(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱膨張性微小球を含有し、架橋されており、使用されているポリマーを構成しているモノマーの少なくとも一種が、N−フェニルマレイミド、または、N−シクロヘキシルマレイミド、または、N−(4−アミノフェニル)マレイミドまたはN置換マレイミド類またはN−(2−アクリロイルオキシエチル)コハク酸イミドまたはN−(2−アクリロイルオキシエチル)マレイミドまたはN−(2−アクリロイルオキシエチル)フタル酸イミドであり、これらのモノマーの合計量は全モノマーの合計重量に対して1〜30重量%であるアクリル系共重合体を含有する熱膨張性粘着剤層を有することを特徴とする熱剥離型粘着シートであって、80℃雰囲気下でのポリエチレンテレフタレートフィルムに対するせん断接着力が15〜80N/cm2である熱剥離型粘着シート。
電子部品加工がコンデンサ、またはインダクタ、またはコイル、または抵抗、若しくは圧電素子、または振動子、またはLED、または半導体、または表示装置のための加工である請求項4に記載の熱剥離型粘着シート。
【背景技術】
【0002】
半導体などでは、ウエハの大口径化(450mm)、薄型化(100μm以下)が進んでおり、またLEDなどの取り扱いに注意を要する化合物半導体の需要が大幅に増大している。
また、近年、電子部品は小型化や精密化が進展しており、例えば、セラミックコンデンサでは0603や0402に代表される大きさが1mmにも満たない小型化や、数百層を大きく超える高積層化による高容量化が顕著となってきている。
それに伴い、特にセラミックコンデンサ等のセラミックの焼成前シート(グリーンシート)には、小型化や精密化によって、加工時の高い精度が要求されるようになってきた。
例えば、セラミックコンデンサは以下の工程により製造される。
(1)グリーンシートへの内部電極印刷工程
(2)積層工程
(3)加圧工程(加圧プレス工程)
(4)切断工程
(5)焼成工程
(積層工程(2)と加圧工程(3)とは、所定回数繰り返された後、切断工程(4)に移る)
これらの工程、例えば、グリーンシートへの内部電極印刷工程(1)では内部電極印刷の精度等、工程(2)では電極位置の精度等、加圧工程(3)では、加圧によりグリーンシートが変形し、電極位置にズレが生じることによる電極位置のズレ防止精度等、工程(4)では切断による精度等が、特に製造時に注意すべき点として挙げられる。そして、これら工程の一つでも精度が悪いと得られる製品が不良品となり、それに伴い生産性が大幅に低下してしまう。
これらの内、グリーンシートへの内部電極印刷工程(1)、積層工程(2)、および切断工程(4)に関しては、機械的な精度が要求されることから、装置の改良による精度の向上が可能である。
加えて、切断工程である工程(4)では、切断精度向上のために熱剥離性粘着シートが広く使用されている。これにより、切断時はしっかりとグリーンシートを固定でき、切断工程後は加熱により粘着力が消失して、切断済みセラミックコンデンサを簡単にシートから剥がすことができる。
【0003】
しかしながら、近年、切断加工時の切断精度を向上させるために、特に押切り加工時には、加温することによってグリーンシートを軟らかくした状態で押切りする工法が広く用いられるようになった。
そして、それに伴い熱剥離型粘着シートに対して高温雰囲気下でもさらに高いグリーンシート保持性が求められるようになってきた。
しかし、これまでのテープでは高温雰囲気下のグリーンシート保持性は、常温に比べて大幅に悪化する傾向にあり、高温押切り加工中に十分なグリーンシート保持性が得られず、チップ飛びやチップのズレが発生しており、そのため、小型、高集積、高容量のチップではさらに加工が困難となっていた。
これに対して、粘着付与樹脂を粘着剤に添加し粘着力を上昇させ、被加工体の粘着剤への保持性を上げる方法がある。そこで、この方法により粘着付与樹脂添加により粘着力を増大させて、チップ飛び抑制を図った。しかし、チップ飛び頻度はわずかに減少するものの、飛躍的改善にはつながらなかった。さらに粘着付与樹脂を添加して、粘着力を増大させると、チップを剥離する際、粘着剤層には十分に強い粘着力が残存することにより、剥離が困難になる結果となった。また、粘着力を増大させる方法としては架橋剤の添加量を減らす、という方法もある。しかしポリマーの組成や架橋形態によっては高温雰囲気下での凝集性が大幅に低下してしまい、粘着剤が凝集破壊を起こして粘着剤ごとチップ剥がれが発生する結果となった。
【0004】
このような現象を解消するため、熱膨張性ではない剥離性の仮固定シートを使用してグリーンシートを切断する手段は特許文献1に記載されているように公知であり、また、熱膨張性微小球と層状珪酸塩を含有する熱膨張性粘着剤層を設けてなる熱剥離型粘着シートも特許文献2に記載されているように公知である。
しかしながら、これらの公知の手段は、80℃雰囲気下での対PETのせん断接着力を特定の範囲としたものではなく、また粘着剤自体が加熱時のチップの保持特性を良好にしたものではない。
このような工程再剥離型粘着剤組成物を用いた熱剥離型粘着シートを利用する方法が広く普及しているが、熱剥離型粘着シートでは、これらの問題点について解決することが出来ない。
また、半導体分野においては、LEDなどの化合物半導体の需要が急速に伸びているが、化合物半導体は、少しの衝撃で破損しやすく、ウエハを薄層化する際のバックグラインドやチップ化する際のダイシング工程などの加工の際は細心の注意が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
通常、グリーンシート保持性を向上させてチップの剥がれを抑制するには、テープの粘着力を高くするという手法が用いられる。しかし、ただ単純に粘着力を高くするだけでは、前記したようにチップの剥がれを十分に抑制できず、また良好な熱剥離性を維持することができない。
特に押切り切断工法は、グリーンシートの表面に対して押切り刃がほぼ垂直に挿入され、同じ軌道でグリーンシートから抜くことにより切断を行う工程である。このような切断工程におけるチップの剥がれを抑制するには、押切り刃が抜かれる時にかかる上方向の力に対抗するように、粘着力は高く設計されることが多い。しかし、チップの剥がれは、押切り刃挿入時に刃の厚み分だけグリーンシートが、一旦刃の面に対して直角方向である水平方向にずらされて、その状態でさらに上方向に力が加わることで剥がれが発生している場合が多いことがわかった。
このため、本発明により、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着剤層が設けられた熱剥離型粘着シートであって、80℃雰囲気下での対PETのせん断接着力が15〜80N/cm
2であることを特徴とする熱剥離型粘着シートを提供する。
そして本発明者らは、高温雰囲気下での押切り工程で水平方向のズレが少なくなるよう、高温でのせん断接着力に優れる粘着剤設計に関して鋭意検討した。
その結果、粘着剤主鎖もしくは側鎖に複素環骨格を導入したポリマーを粘着剤として使用することで高温条件下でも、水平方向のズレを抑制し、チップの剥がれを大幅に低減できるとともに、かつ、十分な熱剥離性を確保できることを見出した。
おそらくは、粘着剤ポリマー中の複素環骨格部位では環骨格の剛直さにより、ズレにつながる分子流動性が抑制され、かつ、複素環であることから分極による分子間力増大により粘着力が高まると予想され、これらの働きが高温環境下でのせん断接着性改善につながっていると考えられる。
【0011】
図1に本発明に用いる熱剥離型粘着シートの1例を示した。
1が支持基材、2がゴム状有機弾性層、3が熱膨張性粘着剤層、4が平滑な剥離可能なフィルム(セパレータ)である。ここで、本発明においては3の熱膨張性粘着剤層が必須であるが、1、2、4は任意選択して設置されるものであり、あってもなくてもよい。なお、1、2、4が設置される場合には、3の少なくとも片面が接着面として利用可能に設置される限りにおいて、どのような順序で設置されてもよい。以下に本発明の熱剥離性粘着シートについて説明する。
【0012】
<基材>
基材は、熱剥離型両面粘着テープ又はシートの支持母体として用いられる。基材としては、例えば、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材、不織布、金属箔、紙、布、ゴムシートなどのゴム系基材、発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。
【0013】
(プラスチック系基材)
基材としては、特にプラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。そのプラスチック系基材の材料としては特に限定されないが、一般にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0014】
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとしては、東レ(株)「ルミラー」、帝人デュポンフィルム(株)「テイジンテトロンフィルム」「メリネックス」、三菱樹脂(株)「ダイアホイル」など、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムとしては、帝人デュポンフィルム(株)「テオネックス」など、ポリイミド(PI)フィルムとしては、東レデュポン(株)「カプトン」、(株)カネカ「アピカル」、宇部興産(株)「ユーピレックス」など、ポリプロピレン(PP)フィルムとしては、東レ(株)「トレファン」、サン・トックス(株)「サントックス」、東洋紡績(株)「パイレンフィルム」など、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルムとしては、三菱樹脂(株)「アルトロン」、アキレス(株)「アキレスタイプC+」など、ポリエチレン(PE)フィルムとしては大倉工業(株)「NSO」など、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムとしては、東レ(株)「トレリナ」など、フッ素フィルムとしては、東レ(株)「トヨフロン」、デュポン(株)「テドラーフィルム」などが挙げられる。なお、基材として、プラスチック系基材が用いられている場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御していてもよい。
【0015】
(不織布)
不織布としては、耐熱性を有する天然繊維による不織布を好適に用いることができ、中でもマニラ麻を含む不織布が好適である。また合成樹脂不織布としては、例えば、ポリプロピレン樹脂不織布、ポリエチレン樹脂不織布、エステル系樹脂不織布などが挙げられる。
【0016】
(金属箔)
金属箔としては、特に限定されず、銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔などの一般的な金属箔の他、前記厚みを有する銀、鉄、ニッケルとクロムとの合金等、各種材質からなるものを用いることができる。
【0017】
(紙)
紙としては、特に限定されないが、一般に、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙などを用いることができる。
【0018】
基材の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば、1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm、特に好ましくは5〜250μm程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
【0019】
基材の表面は、熱膨張性粘着剤層3などとの密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0020】
<熱膨張性粘着剤層>
熱膨張性粘着剤層3は、粘着性を付与するための粘着剤、及び熱膨張性を付与するための熱膨張性微小球を含んでいる。そのため、粘着シートを被着体に貼着した後、任意なときに熱膨張性粘着剤層3を加熱して、熱膨張性微小球を発泡及び/又は膨張処理することにより、熱膨張性粘着剤層3と被着体との接着面積を減少させて、粘着シートを容易に剥離することができる。
その熱膨張性粘着剤層3の厚みは、3〜300μm、好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜100μm程度である。
なお、加熱処理前の適度な接着力と加熱処理後の接着力の低下性のバランスの点から、より好ましい粘着剤は、動的弾性率が常温から150℃において5kPa〜1MPaの範囲にあるポリマーをベースとした感圧接着剤である。
【0021】
熱膨張性粘着剤層3を構成する粘着剤としては、加熱時に熱膨張性微小球の発泡及び/又は膨張を可及的に拘束しないようなものが好ましい。そのような粘着剤として、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、これらの粘着剤に融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合したクリープ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの、公知の粘着剤の中から適宜選択し、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる(例えば、特開昭56−61468号公報、特開昭63−17981号公報参照)。
【0022】
また粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤を好適に用いることができ、特にアクリル系粘着剤が好適である。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が挙げられる。
前記アクリル系粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル(好ましくは(メタ)アクリル酸C4-18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル)などが挙げられる。
【0023】
そのアクリルポリマーを構成する具体的なモノマーとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基のごとき、炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸ないしメタクリル酸等のアクリル酸系アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、スチレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどがある。
【0024】
なお、ゴム系粘着剤としては、天然ゴムや各種の合成ゴム(例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンや、これらの変性体など)をベースポリマーとしたゴム系粘着剤が挙げられる。
【0025】
また、高温雰囲気下でのせん断粘着力を向上させるため、前記アクリルポリマーを構成するモノマーと共重合可能であるモノマーとして、複素環構造を含むモノマーとすることが好ましい。なかでも5員環〜7員環の複素環構造を有するモノマーが適切であり、そのような複素環構造としては窒素を含有する複素環構造を有することが望ましい。また、ホモポリマー形成時のガラス転移温度(Tg)が25℃以上、更に好ましくは40℃以上、更に好ましくは80℃以上の複素環構造を有するモノマーを使用することが好ましい。
具体的には無水マレイン酸、無水マレイミド、例えばチオフェン類、フラン類、チアピラン類、ピロリジン類、ピペリジン類、アクリルイミド類などが挙げられる。
これらは前記アクリルポリマーを構成するモノマーと共重合することで、主鎖もしくは側鎖に複素環構造を導入して、高温条件下でのせん断性向上機能を果たすことになる。
特に本発明にはイミド骨格、マレイミド構造を含んだモノマーが好ましい。具体的にはN−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミドなどのN置換マレイミド類、N-(2-アクリロイルオキシエチル)コハク酸イミド、N-(2-アクリロイルオキシエチル)マレイミド、N-(2-アクリロイルオキシエチル)フタル酸イミド、N-(4-アクリロイルオキシブチル)コハク酸イミド、N-(4-アクリロイルオキシブチル)マレイミド、N-(4-アクリロイルオキシブチル)フタル酸イミド、などのアクリルイミド類が好ましい。
【0026】
複素環構造を有するモノマーは、高温雰囲気下でのせん断接着力を発現するため、好ましい含有量としては、全モノマーの合計重量に対して、1〜30重量%、より好ましくは4〜15重量%である。1〜30重量%とすることにより、アクリルポリマー形成時のガラス転移温度(Tg)が高くなりすぎず、室温下において十分な粘着力を備えた上で、高温条件下でのせん断性向上機能を向上させることができる。
【0027】
なお、前記アクリル系重合体は、凝集力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を含んでいてもよい。このような単量体成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル樹脂系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどの複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子などを有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は1種又は2種以上使用できる。
【0028】
尚、熱膨張性粘着剤層3を構成する前記粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、架橋剤、粘着付与剤、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
【0029】
(架橋剤)
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられ、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を好適に用いることができる。
【0030】
[イソシアネート系架橋剤]
前記イソシアネート系架橋剤としては、具体的には、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業株式会社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業株式会社製)などのイソシアネート付加物などを例示することができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
イソシアネート系架橋剤の配合量は、粘着力をコントロールするのに応じて適宜に決定してよい。ベースポリマー100重量部あたり0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部配合される。
【0031】
[エポキシ系架橋剤]
前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(製品名「テトラッドC」 三菱ガス化学(株)製)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(製品名「エポライト1600」 共栄社化学(株)製)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(製品名「エポライト1500NP」 共栄社化学(株)製)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(製品名「エポライト40E」 共栄社化学(株)製)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(製品名「エポライト70P」 共栄社化学(株)製)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(製品名「エピオールE-400」日本油脂(株)製)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(製品名「エピオールP-200」 日本油脂(株)製)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(製品名「デナコールEX-611」 ナガセケムテックス(株)製)、グリセロールポリグリシジルエーテル(製品名「デナコール EX-314」 ナガセケムテックス(株)製)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(製品名「デナコール EX-512」 ナガセケムテックス(株)製)、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
エポキシ系架橋剤の配合量は、粘着力をコントロールするのに応じて適宜に決定してよい。ベースポリマー100重量部あたり0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部配合される。
【0032】
(粘着付与剤)
粘着付与剤としては、特に制限されず、公知の粘着付与樹脂の中から適宜選択することができる。具体的には、粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系粘着付与樹脂(例えば、未変性ロジン、変性ロジン、ロジンフェノール系樹脂、ロジンエステル系樹脂など)、テルペン系粘着付与樹脂(例えば、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂)、炭化水素系粘着付与樹脂(例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(スチレン系樹脂、キシレン系樹脂など)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂など)、フェノール系粘着付与樹脂(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂、レゾール、ノボラックなど)、ケトン系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂などが挙げられる。粘着付与剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂(スチレン系樹脂など)を好適に用いることができる。
粘着付与剤の配合量は、熱膨張性粘着剤層を形成するベースポリマー100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部である。
【0033】
具体的には、テルペンフェノール樹脂としてはヤスハラケミカル(株)製「YSポリスターS145」「マイティエースK140」、荒川化学(株)製「タマノル901」など、ロジンフェノール樹脂としては、住友ベークライト(株)製「スミライトレジン PR−12603」、荒川化学(株)製「タマノル361」など、アルキルフェノール樹脂としては、荒川化学(株)製「タマノル1010R」、「タマノル200N」など、脂環族系飽和炭化水素樹脂としては、荒川化学(株)製「アルコンP−140」などがあげられる。
【0034】
(可塑剤)
本発明において使用する可塑剤は特に限定されないが、例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アジピン酸系可塑剤などを用いることができ、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤を好適に用いることができる。可塑剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、トリメリット酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリメリット酸トリ(n−オクチル)、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル等のトリメリット酸トリアルキルエステルなどが挙げられる。また、ピロメリット酸エステル系可塑剤としては、例えば、ピロメリット酸テトラ(n−オクチル)、ピロメリット酸テトラ(2−エチルヘキシル)等のピロメリット酸テトラアルキルエステルなどが挙げられる。
可塑剤の配合量は、目的に応じて適宜決定されるが、ベースポリマー100重量部あたり1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部配合される。
【0035】
(熱膨張性微小球)
熱膨張性微小球は特に制限されず、公知の熱膨張性微小球から適宜選択することができ、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。熱膨張性微小球としては、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、メタンのハロゲン化物、テトラアルキルシランのごとき低沸点液体、加熱により熱分解してガス状になるアゾジカルボンアミドなど加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球であればよい。
【0036】
尚、熱膨張性微小球を形成する殻形成物質としては、例えばラジカル重合可能な単量体の重合体により構成される。単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルのごときニトリル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸のごときカルボン酸単量体;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレートのごとき(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンの如きスチレンモノマー;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミドのごときアミド単量体またはこれらの任意の混合物等が例示されるが、本発明においては熱溶融性物質や熱膨張で破壊する物質などからなっていればよい。
【0037】
また殻形成物質は1種類以上の物質による共重合によって製造されてもよく、例えば塩化ビニリデン‐メタクリル酸メチル-アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-メタクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-メタクリロニトリル-イタコン酸共重合体などが挙げられる。
熱膨張性微小球は、慣用の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法などにより製造できる。
【0038】
このような熱膨張性微小球として、例えば、松本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアー」(製品名 F-30、F-30D、F-36LV、F-50、F-50D、F-65、F-65D、FN-100SS、FN-180SS、F-190D、F-260D、F-2800D)、日本フィライト(株)製「エクスパンセル」(製品名 053-40、031-40、920-40、909-80、930-120)、呉羽化学工業(株)製「ダイフォーム」(製品名 H750、H850、H1100、S2320D、S2640D、M330、M430、M520)、積水化学工業(株)製「アドバンセル」(製品名 EML101、EMH204、EHM301、EHM302、EHM303、EM304、EHM401、EM403、EM501)などの市販品を使用することもできる。
【0039】
また、本発明では、熱膨張性微小球として、前記以外のものも用いることができる。このような熱膨張性微小球として、種々の無機系発泡剤や有機系発泡剤などがあげられる。無機系発泡剤の代表的な例としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水酸化ホウ素ナトリウム、各種アジド類などが挙げられる。また、有機系発泡剤の代表的な例としては、例えば、水;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどの塩フッ化アルカン系化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジン系化合物;p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物;5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのN−ニトロソ系化合物などが挙げられる。
【0040】
熱膨張性微小球としては、加熱処理により粘着層の接着力を効率よく低下させるため、体積膨張率が5倍以上、なかでも7倍以上、特に10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有するものが好ましい。
熱膨張性微小球の配合量は、粘着層の膨張倍率や接着力の低下性などに応じて適宜設定しうるが、一般には熱膨張性粘着剤層2を形成するベースポリマー100重量部に対して、例えば1〜150重量部、好ましくは10〜130重量部、さらに好ましくは25〜100重量部である。
【0041】
<ゴム状有機弾性層>
熱剥離型粘着シートの変形性の付与や加熱後の剥離性の向上などの点より、基材と熱膨張性粘着剤層3との間にゴム状有機弾性層2が設けられているが、ゴム状有機弾性層2は、必要に応じて設けられる層であり、必ずしも設けられていなくてもよい。このように、ゴム状有機弾性層2を設けることにより、熱剥離型粘着シートを、熱膨張性粘着剤層3を利用して被着体(被加工品など)に接着させる際に、前記熱剥離型粘着シートにおける熱膨張性粘着剤層3の表面を被着体の表面形状に良好に追従させて、接着面積を大きくすることができ、また、前記熱剥離型粘着シートを被着体から加熱剥離させる際に、熱膨張性粘着剤層3の加熱膨張を高度に(精度よく)コントロールし、熱膨張性粘着剤層3を厚さ方向へ優先的且つ均一に膨張させることができる。
すなわち、ゴム状有機弾性層2は、熱剥離型粘着シートを被着体に接着させる際にその表面が被着体の表面形状に追従して大きい接着面積を提供する働きと、熱剥離型粘着シートより被着体を剥離するために熱膨張性粘着剤層3を加熱して発泡及び/又は膨張させる際に熱剥離型粘着シートの面方向における発泡及び/又は膨張の拘束を少なくして熱膨張性粘着剤層3が三次元的構造変化することによるウネリ構造形成を助長することができる。
【0042】
ゴム状有機弾性層2は、熱膨張性粘着剤層3の基材側の面に、熱膨張性粘着剤層3に重畳させた形態で設けることが好ましい。なお、ゴム状有機弾性層2は、基材と熱膨張性粘着剤層3との間以外にも設けることができる。ゴム状有機弾性層2は、基材の片面又は両面に介在させることができる。
【0043】
ゴム状有機弾性層2には粘着剤層を採用することができ、その材料としては特に制限されず、前記熱膨張性粘着剤層3に例示された粘着剤などを構成材料として好適に用いることができる。前記粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、クリープ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの中から適宜選択することができる。
【0044】
より具体的には、例えば、天然ゴムや合成ゴムをベースポリマーとするゴム系粘着剤、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基のごとき通例、炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸ないしメタクリル酸等のアクリル酸系アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、イコタン酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、スチレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどを主成分とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤などが挙げられる。
【0045】
ゴム状有機弾性層2としては、上記の粘着剤から構成することの他に、天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂により形成することもできる。前記合成樹脂としては、例えば、ニトリル系、ジエン系、アクリル樹脂系などの合成ゴム;ポリオレフィン系、ポリエステル系などの熱可塑性エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニルなどのゴム弾性を有する合成樹脂などが挙げられる。尚、ポリ塩化ビニルなどのように本質的には硬質系ポリマーであっても、可塑剤や柔軟剤等の配合剤との組み合わせによりゴム弾性を発現させて用いることができる。
【0046】
また、これらの材料からなるゴム状有機弾性層2は、上記の熱膨張性粘着剤層と同様に、前記粘着剤や合成樹脂に、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を配合したものであってもよい。
【0047】
ゴム状有機弾性層2の形成は、例えば、ゴム状有機弾性層の構成材料を含むコーティング液を基材1上に塗布する方式(コーティング法)、前記ゴム状有機弾性層形成剤からなるフィルム、又は予め1層以上からなる熱膨張性粘着剤層3上に前記ゴム状有機弾性層形成剤からなる層を形成した積層フィルムを基材1と接着する方式(ドライラミネート法)、支持基材1の構成材料を含む樹脂組成物と前記ゴム状有機弾性層形成剤を含む樹脂組成物とを共押出しする方式(共押出し法)などの適宜な方式で行うことができる。
【0048】
尚、ゴム状有機弾性層2は、かかる成分を主体とする発泡フィルム等で形成されていてもよい。発泡は、慣用の方法、例えば、機械的な攪拌による方法、反応生成ガスを利用する方法、発泡剤を使用する方法、可溶性物質を除去する方法、スプレーによる方法、シンタクチックフォームを形成する方法、焼結法などにより行うことができる。ゴム状有機弾性層2は単層であってもよく、2以上の層で構成してもよい。
【0049】
このようなゴム状有機弾性層2の厚さは、3〜200μm、好ましくは5〜100μmである。3〜200μmの範囲であれば、薄過ぎることなく、熱剥離型粘着シートが被着体の表面形状に追従して大きい接着面積を提供する働きと、熱膨張性粘着剤層3が三次元的構造変化することによるウネリ構造形成を助長する働きを発現することができる。また、必要以上に厚くないので発泡後にゴム状有機弾性層2で凝集破壊が起こることもない。
【0050】
(接着剤層)
本発明の熱剥離型粘着シートにおいて、基材の一方の面に熱膨張性微小球を含有する熱剥離粘着剤層を設けた場合には、基剤の他方の面には、例えば、少なくとも被切断物の切断等の固定すべき対象物を固定させる間、対象物を固定させるために、別に用意した基台に熱剥離型粘着シートを固定させるための接着剤層を設けることができる。
このときの接着剤層も例えば切断等の加工において発生する熱や振動等の刺激に対して安定であることが必要である。
その接着剤層としては、例えば上記粘着剤に使用した樹脂を基剤としたものを使用することができる。
【0051】
<セパレータ>
熱膨張性粘着剤層3などの表面(粘着面)の保護材として、セパレータが用いられているが、セパレータは、必要に応じて用いることができ、必ずしも用いられていなくてもよい。セパレータとしては、両面が離型面となっているものであってもよく、一方の面(片面)のみが離型面となっているものであってもよい。尚、セパレータは、該セパレータにより保護されている粘着剤層を利用する際に、剥がされる。
【0052】
このようなセパレータとしては、公知ないし慣用の剥離紙などを使用できる。具体的には、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離剤層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。もちろん、剥離剤層を有する基材では、剥離剤層表面が離型面であり、低接着性基材では、低接着性基材の表面が離型面である。
尚、セパレータは公知ないし慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に制限されない。
【0053】
熱剥離型粘着シートにおいて、熱膨張性粘着剤層3は、例えば、必要に応じて溶媒を用いて粘着剤、熱膨張性微小球を含むコーティング液を調製し、これを支持基材1又は予め支持基材1上に形成した下記に示すゴム状有機弾性層2上に塗布する方法、適当なセパレータ(剥離紙など)上に前記コーティング液を塗布して熱膨張性粘着剤層を形成し、これを支持基材1又は該ゴム状有機弾性層2上に転写(移着)する方法など、慣用の方法により形成できる。このとき、熱膨張性粘着剤層3は単層、複層の何れであってもよい。
【0054】
熱剥離型粘着シートは、高温切断時のチップの剥がれを抑制するために、80℃雰囲気下でのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)に対するせん断粘着力が15〜80N/cm
2、好ましくは、20〜70N/cm
2が良い。80℃雰囲気下のせん断粘着力が15N/cm
2〜80N/cm
2であると、被着体を十分に保持することができ、高温押切加工時にチップが剥がれることがない。また加熱処理を施して熱膨張性微小球が発泡することにより確実に被着体を剥離することができる。
粘着シートを被着体より容易に剥離できるようにするための加熱処理条件は、被着体の表面状態や熱膨張性微小球の種類等による接着面積の減少性、基材や被着体の耐熱性や加熱方法等の条件により決められるが、一般的な条件は1100〜250℃、1〜90秒間(ホットプレートなど)、または5〜15分間(熱風乾燥器など)である。
【0055】
(本発明の熱剥離型粘着シートの使用方法)
本発明の熱剥離型粘着シートは、専ら電子部品を切断する際に、該電子部品を基板上に固定させるための粘着シートとして使用される。
切断される該電子部品としては、コンデンサ、またはインダクタ、またはコイル、または抵抗、若しくは圧電素子、または振動子、またはLED、または半導体、または表示装置等の電子部品であり、任意の手段によって切断される電子部品である。
このような電子部品を、本発明の熱剥離型粘着シートの粘着力によって基板上に固定する。その後、押し切り刃による押し切り手段、あるいは回転刃による切断方法等の任意の手段によって、該電子部品を切断し、その後本発明の熱剥離型粘着シートを加熱し、熱膨張性粘着剤層を発泡させることにより、熱膨張性粘着剤層の切断された電子部品への粘着力を低下させて、切断された電子部品をピックアップする。
【0056】
本発明において各種測定方法及び評価方法は以下の通りでる。
(ガラス転移温度(Tg)の測定方法)
測定はDSCを用いて、JIS規格(JIS K 7121(2012年):プラスチックのガラス転移温度測定方法)に準じて行った。
なお、上記方法で熱分解などしてTgを示すことがない場合には、そのポリマーのTgは25℃以上あるものと判断した。
(DSCの測定方法)
TA Instruments製 Q200
測定速度:10℃/min
雰囲気ガス:N2(50mL/min)
試料重量:3〜4mg
(80℃雰囲気下でのポリエチレンテレフタレートフィルムに対するせん断接着力の測定方法)
幅:20mm、長さ:140mmの熱剥離型粘着シートのサンプルを作製した。そして、JIS Z 0237(2009年)に準じて該サンプルに被着体(PET #100)を10mm×10mmの接着面積で貼り合せた後(常態)、予め80℃にしておいた高温槽付き引張り試験機にセットし、30分間放置する。その後、被着体:PET#100をせん断方向に剥離速度:50mm/minにて引き剥がした時の荷重をせん断接着力(N/cm
2)とした。
【0057】
(押し切り評価、剥がれたチップの測定方法)
実施例及び比較例で得られる粘着シート(40mm×40mm)に、積層セラミックシート(*1)を貼り合わせ、80℃雰囲気下に5分間放置した後、0420(0.4mm×0.2mm)サイズのチップ状となるよう押切加工(*2)する(約20000個)。この押し切り切断の際に剥がれたチップの数を評価した。
<*1積層セラミックシート作成方法>
チタン酸バリウム(堺化学工業(株)製:商品名『BT-03/高純度ペロブスカイト』)100重量部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製:商品名『PVB』)100重量部(プロピレングリコールモノエチレンエーテル溶解品、10%ベース)、フタル酸ビス(2エチルヘキシル) ((株)ジェイプラス製:商品名『DOP』)6重量部、ジグリセリンオレエート(理研ビタミン(株)製:商品名『リケエール0−71−D(E)』)2重量部、及びトルエンを80重量部を攪拌・混合して、セラミックシート作製用塗工液を調製する。ついで、片面にシリコーン離型剤が塗布されたセパレータ上に、乾燥後の厚みが約50μmとなるように、上記塗工液を塗布し、80℃×5分間の乾燥処理後、セパレータから剥離して、セラミックシートを得る。このセラミックシートを10枚積層し、300kg/cm
2の圧力でプレスし、積層セラミックシートを得る。
<*2押し切り条件>
切断装置メーカー:UHT(株)
切断温度:80℃
切断刃:厚み/100um、先端部角度/15°
【0058】
(加熱剥離性の測定方法)
上記のように熱剥離シート上で押し切り切断されたセラミックシートを130℃の乾燥機に投入し10分間加熱処理する。加熱処理後、熱剥離シートを取り出し、切断済みセラミックシート面が下向きになるよう反転してチップを剥離させた際に、まだ剥離せずに熱剥離シート上に残留しているチップの数を評価する。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸エチル:アクリル酸2エチルヘキシル:ヒドロキシエチルアクリレート=55重量部:45重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤1.5重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を支持基材(PET100μm)上に乾燥後の厚みが15μmになるよう塗布、乾燥し(ゴム状有機弾性層)、ついで、アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸エチル:アクリル酸2エチルヘキシル:ヒドロキシエチルアクリレート:N−フェニルマレイミド=55重量部:45重量部:5重量部:8重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤1.5重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)、熱膨張性微小球30重量部(松本油脂製薬(株)製:商品名『マツモトマイクロスフェアーF−50D』)、ロジンフェノール樹脂20重量部(住友ベークライト(株)製:商品名『スミライトレジンPR−12603』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を、セパレータ(基材PET38μm)上に乾燥後の厚みが40μmになるように塗布、乾燥して(熱膨張性粘着剤層)、乾燥後にゴム状有機弾性層を塗布した支持基材のゴム状有機弾性層側に貼り合わせ、本発明に使用する熱剥離型粘着シートを得た。
【0060】
(実施例2)
アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸エチル:アクリル酸2エチルヘキシル:ヒドロキシエチルアクリレート=70重量部:30重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤1重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を支持基材(PET100μm)上に乾燥後の厚みが20μmになるよう塗布、乾燥し(ゴム状有機弾性層)、ついで、アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸エチル:アクリル酸2エチルヘキシル:ヒドロキシエチルアクリレート:N−シクロヘキシルマレイミド=60重量部:40重量部:5重量部:7重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤1重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)、テルペンフェノール樹脂60重量部(ヤスハラケミカル(株)製:商品名『YSポリスターS145』)、熱膨張性微小球30重量部(松本油脂製薬(株)製:商品名『マツモトマイクロスフェアーF−50D』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を、セパレータ(基材PET38μm)上に乾燥後の厚みが30μmになるように塗布、乾燥して(熱膨張性粘着剤層)、乾燥後ゴム状有機弾性層を塗布した支持基材のゴム状有機弾性層側に貼り合わせ、本発明に使用する熱剥離型粘着シートを得た。
【0061】
(比較例1)
アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸ブチル:アクリル酸 =95重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤1重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を支持基材(PET100μm)上に乾燥後の厚みが15μmになるよう塗布、乾燥し(ゴム状有機弾性層)、ついで、アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸ブチル:アクリル酸 =95重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤1.5重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)、熱膨張性微小球30重量部(松本油脂製薬(株)製:商品名『マツモトマイクロスフェアーF−50D』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を、セパレータ(基材PET38μm)上に乾燥後の厚みが35μmになるように塗布、乾燥して(熱膨張性粘着剤層)、乾燥後にゴム状有機弾性層を塗布した支持基材のゴム状有機弾性層側に貼り合わせ、本発明に使用する熱剥離型粘着シートを得た。
【0062】
(比較例2)
アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸エチル:アクリル酸2エチルヘキシル:ヒドロキシエチルアクリレート=70重量部:30重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤1重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を支持基材(PET100μm)上に乾燥後の厚みが15μmになるよう塗布、乾燥し(ゴム状有機弾性層)、ついで、アクリル系共重合体ポリマー(アクリル酸エチル:アクリル酸2エチルヘキシル:ヒドロキシエチルアクリレート=70重量部:30重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤0.4重量部(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名『コロネートL』)、ロジンフェノール樹脂30重量部(住友ベークライト(株)製:商品名『スミライトレジンPR−12603』)、テルペンフェノール樹脂30重量部(ヤスハラケミカル(株)製:商品名『YSポリスターT160』)、熱膨張性微小球30重量部(松本油脂製薬(株)製:商品名『マツモトマイクロスフェアーF−50D』)とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を、セパレータ(基材PET38μm)上に乾燥後の厚みが35μmになるように塗布、乾燥して(熱膨張性粘着剤層)、乾燥後ゴム状有機弾性層を塗布した支持基材のゴム状有機弾性層側に貼り合わせ、本発明に使用する熱剥離型粘着シートを得た。
【0063】
実施例1〜2及び比較例1〜2で作製した加熱剥離型粘着シートの物性及び特性を表1に示す。
【表1】
本発明の熱剥離型粘着シート(実施例1〜2)は比較例1と比べ、80℃雰囲気下でのせん断接着力(N/cm
2)に優れており、且つ加熱により被着体から容易に剥離できるという特性を有するものであることが判る。また、比較例2のように、せん断接着力が高すぎる場合、熱剥離性が劣ることが判る。