【発明の効果】
【0013】
本発明の好ましい実施態様は従属請求項において与えられる。
【0014】
液体薬剤の用量を投与するための自動注射器:
−細長ケース;
−ケース内部で摺動可能に配置されるチューブ状キャリアを含んでなるキャリアサブアセンブリ、ここでキャリアは、中空注射針、駆動ばね、及び駆動ばねの負荷をシリンジのストッパに進めるためのプランジャを有するシリンジを含むように適応され、ここで、シリンジはキャリアとのジョイント軸方向並進運動のためにロック可能である;
−中空注射針を自動注射器の近位端を超えて前進させるべくキャリアを近位方向に並進運動させるために、キャリアの回りに配置される制御ばね;
−作動の際に、制御ばねを開放するためのトリガボタン;
を含む。
【0015】
駆動ばねはプランジャをキャリアに抗して近位方向に付勢する。少なくとも一つの弾力アームはキャリア又はプランジャの何れかの上に配置され、そしてキャリア又はプランジャの何れかにランプ係合にあり、その結果、駆動ばねの負荷の下でそれらを係合解除する。栓は少なくともトリガボタンの作動の後にケースに連結されるように配置されて、弾力アームを支えるように置かれてキャリアのプランジャからの係合解除ひいては、キャリアが遠位位置にあるときの駆動ばねの開放を防ぐ。キャリアが針を前進させるために並進運動されるとき、栓は適切な位置に留まるように配置されて、弾力アームを栓から引き離し、そのようにしてプランジャのキャリアからの係合解除のための駆動ばねの負荷の下でのランプ係合の故に、弾力アームの偏向を可能にし、そしてキャリアが針の前進中に事前に定義された位置に達したとき、薬物送達のために駆動ばねを開放する。
【0016】
制御ばねは、注射針を患者の皮膚内に挿入するための駆動手段として作用する。駆動ばねは、注射針が事前に定義された位置に達し、そして適切な注射深度だけ皮膚を突き破るときに開放される。注射深度は、特に、皮下注射、筋肉内注射又は皮膚内注射に適応され得る。注射深度は、シャーシに隣接するキャリア又は更なる前進を防ぐケースによって画成され得る。
【0017】
針が注射深度に達する際に駆動ばねを開放することによって、所謂、濡れた注射(wet injection)、つまり、針の挿入及び注射の両方がストッパ上を押すことによって達成される従来技術の自動注射器における問題である、薬剤が針から漏れ出すことが避けられる。本発明による自動注射器は、栓と相互作用する弾力アームを含むプランジャ開放機構と組み合わせて、キャリアの並進運動のために及び薬物の送達のために分離されたばねによって濡れた注射の問題を解決する。トリガボタンの作動の際に、駆動ばねは開放され、そしてシリンジを取り付けたキャリアは、針を挿入するために近位に駆動される。同時に、キャリアに連結された弾力アームは、ケースに対して静置して配置される栓から引き離される。弾力アームは、注射針の望ましい注射深度に対応する、事前に定義された位置に達する際に、栓から係合解除する。このようにして薬剤の用量を患者に送達する駆動ばねは、注射針が患者の皮膚内に挿入された後で開放される。
【0018】
本発明の可能な実施態様によれば、トリガボタンはケース上に遠位に配置され、そして栓はトリガボタンの遠位端面から近位方向に突き出る。キャリアが針を前進させるために並進運動されるとき、ケースに対して所定の位置にとどまるように、作動後にトリガボタンはケースに隣接する。従って、キャリアをプランジャと連結する弾力アームは、キャリアが注射針を挿入するために近位に駆動されるときに、栓から引き離される。事前に定義された位置において、弾力アームは栓を係合解除して、弾力アームの偏向によってプランジャが解放されることを可能にする。
【0019】
トリガボタンは遠位に配置され得て、そしてキャリアに少なくとも初期に連結され得て、ケースが初期状態においてトリガボタンと隣接するように配置されてトリガボタンの押し下げを防ぐ。キャリアに対してケースが並進運動する際、トリガボタンはキャリアに連結されて留まり、そうすることによって注射サイクルを始めるために押し下げを可能にするように、シャーシ、キャリア及びトリガボタンに対して動かされたケースから現われる。このように、操作のシーケンスは自動注射器が作動されるように定義され、最初に自動注射器のケースを注射部位に抗して保持して押し付け、そして次に、トリガボタンを押す。特に、使用者が、自動注射器のどちらの端部をその皮膚に抗して適用すべきか混乱させられるとするならば、これによって指の突き刺し怪我のリスクが減じられる。シーケンスがないと、使用者は、その親指内に針を挿入するリスクを有するであろうが、それは強制的シーケンスを用いれば著しく少ししか起こり得ない。
【0020】
代替実施態様において、トリガボタンはが遠位に配置され、ここでケースは、トリガボタンを覆う閉鎖遠位端面を有するラップオーバー(wrap over)スリーブトリガとして配置される。初期状態において隙間はスリーブトリガの遠位端面とトリガボタンの間に供されて、トリガボタンに隣接する前の第一の段階において、近位方向への制御ばねの付勢に抗してスリーブトリガが幾らか走行することを可能にする。スリーブトリガがトリガボタンに接触するや否や、トリガボタンは、第二の段階における更なる並進運動の際にスリーブトリガによって押される。この実施態様によって、自動注射器の大部分の部材が保持されことが可能になる、一方、述べられた機構のみが修正される必要があり、プラットホームデバイスを特別な要求事項に対してカスタマイズすることが可能になる。スリーブトリガを有する自動注射器は、従来技術の自動注射器とは反対に、トリガが一本の指による小さなボタンの操作を要求しないので、手先が不器用という問題を抱える人々に対して特に良く適している。代わりに、全体の手が使用される。
【0021】
別の代替実施態様によれば、特に、シリンジを取り付けているキャリアの近位の動き中に、ケースに対して静置されて留まるように、栓はケースに取り付けられる。栓は、プランジャのキャリアからのデカップルを防ぎそして、注射針が患者の皮膚内に望ましい注射深度で導入されるまで、キャリアの近位の動き中の駆動ばねの開放を防ぐように寸法取りされる。この代替実施態様において、トリガボタンはケースの横側壁上に配置され得る。これによって、注射サイクルを開始するためにトリガボタンを作動するとき、自動注射器の使用者の指内への不慮の針刺し怪我が最小化され得る。
【0022】
このように、駆動ばねと制御ばねの間の機能を分離することの多くの著しい便益がある。自動注射器は常に針が安全である、つまり、針は注射が完了する前に後退され得る。針の前進及び後退のための部材が、自由に伸長する大きな力の駆動ばねの高い衝撃によって負荷されないので、自動注射器の信頼性が改善される。自動注射器は、駆動ばねが挿入又は後退の機能に影響を及ぼすことなく、異なる粘度の薬物を送達するためにスワップされ得るので、プラットフォームとして役立つよう十分適している。これは、高粘度流体に対して特に有利である。
【0023】
本発明による自動注射器は、殆どの従来の自動注射器と比較して特に少ない部材数を有し、このようにして製造コストを低減する。流体の注射に対して分離された制御ばね及び駆動ばねを配置することによって、異なる粘度の液体に対して、ただ駆動ばねを変えることによって、そして異なる容積に対して、ただプランジャの長さを変えることによって、一つの設計を使用することが可能になる。これは、主ばねが針の挿入及び/又は後退も駆動する従来技術の設計に対して有利である。
【0024】
自動注射器の送達されたままの初期の状態において、制御ばねの近位端は、針挿入制御機構によってシャーシに連結され、一方、遠位端は、シリンジ後退制御機構によってケースに連結され得て、そして駆動ばねの開放はプランジャ開放機構によって防がれ、シャーシがキャリアからデカップルされることが戻り止め機構によって防がれ得る。
【0025】
注射をトリガするために、自動注射器は注射部位、例えば、患者の皮膚に抗して押し付けられなければならない。使用者、例えば、患者又は介護者は、自らの手全体でケースを掴み、そしてシャーシを注射部位に抗して押して近位端から突き出す。
【0026】
注射部位に抗して押されるとき、ケースは、制御ばねの力に抗してシャーシに対して近位方向に並進運動する。ケースが前進した位置に少なくとも殆ど達したとき、戻り止め機構はロック解除され、そうすることによって、シャーシに対するキャリアの並進運動が可能になる。
【0027】
キャリアは、ここで、好ましくは手動で、キャリアを近位方向に無理やり押すトリガボタンを押し下げることによって、並進運動され得る。キャリアがケースに対して及びシャーシに対して近位方向に並進運動し、そうすることによって、制御ばねの近位端をシャーシからデカップルするように、そしてそれをキャリアに連結するように、シャーシ中のキャリアの相対位置に依存して針挿入制御機構を切り替え、そうすることによって、針の挿入のためにキャリアを前進させるべく制御ばねを開放する。
【0028】
あるいは、制御ばねは、前進位置へのケースの並進運動によって戻り止め機構がロック解除されるとき、キャリアが即座に前進されるであろうように、針挿入制御機構によって初期にキャリアに連結され得るであろう。
【0029】
キャリアサブアセンブリを用いて並進運動された針が、注射深度に少なくとも殆ど達するので、駆動ばねはプランジャ開放機構によって開放され、そうすることによって、薬剤を少なくとも部分的に送達するために、駆動ばねがプランジャ及びストッパを前進させることが可能になる。制御ばねのこの開放は、好ましくは、ケース内の事前に定義された相対的位置に到達するキャリアによってトリガされる。
【0030】
ストッパがシリンジ中の底部に達した後、又は注射中に、自動注射器が注射部位から取り除かれる場合、ケースは、制御ばねの負荷の下でキャリアサブアセンブリに対して遠位方向に並進運動される。
【0031】
ケースがキャリアに対して定義された位置にその動き中に到達するので、制御ばねの近位端はキャリアからデカップルされ、そして針挿入制御機構によってシャーシシに連結される。更に、制御ばねの遠位端はトリガスリーブからデカップルされ、そしてシリンジ後退制御機構によってキャリアに連結される。
【0032】
制御ばねはここでシャーシに抗して近位方向に、そしてキャリアに抗して遠位方向に押されるので、キャリサブアセンブリは制御ばねによって針の安全な位置内のシャーシ内に後退される。
【0033】
本発明の別の可能な実施態様によれば、制御ばねの近位端をキャリア又はシャーシの何れかに連結するために針挿入制御機構を作動することによって制御ばねは開放される。トリガボタンの作動によって制御ばねの近位端がシャーシからデカップルされ、そして制御ばねの近位端が制御ばねに連結されるように、トリガボタンは針挿入制御機構に操作的に連結される。制御ばねをキャリアに置くことによって、制御ばねが、ケースに対してキャリア上に力をかけることが可能になる。キャリアは患者の皮膚に向かって動かされ、そして注射針は制御ばねの負荷の下で皮膚内に挿入される。
【0034】
一つの実施態様によれば、針挿入制御機構は、制御ばねによって近位方向に付勢された第一のカラーを含み得て、ここで、少なくとも一つの弾力ビームは第一のカラー上に近位に配置され;ここで、各凹部はキャリア及びケース中に配置され;ここで、弾力ビーム頭部の横伸長はキャリアとシャーシの間の隙間より広く、そのようにして弾力ビーム頭部はシャーシの凹部上の遠位面に隣接することになり、一方、キャリアによって内向き方向への偏向が防がれ、又はキャリア中の凹部上の遠位面に隣接することになり、一方、シャーシによって外向き方向への偏向が防がれ、そうすることによって、針の挿入のために制御ばねからキャリアに負荷が進められ;ここで、弾力ビームは、シャーシとキャリアの間の相対的な縦方向位置に依存して、制御ばねの負荷の下での、遠位面への頭部のランプ係合によって、シャーシとキャリアの間で切り替えられるように配置される。弾力ビーム頭部が内側に向かってそして外側に向かって傾斜され得るので、それは矢印の頭部として称され得る。
【0035】
トリガボタンは、針挿入のためにキャリアを近位方向に前進させるべく打ち負かされる必要がある抵抗力を供するように配置され得る戻り止め機構は似操作的に連結され得る。一旦、使用者がトリガボタン上に所定の値を超える力をかけると、戻り止め機構は開放し、注射サイクルを開始する。所定の値が超えられない場合、戻り止め機構はキャリア及びトリガボタンを押してそれらの前の位置に戻す。これによって、躊躇している使用者によって半分トリガされることなく、自動注射器が、トリガされているか又はトリガされていないかの何れかの、定義された状態に常にあることが確保される。
【0036】
戻り止め機構も、制御ばねの両端をキャリアからデカップルさせた並進運動状態において、キャリアを定義された位置に維持するために、シャーシに対して遠位方向へのキャリアの並進運動に抵抗する抵抗力を供するように配置され得る。この並進運動状態は、注射部位から取り除く際に、針を後退させるために要求され得る。キャリアが、注射部位から取り除く前に、制御ばねによって注射部位に抗して付勢されるので、それは制御ばねの近位端からデカップルされ、そして後退のための遠位端に連結される必要がある。この切り替えのシーケンスは、制御ばねの両端が同時にキャリアに取り付けられる場合、後退が失敗するであろう故に、厳密である。これは、制御ばねの負荷の下で注射部位の除去の際にシャーシに対して遠位方向に動くケースの著しい移動によって端部の切り替えを分離することによって克服される。制御ばねの遠位端のキャリアへの切り替えは、ケースのキャリアに対する相対的な位置に依存するので、キャリアは、戻り止め機構によって達成される並進運動状態において固定されなければならない。
【0037】
一つの実施態様において、戻り止め機構は、シャーシ上の弾力ビーム及びキャリア上の菱形の傾斜した部材を含み;第一のビーム頭部が、部材の連続した相対的な並進運動の際に、菱形の傾斜した部材の一つの横側部に沿って走行することが可能になるよう、弾力ビームの弾力に少なくとも依存して並進運動力の所定の値が超えられるとき、第一のビーム頭部を第四のランプに係合させて、近位方向にシャーシに対してキャリア上に並進運動力をかけることによって、弾力ビームが一つの横方向に、例えば、外がに向かって、偏向させるように、弛緩され、そして近位の第四のランプ又は菱形の傾斜した部材上の遠位第五のランプとランプ係合で相互作用するように配置される、第一のビーム頭部を有するとき、弾力ビームは本質的に直線である。ビーム頭部は、菱形のランプ部材に抗して押されるとき、てこの作用によって弾力ビームが変形するように、そしてそうすることによって、キャリアによって打ち克つべき並進運動力の所定の値を定義するように、弾力ビームから横向きに突き出る。更に、第一のビーム頭部及び菱形のランプ部材の接触面は、それらの形及び材料の性質を、適宜、選択することによって、要求される力を定義するよう適応されるそれらの摩擦を有し得る。第一のビーム頭部が第五のランプに達したとき、弾力ビームが弛緩することが可能になり、そうすることによって、第一のビーム頭部がキャリアの連続した並進運動の際に菱形の傾斜した部材の他の横側部に沿って走行することが可能になるよう、弾力ビームの弾力に少なくとも依存して並進運動力の所定の値が超えられるとき、遠位方向にキャリア上に並進運動力をかけることによって、弾力ビームが他の横方向に、例えば、内側に向かって、偏向させるようにそれを係合する。第一のビーム頭部も、例えば、自動注射器が使用後に激しく揺すられているとき、キャリアが再び前進されることを防ぐためのこの動きの最後に、第四のランプの後ろで弛緩することが可能になり得る。
【0038】
いうまでもないが、キャリア上のシャーシ及び菱形のランプ部材上の弾力ビームの位置は、戻り止め機構の機能を変えることなく切り替えられ得る。
【0039】
自動注射器又はシリンジが組み立てられるとき、保護ビーム鞘は、針を殺菌状態に維持し、そして組立中及び取扱中の針に対する損傷、及び指の突き刺し怪我を避けるため使用者の針へのアクセスの両方を防ぐために針に取り付けられ得る。注射前の保護用注射針の取り外しには、保護用注射針を近位方向に引っ張って針及び針ハブから外すための比較的大きな力が通常、必要とされる。注射前の針の安全を維持し、そして針の暴露を防ぐために、この力による近位方向へのシリンジの並進運動が避けられなければならない。この目的のために、シャーシが注射部位に抗して押し付けられているとき、キャリアの並進運動を避けるよう、ケースはシャーシに対して近位方向に並進運動される前に、戻り止め機構をロックするように配置され得る。これは、それを外側に向かって支持することによって戻り止め機構の弾力ビームの偏向を防ぐ、ケース中のリブによって達成され得る。ケースは、注射部位に接触する際に、近位方向に前進位置に並進運動されたとき、戻り止め機構をロック解除して、それを操作可能にするように配置される。これは、戻り止め機構の弾力ビームをもはや外側に向かって支持しないように、ケースと共に動かされているリブによって達成され得る。保護用注射針が動かされる前に、ケースが、戻り止め機構をロック解除して、近位方向に動かされないことを確保するために、キャップが除かれる前にシャーシがアクセスされ得ないよう、キャップはケースの近位端に取り付けられ得る。キャップは、好ましくは、キャップが自動注射器から引き外されているときに保護用注射針を取り外すよう、とげを用いて保護用注射針を係合する。キャップの取り外しを助けるために、それはキャップが回転されるとき引き抜かれるように、ケース上の面と嵌合するプロファイルされた面を有し得る。とげは保護用注射針の内側で針をねじ曲げないようにキャップが回転されるとき、保護用注射針上のトルクを避けるよう、それらを独立して回転させることを可能にするようにキャップに連結され得る。
【0040】
更に別の可能な実施態様によれば、自動注射器は、制御ばねの遠位端を、針の後退のために、キャリアに又はそうでなければケースに何れかに連結するように配置されるシリンジ後退制御機構を含む。シリンジ後退制御機構は、自動注射器が注射部位から取り外されるときに、そしてケースがシャーシに対して遠位方向に動かされるときに作動されるように配置され得る。ばねの遠位端がキャリアに置かれることで、制御ばねは、シリンジを取り付けたキャリアを遠位方向に駆動し得て、注射針を針の安全のためにケース内に後退させる。
【0041】
シリンジ後退制御機構は、制御ばねの遠位端に支えられ、そして第二のビーム頭部が内向きのボスを有して、弾力近位ビームを有する第二のカラーを含む。第二のビーム頭部が、遠位方向に制御ばねの負荷下で、内向きの方向に第二のビーム頭部を傾斜するよう、第二のビーム頭部はケース中で第二のケース戻り止めとランプ係合にあるように配置される。内向きのボスは第二のビーム頭部の内側への偏向を防ぐためにキャリアを内側に向かって隣接するように、そして第二のカラーをケースにロックされた状態に維持するように配置される。自動注射器が注射部位から除去される際の、キャリアに対して遠位方向へのケースの並進運動の際に、内向きのボスが内側に偏向させることを可能にするように、第三の凹部はキャリア中に配置される。
【0042】
代替実施態様において、第一のカラー及び/又は第二のカラーも、それらが制御ばねに連結することを意図される部材の一方にねじが切られ、ここでケースは、幾つかの相対的な縦方向の位置においてねじがデカップルされることを防ぎ、一方で、カラーが、制御ばねに連結されるべき各々の別の部材に切り替わることを可能にするように、カラーが、他の相対的な縦方向の位置においてねじが切られた係合から外れて回転することを可能にするように配置されるであろう。
【0043】
針の後退には、制御ばねを切り替えるために、ケース又はスリーブトリガを遠位方向に並進運動させて戻すことを可能にするよう、使用者が自動注射器を注射部位から十分遠くに持ち上げることが必要となる。注射が終了したか否かを使用者が知ることは困難であり得るので、開放の際に、開放可能なノイズ部材が供され得て、使用者に対して可聴の及び/又は触覚のフィードバックを発生することが可能であり、ここでその中にストッパがシリンジの近位端に近接するシリンジに対する位置にプランジャが達するとき、つまり、注射が少なくとも殆ど終わっているとき、ノイズ部材が開放されるように配置される。開放されたノイズ部材は、次いで、ケース、スリーブトリガ又はトリガボタンのようなハウジング部材に衝撃を与えて注射の終了を示す。直接アクセスできる部材をぶつけることによってノイズの高い認知及び触覚のフィードバックを生み出すため使用者の手又は指への直接アクセスが可能になる。好ましくは、ノイズ部材は、大きな音を供するためのドラムとして形付けられ得るトリガボタンをぶつけ得る。
【0044】
自動注射器は、好ましくは、皮下注射又は筋肉内注射に対して、特に、鎮痛剤、抗凝血剤、インスリン、インスリン誘導体、ヘパリン、Lovenox、ワクチン、成長ホルモン、ペプチドホルモン、蛋白質、抗体、及び複合糖質の一つを送達するために使用され得る。
【0045】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0046】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0047】
ヒトインスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0048】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2配列のペプチドを意味する。
【0049】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH
2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0050】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0051】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0052】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0053】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na
+、又は、K
+、又は、Ca
2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN
+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),
Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical
Technologyに記載されている。
【0054】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0055】
駆動ばね及び制御ばねは圧縮ばねであり得る。しかしながら、それらは同様に、捩じりばね、気体ばねなどの如何なる種類の保存されたエネルギ手段でもあり得る。
【0056】
本発明の適用性の更なる範囲は、以下に与えられる詳細な記述から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な記述及び特定の例は、本発明の好ましい実施態様を示しているものの、図示のためのみに与えられると理解されるべきである。何故なら、本発明の精神及び範囲内で種々の変更及び修正がこの詳細な記述から当業者に明らかになるであろう故である。
【0057】
以下に与えられる詳細な記述及び図示のためのみに与えられる、従って本発明を制限するものではない添付図面から本発明はより完全に理解されるようになるであろう: