(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流が、固定された第1の部分及び複数の値のうち1つに変化可能である第2の部分を含み、前記電流の前記第2の部分が、前記シンクロサイクロトロンの引き出し半径における前記磁場を、前記引き出し半径における前記磁場の値の5%から35%の間で変化させる範囲内である、請求項1に記載のシンクロサイクロトロン。
前記1つまたは複数のコイルがコイルの第1のセットとコイルの第2のセットとを含み、前記第1のセットが前記電流の固定部を受け取るように構成され、前記第2のセットが前記電流の複数の値のうち1つに変化可能である部分を受け取るように構成される、請求項1に記載のシンクロサイクロトロン。
前記電流の複数の値のうち1つに変化可能である前記部分が、前記シンクロサイクロトロンの引き出し半径における前記磁場を、前記引き出し半径における前記磁場の値の5%から35%の間だけ変化させる範囲内である、請求項5に記載のシンクロサイクロトロン。
前記引き出し半径における前記磁場が、0.2テスラから1.4テスラの間で、または0.6から4.2テスラの間で変化可能である、請求項6に記載のシンクロサイクロトロン。
前記1つまたは複数のコイルがコイルの1つ以上のセットを含み、前記コイルの少なくとも1つのセットが超伝導であり、前記コイルの少なくとも1つが200万アンペアターンから1000万アンペアターンの間の電流と巻き数の積を有する、請求項1に記載のシンクロサイクロトロン。
前記各周波数範囲が下限及び上限を含み、前記下限が40MHzから250MHzの範囲内にあり、前記上限が56MHzから340MHzの範囲内にある、請求項1に記載のシンクロサイクロトロン。
前記1つ以上のリアクタンス素子が、前記キャビティから出力される粒子の対応するエネルギーに関して前記周波数範囲を選択するように構成される、請求項18に記載のシンクロサイクロトロン。
前記1つまたは複数のコイルが、コイルの第1のセット及びコイルの第2のセットを含み、コイルの前記第1のセットが超伝導であり前記電流の固定部を受け取るように構成され、コイルの前記第2のセットが超伝導または非超伝導であり前記電流の複数の値のうち1つに変化可能である部分を受け取るように構成された、請求項1に記載のシンクロサイクロトロン。
前記引き出し半径における前記磁場が、0.2テスラから1.4テスラの間、または0.6テスラから4.2テスラの間で変化可能である、請求項24に記載のシンクロサイクロトロン。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概説>
本明細書では、陽子またはイオン医療システムなどの処置システムに用いられる粒子加速器の一例が説明される。例示的な粒子医療システムはガントリーに搭載された粒子加速器、この例においてはシンクロサイクロトロンを含む。ガントリーは、加速器を患者の位置の周りに、以下により詳細に説明するように回転させることが可能である。いくつかの実装形態において、ガントリーは鋼鉄製であり、患者の両側に置かれた2つのそれぞれのベアリング上で回転するために搭載された2つの脚部を有する。粒子加速器は、処置領域に渡されるのに十分長い鋼鉄製のトラスによって支持されており、処置領域には患者が横たわり、トラスは両端においてガントリーの回転する脚部に取り付けられている。患者の周囲のガントリーの回転によって、粒子加速器もまた回転する。
【0011】
例示的な実装形態において、粒子加速器(例えば、シンクロサイクロトロン)は、磁場(B)を発生させる電流を伝導するための超伝導コイルを保持するクライオスタットを含む。この例において、クライオスタットは液体ヘリウム(He)を用いてコイルを超伝導温度、例えば4ケルビン(K)に保つ。磁極片は室温以下でクライオスタットの中に配置され、粒子が加速されるキャビティを画定する。いくつかの実装形態において、加速器によって発生される最大磁場は少なくとも4テスラであり、20テスラまたはより高いものまでも可能であり、例えば、4テスラから20テスラの間または6テスラから20テスラの間であることができる。
【0012】
この例示的な実装形態において、粒子加速器はキャビティ内にプラズマコラムを提供する粒子源(例えば、ペニングイオンゲージ、PIG源)を含む。水素ガスがイオン化されてプラズマコラムを発生させる。電源はキャビティに高周波(RF)電圧を提供してプラズマコラムから粒子を加速させる。前述のように、この例において、粒子加速器はシンクロサイクロトロンである。従って、コラムからの粒子を加速するときに、RF電圧は粒子に相対論効果(例えば、粒子質量の増大)に対処するために周波数の範囲に渡って掃引される。超伝導コイルを通って電流が流れることにより発生する磁場は、プラズマコラムから加速された粒子をキャビティ内の軌道に沿って加速させる。
【0013】
磁場再生器(「再生器」)は、キャビティの外側の近傍(例えば、その内側のエッジ)に配置されて、キャビティ内部の既存の磁場を調整し、それによってプラズマコラムから加速された粒子の連続的な軌道の位置(例えば、間隔及び角度)を変化させ、最終的に、クライオスタットを通り抜ける引き出しチャネルへ粒子が出力される。再生器は、キャビティ内のある点における磁場を増大させ(例えば、キャビティのある領域に磁場の「バンプ」を発生させ)、それによってその点における粒子の連続的な軌道のそれぞれに、引き出しチャネルに到達するまで引き出しチャネルの入射点の方へ外向きに歳差運動させる。引き出しチャネルは、プラズマコラムから加速された粒子を受け取り、キャビティから受け取った粒子を粒子ビームとして出力する。
【0014】
引き出された粒子ビーム(または加速器からの粒子ビーム出力)のエネルギーは、処置において粒子ビームの使用に影響を与えることができる。一般に、粒子ビーム(または粒子ビーム内の粒子)のエネルギーは、引き出し後には増加しない。しかしながら、エネルギーは引き出し後であって処置前に、処置の必要に基づいて低下されることができる。
図1を参照すると、例示的な処置システム10は加速器12、例えばシンクロサイクロトロンを含み、加速器から可変エネルギーを有する粒子(例えば陽子)ビーム14が引き出されて体22の標的体積24を照射する。任意選択的に、走査ユニット16や散乱ユニット16、1つ以上の監視ユニット18及びエネルギー低減部20などの1つ以上の追加的なデバイスが、照射方向28に沿って配置される。デバイスは引き出しビーム14の断面を遮り、処置のために引き出されたビームの1つ以上の特性を変化させる。
【0015】
処置のために粒子ビームによって照射される標的体積は典型的には3次元構成を有する。いくつかの状況において、処置を実施するために、標的体積は粒子ビームの照射方向に沿って複数の層に分割され、照射は層ごとに行うことができる。陽子などの粒子のある特定の種類に関して、照射方向に沿った標的体積内の侵入深さ(またはどの層までビームが到達するか)は、大部分が粒子ビームのエネルギーによって決定される。所定のエネルギーの粒子ビームは、対応する侵入深さよりも深く到達することは実質的にはない。標的体積の1つの層から別の層にビームの照射を移動させるためには、粒子ビームのエネルギーが変更される。
【0016】
図1に示される例において、標的体積24は照射方向28に沿って9つの層26aから26iに分割されている。照射は典型的には最も深い層26iから開始し、一度に1つの層ごとに、次第により浅い層へ移り、最も浅い層26aで終了する。体22に印加する前に、粒子ビーム14のエネルギーは、粒子が、体または標的体積のより深く、例えば層26eから26iまたは体のより深い部分まで実質的に侵入することなく、所望の層、例えば層26dで停止することを可能にするレベルであるように制御される。いくつかの例において、粒子ビーム14の所望のエネルギーは、処置層が粒子加速に対して浅くなるにつれて減少する。典型的には、標的体積24の隣接する層を処置するためのビームエネルギーの差は約3MeVから約100MeV、例えば約10MeVから約80MeVであるが、その他の差も、例えば層の厚さ及びビームの特性に依存して可能であってもよい。
【0017】
標的体積24の異なる層を処置するためのエネルギーの変更は、加速器12において実施可能であり、いくつかの実装形態では、粒子ビームが加速器12から引き出された後では追加的なエネルギーの変更は必要でない。処置システム10における任意選択的なエネルギー低減部20は、システムから省略されてもよい。いくつかの実装形態において、加速器12は約100MeVから約300MeVの間、例えば約115MeVから約250MeVの間で変化するエネルギーを有する粒子ビームを出力することが可能である。変更は連続的または不連続的、例えば一度に1ステップであることができる。いくつかの実装形態において、連続的または不連続的な変更は、比較的速い速度で、例えば1秒間に約50MeVまで、または1秒間に約20MeVまで行うことができる。不連続な変化は、一度に約10MeVから約80MeVまでのステップの大きさで行うことができる。
【0018】
1つの層において照射が完了すると、加速器12は次の層を照射するために、例えば数秒または1秒未満で粒子ビームのエネルギーを変更することができる。いくつかの実装形態において、標的体積24の処置は、実質的に中断することなく、または全く中断することさえなく続けることが可能である。いくつかの状況において、不連続なエネルギー変化のステップの大きさは、標的体積24の2つの隣接する層を照射するために必要なエネルギー差に対応するように選択される。例えば、ステップの大きさは、エネルギー差と同一またはエネルギー差の分数であることができる。
【0019】
いくつかの実装形態において、加速器12及び低減部20は併せてビーム14のエネルギーを変更する。例えば、加速器12は、粗調整を提供し、低減部20は微調整を提供する。またはその逆であってもよい。この例において、加速器12は、約10から80MeVの変化ステップでエネルギーを変化させる粒子ビームを出力することができ、低減部20は、約2から10MeVの変化ステップでビームのエネルギーを調整(例えば低減)する。
【0020】
レンジシフターであることができる、低減部の使用を減少させる(または不在とする)ことで、加速器からの出力ビームの特性及び質、例えばビーム強度を維持することを容易にすることができる。粒子ビームの制御は、加速器において実施することができる。例えば粒子ビームが低減部20を通過する際に発生する中性子からの副作用を減少または除去することができる。
【0021】
標的体積24における処置を完了した後に、処置システム10が別の体または別の体の部位22’における別の標的体積30を処置する場合、粒子ビーム14のエネルギーもまた調整を必要としうる。標的体積24、30は同一の体(または患者)の中にあってもよく、異なる患者に属するものであってもよい。体22’の表面からの標的体積30の深さDは、標的体積24のそれとは異なる可能性がある。いくらかのエネルギー調整が低減部20でなされうるが、低減部12はビームのエネルギーを低減するのみであり、ビームのエネルギーを増加させないものでありうる。場合によっては、標的体積30を処置するための最大のビームエネルギーは、標的体積24を処置するための最大のビームエネルギーよりも高いことがありうる。そのような状況では、加速器12は標的体積24を処置した後であって標的体積30を処置する前に、出力ビームエネルギーを増加させる。他の状況では、標的体積30の処置のために必要な最大のビームエネルギーは、標的体積の最大のビームエネルギーよりも低いものであってよい。低減部20はエネルギーを低減することができるが、加速器12が低減部20の使用の減少または排除のためにより低いビームエネルギーを出力するように調整可能である。標的体積24、30を層に分割することは異なるものである可能性があり、または同一である可能性がある。また、標的体積30は、標的体積24の処置と同様に、層ごとに処置されることが可能である。
【0022】
同一の患者の異なる標的体積24、30の処置は、実質的に連続して、例えば2つの体積間の停止時間が最大で約30分以下、例えば25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、または1分以下とすることができる。さらに以下に詳細に説明するように、加速器12は、可動ガントリーに搭載されることができ、ガントリーの動作は、異なる標的体積を狙うために加速器を移動させる。いくつかの状況において、加速器12は、標的体積24の処置を完了した後であって、標的体積30の処置を開始する前に処置システムが調整を行う(例えばガントリーを動かす)時間の間に、出力ビーム14のエネルギーの調整を完了することができる。加速器及び標的体積30の位置合わせが完了するとすぐに、処置は、調整された所望のビームエネルギーで開始することができる。異なる患者のためのビームエネルギー調整もまた比較的効率的に完了することができる。いくつかの例において、ビームエネルギーの増加/減少及び/またはガントリーの移動を含むすべての調整は、約30分以内、例えば約25分以内、約20分以内、約15分以内、約10分以内または約5分以内に行われる。
【0023】
標的体積の同一の層において、照射量は走査ユニット16を使用して、層の2次元表面に渡ってビームを移動する(走査ビームと呼ばれることがある)ことにより印加される。代替的に、層は引き出されたビームを散乱ユニット16の1つ以上の散乱体に通過させることによって照射されることができる(散乱ビームと呼ばれることがある)。
【0024】
エネルギーや強度のようなビーム特性は、加速器12並びに/もしくは他のデバイス、例えば走査ユニット/散乱体16、低減部20及び図示されていないその他のデバイスを制御することによって、処置前に選択されることが可能であり、または処置中に調整されることが可能である。いくつかの実装形態において、システム10は、コンピュータのような、システム内の1つ以上のデバイスと通信する制御部32を含む。場合によっては、制御は例えばビーム強度、線量、ターゲット体積内のビームの位置などを監視する1つ以上の監視装置18によって実施される監視の結果に基づくことができる。監視装置18は、デバイス16と低減部20との間にあるように示されているが、1つ以上の監視装置が、ビーム照射経路の別の位置に配置可能である。制御部32はまた(同一の患者及び/または異なる患者の)1つ以上の標的体積のための処置計画を蓄積することができる。処置計画は、処置が開始する前に決定可能であり、標的体積の形状、層の数、各層の照射量、各層が照射される回数などのパラメータを含むことができる。システム10内のビーム特性の調整は、処置計画に基づいて実施可能である。例えば処置計画からの逸脱が検出されると、追加的な調整が処置中に行われることが可能である。
【0025】
いくつかの実装形態において、加速器12は、粒子ビームが加速される磁場を変化させることによって、出力粒子ビームのエネルギーを変化させる。特に、コイルの1つ以上のセットが、キャビティ内の可変磁場を発生させるための可変電流を受け取るために使用される。いくつかの例において、コイルの1つのセットは固定電流を受け取り、その一方コイルの1つ以上の他のセットは可変電流を受け取り、コイルセットが受け取る全電流が変化する。いくつかの実装形態において、コイルの全てのセットは超伝導である。いくつかの他の実装形態において、固定電流のためのセットなどの、コイルのいくつかのセットは超伝導であり、可変電流のための1つ以上のセットのようなコイルのその他のセットは非超伝導である。場合によっては、コイルの全てのセットが非超伝導である。
【0026】
一般に、磁場の強度は電流強度とともに増減可能である。所定の範囲内でコイルの全電流を調整することにより、対応する所定の範囲内で変化する磁場を発生させることができる。いくつかの状況において、電流の連続的な調整が、磁場の連続的な変化及び出力ビームエネルギーの連続的な変化を導くことができる。代替的に、コイルに印加される電流が不連続にステップ状に調整される場合、磁場及び出力ビームエネルギーもまたそれに従って不連続的に変化する。場合によっては、詳細には以下に説明されるように入力電流以外の微調整が必要となることがあるものの、電流に対する磁場の増減は、比較的正確に実行されるビームエネルギーの変更を可能とする。
【0027】
さらに、可変エネルギーを有する粒子ビームを出力するために、加速器12は異なる周波数範囲に渡って掃引するRF電圧を印加するように構成され、各範囲は異なる出力ビームエネルギーに対応する。例えば、加速器12が3つの異なる出力ビームエネルギーを発生させるように構成される場合、RF電圧は周波数の3つの異なる範囲に渡って掃引することが可能である。他の例において、連続的なビームエネルギー変化に対応して、RF電圧は連続的に変化する周波数範囲に渡って掃引する。異なる周波数範囲は、異なる周波数の下限及び/または上限を有してもよい。
【0028】
単一エネルギーを有する粒子ビームを引き出すために使用される再生器の特徴を変更することなく、異なるエネルギーを有する粒子ビームが加速器12から引き出されることが可能である。他の実装形態において、再生器は粒子軌道を妨げるように移動されることが可能であり、または鉄製のプラグが、可変粒子エネルギーに基づいて磁場バンプを変化させるために追加されまたは除去されることが可能である。
【0029】
一例として、表1は加速器12が粒子ビームを出力できる3つのエネルギーレベルを示す。3つのエネルギーレベルを発生させるための対応するパラメータもまた列挙する。特に、磁石電流は加速器12の1つ以上のコイルセットに印加される全電流を表し、最大周波数及び最小周波数は、RF電圧が掃引する範囲を画定し、rは粒子が加速されるキャビティの中心への位置の半径距離である。
【0031】
可変エネルギーを有する荷電粒子を発生させる例示的な粒子加速器の詳細が、以下に説明される。加速器はシンクロサイクロトロンとすることが可能であり、粒子は陽子であってもよい。粒子は処置における使用のためにビームに形成される。粒子加速器からのビーム出力のエネルギーは、患者内の1つの標的の処置の間または同一の患者若しくは異なる患者の異なる標的体積の処置の間に変更可能である。いくつかの実装形態において、ビーム(または粒子)が加速器から出力されていないときに、ビームのエネルギーを変更するために加速器の設定が変更される。エネルギーの変更は、所望の範囲に渡って連続的または不連続的とすることができる。
【0032】
図2を参照すると、荷電粒子放射医療システム500は、回転ガントリー504上に搭載されることが可能であるほど十分小さな重量及び大きさを有するビーム生成粒子加速器502を含み、その出力は加速器筐体から患者506へ向けて直線的に(すなわち、本質的に直接に)指向される。
【0033】
いくつかの実装形態において、鋼鉄製のガントリーは、患者の両側に置かれた2つのそれぞれのベアリング512、514上に回転するように搭載された2つの脚部508、510を有する。加速器は、患者が横たわる処置領域518に渡るほど十分長い(例えば、患者のいかなる所望の標的領域もビームの線内に維持したままで人を空間内に完全に回転可能とするように、長身の人の2倍の長さ)である鋼鉄製のトラス516によって支持され、ガントリーの回転する脚部の両端に安定的に取り付けられる。
【0034】
いくつかの例において、ガントリーの回転は、360度よりも小さな範囲520、例えば約180度に制限され、医療システムを患者処置領域内に収容するボールト524の壁から床522が延設することを可能にする。ガントリーの制限された回転範囲はまた、処置領域外の人の放射線遮蔽を提供する壁のいくつか(例えば壁530等、ビームに直接位置合わせされることの決してない壁)の必要な厚さを低減することにもなる。ガントリー回転の180度の範囲は、全ての処置到達角度をカバーするのに十分であるが、移動のより大きな範囲を提供することが有用なものとすることができる。例えば、回転の範囲は180度から330度の間であってもよく、それでも医療の床空間のための間隔を提供しうる。
【0035】
ガントリーの水平回転軸532は、患者及び医療従事者が医療システムと作用する床から名目上1メートル上方に位置する。この床は医療システムの遮蔽されたボールトの底部の床の約3メートル上方に位置する。加速器は、回転軸の下から処置ビームの搬送のために持ち上げられた床の下をスイングすることができる。患者の診察用いすは、ガントリーの回転軸に平行な実質的に水平な平面内を移動し、回転する。診察用いすは、この構成では水平面内を約270度の範囲534で回転することができる。ガントリーと患者の回転範囲及び自由度のこの組み合わせにより、医療従事者は、ビームに対していかなる到達角度も実質的に選択することが可能である。必要であれば、患者は、診察用いすに逆向きに配置されることができ、全てのありうる角度を使用することができる。
【0036】
いくつかの実装形態において、加速器は非常に高い磁場の超伝導電磁構造を有するシンクロサイクロトロン構成を用いる。所定の運動エネルギーの荷電粒子の曲率半径は印加される磁場の増大に正比例して減少するので、非常に高い磁場の超伝導磁気構造により、加速器をより小さく軽くすることができる。シンクロサイクロトロンは、回転角度において均一であり、半径が増大するにつれて強度が小さくなる磁場を使用する。そのような場の形状は、磁場の強度と無関係に達成可能であり、そのため理論的にはシンクロサイクロトロンで用いることができる磁場の強度(及びそのため固定半径における得られる粒子のエネルギー)に上限がない。
【0037】
超伝導材料は、非常に高い磁場の存在下ではその超伝導特性を失う。高性能な超伝導ワイヤー巻線が、非常に高い磁場を達成することを可能にするために使用される。
【0038】
超伝導材料は、典型的には、その実現すべき超伝導特性のために低温に冷却する必要がある。本明細書で説明されるいくつかの例では、クライオ冷却器が、超伝導コイル巻線を絶対温度に近い温度にするために用いられる。クライオ冷却器を使用することにより、複雑さ及びコストを軽減することができる。
【0039】
シンクロサイクロトロンは、ガントリーに支持されており、ビームは患者に向かって直接発生される。ガントリーは、患者内またはその近傍の点(アイソセンター540)を含む水平回転軸に関してサイクロトロンを回転させることができる。回転軸に対して平行な分離トラスが、サイクロトロンを両側で支持する。
【0040】
ガントリーの回転範囲が制限されているので、患者の支持領域はアイソセンター周囲の幅広い領域に収容することができる。床がアイソセンター周囲に幅広く延設されることができるので、患者支持テーブルはアイソセンターを通して垂直軸542に対して移動し、垂直軸542の周りに回転するように配置されることが可能であり、ガントリーの回転並びにテーブルの移動及び回転の組み合わせによって、患者のどの部位に向けられたどの角度のビーム方向も達成可能である。2つのガントリーアームは、長身の患者の身長の2倍よりも大きい距離だけ離隔され、患者と共に診療用いすが、持ち上げられた床の上方の水平面内を回転し、転移することができる。
【0041】
ガントリーの回転角度を制限することにより、処置室を取り囲む壁の少なくとも1つの厚さを低減することが可能となる。典型的にはコンクリートで構築された厚い壁は、処置室の外側の人に対する放射線保護を提供する。下流で陽子ビームを停止する壁は部屋の反対側の壁の約2倍としてもよく、保護の同等なレベルを提供する。ガントリーの回転範囲を制限することにより、処置室を3つの側部においてアースグレードよりも下に位置させることが可能となり、その一方で処置室を建設するコストを低減する、最も薄い壁に隣接して占められる領域を可能とする。
【0042】
<可変エネルギー>
図2に示された例において、超伝導シンクロサイクロトロン502は、可変エネルギーを有する粒子ビームを出力する。可変エネルギーの範囲は、約200MeVから約300MeVまたはそれより高い上限を有することができ、例えば、200MeV、約205MeV、約210MeV、約215MeV、約220MeV、約225MeV、約230MeV、約235MeV、約240MeV、約245MeV、約250MeV、約255MeV、約260MeV、約265MeV、約270MeV、約275MeV、約280MeV、約285MeV、約290MeV、約295MeV、もしくは約300MeVまたはそれより高い。範囲はまた約100MeVまたはそれより低いエネルギーから約200MeVまでである下限を有することができ、例えば、約100MeV以下、約105MeV、約110MeV、約115MeV、約120MeV、約125MeV、約130MeV、約135MeV、約140MeV、約145MeV、約150MeV、約155MeV、約160MeV、約165MeV、約170MeV、約175MeV、約180MeV、約185MeV、約190MeV、約195MeV、約200MeVである。
【0043】
いくつかの状況において、変更は不連続であり、変更のステップは約10MeV以下、約15MeV、約20MeV、約25MeV、約30MeV、約35MeV、約40MeV、約45MeV、約50MeV、約55MeV、約60MeV、約65MeV、約70MeV、約75MeV、約80MeVまたはそれより高い大きさを有することができる。1つのステップの大きさでエネルギーを変化させることは、30分よりも短い時間であることができ、例えば、約25分以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、約1分以下または約30秒以下であることができる。他の状況において、変更は連続的であり、加速器は比較的速い速度で、例えば最大で1秒間に約50MeV、最大で1秒間に約45MeV、最大で1秒間に約40MeV、最大で1秒間に約35MeV、最大で1秒間に約30MeV、最大で1秒間に約25MeV、最大で1秒間に約20MeV、最大で1秒間に約15MeVまたは最大で1秒間に約10MeVで粒子ビームのエネルギーを調整することができる。加速器は、連続的及び不連続的の両方で粒子エネルギーを調整するように構成可能である。例えば、連続変更及び不連続変更の組み合わせが、1つの標的体積の処置において、または異なる標的体積の処置において用いられることが可能である。柔軟な処置計画及び柔軟な処置も達成可能である。
【0044】
可変エネルギーを有する粒子ビームを出力する粒子加速器は、照射処置の精度を提供し、処置のための追加的なデバイス(加速器以外)の数を減少させることができる。例えば、出力される粒子ビームのエネルギーを変更するための低減部の使用が、減少されまたは排除されうる。強度や集束などの粒子ビームの特性は粒子加速器において制御可能であり、粒子ビームは追加的なデバイスからの実質的な妨害なく標的体積に到達することが可能である。ビームエネルギーの相対的に高い変更率は処置時間を低減し、処置システムの効率的な利用を可能にすることができる。
【0045】
<可変磁場>
いくつかの実装形態において、
図2のシンクロサイクロトロン502のような加速器は、加速器内の磁場を変更することにより可変エネルギーレベルまで粒子または粒子ビームを加速し、磁場の変更は磁場を発生させるためのコイルに印加される電流を変更することによって達成することができる。
図3、4、5、6及び7に示されるように、例示的なシンクロサイクロトロン1010(
図2における502)は、粒子源90、高周波駆動システム91及びビーム引き出しシステム38を含む磁石システム1012を含む。磁石システム1012によって確立された磁場は、2つのセットのコイル40a及び40b並びに42a及び42bが発生可能である磁場の最大値の約5%から約35%で変更可能である。磁石システムによって確立された磁場は、2つのセットのコイル及び一対の成形された強磁性(例えば低炭素鋼鉄)の磁極面44、46の組み合わせを用いて含まれる陽子ビームの集束を維持するのに適切な形状を有している。
【0046】
コイルの各セットは、電流を受け取るための環状コイルの分離対である。いくつかの状況において、コイルの両方のセットが超伝導である。他の状況において、コイルの1つのセットのみが超伝導であり、他方のセットが非超伝導または常伝導である(さらに以下で議論される)。コイルの両方のセットが非超伝導であることもまた可能である。コイルに使用するための適切な超伝導材料は、3ニオブスズ(Nb
3Sn)及び/またはニオブチタンを含む。その他の常伝導材料は銅を含むことができる。コイルセット構築の例は以下にさらに説明される。
【0047】
コイルの2つのセットは、直列または並列に電気的に接続されることができる。いくつかの実装形態において、コイルの2つのセットによって受け取られる全電流は約200万アンペアターンから約1000万アンペアターン、例えば約250万から約750万アンペアターンまたは約375万アンペアターンから約500万アンペアターンを含むことができる。いくつかの状況において、コイルの1つのセットは、全可変電流のうち固定された(または一定の)部分を受け取るように構成され、その一方コイルの他方のセットは全電流の可変部分を受け取るように構成される。2つのコイルセットの全電流は、1つのコイルセットにおける電流の変化とともに変化する。他の状況において、コイルの両方のセットに印加される電流が変化することができる。コイルの2つのセットにおける可変全電流は、可変強度を有する磁場を発生させることができ、次いで粒子の加速経路を変化させ、可変エネルギーを有する粒子を発生させる。
【0048】
一般に、1つまたは複数のコイルによって発生した磁場の強度は、コイルに印加される全電流の強度に対して増減可能である。増減が可能であることに基づいて、いくつかの実装形態では、磁場強度の線形可変が、コイルセットの全電流を線形的に変化させることによって達成可能である。全電流は磁場及びビームエネルギーの比較的高い速度の調整につながる比較的速い速度で調整可能である。
【0049】
表1に示された例では、コイルリングの幾何中心における電流値と磁場の値との間の比は、1990:8.7(約288.7:1)、1920:8.4(約288.6:1)、1760:7.9(約222.8:1)である。従って、超伝導コイルに印加された全電流の強度を調整することは、比例的に(比に基づいて)磁場の強度を調整することができる。
【0050】
表1の例における全電流に対する磁場の増減可能性についても、
図8のプロットに示されており、B
ZがZ方向に沿った磁場であり、RがZ方向に対して垂直な方向に沿ったコイルリングの幾何中心から測定した半径方向の距離である。磁場は幾何中心において最も高い値を有し、距離Rが増加するにつれて減少する。曲線1035、1037は異なる全電流、それぞれ1760アンペア及び1990アンペアを受け取る同一のコイルセットによって発生された磁場を表す。引き出された粒子の対応するエネルギーはそれぞれ211MeV及び25MeVである。2つの曲線1035、1037は実質的に同一の形状を有し、曲線1035、1037の異なる部分は実質的に平行である。結果として、曲線1035又は曲線1037のいずれかは、線形的にシフトして他方の曲線に実質的に一致することができ、このことは磁場がコイルセットに印加される全電流に対して増減可能であることを示している。
【0051】
いくつかの実装形態において、全電流に対する磁場の増減可能性は、完全でない場合もありうる。例えば、表1に示された例に基づいて計算された、磁場と電流との間の比は、一定でない。また、
図8に示されるように、一方の曲線の線形シフトは、他方の曲線と完全に一致しないことがありうる。いくつかの実装形態において、全電流は完全な増減可能性の仮定のもとにコイルセットに印加される。狙いの磁場は(完全な増減可能性の仮定のもとにおいて)追加的に変化するコイルの特徴、例えば幾何形状によって、増減可能性における不完全性を打ち消すように発生されることが可能である。1つの例として、鉄の棒が磁極片の1つ又は両方に挿入されまたは除去されることができる。コイルの特徴は、比較的高い速度で変化させることが可能であり、そのため磁場調整の速度は、増減可能性が完全であり電流のみが調整される必要がある状況と比較して、実質的に影響されない。鉄の棒の例において、棒は数秒または数分の時間規模、例えば5分以内、1分以内、30秒未満または1秒未満で追加されまたは除去されることができる。いくつかの実装形態において、コイルセットに印加される電流のような加速器の設定は、コイルセット内の全電流に対する磁場の実質的な増減可能性に基づいて選択することができる。
【0052】
一般に、所望の範囲で変化する全電流を発生させるために、2つのコイルセットに印加される電流のどのような組み合わせも使用可能である。一例において、コイルセット42a、42bは、磁場の所望の範囲の下限に対応する固定電流を受け取るように構成可能である。表1に示された例において、固定電流は1760アンペアである。さらに、コイルセット40a、40bは磁場の所望の範囲の上限と下限との間の差に対応する上限を有する可変電流を受け取るように構成可能である。表1に示された例において、コイルセット40a、40bは0アンペアから230アンペアまで変化する電流を受け取るように構成される。
【0053】
他の例において、コイルセット42a、42bは磁場の所望の範囲の上限に対応する固定電流を受け取るように構成可能である。表1に示された例において、固定電流は1990アンペアである。さらに、コイルセット40a、40bは磁場の所望の範囲の下限と上限との間の差に対応する上限を有する可変電流を受け取るように構成可能である。表1に示される例において、コイルセット40a、40bは、−230アンペアと0アンペアとの間で変化する電流を受け取るように構成される。
【0054】
粒子を加速するための、可変全電流によって発生される全可変磁場は、4テスラよりも大きな最大強度、例えば5テスラよりも大きく、6テスラよりも大きく、7テスラよりも大きく、8テスラよりも大きく、9テスラよりも大きく、または10テスラよりも大きく、さらに最大で約20テスラ又はそれより高く、例えば最大で約18テスラ、最大で約15テスラ、または最大で約12テスラである最大強度を有することができる。いくつかの実装形態において、コイルセットにおける全電流の変化は、約0.2テスラから約4.2テスラ又はそれよりも大きく、例えば、約0.2テスラから約1.4テスラまたは約0.6テスラから約4.2テスラで磁場を変化させることができる。いくつかの状況において、磁場の変化量は、最大強度に対して比例することができる。
【0055】
さらに、磁場の所定の最大強度において、磁場の強度は一般に加速器の幾何中心からの距離の関数であり、コイル40a、40b、42a及び42bの幾何形状並びに磁極の形状及び材料の選択によって影響を与えられることができる。距離の関数としての磁場強度変化の一例が、
図8に示されている。
【0056】
コイルの2つのセットの構築の一例が以下に議論される。2つのコイルセットは共通軸47に中心を合わせられ、軸に沿って離隔されている。
図9及び10に示される例において、コイルセットはNb
3Sn系超伝導の直径0.8mmの(初めに銅シースによって取り囲まれたニオブスズコアを含む)縒り合されたチャネル内ケーブル導体幾何形状に配置されたストランド48によって形成される。7本の個別のストランドが1つのケーブルとされた後に、それらは加熱されてワイヤーの最終的な(もろい)超伝導材料を形成する反応を発生させる。材料が反応されると、ワイヤーは銅チャネル(外寸3.18×2.54mm、内寸2.08mm×2.08mm)内へはんだ付けされ、絶縁体52(この例において、織られたガラス繊維材料)で覆われる。ワイヤー53を含む銅チャネルは、それぞれ8.55cm×19.02cmの長方形断面を有し、26層を有し、各層ごとに49ターンを有する2つのコイルセットに巻回される。巻回されたコイルセットは次いでエポキシ化合物54で真空充填される。終了したコイルセットは円形ステンレス鋼反転ボビン56上に設置される。ヒーターブランケット55が、巻線の層内の間隙に配置され、磁気クエンチの事象において組立体を保護する。
【0057】
巻回されたコイルセットは次いでエポキシ化合物で真空充填される。全コイルセットのそれぞれは次いで銅シートで覆われて熱伝導及び機械的安定性を提供し、次いでエポキシの追加的な層に含まれることができる。コイルセットの事前圧縮が、コイルセットを低温に冷却し、コイルセットを反転ボビン内にフィットさせることによって提供されることが可能である。反転ボビンの内径は、全質量が4Kに冷却されるときに反転ボビンがコイルセットに接触した状態を保ち、いくらかの圧縮を提供するように選択される。
【0058】
コイルセットの幾何形状は反転長方形ボビン56内にコイルセットを設置することによって維持され、コイルがエネルギー付与されるときに発生する変形力に対して働く復元力60を発生させる。
図6に示されるように、コイルセットの位置は磁石ヨーク及び温かい温度から低温まで支持ストラップ402、404、406のセットを用いるクライオスタットに関して維持される。薄いストラップで低温質量を支持することは、剛体支持システムによる低温質量へ伝えられる熱漏洩を減少させる。ストラップは、磁石がガントリーに搭載されて回転するにつれて、コイルセットにかかる可変重力に耐えられるように配置される。これらは、磁石ヨークに対して完全に対称な位置から乱されたときに、重力及びコイルセットによって実現される大きな中心を外れる力の組み合わされた効果に耐える。追加的に、ガントリーが位置を変化されたときにガントリーが加速し、減速する際に、リンクがコイルセットに係る動的な力を減少させるように働く。温かい温度から低温までの支持部のそれぞれは、1つのS2ガラス繊維リンク及び1つの炭素繊維リンクを含む。炭素繊維リンクは、温かい温度のヨークと中間温度(50から70K)との間のピンに渡って支持され、S2ガラス繊維リンク408は中間温度のピン及び低温質量に取り付けられたピンに渡って支持される。各リンクは長さ5cm(ピンの中心からピンの中心まで)であり、幅17mmである。リンクの厚さは9mmである。各ピンは高強度ステンレス鋼で形成されており、直径40mmである。
【0059】
主超伝導コイルはコイル組立体(コイル及び支持構造)を、排気された、コイル構造の周囲に少なくともいくらかの自由空間を提供する円形のアルミニウムまたはステンレス鋼クライオスタティックチャンバー内に閉じ込めることによって絶対零度近くの温度(例えば約4ケルビン)に保つ。いくつかの実装形態において、絶対零度近くの温度は液体ヘリウムを含む冷却チャネル(図示されない)を用いて達成され、維持され、冷却チャネルは支持構造内に形成され、冷却チャネルはチャネル内の液体ヘリウムと対応する超伝導コイルとの間の熱的接触を含む。上述の種類の及び使用されうる液体ヘリウム冷却システムの一例は、特許文献1(Beggら著)に記載されている。
【0060】
一例として、コイルセットは、支持点71、73の限定されたセットの部分を除いて、コイル構造周囲に自由な空間を提供する、排気された円形のアルミニウムまたはステンレス鋼クライオスタティックチャンバー70の内部にコイル組立体(コイル及びボビン)を閉じ込めることによって、絶対零度近傍の温度(例えば、約4ケルビン)に保たれる。
【0061】
いくつかの実装形態において、絶対零度近傍の温度は、1つの単段式ギフォード・マクマホンクライオ冷却器及び3つの2段式ギフォード・マクマホンクライオ冷却器を用いて達成され、維持される。2段式クライオ冷却器のそれぞれは、ヘリウム蒸気を液体ヘリウムに再凝縮する凝縮器に取り付けられた第2段低温端を有する。クライオ冷却器の頭端部は圧縮機からの圧縮されたヘリウムで供給される。単段式ギフォード・マクマホンクライオ冷却器は、電流を超伝導巻線に供給する高温(例えば50から70ケルビン)のリード線を冷却するように構成される。
【0062】
いくつかの実装形態において、絶対零度近傍の温度は、コイル組立体の異なる位置に配置された2つのギフォード・マクマホンクライオ冷却器72、74を用いて達成され、維持される。クライオ冷却器のそれぞれは、コイル組立体と接触する低温端76を有する。クライオ冷却器の頭端部78は圧縮機80から圧縮ヘリウムで供給される。2つの他のギフォード・マクマホンクライオ冷却器77、79は、電流を超伝導巻線に供給する高温(例えば60から80ケルビン)のリード線を冷却するように構成される。
【0063】
コイル組立体およびクライオスタティックチャンバーは、ピルボックス型磁石ヨーク82の2つの半分の部分81、83の中に搭載され、2つの半分の部分81、83によって完全に閉じ込められている。この例において、コイル組立体の内径は約74.6cmである。鉄製のヨーク82は、帰還磁束84のための経路を提供し、磁極面44、46の間の体積86を磁気的に遮蔽して外部磁場の影響がその体積内の磁場の形状をかく乱することを防ぐ。ヨークはまた、加速器の近傍において迷磁場を減少させる役割も果たす。
【0064】
2つのコイルセットが示されているが、加速器は、代替的に1つのコイルセットまたは3つ以上のコイルセットを含むこともできる。ただ1つのコイルセットのみが用いられる状況において、コイルセットは可変電流を受け取って磁場を変更するように構成される。3つ以上のコイルセットが用いられる状況において、1つ以上のコイルセットが可変電流を受け取って磁場を変更するように構成される。
【0065】
1つ、2つ又はそれ以上のコイルのセットが、
図9及び10に示された構成と類似して構築可能である。2つのコイルのセットが同一の半径および構成(例えば、層の数およびターン数、材料など)を有するものと説明されているが、これらは異なる特徴を有することができる。いくつかの実装例において、コイルの異なるセットが、異なる電流を受け取るための必要性に基づいて構築される。
【0066】
変更可能であることに加えて、加速器内の磁場は粒子ビームが加速するにつれて粒子ビームをチャンバー内に維持するための特定の特性を有する必要がある。以下に示される磁場インデックスnは
n=−(r/B)dB/dr
であり、この「弱」集束を維持するために正である必要がある。ここでrはビームの半径であり、Bは磁場である。さらに、磁場インデックスは0.2より小さい値に保たれる必要がある。なぜなら、この値において、ビームの半径方向の振動及び垂直方向の振動の周期性がv
r=2v
z共振に合致するからである。ベータトロン周波数はv
r=(1−n)1/2及びv
z=n1/2で画定される。磁極は強磁性体であり、強磁性体磁極面はコイルによって発生される磁場を形成するように設計され、それによって磁場インデックスnが所定の磁場において250MeVのビームに一致する最小直径において正に保たれ、かつ0.2よりも小さい。
【0067】
磁場インデックスの弱集束は、磁場の変化に基づく粒子ビームエネルギーの変化を容易にすることができる。磁場が変化するにつれて、連続的にまたは段階的に、コイルセットに印加される全電流を変化することによって、磁場の軸方向集束がそれに従って変化される。いくつかの実装形態において、偏向磁石(図示されない)が、磁場を指向して、磁場の変更によって引き起こされるあらゆる可能性のある指向エラーを修正するために用いられることができる。
【0068】
加速器から出てくる迷磁場は、磁石ヨーク46a、46b(遮蔽としても働く)及び追加的な分離磁気遮蔽(図示されない)の両方によって制限される。
【0069】
いくつかの実装形態において、帰還ヨーク及び遮蔽は能動帰還システムによって置き換えられ、または増大されてもよい。例示的な能動帰還システムは、主超伝導コイルを通る電流とは反対の方向に電流を伝導させる1つ以上の能動帰還コイルを含む。いくつかの例示的な実装形態において、超伝導コイルのそれぞれに対して能動帰還コイルが存在し、例えば、それぞれがそれぞれの超伝導コイル(「主」コイルとしても称される)に対するものである、2つの能動帰還コイルが存在する。各能動帰還コイルはまた、対応する主超伝導コイルの外側を取り囲む超伝導コイルであってもよい。
【0070】
電流は、主コイルを通過する電流の方向とは反対の方向に能動帰還コイルを通過する。そのため能動帰還コイルを通過する電流は、主コイルによって発生される磁場とは極性が反対の磁場を発生させる。結果として、能動帰還コイルによって発生される磁場は、対応する主コイルに起因する比較的強い迷磁場の少なくともいくらかを打ち消すことができる。いくつかの実装形態において、各能動帰還は、2.5Tから12Tの間またはそれ以上の磁場を発生させるために用いられてもよい。用いられうる能動帰還システムの一例は、2013年5月31日に出願され、その内容が参照によって本明細書に組み込まれている特許文献2に記載されている。
【0071】
図4及び11に示されるように、シンクロサイクロトロンは磁石構造82の幾何学的中心92の近傍に配置されたペニングイオンゲージ形態の粒子源90を含む。粒子源は以下に説明されるようなものであってもよく、または粒子源は参照によって本明細書に組み込まれた特許文献3に記載されたような種類のものであってもよい。
【0072】
粒子源90は、気体の水素を供給するガスライン101及びチューブ194を通して水素の供給部99から供給される。電気ケーブル94は電流源95から電流を運んで、磁場200と位置合わせされたカソード192、190からの電子放電を促進する。
【0073】
この例において、放電された電子はチューブ194から小さい穴を通って出てくるガスをイオン化させ、磁石構造及び1つのダミーディープレート102によって閉じ込められた空間の半分に渡る1つの半円形(D字型)高周波プレート100によって加速するための正イオン(陽子)の供給を発生させる。遮られた粒子源(その一例は特許文献3に記載されている)の場合、プラズマを含むチューブの全て(または実質的に一部)が加速領域において除去され、それによってイオンが相対的に高い磁場の中をより急速に加速されることを可能とする。
【0074】
<RF周波数範囲>
図12に示されるように、ディープレート100は、陽子が磁石構造によって閉じ込められた空間の周囲の回転の半分の間に加速される空間107を閉じ込める2つの半円形表面103、105を有する中空金属構造である。空間107内に開口するダクト109は、ヨークを通って、真空ポンプ111が空間107及び加速が行われる真空チャンバー119内の残りの空間を排気するために取り付け可能である外部位置へ延設する。ダミーディー102は、ディープレートの露出された縁部に近接して空間を開けられた長方形の金属リングを含む。ダミーディーは真空チャンバー及び磁石ヨークに接地される。ディープレート100は、空間107内の電場を与えるための高周波伝達線の端部において印加される高周波信号によって駆動される。高周波電場は加速された粒子ビームが幾何中心からの距離を増加させるにつれて経時的に変化するようになされる。この目的のために有用な高周波波形発生器の例は、2005年7月21日に出願された「シンクロサイクロトロンのためのプログラム可能な高周波波形発生器」と題する特許文献4及び2004年7月21日に出願された同一題の特許文献5に記載されており、そのいずれも参照によって本明細書に組み込まれている。高周波電場は「共振キャビティの共振周波数の、入力電圧の周波数への整合」と題する特許文献6に記載された方法で制御されてもよく、その内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0075】
粒子源構造を明確にするために、中央に配置された粒子源から発生するビームに関して、外側に螺旋運動を始めると、大きな電圧差が高周波プレートに渡って必要となる。いくつかの場合において、5000から20000ボルトが高周波プレートに渡って印加されてもよい。この大きな電圧を駆動するのに必要な電力を低減するために、磁石構造は高周波プレートとグラウンドとの間の静電容量を減少させるように配置される。これは、高周波構造から外側ヨーク及びクライオスタット筐体を通して十分な空間を形成し、磁極面間に十分な空間を形成することによりなされる。
【0076】
ディープレートを駆動する交流電位の高電圧は陽子の相対論的質量の増大及び磁場の減少に対処するために、加速周期の間、下がる方向に掃引される周波数を有する。電圧は、周期における周波数範囲に渡って掃引することができ、各周期は加速器内の粒子の加速周期に対応することができる。いくつかの実装形態において、加速器はシンクロサイクロトロンであり、加速器からの粒子ビーム出力はパルス粒子束の形態である。各粒子束は加速周期内で加速されることができ、RF掃引周期は粒子束が発生されまたは引き出される周期と同一とすることができる。
【0077】
ダミーディーは、真空チャンバー壁に沿ったグラウンド電位にあるため、中空半円筒構造を必要としない。異なる電気的位相または複数の基本周波数で駆動される加速電極の2つ以上のペアなどのその他のプレート構成が使用可能である。RF構造は、例えばかみ合った回転子及び固定ブレードを有する回転キャパシタを用いることによって必要な周波数掃引の間、正確な共振整合を保つように調整されることが可能である。ブレードの各かみ合わせの間、静電容量は増大し、そのためRF構造の共振周波数は低下する。ブレードは必要な正確な周波数掃引を発生させるような形状とすることができる。粒子束の1つは回転コンデンサのブレードの各かみ合わせの間、加速される。
【0078】
ディープレート100上の高電圧が掃引するRF周波数範囲は、ビームエネルギーに関連し、異なるビームエネルギーは異なるRF範囲に対応する。従って、ビームエネルギーが加速器内で変化すると、電圧が周期において掃引する対応するRF範囲が変化する。異なるRF周波数範囲はビームエネルギー範囲に基づいて選択可能である。いくつかの実装形態において、エネルギー変化の範囲に適合するために、RF周波数範囲は約40MHzから約250MHzの間で変化する下限及び約56MHzから約340MHzの間で変化する上限を有する。例えば、下限は約73MHzから約150MHzの間で変化することができ、上限は約131MHzから約196MHzの間で変化することができる。表1に示された例において、RF周波数範囲は250MeVのビームエネルギーに対して99MHzから132MHzであり、235MeVのビームエネルギーに対して97MHzから128MHzであり、211MeVのビームエネルギーに対して93MHzから120MHzである。
【0079】
図13は、ディープレート100上の電圧を粒子ビームの各エネルギーレベルに関するRF周波数範囲に渡って掃引するための、及び粒子ビームエネルギーが変更される際に周波数範囲を変更するための例示的なRF構造を示している。ディープレート100の半円形表面103、105は内部導体1300に接続され、外部導体1302内に収容される。高電圧は電源(図示されない、例えば振動電圧入力)から電源を内部導体に結合する電力結合デバイス1304を通してディープレート100に印加される。いくつかの実装形態において、結合デバイス1304は、内部導体1300上に配置されて、電源からディープレート100までの電力伝送を提供する。さらに、ディープレート100は、各粒子エネルギーレベルに関してRF周波数掃引を実行し、異なる粒子エネルギーレベルに関してRF周波数範囲を変更する可変リアクタンス素子1306、1308に結合される。
【0080】
特に、可変変更素子1306はモーター(図示されない)によって回転可能な複数のブレード1310を有する回転キャパシタとすることができる。RF掃引の各サイクルにおいてブレード1310をかみ合わせまたはかみ合わせを外すことにより、RF構造の静電容量が変化し、次いでRF構造の共振周波数を変化させる。いくつかの実装形態において、モーターの各4分の1周期の間、ブレード1310は互いにかみ合う。RF構造の静電容量は増大し、共振周波数は減少する。ブレード1310がかみ合わせがないときにはプロセスは反転する。結果的に、ディープレート103に印加されビームを加速するのに必要である高電圧を発生させる必要のある電力は、大きく低減されることができる。いくつかの実装形態において、ブレード1310の形状は、必要な時間依存する共振周波数を形成するために加工される。
【0081】
ブレードの回転はRF周波数発生に同期されることができる。RFキャビティのQ値を変更することによって、RF構造の共振周波数がディープレート103に印加される交流電圧電位の周波数の近い状態に保たれる(ダミーディーは接地され、
図13には示されていない)。
【0082】
可変リアクタンス素子1308は、プレート1312及び内部導体1300の表面1316によって形成されたキャパシタとすることができる。プレート1312は、方向1314に沿って表面1316の方へまたは表面1316から離れる方向に動くことができる。キャパシタの静電容量は、プレート1312と表面1316との間の距離Dが変化するにつれて変化する。1つの粒子エネルギーに関して掃引されるべき各周波数範囲に関して、距離Dは設定値であり、周波数範囲を変化させるために、プレート1312は出力ビームのエネルギーの変化に対応して移動する。
【0083】
いくつかの実装形態において、内部導体1300及び外部導体1302は銅、アルミニウムまたは銀などの金属材料から形成される。ブレード1310及びプレート1312もまた、導体1300、1302と同一または異なる金属材料から形成可能である。結合デバイス1304は、電気的導体であることができる。可変リアクタンス素子1306、1308は、その他の形状を有することができ、RF周波数掃引及び周波数範囲の変更を実施するためにその他の方法で、ディープレート100に結合可能である。いくつかの実装形態において、単一の可変リアクタンス素子が可変リアクタンス素子1306、1308の両方の機能を果たすように構成されることができる。他の実装形態において、3つ以上の可変リアクタンス素子が用いられることができる。
【0084】
<ビームの加速及び引き出し>
加速が行われる真空チャンバー119は、一般に円筒形の容器である。真空チャンバーは、RFプレート及び粒子源を収容し、真空ポンプ111によって排気される。高真空に保つことによって、加速イオンは気体分子に衝突して失われることがなくなり、RF電圧をアーク放電させることなくより高いレベルに保つことが可能となる。
【0085】
陽子は粒子源において始まる一般に螺旋軌道経路を走る。螺旋経路のそれぞれのループの半分において、陽子が空間107においてRF電場を通過する際に、陽子はエネルギーを増加させる。イオンがエネルギーを増加させると、ループ半径が磁極面の最大半径に到達するまで、これらの螺旋経路の後続のループの中心軌道の半径は、その前のループよりも大きい。その位置において、磁場及び電場の摂動はイオンを磁場が急速に減少する領域へ導き、イオンは高磁場の領域を離れ、本明細書において引き出しチャネルとして称される脱出チューブ38を通って導かれ、サイクロトロンのヨークを脱出する。磁気再生器は、イオンを導くために磁場摂動を変化させるために用いられてもよい。サイクロトロンを脱出するイオンは、サイクロトロン周囲の空間内に存在する著しく磁場の減少した領域に入る際に散逸する傾向にある。引き出しチャネル38内のビーム成形素子107、109は、イオンが限られた空間的広がりの直線的ビームのままであるように、イオンの方向を変える。
【0086】
ビームが引き出しチャネルを脱出する際に、ビームはビームの散乱角と範囲変調の所望の組み合わせを発生させるために、プログラム可能に制御されることができるビーム形成システム125(
図6)を通過する。そのような目的のために有用なビーム形成システムの例は、2004年9月24日に出願された「放射治療ビーム形成のためのプログラム可能な粒子散乱器」と題する特許文献7及び2005年7月21日に出願された特許文献8に記載されており、そのいずれも参照によって本明細書に組み込まれている。ビーム形成システム125は、以下に記載される内部ガントリー600と結合して、ビームを患者に向けるように使用されてもよい。ビーム形成システム125はまた走査システムであることもできる。
【0087】
作動中は、ディープレートはプレート表面に沿った電気抵抗の結果として、印加された高周波場からのエネルギーを吸収する。このエネルギーは、熱として現れ、熱を熱交換器113に放出する水冷配管108を用いてプレートから除去される(
図4)。
【0088】
サイクロトロンから脱出した迷磁場は、ピルボックス磁石ヨーク(シールドとしても働く)及び分離した磁気シールド144の両方によって制限される。分離した磁気シールドは、ピルボックスヨークを収容し、間隔116によって離隔された強磁性体材料(例えば、鋼鉄または鉄)の層117を含む。ヨーク、空間及びシールドのサンドイッチを含むこの構成は、より軽い重量で所定の漏洩磁場に対して適切な遮蔽を達成する。
【0089】
前述のように、ガントリーによってシンクロサイクロトロンは水平回転軸532の周りに回転することが可能となる。トラス構造516は、2つの概して平行なスパン580、582を有する。シンクロサイクロトロンはスパンの間であって脚部の間のほぼ中間部に保持される。ガントリーはトラスと反対側の脚部の端部に搭載されたカウンターウェイト122、124を用いてベアリングの周りの回転に関して均衡状態とされる。
【0090】
ガントリーは、ガントリー脚部の一方又は両方に搭載され駆動歯車によってベアリング筐体に接続された電気モーターによって回転駆動される。ガントリーの回転位置は、ガントリー駆動モーター及び駆動歯車の内部に組み込まれた軸角度エンコーダによって提供される信号から導き出される。
【0091】
イオンビームがサイクロトロンを脱出する位置において、ビーム形成システム125は、イオンビームに、患者の治療に適した特性を与えるように働く。例えば、ビームは拡散されその侵入深さは所定の標的体積に渡って均一な放射を提供するために変更される。ビーム形成システムは、能動走査素子とともに受動散乱素子を含むことができる。
【0092】
図2、14及び15に示されるように、ガントリーベアリングはサイクロトロンボールト524の壁によって支持される。ガントリーはサイクロトロンを、患者の上方、側方及び下方の位置を含む180度の(またはそれよりも大きな)角度の範囲520に渡って揺動可能とする。ボールトは、ガントリーの運動の上限及び下限においてガントリーから十分な余裕がある程度に高い。壁148、150によって側面を形成された迷路部146は、医療従事者及び患者のための入退室経路を提供する。少なくとも1つの壁152はサイクロトロンからの直接の陽子ビームと決して一致しないので、比較的薄くすることができ、それでも依然として遮蔽機能を発揮することができる。部屋のその他の3つの側壁154、156、150/148は、より厳重に遮蔽する必要がありうるため、土で作った丘(図示されない)の内部に埋め込まれることができる。土はそれ自体必要な遮蔽のいくらかを提供することができるため、壁154、156及び158の必要な厚さを低減することができる。
【0093】
図15及び16を参照すると、安全性及び美的理由から、治療室160がボールト内に構築されてもよい。治療室は壁154、156、150及び収容室の床162から、ガントリー脚部間の空間内に、揺動するガントリーの余裕空間を形成し、治療室の床空間164の広がりを最大化するように片持ち支持されている。加速器の周期的な稼働が、持ち上げられた床の下部の空間内で達成可能である。加速器がガントリーの下側の位置へ回転されると、処置領域から離れた空間内で加速器への完全なアクセスが可能となる。電源、冷却装置、真空ポンプ及びその他の補機類は、持ち上げられた床の下のこの分離された空間内に配置可能である。処置室内には、患者支持部170が、支持部を上下させることを可能にし、患者を様々な位置及び方向へ回転され移動されることを可能にする様々な方法で設置可能である。
【0094】
図17のシステム602において、ビーム生成粒子加速器、この場合シンクロサイクロトロン604は、回転ガントリー605上に搭載される。回転ガントリー605は、本明細書で説明されるような種類であり、患者支持部606の周りを角度をもって回転可能である。この特徴により、シンクロサイクロトロン604は粒子ビームを様々な角度から患者に直接提供することが可能となる。例えば、
図17におけるように、シンクロサイクロトロン604が患者支持部606の上方にある場合、粒子ビームは患者に向かって下方に指向されうる。代替的に、シンクロサイクロトロン604が患者支持部606の下にある場合には、粒子ビームは患者に向かって上方に指向されうる。粒子ビームは中間ビームルーティング機構が必要がないように患者に直接印加される。この場合において、成形または寸法設定機構がビームの経路を再変更せず、同一のビームの概略的な軌道を維持しつつビームの大きさ及び/または形状を変更するものであるという点で、ルーティング機構は、成形または寸法設定機構とは異なる。
【0095】
シンクロサイクロトロンのような加速器の能動システムの全て(例えば、電流駆動超伝導コイル、RF駆動プレート、真空加速チャンバー及び超伝導コイル冷却チャンバーのための真空ポンプ、電流駆動粒子源、水素ガス源及びRFプレート冷却器)は、適切な制御電子機器(図示されない)によって制御され、そのような制御電子機器は、例えば、効果的な制御のための適切なプログラムでプログラムされた1つ以上のコンピュータを含むものであってもよい。
【0096】
治療セッションを実施するためのガントリー、患者支持部、能動ビーム成形素子、及び加速器の制御は、適切な治療制御電子機器(図示されない)によって達成される。
【0097】
この例において説明された放射線医療システムは、陽子放射線医療のために用いられるが、同一の原理及び詳細が、重イオン(イオン)医療システムに用いるための類似のシステムに提供されることが可能である。
【0098】
粒子源は参照によって本明細書に組み込まれた特許文献3に記載された種類のものであってもよい。この目的のために利用可能な高周波波形発生器の例は、2005年7月21日に出願された「シンクロサイクロトロンのためのプログラム可能な高周波波形発生器」と題する特許文献4及び2004年7月21日に出願された同一題の特許文献5に説明されており、これらのいずれも参照によって本明細書に組み込まれている。高周波電場は、内容が参照によって本明細書に組み込まれた、「共振キャビティの共振周波数の、入力電圧の周波数への整合」と題する特許文献6に記載された方法で制御されてもよい。
【0099】
上述のシステムに関するさらなる詳細は、2006年11月16日に出願され、「荷電粒子放射医療」と題する特許文献9及び2008年11月20日に出願され「内部ガントリー」と題する特許文献10に見ることができる。特許文献9及び特許文献10の内容は本開示に参照により組み込まれている。
【0100】
上述の実装形態の二つ以上のいずれも、適切な粒子加速器(例えば、シンクロサイクロトロン)において適切な組み合わせで用いられうる。同様に、上述の実装形態の2つ以上のいずれの個別の特徴も、適切な組み合わせで用いられうる。サブセクション及びそれらのそれぞれの題は、本明細書を読み、理解する助けとなるために用いられるものである。サブセクションの題は、それぞれのサブセクションの内容の解釈を覆うものでも制限するものでもない。サブセクションの内容は、互いに分離したものではなく独立したものでもない。その代わり、異なるサブセクションの特徴のいかなる適切な組み合わせもなされることができる。
【0101】
本明細書で説明される異なる実装形態の要素は、具体的に上述していないその他の実装形態を形成するために組み合わされるものであってもよい。要素はそれらの動作に悪影響を及ぼさないで、本明細書に説明されたプロセス、システム、装置などから除外されてもよい。様々な別個の要素が、本明細書に説明された機能を実施するための1つ以上の個別の要素に組み合わされてもよい。
【0102】
本明細書に説明された例示的な実装形態は、粒子医療システムと共に用いることに限定されず、本明細書に説明された例示的な粒子医療システムとともに用いることに限定されない。むしろ、例示的な実装形態は、加速された粒子を出力へ指向するどのような適切なシステムにも使用可能である。
【0103】
本明細書に説明された粒子加速器の設定に関する追加的な情報は、2006年1月20日に出願された「高フィールド超伝導シンクロサイクロトロン」と題する特許文献11、2006年8月9日に出願された「粒子加速のための磁石構造」と題する特許文献12、及び2006年10月10日に出願された「クライオジェニック真空破壊圧空熱結合器」と題する特許文献13に見ることができ、それらの全ては全て記載されているように、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0104】
2012年9月28日に出願された以下の出願は、全て本明細書に記載されているように、当該出願に参照によって組み込まれている。「粒子ビームの強度の制御」と題する特許文献14、「粒子ビームのエネルギーの調整」と題する特許文献15、「コイル位置の調整」と題する特許文献16、「磁場フラッターに用いる粒子ビームの集束」と題する特許文献17、「磁場再生器」と題する特許文献18、「粒子ビームの集束」と題する特許文献19、「粒子医療の制御」と題する特許文献20及び「粒子加速器のための制御システム」と題する特許文献21である。
【0105】
以下も、完全に本明細書に記載されているように、当該出願に参照により組み込まれている。2010年7月1日に発行された特許文献9、2007年11月30日に出願された特許文献6、2008年11月20日に出願された特許文献10、2007年11月30日に出願された特許文献3、2007年11月30日に出願された特許文献22、2011年8月23日に発行された特許文献23、2007年4月24日に発行された特許文献24、2008年7月22日に発行された特許文献25及び2007年11月9日に出願された特許文献26である。
【0106】
当該出願のいかなる特徴も、以下の1つ以上の適切な特徴と組み合わされうる。「粒子ビームの強度の制御」と題する特許文献14、「粒子ビームのエネルギーの調整」と題する特許文献15、「コイル位置の調整」と題する特許文献16、「磁場フラッターを用いる粒子ビームの集束」と題する特許文献17、「磁場再生器」と題する特許文献18、「粒子ビームの集束」と題する特許文献19、「粒子医療の制御」と題する特許文献20、「粒子加速器のための制御システム」と題する特許文献21、2010年6月1日に発行された特許文献9、2007年11月30日に出願された特許文献6、2008年11月20日に出願された特許文献10、2007年11月30日に出願された特許文献3、2007年11月30日に出願された特許文献22、2011年8月23日に発行された特許文献23、2007年4月24日に発行された特許文献24、2008年7月22日に発行された特許文献25、2010年2月9日に出願された特許文献1及び2007年11月9日に出願された特許文献26である。
【0107】
本明細書において具体的に説明されていないその他の実装形態も、以下の特許請求の範囲内にある。