(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054258
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電子機器のろう付け接続部
(51)【国際特許分類】
H05B 3/03 20060101AFI20161219BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20161219BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20161219BHJP
C25D 5/12 20060101ALI20161219BHJP
B23K 101/36 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
H05B3/03
B23K1/00 330D
B32B15/04 Z
C25D5/12
B23K101:36
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-126526(P2013-126526)
(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公開番号】特開2015-2103(P2015-2103A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】395010794
【氏名又は名称】名古屋メッキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081628
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 桂
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 延之
(72)【発明者】
【氏名】堀田 一男
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−138841(JP,A)
【文献】
特表2005−509528(JP,A)
【文献】
特表2001−516812(JP,A)
【文献】
特開平2−97696(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102825254(CN,A)
【文献】
特表2013−544687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/03
B23K 1/00
B32B 15/04
C25D 5/12
B23K 101/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の電極に導線をろう材で固着し、その上に保護めっき層を形成しているろう付け接続部において、
保護めっき層は、電解スルファミン酸ニッケルめっき層、電解ニッケル−リンめっき層と電解クロムめっき層をその順に積層していることを特徴とする電子機器のろう付け接続部。
【請求項2】
電解スルファミン酸ニッケルめっき層は、厚さを3〜7μmにしていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器のろう付け接続部。
【請求項3】
電解ニッケル−リンめっき層は、リンの含有量を10〜13wt%にしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器のろう付け接続部。
【請求項4】
電解ニッケル−リンめっき層は、厚さを0.2〜0.3μmにしていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の電子機器のろう付け接続部。
【請求項5】
電解クロムめっき層は、厚さを0.7〜2μmにしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器のろう付け接続部。
【請求項6】
電解クロムめっき層は、防錆膜を被覆していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器のろう付け接続部。
【請求項7】
電子機器の電極に導線をろう材で固着し、その上に保護めっき層を形成するろう付け接続部の製造方法において、
保護めっき形成面には、脱脂処理と酸処理を行い、電解スルファミン酸ニッケルめっき、電解ニッケル−リンめっきと電解クロムめっきをその順に施すことを特徴とするろう付け接続部の製造方法。
【請求項8】
電解クロムめっきの外面に防錆膜を形成することを特徴とする請求項7に記載のろう付け接続部の製造方法。
【請求項9】
電解クロムめっきを施すめっき液は、3価クロムと6価クロムを含み、6価クロムの含有量を10〜25wt%にすることを特徴とする請求項7又は8に記載のろう付け接続部の製造方法。
【請求項10】
請求項2〜6のいずれかに記載のろう付け接続部を得ることを特徴とする請求項7、8又は9に記載のろう付け接続部の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の電極と導線のろう付け接続部を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えば、車両の内燃機関に装着するセラミックヒータは、セラミックの基体内に電熱体を没入し、電熱体に接続した電極を基体外に露出している。電熱体の両端にそれぞれ接続した陰極と陽極の電極は、基体外面の離れた位置に配置している。陰極と陽極の電極は、それぞれ、導線の端部をろう付けして導線を接続している。2本の導線は、他の端部を電源に接続して、電熱体に通電する。すると、電熱体は、電流が流れて発熱する。セラミックヒータは、内燃機関の高温排気に曝され、振動や外力を受ける。
【0003】
電極と導線のろう付け接続部は、電極に下地めっき層を形成している。下地めっき層の上には、導線をろう材で固着している。ろう材、導線と下地めっき層の露出外面には、保護めっき層を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−190740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[課 題]
上記のような電子機器は、内燃機関の高温排気の雰囲気中で振動や外力を受けつつ使用していると、ろう付け接続部で電極から導線が剥離することがある。ろう付け接続部を観察すると、保護めっき層に亀裂が発生していることが多い。
【0006】
保護めっき層に亀裂が発生すると、高温排気が亀裂に入り込み、ろう材に触れる。ろう材は、高温排気に接触していると、劣化し、電極と導線を結合する強度が低下して、電極から導線が剥離し易くなるものと推測される。
ろう付け接続部は、保護めっき層の耐久性を高め、電極と導線の結合強度の低下を防止することが望まれる。
【0007】
[着想と実験]
ろう付け接続部において、保護めっき層は、耐久性を高めるため、複数種類のめっきを積層することにした。
そして、実験を繰り返した。実験の結果、電解スルファミン酸ニッケルめっき層、電解ニッケル−リンめっき層と電解クロムめっき層をその順に積層した場合が優れていることを発見した。
【0008】
第1層の電解スルファミン酸ニッケルめっき層は、内部応力が小さくて亀裂が発生し難い。その特性を十分に生かすには、厚さは3〜7μmが好ましい。なお、第1層のめっきを施す前には、脱脂処理と酸処理を行う。
第2層の電解ニッケル−リンめっき層は、硬質で耐食性が高い。めっき層のリンの含有量は、10〜13wt%であると、耐食性が更に高くなる。めっき層の厚さは、0.2〜0.3μmが好ましい。それより厚くなると、密着性試験で剥離が発生し易くなる。
第3層の電解クロムめっき層は、耐食性が高い。厚さは、0.7〜2μmが好ましい。それより厚くなると、密着性試験で剥離が発生し易くなる。めっき液は、3価クロムと6価クロムを含み、6価クロムの含有量を10〜25wt%にするのが好ましい。それより少なくなると、耐食性が低くなる。それより多くなると、亀裂や剥離が発生し易くなる。
第3層の電解クロムめっき層は、防錆膜を被覆していることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1.電子機器の電極に導線をろう材で固着し、その上に保護めっき層を形成しているろう付け接続部において、
保護めっき層は、電解スルファミン酸ニッケルめっき層、電解ニッケル−リンめっき層と電解クロムめっき層をその順に積層していることを特徴とする電子機器のろう付け接続部。
2.上記1の電子機器のろう付け接続部において、
電解スルファミン酸ニッケルめっき層は、厚さを3〜7μmにしていることを特徴とする。
3.上記1又は2の電子機器のろう付け接続部において、
電解ニッケル−リンめっき層は、リンの含有量を10〜13wt%にしていることを特徴とする。
4.上記1、2又は3の電子機器のろう付け接続部において、
電解ニッケル−リンめっき層は、厚さを0.2〜0.3μmにしていることを特徴とする。
5.上記1〜4のいずれかの電子機器のろう付け接続部において、
電解クロムめっき層は、厚さを0.7〜2μmにしていることを特徴とする。
6.上記1〜5のいずれかの電子機器のろう付け接続部において、
電解クロムめっき層は、防錆膜を被覆していることを特徴とする。
【0010】
7.電子機器の電極に導線をろう材で固着し、その上に保護めっき層を形成するろう付け接続部の製造方法において、
保護めっき形成面には、脱脂処理と酸処理を行い、電解スルファミン酸ニッケルめっき、電解ニッケル−リンめっきと電解クロムめっきをその順に施すことを特徴とするろう付け接続部の製造方法。
8.上記7のろう付け接続部の製造方法において、
電解クロムめっきの外面に防錆膜を形成することを特徴とする。
9.上記7又は8のろう付け接続部の製造方法において、
電解クロムめっきを施すめっき液は、3価クロムと6価クロムを含み、6価クロムの含有量を10〜25wt%にすることを特徴とする。
10.上記7、8又は9のろう付け接続部の製造方法において、
上記2〜6のいずれかのろう付け接続部を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
電子機器のろう付け接続部は、保護めっき層の耐久性が高く、電極と導線の結合強度が低下し難い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の第1例におけるろう付け接続部付きの電子機器の正面図。
【
図2】
図1のA−A線断面におけるろう付け接続部の拡大断面図。
【
図3】
図2のB−B線断面における保護めっき層の拡大断面図。
【
図4】実施形態の第2例における保護めっき層の拡大断面図であり、
図3と同様な図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態の第1例(
図1〜
図3参照)]
本例のろう付け接続部付きの電子機器は、セラミックヒータにしている。セラミックヒータは、ガスセンサに内蔵し、車両の内燃機関に装着する。このセラミックヒータは、内燃機関の高温排気に曝され、振動や外力を受ける。
【0014】
セラミックヒータは、
図1に示すように、セラミックの基体1を棒状にしている。棒状の基体1は、先端部内に電熱体2を没入している。基体1の基端部は、外周面に電極3を固着している。電極3は、陰極と陽極の対にし、陰極と陽極を基体1の中心軸を挟んで対向位置に配置している。電極3の陰極と陽極は、外面を基体1外に露出し、内面を電線4で電熱体2の両端に接続している。2本の電線4は、基体1内に没入している。
【0015】
電極3の陰極と陽極は、それぞれ、露出外面に導線5の端部をろう材6でろう付けして、導線5を接続している。2本の導線5は、他の端部を図示しない電源に接続して、電熱体2に通電する。すると、電熱体2は、電流が流れて発熱する。
【0016】
電極3と導線5のろう付け接続部は、
図2に示すように、電極3の露出外面に下地めっき層7を形成している。下地めっき層7の上には、導線5をろう材6で固着している。ろう材6、導線5と下地めっき層7の露出外面には、保護めっき層8を形成している。
【0017】
基体1のセラミックは、焼結体であって、アルミナ質、窒化珪素質、窒化アルミニウム質や炭化珪素質が例示される。実施例ではアルミナ質にしている。
電熱体2、電極3と電線4の材質は、耐熱性金属であって、タングステン〔W〕、モリブデン〔Mo〕やレニウム〔Re〕、又は、それらの合金が例示される。電極3は、実施例ではタングステン板にしている。
下地めっき層7は、耐熱性であって、ろう材6の付着性を高める材質にしている。ニッケル〔Ni〕やクロム〔Cr〕、又は、それらの合金が例示される。実施例では無電解ニッケルにしている。
ろう材6の材質は、金〔Au〕、銅〔Cu〕、銀〔Ag〕、インジウム〔In〕やニッケル〔Ni〕、又は、それらの合金が例示される。実施例では、Au−Cu合金であって、Auの含有量を25〜95wt%にしている
導線5の材質は、耐熱性金属であって、鉄〔Fe〕、ニッケル〔Ni〕、クロム〔Cr〕やコバルト〔Co〕、又は、それらの合金が例示される。実施例ではFe−Ni合金にしている。
【0018】
〔保護めっき層〕
保護めっき層8は、
図3に示すように、電解スルファミン酸ニッケルめっき層11、電解ニッケル−リンめっき層12と電解クロムめっき層13をその順に積層している。
【0019】
第1層の電解スルファミン酸ニッケルめっき層11は、ろう材6、導線5と下地めっき層7の外面に密着している。厚さは3〜7μmにしている。
第2層の電解ニッケル−リンめっき層12は、第1層11の外面に密着している。厚さは0.2〜0.3μmにしている。めっき層12のリン含有量は、10〜13wt%にしている。
第3層の電解クロムめっき層13は、第2層12の外面に密着している。厚さは0.7〜2μmにしている。
【0020】
保護めっき層8を形成するには、次の処理を順次行う。
1)脱脂処理
電極3と導線5のろう付け後、ろう材6、導線5と下地めっき層7の露出外面、即ち、保護めっき形成面は、浸漬脱脂と電解脱脂を行う。
セラミック基体1のろう付け接続部は、アルカリ水溶液の浸漬脱脂液に浸漬する。保護めっき形成面は、アルカリの作用で脱脂する。次に、セラミック基体1のろう付け接続部は、アルカリ水溶液の電解脱脂液に浸漬し、保護めっき形成面に通電する。保護めっき形成面は、電解作用で脱脂する。
保護めっき形成面に付着していた油脂は、除去される。
【0021】
2)酸処理
セラミック基体1の脱脂済みのろう付け接続部は、硫酸水溶液の酸処理液に浸漬する。保護めっき形成面は、脱脂処理で残留したアルカリ成分を中和すると共に、活性化してめっきの付着性を高める。
【0022】
3)電解スルファミン酸ニッケルめっき処理
セラミック基体1の酸処理済みのろう付け接続部は、スルファミン酸ニッケルめっき液に浸漬し、そのめっき液を撹拌しつつ、酸処理済みの保護めっき形成面に通電する。
【0023】
4)電解ニッケル−リンめっき処理
セラミック基体1の第1層11付着のろう付け接続部は、ニッケル−リンめっき液に浸漬し、第1層11に通電する。
【0024】
5)電解クロムめっき処理
セラミック基体1の第2層12付着のろう付け接続部は、クロムめっき液に浸漬し、第2層12に通電する。クロムめっき液は、3価クロムと6価クロムを含み、6価クロムの含有量を10〜25wt%にする。3価クロム源は、シュウ酸やクエン酸などの有機カルボン酸のクロム錯体や、3価の無機クロム塩、特に硫酸クロムが例示される。6価クロム源は、クロム酸、重クロム酸やこれらの塩が例示される。
【0025】
[実施形態の第2例(
図4参照)]
本例のろう付け接続部では、保護めっき層9は、第1例における保護めっき層8の外面に防錆膜14を被覆している。
【0026】
電極に導線をろう付けした接続部は、第1例におけるのと同様に、第1層の電解スルファミン酸ニッケルめっき層11、第2層の電解ニッケル−リンめっき層12と第3層の電解クロムめっき層13を順次形成する。その後、そのめっき層11、12、13付着のろう付け接続部は、珪酸塩系水溶液の防錆液に浸漬する。第3層の電解クロムめっき層13の外面に防錆膜14を形成する。
【0027】
保護めっき層9は、
図4に示すように、第1層の電解スルファミン酸ニッケルめっき層11、第2層の電解ニッケル−リンめっき層12と第3層の電解クロムめっき層13を順次積層し、第3層の電解クロムめっき層13の外面に防錆膜14を密着して積層している。
その他の点は、第1例におけるのと同様にしている。
【0028】
[実施例、比較例と試験]
〔実施例1、2〕
実施例1は、実施形態の第1例を次のように具体化して保護めっき層8を形成した。
1)脱脂処理
(1)浸漬脱脂
アルカリ浸漬脱脂剤 100g/L
液 温 50℃
浸漬時間 5分
(2)電解脱脂
アルカリ電解脱脂剤 100g/L
液 温 50℃
電流密度 3.0A/dm
2
電解時間 2分
【0029】
2)酸処理
硫 酸 200cc/L
液 温 50℃
浸漬時間 1分
【0030】
3)電解スルファミン酸ニッケルめっき処理
スルファミン酸ニッケル 450g/L
硼 酸 30g/L
浴 温 35〜40℃
pH 3.6〜4.6
電流密度 5.0A/dm
2
めっき時間 13分
めっき厚さ 5.3μm
【0031】
4)電解ニッケル−リンめっき処理
硫酸ニッケル 500g/L
塩化ニッケル 40g/L
硼 酸 40g/L
次亜リン酸を高濃度に含むめっき液 100cc/L
浴 温 60℃
pH 1.0〜2.0
電流密度 1.0A/dm
2
めっき時間 1分
めっき厚さ 0.25μm
めっき層のリン含有量 11.5wt%
【0032】
5)電解クロムめっき処理
3価クロムと6価クロムを含むめっき液
めっき液の6価クロム含有量 15wt%
浴 温 46℃
pH 1.9〜2.3
陽 極 酸化イリジウム
電流密度 15A/dm
2
めっき時間 8〜10分
めっき厚さ 1.52μm
【0033】
実施例2は、実施形態の第2例を次のように具体化して保護めっき層9を形成した。
1)脱脂処理〜5)電解クロムめっき処理は、実施例1と同様にした。
6)防錆処理
珪酸塩系防錆剤 100cc/L
液 温 30〜35℃
pH 11〜12
浸漬時間 8〜10分
保護めっき層の防錆剤付着量 0.47wt%
【0034】
〔比較例1〜5〕
比較例1は、実施例1における電解スルファミン酸ニッケルめっき層11に替えて、ワット浴による電解ニッケルめっき層にした。電解ニッケル−リンめっき層12と電解クロムめっき層13は、無くした。保護めっき層は、ワット浴による電解ニッケルめっき層のみにした。
【0035】
比較例2は、実施例1における電解スルファミン酸ニッケルめっき層11と電解ニッケル−リンめっき層12を無くした。電解クロムめっき処理で、3価クロムと6価クロムを含むめっき液に替えて、6価クロムを含まない3価クロムのめっき液を用いた。保護めっき層は、3価クロムのめっき液による電解クロムめっき層のみにした。
【0036】
比較例3は、実施例1における電解ニッケル−リンめっき層12を無くした。電解クロムめっき処理で、3価クロムと6価クロムを含むめっき液に替えて、6価クロムを含まない3価クロムのめっき液を用いた。保護めっき層は、電解スルファミン酸ニッケルめっき層11と3価クロムのめっき液による電解クロムめっき層にした。
【0037】
比較例4は、実施例1における電解クロムめっき処理で、3価クロムと6価クロムを含むめっき液に替えて、6価クロムを含まない3価クロムのめっき液を用いた。保護めっき層は、電解スルファミン酸ニッケルめっき層11、電解ニッケル−リンめっき層12と3価クロムのめっき液による電解クロムめっき層にした。
【0038】
比較例5は、実施例1における電解ニッケル−リンめっき層12を無くした。保護めっき層は、電解スルファミン酸ニッケルめっき層11と電解クロムめっき層13にした。
【0039】
〔試 験〕
折り曲げ試験、密着性試験
実施例1、2と比較例1〜5は、それぞれ、ろう付け接続部に接続した導線5を直角に折り曲げてその前の直線状に復元する。折り曲げと復元の往復を3回行う。その後、折り曲げ復元部分は、光学機器で23倍に拡大して観察する。保護めっき層のめっきの剥離と亀裂の有無を調べる。
【0040】
硝酸蒸気暴気後の折り曲げ試験
実施例1、2と比較例1〜5は、温度23℃の硝酸蒸気の雰囲気中に120分放置する。その後、導線5を直角に折り曲げて直線状に復元する。折り曲げと復元の往復を3回行う。その後、保護めっき層外面の変色と導線5の折損の有無を調べる。
【0041】
試験結果は、表1の通りである。表中、○は、剥離、亀裂、変色又は折損の「なし」を示す。△は「少しあり」を示す。×は「あり」を示す。
【表1】
【0042】
実施例1、2は、すべての試験結果が良好であった。比較例1〜5は、すべて又はいずれかの試験結果が良くなかった。
【0043】
[変形例]
本発明は、上記の実施形態、実施例に限定されない。次のような変形が例示される。
1.上記の実施形態において、電子機器は、車両の内燃機関に装着するガスセンサ用のセラミックヒータにしているが、その他のセラミックヒータ又は電子機器にする。
2.上記の実施形態において、電子機器の基体1は、丸棒状にしているが、角棒状又はその他の形状にする。
【符号の説明】
【0044】
1 セラミックヒータの基体、電子機器の基体
2 電熱体
3 電極
4 電線
5 導線
6 ろう材
7 下地めっき層
8、9 保護めっき層
11 電解スルファミン酸ニッケルめっき層、第1層
12 電解ニッケル−リンめっき層、第2層
13 電解クロムめっき層、第3層
14 防錆膜