることで、再生に使用するプレイリストとして決定される。再生に使用するプレイリストとして決定されたルートは、視覚的に判別できるように強調表示される。例えば図に示すように、候補楽曲420のアイコンの縁取りや矢印が太く表示される。一方で、再生に使用しないプレイリスト(即ち、選択されなかったプレイリスト)は、候補楽曲420のアイコンの縁取りや矢印が薄く表示される。或いは、削除されてもよい。
【0094】
ちなみに、プレイリストは作成後に変更される場合もある。以下では作成後のプレイリストの変更について、
図16から
図18を参照して説明する。ここに
図16及び
図17は夫々プレイリストの作成後に新たなキー楽曲が追加された場合のプレイリストの更新方法を示す概念図である。また
図18は、プレイリストの再生中にプレイリストにない楽曲が選曲された場合のプレイリストの更新方法を示す概念図である。
【0095】
図16において、例えば
図12に示すプレイリストが作成された後に、第2キー楽曲410bの後に再生されるキー楽曲410として第3キー楽曲410cが追加されたとする。この場合には、第2キー楽曲410bと第3キー楽曲410cとの間に再生される候補楽曲420として、新たな候補楽曲420e及び420fが抽出される。なお、第1キー楽曲410aと第2キー楽曲410bとの間に既に作成されていたプレイリストは変更されない。第2キー楽曲410bと第3キー楽曲410cとの間に新たに抽出される候補楽曲420の数やルート数は適宜設定可能である。
【0096】
図17において、例えば
図12に示すプレイリストが作成された後に、第1キー楽曲410a及び第2キー楽曲410bの間に再生されるキー楽曲410として第3キー楽曲410cが追加されたとする。この場合には、第1キー楽曲410aと第3キー楽曲410cとの間に再生される候補楽曲420として、新たな候補楽曲420g及び420hが抽出される。また、第3キー楽曲410cと第2キー楽曲410bとの間に再生される候補楽曲420として、新たな候補楽曲420i及び420jが抽出される。
【0097】
上述したように、キー楽曲410が追加される場合には、その追加位置によってプレイリストの更新方法が異なる。なお、キー楽曲410が削除される場合には、
図16及び
図17で示したようなプレイリストが、
図12に示すようなプレイリストに更新される。また、キー楽曲410が置き換えられた場合にもプレイリストは更新される。
【0098】
図18において、プレイリストは、その再生中においても変更される場合がある。例えば
図12に示すプレイリストの
第1キー楽曲410aの再生中に、ユーザが次に再生される曲を420aに変更したとする。この場合、候補楽曲420aが新たにキー楽曲として扱われ、420c、410d、420kが候補楽曲420aの後に再生される候補楽曲として抽出されることになる。なお、ここでは、候補楽曲420cを再生するルートと、候補楽曲410d及び420kを再生するルートとで、互いに異なる数の候補楽曲が抽出されているが、同じ数の候補楽曲420が抽出されるようにしてもよい(例えば、候補楽曲420kは抽出されなくともよいし、候補楽曲420cの後に他の候補楽曲が抽出されてもよい)。即ち、抽出される候補楽曲420の数は適宜設定することが可能である。
【0099】
このように、再生中においてもプレイリストを更新できるようにすれば、より好適にユーザの意志を反映させてプレイリストを作成することが可能である
なお、上述した各プレイリストは、全てキー楽曲410のみからルート分岐するものであるが、ルート分岐は候補楽曲420を起点にして行われてもよい。以下では、候補楽曲420を起点として分岐するプレイリストについて、
図19を参照して具体的に説明する。ここに
図19は、候補楽曲を起点とする分岐を含むプレイリストの一例を示す概念図である。
【0100】
図19に示すプレイリストでは、キー楽曲410からだけでなく、候補楽曲420c及び候補楽曲420fからもルートが分岐している。このため、候補楽曲420cを通るルートには、候補楽曲420c、候補楽曲420e、候補楽曲420gの順で再生するルート、候補楽曲420c、候補楽曲420f、候補楽曲420gの順で再生するルート、及び候補楽曲420c、候補楽曲420f、候補楽曲420hの順で再生するルートの3つのルートが存在する。
【0101】
このように、候補楽曲420からの分岐を認めることで、より柔軟にプレイリストを作成することが可能となる。
【0102】
以上説明したように、本実施例に係るプレイリスト作成装置100によれば、ユーザが所望するプレイリストを適切に作成することが可能である。
【0103】
なお、上述した実施例では楽曲データのプレイリストを作成する装置について説明したが、条件を設定してプレイリストを作成し得るようなコンテンツを対象とするものであれば、同様にして本発明のプレイリスト作成装置を適用することが可能である。具体的には、本発明のプレイリスト作成装置は、映像データのプレイリストを作成する装置としても構成することができる。
【0104】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うプレイリスト作成装置及びプレイリスト作成方法、並びにプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。