(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の構成においては、メス側コネクタとオス側のコネクタの嵌め合いがきつくなった結果、オス側コネクタのハウジングに外力が加わったときに、メス側コネクタとの嵌合部や、メス側コネクタの基板等に応力が作用し、これらの部分が破損してしまう恐れがある。
また、特許文献2に記載の構成では、電子機器の筐体側及びオス側コネクタのハウジング側の双方に専用の設計が必要になるため、汎用性が低く、また製造コストが高いという問題がある。
【0009】
そこでなされた本発明は、電子機器の筐体側及びコネクタモジュールの双方に専用の設計を伴うことなく、コネクタモジュールのがたつきを抑えることができるコネクタモジュールの補強装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のコネクタモジュールの補強装置は、電子機器における筐体の開口部を通して外部に向けて露出する電子機器側コネクタに挿抜可能に接続されるコネクタモジュールの補強装置であって、前記コネクタモジュールのうち、前記筐体に対して外側に位置する外側部分に装着され、前記筐体の外面に突き当たる突当部を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、コネクタモジュールの外側部分に、こじり方向(電子機器側コネクタへの挿抜方向に直交する方向)への外力等が加わった場合、突当部が筐体の外面に突き当たることで、コネクタモジュールのこじり方向へのがたつきを抑制できる。
また、コネクタモジュールの外側部分および補強装置に対して、こじり方向に作用した外力は、補強装置の突当部を介して筐体の外面に分散される。これにより、電子機器側コネクタとコネクタモジュールとの嵌合部や、各コネクタの回路基板(例えば、電子機器側コネクタの回路基板)に応力が作用するのを防ぎ、これら嵌合部や回路基板等の破損、電気接触不良による信号通信障害を防ぐことができる。
しかも、単にコネクタモジュールに装着するのみで、コネクタモジュールや筐体側に専用の設計が必要ないので、製造コストを抑えた上で、高い汎用性を有する。
【0011】
また、前記突当部には、前記筐体の前記外面に沿う面内に向けて張出部が突設されていてもよい。
この構成によれば、突当部から突設された張出部を備えているため、補強装置と筐体との接触面積を向上させ、コネクタモジュールのがたつきを確実に抑制できる。
【0012】
また、前記補強部材は、前記外側部分を挿入可能な筒状のスリーブと、前記スリーブ内での前記外側部分の位置を固定する固定手段と、を備えていてもよい。
この構成によれば、スリーブ内での外側部分の位置を固定できるため、外側部分または補強装置に、こじり方向への外力等が加わった場合、スリーブと外側部分との位置ずれを抑制できる。そのため、コネクタモジュールのこじり方向へのがたつきを長期に亘って確実に抑制できる。
【0013】
また、前記固定手段は、前記スリーブの内外を貫通するように前記スリーブに螺着された第1ねじ部材を備え、前記第1ねじ部材の先端と前記スリーブの内面との間で前記外側部分を挟持してもよい。
この構成によれば、ねじ部材の締め付けを調整することで、ねじ部材の先端とスリーブの内面のうち、ねじ部材と対向する部分との間の距離を可変できる。そのため、スリーブ内に挿入できる大きさのハウジングであれば、外形の異なる種々の外側部分をスリーブ内に固定することができ、汎用性をさらに高めることができる。
【0014】
また、前記固定手段は、前記固定手段は、前記スリーブ内において前記外側部分を挟持する第1挟持部材及び第2挟持部材を備え、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材のうち、少なくとも前記第1挟持部材は、前記第2挟持部材に向けて付勢されていてもよい。
この構成によれば、コネクタモジュールに補強装置を装着する際、スリーブ内にコネクタモジュールの外側部分を挿入すると、少なくとも第1挟持部材が外側部分によって第2挟持部材に対して離間する方向に押圧されることで弾性変形する。これにより、第1挟持部材の付勢力によって第1挟持部材及び第2挟持部材間に外側部分が挟持された状態で、補強装置を外側部分に装着することができる。これにより、外形の異なる種々の外側部分をスリーブ内に固定することができ、汎用性をさらに高めることができる。
さらに、外側部分をスリーブ内に挿入するだけで補強装置をコネクタモジュールに装着することができるので、補強装置の装着作業を容易に行うことが可能となる。
【0015】
また、前記固定手段は、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材のうち、一方の前記挟持部材に形成された貫通孔を通して、他方の前記挟持部材の雌ねじ部に螺着される第2ねじ部材を備えていてもよい。
この構成によれば、第2ねじ部材を締め付けることで、第2ねじ部材の頭部と他方の挟持部材との距離が接近する。このように、第2ねじ部材の締め付けを調整することで、挟持部材間の距離を調整することができるので、外形の異なる種々の外側部分をスリーブ内に固定することができ、汎用性をさらに高めることができる。
【0016】
また、前記コネクタモジュールは、前記突当部を貫通して前記電子機器側コネクタに挿入されるものであり、前記突当部には、前記コネクタモジュールが貫通された際に、前記外側部分のうち前記電子機器側コネクタ側に位置する端部を覆うよう収納する収容部が連設されていてもよい。
この構成によれば、外側部分のうち電子機器側コネクタ側に位置する端部が収容部内に収容されることで、コネクタモジュールのがたつきを確実に抑制できる。
【0017】
また、前記突当部は、前記開口部内に配置される凸部を備えていてもよい。
この構成によれば、筐体に対するコネクタモジュールの位置ずれを拘束することが可能となり、さらにがたつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、専用の設計を伴うことなく、コネクタモジュールのがたつきを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明によるコネクタモジュールの補強装置の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1、
図2は本発明の第1実施形態の構成を示す図であり、電子機器の筐体10内に設けられたメス側コネクタ(電子機器側コネクタ)20に対し、筐体10の開口部12を通して外方からオス側コネクタ30が嵌合している状態を示す図である。
これらの
図1、
図2に示すように、メス側コネクタ20は、筐体10内に設けられた回路基板21と、回路基板21上に実装されたメス側コネクタハウジング22と、を備えている。
【0021】
メス側コネクタハウジング22は、回路基板21の表面から立設されたベース部22aと、ベース部22aから筐体10の内面に向けて延びる矩形筒状のガイド筒部22bと、ガイド筒部22b内において、ガイド筒部22bと同じ方向に延びる舌部22c(
図1参照)と、を有している。また、ガイド筒部22bと舌部22cとの間の空間が、オス側コネクタ30を受容する受容凹部23とされている。
【0022】
ベース部22aには、回路基板21に向けて延びる複数の脚部24が形成されており、これら脚部24を介してメス側コネクタハウジング22が回路基板21に固定されている。
ガイド筒部22bは、その開口端縁が筐体10の内面に近接または当接しており、筐体10の内側から開口部12を取り囲むように配置されている。これにより、受容凹部23が開口部12を通して外部に向けて露出している。なお、図示の例において、開口部12は、ガイド筒部22bよりも大きくなっている。
【0023】
舌部22cは、例えば樹脂材料等からなり、図示しない接続端子がモールドされている。接続端子は、その一端部が回路基板21に電気的に接続され、他端部が舌部22cの表面に露出している。
【0024】
一方、オス側コネクタ30は、例えばUSBデバイス(コネクタモジュール)31自体に設けられている。このUSBデバイス31は、オス側コネクタ30と、このオス側コネクタ30の先端部を突出させた状態でオス側コネクタ30を覆うハウジング(外側部分)32と、を備えている。
【0025】
オス側コネクタ30は、矩形筒状のガイド筒部30aと、ガイド筒部30a内において、ガイド筒部30aと同じ方向に延びる舌部30bと、を有している。
【0026】
ガイド筒部30aは、上述したメス側コネクタ20のガイド筒部22bよりも小径とされ、筐体10の開口部12を通してガイド筒部22b内(受容凹部23内)に挿抜可能に嵌合されている。
舌部30bは、例えば樹脂材料等からなり、図示しない接続端子がモールドされている。接続端子は、その一端部がハウジング32内で後述する回路基板に電気的に接続され、他端部が舌部30bの表面に露出している。そして、舌部30bは、受容凹部23内でメス側コネクタ20の舌部22cと厚さ方向で重なり合っており、互いの接触端子同士が電気的に接続されている。
【0027】
ハウジング32は、樹脂材料等の絶縁性を有する材料から形成され、回路基板(不図示)が内蔵されている。そして、上述したオス側コネクタ30は、その基端部がハウジング32により覆われており、ハウジング32内で回路基板に実装されている。ハウジング32は、オス側コネクタ30がメス側コネクタ20に嵌合された状態において、筐体10の外側に突出した状態で保持されている。また、この場合、ハウジング32と筐体10との間には、オス側コネクタ30の挿抜方向Lに沿うクリアランスCが設けられている。なお、本実施形態において、ハウジング32は、オス側コネクタ30の挿抜方向Lに直交する断面が長方形状(長辺方向S1および短辺方向S2)とされている。
【0028】
このようなUSBデバイス31には、ハウジング32を覆うように、アウターカバー(補強装置)40が着脱可能に装着されている。
アウターカバー40は、両端が開口した矩形筒状のスリーブ41と、スリーブ41の一端部から外側に向けて張り出す張出部42と、が一体に形成されたものである。
【0029】
スリーブ41は、ハウジング32を挿入可能な大きさに形成されている。図示の例では、スリーブ41の一端部がハウジング32に対して挿抜方向Lに沿うオス側コネクタ30側に突出した状態で、スリーブ41内にハウジング32が挿入されている。具体的に、スリーブ41の一端部は、上述したクリアランスC分、オス側コネクタ30側に突出している。そして、スリーブ41の一端側の端面は、筐体10の外面に沿う面内と平行な平坦面となっており、筐体10の外面に近接または当接する突当部41aを構成している。
【0030】
また、スリーブ41には、内外を貫通するねじ孔43(
図1参照)が形成されている。図示の例において、ねじ孔43は、スリーブ41のうち、ハウジング32と短辺方向S2で対向する部分に挿抜方向Lで2箇所並んで形成されている。
そして、これらねじ孔43には、それぞれねじ部材(固定手段)44がスリーブ41の外側から螺着されている。これらねじ部材44は、その軸部44aがねじ孔43を通してスリーブ41内を進退可能とされている。そして、ねじ部材44における軸部44aの先端部と、ハウジング32の内面と、の間でハウジング32が短辺方向S2に挟持されている。
【0031】
張出部42は、スリーブ41の全周に亘って形成されるとともに、その先端面が筐体10の外面に近接または当接している。
【0032】
(アウターカバーの使用方法)
次に、上述したアウターカバー40の使用方法について説明する。
まず、USBデバイス31のハウジング32をアウターカバー40のスリーブ41内に挿入する。このとき、スリーブ41の一端部をハウジング32に対してオス側コネクタ30側に突出させた状態とする。この状態で、アウターカバー40側のねじ部材44を締め付け、軸部44aの先端部をハウジング32の外面に突き当てる。これにより、スリーブ41内でのスリーブ41に対するUSBデバイス31の位置を固定する。
これにより、USBデバイス31へのアウターカバー40の装着が完了する。
【0033】
次に、アウターカバー40が装着されたUSBデバイス31を電子機器に接続する。すなわち、開口部12を通して露出したメス側コネクタ20の受容凹部23に、オス側コネクタ30を挿抜方向Lに沿って挿入する。すると、USBデバイス31は、ハウジング32と筐体10の外面との間にクリアランスCをあけた状態で、電子機器に接続される。具体的に、メス側コネクタ20のガイド筒部22b内にオス側コネクタ30のガイド筒部30aが嵌合するとともに、各コネクタ20,30の舌部22c,30b同士が厚さ方向で重なり合い、各舌部22c,30bの接触端子同士が電気的に接続される。
【0034】
このとき、アウターカバー40は、スリーブ41の一端部がハウジング32に対してオス側コネクタ30側に突出しているため、アウターカバー40の突当部41aおよび張出部42が筐体10の外面に近接または当接した状態で、USBデバイス31が電子機器に接続される。なお、本実施形態では、アウターカバー40をUSBデバイス31に装着した後に、USBデバイス31を電子機器に接続する構成について説明したが、これに限らず、USBデバイス31を電子機器に接続した後に、アウターカバー40をUSBデバイス31に装着しても構わない。
【0035】
このように本実施形態では、アウターカバー40の突当部41aが筐体10の外面に突き当たった状態で、電子機器のメス側コネクタ20と、USBデバイス31のオス側コネクタ30とを嵌合させる構成とした。
この構成によれば、USBデバイス31のハウジング32またはアウターカバー40に、こじり方向(挿抜方向Lに直交する長辺方向S1および短辺方向S2)への外力等が加わった場合、突当部41aおよび張出部42が筐体10の外面に突き当たることで、USBデバイス31のこじり方向へのがたつきを抑制できる。
また、USBデバイス31のハウジング32またはアウターカバー40に対して、こじり方向に作用した外力は、アウターカバー40の突当部41aおよび張出部42を介して筐体10の外面に分散される。これにより、メス側コネクタ20とオス側コネクタ30との嵌合部や、各コネクタ20,30の回路基板(例えば、メス側コネクタ20の回路基板21)に応力が作用するのを防ぎ、これら嵌合部や回路基板等の破損、電気接触不良による信号通信障害を防ぐことができる。
【0036】
しかも、本実施形態のアウターカバー40は、単にUSBデバイス31に装着するのみで、USBデバイス31や筐体10側に専用の設計が必要ないので、製造コストを抑えた上で、高い汎用性を有する。
さらに、オス側コネクタ30は、単に挿抜方向Lに移動させることで、挿抜を容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態のアウターカバー40は、突当部41aから外側に張り出した張出部42を備えているため、アウターカバー40と筐体10との接触面積を向上させ、USBデバイス31のがたつきを確実に抑制できる。
【0038】
さらに、スリーブ41の内外を貫通するようにねじ部材44を設け、ねじ部材44を螺着することで、ねじ部材44とスリーブ41との間にハウジング32を挟持する構成とした。
この構成によれば、スリーブ41内でのハウジング32の位置を固定できるため、ハウジング32またはアウターカバー40に、こじり方向への外力等が加わった場合、スリーブ41とハウジング32との位置ずれを抑制できる。そのため、USBデバイス31のこじり方向へのがたつきを長期に亘って確実に抑制できる。
さらに、ねじ部材44の締め付けを調整することで、ねじ部材44の先端部とスリーブ41の内面のうち、ねじ部材44と対向する部分との間の距離を可変できる。そのため、スリーブ41内に挿入できる大きさのハウジング32であれば、外形の異なる種々のハウジング32をスリーブ41内に固定することができ、汎用性をさらに高めることができる。
【0039】
(第1実施形態の変形例)
図3は、第1実施形態に係るコネクタの接続構造の変形例を示す斜視外観図である。上述した第1実施形態では、アウターカバー40を一体に形成した場合について説明したが、これに限らず、分割構成しても構わない。
図3に示すように、アウターカバー40’のスリーブ41’は、短辺方向S2に沿う一方側に開放された断面C字状の第1カバー部材46と、第1カバー部材46を閉塞するように組み付けられた断面C字状の第2カバー部材47と、を備えている。
【0040】
第1カバー部材46のうち、長辺方向S1に沿う一方側に位置する側壁部46aには、その厚さ方向(長辺方向S1)に貫通する貫通孔49が挿抜方向Lに沿って2つ並設されている。これら貫通孔49は、短辺方向S2を長軸とする長円形状の長孔とされている。
【0041】
第2カバー部材47は、第1カバー部材46内に収容されるとともに、長辺方向S1に沿う一方側の側壁部47aが上述した第1カバー部材46の側壁部46aに対向している。第2カバー部材47の側壁部47aのうち、上述した貫通孔49と長辺方向S1で対向する部分には、側壁部47aを長辺方向S1に貫通するねじ孔(不図示)がそれぞれ形成されている。
【0042】
第2カバー部材47のねじ孔には、第1カバー部材46の貫通孔49を通してねじ部材45が螺着されている。これらねじ部材45は、その軸部がねじ孔を通してスリーブ41’内に進退可能とされている。そして、ねじ部材45における軸部の先端部と、ハウジング32の内面と、の間でハウジング32が長辺方向S1に挟持されている。
【0043】
ここで、ねじ部材45は、第1カバー部材46の貫通孔49内を短辺方向S2に沿って移動可能に構成されており、これにより第1カバー部材46と第2カバー部材47との短辺方向S2に沿う距離(スリーブ41’内の短辺方向S2に沿う大きさ)を可変できるようになっている。
【0044】
また、各カバー部材46,47のうち、一端側の端面は、筐体10の外面に近接または当接する突当部(不図示)を構成しており、これら突当部には、それぞれ短辺方向S2に沿う外側に向けて張出部46b,47bが突設されている。
【0045】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、スリーブ41’内に挿入するUSBデバイス31の短辺方向S2の厚さに応じて、第1カバー部材46と第2カバー部材47との短辺方向S2に沿う距離を可変することができる。
これにより、外形の異なる種々のハウジング32をスリーブ41’内に固定することができ、汎用性をさらに高めることができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に説明する第2実施形態においては、上述した第1実施形態と共通する構成、例えばメス側コネクタ20やUSBデバイス31の構成については、図中に同符号を付してその説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態に係るコネクタの接続構造を示す側断面図、
図5は、
図4の斜視断面図である。
図4、
図5に示すように、本実施形態のアウターカバー(補強装置)50は、上述した第1実施形態と同様に両端が開口した矩形筒状のスリーブ55と、スリーブ55の一端側の端部(突当部55a)から外側に向けて張り出す張出部56と、を備えている。
【0047】
そして、スリーブ55の内面のうち、短辺方向S2で対向する位置には、スリーブ55内でハウジング32を挟持する一対の板ばね部材(第1挟持部材及び第2挟持部材)51a,51bが設けられている。これら板ばね部材51a,51bは、スリーブ55内において挿抜方向L全体に亘って延在し、一端側(突当部55a側)から他端側に向かうに従い互いに段々と接近するようにクランク状に屈曲形成されている。各板ばね部材51a,51bの一端部は、スリーブ55の突当部55aから内側に向けて突設された板ばね保持部52にそれぞれ片持ち状に保持されている。したがって、各板ばね部材51a,51bは、短辺方向S2の内側に向けて付勢された状態で、一端部を起点にして互いに接近離間する方向に弾性変形可能とされている。
【0048】
各板ばね部材51a,51bのうち、一方の板ばね部材(一方の挟持部材)51aの他端部には、短辺方向S2に沿って貫通する貫通孔59が形成されており、これら貫通孔59内にねじ部材54(第2ねじ部材)が遊挿されている。なお、ねじ部材54は、スリーブ55に形成された収容孔55bを通して板ばね部材51aの貫通孔59内に遊挿されている。
また、各板ばね部材51a,51bのうち、他方の板ばね部材51b(他方の挟持部材)の他端部には、上述したねじ部材54が螺着される雌ねじ部48が形成されている。そして、これら板ばね部材51a,51b及びねじ部材54によって本実施形態の固定手段が構成されている。
【0049】
このような構成において、USBデバイス31にアウターカバー50を装着するためには、スリーブ55の一端側の開口部からUSBデバイス31のハウジング32を挿入する。その後、収容孔55bを通してねじ部材54を締め付ける。すると、ねじ部材54の頭部と板ばね部材51bとの距離が接近することで、板ばね部材51a,51bが一端部を起点にして接近する方向に弾性変形する。
これにより、板ばね部材51a,51bの付勢力によってハウジング32が短辺方向S2に挟持された状態で、アウターカバー50をUSBデバイス31に装着することができる。
【0050】
この構成によれば、上述した各実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、ねじ部材54を締め付けを調整することで、板ばね部材51a,51b間の距離を可変することができるので、外形の異なる種々のハウジング32をスリーブ55内に固定することができ、汎用性をさらに高めることができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以下に説明する第3実施形態においては、上述した第2実施形態と共通する構成ついては、図中に同符号を付してその説明を省略する。
図6は、本発明の第3実施形態に係るコネクタの接続構造を示す側断面図、
図7は、
図6の斜視断面図である。
図6、
図7に示すように、本実施形態のアウターカバー(補強装置)50’では、スリーブ55’における他端側の端部に、それぞれ短辺方向S2の内側に向けて突出する一対の台座部53が形成されている。そして、各台座部53のうち、一方の台座部53には、スリーブ55を短辺方向S2に沿って貫通する貫通孔57が形成され、他方の台座部53には、スリーブ55内に向けて開口するねじ孔58が形成されている。そして、ねじ孔58には、貫通孔57を通してねじ部材54’が螺着されている。
【0052】
そして、スリーブ55の内面のうち、短辺方向S2で対向する位置には、各板ばね保持部52にそれぞれ片持ち状に支持された一対の板ばね部材(第1挟持部材及び第2挟持部材)51’が設けられている。これら板ばね部材51’の他端部には、短辺方向S2に沿って貫通する貫通孔59’が形成されており、これら貫通孔59’内に上述したねじ部材54’が遊挿されている。したがって、板ばね部材51’は、ねじ部材54’に案内された状態で弾性変形するようになっている。なお、これら板ばね部材51’によって本実施形態の固定手段が構成されている。
【0053】
このような構成において、USBデバイス31にアウターカバー50を装着するためには、スリーブ55の一端側の開口部からUSBデバイス31のハウジング32を挿入する。すると、板ばね部材51’が、ハウジング32によって互いに離間する方向に押圧されることで、一端部を起点にして弾性変形する。図示の例では、板ばね部材51’の他端部が台座部53に当接する位置まで弾性変形している。
これにより、板ばね部材51’の付勢力によってハウジング32が短辺方向S2に挟持された状態で、アウターカバー50をUSBデバイス31に装着することができる。
【0054】
この構成によれば、上述した各実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、ハウジング32をアウターカバー50内に挿入するだけでアウターカバー50をUSBデバイス31に装着することができるので、アウターカバー50の装着作業を容易に行うことが可能となる。
【0055】
なお、上述した第3実施形態では、板ばね部材51’の他端部をねじ部材54’により案内するようにしたが、これに限らず、ピン部材等、適宜他の構成を採用できる。また、第2,3実施形態において、板ばね部材51a,51b、51’の形状は適宜設計変更が可能である。さらに、ハウジング32を挟持しうるように、互いに対向する方向に向けて付勢されていれば、板ばね部材51a,51b、51’に限らず、種々の付勢部材を採用することが可能である。
【0056】
さらに、一対の板ばね部材51a,51b、51’間にハウジング32を挟み込んで保持する構成としたが、一枚の板ばね部材(第1挟持部材)51a,51b、51’のみで、アウターカバー50,50’の内面(第2挟持部材)との間にハウジング32を挟み込んで保持するようにしてもよい。すなわち、一対の挟持部材のうち、少なくとも第1挟持部材が第2挟持部材に向けて付勢されていれば構わない。
【0057】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、以下に説明する第4実施形態においては、上述した各実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
図8は、本発明の第4実施形態に係るコネクタの接続構造を示す側断面図であり、
図9は、
図8の斜視外観図である。
図8、
図9に示すように、本実施形態において、USBデバイス31におけるオス側コネクタ30のうち、筐体10に対して外側に位置する外側部分には、フランジプレート(補強装置)60が装着されている。
【0058】
フランジプレート60は、ガイド筒部30aが挿通可能な矩形状の挿入孔60aを有する円板状とされ、この挿入孔60a内にオス側コネクタ30が挿入された状態で、筐体10とハウジング32との間に配置されている。そして、フランジプレート60において、筐体10の外面と対向する面が、本実施形態の突当部を構成している。
【0059】
本実施形態のフランジプレート60を使用するには、まずフランジプレート60の挿入孔60a内にオス側コネクタ30を挿入する。これにより、USBデバイス31へのフランジプレート60の装着が完了する。
次に、フランジプレート60が装着されたUSBデバイス31を電子機器に接続する。これにより、USBデバイス31のハウジング32と筐体10との間にフランジプレート60が挟持された状態で、電子機器のメス側コネクタ20と、USBデバイス31のオス側コネクタ30とが嵌合する。
【0060】
この構成によれば、上述した各実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、筐体10とUSBデバイス31との間にフランジプレート60を挟持するのみなので、ハウジング32の大きさに関わらず使用することができる。そのため、より高い汎用性を有する。
【0061】
(第4実施形態の変形例)
次に、第4実施形態の変形例について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係るコネクタの接続構造の変形例を示す側断面図、
図11は、
図10の斜視外観図である。
図10、
図11に示すフランジプレート(補強装置)60’は、上述した挿入孔60aを有するプレート本体61と、プレート本体61に連設されたハウジング収容部62と、を有している。
【0062】
ハウジング収容部62には、USBデバイス31のハウジング32の先端部を収容可能な収容孔(収容部)62aが形成されている。この収容孔62aは、挿入孔60aに連通するとともに、挿入孔60aよりも大径に形成されている。
【0063】
本実施形態のフランジプレート60’を使用するには、まずフランジプレート60’の挿入孔60a内にオス側コネクタ30を挿入する。すると、ハウジング32の先端部が、フランジプレート60’の収容孔62a内に収容された状態で、フランジプレート60’にUSBデバイス31が装着される。
その後、フランジプレート60’が装着されたUSBデバイス31を電子機器に接続する。これにより、USBデバイス31のハウジング32と筐体10との間にフランジプレート60’が挟持された状態で、電子機器のメス側コネクタ20と、USBデバイス31のオス側コネクタ30とが嵌合する。
【0064】
この構成によれば、上述した各実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、ハウジング32の先端部がフランジプレート60’内に保持されているので、USBデバイス31のがたつきを確実に抑制できる。
【0065】
また、上述した第4実施形態で示したフランジプレート60は円形のプレート状としたが、これに限るものではなく、例えば矩形のプレート状等、他の形状とすることもできる。
【0066】
図12は、本発明の第4実施形態に係るコネクタの接続構造の他の変形例を示す側断面図、
図13は、
図12のコネクタモジュールおよびフランジプレートの斜視外観図である。
図12、
図13に示すフランジプレート(補強装置)60’’は、オス側コネクタ30のガイド筒部30aに対して短辺方向S2の両側に一対のプレート部材63を備えている。
プレート部材63は、USBデバイス31のハウジング32と筐体10との間に配置されるプレート本体64と、プレート本体64から突設された凸部65と、を備えている。そして、プレート本体64において、筐体10の外面と対向する面が、本実施形態の突当部を構成している。
【0067】
凸部65は、筐体10の開口部12内に挿入され、開口部12の内周縁と、オス側コネクタ30のガイド筒部30aと、の間の隙間を埋めるように配置される。これにより、短辺方向S2に沿う筐体10に対するUSBデバイス31の位置ずれを拘束することが可能となり、さらにがたつきを抑えることができる。
なお、この凸部65は、
図8〜
図11に示したフランジプレート60、60’にも同様に形成することができる。また、上述した変形例では、短辺方向S2の両側に凸部65を形成した場合について説明したが、長辺方向S1の両側や、長辺方向S1および短辺方向S2の全周に亘って凸部65を設けても構わない。
【0068】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、以下に説明する第5実施形態においては、上述した第1〜第4実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
図14は、本発明の第5実施形態に係るコネクタの接続構造を示す側断面図、
図15は、
図14の斜視外観図である。
図14、
図15は、本実施形態において、電子機器の筐体10内に設けられたメス側コネクタ(電子機器側コネクタ)70に対し、筐体10の外方からSIM(Subscriber Identity Module)モジュール(コネクタモジュール)80が嵌合している状態を示す図である。
【0069】
これらの
図14、
図15に示すように、メス側コネクタ70は、筐体10内に設けられた回路基板71と、回路基板71上に実装されたメス側モジュール72と、を備えている。
【0070】
メス側モジュール72は、SIMモジュール80のオス側コネクタ81が挿抜可能なガイド筒部72aを有している。ガイド筒部72aは、筐体10の開口部12に向けて開放され、開口部12を通して外部に向けて露出している。また、ガイド筒部72aの内面の一部には、図示しない接触端子が露出している。接触端子は、回路基板71に電気的に接続されている。
【0071】
SIMモジュール80は、メス側コネクタ70のガイド筒部72a内に嵌合されるオス側コネクタ81と、のオス側コネクタ81の先端部を突出させた状態でオス側コネクタ81を覆うハウジング(外側部分)82と、を備えている。
【0072】
オス側コネクタ81は、いわゆるSIMカードであって、基板81aの表面に図示しない接触端子が露出している。
【0073】
ハウジング82は、樹脂材料等の絶縁性を有する材料から形成され、回路基板(不図示)が内蔵されている。そして、上述したオス側コネクタ81における基板81aは、その基端部がハウジング82に覆われており、ハウジング82内で上述した接触端子を介して回路基板等に電気的に接続されている。なお、ハウジング82は、オス側コネクタ81の挿抜方向Lに直交する断面が長方形状(長辺方向S1および短辺方向S2)とされている。
また、ハウジング82は、オス側コネクタ81がメス側コネクタ70に嵌合された状態において、筐体10の外側に突出した状態で保持されている。また、この場合、ハウジング82と筐体10との間には、オス側コネクタ30の挿抜方向Lに沿うクリアランスCが設けられている。
【0074】
このように構成されたハウジング82に対しても、上述した第1実施形態と同様の構成からなるアウターカバー40を装着することができる。
【0075】
そして、上述したSIMモジュール80にアウターカバー40を装着するためには、上述した第1実施形態と同様に、ハウジング82をアウターカバー40のスリーブ41内に挿入する。このとき、スリーブ41の一端部をハウジング82に対してオス側コネクタ81側に突出させた状態とする。この状態で、アウターカバー40側のねじ部材44を締め付け、軸部44aの先端部をハウジング82の外面に突き当てる。これにより、SIMモジュール80へのアウターカバー40の装着が完了する。
その後、SIMモジュール80の基板81aをメス側コネクタ70のガイド筒部72aに、開口部12を通して挿入する。これにより、各コネクタ70,81の接触端子同士が電気的に接続された状態で、各コネクタ70,81が嵌合する。
【0076】
このように、SIMモジュール80に対しても上述したアウターカバー40を装着することが可能なため、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0077】
(第5実施形態の変形例)
図16は、本発明の第4実施形態に係るコネクタの接続構造の変形例を示す側断面図である。
図16に示すSIMモジュール80には、
図12に示したのと同様のフランジプレート60’’が装着されている。
すなわち、オス側コネクタ81の基板81aに対して短辺方向S2の両側に一対のプレート部材63が装着されている。そして、ハウジング82と筐体10との間にプレート本体64が配置され、開口部12内に凸部65が配置されるようになっている。
【0078】
このように、SIMモジュール80に対しても上述したフランジプレート60’’を装着することが可能なため、上述した第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、上述した第1実施形態や第4実施形態の補強装置(アウターカバー40やフランジプレート60’’)に限らず、その他の実施形態で説明した各種補強装置をSIMモジュール80に適用することが可能である。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上述した実施形態では、USBデバイス31やSIMモジュール80等、スティック状あるいはカード状のコネクタモジュールに本発明の補強装置を装着した場合について説明したが、これに限られない。例えば、電子機器と周辺機器を接続するための接続コードの先端に設けられたUSBコネクタやHDMI(High−Definition Multimedia Interface)コネクタ等のコネクタモジュールに対して、本発明の補強装置を装着する構成としても構わない。
さらに、上述した実施形態で説明したUSBデバイス31やSIMモジュール80以外の記録媒体(例えば、SD(Secure Digital)カード等)に、本発明の補強装置を装着する構成としても構わない。
【0080】
また、本発明の補強装置は、コネクタモジュールのうち、筐体10の外側に位置する外側部分(ハウジング32やオス側コネクタ30の基端部等)に装着されていれば構わない。
さらに、上述した第1実施形態では、アウターカバー40のスリーブ41に張出部42を形成し、スリーブ41の突当部41aおよび張出部42を筐体10の外面に近接または当接させる構成について説明したが、これに限らず、張出部42を形成せずに、単にスリーブ41の突当部41aを筐体10に近接または当接させる構成であっても構わない。
さらに、上述した第1,2実施形態では、固定手段としてねじ部材44,45や板ばね部材51a,51b,51’を用いてハウジング32をスリーブ内に固定する構成としたが、これに限らず、嵌め込み構造とする等、適宜他の手法で固定するようにしてもよい。
【0081】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。