(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。また、型閉じを行う際の可動プラテンの移動方向を前方とし、型開きを行う際の可動プラテンの移動方向を後方として説明する。また、フレームに対して垂直な方向を上下方向として説明する。前後方向、上下方向、および左右方向は互いに垂直な方向である。尚、本実施形態の射出成形機は、横型であるが、竪型であってもよい。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による射出成形機の型閉じ完了時の状態を示す図である。
図2は、本発明の第1実施形態による射出成形機の型開き完了時の状態を示す図である。
【0011】
射出成形機は、金型装置30の型閉じ、型締め、型開きを行う型締装置10等を備える。金型装置30は、例えば固定金型32および可動金型33で構成される。金型装置30は、金型温調機によって所定の温度に保たれる。
【0012】
型締装置10は、フレーム11、固定プラテン12、可動プラテン13、型締用部材としてのリヤプラテン15、連結部材としてのタイバー16、トグル機構20、および型締モータ21等を有する。
【0013】
固定プラテン12は固定プラテン支持部42で支持され、固定プラテン支持部42はフレーム11に固定される。固定プラテン12の金型取付面に固定金型32が取り付けられる。尚、本実施形態の固定プラテン支持部42は、固定プラテン12と別に形成されるが、固定プラテン12と一体に形成されてもよい。
【0014】
可動プラテン13は可動プラテン支持部43で支持され、可動プラテン支持部43はフレーム11上に敷設されるガイド(例えばガイドレール)17に沿って移動自在なガイドブロック14に固定される。これにより、可動プラテン13はフレーム11に対して進退自在とされる。可動プラテン13の金型取付面に可動金型33が取り付けられる。尚、本実施形態の可動プラテン支持部43は、可動プラテン13と別に形成されるが、可動プラテン13と一体に形成されてもよい。
【0015】
リヤプラテン15は、可動プラテン13の後方に配設され、リヤプラテン支持部45で支持される。リヤプラテン支持部45は、フレーム11に進退自在に載置される。尚、本実施形態のリヤプラテン支持部45は、リヤプラテン15と別に形成されるが、リヤプラテン15と一体に形成されてもよい。
【0016】
トグル機構20は、可動プラテン13とリヤプラテン15との間に配設される。トグル機構20は、例えば、フレーム11に対して進退自在なクロスヘッド20a、クロスヘッド20aに入力される推進力を可動プラテン13に伝達する複数のリンクとで構成される。
【0017】
型締モータ21は、回転運動を直線運動に変換する運動変換部としてのボールねじ機構を含み、駆動軸22を進退させることで、クロスヘッド20aを進退させ、トグル機構20を作動させる。
【0018】
次に、
図1および
図2を参照して、上記構成の型締装置10の動作について説明する。
【0019】
図2に示す型開き完了の状態で型締モータ21を駆動して、クロスヘッド20aを前進させ、トグル機構20を作動させると、可動プラテン13が前進させられ、可動金型33と固定金型32とが接触し、型閉じが完了する。
【0020】
型閉じ完了後、型締モータ21を駆動して、型締モータ21による推進力にトグル倍率を乗じた型締力を発生させる。
【0021】
型締め状態の固定金型32と可動金型33との間にキャビティ空間が形成される。キャビティ空間に液状の成形材料(例えば溶融樹脂)を充填し、充填された成形材料が固化されて成形品となる。
【0022】
その後、型締モータ21を駆動して、クロスヘッド20aを後退させ、トグル機構20を作動させると、可動プラテン13が後退させられ、型開きが行われる。型開き完了後、可動金型33から成形品が突き出される。
【0023】
尚、本実施形態の型締装置10は、トグル機構を使用して型締力を発生させるが、トグル機構を使用することなく、型締モータによって発生した推進力を直接型締力として可動プラテン13に伝達してもよい。また、型締装置は、流体圧シリンダによって発生した推進力を直接型締力として可動プラテンに伝達してもよい。また、型締装置は、リニアモータによって型開閉を行い、電磁石によって型締めを行ってもよい。
【0024】
次に、固定プラテン支持部42について説明する。
固定プラテン支持部42は、固定プラテン12の側面を支持する。固定プラテン支持部42は、固定プラテン12の中心位置(詳細には、固定プラテン12における複数本のタイバー16の取付位置の中心位置)を挟んで左右両側に設けられてよい。尚、固定プラテン支持部42は、固定プラテン12における金型取付面(後端面)とは反対側の面(前端面)を支持してもよい。
【0025】
固定プラテン支持部42は、固定プラテン12を側方から支持して、フレーム11と固定プラテン12との間に隙間を形成する。固定プラテン12が上下両方向に熱変形でき、固定プラテン12の温度変化によってフレーム11に対する固定プラテン12の中心位置が上下にずれにくい。また、固定金型32から固定プラテン12に供給された熱が固定プラテン12の下面を介してフレーム11へ移動しにくい。よって、固定プラテン12の温度分布が上下対称になりやすく、固定プラテン12の反りが抑制できる。
【0026】
固定プラテン支持部42は、型締め時などに固定プラテン12に回転モーメントが作用した場合に固定プラテン12を複数点で支持し、フレーム11に対する固定プラテン12の傾きを抑制する。
【0027】
固定プラテン支持部42は、フレーム11からの距離が異なる複数(例えば2つ)の位置で固定プラテン12を支持する。例えば固定プラテン支持部42は、それぞれの一端部が固定プラテン12に接続される第1接続部42bおよび第2接続部42cを有する。第1接続部42bの一端部および第2接続部42cの一端部はフレーム11からの距離が異なる位置で固定プラテン12と接続される。
【0028】
固定プラテン支持部42が固定プラテン12を支持する位置が上下方向に複数存在し、1つのみの場合に比べて、左右方向(図において紙面直交方向)を回転軸線とする固定プラテン12の回転が抑制できる。よって、フレーム11に対する固定プラテン12の傾きが抑制できる。固定金型32と可動金型33との平行度が維持でき、型締力のバランスが維持できる。固定プラテン支持部42が固定プラテン12を支持する複数の位置は、固定プラテン12の中心位置を基準としてフレーム11に近い位置とフレーム11から遠い位置とを含んでよく、上下対称な位置であってよい。固定プラテン12の反りが上下対称になりやすい。
【0029】
第1接続部42bの一端部は、ピンジョイントなどで構成され、固定プラテン12に対して相対的に回動自在に接続される。よって、第1接続部42bの一端部が固定プラテン12と相対的に回動不能に接続される場合に比べて、固定プラテン12から固定プラテン支持部42への回転モーメントの伝達が抑制できる。フレーム11に対する固定プラテン支持部42の傾きが抑制でき、ひいては、フレーム11に対する固定プラテン12の傾きが抑制できる。尚、第1接続部42bの一端部は、ピンジョイントの代わりに、ベアリングなどで構成されてもよい。
【0030】
同様に、第2接続部42cの一端部は、ピンジョイントなどで構成され、固定プラテン12に対して相対的に回動自在に接続される。よって、第2接続部42cの一端部が固定プラテン12と相対的に回動不能に接続される場合に比べて、固定プラテン12から固定プラテン支持部42への回転モーメントの伝達が抑制できる。フレーム11に対する固定プラテン支持部42の傾斜が抑制でき、ひいては、フレーム11に対する固定プラテン12の傾斜が抑制できる。尚、第2接続部42cの一端部は、ピンジョイントの代わりに、ベアリングなどで構成されてもよい。
【0031】
尚、本実施形態では、第1接続部42bの一端部および第2接続部42cの一端部の両方が固定プラテン12に対して相対的に回動自在に接続されるが、いずれか片方が固定プラテン12に対して相対的に回動自在に接続されてもよい。
【0032】
固定プラテン支持部42は、第2接続部42cの他端部と上下方向に相対移動自在に接触するガイド42dを有してよい。ガイド42dは柱部42aに固定され、柱部42aはフレーム11に固定されフレーム11から上方に延びる。柱部42aには第1接続部42bの他端部が固定される。第1接続部42bの他端部と第2接続部42cの他端部とが上下方向に相対移動でき、回転モーメントが吸収できるので、固定プラテン12から固定プラテン支持部42への回転モーメントの伝達が抑制できる。
【0033】
尚、本実施形態の固定プラテン支持部42は、一端部が固定プラテン12に対して相対的に回動自在に接続される接続部を2つ有するが、3つ以上有してもよい。また、本実施形態の固定プラテン支持部42は、接続部の他端部と相対移動自在に接触するガイドを1つ有するが、2つ以上有してもよい。
【0034】
次に、可動プラテン支持部43について説明する。
可動プラテン支持部43は、可動プラテン13の側面を支持する。可動プラテン支持部43は、可動プラテン13の中心位置(詳細には、可動プラテン13におけるトグル機構の複数の取付位置の中心位置)を挟んで左右両側に設けられてよい。尚、可動プラテン支持部43は、可動プラテン13における金型取付面(前端面)とは反対側の面(後端面)を支持してもよい。
【0035】
可動プラテン支持部43は、可動プラテン13を側方から支持して、ガイドブロック14やフレーム11と可動プラテン13との間に隙間を形成する。可動プラテン13が上下両方向に熱変形でき、可動プラテン13の温度変化によってフレーム11に対する可動プラテン13の中心位置が上下にずれにくい。また、可動金型33から可動プラテン13に供給された熱が可動プラテン13の下面を介してフレーム11へ移動しにくい。よって、可動プラテン13の温度分布が上下対称になりやすく、可動プラテン13の反りが抑制できる。
【0036】
可動プラテン支持部43は、型締め時などに可動プラテン13に回転モーメントが作用した場合に可動プラテン13を複数点で支持し、フレーム11に対する可動プラテン13の傾きを抑制する。
【0037】
可動プラテン支持部43は、フレーム11からの距離が異なる複数(例えば2つ)の位置で可動プラテン13を支持する。例えば可動プラテン支持部43は、それぞれの一端部が可動プラテン13に接続される第1接続部43bおよび第2接続部43cを有する。第1接続部43bの一端部および第2接続部43cの一端部はフレーム11からの距離が異なる位置で可動プラテン13と接続される。
【0038】
可動プラテン支持部43が可動プラテン13を支持する位置が上下方向に複数存在し、1つのみの場合に比べて、左右方向(図において紙面直交方向)を回転軸線とする可動プラテン13の回転が抑制できる。よって、フレーム11に対する可動プラテン13の傾きが抑制できる。可動金型33と固定金型32との平行度が維持でき、型締力のバランスが維持できる。可動プラテン支持部43が可動プラテン13を支持する複数の位置は、可動プラテン13の中心位置を基準としてフレーム11に近い位置とフレーム11から遠い位置とを含んでよく、上下対称な位置であってよい。可動プラテン13の反りが上下対称になりやすい。
【0039】
第1接続部43bの一端部は、ピンジョイントなどで構成され、可動プラテン13に対して相対的に回動自在に接続される。よって、第1接続部43bの一端部が可動プラテン13と相対的に回動不能に接続される場合に比べて、可動プラテン13から可動プラテン支持部43への回転モーメントの伝達が抑制できる。フレーム11に対する可動プラテン支持部43の傾きが抑制でき、ひいては、フレーム11に対する可動プラテン13の傾きが抑制できる。尚、第1接続部43bの一端部は、ピンジョイントの代わりに、ベアリングなどで構成されてもよい。
【0040】
同様に、第2接続部43cの一端部は、ピンジョイントなどで構成され、可動プラテン13に対して相対的に回動自在に接続される。よって、第2接続部43cの一端部が可動プラテン13と相対的に回動不能に接続される場合に比べて、可動プラテン13から可動プラテン支持部43への回転モーメントの伝達が抑制できる。フレーム11に対する可動プラテン支持部43の傾斜が抑制でき、ひいては、フレーム11に対する可動プラテン13の傾斜が抑制できる。尚、第2接続部43cの一端部は、ピンジョイントの代わりに、ベアリングなどで構成されてもよい。
【0041】
尚、本実施形態では、第1接続部43bの一端部および第2接続部43cの一端部の両方が可動プラテン13に対して相対的に回動自在に接続されるが、いずれか片方が可動プラテン13に対して相対的に回動自在に接続されてもよい。
【0042】
可動プラテン支持部43は、第2接続部43cの他端部と上下方向に相対移動自在に接触するガイド43dを有してよい。ガイド43dは柱部43aに固定され、柱部43aはガイドブロック14に固定されガイドブロック14から上方に延びる。柱部43aには第1接続部43bの他端部が固定される。第1接続部43bの他端部と第2接続部43cの他端部とが上下方向に相対移動でき、回転モーメントが吸収できるので、可動プラテン13から可動プラテン支持部43への回転モーメントの伝達が抑制できる。
【0043】
尚、本実施形態の可動プラテン支持部43は、一端部が可動プラテン13に対して相対的に回動自在に接続される接続部を2つ有するが、3つ以上有してもよい。また、本実施形態の可動プラテン支持部43は、接続部の他端部と相対移動自在に接触するガイドを1つ有するが、2つ以上有してもよい。
【0044】
次に、リヤプラテン支持部45について説明する。
リヤプラテン支持部45は、リヤプラテン15の側面を支持する。リヤプラテン支持部45は、リヤプラテン15の中心位置(詳細には、リヤプラテン15における複数本のタイバー16の取付位置の中心位置)を挟んで左右両側に設けられてよい。尚、リヤプラテン支持部45は、リヤプラテン15の前端面または後端面を支持してもよい。
【0045】
リヤプラテン支持部45は、リヤプラテン15を側方から支持して、フレーム11とリヤプラテン15との間に隙間を形成する。リヤプラテン15が上下両方向に熱変形でき、リヤプラテン15の温度変化によってフレーム11に対するリヤプラテン15の中心位置が上下にずれにくい。また、リヤプラテン15の熱がリヤプラテン15の下面を介してフレーム11へ移動しにくい。よって、リヤプラテン15の温度分布が上下対称になりやすく、リヤプラテン15の反りが抑制できる。
【0046】
リヤプラテン支持部45は、型締め時などにリヤプラテン15に回転モーメントが作用した場合にリヤプラテン15を複数点で支持し、フレーム11に対するリヤプラテン15の傾きを抑制する。
【0047】
リヤプラテン支持部45は、フレーム11からの距離が異なる複数(例えば2つ)の位置でリヤプラテン15を支持する。例えばリヤプラテン支持部45は、それぞれの一端部がリヤプラテン15に接続される第1接続部45bおよび第2接続部45cを有する。第1接続部45bの一端部および第2接続部45cの一端部はフレーム11からの距離が異なる位置でリヤプラテン15と接続される。
【0048】
リヤプラテン支持部45がリヤプラテン15を支持する位置が上下方向に複数存在し、1つのみの場合に比べて、左右方向(図において紙面直交方向)を回転軸線とするリヤプラテン15の回転が抑制できる。よって、フレーム11に対するリヤプラテン15の傾きが抑制できる。トグル機構の姿勢の変化が抑制でき、型締力のバランスが維持できる。リヤプラテン支持部45がリヤプラテン15を支持する複数の位置は、リヤプラテン15の中心位置を基準としてフレーム11に近い位置とフレーム11から遠い位置とを含んでよく、上下対称な位置であってよい。リヤプラテン15の反りが上下対称になりやすい。
【0049】
第1接続部45bの一端部は、ピンジョイントなどで構成され、リヤプラテン15に対して相対的に回動自在に接続される。よって、第1接続部45bの一端部がリヤプラテン15と相対的に回動不能に接続される場合に比べて、リヤプラテン15からリヤプラテン支持部45への回転モーメントの伝達が抑制できる。フレーム11に対するリヤプラテン支持部45の傾きが抑制でき、ひいては、フレーム11に対するリヤプラテン15の傾きが抑制できる。尚、第1接続部45bの一端部は、ピンジョイントの代わりに、ベアリングなどで構成されてもよい。
【0050】
同様に、第2接続部45cの一端部は、ピンジョイントなどで構成され、リヤプラテン15に対して相対的に回動自在に接続される。よって、第2接続部45cの一端部がリヤプラテン15と相対的に回動不能に接続される場合に比べて、リヤプラテン15からリヤプラテン支持部45への回転モーメントの伝達が抑制できる。フレーム11に対するリヤプラテン支持部45の傾斜が抑制でき、ひいては、フレーム11に対するリヤプラテン15の傾斜が抑制できる。尚、第2接続部45cの一端部は、ピンジョイントの代わりに、ベアリングなどで構成されてもよい。
【0051】
尚、本実施形態では、第1接続部45bの一端部および第2接続部45cの一端部の両方がリヤプラテン15に対して相対的に回動自在に接続されるが、いずれか片方がリヤプラテン15に対して相対的に回動自在に接続されてもよい。
【0052】
リヤプラテン支持部45は、第2接続部45cの他端部と上下方向に相対移動自在に接触するガイド45dを有してよい。ガイド45dは柱部45aに固定され、柱部45aはフレーム11に進退自在に載置されフレーム11から上方に延びる。柱部45aには第1接続部45bの他端部が固定される。第1接続部45bの他端部と第2接続部45cの他端部とが上下方向に相対移動でき、回転モーメントが吸収できるので、リヤプラテン15からリヤプラテン支持部45への回転モーメントの伝達が抑制できる。
【0053】
尚、本実施形態のリヤプラテン支持部45は、一端部がリヤプラテン15に対して相対的に回動自在に接続される接続部を2つ有するが、3つ以上有してもよい。また、本実施形態のリヤプラテン支持部45は、接続部の他端部と相対移動自在に接触するガイドを1つ有するが、2つ以上有してもよい。
【0054】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態による可動プラテンおよび可動プラテン支持部を示す図である。可動プラテン支持部143は、可動金型133が取り付けられる可動プラテン113の側面を支持する。可動プラテン支持部143は、可動プラテン113の中心位置(詳細には、可動プラテン113におけるトグル機構の複数の取付位置の中心位置)を挟んで左右両側に設けられてよい。尚、可動プラテン支持部143は、可動プラテン113における金型取付面(前端面)とは反対側の面(後端面)を支持してもよい。
【0055】
可動プラテン支持部143は、可動プラテン113を側方から支持して、フレーム111等と可動プラテン113との間に隙間を形成する。可動プラテン113が上下両方向に熱変形でき、可動プラテン113の温度変化によってフレーム111に対する可動プラテン113の中心位置が上下にずれにくい。また、可動プラテン113の熱が可動プラテン113の下面を介してフレーム111に移動しにくい。よって、可動プラテン113の温度分布が上下対称になりやすく、可動プラテン113の反りが抑制できる。
【0056】
可動プラテン支持部143は、型締め時などに可動プラテン113に回転モーメントが作用した場合に可動プラテン113を複数点で支持し、フレーム111に対する可動プラテン113の傾きを抑制する。
【0057】
可動プラテン支持部143は、フレーム111からの距離が異なる複数(例えば2つ)の位置で可動プラテン113を支持する。例えば、可動プラテン支持部143は、それぞれの一端部が可動プラテン113に対してフレーム111からの距離が異なる位置で連結される第1連結部151および第2連結部152を有する。
【0058】
可動プラテン支持部143が可動プラテン113を支持する位置が上下方向に複数存在し、1つのみの場合に比べて、左右方向(図において紙面直交方向)を回転軸線とする可動プラテン113の回転が抑制できる。フレーム111に対する可動プラテン113の傾きが抑制できる。よって、型閉じ完了時に可動プラテン113とリヤプラテンとの間に形成されるギャップが上下対称になり、吸着力のバランスが維持でき、型締力のバランスが維持できる。可動プラテン支持部143が可動プラテン113を支持する複数の位置は、可動プラテン113の中心位置を基準としてフレーム111に近い位置とフレーム111から遠い位置とを含んでよく、上下対称な位置であってよい。可動プラテン113の反りが上下対称になりやすい。
【0059】
可動プラテン支持部143は、第1連結部151の他端部である第1ガイドブロック151aおよび第2連結部152の他端部である第2ガイドブロック152aのそれぞれと相対移動自在に接触するガイド153をさらに有する。ガイド153はフレーム111に固定される。第1ガイドブロック151aおよび第2ガイドブロック152aが前後方向に相対移動でき、回転モーメントが吸収できるので、可動プラテン113から可動プラテン支持部143への回転モーメントの伝達が抑制できる。
【0060】
第1連結部151は、第1ガイドブロック151a、第1ガイドブロック151aから上方に延びる第1柱部151b、および第1柱部15
1bと可動プラテン113とを連結する第1腕部151cを有する。尚、本実施形態の第1連結部151の一端部は、可動プラテン113に対して相対的に回動不能に連結されるが、可動プラテン113に対して相対的に回動自在に連結されてもよい。
【0061】
第2連結部152は、第2ガイドブロック152a、第2ガイドブロック152aから上方に延びる第2柱部152b、および第2柱部152bと可動プラテン113とを連結する第2腕部152cを有する。尚、本実施形態の第2連結部152の一端部は、可動プラテン113に対して相対的に回動不能に連結されるが、可動プラテン113に対して相対的に回動自在に連結されてもよい。
【0062】
第1柱部151bは、第2柱部152bよりも長いので、第2柱部152bよりも太く形成されてよい。第1連結部151の剛性と、第2連結部152の剛性とが同程度になり、可動プラテン113の反りが可動プラテン113の中心位置を中心に上下に対称になりやすい。尚、第1腕部151cが第2腕部152cよりも太くてもよい。
【0063】
また、第1柱部151bは、第2柱部152bよりも長いので、第2柱部152bよりも可動プラテン113に近い位置に配設されてよい。つまり、第1腕部151cは第2腕部152cよりも短くてよい。第1連結部151の剛性と、第2連結部152の剛性とが同程度になり、可動プラテン113の反りが可動プラテン113の中心位置を中心に上下に対称になりやすい。尚、第1腕部151cがなく、第1柱部151bの上端部が可動プラテン113と連結されてもよい。
【0064】
尚、本実施形態の可動プラテン支持部143は、一端部が可動プラテン113に対して連結される連結部を2つ有するが、3つ以上有してもよい。また、本実施形態の可動プラテン支持部143は、連結部の他端部と移動自在に接触する接触部を1つ有するが、複数有してもよい。
【0065】
本実施形態は、可動プラテン支持部について説明したが、固定プラテン支持部、リヤプラテン支持部についても適用できる。
【0066】
例えば、固定プラテン支持部は、それぞれの一端部が固定プラテンに対してフレームからの距離が異なる位置で連結される第1連結部および第2連結部と、第1連結部の他端部と相対移動自在に接触するガイドとを有してよい。当該ガイドによって、第1連結部の他端部と第2連結部の他端部とが相対移動自在とされる。第1連結部の他端部は、フレームに進退自在に載置されてもよい。第2連結部の他端部は、フレームに固定される。フレームが固定プラテン支持部に含まれてよい。
【0067】
また、リヤプラテン支持部は、それぞれの一端部がリヤプラテンに対してフレームからの距離が異なる位置で連結される第1連結部および第2連結部と、第1連結部の他端部および第2連結部の他端部のそれぞれと相対移動自在に接触するガイドとを有してよい。当該ガイドによって、第1連結部の他端部と第2連結部の他端部とが相対移動自在とされる。第1連結部の他端部および第2連結部の他端部は、それぞれ独立にフレームに進退自在に載置されてもよい。フレームがリヤプラテン支持部に含まれてよい。
【0068】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態による可動プラテンおよび可動プラテン支持部を示す図である。可動プラテン支持部243は、可動プラテン213における金型取付面(前端面)とは反対側の面(後端面)および下面を支持する。尚、可動プラテン支持部243は、可動プラテン213の後端面の代わりに側面を支持してもよい。
【0069】
可動プラテン支持部243は、型締め時などに可動プラテン213に回転モーメントが作用した場合に可動プラテン213を複数点で支持し、フレーム211に対する可動プラテン213の傾きを抑制する。
【0070】
可動プラテン支持部243は、フレーム211からの距離が異なる複数(例えば2つ)の位置で可動プラテン213を支持する。例えば、可動プラテン支持部243は、それぞれの一端部が可動プラテン213に対してフレーム211からの距離が異なる位置で連結される第1連結部251および第2連結部252を有する。
【0071】
可動プラテン支持部243が可動プラテン213を支持する位置が上下方向に複数存在し、1つのみの場合に比べて、左右方向(図において紙面直交方向)を回転軸線とする可動プラテン213の回転が抑制できる。フレーム211に対する可動プラテン213の傾きが抑制できる。よって、型閉じ完了時に可動プラテン213とリヤプラテンとの間に形成されるギャップが上下対称になり、吸着力のバランスが維持でき、型締力のバランスが維持できる。可動プラテン支持部243が可動プラテン213を支持する複数の位置は、可動プラテン213の中心位置を基準としてフレーム211に近い位置とフレーム211から遠い位置とを含んでよく、上下対称な位置であってよい。可動プラテン213の反りが上下対称になりやすい。
【0072】
第1連結部251は、ガイドブロック253から上方に延びる柱部251a、柱部251aと可動プラテン213とを連結する腕部251bとを有する。
【0073】
第1連結部251の一端部は、可動プラテン213の後端面に相対的に回動不能に連結される。尚、第1連結部251の一端部は、可動プラテン213の後端面に相対的に回動自在に連結されてもよい。
【0074】
第1連結部251の他端部は、ガイドブロック253に固定される。
【0075】
第2連結部252は、フレーム211に敷設されるガイド217に沿って移動自在なガイドブロック253と可動プラテン213とを連結する。
【0076】
第2連結部252の一端部は、可動プラテン213の下面に相対的に回動不能に連結される。尚、第2連結部252の一端部は、可動プラテン213の下面に相対的に回動自在に連結されてもよい。
【0077】
第2連結部252の他端部は、ガイドブロック253に相対移動自在に載置される。これにより、第1連結部251の他端部と第2連結部252の他端部とが相対
移動自在とされる。尚、第2連結部252の他端部は、ガイドブロック253に敷設されるガイドと相対移動自在に接触してもよい。
【0078】
尚、第1連結部251の他端部がガイドブロック253に対して相対移動自在とされ、第2連結部252の他端部がガイドブロック253に対して固定されてもよい。
【0079】
第1連結部251、第2連結部252、およびガイドブロック253で可動プラテン支持部243が構成される。
【0080】
尚、第2連結部252がなくてもよい。例えば、第1連結部251の他端部がガイドブロック253に固定され、ガイドブロック253が可動プラテン213と相対移動自在に接触してよい。また、可動プラテン213がガイドブロック253に固定され、第1連結部251の他端部がガイドブロック253に対して相対移動自在とされてもよい。いずれの場合でも回転モーメントが吸収できる。
【0081】
本実施形態は、可動プラテン支持部について説明したが、固定プラテン支持部、リヤプラテン支持部についても適用できる。
【0082】
例えば、固定プラテン支持部は、固定プラテンを前方および下方から支持してよく、一端部が固定プラテンに連結される連結部、および固定プラテンと接触するフレームを有してもよい。連結部の他端部がフレームに対して固定され、フレームが固定プラテンと相対移動自在に接触してよい。また、連結部の他端部がフレームに対して相対移動自在とされ、フレームに固定プラテンが固定されてもよい。回転モーメントが吸収できる。尚、固定プラテン支持部は、固定プラテンを側方および下方から支持してもよいし、固定プラテンを側方、前方および下方から支持してもよい。
【0083】
また、リヤプラテン支持部は、リヤプラテンを後方および下方から支持してよく、一端部が固定プラテンに連結される連結部、およびリヤプラテンと接触するフレームを有してもよい。連結部の他端部はフレームに対して相対移動自在とされ、フレームはリヤプラテンと相対移動自在に接触してよい。回転モーメントが吸収できる。尚、リヤプラテン支持部は、リヤプラテンを側方および下方から支持してもよいし、リヤプラテンを側方、後方および下方から支持してもよい。
【0084】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4実施形態による可動プラテンおよび可動プラテン支持部を示す図である。
【0085】
可動プラテン支持部343は、可動プラテン313における金型取付面(前端面)とは反対側の面(後端面)を支持する。可動プラテン支持部343は、可動プラテン313の中心位置を挟んで左右両側に設けられてよい。尚、可動プラテン支持部343は、可動プラテン313の側面を支持してもよい。
【0086】
可動プラテン支持部343は、可動プラテン313を後方から支持して、ガイドブロック314やフレーム311と可動プラテン313との間に隙間を形成する。可動プラテン313が上下両方向に熱変形でき、可動プラテン313の温度変化によってフレーム311に対する可動プラテン313の中心位置が上下にずれにくい。また、可動金型から可動プラテン313に供給された熱が可動プラテン313の下面を介してフレーム311へ移動しにくい。よって、可動プラテン313の温度分布が上下対称になりやすく、可動プラテン313の反りが抑制できる。
【0087】
可動プラテン支持部343は、型締め時などに可動プラテン313に回転モーメントが作用した場合に可動プラテン313を複数点で支持し、フレーム311に対する可動プラテン313の傾きを抑制する。
【0088】
可動プラテン支持部343は、フレーム311からの距離が異なる複数(例えば2つ)の位置で可動プラテン313を支持する。例えば可動プラテン支持部343は、ガイドブロック314に固定され上方に延びる柱部343aと、柱部343aと可動プラテン313とを連結する第1腕部343b、および柱部343aと可動プラテン313とを連結する第2腕部343cとを有する。柱部343aは可動プラテン313と接触しておらず、第1腕部343bの一端部および第2腕部343cの一端部はフレーム311からの距離が異なる位置で可動プラテン313と連結される。
【0089】
可動プラテン支持部343が可動プラテン313を支持する位置が上下方向に複数存在し、1つのみの場合に比べて、左右方向(図において紙面直交方向)を回転軸線とする可動プラテン313の回転が抑制できる。よって、フレーム311に対する可動プラテン313の傾きが抑制できる。可動金型と固定金型との平行度が維持でき、型締力のバランスが維持できる。可動プラテン支持部343が可動プラテン313を支持する複数の位置は、可動プラテン313の中心位置を基準としてフレーム311に近い位置とフレーム311から遠い位置とを含んでよく、上下対称な位置であってよい。可動プラテン313の反りが上下対称になりやすい。
【0090】
尚、可動プラテン支持部343は、第1実施形態の可動プラテン支持部43、第2実施形態の可動プラテン支持部143、または第3実施形態の可動プラテン支持部243と同様に構成されてもよい。
【0091】
可動プラテン313は、可動プラテン313に作用する回転モーメントを吸収するように変形する変形部としての溝部313aを有する。溝部313aは可動プラテン313を左右方向(図において紙面垂直方向)に貫通してよい。溝部313aの変形によって回転モーメントが吸収され、可動プラテン313から可動プラテン支持部343に伝達される回転モーメントが小さい。フレーム311に対する可動プラテン支持部343の傾斜が抑制でき、ひいては、フレーム311に対する可動プラテン313の傾斜が抑制できる。
【0092】
溝部313aは、可動プラテン313の中心位置とフレーム311からの距離が略同じ位置に形成されてよく、電磁石の中心位置とフレーム311からの距離が略同じ位置に形成されてよい。電磁石が形成する磁場の磁力線がほとんど通らない位置に溝部313aが形成されるため、磁気抵抗の増加が抑制でき、高い吸着力が得られる。また、可動プラテン313の変形が可動プラテン313の中心位置を中心に上下対称に生じるので、フレーム311に対する可動プラテン313の傾斜が抑制できる。
【0093】
本実施形態は、可動プラテンについて説明したが、固定プラテン、リヤプラテンについても適用できる。固定プラテン、リヤプラテンがそれぞれに作用する回転モーメントを吸収するように変形する変形部を有してもよい。
【0094】
以上、射出成形機の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内で、種々の変形、改良が可能である。
【0095】
例えば、上記実施形態では、固定プラテン支持部がフレームに固定され、リヤプラテン支持部がフレームに進退自在に載置されるが、固定プラテン支持部がフレームに進退自在に載置され、リヤプラテン支持部がフレームに固定されてもよい。型締力に応じたタイバーの伸びが許容できればよい。
【0096】
また、上記実施形態の型締装置は3プラテン式であるが、2プラテン式でもよく、固定プラテンおよび可動プラテンを有し、リヤプラテンを有さなくてもよい。また、型締装置はタイバーレス式でもよい。
【0097】
また、
図5に示す可動プラテン支持部343において、可動プラテン313と第1腕部(第1連結部)343bとの間、可動プラテン313と第2腕部(第2連結部)343cとの間、第1腕部343bと柱部343aとの間、第2腕部343cと柱部343aとの間の少なくともいずれかにガイドが設けられてもよい。例えば可動プラテン313および柱部343aのいずれかに設けられるガイドが、第1腕部343bおよび第2腕部343cのいずれかと相対移動自在に接触してよい。回転モーメントが吸収できる。この場合、可動プラテン313には溝部313aがあってもなくてもよい。固定プラテン支持部、リヤプラテン支持部について
も同様である。