(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主軸のまわりに回転可能に軸支され主軸方向に延びた主ロータシャフトと、その主ロータシャフトの径方向外側に固定されて主軸方向に延びた主回転子鉄心とを有する主回転子と、
前記主回転子鉄心の径方向外側に配されて、主軸方向に延びる主固定子鉄心と、その主固定子鉄心に巻回された主固定子コイルとを有する主固定子と、
前記主ロータシャフトの主軸方向端部に結合され主軸方向に延びた励磁装置ロータシャフトと、前記励磁装置ロータシャフトとともに回転する複数の回転整流器と、前記励磁装置ロータシャフトとともに回転する励磁機回転子および前記励磁機回転子に対向するように前記励磁機回転子の径方向外側に配されて固定支持される励磁機固定子を有する励磁機とを具備する励磁装置と、
前記主回転子鉄心および前記主固定子を収納するフレームと、
前記フレーム内の前記主固定子および前記主回転子鉄心を冷却する循環気体を管外被冷却側流体とし外部からの外部空気を管内冷却側流体として熱交換する冷却管を有する冷却器と、
前記フレームの上部に取り付けられて前記フレームとともに密閉空間を構成し、前記冷却器を内包して、前記フレーム内から流入するための冷却器入口開口と、前記フレーム内に流出するための冷却器出口開口とによって前記フレームと連通する冷却器カバーと、
前記励磁装置を内包し、前記冷却器カバーおよび前記フレームと連通する励磁装置カバーと、
前記主ロータシャフトに取り付けられて前記循環流体を前記密閉空間内で循環させる内扇ファンと、
前記励磁装置ロータシャフトに取り付けられて径方向に広がる円板状の支持部材と、
を備え、
前記回転整流器は、前記支持部材に取り付けられて、互いに周方向に間隔をもって配されており、それぞれの前記回転整流器は、整流素子部と、ほぼ直方体形状であって前記主軸に垂直な方向に放熱面が形成された放熱部とを有し、
前記放熱面には、前記励磁装置カバー内の前記循環気体を撹拌する撹拌翼が設けられている、
ことを特徴とするブラシレス回転電機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整流器の発熱に対する外部からの冷却効果が大きい場合は、整流器をコンパクト化できることから、たとえば、整流器の近傍にロータシャフトに取り付けた冷却ファンを設ける方法が知られている(特許文献1)。この場合、ロータシャフトの軸方向に冷却ファンを取り付けるスペースが必要となる。
【0005】
あるいは、整流器の保持リングを軸方向に挟んで、整流器と冷却ファンを相対するように設ける方法が知られている(特許文献2)。この場合、2つの整流器が互いに相対するような構成をとれないため、整流器の設置台数への影響がある。
【0006】
そこで、本発明は、回転整流器を有するブラシレス回転電機において、回転整流器について配置への影響を抑えながら励磁装置の冷却性能を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明に係るブラシレス回転電機は、主軸のまわりに回転可能に軸支され主軸方向に延びた主ロータシャフトと、その主ロータシャフトの径方向外側に固定されて主軸方向に延びた主回転子鉄心とを有する主回転子と、前記主回転子鉄心の径方向外側に配されて、主軸方向に延びる主固定子鉄心と、その主固定子鉄心に巻回された主固定子コイルとを有する主固定子と、前記主ロータシャフトの主軸方向端部に結合され主軸方向に延びた励磁装置ロータシャフトと、前記励磁装置ロータシャフトとともに回転する
複数の回転整流器と、前記励磁装置ロータシャフトとともに回転する励磁機回転子および前記励磁機回転子に対向するように前記励磁機回転子の径方向外側に配されて固定支持される励磁機固定子を有する励磁機とを具備する励磁装置と、前記主回転子鉄心および前記主固定子を収納するフレームと、前記フレーム内の前記主固定子および前記主回転子鉄心を冷却する循環気体を管外被冷却側流体とし外部からの外部空気を管内冷却側流体として熱交換する冷却管を有する冷却器と、前記フレームの上部に取り付けられて前記フレームとともに密閉空間を構成し、前記冷却器を内包して、前記フレーム内から流入するための冷却器入口開口と、前記フレーム内に流出するための冷却器出口開口とによって前記フレームと連通する冷却器カバーと、前記励磁装置を内包し、前記冷却器カバーおよび前記フレームと連通する励磁装置カバーと、前記主ロータシャフトに取り付けられて前記循環流体を前記密閉空間内で循環させる内扇ファンと、
前記励磁装置ロータシャフトに取り付けられて径方向に広がる円板状の支持部材と、を備え、前記回転整流器
は、前記支持部材に取り付けられて、互いに周方向に間隔をもって配されており、それぞれの前記回転整流器は、整流素子部と、ほぼ直方体形状であって前記主軸に垂直な方向に放熱面が形成された放熱部とを有し、前記放熱面には、前記励磁装置カバー内の前記循環気体を撹拌する撹拌翼が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転整流器を有するブラシレス回転電機において、回転整流器について配置への影響を抑えながら励磁装置の冷却性能を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るブラシレス回転電機について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る回転電機の横断面図である。ブラシレス回転電機200は、主回転子10、主固定子20、連結側軸受41、励磁機側軸受42、冷却器61を有する。主回転子10は、主ロータシャフト11と、主ロータシャフト11の径方向に設けられた主回転子鉄心12を有する。主ロータシャフト11は、軸方向に水平に延びて、連結側軸受41および励磁機側軸受42によってそれぞれ回転可能に軸支されている。
【0012】
主回転子鉄心12は、強磁性体製で中央に開口を有する円筒状の一体構造である。なお、円板状の鋼板が軸方向に積層された積層構造であってもよい。主回転子鉄心12には図示しない界磁コイルが設けられている。主ロータシャフト11には内扇ファン15a、15bが取り付けられている。
【0013】
主固定子20は、主回転子10の径方向外側に設けられて、軸方向に延びた円筒状である。主固定子20は、主固定子鉄心21と主固定子コイル22を有する。主固定子鉄心21は、強磁性体製で中央に開口を有する円板状の鋼板が軸方向に積層された積層構造である。主回転子鉄心12の径方向外側に対向する主固定子鉄心21の内側には周方向に互いに間隔をおいて軸方向に延びた図示しないスロットが形成されている。それぞれのスロット内および主固定子鉄心21の軸方向の両外側には主固定子コイル22が設けられている。
【0014】
連結側軸受41は連結側軸受ブラケット52に固定支持されており、励磁機側軸受42は励磁機側軸受ブラケット53に固定支持されている。
【0015】
主回転子鉄心12および主固定子20は、フレーム51、連結側軸受ブラケット52および励磁機側軸受ブラケット53により形成された空間内に収納されている。また、フレーム51の上部には、冷却器カバー62が設けられている。冷却器カバー62は、冷却器61を収納している。
【0016】
フレーム51と冷却器カバー62とは、冷却器入口開口51a、冷却器出口開口51b、51cによって連通している。フレーム51内には円形の開口が形成された仕切り板51d、51fが設けられている。仕切り板51dは主固定子鉄心21の連結側軸受41方向の外側に設けられている。仕切り板51fは主固定子鉄心21の励磁機側軸受42方向の外側に設けられている。
【0017】
主ロータシャフト11の励磁機側軸受42によって支持されている部分の延長部分には、励磁装置ロータシャフト11aが接続されている。なお、本実施形態では励磁装置ロータシャフト11aが主ロータシャフト11と別の物である場合を示しているが、主ロータシャフト11と励磁装置ロータシャフト11aとが一体で、主ロータシャフト11の延長部分が励磁装置ロータシャフト11aを形成することでもよい。
【0018】
励磁装置100は、励磁機120および回転整流器110を有する。励磁機120は、励磁機回転子コイル121a(
図2)を有する励磁機回転子121、および励磁機固定子122を有する。回転整流器110は、励磁装置ロータシャフト11aに取り付けられ、励磁装置ロータシャフト11aとともに主軸周りに回転する。
【0019】
励磁機固定子122は、励磁機回転子121の半径方向外側に励磁機回転子121に対向するように設けられ、環状であり、外部より静止固定支持されている。励磁機固定子122には図示しない電源から直流電力が供給される。なお、励磁機固定子122は、コイルによる電磁石には限定されない。たとえば、ブラシレス回転電機200の界磁電流すなわち主回転子10のコイルに流れる電流の制御が不要な場合は、永久磁石の場合であってもよい。
【0020】
図2は、励磁装置100の回路図である。励磁機固定子122による直流の界磁の内側で、励磁機回転子121が主軸周りに回転すると、励磁機回転子121の励磁機回転子コイル121aに交流の誘導起電力が発生する。励磁機回転子コイル121aに発生する交流電力は、回転整流器110によって直流電力に変換され、同じく主回転軸周りを回転する主回転子鉄心12に設けられた界磁コイル(図示せず)に供給される。この界磁によって、主固定子コイル22すなわち電機子巻線に誘導起電力が発生する。
【0021】
図1に示すように、励磁機120は、励磁装置カバー63内に収納されている。励磁装置カバー63と冷却器カバー62間には、励磁装置カバー63と冷却器カバー62を連通する励磁装置入口ダクト64が設けられている。また、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット53間には、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット53を連通する励磁装置出口ダクト65が設けられている。
【0022】
フレーム51、冷却器カバー62、および励磁装置カバー63は、密閉空間70を形成する。密閉空間70は、フレーム中央部71、冷却器カバー部72、ファン入口部73、74、励磁装置カバー部75を有する。フレーム中央部71は、仕切り板51dおよび仕切り板51fに挟まれた主回転子鉄心12および主固定子20が設けられている領域である。ファン入口部73は、内扇ファン15aおよび仕切り板51dと連結側軸受41間の部分である。フレーム入口部74は、励磁機側軸受42と内扇ファン15bおよび仕切り板51f間の部分である。
【0023】
図3は、
図1のIII−III線矢視の左半部の縦断面図である。
図4は、
図3のIV−IV線矢視縦断面図である。励磁装置ロータシャフト11aには、保持リングともよばれる支持部材115が取り付けられている。支持部材115は、中央に貫通孔が形成され主軸に垂直な方向に広がり円板状である。支持部材115には、周方向に互いに間隔をあけて支持部材開口115aが形成されている。
【0024】
支持部材115には、複数の回転整流器110が、周方向に互いに間隔をあけて、設けられている。それぞれの回転整流器110は、整流素子部111、放熱部112、連結部113、および締結部114を有する。それぞれ、2つの回転整流器110が、支持部材115を挟んで主軸方向に配されている。放熱部112は、回転整流器110において最も径方向外側に配され、支持部材115を主軸方向に貫通している。それぞれ2つの回転整流器110は、同一の放熱部112を共有し、整流素子部111は支持部材115のそれぞれの側で放熱部112に接続されている。
【0025】
放熱部112の径方向内側の支持部材開口115aに対向する位置には整流素子部111が配されている。整流素子部111で生じた熱は、放熱部112に伝わり放熱部112の表面から冷却用気体に伝達され放散される。回転整流器110において最も径方向内側に締結部114が配され、締結部114と整流素子部111間を連結部113が連結している。
【0026】
放熱部112は、平面部分を有する。それぞれの放熱部112の平面部分には、撹拌翼118が取り付けられている。撹拌翼118は、径方向に対して傾きを以て取り付けられている。傾きの方向は、支持部材115の回転方向に対して、先端に行くほど位相が遅れるような関係である。
【0027】
以上のように構成された本実施形態においては、ブラシレス回転電機200が運転中は、主ロータシャフト11が回転する。この結果、内扇ファン15a、15bが回転し、密閉空間70内の冷却用気体を駆動する。冷却用気体は、密閉空間70内の各部分を循環する。すなわち、フレーム中央部71から冷却器入口開口51aを経て冷却器カバー部72に流入する。冷却器カバー部72内の冷却器61において冷却された後、一部は、冷却器出口開口51bを経由してファン入口部73に流入し、さらにフレーム中央部71に流入する。また残りは、冷却器出口開口51cを経由してファン入口部74に流入し、さらにフレーム中央部71に流入する。
【0028】
また、冷却器カバー部72からファン入口部74への流路に並行して、励磁装置カバー部75を経由する流路が存在する。すなわち、冷却器カバー部72内の冷却器61において冷却された後、励磁装置入口ダクト64を通過して励磁装置カバー部75に流入し、さらに、励磁装置出口ダクト65を経由して、ファン入口部74に流入する。
【0029】
励磁装置カバー部75の冷却用気体は、励磁装置100を冷却する。励磁装置カバー部75への励磁装置入口ダクト64の出口すなわち励磁装置入口開口64aが設けられている位置と、励磁装置カバー部75から励磁装置出口ダクト65の入口すなわち励磁装置出口開口65aが設けられている位置とは、
図1では、比較的近接した状態で示されている。できれば、励磁装置入口開口64aと励磁装置出口開口65aとは互いに励磁装置100を挟んで、たとえば反対側にあることが望ましい。すなわち、励磁装置カバー部75に流入した冷却用気体は全量が励磁装置100の冷却に寄与することが望ましい。
【0030】
しかしながら、配置上の制限等により、励磁装置入口開口64aが設けられている位置と励磁装置出口開口65aが設けられている位置とが、必ずしも互いに反対側にあるとは限らない。また、反対側にあっても、通常は、必ずしも励磁器カバー部75を通過する冷却用気体の全量が、励磁装置カバー部75内の励磁装置100の冷却に寄与するわけでもない。
【0031】
一方、本実施形態においては、回転整流器110の放熱部112に撹拌翼118が設けられていることから、励磁装置カバー部75内の冷却用気体は、撹拌される。この結果、励磁装置カバー部75内の冷却用気体の温度が均一化され、回転整流器110など部分的に高温となる部分の温度が低下する。
【0032】
また、撹拌翼118の取り付け角度と回転方向との関係から、冷却用気体は、励磁装置ロータシャフト11aからみて径方向外側に駆動されるため、回転整流器110まわりでは径方向の流れが生ずる。すなわち、励磁装置100の周囲の冷却用気体の流速が大きくなり、励磁装置100における放熱部112その他の外表面での熱伝達率が上昇する。この結果、励磁装置100の冷却効果が促進される。
【0033】
以上のように、本実施形態においては、回転整流器110を有するブラシレス回転電機200において、回転整流器110について配置への影響を抑えながら励磁装置の冷却性能を確保することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態では、撹拌翼118は、回転方向との関係から、冷却用気体が径方向外側に駆動されるような取り付け角度とする場合を示したが、これに限定されない。逆に径方向内側でもよい。あるいは、駆動方向に主軸方向の成分があるような撹拌翼118でも、励磁装置カバー部75内撹拌効果が得られる。
【0035】
さらには、励磁装置カバー部75内の冷却用気体の通過をさらに駆動するように撹拌翼118の方向と形状を決めてもよい。すなわち、
図1において回転整流器110が径方向に冷却用気体を駆動することにより、冷却用気体を励磁装置出口開口65aに押し込むことによって、励磁装置出口開口65aからの冷却用気体の流出を加速する効果がある。この効果を最大限高めるように撹拌翼118の方向と形状を決めることが望ましい。
【0036】
さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0037】
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。