【文献】
NTT DOCOMO, SOFTBANK MOBILE Corp., KDDI,Discussion paper for operator configurable location information in IMS[online],3GPP TSG-SA WG1♯52 S1-103032,2010年11月12日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG1_Serv/TSGS1_52_Malta/Docs/S1-103032.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記網内制御部は、前記課金エリア情報又は前記位置登録単位エリア情報が前回と異なっているか否かを判断し、異なっている場合に、前記取得した端末情報をHSSへ提供する、請求項1に記載の通信システム。
相互に接続された、IMSとHSSと位置登録単位エリアの管理が行われている複数のアクセス網とを含んで構成される通信システム、により実行される情報提供方法であって、
第1のアクセス網に在圏していた端末が移動して第2のアクセス網に在圏することとなったときに実行されるハンドオーバ時に、前記第2のアクセス網内に設けられたハンドオーバ先制御部が、前記端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報をHSSへ提供するステップと、
HSS内に設けられたHSS内制御部が、前記ハンドオーバ先制御部から前記端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報を受信して保持しIMSへ提供するステップと、
を備える情報提供方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、IMSは端末の最新の課金エリア情報を取得できないのが現状であり、特許文献1でもIMSが最新の課金エリア情報を取得可能とする解決策については言及されていない。
【0007】
そこで、本発明は、IMSが端末の最新の課金エリア(CA)情報を取得可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る通信システムは、相互に接続された、IMSとHSSと位置登録単位エリアの管理が行われているアクセス網とを含んで構成される通信システムであって、アクセス網内に設けられ、当該アクセス網に在圏する端末の位置登録時に、当該端末の課金エリア情報又は当該端末の課金エリアに対応付けられた位置登録単位エリア情報を含んだ端末情報を取得し、取得した端末情報をHSSへ提供する網内制御部と、HSS内に設けられ、取得した端末情報から当該端末の課金エリア情報を得て、当該端末の課金エリア情報を含んだ在圏情報を保持しIMSへ提供するHSS内制御部と、を備える。なお、「位置登録単位エリアの管理が行われているアクセス網」としては、例えばLTE網や3G網が挙げられる。
【0009】
即ち、上記の通信システムでは、アクセス網内の網内制御部が、アクセス網に在圏する端末の位置登録時(例えば、初回位置登録時や位置登録単位エリア(TAList)境界の跨り時等)に、当該端末の課金エリア情報又は当該端末の課金エリアに対応付けられた位置登録単位エリア情報を含んだ端末情報を取得し、取得した端末情報をHSSへ提供し、HSS内制御部が、取得した端末情報から当該端末の課金エリア情報を得て、当該端末の課金エリア情報を含んだ在圏情報を保持しIMSへ提供する。なお、取得した端末情報が位置登録単位エリア情報を含んでいる場合、HSS内制御部は、例えば内蔵した対応テーブル(位置登録単位エリアと課金エリアとの対応テーブル)を用いて位置登録単位エリア情報から課金エリア情報に変換することで端末の課金エリア情報を得る。一方、取得した端末情報が端末の課金エリア情報を含んでいる場合、HSS内制御部は、含まれた課金エリア情報を得る。
【0010】
このようにしてIMSに対し、端末の課金エリア情報を含んだ在圏情報が提供されることとなり、IMSは端末の最新の課金エリア(CA)情報を取得可能となる。このときの最新の課金エリア(CA)情報は、端末からの申告に基づき得られたものではなく、アクセス網にて管理される情報に基づき得られたものであるため、IMSは、より信頼性の高い課金エリア(CA)情報を取得可能となる。
【0011】
なお、網内制御部は、課金エリア情報又は位置登録単位エリア情報が前回と異なっているか否かを判断し、異なっている場合に、取得した端末情報をHSSへ提供してもよい。この場合、前回と同じ課金エリア情報又は位置登録単位エリア情報が重複してHSSへ提供されることを回避することができる。
【0012】
また、網内制御部は、取得した端末情報を既存の制御信号に重畳してHSSへ提供してもよい。この場合、情報提供のための装置間インターフェースを新たに追加することは不要となる。
【0013】
また、網内制御部は、端末の課金エリア情報又は位置登録単位エリア情報とともに当該端末に特有の情報を含んだ端末情報を取得してHSSへ提供し、HSS内制御部は、端末の課金エリア情報とともに当該端末に特有の情報を含んだ在圏情報を保持しIMSへ提供してもよい。上記の「端末に特有の情報」としては、例えば、端末の端末識別番号情報(IMEISV(IMEI Software Version))が挙げられる。この場合、IMEISVのような、現状の通信手順ではIMSが取得困難な情報を、IMSが取得可能となる。
【0014】
本発明に係る通信システムは、相互に接続された、IMSとHSSと位置登録単位エリアの管理が行われている複数のアクセス網とを含んで構成される通信システムであって、第1のアクセス網に在圏していた端末が移動して第2のアクセス網に在圏することとなったときに実行されるハンドオーバ時に、端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報をHSSへ提供する、第2のアクセス網内に設けられたハンドオーバ先制御部と、HSS内に設けられ、ハンドオーバ先制御部から端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報を受信して保持しIMSへ提供するHSS内制御部と、を備える。
【0015】
即ち、上記の通信システムでは、第1のアクセス網に在圏していた端末が移動して第2のアクセス網に在圏することとなったときに実行されるハンドオーバ時に、第2のアクセス網内に設けられたハンドオーバ先制御部が、端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報をHSSへ提供し、そして、HSS内に設けられたHSS内制御部が、ハンドオーバ先制御部から端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報を受信して保持しIMSへ提供する。
【0016】
このようにしてIMSに対し、端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報が提供されることとなり、IMSは端末の最新(移動後)の課金エリア(CA)情報を取得可能となる。このときの最新の課金エリア(CA)情報は、端末からの申告に基づき得られたものではなく、アクセス網にて管理される情報に基づき得られたものであるため、IMSは、より信頼性の高い課金エリア(CA)情報を取得可能となる。
【0017】
なお、上記の通信システムは、ハンドオーバ時に端末の移動前の課金エリア情報を含んだ旧在圏情報をハンドオーバ先制御部へ提供する、第1のアクセス網内に設けられたハンドオーバ元制御部、をさらに備え、ハンドオーバ先制御部は、ハンドオーバ元制御部から提供された端末の移動前の課金エリア情報を含んだ旧在圏情報を受信し、当該ハンドオーバ先制御部にて保持された端末の移動後の課金エリアと、端末の移動前の課金エリアとが異なっているか否かを判断し、異なっている場合に端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報をHSSへ提供してもよい。この場合、前回と同じ課金エリア情報が重複してHSSへ提供されることを回避することができる。
【0018】
なお、ハンドオーバ元制御部は、旧在圏情報を既存の第1の制御信号に重畳して第2のアクセス網へ提供し、ハンドオーバ先制御部は、新在圏情報を既存の第2の制御信号に重畳してHSSへ提供してもよい。この場合、情報提供のための装置間インターフェースを新たに追加することは不要となる。
【0019】
また、ハンドオーバ先制御部は、端末の移動後の課金エリア情報とともに当該端末に特有の情報を含んだ新在圏情報を取得してHSSへ提供し、HSS内制御部は、端末の移動後の課金エリア情報とともに当該端末に特有の情報を含んだ新在圏情報を保持しIMSへ提供してもよい。前述したように、上記の「端末に特有の情報」としては、例えば、端末の端末識別番号情報(IMEISV)が挙げられる。この場合、IMEISVのような、現状の通信手順ではIMSが取得困難な情報を、IMSが取得可能となる。
【0020】
ところで、上記の通信システムに関する発明は、情報提供方法に関する発明として捉えることもでき、以下のように記載することができる。
【0021】
本発明に係る情報提供方法は、相互に接続された、IMSとHSSと位置登録単位エリアの管理が行われているアクセス網とを含んで構成される通信システム、により実行される情報提供方法であって、アクセス網内に設けられた網内制御部が、当該アクセス網に在圏する端末の位置登録時に、当該端末の課金エリア情報又は当該端末の課金エリアに対応付けられた位置登録単位エリア情報を含んだ端末情報を取得し、取得した端末情報をHSSへ提供するステップと、HSS内に設けられたHSS内制御部が、取得した端末情報から当該端末の課金エリア情報を得て、当該端末の課金エリア情報を含んだ在圏情報を保持しIMSへ提供するステップと、を備える。
【0022】
また、本発明に係る情報提供方法は、相互に接続された、IMSとHSSと位置登録単位エリアの管理が行われている複数のアクセス網とを含んで構成される通信システム、により実行される情報提供方法であって、第1のアクセス網に在圏していた端末が移動して第2のアクセス網に在圏することとなったときに実行されるハンドオーバ時に、第2のアクセス網内に設けられたハンドオーバ先制御部が、端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報をHSSへ提供するステップと、HSS内に設けられたHSS内制御部が、ハンドオーバ先制御部から端末の移動後の課金エリア情報を含んだ新在圏情報を受信して保持しIMSへ提供するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、IMSは、端末の最新の課金エリア(CA)情報を取得可能となる。また、このときIMSは、アクセス網にて管理される情報に基づく、より信頼性の高い課金エリア(CA)情報を取得可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る各種実施形態を順に説明する。以下では、第1実施形態として、IMSとHSSとLTE網とを含んで構成される通信システムの例を、第2実施形態として、IMSとHSSと複数のアクセス網(LTE網および3G網)とを含んで構成される通信システムの例を、それぞれ説明する。
【0026】
[第1実施形態]
[第1実施形態の通信システムの構成]
図1に示すように、第1実施形態の通信システム1は、IMS20とHSS10とLTE網30とを含んで構成される。このシステム構成自体は、従来からのシステム構成と同様である。
【0027】
即ち、IMS20には、
図1のように相互に接続されたAS(Application Server)21、S-CSCF(Serving-CSCF)22、I-CSCF(Interrogating-CSCF)23、およびP-CSCF(Proxy-CSCF)24が含まれており、便宜上、これら装置を1台ずつ図示しているが、実際にはこれら装置はそれぞれ複数台存在する。このうちAS21は各種アプリケーションサービスを提供し、S-CSCF22はIMS制御信号のルーティング管理を行う。I-CSCF23は他IMS網とのSIP中継を行い、P-CSCF24はSIP信号のゲートウェイ制御を行う。なお、上記の「CSCF」は、Call Session Control Functionの略である。
【0028】
HSS10は、主に加入者情報管理を行う装置である。LTE網30には、
図1のように相互に接続されたMME(Mobility Management Entity)33、S-GW(Serving GateWay)34、P-GW(PDN(PacketDataNetwork) GateWay)35、PCRF(Policy and Charging Rules Function)36、eNodeB(evolved NodeB)32、およびUE(User Entity)31が含まれており、便宜上、これら装置を1台ずつ図示しているが、実際にはこれら装置はそれぞれ複数台存在する。このうちMME33は加入者情報の保持やセッション制御等を行い、S-GW34はユーザパケットのルーティングや転送等を行う。P-GW35はIPサービスネットワーク(PDN)との接続を行い、PCRF36はポリシー制御(課金、QoS)を行う。eNodeB32はLTE網の基地局であり、UE31はLTE端末である。
【0029】
図2はLTE網のエリアの概念を説明するための図である。この
図2に示すように、LTE網では、MMEの配下に
図2のように階層を成す以下の複数のエリアが設定されている。即ち、最下層には、eNodeB(LTE網の基地局)の電波範囲に相当するeNBエリアが設定され、下から2番目の層には、位置登録設計単位としてのTA(Tracking Area)が設定され、下から3番目の層には、1つ又は複数のTAを割り当てたエリアに相当するTAList(Tracking Area List)が設定される。端末がTAListの境界を超えるとMMEに位置登録要求を上げるしくみとなっている。そのため、TAListは、特許請求の範囲に記載した「位置登録単位エリア」の一例である。また、TAListは、TAの割当てをユーザ毎に設定可能とされている。このようにTAListへのTAの割当てをユーザ毎に設定することで、MMEへの位置登録要求の過度な集中を防止している。そして、最上位の層には、MMEの制御範囲であるPoolエリアが設定される。
【0030】
図3は、課金エリア(Charging Area:以下「CA」と称する)を説明するための図である。
図3のように1つのCAは1つ又は複数のTAListに対応し、CAの境界は、いずれかのTAListの境界に一致するよう設定されている。
【0031】
図3に示すCAとTAListとの対応および
図2に示すTAとTAListとの対応は予め定められている。このうち、例えば、CAとTAListとの対応情報は、
図7のような「TAList−CA対応テーブル」として
図1のMME33により保持されており、TAとTAListとの対応情報についても同様に、MME33により保持されている。
【0032】
さて、本発明に関連する機能ブロックとして、
図1に示すように、MME33は網内制御部33Aを備えており、この網内制御部33AはLTE網に在圏する端末の位置登録時に、上記のTAList−CA対応テーブルを用いて当該端末のCA情報を含んだ端末情報を取得し、取得した端末情報をHSS10へ提供する機能を有する。また、HSS10はHSS内制御部10Aを備えており、このHSS内制御部10Aは、LTE網30から通知された情報から端末のCA情報を得て、当該端末のCA情報を含んだ在圏情報を保持しIMS20からの要求時等にIMS20へ提供する機能を有する。
【0033】
これらの機能ブロックを備えたMME33およびHSS10の動作は、
図4〜
図6を用いて後述する。なお、変形例として、HSS内制御部10Aは、TAList−CA対応テーブルを予め保持し、網内制御部33Aから端末のCA情報でなくTAList情報を受信して、TAList−CA対応テーブルを参照することでCA情報を得てもよい。
【0034】
[第1実施形態の通信システムにおける動作]
以下、第1実施形態の通信システム1における動作として、
図4の初回位置登録時の動作と、
図5のTAList跨り(LTE→LTE)非通信中状態のケースの動作と、
図6のTAList跨り(LTE→LTE)通信中状態のケースの動作とを順に説明する。なお、「非通信中状態」とは、UE(端末)がアクセス網の圏内に存在するが通信していない状態(いわゆるアイドル状態)を意味する。
【0035】
(
図4:初回位置登録時の動作)
端末の電源投入時などには「初回位置登録」が実行され、その際の動作を
図4に示す。
図4のように、UEは、初回位置登録に関する所定の処理を実施し(ステップS1)、Attach Request信号をeNodeBへ送信する(ステップS2)。そして、eNodeBはUEからの信号を基にTAI(Tracking Area Identifier)を算出し(ステップS3)、得られたTAI情報をAttach Request信号に重畳してMMEへ送信する(ステップS4)。なお、上記の「TAI」とは、TA情報導出のための在圏情報である。
【0036】
MMEは、eNodeBからのTAIを受信し、予め記憶したTAとTAListとの対応情報を基に、TAListを割り当てる、即ち、受信したTAIに対応するTAListを導出する(ステップS5)。さらに、MMEは、UEの識別情報を照会するためのIdentity Request信号をUEへ送り(ステップS6)、UEの識別情報であるIMEISVを含んだIdentity Response信号をUEから受信することで(ステップS7)、UEの識別情報(IMEISV)を取得する。
【0037】
そして、MMEは、TAList−CA対応テーブルを参照することで、ステップS5で得られたTAListに対応するCAを導出し(ステップS8)、得られたCA情報および上記IMEISV情報をUpdate Location Request信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS9)。これにより、HSSは、UEのCA情報とIMEISV情報を取得することができ、得られたCA情報とIMEISV情報を保持する(ステップS10)。
【0038】
その後、UEからのSIP_RegisterがP-CSCF経由で、IMS(I-CSCF、S-CSCF、AS)へ送信されると(ステップS11、S12)、IMS(I-CSCF、S-CSCF、AS)はCAおよびIMEISVの取得要求をHSSへ送信する(ステップS13)。上記取得要求に対し、HSSは、保持しているCA情報及びIMEISV情報をIMSへ送信する(ステップS14、S15)。
【0039】
なお、
図4の処理では、以下のようなバリエーションを採用してもよい。例えば、CA情報の導出は、MMEではなく、HSSが行ってもよい。その場合、前述したように、
図1のHSS内制御部10Aが、TAList−CA対応テーブルを予め保持しておき、MMEからTAList情報を受信して、TAList−CA対応テーブルを参照することで、TAList情報に対応するCA情報を得ればよい。
【0040】
また、MMEがCA情報をHSSへ通知するタイミングは、
図4のステップS9のタイミング以外に、サービス起動契機でHSSがMMEにCA情報を問い合わせ、その応答としてMMEがCA情報をHSSへ通知してもよい。
【0041】
また、HSSがCA情報およびIMEISV情報をIMSへ通知するタイミングは、
図4のステップS13〜S15のタイミング以外に、
図4のステップS10でHSSが、受信したCA情報およびIMEISV情報を速やかにIMSへ通知してもよい。
【0042】
さらに、
図4のステップS13〜S15では、CAおよびIMEISVの取得要求への応答信号に代わり、HSSに対するI-CSCF、S-CSCFからのIPアドレス取得要求への応答信号に、CA情報およびIMEISV情報を重畳してHSSからIMSへ送信してもよい。
【0043】
(
図5:TAList跨り(LTE→LTE)非通信中状態のケースの動作)
図5(a)には、非通信中状態にあるUEが
図5(b)のようにLTE間(LTE→LTE)でTAList境界を跨ったケースの動作を示す。但し、
図5(b)には、CA境界がTAList境界と一致しUEがCA境界を跨った例を示しているが、CA境界がTAList境界と一致せずUEがCA境界を跨っていないこともありうる。なお、
図5(a)におけるMMEおよびeNodeBは、UEがTAList境界を跨った後のエリアを制御するMMEおよびeNodeBである。
図5(a)に示すように、MMEおよびHSSは予めCA情報を保持している(ステップS21、S22)。
【0044】
UEは、TAList跨りを契機に、LTE網に対しTAList更新要求を行う(ステップS23)。具体的には、EMM Tracking Area Update Request信号をeNodeBに送信する(ステップS24)。そして、eNodeBはUEからの信号を基に新TAI(TAList境界を跨った後のエリアに関するTAI)を算出し(ステップS25)、得られたTAI情報をEMM Tracking Area Update Request信号に重畳してMMEへ送信する(ステップS26)。MMEは、eNodeBからの新TAIを受信し、予め記憶したTAとTAListとの対応情報を基に、受信した新TAIに対応する新TAListを導出し、さらに、TAList−CA対応テーブルを参照することで、新TAListに対応する新CAを導出する(ステップS27)。なお、上記のステップS24〜S27の処理(移動後のエリアに関するCAを導出する処理:以下「TA Update」と称する)は、後述する
図6、
図9のケースでも実行される。
【0045】
次に、MMEは、導出された新CAが保持されたCAと異なっているか否かを判断し(ステップS28)、異なっていれば、新CA情報を既存のDiameter Update Location Request信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS29)。そして、HSSは、受信した新CA情報をもって、保持しているCA情報を更新する(ステップS30)。一方、ステップS28で新CAが保持されたCAと同じであれば、ステップS29、S30の処理は実行されない。そして、これ以降は、通常のLTEハンドオーバ処理が実行される(ステップS31)。
【0046】
その後、IMS内のASにおいて、CA取得が必要な処理が発生すると(ステップS32)、ASはHSSにCA取得要求を送信し(ステップS33)、HSSは、CA取得要求に対し、保持されたCA情報(ステップS30の更新が行われた場合は新CA情報)をASへ応答する(ステップS34)。
【0047】
なお、
図5(a)の処理では、以下のようなバリエーションを採用してもよい。例えば、MMEは、導出された新CAが保持されたCAと異なっているか否かを判断することなく、TAList跨りの度に、導出された新CA情報をHSSへ通知してもよい。
【0048】
また、MMEが新CA情報をHSSへ通知するタイミングは、
図5(a)のステップS29のタイミング以外に、HSSが必要なときだけMMEに新CA情報を問い合わせ、その応答としてMMEが新CA情報をHSSへ通知してもよい。
【0049】
(
図6:TAList跨り(LTE→LTE)通信中状態のケースの動作)
図6(a)には、通信中状態にあるUEが
図6(b)のようにLTE間(LTE→LTE)でTAList境界を跨ったケースの動作を示す。但し、
図6(b)には、CA境界がTAList境界と一致しUEがCA境界を跨った例を示しているが、CA境界がTAList境界と一致せずUEがCA境界を跨っていないこともありうる。なお、
図6(a)におけるold MMEおよびold eNodeBは、UEがTAList境界を跨る前のエリアを制御するMMEおよびeNodeBであり、new MMEおよびnew eNodeBは、UEがTAList境界を跨った後のエリアを制御するMMEおよびeNodeBである。
図6(a)に示すように、old MMEおよびHSSは予めCA情報を保持している(ステップS41、S42)。
【0050】
通信中状態にあるUEが
図6(b)のようにLTE間(LTE→LTE)でTAList境界を跨った場合、old eNodeBは、ハンドオーバの必要性(UEとの通信電波が弱くなり通信品質が低下していること)を検知し、自己のLTE網に対しハンドオーバ要求を行う(ステップS43)。具体的に、old eNodeBはHandover Requiredをold MMEに送信する(ステップS44)。そして、old MMEは、自装置(old MME)で保持しているCA情報(CA1)を、new MMEへのハンドオーバ要求信号に重畳してnew MMEに通知する(ステップS45)。具体的に、old MMEは、上記CA情報(CA1)を既存のForward Relocation Request信号に重畳してnew MMEに送信する(ステップS46)。new MMEは、old MMEで保持されたCA情報(CA1)を受信し、応答信号(Forward Relocation Response信号)をold MMEへ返す(ステップS47)。
【0051】
そして、UE、new eNodeBおよびnew MME間で、
図5のステップS24〜S27と同様の「TA Update」が実行され(ステップS48)、new MMEにより、TAから移動後のエリアに関するCA(CA2)が導出される。
【0052】
なお、移動前のエリアに関するCA(CA1)について、new MMEは、上記ステップS46でold MMEにより送信されたForward Relocation Request信号から取得する代わりに、
図6(a)に破線で示すようにnew MMEが、移動前のエリアに関するCA(CA1)を要求するContent Request信号をold MMEに送信し(ステップS49)、old MMEからのContent Response信号から移動前のエリアに関するCA(CA1)を取得してもよい(ステップS50)。
【0053】
次に、new MMEは、移動後のエリアに関するCA(CA2)が移動前のエリアに関するCA(CA1)と異なっているか否かを判断し(ステップS51)、異なっていれば、HSSに移動後のエリアに関するCA(CA2)を通知する(ステップS52)。具体的にnew MMEは、移動後のエリアに関するCA(CA2)を既存のUpdate Location Request信号又はNotify Request信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS53)。そして、HSSは、受信した移動後のエリアに関するCA情報をもって、保持しているCA情報を更新し(ステップS54)、new MMEに応答信号(Update Location Answer信号又はNotify Answer信号)を送信する(ステップS55)。一方、ステップS51で移動後のエリアに関するCA(CA2)が移動前のエリアに関するCA(CA1)と同じであれば、ステップS52〜S55の処理は実行されない。
【0054】
その後、IMS内のASにおいて、CA取得が必要な処理が発生すると(ステップS56)、ASはHSSにCA取得要求を送信し(ステップS57)、HSSは、CA取得要求に対し、保持されたCA情報(ステップS54の更新が行われた場合は移動後のエリアに関するCA情報(CA2))をASへ応答する(ステップS58)。
【0055】
なお、
図6(a)の処理では、以下のようなバリエーションを採用してもよい。例えば、new MMEは、TA Update処理(ステップS48)により導出された移動後のエリアに関するCA(CA2)が移動前のエリアに関するCA(CA1)と異なっているか否かを判断することなく、TAList跨りの度に移動後のエリアに関するCA情報(CA2)をHSSへ通知してもよい。
【0056】
また、new MMEが移動後のエリアに関するCA情報(CA2)をHSSへ通知するタイミングは、
図6(a)のステップS53のタイミング以外に、HSSが必要なときだけnew MMEに最新のCA情報を問い合わせ、その応答としてnew MMEが移動後のエリアに関するCA情報(CA2)をHSSへ通知してもよい。
【0057】
また、移動後のエリアに関するCA情報(CA2)の導出は、MMEではなく、HSSが行ってもよい。その場合、前述したように、
図1のHSS内制御部10Aが、TAList−CA対応テーブルを予め保持しておき、MMEから移動後のエリアに関するTAList情報を受信して、TAList−CA対応テーブルを参照することで、当該TAList情報に対応する移動後のエリアに関するCA情報(CA2)を得ればよい。
【0058】
以上説明した第1実施形態によれば、初回位置登録のケース(
図4)、非通信中状態にあるUEがLTE間(LTE→LTE)でTAList境界を跨ったケース(
図5)、通信中状態にあるUEがLTE間(LTE→LTE)でTAList境界を跨ったケース(
図6)のいずれにおいても、IMS(AS等のIMS内の装置)は、現状の通信手順では取得困難な最新のCA情報を取得できる。また、このときのUEのCA情報は、UEからの申告に基づき得られたものではなく、LTE網にて管理される情報に基づき得られたものであるため、IMSは、より信頼性の高いCA情報を取得できる。
【0059】
また、第1実施形態は以下のような付加的な効果を奏する。即ち、CA情報と同様の手順を用いれば、現状の通信手順ではIMSが取得困難な情報をIMSが取得可能となる。例えば
図4の処理ではIMEISV情報をIMSが取得可能である。また、
図4〜
図6の処理のように、TAI情報、CA情報、IMEISV情報等は、既存の制御信号(例えばUpdate Location Request信号、Diameter Update Location Request信号等)に重畳して装置間で送受信されることで、情報提供のための装置間インターフェースを新たに追加することは不要となる。さらに、
図5、
図6の処理のようにCA情報が前回と異なっているか否かを判断し、異なっている場合にのみ移動後のCA情報をHSSへ提供することで、前回と同じCA情報が重複してHSSへ提供されることを回避できる。
【0060】
[第2実施形態]
図8に示すように第2実施形態の通信システム1Sは、第1実施形態の通信システム1(
図1)の構成に対し3G網40が追加された構成となっている。IMS20、HSS10およびLTE網30は第1実施形態と同様なので、重複した説明は省略する。
【0061】
通信システム1S内の3G網40には、
図8のように相互に接続されたCS-GW(Circuit Switched-Gateway)45、SGSN(Serving GPRS Support Node)44、RNC(Radio Network Controller)43、NodeB42、およびUE41が存在する。このうちCS-GW45は3G回線交換をIMS20に接続するためのゲートウェイ装置であり、SGSN44は3Gパケット通信の交換機である。RNC43は3G基地局の制御装置であり、NodeB42は3G網の基地局であり、およびUE(User Entity)41は3G端末である。
【0062】
図8の通信システム1Sにおいて、MME33が備える網内制御部33AとSGSN44が備える網内制御部44Aはそれぞれ、本発明に係る「ハンドオーバ元制御部」の機能および「ハンドオーバ先制御部」の機能を備える。ここで、ハンドオーバ元制御部の機能とは、自己の網から外部の網へのハンドオーバ時に端末の移動前のCA情報を含んだ旧在圏情報を外部の網へ提供する機能であり、ハンドオーバ先制御部の機能とは、外部の網から自己の網へのハンドオーバ時に、外部の網から提供された端末の移動前のCA情報を含んだ旧在圏情報を受信し、自己の網のCA(移動後のCA)と端末の移動前のCAとが異なっているか否かを判断し、異なっている場合に自己の網のCA(移動後のCA)情報を含んだ新在圏情報をHSS10へ提供する機能である。
【0063】
即ち、端末が3G網40からLTE網30へハンドオーバするときは、網内制御部44Aが本発明に係る「ハンドオーバ元制御部」の機能を発揮し、網内制御部33Aが本発明に係る「ハンドオーバ先制御部」の機能を発揮する。逆に、端末がLTE網30から3G網40へハンドオーバするときは、網内制御部33Aが本発明に係る「ハンドオーバ元制御部」の機能を発揮し、網内制御部44Aが本発明に係る「ハンドオーバ先制御部」の機能を発揮する。
【0064】
以下、第2実施形態の通信システム1Sにおける動作として、
図9の「TAList跨り(3G→LTE)のケース」の動作、
図10の「UEが非通信中状態でのTAList跨り(LTE→3G)のケース」の動作、および、
図11の「UEが通信中状態でのTAList跨り(LTE→3G)のケース」の動作を順に説明する。
【0065】
(
図9:TAList跨り(3G→LTE)のケースの動作)
図9(a)には、UEが
図9(b)のようにTAList境界を跨り3GエリアからLTEエリアへ移動したケースの動作を示す。このケースは、UEが通信中状態にあるか否かを問わない。但し、
図9(b)には、CA境界がLTE網の境界と一致しUEがCA境界を跨った例を示しているが、CA境界がLTE網の境界と一致せずUEがCA境界を跨っていないこともありうる。なお、
図9(a)におけるold SGSNは、UEがTAList境界を跨る前の3Gエリアを制御するSGSNである。
図9(a)に示すように、old SGSNおよびHSSは予めCA情報を保持している(ステップS61、S62)。
【0066】
UEが
図9(b)のようにTAList境界を跨り3GエリアからLTEエリアへ移動した場合、3Gエリアを制御するRNCは、ハンドオーバの必要性(UEとの通信電波が弱くなり通信品質が低下していること)を検知し、3G網からLTE網へのハンドオーバ要求を行う(ステップS63)。具体的に、RNCはHandover Requiredをold SGSNに送信する(ステップS64)。そして、old SGSNは、自装置(old SGSN)で保持しているCA情報(CA1)を、ハンドオーバ先のLTE網を制御するMMEへのハンドオーバ要求信号に重畳して当該MMEに通知する(ステップS65)。具体的に、old SGSNは、上記CA情報(CA1)を既存のForward Relocation Request信号に重畳してMMEに送信する(ステップS66)。MMEは、old SGSNで保持されたCA情報(CA1)を受信し、応答信号(Forward Relocation Response信号)をold SGSNへ返す(ステップS67)。
【0067】
そして、UE、eNodeBおよびMME間で、
図5のステップS24〜S27と同様の「TA Update」が実行され(ステップS68)、MMEにより、TAから移動後のLTEエリアに関するCA(CA2)が導出される。
【0068】
なお、移動前の3Gエリアに関するCA(CA1)について、MMEは、上記ステップS66でold SGSNにより送信されたForward Relocation Request信号から取得する代わりに、
図9(a)に破線で示すようにMMEが、移動前の3Gエリアに関するCA(CA1)を要求するContent Request信号をold SGSNに送信し(ステップS69)、old SGSNからのContent Response信号から移動前の3Gエリアに関するCA(CA1)を取得してもよい(ステップS70)。
【0069】
次に、MMEは、移動後のLTEエリアに関するCA(CA2)が移動前の3Gエリアに関するCA(CA1)と異なっているか否かを判断し(ステップS71)、異なっていれば、HSSに移動後のLTEエリアに関するCA(CA2)を通知する(ステップS72)。具体的にMMEは、移動後のLTEエリアに関するCA(CA2)を既存のUpdate Location Request信号又はNotify Request信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS73)。そして、HSSは、受信した移動後のLTEエリアに関するCA情報をもって、保持しているCA情報を更新し(ステップS74)、MMEに応答信号(Update Location Answer信号又はNotify Answer信号)を送信する(ステップS75)。一方、ステップS71で移動後のLTEエリアに関するCA(CA2)が移動前の3Gエリアに関するCA(CA1)と同じであれば、ステップS72〜S75の処理は実行されない。
【0070】
その後、IMS内のASにおいて、CA取得が必要な処理が発生すると(ステップS76)、ASはHSSにCA取得要求を送信し(ステップS77)、HSSは、CA取得要求に対し、保持されたCA情報(ステップS74の更新が行われた場合は移動後のLTEエリアに関するCA情報(CA2))をASへ応答する(ステップS78)。
【0071】
なお、
図9(a)の処理では、以下のようなバリエーションを採用してもよい。例えば、MMEは、TA Update処理(ステップS68)により導出された移動後のLTEエリアに関するCA(CA2)が移動前の3Gエリアに関するCA(CA1)と異なっているか否かを判断することなく、移動後のLTEエリアに関するCA情報(CA2)をHSSへ通知してもよい。
【0072】
また、MMEが移動後のLTEエリアに関するCA情報(CA2)をHSSへ通知するタイミングは、
図9(a)のステップS73のタイミング以外に、HSSが必要なときだけMMEに最新のCA情報を問い合わせ、その応答としてMMEが移動後のLTEエリアに関するCA情報(CA2)をHSSへ通知してもよい。
【0073】
(
図10:TAList跨り(LTE→3G)非通信中状態のケースの動作)
図10(a)には、非通信中状態にあるUEが
図10(b)のようにTAList境界を跨りLTEエリアから3Gエリアへ移動したケースの動作を示す。但し、
図10(b)には、CA境界がLTE網の境界と一致しUEがCA境界を跨った例を示しているが、CA境界がLTE網の境界と一致せずUEがCA境界を跨っていないこともありうる。なお、
図10(a)におけるCS-GWおよびSGSNは、UEがTAList境界を跨った後の3Gエリアを制御するCS-GWおよびSGSNであり、MMEは、UEがTAList境界を跨る前のLTEエリアを制御するMMEである。
図10(a)に示すように、MMEおよびHSSは予めCA情報を保持している(ステップS81、S82)。
【0074】
非通信中状態にあるUEは、
図10(b)のようにTAList境界を跨りLTEエリアから3Gエリアへ移動すると、ハンドオーバ先の3G網に対しLTE網から3G網へのハンドオーバ要求を行う(ステップS83)。具体的にUEは、ハンドオーバ先の3G網を制御するSGSNにRAUpdateRequest信号(LTE網から3G網へのハンドオーバ要求信号)を送信する(ステップS84)。SGSNは、受信したRAUpdateRequest信号から、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を取得する(ステップS85)。
【0075】
そしてSGSNは、移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)を要求するContent Request信号をMMEに送信する(ステップS86)。これに対しMMEは、自装置(MME)が保持しているCA情報(CA2)をSGSNに通知する(ステップS87)。具体的にMMEは、保持しているCA情報(CA2)をContent Response信号に重畳してSGSNに通知する(ステップS88)。
【0076】
次に、SGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)が移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)と異なっているか否かを判断し(ステップS89)、異なっていれば、移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)を3Gパケット交換の位置情報更新に重畳してHSSに通知する(ステップS90)。具体的にSGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を既存のUpdate GPRS Location信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS91)。そして、HSSは、受信した移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をもって、保持しているCA情報を更新し(ステップS92)、SGSNに応答信号(ACK)を返す(ステップS93)。
【0077】
なお、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)の通知について、SGSNは、上記のような3Gパケット交換の位置情報更新を用いた通知(ステップS90〜S93)に代わり、
図10(a)に破線で示すように3G回線交換の位置情報更新を用いた通知を行ってもよいし(ステップS94)、これら両方を行ってもよい。3G回線交換の位置情報更新を用いた通知について具体的にSGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を既存のLocation Updating Request信号に重畳してCS-GWへ送信し(ステップS95)、そしてCS-GWが、受信した移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を既存のUpdate Location Request信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS96)。さらにHSSは、受信した移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をもって、保持しているCA情報を更新し(ステップS97)、CS-GWに応答信号(ACK)を返す(ステップS98)。
【0078】
ところで、ステップS89で移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)が移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)と同じであれば、上記のステップS90〜S93の処理やステップS94〜S98の処理は実行されない。
【0079】
その後、IMS内のASにおいて、CA取得が必要な処理が発生すると(ステップS99)、ASはHSSにCA取得要求を送信し(ステップS100)、HSSは、CA取得要求に対し、保持されたCA情報(ステップS92又はS97の更新が行われた場合は移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1))をASへ応答する(ステップS101)。
【0080】
なお、
図10(a)の処理では、以下のようなバリエーションを採用してもよい。例えば、SGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)が移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)と異なっているか否かを判断することなく、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をHSSへ通知してもよい。その場合、MMEで保持している移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)をSGSNへ通知する必要は無い。
【0081】
また、SGSNが移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をHSSへ通知するタイミングは、
図10(a)のステップS90やS94のタイミング以外に、HSSが必要なときだけSGSNに最新のCA情報を問い合わせ、その応答としてSGSNが移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をHSSへ通知してもよい。
【0082】
(
図11:TAList跨り(LTE→3G)通信中状態のケースの動作)
図11(a)には、通信中状態にあるUEが
図11(b)のようにTAList境界を跨りLTEエリアから3Gエリアへ移動したケースの動作を示す。但し、
図11(b)には、CA境界がLTE網の境界と一致しUEがCA境界を跨った例を示しているが、CA境界がLTE網の境界と一致せずUEがCA境界を跨っていないこともありうる。なお、
図11(a)におけるCS-GWおよびSGSNは、UEがTAList境界を跨った後の3Gエリアを制御するCS-GWおよびSGSNであり、Source eNodeBおよびMMEは、UEがTAList境界を跨る前のLTEエリアを制御するeNodeBおよびMMEである。
図11(a)に示すように、MMEおよびHSSは予めCA情報を保持している(ステップS111、S112)。
【0083】
通信中状態にあるUEが
図11(b)のようにTAList境界を跨りLTEエリアから3Gエリアへ移動すると、Source eNodeBは、ハンドオーバの必要性(UEとの通信電波が弱くなり通信品質が低下していること)を検知し、LTE網から3G網へのハンドオーバ要求を行う(ステップS113)。具体的に、Source eNodeBはHandover RequiredをMMEに送信する(ステップS114)。そして、MMEは、自装置(MME)で保持しているCA情報(CA2)をハンドオーバ要求信号に重畳して、ハンドオーバ先の3G網のSGSNに通知する(ステップS115)。具体的に、MMEは、上記CA情報(CA2)を既存のForward Relocation Request信号に重畳してSGSNに送信する(ステップS116)。SGSNは、MMEで保持されたCA情報(CA2)を受信し、応答信号(Forward Relocation Response信号)をMMEへ返す(ステップS117)。
【0084】
さらにSource eNodeBが上記SGSNにRAUpdateRequest信号(LTE網から3G網へのハンドオーバ要求信号)を送信すると(ステップS118)、SGSNは、受信したRAUpdateRequest信号から、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を取得する(ステップS119)。
【0085】
次に、SGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)が移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)と異なっているか否かを判断し(ステップS120)、異なっていれば、移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)を3Gパケット交換の位置情報更新に重畳してHSSに通知する(ステップS121)。具体的にSGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を既存のUpdate GPRS Location信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS122)。そして、HSSは、受信した移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をもって、保持しているCA情報を更新し(ステップS123)、SGSNに応答信号(ACK)を返す(ステップS124)。
【0086】
なお、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)の通知について、SGSNは、上記のような3Gパケット交換の位置情報更新を用いた通知(ステップS121〜S124)に代わり、
図11(a)に破線で示すように3G回線交換の位置情報更新を用いた通知を行ってもよいし(ステップS125)、これら両方を行ってもよい。3G回線交換の位置情報更新を用いた通知について具体的にSGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を既存のLocation Updating Request信号に重畳してCS-GWへ送信し(ステップS126)、そしてCS-GWが、受信した移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)を既存のUpdate Location Request信号に重畳してHSSへ送信する(ステップS127)。さらにHSSは、受信した移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をもって、保持しているCA情報を更新し(ステップS128)、CS-GWに応答信号(ACK)を返す(ステップS129)。
【0087】
ところで、ステップS120で移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)が移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)と同じであれば、上記のステップS121〜S124の処理やステップS125〜S129の処理は実行されない。
【0088】
その後、IMS内のASにおいて、CA取得が必要な処理が発生すると(ステップS130)、ASはHSSにCA取得要求を送信し(ステップS131)、HSSは、CA取得要求に対し、保持されたCA情報(ステップS123又はS128の更新が行われた場合は移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1))をASへ応答する(ステップS132)。
【0089】
なお、
図11(a)の処理では、以下のようなバリエーションを採用してもよい。例えば、SGSNは、移動後の3Gエリアに関するCA(CA1)が移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)と異なっているか否かを判断することなく、移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をHSSへ通知してもよい。その場合、MMEで保持している移動前のLTEエリアに関するCA(CA2)をSGSNへ通知する必要は無い。
【0090】
また、SGSNが移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をHSSへ通知するタイミングは、
図11(a)のステップS121やS125のタイミング以外に、HSSが必要なときだけSGSNに最新のCA情報を問い合わせ、その応答としてSGSNが移動後の3Gエリアに関するCA情報(CA1)をHSSへ通知してもよい。
【0091】
以上説明した第2実施形態によれば、UEがTAList境界を跨り3G網からLTE網へ移動したケース(
図9)、非通信中状態にあるUEがTAList境界を跨りLTE網から3G網へ移動したケース(
図10)、通信中状態にあるUEがTAList境界を跨りLTE網から3G網へ移動したケース(
図11)のいずれにおいても、AS(IMS内の装置)は、現状の通信手順では取得困難な最新のCA情報を取得できる。また、このときのUEのCA情報は、UEからの申告に基づき得られたものではなく、LTE網又は3G網にて管理される情報に基づき得られたものであるため、IMSは、より信頼性の高いCA情報を取得できる。
【0092】
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、以下のような付加的な効果を奏する。即ち、
図9〜
図11の処理のようにCA情報等は、既存の制御信号(例えばUpdate Location Request信号、Notify Request信号、Update GPRS Location信号、Update Location Request信号等)に重畳して装置間で送受信されることで、情報提供のための装置間インターフェースを新たに追加することは不要となる。また、
図9〜
図11の処理のようにハンドオーバ先のCA情報がハンドオーバ元のCA情報と異なっているか否かを判断し、異なっている場合にのみハンドオーバ先のCA情報をHSSへ提供することで、前回と同じCA情報が重複してHSSへ提供されることを回避できる。さらに、
図9〜
図11には図示しなかったが、第1実施形態における
図4のIMEISV情報のように、現状の通信手順ではIMSが取得困難な情報を、CA情報と同様の手順でHSSへ提供し、HSSからIMSへ提供してもよく、このようにして、取得困難な情報をIMSが取得可能となる。