(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力端子に接続された交流電源を整流し、整流された入力整流電圧を出力する整流部と、前記整流部の出力と接地との間で直列接続されたハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを有するスイッチング部と、一端が前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチの接続点に接続された一次側巻線および前記一次側巻線に磁気的に結合された二次側巻線を有するトランス部と、前記二次側巻線の両端に発生した交流電圧を整流平滑し、整流平滑された直流電圧を出力端子に出力する整流平滑部と、前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを相補的に導通状態または遮断状態に制御するスイッチ制御回路とを備える絶縁型スイッチング電源に用いられ、前記スイッチ制御回路に動作電力を供給する電力供給回路であって、
前記一次側巻線の電圧に基づく補助電圧が入力される補助電圧入力端子と、
前記入力整流電圧が入力される電圧入力端子と、
前記交流電源に基づくモニタ電圧が入力されるラインセンス端子と、
前記スイッチ制御回路に動作電力を供給する電力供給端子と、
前記補助電圧が切替閾値未満の場合には、前記電圧入力端子に入力された前記入力整流電圧に基づく電圧を前記電力供給端子から出力し、前記補助電圧が前記切替閾値以上の場合には、前記補助電圧入力端子に入力された前記補助電圧に基づく電圧を前記電力供給端子から出力する電力供給切替部と、
前記ラインセンス端子に入力される前記モニタ電圧が入力閾値を下回った場合に、電圧低下信号を出力する入力電圧監視部と、
前記入力電圧監視部から前記電圧低下信号を受信すると、前記補助電圧入力端子を接地して前記補助電圧を放電させる放電部と、を備え、
前記電力供給切替部は、
一端が前記電圧入力端子に接続され、他端が前記電力供給端子に接続された第1のスイッチと、
入力端が前記補助電圧入力端子に接続され、出力端が前記第1のスイッチの他端に接続され、前記補助電圧を所定の電圧に降下させるレベルシフト回路と、
前記補助電圧入力端子に接続された第1の入力端子と、前記切替閾値が入力される第2の入力端子と、前記第1の入力端子の電圧が前記第2の入力端子の電圧よりも小さい場合にオン信号を出力し、そうでない場合にオフ信号を出力する出力端子とを有する起動用比較器と、を有し、
前記第1のスイッチは、前記オン信号により導通状態になり、前記オフ信号により遮断状態になり、
前記電力供給切替部は、
前記第1のスイッチの他端と前記電力供給端子との間に設けられた第2のスイッチと、
前記電圧低下信号を受信すると、前記第2のスイッチが遮断状態になるように前記第2のスイッチのゲート電圧を制御するゲート電圧制御部と、をさらに有することを特徴とする電力供給回路。
前記絶縁型スイッチング電源の前記トランス部は、前記一次側巻線に磁気的に結合された補助巻線をさらに有し、前記補助電圧入力端子には、前記補助電圧として、前記補助巻線の両端に発生する交流電圧を整流平滑した直流電圧が入力されることを特徴とする請求項1に記載の電力供給回路。
前記入力電圧監視部は、前記ラインセンス端子に接続された第1の入力端子と、前記入力閾値が入力される第2の入力端子と、前記第1の入力端子の電圧が前記第2の入力端子の電圧よりも小さい場合に前記電圧低下信号を出力する出力端子とを有する入力電圧監視用比較器を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力供給回路。
前記電力供給切替部は、前記補助電圧入力端子と、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの接続点との間で前記レベルシフト回路に直列接続され、前記補助電圧入力端子から前記第1のスイッチの他端に向かう方向に電流を流す整流素子をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力供給回路。
前記絶縁型スイッチング電源の前記トランス部は、前記一次側巻線に磁気的に結合された補助巻線をさらに有し、前記補助電圧入力端子には、前記補助電圧として、前記補助巻線の両端に発生する交流電圧を整流平滑した直流電圧が入力されることを特徴とする請求項8に記載の絶縁型スイッチング電源。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絶縁型スイッチング電源の中には、スイッチ制御回路に動作電力を供給する電力供給回路を備えているものがある。この電力供給回路は、補助電圧が所定の切替閾値未満の場合、入力整流電圧をスイッチ制御回路に供給し、補助電圧が切替閾値以上の場合、補助電圧をスイッチ制御回路に供給する。この補助電圧は、一次側巻線の電圧に基づく電圧である。補助電圧は、例えば、一次側巻線に磁気的に結合された補助巻線の両端に発生した交流電圧を整流平滑して得られる直流電圧である。
【0006】
即ち、上記の電力供給回路は、起動後スイッチング電源の出力電圧が低い段階では入力整流電圧をスイッチ制御回路に供給し、出力電圧が所定の電圧以上まで上昇すると補助電圧を供給する。
【0007】
しかしながら、従来の絶縁型スイッチング電源では、交流電源が停止して再投入された際に、電力供給回路からスイッチ制御回路に動作電力が供給されない場合があるという課題があった。これについて、
図6を参照して説明する。
図6は、従来の電力供給回路の動作を説明するためのタイミングチャートを示している。
【0008】
図6に示すように、時刻t
1において、交流電源が停止し、入力整流電圧がゼロになる。この後、補助電圧は、補助電圧を生成するための平滑コンデンサの静電容量に基づく時定数に従って、徐々に低下する。このため、補助電圧が前述の切替閾値未満に低下するまでには長い時間を要する。
【0009】
一方、前述のように、電力供給回路は、補助電圧が切替閾値未満に低下しないと、電力供給元を補助電圧から入力整流電圧に切替えない。そのため、交流電源が停止してから短時間のうちに、より正確には、補助電圧が切替閾値未満に低下しないうちに、交流電源が再投入された場合には、電力供給回路からスイッチ制御回路に動作電力が供給されない。
【0010】
即ち、
図6に示すように、時刻t
2において交流電源が再投入されても、スイッチ制御回路に供給される電圧(供給電圧)は下がり続け、時刻t
1以前の水準に回復しない。
【0011】
本発明は、上記の技術的認識に基づいてなされたものであり、交流電源の再投入時に、スイッチ制御回路に動作電力を確実に供給することが可能な電力供給回路、半導体集積回路、および絶縁型スイッチング電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電力供給回路は、
入力端子に接続された交流電源を整流し、整流された入力整流電圧を出力する整流部と、前記整流部の出力と接地との間で直列接続されたハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを有するスイッチング部と、一端が前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチの接続点に接続された一次側巻線および前記一次側巻線に磁気的に結合された二次側巻線を有するトランス部と、前記二次側巻線の両端に発生した交流電圧を整流平滑し、整流平滑された直流電圧を出力端子に出力する整流平滑部と、前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを相補的に導通状態または遮断状態に制御するスイッチ制御回路とを備える絶縁型スイッチング電源に用いられ、前記スイッチ制御回路に動作電力を供給する電力供給回路であって、
前記一次側巻線の電圧に基づく補助電圧が入力される補助電圧入力端子と、
前記入力整流電圧が入力される電圧入力端子と、
前記交流電源に基づくモニタ電圧が入力されるラインセンス端子と、
前記スイッチ制御回路に動作電力を供給する電力供給端子と、
前記補助電圧が切替閾値未満の場合には、前記電圧入力端子に入力された前記入力整流電圧に基づく電圧を前記電力供給端子から出力し、前記補助電圧が前記切替閾値以上の場合には、前記補助電圧入力端子に入力された前記補助電圧に基づく電圧を前記電力供給端子から出力する電力供給切替部と、
前記ラインセンス端子に入力される前記モニタ電圧が入力閾値を下回った場合に、電圧低下信号を出力する入力電圧監視部と、
前記入力電圧監視部から前記電圧低下信号を受信すると、前記補助電圧入力端子を接地して前記補助電圧を放電させる放電部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記電力供給回路において、
前記絶縁型スイッチング電源の前記トランス部は、前記一次側巻線に磁気的に結合された補助巻線をさらに有し、前記補助電圧入力端子には、前記補助電圧として、前記補助巻線の両端に発生する交流電圧を整流平滑した直流電圧が入力されるようにしてもよい。
【0014】
また、前記電力供給回路において、
前記放電部は、一端が前記補助電圧入力端子に接続され、他端が接地された放電用スイッチを有するようにしてもよい。
【0015】
また、前記電力供給回路において、
前記入力電圧監視部は、前記ラインセンス端子に接続された第1の入力端子と、前記入力閾値が入力される第2の入力端子と、前記第1の入力端子の電圧が前記第2の入力端子の電圧よりも小さい場合に前記電圧低下信号を出力する出力端子とを有する入力電圧監視用比較器を含むようにしてもよい。
【0016】
また、前記電力供給回路において、
前記電力供給切替部は、
一端が前記電圧入力端子に接続され、他端が前記電力供給端子に接続された第1のスイッチと、
入力端が前記補助電圧入力端子に接続され、出力端が前記第1のスイッチの他端に接続され、前記補助電圧を所定の電圧に降下させるレベルシフト回路と、
前記補助電圧入力端子に接続された第1の入力端子と、前記切替閾値が入力される第2の入力端子と、前記第1の入力端子の電圧が前記第2の入力端子の電圧よりも小さい場合にオン信号を出力し、そうでない場合にオフ信号を出力する出力端子とを有する起動用比較器と、
を有し、
前記第1のスイッチは、前記オン信号により導通状態になり、前記オフ信号により遮断状態になるようにしてもよい。
【0017】
また、前記電力供給回路において、
前記電力供給切替部は、前記第1のスイッチの他端と前記電力供給端子との間に設けられた第2のスイッチと、前記電圧低下信号を受信すると、前記第2のスイッチが遮断状態になるように前記第2のスイッチのゲート電圧を制御するゲート電圧制御部と、をさらに備えてもよい。
【0018】
また、前記電力供給回路において、
前記電力供給切替部は、前記補助電圧入力端子と、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの接続点との間で前記レベルシフト回路に直列接続され、前記補助電圧入力端子から前記第1のスイッチの他端に向かう方向に電流を流す整流素子をさらに有してもよい。
【0019】
本発明に係る半導体集積回路は、本発明の電力供給回路を所定の半導体基板上に形成したことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る半導体集積回路は、本発明の電力供給回路と、前記スイッチ制御回路とを所定の半導体基板上に形成したことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る絶縁型スイッチング電源は、
入力端子に接続された交流電源を整流し、整流された入力整流電圧を出力する整流部と、
前記整流部の出力と接地との間で直列接続されたハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを有するスイッチング部と、
一端が前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチの接続点に接続され、他端が接地された一次側巻線と、前記一次側巻線に磁気的に結合された二次側巻線とを有するトランス部と、
前記二次側巻線の両端に発生した交流電圧を整流平滑し、整流平滑された直流電圧を出力端子に出力する整流平滑部と、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを相補的に導通状態または遮断状態に制御するスイッチ制御回路と、
前記スイッチ制御回路に動作電力を供給する電力供給回路と、
を備え、
前記電力供給回路は、
前記一次側巻線の電圧に基づく補助電圧が入力される補助電圧入力端子と、
前記入力整流電圧が入力される電圧入力端子と、
前記交流電源に基づくモニタ電圧が入力されるラインセンス端子と、
前記スイッチ制御回路に動作電力を供給する電力供給端子と、
前記補助電圧が切替閾値未満の場合には、前記電圧入力端子に入力された前記入力整流電圧に基づく電圧を前記電力供給端子から出力し、前記補助電圧が前記切替閾値以上の場合には、前記補助電圧入力端子に入力された前記補助電圧に基づく電圧を前記電力供給端子から出力する電力供給切替部と、
前記ラインセンス端子に入力される前記モニタ電圧が入力閾値を下回った場合に、電圧低下信号を出力する入力電圧監視部と、
前記入力電圧監視部から前記電圧低下信号を受信すると、前記補助電圧入力端子を接地して前記補助電圧を放電させる放電部と、
を有する、
ことを特徴とする。
【0022】
また、前記絶縁型スイッチング電源において、
前記絶縁型スイッチング電源の前記トランス部は、前記一次側巻線に磁気的に結合された補助巻線をさらに有し、前記補助電圧入力端子には、前記補助電圧として、前記補助巻線の両端に発生する交流電圧を整流平滑した直流電圧が入力されるようにしてもよい。
【0023】
また、前記絶縁型スイッチング電源において、
前記一次側巻線に直列又は並列に接続された共振用のコンデンサをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明において、電力供給回路の電力供給切替部は、補助電圧入力端子に入力される補助電圧が切替閾値未満の場合には、交流電源を整流した入力整流電圧に基づく電圧を電力供給端子から出力し、一方、補助電圧が切替閾値以上の場合には、補助電圧に基づく電圧を電力供給端子から出力する。
【0025】
また、本発明において、入力電圧監視部は、交流電源に基づくモニタ電圧が入力閾値を下回った場合に、電圧低下信号を出力する。
【0026】
また、本発明において、放電部は、入力電圧監視部から電圧低下信号を受信すると、補助電圧が入力される補助電圧入力端子を接地して補助電圧を放電させる。
【0027】
これにより、補助電圧は急速に低下するため、交流電源が再投入された際、補助電圧は切替閾値未満となっている。したがって、電力供給回路は、交流電源を整流した入力整流電圧に基づく電圧を確実にスイッチ制御回路に供給することができる。
【0028】
よって、本発明によれば、交流電源の再投入時に、スイッチ制御回路に動作電力を確実に供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る絶縁型スイッチング電源について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1の概略的な構成図を示している。
【0032】
絶縁型スイッチング電源1は、入力端子2a,2bに交流電源(図示せず)が接続され、該交流電源から入力された交流電力を所望の直流電力に変換して、出力端子7a,7bから出力するスイッチング電源である。
【0033】
図1に示すように、絶縁型スイッチング電源1は、入力端子2a,2bと、整流部3と、スイッチング部4と、トランス部5と、整流平滑部6と、出力端子7a,7bと、スイッチ制御回路8と、電力供給回路9と、整流平滑部10と、モニタ電圧生成部11と、を備えている。
【0034】
なお、絶縁型スイッチング電源1は、整流部3の出力とハイサイドスイッチQ1との間に、PFC回路用のインダクタ(図示せず)を備えてもよい。
【0035】
また、
図1に示すように、絶縁型スイッチング電源1は、共振用のコンデンサC1および抵抗R1をさらに備え、電流共振型のスイッチング電源として構成されてもよい。コンデンサC1と抵抗R1は、一次側巻線W1と接地との間で直列接続されている。なお、絶縁型スイッチング電源1は、電流共振型に限らない。この場合、一次側巻線W1の他端は、コンデンサC1および抵抗R1を介さずに直接接地される。
【0036】
整流部3は、入力端子2a,2bに接続された交流電源を整流(半波整流または全波整流)し、整流された入力整流電圧を出力する。整流部3は、例えば、ブリッジダイオードにより構成される。なお、整流部3は、平滑用コンデンサを備えて交流電源を整流平滑して出力するようにしてもよい。
【0037】
スイッチング部4は、
図1に示すように、整流部3の出力と接地との間で直列接続されたハイサイドスイッチQ1およびローサイドスイッチQ2を有する。ハイサイドスイッチQ1およびローサイドスイッチQ2は、n型MOSFETなどの半導体スイッチング素子である。
【0038】
トランス部5は、
図1に示すように、一次側巻線W1と、二次側巻線W2と、補助巻線W3とを有する。一次側巻線W1は、一端がハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2の接続点Mに接続されている。二次側巻線W2および補助巻線W3は、一次側巻線W1に磁気的に結合されている。
【0039】
一次側巻線W1の他端は、
図1に示すように、直列接続されたコンデンサC1および抵抗R1を介して接地されている。なお、共振用のコンデンサC1は、一次側巻線W1の一端と接続点Mとの間に一次側巻線W1に直列に接続されていてもよい。あるいは、コンデンサC1は、一次側巻線W1に並列接続されていてもよい。即ち、コンデンサC1の一端が接続点Mに接続され、他端が接地されていてもよい。
【0040】
整流平滑部6は、二次側巻線W2の両端に発生した交流電圧を整流平滑し、整流平滑された直流電圧を出力端子7a,7bに出力する。整流平滑部6は、例えば、
図1に示すように、整流素子D1,D2および平滑用のコンデンサC2を有するものとして構成される。より詳しくは、整流素子D1は、二次側巻線W2の一端にアノードが接続され、出力端子7aにカソードが接続されている。整流素子D2は、二次側巻線W2の他端にアノードが接続され、出力端子7aにカソードが接続されている。コンデンサC2は、一端が出力端子7aに接続され、他端が出力端子7bに接続されている。また、出力端子7bは、二次側巻線W2のセンタータップに接続されている。
【0041】
なお、整流平滑部6は、二次側巻線W2の両端に発生した交流電圧を整流平滑することが可能であれば、上記の構成に限られない。また、
図1では、整流平滑部6は1つのみ記載しているが、これに限らず、二次側巻線W2を2つ以上並列的に設けて、各々の二次側巻線W2に整流平滑部6を設けてもよい。
【0042】
スイッチ制御回路8は、ハイサイドスイッチQ1およびローサイドスイッチQ2を相補的に導通状態または遮断状態に制御する。ここで、「相補的に」という文言は、いわゆるデッドタイムを挟んでスイッチングする場合も含んでいる。即ち、ハイサイドスイッチQ1およびローサイドスイッチQ2の両方が遮断状態になる時間を挟んで、一方のスイッチを導通状態にして他方のスイッチを遮断状態にすることも含む。
【0043】
なお、スイッチ制御回路8は、例えば、所定の半導体基板上に形成された半導体集積回路である。
【0044】
電力供給回路9は、スイッチ制御回路8に動作電力を供給する。即ち、スイッチ制御回路8は電力供給回路9から受信する電力により動作する。この電力供給回路9の詳しい構成および動作については後述する。
【0045】
整流平滑部10は、補助巻線W3の両端に発生した交流電圧を整流平滑して、電力供給回路9に出力する。この整流平滑部10は、例えば、
図1に示すように、アノードが補助巻線W3の一端に接続され、カソードが電力供給回路9に接続された整流素子D3と、一端が整流素子D3のカソードに接続され、他端が補助巻線W3の他端に接続された平滑用のコンデンサC3とにより構成される。
【0046】
モニタ電圧生成部11は、絶縁型スイッチング電源1の入力端子2a,2bに接続された交流電源を監視するための電圧(モニタ電圧)を生成し、電力供給回路9に出力する。このモニタ電圧生成部11は、例えば、
図1に示すように、整流素子D4,D5と、抵抗R2,R3と、平滑用のコンデンサC4とにより構成される。ここで、整流素子D4および整流素子D5は、アノードが入力端子2aおよび入力端子2bにそれぞれ接続され、カソードが互いに接続されている。また、抵抗R2と抵抗R3は直列接続されている。抵抗R2は整流素子D4,D5のカソードに接続され、抵抗R3は接地されている。コンデンサC4は、一端が抵抗R2と抵抗R3の接続点に接続され、他端が接地されている。このような構成により、モニタ電圧生成部11は、交流電源の電圧を整流し、その整流された電圧を抵抗R2と抵抗R3で分圧し、分圧された電圧をコンデンサC4で平滑化して得られた直流電圧をモニタ電圧として電力供給回路9に出力する。
【0047】
なお、モニタ電圧生成部11は、整流部3の入力側電圧のモニタではなく、整流部3の出力側電圧をモニタするものとして構成されてもよい。この場合、モニタ電圧生成部11は、整流部3が出力した入力整流電圧を必要に応じて分圧して電力供給回路9に出力する。
【0048】
次に、電力供給回路9の構成について
図1〜
図3を参照して詳しく説明する。
図2は、電力供給回路9の概略的なブロック図を示し、
図3は、電力供給回路9の具体的な回路図を示している。
【0049】
図2に示すように、電力供給回路9は、4つの端子、即ち、補助電圧入力端子VWと、電圧入力端子Vinと、ラインセンス端子LSinと、電力供給端子KVc1とを有する。
【0050】
補助電圧入力端子VWは、
図1に示すように、整流平滑部10の出力に接続されており、一次側巻線W1の電圧に基づく補助電圧が入力される。本実施形態では、補助巻線W3の両端に発生する交流電圧を整流平滑部10により整流平滑した直流電圧が補助電圧として補助電圧入力端子VWに入力される。
【0051】
電圧入力端子Vinは、
図1に示すように、整流部3の出力に接続されており、入力整流電圧が入力される。ラインセンス端子LSinは、モニタ電圧生成部11の出力に接続され、モニタ電圧が入力される。電力供給端子KVc1は、スイッチ制御回路8に接続され、スイッチ制御回路8に動作電力を出力する。
【0052】
また、
図2に示すように、電力供給回路9は、電力供給切替部21と、入力電圧監視部22と、放電部23とを有する。
【0053】
電力供給切替部21は、補助電圧が所定の切替閾値未満の場合には、電圧入力端子Vinに入力された入力整流電圧に基づく電圧を電力供給端子KVc1から出力する。また、電力供給切替部21は、補助電圧が切替閾値以上の場合には、補助電圧入力端子VWに入力された補助電圧に基づく電圧を電力供給端子KVc1から出力する。
【0054】
なお、電力供給切替部21が電力供給端子KVc1から出力する電圧は、入力整流電圧(または補助電圧)そのものでもよいし、必要に応じて入力整流電圧(または補助電圧)をレベルシフトした電圧であってもよい。例えば、入力整流電圧(または補助電圧)をスイッチ制御回路8の動作電圧になるようにレベルシフトした電圧を出力するようにしてもよい。
【0055】
入力電圧監視部22は、ラインセンス端子LSinに入力されるモニタ電圧が入力閾値を下回った場合に、電圧低下信号を出力する。
【0056】
放電部23は、入力電圧監視部22から電圧低下信号を受信すると、補助電圧入力端子VWを接地して補助電圧を放電させる。
【0057】
次に、
図3を参照して、電力供給切替部21、入力電圧監視部22および放電部23の具体的な構成例について説明する。
【0058】
電力供給切替部21は、スイッチ21aと、レベルシフト回路21bと、起動用比較器21cと、スイッチ21dと、ゲート電圧制御部21eと、整流素子21fとを有する。
【0059】
スイッチ21aは、一端が電圧入力端子Vinに接続され、他端がスイッチ21dの一端に接続されている。スイッチ21aは、例えば、n型MOSFETなどの半導体スイッチング素子である。この場合、n型MOSFETのドレイン端子が電圧入力端子Vinに接続され、ソース端子がスイッチ21dの一端に接続される。
【0060】
レベルシフト回路21bは、入力端が補助電圧入力端子VWに接続され、出力端が整流素子21fを介してスイッチ21aの他端に接続され、補助電圧を所定の電圧に降下させる。
【0061】
起動用比較器21cは、補助電圧入力端子VWに接続された第1の入力端子(−端子)と、切替閾値Vth_SWが入力される第2の入力端子(+端子)と、第1の入力端子の電圧が第2の入力端子の電圧よりも小さい場合にオン信号を出力し、そうでない場合にオフ信号を出力する出力端子とを有する。起動用比較器21cの出力端子は、スイッチ21aのゲート端子に接続されている。なお、ノイズ耐性を高めるため、起動用比較器21cは、ヒステリシスコンパレータであることが好ましい。
【0062】
スイッチ21aは、起動用比較器21cが出力したオン信号により導通状態になり、オフ信号により遮断状態になる。
【0063】
スイッチ21dは、スイッチ21aの他端と電力供給端子KVc1との間に設けられている。スイッチ21dは、例えば、p型MOSFETなどの半導体スイッチング素子である。この場合、p型MOSFETのソース端子がスイッチ21aの他端に接続され、ドレイン端子が電力供給端子KVc1に接続される。
【0064】
ゲート電圧制御部21eは、入力電圧監視部22から電圧低下信号LSoutを受信していない場合は、スイッチ21dが導通状態になるようにスイッチ21dのゲート電圧を制御する。なお、ゲート電圧制御部21eは、スイッチ21dが間欠的に導通状態になるようにゲート電圧を制御することで、絶縁型スイッチング電源1をいわゆるバーストモードで動作させることも可能である。
【0065】
また、ゲート電圧制御部21eは、入力電圧監視部22から電圧低下信号LSoutを受信すると、スイッチ21dが遮断状態になるようにスイッチ21dのゲート電圧を制御する。例えばスイッチ21dがp型MOSFETの場合、ゲート電圧制御部21eはp型MOSFETのゲート端子にHレベル信号を出力する。これにより、交流電源が停止してラインセンス端子LSinの電圧が入力閾値Vth_LSを下回った場合に、スイッチ制御回路8への動作電力の供給を停止することができる。よって、動作電力が不十分になることによりスイッチ制御回路8が誤動作することを防止できる。
【0066】
整流素子21fは、アノードがレベルシフト回路21bの出力に接続され、カソードがスイッチ21aおよびスイッチ21dの接続点Nに接続されている。これにより、電圧入力端子Vinに入力され電力供給端子KVc1から出力される入力整流電圧が補助電圧入力端子VWに流入することを防止できる。
【0067】
なお、整流素子21fは、補助電圧入力端子VWとレベルシフト回路21bとの間に設けられてもよい。この場合、整流素子21fのアノードが補助電圧入力端子VWに接続され、カソードがレベルシフト回路21bの入力に接続される。よって、一般的に言えば、整流素子21fは、補助電圧入力端子VWと、スイッチ21aおよびスイッチ21dの接続点Nとの間でレベルシフト回路21bに直列接続され、補助電圧入力端子VWからスイッチ21aの他端に向かう方向に電流を流すものとして設けられる。
【0068】
なお、スイッチ21dおよびゲート電圧制御部21eを削除してもよい。この場合、スイッチ21aの一端が電圧入力端子Vinに接続され、他端が電力供給端子KVc1に接続される。
【0069】
また、整流素子21fを削除してもよい。この場合、レベルシフト回路21bの出力端はスイッチ21aに接続される。
【0070】
入力電圧監視部22は、
図3に示すように、入力電圧監視用比較器22aを含む。この入力電圧監視用比較器22aは、ラインセンス端子LSinに接続された第1の入力端子(−端子)と、入力閾値Vth_LSが入力される第2の入力端子(+端子)と、第1の入力端子の電圧が第2の入力端子の電圧よりも小さい場合に電圧低下信号LSoutを出力する出力端子とを有する。
【0071】
放電部23は、
図3に示すように、一端が補助電圧入力端子VWに接続され、他端が接地された放電用スイッチ23aを有する。放電用スイッチ23aは、例えば、n型MOSFETなどの半導体スイッチング素子である。この場合、n型MOSFETのゲート端子が入力電圧監視用比較器22aの出力端子に接続され、ドレイン端子が補助電圧入力端子VWに接続され、ソース端子が接地される。
【0072】
上記の構成を備える電力供給回路9においては、絶縁型スイッチング電源1が起動後、補助電圧が切替閾値Vth_SWに達するまでの間、スイッチ21aが導通状態になり、電圧入力端子Vinに入力された入力整流電圧が電力供給端子KVc1からスイッチ制御回路8に出力される。その後、補助電圧が切替閾値Vth_SWまで上昇すると、スイッチ21aが遮断状態になり、補助電圧入力端子VWされた補助電圧が電力供給端子KVc1からスイッチ制御回路8に出力される。
【0073】
次に、
図4を参照して、電力供給回路9の動作についてさらに詳しく説明する。
図4は、電力供給回路9の動作を説明するためのタイミングチャートを示している。なお、時刻t
1以前において、絶縁型スイッチング電源1は通常動作している。
【0074】
時刻t
1において、交流電源が停止することにより、
図4に示すように、整流部3が出力する入力整流電圧がゼロになる。また、ラインセンス端子LSinの入力電圧(モニタ電圧)がモニタ電圧生成部11の時定数に従って漸減する。補助電圧入力端子VWの入力電圧(補助電圧)も整流平滑部10の時定数に従って漸減する。電力供給端子KVc1の出力電圧(供給電圧)は、補助電圧の減少に対応して漸減する。
【0075】
その後、時刻t
2において、モニタ電圧が入力閾値Vth_LS未満となる。これにより、入力電圧監視部22は、
図4に示すように、電圧低下信号LSoutを出力する。この電圧低下信号LSoutを受信すると、放電部23は、補助電圧入力端子VWを接地して補助電圧を放電させる。具体的には、放電用スイッチ23aを導通状態にすることにより、補助電圧入力端子VWを接地する。これにより、整流平滑部10のコンデンサC3に蓄電された電荷が放電され、補助電圧は、
図4に示すように、急速にゼロまで低下する。
【0076】
補助電圧入力端子VWの電圧が急速に低下することで、起動用比較器21cの第1の入力端子の電圧は第2の入力端子の電圧(Vth_SW)を下回るため、起動用比較器21cはオン信号を出力する。よって、スイッチ21aは導通状態となり、電圧入力端子Vinと電力供給端子KVc1は電気的に接続された状態となる。
【0077】
その後、時刻t
3において、交流電源からの入力が回復する。このときスイッチ21aは導通状態になっているため、
図4に示すように、電圧入力端子Vinから入力された入力整流電圧は電力供給端子KVc1からスイッチ制御回路8に出力される。
【0078】
このように、第1の実施形態によれば、交流電源の再投入時に、スイッチ制御回路8に動作電力を確実に供給することができる。
【0079】
なお、上記の電力供給回路9は、単独で、またはスイッチ制御回路8とともに、所定の半導体基板上に形成した半導体集積回路として構成してもよい。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の第1の実施形態との相違点の一つは、補助電圧の生成方法である。第1の実施形態では補助巻線W3を用いて補助電圧を生成していたのに対して、第2の実施形態では補助電源を用いて補助電圧を生成する。以下、相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
【0081】
図5は、第2の実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Aの概略的な構成図である。なお、
図5において、
図1と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
【0082】
図5に示すように、絶縁型スイッチング電源1Aは、入力端子2a,2bと、整流部3と、スイッチング部4と、トランス部5Aと、整流平滑部6と、出力端子7a,7bと、スイッチ制御回路8と、電力供給回路9と、モニタ電圧生成部11と、補助電源12とを備えている。
【0083】
トランス部5Aは、
図5に示すように、一次側巻線W1と、二次側巻線W2とを有する。
【0084】
補助電源12は、
図5に示すように、直流電源12aと、スイッチ12bと、コンデンサ12cとを有する。直流電源12aは、正極がスイッチ12bの一端に接続され、負極が接地されている。スイッチ12bの他端は補助電圧入力端子VWに接続されている。コンデンサ12cは一端がスイッチ12bの他端に接続され、他端が接地されている。
【0085】
スイッチ12bは、一次側巻線W1の両端に発生する電圧が所定の値以上になると、導通状態になるように制御される。これにより、コンデンサ12cが充電されるに従って直流電源12aの電圧が補助電圧入力端子VWに入力される。
【0086】
なお、スイッチ12bの制御は、スイッチ制御回路8が行ってもよいし、別途設けられた制御回路が行ってもよい。スイッチ制御回路8等の制御回路は、一次側巻線W1の電圧を検出する検出部(図示せず)から当該電圧の値を取得して、上記のスイッチ12bの制御を行う。
【0087】
第2の実施形態においても、モニタ電圧が入力閾値Vth_LS未満となると、電力供給回路9の放電部23は補助電圧入力端子VWを接地して補助電圧を放電させる。これにより、コンデンサ12cに蓄積されていた電荷が放電され、補助電圧は急速にゼロまで低下する。
【0088】
よって、第1の実施形態と同様、第2の実施形態によれば、交流電源の再投入時に、スイッチ制御回路8に動作電力を確実に供給することができる。
【0089】
(スイッチ制御回路への電力供給方法)
次に、絶縁型スイッチング電源1,1Aにおいて、スイッチ制御回路8に動作電力を供給する方法について説明する。
【0090】
本電力供給方法では、一次側巻線W1の電圧に基づく補助電圧が切替閾値未満の場合には、入力整流電圧に基づく電圧をスイッチ制御回路8に供給する。なお、補助電圧は、補助巻線W3の両端に発生する交流電圧を整流平滑した直流電圧、あるいは、補助電源12の出力する直流電圧である。
【0091】
一方、本電力供給方法では、補助電圧が切替閾値以上の場合には、補助電圧に基づく電圧をスイッチ制御回路8に供給する。
【0092】
そして、交流電源に基づく電圧(例えば、交流電源を整流平滑した電圧を分圧した分圧電圧)が入力閾値未満に低下した場合には、補助電圧を放電させる。補助電圧の放電は、例えば、補助電圧を生成する平滑コンデンサ(コンデンサC3またはコンデンサ12c)の一端を接地することにより行う。
【0093】
このようにして補助電圧を放電させることにより、交流電源の再投入時に、スイッチ制御回路8に動作電力を供給することができる。
【0094】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。