(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、セパレータは、接続端子(素子側接続端子および外部回路側接続端子)の弾性力のみによって保持されているため、ガスセンサへ加えられる振動や衝撃に起因してセパレータが動き、接続端子が損傷したり、外部接続端子とコネクタ端子との溶接部分に負荷がかかり、接続端子とコネクタ端子との接続部分である溶接部の破損を招いたりするおそれがある。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、ガスセンサ素子に対する振動や衝撃によってセパレータが動くことに起因する接続端子や端子間の接続部分の損傷を抑制し、ガスセンサの出力性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
ガスセンサ素子であって、前記ガスセンサ素子の軸線方向の先端側に、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するための検出部を有するガスセンサ素子と、前記ガスセンサ素子の径方向周囲を取り囲むとともに、取り付け対象体のガスセンサ取り付け孔内に挿入される主体金具と、前記ガスセンサ素子と電気的に接続される接続端子を自身の内側に保持し、前記ガスセンサ素子の後端部周囲を取り囲む筒状のセパレータと、を備えるガスセンサであって、前記軸線方向に対して交差する方向に延伸して形成され、前記接続端子と接合部にて接合されるコネクタ端子を包囲するコネクタ部を有するとともに、前記主体金具の後端側に配置され、少なくとも前記接合部を収容する収容空間を有するカバーと、前記主体金具の後端部に接合されるとともに前記セパレータの径方向周囲を取り囲む外筒と、前記外筒の内側に固定され、前記セパレータの先端向き面に当接して、前記セパレータを前記軸線方向の後端側に付勢する筒状の保持部材と、を備えることを特徴とするガスセンサ。
【0009】
適用例1のガスセンサによれば、主体金具の後端部に接合されるとともにセパレータの径方向周囲を取り囲む外筒と、外筒の内側に固定され、セパレータを軸線方向の後端側に付勢する筒状の保持部材とを備える。従って、保持部材によりセパレータを周方向から固定することができ、ガスセンサ素子への振動や衝撃が負荷された場合に、セパレータが振動したり規定の位置からずれたりすることを抑制できる。よって、セパレータの内側に配置されている接続端子と、コネクタ部内に配置されているコネクタ端子との接合部の破損を抑制でき、ガスセンサの出力性能を向上できる。
【0010】
[適用例2]
適用例1記載のガスセンサであって、前記保持部材は、前記外筒に加締め固定されていることを特徴とする、ガスセンサ。
【0011】
適用例2のガスセンサによれば、保持部材は、外筒に加締め固定されている。従って、ガスセンサへの振動、特に、径方向の振動によるセパレータの振動、ずれを抑制でき、セパレータの内側に配置されている接続端子と、コネクタ部内に配置されているコネクタ端子との接合部の破損を更に抑制できる。従って、ガスセンサの出力性能を向上できる。
【0012】
[適用例3]
適用例1または適用例2記載のガスセンサであって、更に、前記外筒を閉塞するとともに、前記セパレータの後端面に接する弾性部材を有し、前記外筒は、前記弾性部材に加締め固定されていることを特徴とする、ガスセンサ。
【0013】
適用例3のガスセンサによれば、外筒は、セパレータの後端面に接する弾性部材に加締め固定されている。従って、セパレータは、保持部材だけでなく、外筒によっても固定される。よって、特に、軸線方向の振動によるセパレータの振動、ずれを抑制でき、セパレータの内側に配置されている接続端子と、コネクタ部内に配置されているコネクタ端子との接合部の破損をより抑制できる。従って、ガスセンサの出力性能を向上できる。
【0014】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3いずれか記載のガスセンサであって、前記セパレータは、自身の径方向外側に突出すると共に、前記先端向き面を有する鍔部を備えることを特徴とする、ガスセンサ。
【0015】
適用例4のガスセンサによれば、セパレータは、自身の径方向外側に突出すると共に、前記先端向き面を有する鍔部を備える。従って、保持部材によりセパレータの鍔部を周方向から固定することができ、ガスセンサ素子への振動や衝撃が負荷された場合に、セパレータが振動したり規定の位置からずれたりすることを抑制できる。よって、セパレータの内側に配置されている接続端子と、コネクタ部内に配置されているコネクタ端子との接合部の破損を抑制でき、ガスセンサの出力性能を向上できる。
【0016】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4いずれかに記載のガスセンサであって、前記主体金具の後端部の外周に接合され、前記主体金具と前記カバーとを連結する筒状の金属部材を備えることを特徴とする、ガスセンサ。
【0017】
適用例5のガスセンサによれば、主体金具の後端部の外周に接合され、主体金具とカバーとを連結する筒状の金属部材が設けられている。従って、主体金具とカバーとを、金属部材によって連結することができ、ガスセンサの小型化を図ることができる。
【0018】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5いずれかに記載のガスセンサであって、
前記セパレータは、軸線方向において、前記コネクタ部を通過する、前記コネクタ部に平行な仮想線に跨って配置されていることを特徴とする、ガスセンサ。
【0019】
適用例6のガスセンサによれば、セパレータは、軸線方向において、コネクタ部を通過するコネクタ部に平行な仮想線に跨って配置されている。換言すると、軸線方向におけるコネクタ部の高さと、セパレータの高さとが少なくとも一部でオーバーラップするように配置されている。従って、ガスセンサにおける、セパレータの後端側への突出量を低減することができ、ガスセンサの低背化につながる。ひいては、ガスセンサの小型化を図ることができる。
【0020】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6いずれかに記載のガスセンサであって、前記セパレータは、軸線方向において前記カバーの先端面に平行な仮想線に跨って配置されていることを特徴とする、ガスセンサ。
【0021】
適用例7のガスセンサによれば、セパレータは、軸線方向において、カバーの先端面に平行な仮想線に跨って配置されている。換言すると、軸線方向におけるカバーの先端面の高さと、セパレータの高さとが少なくとも一部でオーバーラップするように配置されている。従って、ガスセンサにおける、セパレータの後端側への突出量を低減することができ、ガスセンサの低背化につながる。ひいては、ガスセンサの小型化を図ることができる。
【0022】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.第1実施例:
A1.ガスセンサ200の構成:
図1は、第1実施例におけるガスセンサ200の外観斜視図である。
図2は、第1実施例におけるガスセンサ200の分解斜視図である。
図3は、第1実施例におけるガスセンサ200の断面図である。
図3は、
図1のA−A断面における断面を示している。
図1,2に示すように、ガスセンサ200は、カバー部10と、セパレータアセンブリ120と、素子アセンブリ130と、薄板部材70とを備える。薄板部材70には、シール部材80が取り付けられている。ガスセンサ200は、後述する主体金具50とカバー部10とからなる本体部202を有する。本実施例では、素子アセンブリ130の軸線O(ガスセンサ素子131の軸線と同一であり、一点鎖線で示す。)方向を上下方向として図示し、図面上方をガスセンサ200の後端側、図面下方をガスセンサ200の先端側、として説明する。又、軸線O方向に垂直な方向を「径方向」と称する。
【0025】
A1−1.素子アセンブリ130の概略構成:
素子アセンブリ130は、
図2および
図3に示すように、軸線O方向に延びる筒状の主体金具50と、この主体金具50の内側に固定されて配置されている薄板状のガスセンサ素子131と、ガスセンサ素子131の先端側を覆うプロテクタ132を有する。ガスセンサ素子131は、軸線O方向に延びる第1板面131aと、第1板面と軸線Oを挟んで反対側に形成されている第2板面131bを備える。
【0026】
ガスセンサ素子131の先端側には、主体金具50から突出しているとともに、排気ガス中の酸素濃度を検出可能に構成された検出部131cが設けられている。検出部131cを保護するために、主体金具50の先端側には、主体金具50から突出するガスセンサ素子131の先端側を覆うように、二重の有底筒状のプロテクタ132がレーザ溶接により固設されている。このプロテクタ132には、ガスセンサ200を排気管に設置した際、排ガスを内部に導入できるように、複数の導入孔133が所定位置に形成されている。
【0027】
ガスセンサ素子131の後端側は、主体金具50からセパレータ40側に突出している。このガスセンサ素子131の後端側には、第1板面131a側に、検出部131cと電気的に導通する3つのセンサ用電極パッド140が設けられ、また、第2板面131b側に、ガスセンサ素子131に内在するヒータ(図示を省略する)と電気的に導通する2つのヒータ用電極パッド141が設けられている。
【0028】
図3に示すように、主体金具50の内表面には、先端方向に向かって内径が縮径する段部51が形成されている。また、主体金具50は、径方向外側に突出した鍔部52と、鍔部52よりも後端側に形成され、階段状に縮径する段部53と、段部53の更に後端側に形成され、径方向内側に屈曲状に形成されている後端部55を備える。主体金具50内部の構成については、後に詳述する。
【0029】
A1−2.セパレータアセンブリ120の詳細構成:
セパレータアセンブリ120は、グロメット20、セパレータ40、金属外筒30、保持部材36および接続端子150、151によって構成され、主体金具50の後端側に配置される。セパレータアセンブリ120は、軸線O方向の略中央部分において、径方向外側から径方向内側に向けて加締められることにより金属外筒30と保持部材36とを一体的に固定する加締め部33を有する。
【0030】
グロメット20は、円筒部23と鍔部21と開口24とを有するフッ素ゴム製の弾性部材であり、セパレータ40の後端側に配置されている。グロメット20の開口24には、接続端子150、151が内挿されている。開口24は、後述するセパレータ40の開口42と連通している。
【0031】
セパレータ40は、樹脂によって略円筒状に形成されており、径方向外側に突状に形成されている鍔部41と、軸線O方向に貫通する開口42とを有する。
【0032】
各接続端子150、151は、セパレータ40内の開口42に挿通されており、ガスセンサ素子131の各電極パッド140,141にそれぞれ接続されている。以下、この点について詳細に説明する。
図2に示されるように、主体金具50の後端側には、筒状の金属外筒30が周方向に加締められるとともにレーザ溶接され固設されており、金属外筒30の内側にセパレータ40が配設されている。このセパレータ40内には、3つのセンサ用接続端子150と、2つのヒータ用接続端子151とが配置され、センサ用接続端子150及びヒータ用接続端子151が互いに接触しないように、これらを隔離した状態でセパレータ40内に収容されている。
【0033】
セパレータ40の開口42内には、ガスセンサ素子131の後端側が挿入されている。そして、センサ用接続端子150が、センサ用電極パッド140と接触する接触部150aの形状により生じる弾性力によって、ガスセンサ素子131のセンサ用電極パッド140と弾性的に接触して電気的に接続している。また、ヒータ用接続端子151が、ヒータ用電極パッド141と接触する接触部151aの形状により生じる弾性力によって、ガスセンサ素子131用の電極パッド141と弾性的に接触して電気的に接続している。
【0034】
金属外筒30は、先端部31、筒部32,34および後端35を有する。金属外筒30は、先端部31において、主体金具50に対して加締められるとともに溶接接合されることにより固定される。また、金属外筒30は、径方向内側に向けて屈曲状に形成されている後端35においてグロメット20の鍔部21に係合している。
【0035】
保持部材36は、金属外筒30の内部に固定されている金属製の筒状部材であり、屈曲状に形成されている後端部37の弾性力によって、セパレータ40を周方向内側に付勢するとともに、セパレータ40の鍔部41を軸線O方向の後端側に付勢する。保持部材36は、金属外筒30の外側から、金属外筒30とともに径方向内側に向けて加締められることにより形成される加締め部33によって、金属外筒30に固定される。
【0036】
セパレータ40は、主体金具50及び金属外筒30に直接固定されておらず、金属外筒30と保持部材36によって金属外筒30内に保持固定されている。このように構成することにより、ガスセンサ200に対する振動や衝撃によってセパレータ40が振動したり、ずれたりすることによる接続端子150,151とコネクタ端子105bとの接触不良が抑制される。
【0037】
A1−3.カバー部10の詳細構成:
カバー部10は、カバー100と金属部材110とを備える。カバー100は、セパレータアセンブリ120の周囲を覆うように、略筒状に形成され、先端側に、径方向内側に突状に形成されている鍔部102を有する樹脂製の樹脂外筒101と、樹脂外筒101の後端側に組み付けられ、ガスセンサ200の後端側を閉塞する蓋部109と、ガスセンサ200の後端側において、樹脂外筒101から径方向に延伸するように形成されている略矩形状のコネクタ部103とを備える。
【0038】
樹脂外筒101およびコネクタ部103は、成形性のよい樹脂、例えば、ナイロン(登録商標)、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニルスルファイド)などにより形成されている。樹脂外筒101のコネクタ部103側には、コネクタ端子部105の位置を規定する係止壁101aが形成されている。コネクタ部103は、素子アセンブリ130から離れた端部に開口部104を有する。
【0039】
金属部材110は、先端側に形成されている第1の筒部111,第1の筒部111の後端側に形成され、径方向外側に延伸する2つの半円状のフランジ部112、フランジ部112の後端側に形成されている第2の筒部113,第2の筒部113の後端側に形成され、径方向外側に屈曲状に形成されている屈曲部115を備える。
【0040】
図3(b)に示されるように、樹脂外筒101と金属部材110は、樹脂外筒101の先端面106がフランジ部112の後端面116と接するように配置されるとともに、鍔部102の後端107に、パッキン118を介して屈曲部115が係止することにより一体的に組み付けられている。そして、金属部材110の第1の筒部111の先端が、主体金具50の鍔部52の後端面52bに当接する状態で、金属部材110と主体金具50が接合される。第1の筒部111の外径は、主体金具50の鍔部52の外径と同一であり、第1の筒部111が主体金具50の鍔部52に接合されると、第1の筒部111と主体金具50の鍔部52との外表面が面一になる。パッキン118は、樹脂外筒101と金属部材110とを組み付ける際に、組み付け部分における封止性能を向上するとともに、組み付け部分の損傷を抑制する。
【0041】
従来、樹脂外筒の固定に利用されている加締め方法は、樹脂外筒101の鍔部が径方向外側に突状に形成されており、当該鍔部を、加締め部材により径方向外側から径方向内側に向かって加締めている。このため、加締め部材は当該鍔部より径方向に径大に形成されなくてはならず、ガスセンサの大型化を招いていた。また、従来の加締め方法では、径方向に延伸するコネクタ部103を備える横出し型のガスセンサにおいて、コネクタ部103が障害となって、部分的にしか加締めることができず、周方向全体に亘って加締めることができない。そのため、樹脂外筒を強固に固定することができず、ガスセンサ200の損傷を招くおそれがあった。
【0042】
第1実施例では、鍔部102が径方向内側に突状に形成されているので、樹脂外筒101の内側において、金属部材110を鍔部102に対して、径方向内側から径方向外側に向けて周方向全体に亘って加締め固定することができ、ガスセンサ200の大型化を抑制できるとともに、樹脂外筒101と金属部材110とを、加締めという簡易な方法で、強固に固定することができる。
【0043】
コネクタ端子部105は、略矩形状に形成されている絶縁体105aと、コネクタ端子105bを備える。コネクタ端子部105は、絶縁体105aが樹脂外筒101に狭持されるように、開口部104から係止壁101aに当接するまでガスセンサ200内に挿入される。コネクタ端子105bは、開口部104と中間接続端子160とを接続する。中間接続端子160は、接続端子150、151の後端部において接続され、接続端子150、151から径方向に延伸するとともに、軸線O方向に略直角に屈曲し、接続端子150、151に接続されている端部とは異なる端部においてコネクタ端子105bと溶接接合されている。中間接続端子160と接続端子150、151との接触部分は予め溶接などの方法により接合されている。
【0044】
カバー100が主体金具50に組み付けられると、素子アセンブリ130の後端側およびセパレータアセンブリ120が、カバー100の内部に収容され、樹脂外筒101、コネクタ端子部105により覆われる。
なお、このとき、
図3(a)に示されるように、セパレータ40は、軸線Oに垂直、かつ、カバー100の先端面を通過する仮想線Zに跨って位置する。換言すると、セパレータ40は、カバー100の先端面に平行な仮想線Zに跨るように組み付けられる。また、
図3(a)では、コネクタ部103の先端面を通過する、コネクタ部103に平行な仮想線に跨って配置されてもいる。
従って、ガスセンサ200における、セパレータ40の軸線方向後端側への突出量を低減することができ、ガスセンサ200の低背化につながる。ひいては、ガスセンサ200の小型化を図ることができる。
【0045】
A1−4.薄板部材70およびその近傍の詳細構成:
本体部202の先端側部位の径方向外側には金属製の薄板部材70が配置されている。薄板部材70は、ガスセンサ200と取り付け対象体との間を封止するシール部材80と、ガスセンサ200の本体部202の間を離間させるように形成されている。
薄板部材70およびその近傍の詳細構成について、
図3(b)を参照しつつ説明する。
【0046】
図3(b)に示されるように、薄板部材70は、略Z字状に屈曲して形成されている先端部71と、軸線Oに沿った(略平行な)円筒状に形成されている筒部72と、筒部72から後端側に向かって延出しつつ逆L字状に屈曲して形成されている後端部73と、筒部72と後端部73との間に、本体部202の先端側部位の外表面(第1実施例では、金属部材110)から空隙220を介して径方向内側に窪んだ溝部75を有する。薄板部材70は、少なくとも一端が本体部202の外表面に接合されている。第1実施例では、薄板部材70は、先端部71において主体金具50の鍔部52の先端面52aに溶接接合されている。薄板部材70は、絞り加工や切削加工など、種々の加工方法により形成することができる。なお、溝部75は、断面が矩形状となるように形成されているが、どのような形状であってもよい。
【0047】
シール部材80は、溝部75内に配置されており、樹脂により弾性を有するように形成されている。シール部材80は、ガスセンサ200が取り付け対象体に取り付けられる際に、センサ取り付け孔の内壁に圧接されることにより変形し、センサ取り付け孔とガスセンサ200との間を封止する。
【0048】
従来、シール部材80は、本体部(例えば、主体金具50)に形成されている溝部内に配置されているので、主体金具50の温度は直接的にシール部材80に伝わる。このため、ガスセンサ素子131の発熱により主体金具50が加熱され、主体金具50の温度がシール部材80を構成する樹脂材料の耐熱温度を超えてしまうと、シール部材80の劣化を招くという問題が生じていた。
【0049】
第1実施例のガスセンサ200では、ガスセンサ素子131の熱が、薄板部材70の溝部75に配置されているシール部材80へ伝わる熱経路は、
図3(b)に矢印で示すように、本体部202からの放熱による第1の経路250と、接合部205である主体金具50の先端面52aから薄板部材70に伝導する第2の経路260とがある。
【0050】
ここで、第1実施例では、シール部材80と本体部202との間に、断熱層として機能する空隙220が介在する。この結果、本体部202からの熱伝導、すなわち、第1の経路250を介した熱伝導が低減され、熱によるシール部材80の劣化が抑制される。
【0051】
また、薄板部材70は、軸線O方向の後端側に位置する後端部73が本体部202に接合されていないので、後端部73と本体部202との間に、空隙220と外気とを連通する開口部210が形成される。開口部210を介して空隙220内に外気が入り込み、空隙220内の空気が外気によって冷やされ、空隙220内の空気の温度上昇が抑制される。この結果、第1の経路250を介した熱伝導が更に低減され、シール部材80の劣化を抑制できる。
【0052】
また、薄板部材70の溝部75は、薄板部材70と本体部202の外表面とが接合されている接合部分である鍔部52の先端面52aから離れた位置に形成されている。離れた位置、とは、例えば、接合部である先端面52aから、薄板部材70の後端部73までの軸線O方向に沿った距離dの中央(1/2となる位置)以上後端側としてもよい。こうすることにより、第2の経路260の距離を長くすることができ、第2の経路260を介した熱伝導が抑制される。
【0053】
A1−5.主体金具50内部の詳細構成:
主体金具50内には、アルミナからなる筒状のセラミックホルダ136、滑石粉末からなる第1粉末充填層137、同じく滑石粉末からなる第2粉末充填層138、及び、アルミナからなる筒状のセラミックスリーブ139が、この順に先端側から後端側に向けて配設されている。また、主体金具50内には、セラミックホルダ136及び第1粉末充填層137と共にガスセンサ素子131と一体化された筒状の金属カップ135が配設されている。更に、セラミックスリーブ139と主体金具50の後端部55との間には、加締リング58が配置されている。
【0054】
セラミックホルダ136は、金属カップ135内に配置され、その先端側で金属カップ135を介して主体金具50の棚部54に係合している。セラミックホルダ136は、ガスセンサ素子131を内挿している。また、第1粉末充填層137の全体が、金属カップ135内に配置されている。さらに、主体金具50とガスセンサ素子131との間の気密性は、第2粉末充填層138の存在によって担保されている。
【0055】
セラミックスリーブ139は、軸線Oに沿った、矩形状の軸孔139aを有する筒状体である。このセラミックスリーブ139は、その矩形状の軸孔139aに板状のガスセンサ素子131を軸線O方向に沿って内挿して、ガスセンサ素子131を支持している。セラミックスリーブ139は、主体金具50内に装着された後、主体金具50の段部53を径方向内側に屈曲させ、加締リング58を介して、セラミックスリーブ139の後端面に向けて加締めることにより、主体金具50内に固定されている。
【0056】
第1実施例のガスセンサ200は、以上説明した構成を有している。上記構成を有するガスセンサ200の組み付け工程について説明する。
【0057】
A2.ガスセンサ200の組み付け工程:
第1実施例におけるガスセンサ200の組み付け工程について説明する。ガスセンサ200を構成する素子アセンブリ130、セパレータアセンブリ120、カバー100および薄板部材70を準備する。素子アセンブリ130およびカバー100は、公知の種々の方法により形成される。また、薄板部材70は、金属製の薄い平板に絞り加工が施され、先端部71、後端部73および溝部75を有する形状に形成される。セパレータアセンブリ120の製造については、
図4を参照して説明する。
【0058】
A2−1.セパレータアセンブリ120の製造工程:
図4は、第1実施例におけるセパレータアセンブリ120の製造工程について説明する説明図である。開口42内に接続端子150、151が装着されているセパレータ40と、後端部37が軸線方向の先端側に向かって径方向内側に折り返されるように屈曲加工されている略筒状をなす保持部材36を準備する。
図4(a)に示されるように、保持部材36の後端部37がセパレータ40の鍔部41に形成されているテーパ状の先端向き面41aに当接するように、保持部材36がセパレータ40の周囲に配置される。なお、接続端子150、151は、長片状の導電部材(金属片等)がプレス等によって打ち抜かれ、接触部150aが所定形状となるように屈曲加工され形成される。
【0059】
図4(b)に示されるように、円筒形状を有する金属外筒30に、セパレータ40および保持部材36が挿入され、金属外筒30の後端35が、軸線X方向に沿った押圧力によりグロメット20の鍔部21に対して加締められる。この結果、セパレータ40は、金属外筒30と保持部材36とによって保持固定される。なお、当該加締めにおいて、保持部材36およびセパレータ40は、図示しない保持治具によって保持されている。
【0060】
図4(c)に示されるように、金属外筒30の略中央部分が径方向外側から径方向内側に向かって加締められ、加締め部33が形成され、保持部材36が金属外筒30に固定される。なお、保持部材36は、金属外筒30に溶接されることにより固定されてもよいし、加締められた後に、更に溶接固定されてもよい。このようにして、セパレータアセンブリ120が作製される。
【0061】
A2−2.ガスセンサ200の組み付け:
図5は、第1実施例におけるガスセンサ200の製造工程について説明する説明図である。
図5(a)に示されるように、素子アセンブリ130の後端に、セパレータアセンブリ120が先端部31側から挿入され、段部53の側面53aに対して、先端部31が、径方向外側から径方向内側に加締められる。この結果、セパレータアセンブリ120が主体金具50、すなわち、素子アセンブリ130に固定される。
【0062】
図5(b)に示されるように、蓋部109を除くカバー100が組み付けられる。具体的には、金属部材110の先端面111aと、主体金具50の鍔部52の後端面52bとが当接するまで、軸線Oに沿って、素子アセンブリ130の後端に、金属部材110の先端側からカバー100が挿入され、金属部材110の第1の筒部111と主体金具50の段部53が溶接接合され、カバー100が素子アセンブリに組み付けられる。なお、カバー100の組み付け時、コネクタ端子105bが接続端子150、151と電気的に接続されるように、カバー100と接続端子150、151との相対的な位置関係が調整される。
【0063】
図5(c)に示されるように、蓋部109がカバー100の開口12aを覆うように組み付けられるとともに、素子アセンブリ130に、薄板部材70が組み付けられる。具体的には、略筒状に形成されている薄板部材70の先端部71の接合部分77と、主体金具50の鍔部52の先端面52aとが当接するまで、軸線Oに沿って、薄板部材70の後端側が、素子アセンブリ130が先端側から挿入され、接合部分77と鍔部52との接触部分が溶接接合される。
【0064】
図5(d)に示されるように、薄板部材70の溝部75にシール部材80が配置され、ガスセンサ200が完成する。
【0065】
以上説明した第1実施例のガスセンサ200によれば、主体金具の後端部に接合されるとともにセパレータの径方向周囲を取り囲む外筒と、外筒の内側に固定され、セパレータの鍔部を軸線方向の後端側に付勢する筒状の保持部材とを備える。従って、保持部材によりセパレータを周方向から固定することができ、ガスセンサ素子への振動や衝撃が負荷された場合に、セパレータが振動したり規定の位置からずれたりすることを抑制できる。よって、セパレータの内側に配置されている接続端子と、コネクタ部内に配置されているコネクタ端子との接合部の破損を抑制でき、ガスセンサの出力性能を向上できる。
【0066】
また、第1実施例のガスセンサ200によれば、保持部材は、外筒に加締め固定されている。従って、ガスセンサへの振動、特に、径方向の振動によるセパレータの振動、ずれを抑制でき、径方向に延伸しているコネクタ端子などへの衝撃、振動を抑制すると共に、電極パッド140、141に接している接続端子150、151が外れ、接点不良が生じることを抑制できる。従って、ガスセンサの出力性能を向上できる。
【0067】
また、第1実施例のガスセンサ200によれば、外筒は、弾性部材に加締め固定されている。従って、セパレータは、保持部材だけでなく、外筒によっても固定される。よって、特に、軸線方向の振動によるセパレータの振動、ずれを抑制すると共に、電極パッド140、141接している接続端子150、151が上下することで、電極パッド140、141にダメージが生じることを抑制でき、ガスセンサの出力性能を向上できる。
【0068】
また、第1実施例のガスセンサ200によれば、主体金具の後端部の外周に接合され、主体金具とカバーとを連結する筒状の金属部材が設けられている。従って、主体金具とカバーとを、金属部材によって連結することができ、ガスセンサの小型化を図ることができる。
【0069】
また、第1実施例のガスセンサ200によれば、セパレータは、軸線方向において、カバーの先端面に平行な仮想線に跨って配置されている。従って、ガスセンサにおける、セパレータの後端側への突出量を低減することができ、ガスセンサの低背化につながる。ひいては、ガスセンサの小型化を図ることができる。
【0070】
B.変形例:
接続端子150、151は、中間接続端子160を含み、接続端子150、151がコネクタ端子105bと、レーザ溶接などの方法によって接合されていてもよい。
【0071】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。上記実施例で外筒が弾性部材に加締め固定される例を用いて説明したが、これに限定されず、弾性部材を省略しても良い。この場合、外筒の後端に対し、周方向にスリットを設けることで、外筒後端の加締め部に軸線方向へのバネ性を付与することで、軸線方向の振動によるセパレータの振動、ずれを抑制することも可能である。また、
図3(a)では、コネクタ部103の先端面を通過する仮想線にセパレータ40が跨って配置されている態様を例示したが、これに限定されず、コネクタ部103の後端面を通過する仮想線にセパレータ40が跨って配置されていてもよい。つまり、軸線方向におけるコネクタ部の高さと、セパレータの高さとが少なくとも一部でオーバーラップするように配置されていれば良い。