特許第6054355号(P6054355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6054355JAK阻害剤および関連中間化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054355
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】JAK阻害剤および関連中間化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20161219BHJP
   C07B 55/00 20060101ALI20161219BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   C07D487/04 140
   C07B55/00 A
   !C07B61/00 300
【請求項の数】17
【全頁数】216
(21)【出願番号】特願2014-230998(P2014-230998)
(22)【出願日】2014年11月13日
(62)【分割の表示】特願2011-546324(P2011-546324)の分割
【原出願日】2010年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-91805(P2015-91805A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2014年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/144,991
(32)【優先日】2009年1月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515311132
【氏名又は名称】インサイト・ホールディングス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE HOLDINGS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジアチェン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】リュー・ピンリ
(72)【発明者】
【氏名】リン・キヤン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ダブリュー・メトカーフ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・メロニ
(72)【発明者】
【氏名】パン・ヨンチュン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・シア
(72)【発明者】
【氏名】メイ・リ
(72)【発明者】
【氏名】タイ−ユエン・ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ディ・ロジャース
(72)【発明者】
【氏名】ハイシェン・ワン
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/070514(WO,A1)
【文献】 特表2000−504684(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/103280(WO,A1)
【文献】 特開2004−143053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D487/00−491/22
C07B 55/00
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、
(a)式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式IV:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成するのに十分な条件下で、第一の塩基の存在下で、処理すること;および
(b)第二の塩基の存在下で、式IVの化合物を式D−1
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させること
を包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される)。
【請求項2】
前記第一の塩基が炭酸セシウムである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第二の塩基が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
式Ia:
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を用いて、式Iaの化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、塩基の存在下で、処理することを包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される)。
【請求項5】
前記塩基がカリウムt−ブトキシドである請求項4記載の方法。
【請求項6】
式Ia:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物、式Iaの化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通し、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーがエナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集することによって調製されることをさらに包含する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
【請求項7】
前記移動相がイソプロパノールおよびヘキサンを含み、前記イソプロパノールが25〜10容量%の量で存在する請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記クロマトグラフィーユニットが8つのカラムまたはキラルカラムユニットの1組を装備した擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーユニットであり、各カラムがキラル固定相を詰め込まれる請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
がシクロペンチルである請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
脱保護条件下で式Iaの前記化合物を反応させて、式III:
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することをさらに包含する請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
【請求項12】
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである請求項11記載の方法。
【請求項13】
がシクロペンチルである請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
式IIIの前記化合物が(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである請求項11または12記載の方法。
【請求項15】
式IIIの化合物をリン酸と反応させて式IIIの前記化合物のリン酸塩を形成することをさらに包含する請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
式III’:
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式I’’の化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、アセトニトリル中の炭酸セシウムの存在下で、式I’’:
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1’:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理すること;
(b)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(c)式I’’の前記化合物をテトラフルオロホウ酸リチウムと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素である)。
【請求項17】
式III’:
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式I’’の化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、アセトニトリル中の炭酸セシウムの存在下で、式I’’:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰で含まれる組成物を、式D−1’:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理すること;
(b)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(c)式I’’の前記化合物をボロントリフルオリドジエチルエーテレートと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キラル置換ピラゾリルピロロ[2,3−d]ピリミジンおよび関連合成中間化合物の製造方法に関する。キラル置換ピラゾリルピロロ[2,3−d]ピリミジンは、炎症性疾患、骨髄増殖性障害および他の疾患の治療のためのヤヌスキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ(JAK)の阻害剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼ(PK)は、細胞の増殖、生存および分化、器官形成および形態形成、新血管形成、組織の修復および再生などを含めた多様な、重要な生物学的プロセスを調節する酵素の一群である。タンパク質キナーゼは、タンパク質(または基質)のリン酸化を触媒し、それにより種々の生物学的状況における基質の細胞性活性を調整することによって、それらの生理学的機能を発揮する。正常組織/器官における機能のほかに、多数のタンパク質キナーゼは、ヒト疾患、例えば癌の宿主においても、より特殊化された役割を果たす。タンパク質キナーゼのサブセット(発癌性タンパク質キナーゼとも呼ばれる)は、調節不全にされた場合、腫瘍形成および増殖を引き起こし、さらに、腫瘍の保持および進行の一因となる(非特許文献1)。今までのところ、発癌性タンパク質キナーゼは、癌介入および薬剤開発のためのタンパク質標的の最大且つ最も魅力的な群の1つを代表する。
【0003】
タンパク質キナーゼは、受容体型および非受容体型として類別され得る。受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞外部分、膜貫通ドメインおよび細胞内部分を有し、一方、非受容体チロシンキナーゼは、完全に細胞内である。ヤヌスキナーゼファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ(JAK)は、非受容体型のチロシンキナーゼに属し、以下のファミリー成員を包含する:JAK1(ヤヌスキナーゼ−1としても知られている)、JAK2(ヤヌスキナーゼ−2としても知られている)、JAK3(ヤヌスキナーゼ、白血球;JAKL;L−JAKおよびヤヌスキナーゼ−3としても知られている)およびTYK2(タンパク質チロシンキナーゼ2としても知られている)。
【0004】
JAKおよびシグナル伝達および転写活性化因子(STAT)を包含する経路は、広範囲のサイトカインのシグナル伝達に関与する。サイトカインは、事実上すべての細胞型における生物学的応答を刺激する低分子量ポリペプチドまたは糖タンパク質である。一般的に、サイトカイン受容体は固有のチロシンキナーゼ活性を有さず、したがって、リン酸化カスケードを伝えるために受容体関連キナーゼを要する。JAKは、この機能を満たす。サイトカインはそれらの受容体と結合して、受容体二量体化を生じ、これにより、JAKが互いに、ならびにサイトカイン受容体内の特定のチロシンモチーフをリン酸化できる。これらのホスホチロシンモチーフを認識するSTATは受容体に動員され、次いで、それ自体、JAK依存性チロシンリン酸化事象により活性化される。活性化時に、STATは受容体から解離し、二量体化し、核に転位して、特定のDNA部位に結合し、転写を変更する(非特許文献2)。
【0005】
JAKファミリーは、免疫応答に関与する細胞の増殖および機能のサイトカイン依存性調節において一役を果たす。JAK/STAT経路、特にJAKファミリーの全4つの成員は、喘息反応、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、および下気道のその他の関連炎症性疾患の病因において一役を果たすと考えられる。さらに、JAKを介してシグナル伝達する多数のサイトカインが、古典的アレルギー反応であっても、そうでなくても、上気道の炎症性疾患または症状、例えば鼻および副鼻腔に影響を及ぼすもの(例えば、鼻炎、副鼻腔炎)と結び付けられている。JAK/STAT経路は、眼の炎症性疾患/症状、例えば、虹彩炎、ブドウ膜炎、強膜炎、結膜炎、ならびに慢性アレルギー反応(これらに限定されない)において一役を果たすことにも関連づけられている。したがって、JAKキナーゼは、これらの疾患の治療的処置において有益な役割を有し得る。
【0006】
JAKキナーゼのレベルでのシグナル伝達の遮断は、ヒト癌の治療を開発するために有望である。JAKキナーゼの抑制は、皮膚免疫障害、例えば乾癬、ならびに皮膚感作に罹患している患者において治療的利益を有することも想像される。したがって、ヤヌスキナーゼまたは関連キナーゼの阻害剤が広範に捜し求められ、そしていくつかの出版物が、有効な化合物クラスを報告している。例えば、(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルを含むある種のJAK阻害剤が、特許文献1(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)で報告されている。
【0007】
ヤヌスキナーゼのようなキナーゼの抑制に関連した障害の治療のための化合物に対する需要増大にかんがみて、キラル置換ピラゾリルピロロ[2,3−d]ピリミジンおよびそれに関連した中間体のような阻害剤への新規の且つより効率的な経路が必要とされる。本明細書中に記載されるプロセスおよび化合物は、これらのおよびその他の必要性を満たすのに役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開2007/0135461号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Blume-Jensen P et al, Nature 2001, 411(6835): 355-365
【非特許文献2】Scott, M.J., C.J. Godshall, et al. (2002). ”Jaks, STATs, Cytokines, and Sepsis.” Clin Diagn Lab Immunol 9(6): 1153-9
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、とりわけ、式I:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を含む組成物の製造方法であって、式II:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化触媒の存在下で水素ガスと反応させることを包含する方法を提供し、ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NH、−C(=O)O−Rおよびシアノから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0011】
本発明は、さらに、式I:
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、式II:
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、Lを有するルテニウムまたはロジウム触媒(ここで、Lはキラルホスフィンリガンドである)の存在下で水素ガスと反応させることを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NH、−C(=O)O−Rおよびシアノから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0012】
本発明は、さらに、式Iの化合物を式Icの化合物に変換するための方法であって、式I:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を金属水酸化物と反応させて、式Ic:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)O−Rであり;そして
は、保護基である。
【0013】
本発明は、式Icの化合物を式Ibの化合物に変換するための方法であって、式Ic:
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、カップリング試薬の存在下でアンモニアまたは水酸化アンモニウムと反応させて、式Ib:
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含する方法も提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0014】
本発明は、式Ibの化合物を式Iaの化合物に変換するための方法であって、式Ib:
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、脱水条件下で反応させて、式Ia:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することを包含する方法も提供し、
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0015】
本発明は、式Id:
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、キラルアミンおよび有機酸の存在下で、式IV:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式V:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させることを包含する方法を提供し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0016】
本発明は、式VI:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、キラルアミンおよび有機酸の存在下で、式V:
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式VII:
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させることを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、ハロゲンである。
【0017】
本発明は、さらに、式VIの化合物を式IIIの化合物に変換する方法であって、式VI:
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、アンモニアまたは水酸化アンモニウムおよびヨウ素で処理して、式VIII:
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基であり;
は、ハロゲンである。
【0018】
本発明は、式VIIIの化合物を式IXの化合物に変換する方法であって、式VIII:
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式B−1:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式IX:
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することを包含する方法も提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
はハロであり;
およびRは、各々独立して、HおよびC1−6アルキルから選択されるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0019】
本発明は、式IXの化合物を式Iaの化合物に変換する方法であって、パラジウム触媒および塩基の存在下で、式IX:
【化22】
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の化合物を、式X:
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式Ia:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することを包含する方法も提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、保護基であり;
およびRは、各々独立して、HおよびC1−6アルキルから選択されるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明は、式IX:
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0021】
本発明は、さらに、式IX:
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、式IXの化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通すこと、ならびに式IXの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集することを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであ;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0022】
本発明は、式Ia:
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、
(a)式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1:
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を用いて、式IV:
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成するのに十分な条件下で、第一塩基の存在下で、処理することと;
(b)第二の塩基の存在下で、式IVの化合物を式D−1の化合物と反応させること
を包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される第二の塩基。
【0023】
本発明は、さらに、式Ia:
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を用いて、式Iaの化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、塩基の存在下で、処理することを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される。
【0024】
本発明は、さらに、式Ia:
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰率となって含まれる組成物の製造方法であって、式Iaの化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通すこと、ならびに式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集することを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0025】
本発明は、式Ia:
【化33】
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の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式Iaの化合物のラセミ体を含む組成物を、溶媒の存在下で、キラル酸と反応させて、式Iaの化合物の塩を形成すること;
(b)式Iaの化合物(R)−または(S)−エナンチオマーのキラル塩が、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を分離すること;および
(c)前記キラル塩を塩基で処理して、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0026】
本発明は、さらに、式Iaの化合物を式IIIの化合物に変換するための方法であって、脱保護条件下で、式Ia:
【化34】
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の化合物を反応させて、式III:
【化35】
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の化合物を形成することを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0027】
本発明は、さらに、式XII:
【化36】
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の化合物の製造方法であって、パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式X:
【化37】
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の化合物を、式XIII:
【化38】
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の化合物と反応させて、式XIIの化合物を形成することを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換され;
およびPは、各々独立して、保護基である。
【0028】
本発明は、さらに、式XVI:
【化39】
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の化合物の製造方法であって、
(a)式XVIII:
【化40】
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の化合物を、約1当量以上のC1−6アルキル・グリニャール試薬またはC1−6アルキルリチウム試薬と反応させた後、約1当量以上の式XVII:
【化41】
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の化合物で処理することと;
(b)任意に、ステップ(a)の生成物を再保護して、式XVIの化合物を生成すること
を包含する方法を提供し、
ここで式中、Pは、保護基であり;
は、ハロゲンであり;
は、C1−6アルキルであり;
mは、1および2から選択される整数である。
【0029】
本発明は、式XIa:
【化42】
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の化合物の製造方法であって、式F−1:
【化43】
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の化合物を、式XIaの化合物を形成するのに十分な条件下で、酸と反応させることを包含する方法も提供する。
【0030】
本発明は、さらに、式I:
【化44】
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の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NH、−C(=O)O−R、−C(=O)OHおよび−C(=O)Hから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0031】
本発明は、式II:
【化45】
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の化合物も提供し、
ここで式中、
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NHおよび−C(=O)O−Rから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0032】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明で記述される。本発明の他の特徴、目的および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書中の種々の箇所で、本発明の化合物の置換物が、群でまたは範囲で開示される。具体的には、本発明は、このような群および範囲の成員の各々および全ての個々の亜組合せを包含するよう意図される。例えば、「C1−6アルキル」という用語は、具体的には、メチル、エチル、Cアルキル、Cアルキル、CアルキルおよびCアルキルを独立して開示するよう意図される。
【0034】
さらに、分かり易くするために別々の実施形態の文脈で説明される本発明のある特徴は、組合せて、単一実施形態の形態で提供され得る、と理解される。逆に、簡潔にするために単一実施形態の文脈で説明される本発明の種々の特徴は、別個に、または任意の適切なサブ組合せでも提供され得る。
【0035】
「n員」(nは整数である)という用語は、典型的には、部分における環形成原子の数を説明し、環形成原子の数はnである。例えば、ピペリジニルは、6員ヘテロシクロアルキル環の一例であり、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレンは、10員シクロアルキル基の一例である。
【0036】
可変基が1回より多く現れる本発明の化合物に関して、各可変基は、可変基を定義する基から独立して選択される異なる部分であり得る。例えば、同一化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造が記載される場合、2つのR基は、Rに関して定義される基から独立して選択される異なる部分を表し得る。別の例では、任意の複数の置換基が以下の:
【化46】
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の形態で設計される場合には、置換基Rは環上にp回生じ得、Rは、各発生時に異なる部分であり得る、と理解される。各R基は、環原子と結合される任意の水素原子、例えば(CH水素原子の一方または両方に取って代わり得る、と理解される。さらに、上記の例において、例えば、QがCH、NH等であるなど、可変基Qが水素を含むと定義される場合、任意の浮遊置換基、例えば上記の例におけるRは、Q可変基の水素、ならびに環の任意の他の非可変基成分の水素に取って代わり得る。
【0037】
可変基が1回より多く現れる本発明の化合物に関して、各可変基は、可変基を定義する基から独立して選択される異なる部分であり得る。例えば、同一化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造が記載される場合、2つのR基は、Rに関して定義される基から独立して選択される異なる部分を表し得る。
【0038】
本明細書中で用いる場合、「任意に置換される」という語句は、置換されないかまたは置換されることを意味する。本明細書中で用いる場合、「置換される」という用語は、水素原子が除去され、一置換基に取って代わられる、ということを意味する。本明細書中で用いる場合、「オキソで置換される」という語句は、2個の水素原子が炭素原子から除去されて、炭素原子との二重結合により結合される酸素に取って代わられる、ということを意味する。所定原子での置換は、結合価により限定される、と理解される。
【0039】
本明細書中で用いる場合、単独で、または他の用語と組合せて用いられる「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖であり得る飽和炭化水素基を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜12、1〜8、または1〜6個の炭素原子を含有する。アルキル部分の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル等の化学基;2−メチル−1−ブチル、n−ペンチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル等の高度同族体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル部分は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルまたは2,4,4−トリメチルペンチルである。いくつかの実施形態では、アルキル部分はメチルである。
【0040】
本明細書中で用いる場合、「アルキルカルボキサミド」または「アルキルアミノカルボニル」という用語は、式−C(O)−NH(アルキル)の基を指す。いくつかの実施形態では、各アルキル基は、1〜6個の炭素を有する。
【0041】
本明細書中で用いる場合、単独で、または他の用語と組合せて用いられる「アルケニル」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、アルケニル部分は、2〜10または2〜6個の炭素原子を含有する。アルケニル基の例としては、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、sec‐ブテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「アルキニル」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イル等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキニル部分は、2〜10または2〜6個の炭素原子を含有する。
【0043】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「アルコキシ」は、式−O−アルキルの基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ等が挙げられる。いくつかの実施形態では、各アルキル基は1〜6個の炭素を有する。
【0044】
本明細書中で用いる場合、「アルコキシカルボニル」という用語は、式−C(O)O−アルキルの基を指す。いくつかの実施形態では、各アルキル基は1〜6個の炭素を有する。
【0045】
本明細書中で用いる場合、「トリ−Cn−mアルキルシリル」という用語は、式−Si(アルキル)の基を指し、式中、各アルキル基はn〜m個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、各アルキル基は1〜6個の炭素を有する。
【0046】
本明細書中で用いる場合、「トリ−Cn−mアルキルシリルオキシ」という用語は、式−OSi(アルキル)の基を指し、式中、各アルキル基はn〜m個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、各アルキル基は1〜6個の炭素を有する。
【0047】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「アリール」という用語は、単環式または多環式(例えば、2、3または4つの縮合環を有する)芳香族炭化水素部分、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル等(これらに限定されない)を指す。いくつかの実施形態では、アリール部分は、シクロアルキル環とさらに縮合され得る。いくつかの実施形態では、アリール基は6〜20個の炭素原子、約6〜10個の炭素原子、または約6〜8個の炭素原子を有する。
【0048】
本明細書中で用いる場合、「アリールアミノ」という用語は、式−NH(アリール)の基を指す。
【0049】
本明細書中で用いる場合、「カルボキシ」という用語は、式−C(O)OHの基を指す。
【0050】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「シクロアルキル」という用語は、非芳香族環状炭化水素部分を指し、これは、任意に、1つ以上のアルケニレンまたはアルキニレン基を環構造の一部として含有し得る。シクロアルキル基は、単環式または多環式(例えば、2、3または4つの縮合または共有結合環を有する)環系を含み得る。シクロアルキル基の1つ以上の環形成炭素原子は酸化されて、カルボニル結合を形成することができる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチル等が挙げられる。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基はシクロペンチルである。
【0051】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「ハロアルキル」という用語は、同一であることも、異なることもあり得る1個〜2n+1個のハロゲン原子を有するアルキル基を指し、「n」はアルキル基中の炭素原子の数である。
【0052】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「フッ素化アルキル」という用語は、同一であることも、異なることもあり得る1個〜2n+1個のフッ素原子を有するアルキル基を指し、「n」はアルキル基中の炭素原子の数である。いくつかの実施形態では、フッ素化アルキル基はトリフルオロメチルである。
【0053】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0054】
本明細書中で用いる場合、単独でまたは他の用語と組合せて用いられる「ヘテロアリール」、「ヘテロアリール環」または「ヘテロアリール基」という用語は、窒素、イオウおよび酸素から選択される1個以上のヘテロ原子成員を有する単環式または多環式(例えば2、3または4つの縮合環を有する)芳香族炭化水素部分を指す。いくつかの実施形態では、へテロアリール環または基は、N、OまたはSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、へテロアリール環または基は、1または2つの環を有する。ヘテロアリール基が1個より多いヘテロ原子環成員を含有する場合、ヘテロ原子は、同一であるかまたは異なり得る。いくつかの実施形態では、へテロアリール部分は、シクロアルキルまたはへテロシクロアルキル環とさらに縮合され得る。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニル等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、へテロアリール基は1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態では、約3〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、へテロアリール基は、3〜約14個、4〜約14、3〜約7または5〜6個の環形成原子を含有する。いくつかの実施形態では、へテロアリール基は、1〜約4個、1〜約3または1〜2個のヘテロ原子を有する。連結へテロアリール基は、本明細書中では「ヘテロアリーレン」として言及される。
【0055】
本明細書中で用いる場合、「ヘテロアリールアミノ」という用語は、式−NH(ヘテロアリール)の基を指す。
【0056】
本明細書中で用いる場合、「ヘテロシクロアルキル」は、環形成炭素原子のうちの1つ以上がO、NまたはS原子のようなヘテロ原子に置き換えられる非芳香族複素環、例えば環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を指す。ヘテロシクロアルキル基は、単環式および多環式(例えば、2、3または4つの縮合環を有する)系、ならびにスピロ環を含む。「ヘテロシクロアルキル」基の例としては、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、1,3−ベンゾジオキソール、ベンゾ−1,4−ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル等が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドにより任意に置換され得る。非芳香族複素環式環と縮合される(すなわち、それと共通に一結合を有する)1つ以上の芳香族環を有する部分、例えばフタルイミジル、ナフタルイミジルおよび複素環化合物のベンゾ誘導体も、ヘテロシクロアルキルの定義に含まれる。ヘテロシクロアルキル基は、環形成炭素原子または環形成ヘテロ原子を介して結合され得る。縮合芳香族環を含むヘテロシクロアルキル基は、任意の環形成原子、例えば縮合芳香族環の環形成原子を介して結合され得る。いくつかの実施形態では、へテロシクロアルキル基は1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態では、約3〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、へテロシクロアルキル基は、3〜約14、4〜約14、3〜約7、または5〜6個の環形成原子を含有する。いくつかの実施形態では、へテロシクロアルキル基は、1〜約4、1〜約3、または1〜2個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、へテロシクロアルキル基は、0〜3つの二重または三重結合を含有する。いくつかの実施形態では、へテロシクロアルキル基は、0〜2つの二重または三重結合を含有する。連結へテロシクロアルキル基は、本明細書中では、「ヘテロシクロアルキレン」として言及される。
【0057】
本明細書中で用いる場合、「オキソ」という用語は、式=Oの基を指す。
【0058】
本明細書中で用いる場合、「トリフラート基」という用語は、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基を指す。
【0059】
本明細書中で用いる場合、「トシラート基」という用語は、p−トリルスルホニルオキシ基を指す。
【0060】
本明細書中で記載されるプロセスは、当該技術分野で既知の任意の適切な方法に従ってモニタリングされ得る。例えば生成物形成は、分光学的手段、例えば核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外分光法、または分光測光法(例えばUV紫外可視)により;あるいはクロマトグラフィー、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)または他の関連技法により、モニタリングされ得る。
【0061】
本明細書中で用いる場合、「反応する」という用語は、当該技術分野で知られているように用いられ、そして一般的に分子レベルでの相互作用が化学的または物理的変換を可能にするような方法で、化学的試薬を結びつけることを意味する。いくつかの実施形態では、反応することは2つの試薬を伴い、この場合、第一試薬と関連して1当量以上の第二試薬が用いられる。本明細書中に記載されるプロセスの反応ステップは、特定される生成物を調製するのに適した時間および条件下で実行され得る。
【0062】
本明細書中で用いる場合、「キラルクロマトグラフィー」または「キラルクロマトグラフィーカラム」または「キラルカラム」という用語は、移動相中に溶解されるエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物を分離するためのクロマトグラフィー装置または方法に関する。「分取」という用語が上記の用語のいずれかと結びつけて用いられる場合、これは、当該装置または方法が、関連量の所望のエナンチオマーまたはジアステレオマーを単離するのに十分な規模を有することを意味する。キラルクロマトグラフィーに適した分離方法の例としては、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)(これらはともに、バッチ方式および連続方式で実行される)、例えばSMB(擬似移動床)、ならびに関連技法が挙げられる。本発明のプロセスは、ラセミ化合物を分離するための任意のクロマトグラフィー法を利用して、光学的に純粋な所望のエナンチオマーを生成し得る。このような方法としては、伝統的な単一カラムバッチクロマトグラフィー、連続クロマトグラフィー、または定常状態逐次注入法(例えば、米国特許第5,630,943号およびPCT公開番号WO98/51391)が挙げられるが、これらに限定されない。連続クロマトグラフィー法としては、マルチカラム連続クロマトグラフィー法、例えばSMBのような向流分配クロマトグラフィー法(例えば米国特許第2,985,589号、第4,402,832号および第4,498,991号に記載)、または「バリコール(商標)」法として知られている非定常状態連続クロマトグラフィー法(例えば米国特許第6,136,198号、第6,375,839号、第6,413,419号および第6,712,973号)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
エナンチオマーの分離において、これらの方法は、キラル固定相の使用を伴う。非キラル固定相は、ジアステレオマーの分離のために用いられ得る。「固定相」という用語は、相互作用物質が被覆されるかまたは固定される適切な不活性担体物質に関する。
【0064】
本明細書中で用いる場合、「キラル固定相」という用語は、相互作用物質が、例えば被覆することにより、化学的に結合することにより、または架橋を介した不溶化により、不活性担体物質上に固定される富エナンチオマー分割剤である固定相に関する。適切な不活性担体物質は、好ましくはマクロ多孔性、例えば架橋ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、アルミナ、珪藻土、石英、カオリン、酸化マグネシウムまたは二酸化チタンである。いくつかの実施形態では、不活性担体物質はシリカゲルを含む。充填物質の平均直径は、クロマトグラフィー系中を流れる溶媒の体積流量によって変わる。いくつかの実施形態では、それは1〜300μm、2〜100μm、5〜75μmまたは10〜30μmである。充填物質の平均粒子直径の適切な選択は、クロマトグラフィー工程における圧力低下ならびに充填物質の効率を調整するのに役立つ。富エナンチオマー分割剤を含有する固定相の例は、例えば合成または天然キラルポリマーを基礎にした相、大環状相、リガンド交換相、およびパークル型相である。このようなキラル固定相は既知であり、市販されている。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、少なくとも1つの糖誘導体で誘導体化され、特に、アミロース系、セルロース系、キトサン、キシラン、カードラン、デキストランおよびイヌラン類の多糖から選択される誘導体化多糖である。ある実施形態では、キラル固定相は、アミロースまたはセルロース系の多糖の一成員である。これらの物質のエステルおよびカルバメートは、特に適している。さらなる実施形態では、キラル固定相は、セルロースフェニルカルバメート誘導体、例えばセルローストリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバメート(「キラルセル(登録商標)OD」または「キラルパック(登録商標)IB」としてDCIL(D)から入手可能)(この場合、カルバメート誘導体はセルロース主鎖と結合される);セルローストリベンゾエート誘導体、例えばセルローストリ4−メチルベンゾエート(「キラルセル(登録商標)OJ」としてDaicelから入手可能);セルローストリシンナメート(「キラルセル(登録商標)OK」としてDaicelから入手可能);アミラーゼフェニルおよびベンジルカルバメート誘導体、例えばアミローストリス[(S)−α−メチルベンジルカルバメート](「キラルパック(登録商標)AS」としてDaicelから入手可能);アミローストリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバメート(「キラルパック(登録商標)AD」または「キラルパック(登録商標)IA」としてDaicelから入手可能)(この場合、カルバメート誘導体はアミロース主鎖と結合される);アミロース3,4−置換フェニルカルバメートまたはアミロース4−置換フェニル−カルバメート;ならびにアミローストリシンナメートから選択される。いくつかの実施形態では、キラル相は、パークル相の一成員である;(S,S)ウェルク−O(登録商標)1および(R,R)ウェルク−O(登録商標)1が好ましい(Regis technologies Inc.から入手可能)。
【0065】
本明細書中で用いる場合、「移動相」という用語は、分離されるべきエナンチオマーの混合物が溶解される溶媒または溶媒の混合物に関する。本発明による分取クロマトグラフィー工程に用いられるべき適切な溶媒は、分析クロマトグラフィーに用いられることが知られている溶媒である。液体クロマトグラフィーでは、通常は非極性、極性のプロトン性または非プロトン性溶媒またはその混合物が用いられる。超臨界クロマトグラフィーでは、好ましくは、二酸化炭素および極性プロトン性溶媒の混合物が用いられる。適切な非極性溶媒は、例えば炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン、n−ヘプタン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンである。適切なプロトン性または非プロトン性溶媒は、例えばアルコール、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、エーテル、例えばメチルtert−ブチルエーテル、エステル、例えばエチルアセテート、ハロゲン化炭化水素およびアセトニトリルである。溶媒中に例えば1%(v/v)未満の水、酸(例えば蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸)または塩基(例えば有機塩基、例えばトリエチルアミン)の付加は、有益な作用を有し得る。
【0066】
液体クロマトグラフィーでは、C〜Cアルコール、またはこれらのアルコールと炭化水素、例えばn−ヘキサンまたはn−ヘプタンとの混合物が用いられ得る。超臨界クロマトグラフィーでは、二酸化炭素と極性プロトン性溶媒、例えばメタノールとの混合物が用いられ得る。最適溶媒(組合せ)は、別の固定相が用いられる場合に見出され得る。
【0067】
本発明の化合物は、本明細書中に開示される化合物の製薬上許容可能な塩も含む。本明細書中で用いる場合、「製薬上許容可能な塩」という用語は、本明細書中に開示される化合物に、製薬上許容可能な酸または塩基を付加することにより形成される塩を指す。本明細書中で用いる場合、「製薬上許容可能な」という語句は、毒物学的見地から製薬的用途に用いるのに許容可能であり、活性成分と不都合に相互作用しない物質を指す。製薬上許容可能な塩、例えば一および二塩としては、有機および無機酸、例えば酢酸、乳酸、クエン酸、桂皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸および類似の既知の許容可能な酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418およびJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)に見出され、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される。
【0068】
化合物の調製は、種々の化学基の保護および脱保護を伴い得る。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学的性質は、例えばGreene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, 4d. Ed., Wiley & Sons, 2007に見出され得、この記載内容は参照により本明細書中で援用される。本明細書中に記載される保護基ならびに形成および切断方法に合わせた調整は、種々の置換基にかんがみて、必要な場合に調整され得る。
【0069】
本明細書中に記載される工程の反応は、有機合成の当業者により容易に選択され得る適切な溶媒中で実行され得る。適切な溶媒は、反応が実行される温度で、例えば溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲であり得る温度で、出発物質(反応体)、中間体または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒または1つより多い溶媒の混合物中で実行され得る。特定の反応ステップに依存して、特定の反応ステップに適した溶媒が選択され得る。いくつかの実施形態では、反応は、試薬のうちの少なくとも1つが液体または気体である場合のように、溶媒の非存在下で実行され得る。
【0070】
適切な溶媒としては、ハロゲン化溶媒、例えば四塩化炭素、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、クロロホルム、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、塩化ブチル、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、2−クロロプロパン、α,α,α−トリフルオロトルエン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、ヘキサフルオロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、その混合物等が挙げられ得る。
【0071】
適切なエーテル溶媒としては、以下のものが挙げられる:ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、t−ブチルメチルエーテル、その混合物等。
【0072】
適切なプロトン性溶媒は、例として水、メタノール、エタノール、2−ニトロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1−、2−または3−ペンタノール、ネオ−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノールまたはグリセロールが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0073】
適切な非プロトン性溶媒は、例としてテトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、エチルホルメート、メチルアセテート、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、エチルアセテート、スルホラン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、ニトロメタン、ニトロベンゼンまたはヘキサメチルホスホルアミドが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0074】
適切な炭化水素溶媒としては、ベンゼン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、トルエン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、m−、o−またはp−キシレン、オクタン、インダン、ノナンまたはナフタレンが挙げられる。
【0075】
超臨界二酸化炭素およびイオン性液体も、溶媒として用いられ得る。
【0076】
本明細書中に記載される工程の反応は、当業者により容易に決定され得る適切な温度で実行され得る。反応温度は、例えば試薬および溶媒(存在する場合)の融点および沸点;反応の熱力学(例えば、激しい発熱反応は、低温で実行される必要がある);ならびに反応の動態(例えば、高活性化エネルギーバリアは、高温を必要とし得る)に依存する。「高温」は、室温(約22℃)より高い温度を指す。
【0077】
本明細書中に記載される工程の反応は、空気中で、または不活性雰囲気下で実行され得る。典型的には、空気と実質的に反応性である試薬または生成物を含有する反応は、当業者に周知である空気感受性合成技法を用いて実行され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、化合物の調製は、例えば酸付加塩のような塩形態の所望の反応または形成の触媒作用に影響を及ぼすための酸または塩基の付加を伴い得る。
【0079】
酸の例は、無機または有機酸であり得る。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸が挙げられる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸、4−ニトロ安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、プロピオール酸、酪酸、2−ブチン酸、ビニル酢酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸およびデカン酸が挙げられる。
【0080】
塩基の例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが挙げられる。強塩基のいくつかの例としては、ヒドロキシド、アルコキシド、金属アミド、金属水素化物、金属ジアルキルアミドおよびアリールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、アルコキシドとしては、メチル、エチルおよびt−ブチルオキシドのリチウム、ナトリウムおよびカリウム塩が挙げられる;金属アミドとしては、ナトリウムアミド、カリウムアミドおよびリチウムアミドが挙げられる;金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化リチウムが挙げられる;そして金属ジアルキルアミドとしては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、トリメチルシリルおよびシクロヘキシル置換アミドのナトリウムおよびカリウム塩が挙げられる。
【0081】
本発明は、本明細書中に記載される化合物の塩形態も包含する。塩(塩形態)の例としては、アミンのような塩基性残基の鉱酸または有機酸塩、カルボン酸のような酸性残基のアルカリまたは有機塩等が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、塩形態は、遊離塩基または酸を、適切な溶媒中または種々の組合せの溶媒中で、化学量論量のまたは過剰量の所望の塩形成無機または有機酸または塩基と反応させることにより、調製され得る。適切な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418に見出され、この記載内容は参照により本明細書中で援用される。本明細書中に記載される工程に従って化合物の調製を実行するに際しては、通常の単離および精製操作、例えば濃縮、濾過、抽出、固相抽出、再結晶化、クロマトグラフィー等を用いて、所望の生成物を単離し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物およびその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離される」とは、化合物が、それが形成されたかまたは検出された環境から、少なくとも部分的にまたは実質的に分離される、ということを意味する。部分的分離は、例えば、本発明の化合物に富む組成物を包含し得る。実質的分離は、本発明の化合物またはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%または少なくとも約99重量%を含有する組成物を包含し得る。化合物またはその塩を単離するための方法は、当該技術分野では常套手段である。
【0083】
工程および中間体
本発明は、とりわけ、JAK阻害剤として有用である式IIIのニトリル化合物およびその中間体の合成工程を提供する。一態様では、当該工程は水素化法である。いくつかの実施形態では、当該工程は、不斉水素化法であって、これは、JAK阻害剤またはその中間体の(R)−または(S)−エナンチオマーのエナンチオマー過剰を生じる。別の態様では、当該工程は不斉アザ−マイケル付加法であって、これは、JAK阻害剤またはその中間体の(R)−または(S)−エナンチオマーのエナンチオマー過剰を生じる:
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0084】
さらなる態様では、本発明は、キラル分離技法またはキラル塩分割により、エナンチオマー過剰の式IIIの化合物を濃化するための工程を提供する。いくつかの実施形態では、これらの工程は、中間体化合物のキラル分離(例えば、キラル分取クロマトグラフィー)またはキラル塩分割と、その後の式IIIの化合物を生成する反応を伴う。いくつかの実施形態では、本発明はさらに、式IIIの化合物を生成するために中間化合物の望ましくないエナンチオマーのラセミ化の工程を提供する。式IIIの化合物は、次に、前に記載された技法によりエナンチオマー過剰の所望のエナンチオマーを得るために分割され得る。
【0085】
さらなる態様において、本発明は、式IIIの化合物を生成するために有用な中間化合物を調製する工程を提供する。別の態様では、本発明は、本明細書中に記載される中間体のいずれかの中間化合物を提供する。さらに別の態様では、本発明は、本明細書中に記載される中間体のうちのいずれかのエナンチオマーにおいて濃化された組成物を提供するが、但し、中間体は少なくとも1つのキラル中心を有する。
【0086】
本明細書中に記載される工程は、Rがシクロペンチル、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される化合物、中間体およびその組成物を調製するための工程を包含する。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルまたはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Rはトリフルオロメチルである。これらの実施形態は、適切な場合、工程のいずれかにおいても本明細書中に記載される中間体または化合物のいずれにも適用し得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、当該工程は、3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである式IIIの化合物、またはその製薬上許容可能な塩を生成するために用いられ得る。いくつかの実施形態では、当該工程は、(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである式IIIの化合物、またはその製薬上許容可能な塩を生成するために用いられ得る。本明細書中に記載される工程は、これらの化合物、特に(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルを調製する工程を包含する、と理解される。
【0088】
中間体のうちのいくつかを調製するための工程は、米国特許公開番号20070135461(2007年6月14日公開)(出願番号11/637,545、2006年12月12日出願);および米国特許出願12/138,082号(2008年6月12日出願)に見出され得、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される。
【0089】
I. 触媒的水素化方法(不斉水素化法を含む)
式IIIの化合物は、式IIの化合物を触媒的水素化して式Iの化合物を生成し、これが次に、官能基変換および/または脱保護ステップを介して式IIIの化合物に変換され得ることにより生成され得る。いくつかの実施形態では、当該工程は式Iの化合物をラセミ化合物として生成するが、一方、より好ましい実施形態では、当該工程は、エナンチオマー過剰の式Iの化合物の(S)−または(R)−エナンチオマーを生じる。当該工程の一ステップは、以下に示すように式IIのα,β−不飽和化合物の水素化を伴う。
【0090】
したがって、一態様において、本発明は、式I:
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を含む組成物の製造方法であって、式II:
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化触媒の存在下で水素ガスと反応させることを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NH、−C(=O)O−Rおよびシアノから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0091】
いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチル、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルまたはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Rはトリフルオロメチルである。
【0092】
いくつかの実施形態では、Rは−C(=O)O−Rである。いくつかの実施形態では、Rは−C(=O)OCHである。いくつかの実施形態では、Rはシアノである。
【0093】
いくつかの実施形態では、RはC1−4アルキルから選択される。いくつかの実施形態では、Rはメチルから選択される。
【0094】
と連結される結合に関する波形記号は、化合物が(E)−または(Z)−立体配座であり得る、ということを示す。いくつかの実施形態では、Rがシアノまたは−C(=O)−NHである場合、式IIの化合物は(Z)異性体であり、Rが−C(=O)O−Rである場合、式IIの化合物は(E)異性体である。いくつかの実施形態では、式IIの化合物は(Z)異性体である。いくつかの実施形態では、式IIの化合物は(E)異性体である。
【0095】
いくつかの実施形態では、Pは−CHOC(=O)C(CH)である。いくつかの実施形態では、Pは−CHOCHCHSi(CHから選択される。適切なP保護基としては、Wuts and Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., John Wiley & Sons: New Jersey, pages 696-887(特にpages 872-887)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で詳しく説明されたアミンのための保護基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、P基のための保護基は、以下で記載される他の工程ステップにおいてP保護基を除去するための条件に対して安定であるものである。いくつかの実施形態では、Pは、室温酸性条件に抵抗性である基である。いくつかの実施形態では、Pは、室温で、約10℃〜約40℃の温度で、約15℃〜約40℃の温度で、または約15℃〜約30℃の温度で、約1〜5N塩酸中で除去されない基である。いくつかの実施形態では、Pは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル(Teoc)、2−(4−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)エトキシカルボニル(Tsc)、t−ブトキシカルボニル(BOC)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、2−アダマンチルカルボニル(2−Adoc)、2,4−ジメチルペント−3−イルオキシカルボニル(Doc)、シクロヘキシルオキシカルボニル(Hoc)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(TcBOC)、ビニル、2−クロロエチル、2−フェニルスルホニルエチル、アリル、ベンジル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、ジフェニル−4−ピリジルメチル、N’,N’−ジメチルヒドラジニル、メトキシメチル、t−ブトキシメチル(Bum)、ベンジルオキシメチル(BOM)、または2−テトラヒドロピラニル(THP)である。いくつかの実施形態では、Pは、トリ(C1−4アルキル)シリル(例えば、トリ(イソプロピル)シリル)である。いくつかの実施形態では、Pは、1,1−ジエトキシメチルである。いくつかの実施形態では、Pは、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)である。いくつかの実施形態では、Pは、N−ピバロイルオキシメチル(POM)である。
【0096】
いくつかの実施形態では、当該工程は、式IIの化合物のラセミ体を含む組成物を生じる。ラセミ体が所望される場合、当該技術分野で既知の任意の水素化触媒が利用され得る。いくつかの実施形態では、水素化触媒はパラジウム炭素である。
【0097】
さらなる実施形態では、当該工程は、式Iの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーがエナンチオマー過剰となって含まれる組成物を生じる。概して、エナンチオマー過剰の式Iの化合物が所望される場合、不斉水素化触媒が利用される。いくつかの実施形態では、水素化触媒は、Lを有するルテニウムまたはロジウム触媒であり、ここで、Lはキラルリガンドである。多数の適切な触媒が、当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、キラルホスフィンリガンドが用いられる。活性触媒系(金属、リガンドおよび添加剤)は、反応中にin situで生成され得るし、または反応前に生成され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、触媒は、先ず、相対的に高い触媒負荷を用いて、触媒的不斉水素化実験を実行することによりスクリーニングされ得る。一旦、触媒系が選択されれば、実験条件、例えば触媒負荷、水素圧、反応溶媒または溶媒系、反応温度および反応時間が、さらに最適化されて、化学的変換およびエナンチオ選択性を改良し得る。いくつかの実施形態では、触媒負荷は、式IIの化合物に基づいて約0.005〜約0.1モル%である。
【0099】
いくつかの実施形態では、特定のキラルリガンドにより、式Iの化合物のどのエナンチオマーが生成されるかが既知である。いくつかの実施形態では、不斉水素化触媒におけるキラルリガンドは、当該工程により式Iの化合物のどのエナンチオマーが生成されるかを確定するためにスクリーニングされ得る。次いで、式Iの化合物の所望のエナンチオマーを提供するために、所望のキラルリガンドが選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、反応前に、以下のステップを含む:
(i)Lを有するルテニウムまたはロジウム触媒の存在下で、式IIの化合物を水素ガスと反応させること;そしてその結果生じた組成物を分析して、(R)−または(S)−エナンチオマーが過剰量で存在するか否かを確定すること(ここで、Lはキラルリガンドである);
(ii)Lを有するルテニウムまたはロジウム触媒の存在下で、式IIの化合物を水素ガスと反応させること;そしてその結果生じた組成物を分析して、(R)−または(S)−エナンチオマーが過剰量で存在するか否かを確定すること(ここで、Lは反対立体化学を有するLと同一のキラルリガンドである);ならびに
(iii)組成物のエナンチオマー過剰に関する所望の立体化学に基づいてLとして用いるためにLまたはLを選択すること。
【0100】
いくつかの実施形態では、水素化触媒は、[Ru(p−シメン)(L)Cl]Cl、Rh(COD)(L)(BF)、Rh(COD)(L)(CFSO)およびRu(L)(CFCOから選択される。いくつかの実施形態では、水素化触媒は、[Ru(L)(L)Cl]Cl、Rh(L)(L)(BF)、Rh(L(L)(CFSO)およびRu(L)(CFCOから選択される。いくつかの実施形態では、Lは、クメンまたはCODである。いくつかの実施形態では、X’はハロゲンである。いくつかの実施形態では、X’はクロロである。いくつかの実施形態では、水素化触媒は、[Rh(COD)]CFSOとキラルホスフィンリガンドの混合物である。いくつかの実施形態では、溶媒は2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)である。いくつかの実施形態では、水素化触媒負荷は、約0.005〜約0.01モル%である;そして式IIの化合物の水素化触媒に対する比は、約20000/1〜約10000/1である。いくつかの実施形態では、反応濃度は、約5〜約6mL TFE/gであり、水素圧は約7〜約60 barであり、反応はほぼ室温〜約75℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、反応は、式IIの化合物が式Iの化合物への変換が約99.5%以上になるまで、実行される。いくつかの実施形態では、反応は約10〜約25時間である。いくつかの実施形態では、エナンチオマー過剰率は、約94%以上である。
【0101】
いくつかの実施形態では:
水素化触媒は、[Rh(COD)]CFSOと、以下のものから選択されるキラルホスフィンリガンドの混合物であり:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
溶媒は、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)であり;
水素化触媒負荷は、約0.005〜約0.01モル%であり;
式IIの化合の水素化触媒に対する比は、約20000/1〜約10000/1であり;
水素圧は、約7〜約60 barであり;
反応は、ほぼ室温〜約75℃の温度で実行され;
反応は、式IIの化合物が式Iの化合物への変換が約99.5%以上になるまで、実行され;
反応は約10〜約25時間であり;そして
エナンチオマー過剰率は、約94%以上である。
【0102】
いくつかの実施形態では、キラルリガンドはキラルホスフィンリガンドである。いくつかの実施形態では、キラルリガンドは、以下のうちの1つから選択される:
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
さらなる実施形態では、組成物は、エナンチオマー過剰の式Iの化合物の(S)−エナンチオマーを含む。いくつかの実施形態では、Lは、以下のリガンドのうちの1つから選択される:
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0104】
他の実施形態では、組成物は、エナンチオマー過剰の式Iの化合物の(R)−エナンチオマーを含む。いくつかの実施形態では、Lは、以下のリガンドのうちの1つから選択される:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0105】
いくつかの実施形態では、キラル触媒は、Sigma Aldrich “Asymmetric Catalysis: Privileged Ligands and Complexes”, ChemFiles, vol. 8, no. 2, pages 1-88における水素化触媒から選択され、この記載内容は参照により本明細書中で援用される。いくつかの実施形態では、エナンチオマー過剰率は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%または約99.99%以上である。
【0106】
さらなる実施形態では、当該工程は、さらに、脱保護条件下で式Icの化合物を反応させて、式III:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0107】
いくつかの実施形態では、当該工程は、さらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0108】
基を除去するための式Icの化合物の処理は、アミンのための特定の保護基、例えばWuts and Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., John Wiley & Sons: New Jersey, pages 696-887(特にpages 872-887)(2007)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)における保護基の除去に関して当該技術分野で既知の方法により成し遂げられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、P基は、フッ素イオン(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムで処理する)、塩酸、ピリジニウムP−トルエンスルホン酸(PPTS)またはルイス酸(例えば、テトラフルオロホウ酸リチウム)で処理することにより除去される。いくつかの実施形態では、処理は、テトラフルオロホウ酸リチウムで処理し、その後、水酸化アンモニウムで処理することを包含する(例えば、Pが2−(トリメチルシリル)エトキシメチルである場合)。いくつかの実施形態では、処理は、塩基で処理することを包含する(例えば、PはN−ピバロイルオキシメチルである)。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリメチル水酸化物である。いくつかの実施形態では、塩基は水酸化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、処理は、メタノールまたは水のような溶媒中で、水酸化ナトリウムまたはアンモニアで処理することを包含する。
【0109】
いくつかの実施形態では、SEM保護基を脱保護するために、穏やかな2段階プロトコールが用いられる。式IcのSEM保護化基質は、高温で、例えば80℃で、10〜20時間、水性アセトニトリル中でテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)で処理される。その結果生じる対応するヒドロキシメチル中間体は、次に、室温で水酸化アンモニウム水溶液(NHOH)でその後処理されて、式IIIの化合物を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態では、POM脱保護のために、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)が用いられる。したがって、式IcのPOM保護化化合物の懸濁液が、室温で2〜3時間、1N水酸化ナトリウム水溶液で処理される。典型的な酸−塩基後処理後に、式IIIの所望の生成物が得られる。いくつかの実施形態では、脱保護条件は、テトラフルオロホウ酸リチウムで処理し、その後、水酸化アンモニウム水溶液で処理することを包含する。
【0111】
いくつかの実施形態では、当該工程は、さらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0112】
式Iのアミドを式IIIのニトリルに変換する工程
本発明は、さらに、式Iのアミドを式Iのニトリル化合物に変換する工程を提供する。式Iのアミドを変換する方法は、アミドを脱水してニトリルを生成することを伴う。次に、保護基を除去することができ、その結果生じるアミンがプロトン化されて、製薬上許容可能な塩を生じることができる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、脱水条件下で、式I:
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
の前記化合物を反応させて、式Ia:
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含する工程を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NHから選択され;
は、保護基である。
【0113】
いくつかの実施形態では、脱水条件は、トリエチルアミンの存在下で塩化トリクロロアセチルを含む。いくつかの実施形態では、脱水条件は、任意のアミドの脱水のための脱水剤を包含し、例としては酸塩化物(例えば塩化トリクロロアセチル)、P;ZnCl(マイクロ波条件下);トリフェニルホスフィンおよびN−クロロスクシンイミド;エチルジクロロホスフェート/DBU;ならびにPdClが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、脱水条件は、Kuo, C-W.; Zhu, J.-L.; Wu, J.; et al. Chem. Commun. 2007, 301; Manjula, K.; Pasha, M. A. Syn. Commun. 2007, 37, 1545; Takahashi, T.; Sugimoto, O.; Koshio, J.; Tanji, K. Heterocycles 2006, 68, 1973; Maffioli, S. I.; Marzorati, E.; Marazzi, A. Organic Letters 2005, 7, 5237;またはIranpoor, N.; Firouzabadi, H.; Aghapour, G. Syn. Commun. 2002, 32, 2535(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に記載されたものである。
【0114】
さらなる実施形態では、当該工程は、さらに、脱保護条件下で、式Icの化合物を反応させて、式III:
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0115】
適切なP基および脱保護方法としては、上記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
いくつかの実施形態では、当該工程は、さらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0117】
式Iのエステルを式IIIのニトリルに変換する工程
本発明はさらに、式Iのエステルを、式Iのニトリル化合物に変換する工程を提供する。式Iのエステルを変換する工程は、酸を生成するためのエステルの鹸化、選択的加アンモニア分解、ならびにアミドの脱水を伴う。次に、保護基を除去することができ、その結果生じるアミンがプロトン化されて、製薬上許容可能な塩を生成し得る。
【0118】
したがって、本発明は、式I:
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を金属水酸化物と反応させて、式Ic:
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含する工程を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)ORであり;
は、C1−4アルキルから選択され;そして
は、保護基である。
【0119】
いくつかの実施形態では、金属水酸化物は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類水酸化物である。いくつかの実施形態では、金属水酸化物は水酸化リチウムである。
【0120】
さらなる実施形態では、当該工程はさらに、式Icの化合物を、カップリング試薬の存在下でアンモニアまたは水酸化アンモニウムと反応させて、式Ib:
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0121】
いくつかの実施形態では、カップリング剤は、N,N−カルボニルジイミダゾールである。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、1,2−ベンズイソキサゾール−3−イルジフェニルホスフェート;ClCO−i−BuおよびEtN;カルボジイミド;SOClおよびCl−C(O)−C(O)−Cl;塩化トシルおよびDMAP;ならびにClCO−i−Buおよびトリエチルアミンから選択される。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、Ueda, M.; Oikawa, H. J. Org. Chem. 1985, 50, 760. (1,2−ベンズイソキサゾール−3−イルジフェニルホスフェート); Lai, M.; Liu, H. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 7388.(ClCO−i−Bu、EtN); Williams, A.; Ibrahim, I. Chem. Rev. 1991, 81, 589.(カルボジイミド); Weiss, M. M.; Harmange, J; Polverino, A. J. J. Med. Chem., 2008, 51, 1668.(SOCl2、Cl−CO−CO−Cl); Hong, C. Y.; and Kishi. Y. J. Am. Chem. Soc., 1991, 113 , 9693. (TsCl、DMAP);およびNitta, H.; Yu, D.; Kudo, M.; Mori, A.; Inoue, S. J. Am. Chem. Soc., 1992, 114 , 7969.(ClCO−i−Bu、EtN)におけるものから選択される。
【0122】
他の実施形態では、当該工程は、さらに、式Ibの化合物を、脱水条件下で反応させて、式Ia:
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;そして
は、保護基である。
【0123】
いくつかの実施形態では、脱水条件は、トリエチルアミンの存在下で塩化トリクロロアセチルを含む。いくつかの実施形態では、脱水条件は、アミドの脱水のための任意の脱水剤を含み、例としては、酸塩化物(例えば、塩化トリクロロアセチル)、P;ZnCl(マイクロ波条件下);トリフェニルホスフィンおよびN−クロロスクシンイミド;エチルジクロロホスフェート/DBU;ならびにPdClが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、脱水条件は、Kuo, C-W.; Zhu, J.-L.; Wu, J.; et al. Chem. Commun. 2007, 301; Manjula, K.; Pasha, M. A. Syn. Commun. 2007, 37, 1545; Takahashi, T.; Sugimoto, O.; Koshio, J.; Tanji, K. Heterocycles 2006, 68, 1973; Maffioli, S. I.; Marzorati, E.; Marazzi, A. Organic Letters 2005, 7, 5237;またはIranpoor, N.; Firouzabadi, H.; Aghapour, G. Syn. Commun. 2002, 32, 2535(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に記載されたものである。
【0124】
さらなる実施形態では、当該工程は、さらに、脱保護条件下で、式Icの化合物を反応させて、式III:
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0125】
適切なP基および脱保護方法としては、上記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
いくつかの実施形態では、当該工程は、さらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0127】
水素化工程のための出発物質(式IIの化合物)
不斉水素化工程(上記)に用いられる式IIの化合物は、スキーム1に示したように製造され得、ここでPおよびPは、各々独立して、保護基であり、Rは、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され、Rは、シアノまたはアルキルエステルである。式IVの化合物を調製するための経路を、以下に記載する。
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
当該工程は、式XIVの適切に置換されたアセチレンと、式IVの保護化4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン化合物との間のアザマイケル付加反応を伴う(式IVおよびXIVの化合物の調製は、以下で記載される)。この反応は、室温で、DMF中の触媒量の固体炭酸カリウムの影響下で実行されて、式Iの対応する化合物を生じる。
【0128】
が−C(=O)NHである式IIの化合物は、式IIaの化合物を酸で処理して、式IIbの化合物を生成することにより、スキーム2で示すように生成され得る。
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
【0129】
したがって、本発明は、式II:
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の製造方法であって、塩基の存在下で、式IV:
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式XIV:
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させることを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)ORおよびシアノであり;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0130】
適切なP保護基としては、上に列挙したものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
いくつかの実施形態では、アザマイケル付加は、触媒量の塩基の存在下で、室温で有機溶媒中で実行される。塩基は、アザマイケル反応のための適切な溶媒または塩基であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒はアセトニトリルまたはジメチルホルムアミド(DMF)である。いくつかの実施形態では、塩基は、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、グアニジン、アミジン、水酸化物、アルコキシド、ケイ酸塩、アルカリ金属リン酸塩、酸化物、第三級アミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水素リン酸塩、ホスフィンまたはカルボン酸のアルカリ金属塩である。いくつかの実施形態では、塩基は、テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク−7−エン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、水酸化tert−ブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リン酸三カリウム、ケイ酸ナトリウム、酸化カルシウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸水素カリウム、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、酢酸カリウムまたはアクリル酸カリウムである。いくつかの実施形態では、塩基は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)または炭酸カリウムである。いくつかの実施形態では、塩基はDBUである。いくつかの実施形態では、塩基は触媒量で存在する。いくつかの実施形態では、塩基の量は、約0.1〜約5当量、または約0.5〜約3当量、または約0.1〜約0.5当量である。いくつかの実施形態では、反応は約1〜約3時間で完了する。
【0132】
いくつかの実施形態では、Rは、シクロペンチル、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルまたはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Rはトリフルオロメチルである。
【0133】
いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸カリウムである。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明は、式II:
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を提供し、
ここで式中、Rは、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NHおよび−C(=O)O−Rから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0135】
いくつかの実施形態では、Pは−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルである。
【0136】
が−C(=O)NHである式IIbの化合物は、式IIa:
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、酸で処理して、式IIb:
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ形態を生成することにより生成され得、
ここで式中、Rは、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0137】
いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、硫酸またはその組合せである。いくつかの実施形態では、処理は、室温で、トリフルオロ酢酸(TFA)および硫酸(HSO)で処理することを包含する。いくつかの実施形態では、TFAのHSOに対する比は容積で約10:1である。いくつかの実施形態では、反応は約1時間以内に完了する。
【0138】
スキーム1に記載された工程で用いられる式XIVの化合物は、以下のスキーム3で示されるような方法により生成され得る。したがって、式XIVa(ここで、式XIVのRはシアノである)の化合物は、式C−1の化合物のリチウム塩を、有機溶媒、例えば無水THF中で、約−78℃〜ほぼ室温で、シアナトベンゼン(C−2)(これはフェノールおよび臭化シアンからin situで生成される)で処理して、対応する式XIVaの3−置換プロピオロニトリルを得ることにより調製される。同様に、式C−3のクロロホルメートで処理された式C−1の化合物のリチウム塩は、式XIV(ここで、式XIVのRは−C(=O)ORである)の3−置換プロピオレート化合物を提供する。
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0139】
II. 式IdまたはVIのアルデヒド中間体を調製するための不斉アザマイケル付加工程
別の態様において、本発明は、とりわけ、エナンチオマー過剰の式Id:
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーの製造方法であって、式IV:
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、キラルアミンおよび有機酸の存在下で、式V:
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させることを包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0140】
さらなる態様では、本発明は、エナンチオマー過剰の式VI:
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーの製造方法であって、式V:
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、キラルアミンおよび有機酸の存在下で、式VII:
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させることを包含する方法を提供し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、ハロゲンである。
【0141】
任意の特定の理論に縛られることなく考えると、α,β−不飽和アルデヒドへのN−複素環式化合物のこれらのキラルアミン触媒アザマイケル共役体付加の機序は、以下の経路を伴うと理解される。第一に、式Vのα,β−不飽和アルデヒドは、キラルアミンおよび有機酸の組合せから生成されるプロトン化触媒と反応して、イミニウムイオンを生成し、水を失う。触媒のキラリティーのため、EおよびZ立体配置を有する2つの異なるイミニウムイオンが形成され得る。対応するE立体配置が、存在する主要中間体であると予測され、そこではSi面が触媒中のキラル基により保護され、Re面がN−複素環式化合物のアプローチのために依然として利用可能である。第二に、イミニウムイオンへの置換ピラゾールの付加はエナミン中間体を生じ、これは、プロトン化ピラゾール環上に正電荷を保有する。次に、この陽子はピラゾール環中の窒素原子からエナミン炭素原子に移されて、イミニウム中間体を形成する。第三に、イミニウムイオンの加水分解は、触媒および生成物の再生を生じる。反応メカニズムの理解を基礎にして、この有機触媒アザマイケル反応のための反応条件が限定された。
【0142】
いくつかの実施形態では、式Vの化合物は、過剰量(例えば、約1.5〜約5当量)で存在する。いくつかの実施形態では、キラルアミンは、約0.02〜約0.15当量、または約0.05〜約0.10当量で存在する。
【0143】
いずれかの不斉アザマイケル付加工程のいくつかの実施形態では、有機酸は、p−トルエンスルホン酸、安息香酸または4−ニトロ安息香酸である。いくつかの実施形態では、有機酸は安息香酸である。いくつかの実施形態では、有機酸は約0.05〜約0.10当量で存在する。
【0144】
いくつかの実施形態では、反応は、クロロホルム(CHCl)またはトルエンから選択される有機溶媒中で実行される。いくつかの実施形態では、反応は、ほぼ室温、または約0〜約5℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、反応は約10〜約24時間で完了する。いくつかの実施形態では、変換反応は95%を上回り、単離収率は約80〜約90%に達する。キラルHPLC法は、各アザマイケル付加物またはその誘導体のキラル純度を決定するために開発された。
【0145】
いずれかの不斉アザマイケル付加工程のいくつかの実施形態では、キラルアミンは、式A−1:
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーであり、
ここで式中、XはCYであり、YはCYであるか;または
XはSまたはNYであり、YはCYであるか;または
XはCYであり、YはSであって;
およびQは、各々独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、カルボキシ、C1−6アルキルカルボキサミド、C1−6アルコキシカルボニルおよびフェニルから選択されここで、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルキルカルボキサミド、C1−6アルコキシカルボニルおよびフェニルは、各々、ヒドロキシル、カルボキシ、トリ−C1−6アルキルシリル、トリ−C1−6アルキルシリルオキシ、C6−10アリール、C6−10アリールアミノ、C1−9へテロアリールおよびC1−9へテロアリールアミノから独立して選択される1、2または3個の基により任意に置換され;C6−10アリール、C6−10アリールアミノ、C1−9へテロアリールおよびC1−9へテロアリールアミノは、各々、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから独立して選択される1、2、3または4個の基により任意に置換され;
、Y、Y、Y、Y、Yは、各々独立して、H、ヒドロキシル、カルボキシ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシカルボニルおよびフェニルから選択されるか;または
およびYは一緒になって、オキソを形成するか;または
およびYは一緒になって、オキソを形成するか;または
およびYは一緒になって、オキソを形成するか;または
およびYは、それらが結合される炭素と一緒になって、5または6員シクロアルキル環を形成するか;あるいは
およびYは、それらが結合される炭素原子と一緒になって、5または6員シクロアルキル環を形成する。
【0146】
式A−1の化合物のいくつかの実施形態では、
XはCYであり、YはCYであるか;または
XはSまたはNYであり、YはCYであるか;または
XはCYであり、YはSであって;
は、Hまたはメチルであり;
は、H、メチル、イソプロピル、ブチル、カルボキシ、C1−5アルキルアミノカルボニル、メトキシカルボニルおよびフェニルから選択され、ここで、メチルおよびC1−5アルキルアミノカルボニルは、各々、ヒドロキシル、カルボキシ、トリ−C1−6アルキルシリル、トリ−C1−4アルキルシリルオキシ、フェニル、フェニルアミノおよびインドール−3−イルから独立して選択される1、2または3個の基により任意に置換され;フェニルおよびインドール−3−イルは、各々、メチルおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1または2個の基により任意に置換され;
は、H、ヒドロキシル、カルボキシ、メチルおよびメトキシカルボニルであり;
は、Hまたはメチルであり;
、Y、YおよびYは、各々独立して、H、ヒドロキシル、メチルおよびフェニルから選択され;
は、Hまたはメチルであるか;あるいは
およびYは一緒になって、オキソを形成するか;または
およびYは一緒になって、オキソを形成するか;または
およびYは一緒になって、オキソを形成するか;または
およびYは、それらが結合される炭素と一緒になって、6員シクロアルキル環を形成するか;あるいは
およびYは、それらが結合される炭素原子と一緒になって、6員シクロアルキル環を形成する。
【0147】
いずれかの不斉アザマイケル付加工程のいくつかの実施形態では、キラルアミンは、式A−2:
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーであ
ここで式中、は、(R)−または(S)−立体配置を有するキラル炭素であり;
ArおよびArは、各々独立して、C6−10アリールであって、これは、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから独立して選択される1、2、3または4個の基により任意に置換され;
は、各々独立して、C1−6アルキルから選択され;
は、H、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから選択される。
【0148】
いくつかの実施形態では、ArおよびArは、各々独立して、フェニルであり、これは、メチルおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3または4個の基により任意に置換され;Rは、各々独立して、メチル、エチルまたはt−ブチルから選択され;RはHである。
【0149】
いずれかのアザマイケル付加工程のいくつかの実施形態では、キラルアミンは、プロリン、プロリンアミド、プロリル−L−ロイシン、プロリル−L−アラニン、プロリルグリシン、プロリル−L−フェニルアラニン、ジフェニルピロリジン、ジベンジルピロリジン、N−(1−メチルエチル)−ピロリジンカルボキサミド、2−(アニリノメチル)ピロリジン、2−[ビス(3,5−ジメチルフェニル)メチル]ピロリジン、ジフェニル(ピロリジン−2−イル)メタノール、プロリノール、4−チアゾリジンカルボン酸、トランス−3−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、4−ベンジル−1−メチル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、1−メチル−4−フェニル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、4,5−オクタヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−カルボン酸、4,5−ジフェニル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、N1−メチル−3−フェニルプロパン−1,2−ジアミン、1,2−ジフェニルエタンジアミン、1−メチル−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イルメチル)−イミダゾリジン−2−カルボン酸、4−ベンジル−1−メチル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、1,2−シクロヘキサンジアミン、2−フェニル−チアゾリジン−4−カルボン酸、tert−ロイシンメチルエステル、5−ベンジル−2,2,3−トリメチルイミダゾリン−4−オン、メチルプロリネート、4,5−ジフェニルイミダゾリジン、2−シクロヘキシル−4,5−ジフェニルイミダゾリジン、2−{ビス−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{ビス−[3,5−ジメチルフェニル]−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{ジフェニル−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{ビス[ナフチ−2−イル]−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ−ジフェニル−メチル}−ピロリジン、2−{ビス−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−トリエチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、および2−{ビス−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−エチル−ジメチルシリルオキシ−メチル}−ピロリジンから選択される化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーであり、ここで、(R)−または(S)−立体配置は、化合物中のNH基に隣接する炭素に存在する。
【0150】
前記実施形態のいくつかにおいて、キラルアミンは(R)−エナンチオマーである。
【0151】
いずれかの不斉アザマイケル付加工程のいくつかの実施形態では、キラルアミンは、以下の化合物のうちの1つから選択される:
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
【0152】
いくつかの実施形態では、エナンチオマー過剰率は、約85%〜約95%である。
【0153】
いくつかの実施形態では、エナンチオマー過剰率は、10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%または約99.99%以下である。
【0154】
いくつかの実施形態では、本発明は、式I:
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NH、−C(=O)O−R、−C(=O)OHおよび−C(=O)Hから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0155】
いくつかの実施形態では、Pは、−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである。いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルである。
【0156】
他の実施形態では、本発明は、式IX:
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0157】
いくつかの実施形態では、Rはシクロペンチルである。
【0158】
式IまたはVIのアルデヒド中間体をニトリル化合物に変換するための工程
別の態様において、本発明は、式Idの化合物からニトリル化合物を調製するための工程を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、式Id:
【化83】
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の化合物を、アンモニアまたは水酸化アンモニウムおよびヨウ素で処理して、式Ia:
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含する工程を提供し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0159】
いくつかの実施形態では、処理は、式Iのキラルアルデヒドを、室温で、テトラヒドロフラン(THF)のような有機溶媒中の過剰量の水性アンモニウム(NHOH)および化学量論量のヨウ素(I)で処理することにより成し遂げられる。いくつかの実施形態では、反応は、室温で約1〜約2時間以内に完了する。キラルアルデヒドのキラリティーは、このような反応条件下では無傷に保たれる。キラルニトリルのキラリティーは、キラルHPLC分析により調べられ得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、脱保護条件下で式Icの化合物を反応させて、式III:
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0161】
適切なP基としては上記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0163】
さらなる態様では、本発明は、式VIの化合物からニトリル化合物を調製するための工程を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、式VI:
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物をアンモニアまたは水酸化アンモニウムおよびヨウ素で処理して、式VIII:
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含する工程を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、ハロゲンである。
【0164】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式VIIIの化合物を、式B−1:
【化88】
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の化合物と反応させて、式IX:
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、HおよびC1−6アルキルから選択されるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0165】
いくつかの実施形態では、式B−1の化合物は、4,4,5,5,4’,4’,5’,5’、−オクタメチル−[2,2’]ビス[1,3,2−ジオキサボロラニル]である。
【0166】
さらなる実施形態では、当該工程はさらに、パラジウム触媒および塩基の存在下で、式IXの化合物を、式X:
【化90】
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の化合物と反応させて、式Ia:
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、HおよびC1−6アルキルから選択されるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換され;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、保護基である。
【0167】
さらなる実施形態では、当該工程はさらに、式IXの化合物を、パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式XI:
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式III:
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、HおよびC1−6アルキルから選択されるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換され;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモである。
【0168】
いくつかの実施形態では、Xはブロモ、ヨードまたはクロロである。いくつかの実施形態では、Xはクロロである。
【0169】
鈴木カップリング反応は、いくつかのパラジウム(0)およびパラジウム(II)触媒を用いて開始され、当該技術分野で既知の条件下で実施され得る(例えばMiyaura and Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95, 2457-2483を参照のこと。この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒は、Pd(PPhおよびPd(dppf)Clである。
【0170】
いくつかの実施形態では、パラジウム触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはテトラキス(トリ(o−トリル)ホスフィン)パラジウム(0)である。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。
【0171】
いくつかの実施形態では、パラジウム触媒負荷は、約1×10−4〜約0.1当量である。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒負荷は、約0.0010〜約0.0015当量である。いくつかの実施形態では、式XまたはXIの化合物の式IXの化合物に対する化学量論比は、約1:1.05〜約1:1.35である。
【0172】
いくつかの実施形態では、溶媒は、水および有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1,4−ジオキサン、1−ブタノール、1,2−ジメトキシエタン(DME)、2−プロパノール、トルエンまたはエタノール、あるいはその組合せである。いくつかの実施形態では、有機溶媒はDMEを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はDMFを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、塩基は有機塩基である。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸カリウム(KCO)である。いくつかの実施形態では、2〜5等量の塩基(例えばKCO)が用いられる。
【0174】
いくつかの実施形態では、鈴木カップリング反応は、約80〜約100℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、反応は2〜12時間実行される。いくつかの実施形態では、式XIIの化合物は、任意に、鈴木カップリング反応混合物の水系後処理から単離されるか、または直接用いられ得る。適切なP保護基としては、Wuts and Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., John Wiley & Sons: New Jersey, pages 696-887(特にpages 872-887)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で詳しく説明されたアミンのための保護基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
他の実施形態では、当該工程はさらに、脱保護条件下で式Iaの化合物を反応させて式III:
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することを包含し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;そして
は、保護基である。
【0176】
適切なP基および脱保護方法としては上記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0178】
アザマイケル付加工程のための出発物質
式IVの化合物は、下記のものと類似の方法により生成され得る。次いで、スキーム4に示されるように、式Vの3置換アクリルアルデヒドが調製され得る。したがって、典型的ウィッティヒ条件下での式C−4のアルデヒドの処置(例えば、(トリフェニルホスホルアニリデン)アセトアルデヒドとの反応)は、式Vの対応する化合物を提供する。
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【0179】
III. ピラゾール中間体の合成およびラセミ分割
式IIIのキラル化合物は、式IXの保護化ピラゾールホウ酸塩誘導体のラセミ化合物のキラルカラム分離(例えば、キラル分取クロマトグラフィー)により、そしてその後のIXのキラル中間体と式XIの非保護化ピロロ[2,3−d]ピリミジンとの鈴木カップリング反応により、製造され得る(スキーム5)。代替的には、式(S)−IXまたは(R)−IXのキラル中間体を、鈴木カップリング条件下で、式Xの保護化ピロロ[2,3−d]ピリミジンと反応させて、その後、P保護基を除去するように脱保護し、式IIIのキラル化合物を生じ得る(スキーム5)。式IXのラセミ置換ピラゾールホウ酸塩誘導体は、式XVのピラゾールホウ酸誘導体と式D−1のマイケル受容体との間のマイケル付加反応により製造され得る(スキーム5)。
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【0180】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、式IX:
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製する工程であって、式IXの化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーに通し、式IXの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、そしてエナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集することを包含する工程を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、アイソクラティックまたは勾配モードでキラル固定相および移動相を用いて、バッチまたは連続方式で実行される。
【0181】
いくつかの実施形態では、キラルクロマトグラフィーユニットは、キラル固定相を充填されたキラルカラムを装備した分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムである。いくつかの実施形態では、キラルカラムは、シリカゲル上に固定されるアミローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)を含むキラル固定相を詰め込まれる(「キラルパク(登録商標)IA」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、キラルカラムは、シリカゲル上に被覆されるセルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)を含むキラル固定相を詰め込まれる(「キラルセル(登録商標)キラルセルOD」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーユニットは、連続クロマトグラフィー工程、例えば擬似移動床(SMB)クロマトグラフィー、またはキラル固定相を各々詰め込まれた8つのカラムの1組を装備したユニットを用いるバリコール工程である。いくつかの実施形態では、当該ユニットは、キラル固定相を、いくつかの場合には、同一キラル固定相を各々が詰め込まれる、3〜12のカラム、または5〜10のカラム、または5〜8のカラムを装備される。いくつかの実施形態では、カラムは、シリカゲル上に固定されるアミローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)製のキラル固定相を詰め込まれる(「キラルパク(登録商標)IA」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、カラムは、シリカゲル上に被覆されるセルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)製のキラル固定相を詰め込まれる(「キラルセル(登録商標)キラルセルOD」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、4−(3,5−ジニトロベンズアミド)テトラヒドロフェナントレンを被覆されるシリカゲルベースの固定相である(「(S,S)ウェルク−O(登録商標)1」としてRegis Technologiesから入手可能)。いくつかの実施形態では、移動相は、エタノールおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約1:9比のエタノール:ヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約10〜約100容量%、または約10〜25容量%、または約15%エタノールの量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、約15容量%のエタノールおよび約85容量%のヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、移動相はエタノールとヘキサンを含み、この場合、エタノールは約25〜約10容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相はイソプロパノールとヘキサンを含み、この場合、イソプロパノールは約25〜約10容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、イソプロパノールは、約10〜約25容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、メチル−tert−ブチルエーテルおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンで置き換えられる。いくつかの実施形態では、メチル−tert−ブチルエーテルは、約10〜約100容量%、好ましくは約50〜約100容量%、最も好ましくは約90〜約100容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、酢酸エチルおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、酢酸エチルは、約10〜約100容量%、約50〜約100容量%、または約75容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相はテトラヒドロフランおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、テトラヒドロフランは、約10〜約100容量%、約10〜約50容量%、または約25容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーユニットは、室温に保持される。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mL/分〜約20mL/分の流量で通される。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mL/分の流量で通される。いくつかの実施形態では、移動相は、約18mL/分の流量で通される。いくつかの実施形態では、溶離液は、紫外(UV)分光法によりモニタリングされる。いくつかの実施形態では、溶離液は、約220nmで紫外分光法によりモニタリングされる。富エナンチオマー組成物を含有する溶離液の一部の収集は、UV分光法による所望のエナンチオマーの溶離の検出によって確定され得る。次いで、組成物のee%(エナンチオマー過剰率)の確定は、分析用キラルHPLCにより確定され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、用いられるクロマトグラフィー法は、バッチ分取クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、シクロジェット法、連続マルチカラムクロマトグラフィー法、擬似移動床法、バリコール(商標)法、またはパワーフィード法である。
【0183】
いくつかの実施形態では、キラル固定相は、例えば、化学結合により、または架橋を介した不溶性化により、不活性担体材料に固定される、富エナンチオマー分割剤である相互作用物質を含む。適切な不活性担体材料は、多孔質であり、例えば架橋ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、アルミナ、珪藻土、石英、カオリン、酸化マグネシウム、二酸化チタンまたはシリカゲルであり得る。いくつかの実施形態では、不活性担体材料はシリカゲルである。
【0184】
いくつかの実施形態では、キラル固定相は、セルロースフェニルカルバメート誘導体、例えばセルローストリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバメート(「キラルセル(登録商標)OD」または「キラルパク(登録商標)IB」としてDaicel Chemical Industries, Ltd. (Daicel)から入手可能:この場合、カルバメート誘導体はセルロース主鎖と結合される);セルローストリベンゾエート誘導体、例えばセルローストリ4−メチルベンゾエート(「キラルセル(登録商標)OJ」としてDaicelから入手可能);セルローストリシンナメート(「キラルセル(登録商標)OK」としてDaicelから入手可能);アミラーゼフェニルおよびベンジルカルバメート誘導体、例えばアミローストリス[(S)−α−メチルベンジルカルバメート](「キラルパク(登録商標)AS」としてDaicelから入手可能);アミローストリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバメート(「キラルパク(登録商標)AD」または「キラルパク(登録商標)IA」としてDaicelから入手可能:この場合、カルバメート誘導体はアミロース主鎖と結合される);アミロース3,4−置換フェニルカルバメートまたはアミロース4−置換フェニル−カルバメート;ならびにアミローストリシンナメートから選択されるアミロースまたはセルロース系の多糖類の一成員である。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、キラルパク(登録商標)IAまたはキラルパクADを含む。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、キラルセル(登録商標)ODを含む。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、パークル型相ファミリーの一成員、例えばフェニルグリシンの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体(「フェニルグリシン」としてRegis Technologies Incから入手可能)、ロイシンの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体(「ロイシン」としてRegis Technologies Incから入手可能);N−3,5−ジニトロベンゾイル−3−アミノ−3−フェニル−2−(1,1−ジメチルエチル)−プロパノエート(「β−GME 1」としてRegis Technologies Incから入手可能);ジメチルN−3,5−ジニトロベンゾイル−アミノ−2,2−ジメチル−4−ペンテニルホスホネート(「α−BURKE 2」としてRegis Technologies Incから入手可能);3−(3,5−ジニトロベンズアミド)−4−フェニル−β−ラクタム(「PIRKLE 1−J」としてRegis Technologies Incから入手可能);ジフェニルエチレンジアミンの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体(「ULMO」としてRegis Technologies Incから入手可能);4−(3,5−ジニトロベンズアミド)テトラヒドロフェナントレン(「(S,S)ウェルク−O(登録商標)1」および「(R,R)ウェルク−O(登録商標)1」または「(S,S)ウェルク−O(登録商標)2」および「(R,R)ウェルク−O(登録商標)2」としてRegis technologies Inc.から入手可能);1,2−ジアミノシクロヘキサンの3,5−ジニトロ−ベンゾイル誘導体(「DACH−DNB」としてRegis technologies Inc.から入手可能)である。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、「(S,S)ウェルク−O(登録商標)1」または「(R,R)ウェルク−O(登録商標)1」を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、キラル固定相の粒子直径は、通常は、1〜300μm、2〜100μm、5〜75μmまたは10〜30μmである。
【0186】
いくつかの実施形態では、移動相は、非極性、極性のプロトン性または非プロトン性溶媒またはその混合物である。いくつかの実施形態では、移動相は、二酸化炭素と極性プロトン溶媒の混合物である。適切な非極性溶媒としては、例えば炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン、n−ヘプタン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンが挙げられる。適切なプロトン性または非プロトン性溶媒としては、例えばアルコール、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、エーテル、例えばメチルtert−ブチルエーテル、エステル、例えばエチルアセテート、ハロゲン化炭化水素およびアセトニトリルが挙げられる。いくつかの実施形態では、非極性溶媒はn−ヘプタンである。いくつかの実施形態では、プロトン性または非プロトン性溶媒は、エタノール、2−プロパノールまたはメチル−tert−ブチルエーテルである。いくつかの実施形態では、移動相は、ヘプタンとエタノールの混合物である。いくつかの実施形態では、エタノールは、約10%〜約100%、約10%〜約25%、または約15%の量で移動相中に存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、ヘプタンと2−プロパノールの混合物である。いくつかの実施形態では、2−プロパノールは、約10%〜約100%、約10%〜約25%、または約20%の量で移動相中に存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、ヘプタンとメチル−tert−ブチルエーテルの混合物である。いくつかの実施形態では、メチル−tert−ブチルエーテルは、約10%〜約100%、約75%〜約100%、または約90%〜約100%の量で移動相中に存在する。
【0187】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、約0℃〜50℃、約10℃〜30℃、または約25℃の温度で実行される。
【0188】
いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、約90%より高い、約98%より高い、または約99.0%より高いエナンチオマー純度で回収される。いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、約70%より高い、約90%より高い、または約95%より高い収率で回収される。
【0189】
いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、約0.1kg、0.4kgまたは0.8kg純エナンチオマー/日/固定相1kgより高い処理率で製造される。
【0190】
いくつかの実施形態では、分離エナンチオマーは、減圧下での蒸発後に、濃縮油として回収される。
【0191】
いくつかの実施形態では、キラルクロマトグラフィー工程に用いられる移動相は、再生利用される。
【0192】
いくつかの実施形態では、望ましくないエナンチオマーはラセミ体化され、キラル分離のためのラセミ体供給原料として再使用される。
【0193】
いくつかの実施形態では、式IXの化合物は、次式を有する:
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
【0194】
いくつかの実施形態では、エナンチオマー過剰率は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%または約99.99%である。
【0195】
いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の収率で、好ましくは90%または95%より高い収率で回収される。
【0196】
いくつかの実施形態では、当該工程は、式IX:
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式XI:
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と、パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式III:
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成するための条件下で、それに十分な時間の間、反応させることをさらに包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換され;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモである。
【0197】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式IX:
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式X:
【化103】
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の化合物と、パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式Ia:
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰で含まれる組成物を形成するための条件下で、それに十分な時間の間、反応させることを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換され;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、保護基である。
【0198】
いくつかの実施形態では、Xはブロモ、ヨードまたはクロロである。いくつかの実施形態では、Xはクロロである。
【0199】
鈴木カップリング反応は、多数のパラジウム(0)およびパラジウム(II)触媒を用いて開始され、当該技術分野で既知の条件下で実施され得る(例えばMiyaura and Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95, 2457-2483を参照のこと。この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒は、Pd(PPhおよびPd(dppf)Clである。
【0200】
いくつかの実施形態では、パラジウム触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはテトラキス(トリ(o−トリル)ホスフィン)パラジウム(0)である。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。
【0201】
いくつかの実施形態では、パラジウム触媒負荷は、約1×10−4〜約0.1当量である。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒負荷は、約0.0010〜約0.0015当量である。いくつかの実施形態では、式XまたはXIの化合物の式IXの化合物に対する化学量論比は、約1:1.05〜約1:1.35である。
【0202】
いくつかの実施形態では、溶媒は、水および有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1,4−ジオキサン、1−ブタノール、1,2−ジメトキシエタン(DME)、2−プロパノール、トルエンまたはエタノール、あるいはその組合せである。いくつかの実施形態では、有機溶媒はDMEを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はDMFを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、塩基は有機塩基である。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸カリウム(KCO)である。いくつかの実施形態では、2〜5等量の塩基(例えばKCO)が用いられる。
【0204】
いくつかの実施形態では、鈴木カップリング反応は、約80〜約100℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、反応は2〜12時間実行される。いくつかの実施形態では、式XIaまたはIIIの化合物は、任意に、鈴木カップリング反応混合物の水系後処理から単離されるか、または直接用いられ得る。
【0205】
適切なP保護基および脱保護条件は、上に記されている。
【0206】
いくつかの実施形態では、本発明は、式IX:
【化105】
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の化合物のラセミ体を調製するための工程であって、式XV:
【化106】
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の化合物を、塩基の存在下で、式D−1:
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式IXの化合物を生成することを包含する工程を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0207】
いくつかの実施形態では、アザマイケル付加は、触媒量の塩基の存在下で、室温で有機溶媒中で実行される。塩基は、アザマイケル反応のための適切な溶媒または塩基であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒はアセトニトリルまたはジメチルホルムアミド(DMF)である。いくつかの実施形態では、塩基は、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、グアニジン、アミジン、水酸化物、アルコキシド、ケイ酸塩、アルカリ金属リン酸塩、酸化物、第三級アミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水素リン酸塩、ホスフィンまたはカルボン酸のアルカリ金属塩である。いくつかの実施形態では、マイケル付加触媒は、テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク−7−エン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、水酸化tert−ブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リン酸三カリウム、ケイ酸ナトリウム、酸化カルシウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸水素カリウム、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、酢酸カリウムまたはアクリル酸カリウムである。いくつかの実施形態では、塩基は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)または炭酸カリウムである。いくつかの実施形態では、塩基はDBUである。いくつかの実施形態では、塩基は触媒量で存在する。いくつかの実施形態では、塩基の量は、約0.1〜約5当量、または約0.5〜約3当量である。いくつかの実施形態では、反応は約10〜約24時間で完了する。
【0208】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式III:
【化108】
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の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を提供するのに十分な脱保護条件下で、式Iaの化合物を処理することを包含し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;そして
は、保護基である。
【0209】
適切なP基および脱保護方法としては上記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0211】
IV. 式Iaのラセミ化合物のキラル富化および式Iaの望ましくないエナンチオマーのラセミ化
式Iaのラセミ化合物は、以下のスキーム6におけるマイケル付加工程により生成され得る。したがって、式IVの化合物は、式D−1のアクリロニトリルと反応して、式Iaのラセミ化合物を生成し得る。次に、式Iaのラセミ化合物はキラルカラムクロマトグラフィーにより分離されて、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を生じ得る。次いで、保護基が除去されて、エナンチオマー過剰の式IIIの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーを生じる。
【化109】
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【0212】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、式Ia:
【化110】
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の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製するための工程であって、式Iaの化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通すこと、ならびに式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集することを包含する工程を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0213】
いくつかの実施形態では、キラルクロマトグラフィーユニットは、キラル固定相を詰め込まれたキラルカラムを装備した分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムである。いくつかの実施形態では、キラルカラムは、キラルパク(登録商標)IAで有る。いくつかの実施形態では、キラルカラムは、キラルセル(登録商標)OD−Hである。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーユニットは、キラル固定相を各々詰め込まれた8つのカラムの1組を装備した擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーユニットである。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、セルロース改質キラル固定相(CSP、Chiral Technologies)である。いくつかの実施形態では、移動相は、エタノールおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約1:9容量比のエタノール:ヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約15容量%のエタノールおよび約85容量%のヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、移動相はエタノールとヘキサンを含み、この場合、エタノールは約25〜約10容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相はイソプロパノールとヘキサンを含み、この場合、イソプロパノールは約25〜約10容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーユニットは室温に保持される。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mL/分〜約20mL/分の流量で通される。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mL/分の流量で通される。いくつかの実施形態では、移動相は、約18mL/分の流量で通される。いくつかの実施形態では、溶離液は、紫外(UV)分光法によりモニタリングされる。いくつかの実施形態では、溶離液は、約220nmで紫外分光法によりモニタリングされる。富エナンチオマー組成物を含有する溶離液の一部の収集は、UV分光法による所望のエナンチオマーの溶離の検出によって確定され得る。次いで、組成物のee%(エナンチオマー過剰率)の確定は、分析用キラルHPLCにより確定され得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、エナンチオマー過剰率は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%または約99.99%以上である。
【0215】
いくつかの実施形態では、キラルクロマトグラフィーは、キラル固定相を詰め込まれたクロマトグラフィーカラムを装備した分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いて実行される。いくつかの実施形態では、カラムは、シリカゲル上に固定されるアミローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)製のキラル固定相を詰め込まれる(「キラルパク(登録商標)IA」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、カラムは、シリカゲル上に被覆されるセルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)製のキラル固定相を詰め込まれる(「キラルセル(登録商標)OD」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィー工程は、連続クロマトグラフィー工程、例えば擬似移動床(SMB)クロマトグラフィー、または同一キラル固定相を各々詰め込まれた3〜12、好ましくは5〜10、最も好ましくは5〜8つのカラムの1組を装備したユニットを用いるバリコール工程である。いくつかの実施形態では、カラムは、シリカゲル上に固定されるアミローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)製のキラル固定相を詰め込まれる(「キラルパク(登録商標)IA」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、カラムは、シリカゲル上に被覆されるセルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)製のキラル固定相を詰め込まれる(「キラルセル(登録商標)キラルセルOD」としてDaicelから入手可能)。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、4−(3,5−ジニトロベンズアミド)テトラヒドロフェナントレンを被覆されるシリカゲルベースの固定相である(「(S,S)ウェルク−O(登録商標)1」としてRegis Technologiesから入手可能)。いくつかの実施形態では、移動相は、エタノールおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約10〜約100容量%、または約10〜25容量%、または約15容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相はイソプロパノールとヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、イソプロパノールは、約10〜約25容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、メチル−tert−ブチルエーテルおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、メチル−tert−ブチルエーテルは、約10〜約100容量%、約50〜約100容量%、または約90〜約100容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、酢酸エチルおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、酢酸エチルは、約10〜約100容量%、約50〜約100容量%、または約75容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、移動相はテトラヒドロフランおよびヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、ヘキサンは、ヘプタン、n−ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに置き換えられる。いくつかの実施形態では、テトラヒドロフランは、約10〜約100容量%、約10〜約50容量%、または約25容量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーユニットは、約5℃〜約50℃、約10℃〜約30℃、または約25℃の温度で、または周囲温度で操作される。
【0216】
いくつかの実施形態では、用いられるクロマトグラフィー法は、バッチ分取クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、シクロジェット法、連続マルチカラムクロマトグラフィー法、擬似移動床法、バリコール(商標)法、またはパワーフィード法である。
【0217】
いくつかの実施形態では、キラル固定相は、例えば、化学結合により、または架橋を介した不溶性化により、不活性担体材料に固定される、富エナンチオマー分割剤である相互作用物質を含む。適切な不活性担体材料は、多孔質であり、例えば架橋ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、アルミナ、珪藻土、石英、カオリン、酸化マグネシウム、二酸化チタンまたはシリカゲルであり得る。いくつかの実施形態では、不活性担体材料はシリカゲルである。
【0218】
いくつかの実施形態では、キラル固定相は、セルロースフェニルカルバメート誘導体、例えばセルローストリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバメート(「キラルセル(登録商標)OD」または「キラルパク(登録商標)IB」としてDaicel Chemical Industries, Ltd. (Daicel)から入手可能:この場合、カルバメート誘導体はセルロース主鎖と結合される);セルローストリベンゾエート誘導体、例えばセルローストリ4−メチルベンゾエート(「キラルセル(登録商標)OJ」としてDaicelから入手可能);セルローストリシンナメート(「キラルセル(登録商標)OK」としてDaicelから入手可能);アミラーゼフェニルおよびベンジルカルバメート誘導体、例えばアミローストリス[(S)−α−メチルベンジルカルバメート](「キラルパク(登録商標)AS」としてDaicelから入手可能);アミローストリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバメート(「キラルパク(登録商標)AD」または「キラルパク(登録商標)IA」としてDaicelから入手可能:この場合、カルバメート誘導体はアミロース主鎖と結合される);アミロース3,4−置換フェニルカルバメートまたはアミロース4−置換フェニル−カルバメート;ならびにアミローストリシンナメートから選択されるアミロースまたはセルロース系の多糖類の一成員である。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、キラルパク(登録商標)IAまたはキラルパクADを含む。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、キラルセル(登録商標)ODを含む。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、パークル型相ファミリーの一成員、例えばフェニルグリシンの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体(「フェニルグリシン」としてRegis Technologies Incから入手可能)、ロイシンの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体(「ロイシン」としてRegis Technologies Incから入手可能);N−3,5−ジニトロベンゾイル−3−アミノ−3−フェニル−2−(1,1−ジメチルエチル)−プロパノエート(「β−GME 1」としてRegis Technologies Incから入手可能);ジメチルN−3,5−ジニトロベンゾイル−アミノ−2,2−ジメチル−4−ペンテニルホスホネート(「α−BURKE 2」としてRegis Technologies Incから入手可能);3−(3,5−ジニトロベンズアミド)−4−フェニル−β−ラクタム(「PIRKLE 1−J」としてRegis Technologies Incから入手可能);ジフェニルエチレンジアミンの3,5−ジニトロベンゾイル誘導体(「ULMO」としてRegis Technologies Incから入手可能);4−(3,5−ジニトロベンズアミド)テトラヒドロフェナントレン(「(S,S)ウェルク−O(登録商標)1」および「(R,R)ウェルク−O(登録商標)1」または「(S,S)ウェルク−O(登録商標)2」および「(R,R)ウェルク−O(登録商標)2」としてRegis technologies Inc.から入手可能);1,2−ジアミノシクロヘキサンの3,5−ジニトロ−ベンゾイル誘導体(「DACH−DNB」としてRegis technologies Inc.から入手可能)である。いくつかの実施形態では、キラル固定相は、「(S,S)ウェルク−O(登録商標)1」または「(R,R)ウェルク−O(登録商標)1」を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、キラル固定相の粒子直径は、通常は、1〜300μm、2〜100μm、5〜75μmまたは10〜30μmである。
【0220】
いくつかの実施形態では、移動相は、非極性、極性のプロトン性または非プロトン性溶媒またはその混合物である。いくつかの実施形態では、移動相は、二酸化炭素と極性プロトン溶媒の混合物である。適切な非極性溶媒としては、例えば炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン、n−ヘプタン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンが挙げられる。適切なプロトン性または非プロトン性溶媒としては、例えばアルコール、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、エーテル、例えばメチルtert−ブチルエーテル、エステル、例えばエチルアセテート、ハロゲン化炭化水素およびアセトニトリルが挙げられる。いくつかの実施形態では、非極性溶媒はn−ヘプタンである。いくつかの実施形態では、プロトン性または非プロトン性溶媒は、エタノール、2−プロパノールまたはメチル−tert−ブチルエーテルである。いくつかの実施形態では、移動相は、ヘプタンとエタノールの混合物である。いくつかの実施形態では、エタノールは、約10%〜約100%、約10%〜約25%、または約15%の量で移動相中に存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、ヘプタンと2−プロパノールの混合物である。いくつかの実施形態では、2−プロパノールは、約10%〜約100%、約10%〜約25%、または約20%の量で移動相中に存在する。いくつかの実施形態では、移動相は、ヘプタンとメチル−tert−ブチルエーテルの混合物である。いくつかの実施形態では、メチル−tert−ブチルエーテルは、約10%〜約100%、約75%〜約100%、または約90%〜約100%の量で移動相中に存在する。
【0221】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、約0℃〜50℃、約10℃〜30℃、または約25℃の温度で実行される。
【0222】
いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、約90%より高い、約98%より高い、または約99.0%より高いエナンチオマー純度で回収される。いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、約70%より高い、約90%より高い、または約95%より高い収率で回収される。
【0223】
いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、約0.1kg、0.4kgまたは0.8kg純エナンチオマー/日/固定相1kgより高い処理率で生成される。
【0224】
いくつかの実施形態では、分離エナンチオマーは、減圧下での蒸発後に、濃縮油として回収される。
【0225】
いくつかの実施形態では、キラルクロマトグラフィー工程に用いられる移動相は、再生利用される。
【0226】
いくつかの実施形態では、望ましくないエナンチオマーはラセミ体化され、キラル分離のためのラセミ体供給原料として再使用される。
【0227】
いくつかの実施形態では、所望のエナンチオマーは、所望のエナンチオマーは、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の収率で、好ましくは90%または95%より高い収率で回収される。
【0228】
代替的には、式Iaのラセミ化合物は、キラル酸(E−1)、例えば(+)−ジベンゾイル−D−酒石酸と反応して、キラル塩(E−2)を生成する(スキーム7)。結晶化、濾過ならびに塩基での処理後、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物が製造される。次いで、保護基が除去されて、エナンチオマー過剰の式IIIの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーを生じる。
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
【0229】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、式Ia:
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式Iaの化合物のラセミ体を含む組成物を、溶媒の存在下で、キラル酸と反応させて、式Iaの化合物の塩を形成すること;
(b)式Iaの化合物(R)−または(S)−エナンチオマーのキラル塩が、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を分離すること;および
(c)前記キラル塩を塩基で処理して、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法を提供し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である。
【0230】
キラル分割のために有用な任意のキラル酸が用いられ得る。いくつかの実施形態では、キラル酸は、光学活性型のマンデル酸、2−クロロマンデル酸、カンファースルホン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、3−ブロモカンファー−8−スルホン酸、3−ブロモカンファー−10−スルホン酸、10−カンファースルホン酸、ジベンゾイル酒石酸、ジ−p−トルオイル酒石酸、2−アミノ−7,7−ジメチルビシクロp[2,2,1]ヘプタン−1−メチレンスルホン酸および2−アクリルアミド−7,7−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−1−メチレンスルホン酸から選択される。いくつかの実施形態では、キラル酸は(+)−ジベンゾイル−D−酒石酸である。
【0231】
いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトンまたはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、約90:15:15の容量比のアセトニトリル:テトラヒドロフランおよびアセトン(15.0mL、0.204mol)である。
【0232】
いくつかの実施形態では、エナンチオマー過剰率は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%または約99.99%以上である。
【0233】
いくつかの実施形態では、分離することは、溶媒を冷却してキラル塩を沈澱させることを伴う。いくつかの実施形態では、分離することは、第二の溶媒を付加して、キラル塩を沈澱させることを伴う。いくつかの実施形態では、分離することは、溶媒を濾過して、キラル塩を回収することを伴う。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトンまたはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、反応は、ほぼ室温〜約60℃の温度で実行される。
【0234】
キラル塩の遊離塩基を調製するのに適した任意の塩基が、当該工程で利用され得る。いくつかの実施形態では、塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物または炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属水酸化物である。いくつかの実施形態では、処理することは、塩基の水溶液をキラル塩に付加し、その後、水溶液から当該溶液を分離することを包含する。いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、溶媒の除去を包含する。
【0235】
上記のキラル富化のための工程のほかに、式Iaの化合物の望ましくないエナンチオマーは、スキーム8に示されるように、塩基触媒レトロマイケル付加によりラセミ材料に変換して、式IVの化合物を生成し、その後、式D−1のアクリロニトリルと反応させて、式Iaのラセミマイケル付加物を生じ得る。代替的には、式Iaの望ましくないエナンチオマーは、スキーム8に示されるように、式D−1のマイケル受容体の存在下でエピマー化されて、式Iaのラセミ化合物を生じ得る。次いで、上記のキラルカラム分離およびキラル塩法により、ラセミ化合物は分割されて、所望のエナンチオマーを生じる。
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【0236】
したがって、本発明は、式Ia:
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、
(a)式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1:
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を用いて、式IV:
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成するのに十分な条件下で、第一塩基の存在下で、処理すること;および
(b)第二の塩基の存在下で、式IVの化合物を式D−1の化合物と反応させること
を包含する方法を提供し、
ここで式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される第二の塩基。
【0237】
いくつかの実施形態では、第一塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基である。いくつかの実施形態では、第一塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基のアルコキシド、水酸化物または炭酸塩である。いくつかの実施形態では、第一塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩である。いくつかの実施形態では、第一塩基は、アルカリ土類炭酸塩である。いくつかの実施形態では、第一塩基は炭酸セシウムである。いくつかの実施形態では、第一塩基はアルカリ金属t−ブトキシドである。いくつかの実施形態では、第一塩基はカリウムt−ブトキシドである。
【0238】
いくつかの実施形態では、第二ステップは、触媒量の第二の塩基の存在下で、室温で、有機溶媒中で実行される。第二の塩基は、適切な溶媒またはアザマイケル反応のための第二の塩基である。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトニトリルまたはジメチルホルムアミド(DMF)である。いくつかの実施形態では、第二の塩基は、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、グアニジン、アミジン、水酸化物、アルコキシド、ケイ酸塩、アルカリ金属リン酸塩、酸化物、第三級アミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水素リン酸塩、ホスフィンまたはカルボン酸のアルカリ金属塩である。いくつかの実施形態では、塩基は、テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク−7−エン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、水酸化tert−ブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リン酸三カリウム、ケイ酸ナトリウム、酸化カルシウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸水素カリウム、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、酢酸カリウムまたはアクリル酸カリウムである。いくつかの実施形態では、第二の塩基は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)または炭酸カリウムである。いくつかの実施形態では、第二の塩基はDBUである。いくつかの実施形態では、塩基は触媒量で存在する。いくつかの実施形態では、第二の塩基の量は、約0.1〜約5当量、または約0.5〜約3当量、または約0.1〜約0.5当量である。いくつかの実施形態では、反応は約1〜約3時間で完了する。
【0239】
代替的には、本発明はさらに、式Ia:
【化117】
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の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、式Iaの化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、塩基の存在下で、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1:
【化118】
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の化合物で処理することを包含する方法を提供し、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される。
【0240】
いくつかの実施形態では、塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基である。いくつかの実施形態では、塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基のアルコキシド、水酸化物または炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基は、アルカリ土類炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸セシウムである。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属t−ブトキシドである。いくつかの実施形態では、塩基はカリウムt−ブトキシドである。
【0241】
式Ia:
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体は、式Iaの化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、式IV:
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式D−1:
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理することを包含する方法により調製され得、
式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される。
【0242】
式D−1の3置換アクリルニトリルは、スキーム9に示されるように調製される。ジエチルシアノメチルホスホネートのような式−CHCNのイリドを有するウィッティヒ型試薬を用いた、式D−2のアルデヒド、例えばシクロペンタンカルボアルデヒドまたはシクロプロパンカルボアルデヒドのオレフィン化は、約0〜約5℃で、カリウムtert−ブトキシドのような塩基の影響下で、THFのような有機溶媒中で実行される。いくつかの実施形態では、その結果生じる式D−1の3置換アクリルニトリルは、真空蒸留により精製され得る。
【化122】
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【0243】
したがって、いくつかの実施形態では、式D−1:
【化123】
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の化合物は、式D−2:
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、塩基の存在下で、式−CHCNのイリドを有するウィッティヒ型試薬と反応させることを包含する工程により調製され、
ここで式中、Rは、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される。
【0244】
本明細書中で用いられる場合、「ウィッティヒ型試薬」という用語は、当該技術分野で記載されるようなウィッティヒ反応、ワーズワース・エモンズ反応およびホーナー・ウィッティヒ反応において用いられる試薬を指す(例えば、Carey and Sundberg, Advanced Organic Chemistry, Part B: Reactions and Synthesis, 4th ed., Kluwer Academic/Plenum Publishers:New York, pages 111-119 (2001);およびMarch, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 3rd ed., John Wiley & Sons:New York, pages 845-855 (1985)参照)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。シアノメチルまたはシアノメチルイリド基を含有するウィッティヒ型試薬の例としては、一般式(R’O)P(=O)−L−R、R”P(+)−L(−)−R、R”P(+)−L−RX;R”P(=O)−L−Rおよび(R’N)P(=O)−L−Rの化合物が挙げられるが、これらに限定されず、式中、R’はC1−6アルコキシまたは任意に置換されるフェニルであり;R”は任意置換フェニルであり;Lは−CH−または−CH−であり;およびRはシアノであり;そしてXは陰イオン(例えば、ハロ陰イオン、例えば塩化物)である。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬は、ジエチルシアノメチルホスフェートである。いくつかの実施形態では、塩基の存在下で、式D−2の化合物とウィッティヒ型試薬とを反応させる。いくつかの実施形態では、塩基は強塩基である。いくつかの実施形態では、塩基はカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属アルコキシドである。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属t−ブトキシドである。いくつかの実施形態では、塩基はカリウムt−ブトキシドである。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬による式D−2のアルデヒドのオレフィン化は、有機溶媒、例えばTHF中で、塩基、例えばカリウムtert−ブトキシドの影響下で、約0〜約5℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、塩基は、式D−2の化合物に関連して、約1〜約1.2当量または約1.05〜約1.1当量で存在する。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬は、式D−2の化合物に対して、約1〜約1.2当量または約1.05〜約1.1当量で存在する。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬は(メトキシメチル)トリフェニルホスフィニウムクロリドである。
【0245】
他の実施形態では、当該工程はさらに、脱保護条件下で式Iaの化合物を反応させて、式III:
【化125】
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の化合物を生成することを包含する。
【0246】
適切なP基および脱保護方法としては、上記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
いくつかの実施形態では、当該工程は、さらに、式IIIの化合物をリン酸と反応させて、式IIIの化合物のリン酸塩を生成することを包含する。
【0248】
V. 中間化合物への経路
i)式IVの中間化合物への高収率経路
式IVの化合物は、上記の式IIIの化合物のための種々の合成経路における重要な中間体である。これらの化合物は、一般的に、鈴木カップリング工程により生成される。パラジウム触媒を用いる式Xの保護化7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体と式XVの非保護化ピラゾールホウ酸誘導体との鈴木カップリングは、低収率を生じる(スキーム10)。何れの特定の理論にも縛られずに考えると、低収率は、鈴木カップリング反応における非保護化アミン官能基の妨害に起因すると考えられる。
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
【0249】
したがって、式XIIIの保護化ピラゾールホウ酸誘導体の使用を伴う式IVの化合物の新規の製造方法が開発された(スキーム11)。したがって、式XIIIの化合物が生成され、次いで、式Xの保護化7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体と反応して、式XIIの化合物を生成し、その後、脱保護されて、式IVの化合物を生じ得る。いくつかの実施形態では、式XIIIの化合物は、ピラゾールピナコールボレートのin situ保護により形成され得る。例えば、Pが1−(エトキシ)エチルである場合、ピラゾール−4−イルピナコールボレートは、ビニルエーテルと反応して、in situで式XIIIの保護化合物を生成し得る。次に、式XIIIの保護化ピラゾールピナコールボレートと式Xの化合物との間の鈴木カップリング反応は、典型的鈴木カップリング条件下でよどみなく進行して、式XIIの対応するカップリング中間体の酸性後処理後により高い収率で式IVの化合物を生成する。
【0250】
他の実施形態では、式XIIIの化合物は、単離され、十分に特性化された化合物である。例えば、式XIII(式中、Pは1−(エトキシ)エチルであり、ホウ酸部分はピナコール基である)の単離され、十分に特性化された化合物は、式XIIの生成物をもたらし、その後、式IVの化合物をより良好な収率および純度で生じる。
【化127】
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【0251】
他の実施形態では、式Xの化合物は、式XIの化合物からin situで生成され、その後、式XIIIの化合物と反応する。これは、大規模生産中に式Xの化合物を単離し、精製する必要性を無くす。例えば、PがSEMである場合、式XIの化合物は水素化ナトリウムおよびSEMクロリドと反応して、in situで式Xの化合物を生成し得る(スキーム12)。
【化128】
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【0252】
したがって、本発明は、式XII:
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の製造方法であって、パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式X:
【化130】
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の化合物を、式XIII:
【化131】
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の化合物と反応させて、式XIIの化合物を形成することを包含する工程を提供し、
ここで式中、Xは、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
およびPは、各々独立して、保護基であり;
およびRは、各々独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびにホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0253】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式IV:
【化132】
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の化合物の製造方法であって、脱保護条件下で式XIIの化合物を反応させて、式IVの化合物を生成することを包含する工程を包含し、
ここで式中、PおよびPは、各々独立して、保護基であり;
およびRは、各々独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびにホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される。
【0254】
いくつかの実施形態では、式XIIIの化合物は、次式のものである:
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
【0255】
いくつかの実施形態では、Xはクロロ、ブロモまたはヨードである。いくつかの実施形態では、Xはクロロである。
【0256】
鈴木カップリング反応は、いくつかのパラジウム(0)およびパラジウム(II)触媒を用いて開始され、当該技術分野で既知の条件下で実施され得る(例えば、Miyaura and Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95, 2457-2483参照のこと。この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒は、Pd(PPhおよびPd(dppf)Clである。
【0257】
いくつかの実施形態では、パラジウム触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはテトラキス(トリ(o−トリル)ホスフィン)パラジウム(0)である。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。
【0258】
いくつかの実施形態では、パラジウム触媒負荷は、約1×10−4〜約0.1当量である。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒負荷は、約0.0010〜約0.0015当量である。いくつかの実施形態では、式Xの化合物の式XIIIの化合物に対する化学量論比は、約1:1.05〜約1:1.35である。
【0259】
いくつかの実施形態では、溶媒は、水および有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、1,4−ジオキサン、1−ブタノール、1,2−ジメトキシエタン(DME)、2−プロパノール、トルエンまたはエタノール、あるいはその組合せである。いくつかの実施形態では、有機溶媒はDMEを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はDMFを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、塩基は有機塩基である。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属炭酸塩である。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸カリウム(KCO)である。いくつかの実施形態では、2〜5等量の塩基(例えばKCO)が用いられる。
【0261】
いくつかの実施形態では、鈴木カップリング反応は、約80〜約100℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、反応は2〜12時間実行される。いくつかの実施形態では、式XIIの化合物は、任意に、鈴木カップリング反応混合物の水系後処理から単離されるか、または直接用いられ得る。
【0262】
いくつかの実施形態では、Xの化合物はスキーム13におけるものから選択され、示されているように式XIの化合物から出発して、生成され得る。いくつかの実施形態では、Xはクロロである。いくつかの実施形態では、式Xの化合物は単離されるか、あるいはその後の鈴木反応のための出発物質としてin situで生成され、さらに精製されることもされないこともある。いくつかの実施形態では、P保護基は上記で列挙されたもののうちの1つである。
【化134】
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【0263】
適切なP保護基としては、Wuts and Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., John Wiley & Sons: New Jersey, pages 696-887(特にpages 872-887)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で詳しく説明されたアミンのための保護基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Pは、P保護基と置き換わらない条件下で選択的に除去され得る保護基である。いくつかの実施形態では、Pは、酸性条件下で、室温で、約15℃〜約40℃で、または約15℃〜約30℃の温度で除去され得る保護基である。いくつかの実施形態では、Pは、室温酸性条件下で脱保護される基である。いくつかの実施形態では、Pは、1−(エトキシ)エチル、トリ(C1−6アルキル)シリル(例えば、t−ブチルジメチルシリルまたはトリイソプロピルシリル)、p−メトキシベンジル(PMB)、トリフェニルメチル(Tr)、ジフェニルメチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル(MOM)、ジエトキシメチルまたはt−ブチルジメチルシリルメチルである。いくつかの実施形態では、Pは1−(エトキシ)エチルである。
【0264】
基を除去するための式XIIの化合物の処理は、アミンのための特定の保護基、例えばWuts and Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., John Wiley & Sons: New Jersey, pages 696-887(特にpages 872-887)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)における保護基の除去のための当該技術分野で既知の方法により達成され得る。いくつかの実施形態では、処理は、酸性(例えば、塩酸またはトリフルオロ酢酸)条件下で、室温で、約15℃〜約40℃の温度で、または約15℃〜約30℃の温度で、式XIIの化合物を処理することを包含する。いくつかの実施形態では、処理は、約10℃〜約30℃の温度で、約1N〜約5Nの塩酸の水溶液で式XIIの化合物を処理することを包含する。
【0265】
適切なP基としては、上記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0266】
式Xの化合物は、式XIの化合物を保護することにより形成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、式Xの化合物を調製するための工程は、式XI:
【化135】
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の化合物を処理して、保護基を付加して、式X:
【化136】
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の化合物を生成することを包含し、
ここで式中、Xは、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、保護基である。
【0267】
いくつかの実施形態では、式XIの化合物は、有機溶媒、例えばTHF、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン(DME)またはN,N−ジメチルアセトアミド(DAMC)中で、低温で、好ましくは約0〜約5℃の温度で、塩基で、好ましくは水素化ナトリウム(NaH)で脱プロトン化された後、求電子試薬、例えばピバル酸クロロメチル(POM−Cl)またはトリメチルシリルエトキシメチルクロリド(SEM−Cl)で処理されて、保護基Pを付加し得る。保護化化合物Xは、単離されるか、あるいはその後の鈴木反応のための出発物質としてin situで生成され、さらに精製されることもされないこともある。
【0268】
本明細書中に記載される工程から生成される中間体は、適切である場合、本明細書中に記載される他の工程で用いられ得る。
【0269】
ii. 式C−9のピナコールボレートの調製
本発明はさらに、本明細書中に記載される工程において有用である式XVIのピラゾールピナコールボレートの製造方法を提供する。式XIの化合物の特定のサブセットは、式XIIIaの4−置換ピラゾールボレート誘導体であり、これは、上記の式XIIIの化合物の代わりにされ得る。
【化137】
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【0270】
XVIの化合物は、スキーム14に示される方法により生成され得る。先ず、ピラゾールをハロゲン化剤と反応させて、式XIXのモノハロまたはジハロピラゾールを得る(式中、Xはヨードまたはブロモであり、mは1または2である)。次に、式XIXの化合物は保護されて、式XVIIIの保護化モノハロまたはジハロピラゾールを生じる。次いで、式XVIIIの化合物は、アルキルグリニャールまたはアルキルリチウム試薬で処理された後、式XVIIの2−アルコキシ−4,4,5,5、−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン試薬で処理されて、式XVIの所望のピナコールボレートを生成し得る。いくつかの実施形態では、P保護基は、グリニャールまたはリチウム反応の水系後処理に対して安定であるものである(例えば、この場合、Pは1−(エトキシ)エチルである)。他の場合、Pは、グリニャールまたはアルキルリチウム反応の水系後処理に対して安定でない保護基である。この場合、保護基Pを付加するためには、付加的保護化ステップが必要とされる。いくつかの実施形態では、Pは、処理を容易にするために、Pに関して上記で列挙された基から選択される。
【化138】
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【0271】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、式XVI:
【化139】
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の化合物を調製するための工程であって、
(a)式XVIII:
【化140】
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の化合物を、約1当量以上のC1−6アルキル・グリニャール試薬またはC1−6アルキルリチウム試薬と反応させた後、約1当量以上の式XVII:
【化141】
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の化合物で処理すること、および
(b)任意に、ステップ(a)の生成物を再保護して、式XVIの化合物を生成すること
を包含する工程を提供し、
ここで式中、Pは、保護基であり;
は、ハロゲンであり;
は、C1−6アルキルであり;そして
mは、1および2から選択される整数である。
【0272】
いくつかの実施形態では、式XVIIIの化合物とグリニャールまたはリチウム試薬の比は、約1:1〜約1:2.0、約1:1〜約1:1.8または約1:1〜約1.2である。典型的には、反応は、非プロトン性有機溶媒中で実行される。いくつかの実施形態では、溶媒はテトラヒドロフランである。いくつかの実施形態では、式XVIIIの化合物の式XVIIの化合物に対するの比は、約1:1〜約1:5、約1:1〜約1:3または約1:1.5〜約1:2.5である。
【0273】
いくつかの実施形態では、グリニャール試薬がステップ(a)で用いられ、温度は−30℃〜ほぼ室温、約−30〜約0℃、または約−25〜約−5℃である。いくつかの実施形態では、リチウム反応はステップ(a)で用いられ、温度は−80℃〜−60℃、または約−78℃である。
【0274】
いくつかの実施形態では、グリニャール試薬は、臭化イソプロピルマグネシウムまたはその付加物である。
【0275】
いくつかの実施形態では、RはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1−3アルキルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルまたはイソプロピルである。いくつかの実施形態では、Xはヨードまたはブロモである。いくつかの実施形態では、mは2である。いくつかの実施形態では、mは1である。
【0276】
式XVIIIの化合物は、いくつかの場合に既知であり得る(例えばAbe, et al., Heterocycles, 2005, 66, 229-240; Korolev, et al., Tet. Lett. 2005, 46, 5751-5754; Vasilevsky, Heterocycles, 2003, 60(4), 879-886;およびWO 2008/082198を参照のこと。これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。他の実施形態では、当該工程はさらに、式XVIIIの化合物の製造方法であって、式XIX:
【化142】
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の化合物を保護することを包含する方法を含み、
ここで式中、Pは、保護基であり;
は、ハロゲンであり;
mは、1および2から選択される整数である。
【0277】
式XIXの二置換および一置換化合物は、いくつかの場合に既知であり得る(例えば、WO 2007/043677; Vasilevsky, Heterocycles, 2003, 60(4), 879-886;WO 2008/013925;およびHuttel, et al., Ann. 1959, 625, 55参照)。いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式XIXの化合物の製造方法であって、1H−ピラゾールをハロゲン化剤と反応させることを包含する方法を含み、
ここで式中、Xはハロゲンであり;
mは、1および2から選択される整数である。
【0278】
いくつかの実施形態では、Xはヨードまたはブロモである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化剤は、N−ブロモスクシンイミド(NBS)またはN−ヨードスクシンイミドから選択され、この場合、Xはブロモまたはヨードである。
【0279】
本明細書中に記載される工程から生成される中間体は、適切な場合、本明細書中に記載される他の工程に用いられ得る。
【0280】
iii. 4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンの調製
式XIの化合物は、本明細書中に記載される合成工程のうちのいくつかにおいて有用な中間体である。いくつかの実施形態では、本発明は、式XIの化合物である4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(XIa)を調製するための工程を提供する(スキーム15)(式中、Xはクロロである)。
【化143】
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【0281】
4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(XIa)は、式F−1の化合物を酸で処理することにより合成される。式F−1の化合物は、式F−2の化合物を、式CHOCHのイリドを有するウィッティヒ型試薬で処理することにより合成され得る。式F−2の化合物は、市販の4,6−ジヒドロキシピリミジン(化合物F−4)から出発して、ビルスマイヤー・ホルミル化−塩素化により、式F−3の化合物を生成し、その後、選択的加アンモニア分解して、式F−2の化合物を形成することにより生成され得る。
【化144】
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【0282】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、式XIa:
【化145】
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の化合物を調製するための工程であって、式F−1:
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式D−1の化合物を生成するのに十分な条件下で、酸で処理することを包含する工程を提供する。
【0283】
いくつかの実施形態では、酸は強酸である。いくつかの実施形態では、酸は濃塩酸水溶液(約18M)である。いくつかの実施形態では、当該条件は、還流温度で溶媒中での反応を実行することを包含する。いくつかの実施形態では、反応は、約5〜約15時間で完了する。
【0284】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式F−1の化合物を調製するための工程であって、式F−2:
【化147】
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の化合物を、塩基の存在下で、式−CHOCHのイリドを有する約1当量以上のウィッティヒ型試薬と反応させることを包含する工程を包含する。
【0285】
本明細書中で用いる場合、「ウィッティヒ型試薬」という用語は、当該技術分野で記載されるようなウィッティヒ反応、ワーズワース・エモンズ反応およびホーナー・ウィッティヒ反応において用いられる試薬を指す(例えば、Carey and Sundberg, Advanced Organic Chemistry, Part B: Reactions and Synthesis, 4th ed., Kluwer Academic/Plenum Publishers:New York, pages 111-119 (2001);およびMarch, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 3rd ed., John Wiley & Sons:New York, pages 845-855 (1985)参照のこと。これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。シアノメチルまたはシアノメチルイリド基を含有するウィッティヒ型試薬の例としては、限定されないが、一般式(R’O)P(=O)−L−R、R”P(+)−L(−)−R、R”P(+)−L−RX;R”P(=O)−L−Rおよび(R’N)P(=O)−L−Rの化合物が挙げられ、式中、R’はC1−6アルコキシまたは任意に置換されるフェニルであり;R”は任意置換フェニルであり;Lは−CH−または−CH−であり;およびRはシアノであり;そしてXは陰イオン(例えば、ハロ陰イオン、例えば塩化物)である。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬は、ジエチルシアノメチルホスフェートである。いくつかの実施形態では、塩基の存在下で、式D−2の化合物とウィッティヒ型試薬とを反応させる。いくつかの実施形態では、塩基は強塩基である。いくつかの実施形態では、塩基はカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属アルコキシドである。いくつかの実施形態では、塩基はアルカリ金属t−ブトキシドである。いくつかの実施形態では、塩基はカリウムt−ブトキシドである。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬による式F−1のアルデヒドのオレフィン化は、有機溶媒、例えばTHF中で、塩基、例えばカリウムtert−ブトキシドの影響下で、約0〜約5℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、塩基は、式F−1の化合物に対して、約1〜約1.2当量または約1.05〜約1.1当量で存在する。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬は、式F−1の化合物に対して、約1〜約1.2当量または約1.05〜約1.1当量で存在する。いくつかの実施形態では、ウィッティヒ型試薬は(メトキシメチル)トリフェニルホスフィニウムクロリドである。
【0286】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式F−2の化合物を調製するための工程であって、式F−3:
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、溶媒中で約2当量以上のアンモニアと反応させることを含む工程を包含する。
【0287】
いくつかの実施形態では、溶媒はメタノールである。いくつかの実施形態では、アンモニアは、式F−2の化合物に関して約2当量で存在する。
【0288】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式F−3の化合物を調製するための工程であって、式F−4:
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を塩素化剤と反応させることを含む工程を包含する。
【0289】
いくつかの実施形態では、塩素化剤はオキシ塩化リンである。いくつかの実施形態では、塩素化剤は、式F−3の化合物に関して、約2当量以上、約3当量以上、または約4当量以上、あるいは約3〜約5当量で存在する。
【0290】
本明細書中に記載される工程から生成される中間体は、適切な場合、本明細書中に記載される他の工程に用いられ得る。
【0291】
具体的実施形態
いくつかの実施形態では、本発明は、90%以上のエナンチオマー過剰率の式III’:
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーを含む組成物を調製する工程であって、
(a)式XI’:
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化ナトリウムおよび塩化N−ピバロイルオキシメチルで処理して、式X’:
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(b)Pd(トリフェニルホスフィン)、炭酸カリウムおよび溶媒の存在下で、式X’の前記化合物を、式XIII’:
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XII’:
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(c)脱保護条件下で、式XII’の化合物を反応させて、式IV’:
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を得ること;
(d)1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンの存在下で、式IV’’の化合物を、式XIV’:
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式II’:
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を得ること;
(e)[Rh(COD)]CFSO、ならびに以下の:
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
から選択されるキラルホスフィンリガンドの存在下で、式II’の化合物を水素ガスと反応させて、式I’:
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;および
(f)脱保護条件下で、式I’の前記化合物を反応させて、式III’(式中、はキラル炭素を示す)の前記化合物を生成すること
を包含する工程を提供する。
【0292】
ステップ(e)のいくつかの実施形態では:
溶媒は、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)であり;
水素化触媒負荷は、約0.005〜約0.01mol%であり;
式IIの化合物の水素化触媒に対する比は、約20000/1〜約10000/1であり;
水素圧は、約7〜約60barであり;
反応は、ほぼ室温〜約75℃Cの温度で実行され;
反応は、式IIの化合物が式 の化合物に99.5%以上変換するまで実行され;そして
反応は、約10〜約25時間である。
【0293】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式XI’:
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を調製することをさらに包含する工程であって、
(i)F−4:
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、約1〜約2当量のジメチルホルムアミドの存在下で、約3〜約5当量のPOClと反応させて、式F−3:
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(ii)F−3の化合物を、メタノール中で約2当量のアンモニアと反応させて、式F−2:
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(iii)約1〜約1.5当量のカリウムtert−ブトキシドの存在下で、式F−2の化合物を、約1〜約1.5当量の式[Ph(CHOCH)]Cl(式中、Phはフェニルである)のウィッティヒ型試薬と反応させて、式F−1:
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;および
(iv)式F−1の化合物を、還流で、テトラヒドロフラン中において濃塩酸水溶液で処理して、式XI’の化合物を生成すること
を包含する。
【0294】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式XIII’:
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を調製することをさらに包含する工程であって、
(i)1H−ピラゾールをN−ブロモスクシンイミドと反応させて、式XIX’:
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(ii)式XIXの化合物を保護して、式XVIII’:
【化167】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;および
(iii)式XVIII’の化合物を、約1当量以上の塩化イソプロピルマグネシウムと反応させた後、約1当量以上の式XVII’:
【化168】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XIII’の化合物を生成すること
を包含する。
【0295】
いくつかの実施形態では、当該工程はさらに、式XIII’:
【化169】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を調製することを包含する工程であって、
(i)4−ヨード−1H−ピラゾールを保護して、式XVIII’’:
【化170】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;および
(ii)式XVIII’’の化合物を、テトラヒドロフラン中で約1当量以上の塩化イソプロピルマグネシウムと反応させた後、約1当量以上の式XVII’:
【化171】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XIII’の化合物を生成すること
を包含する。
【0296】
さらなる実施形態では、本発明は、式III’:
【化172】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製する工程であって、
(a)式XI’:
【化173】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化ナトリウムおよび2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリドで処理して、式X’’:
【化174】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(b)Pd(トリフェニルホスフィン)、炭酸カリウムおよび溶媒の存在下で、式X’’の化合物を、式XIII’:
【化175】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XII’’:
【化176】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(c)脱保護条件下で、式XII’’の化合物を反応させて、式IV’’:
【化177】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(d)式IV’’の化合物と式D−1’:
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物との反応を、式I’’:
【化179】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で実施すること;
(e)式I’’の化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(f)式I’’の前記化合物をテトラフルオロホウ酸リチウムと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を生成すること
を包含する工程を提供し、
ここで式中、はキラル炭素である。
【0297】
他の実施形態では、本発明は、式III’:
【化180】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製する工程であって、
(a)式I’’の化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、アセトニトリル中の炭酸セシウムの存在下で、エナンチオマー過剰の式I’’:
【化181】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(S)−エナンチオマーを含む組成物を、式D−1’:
【化182】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理すること;
(b)式I’’の化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(c)式I’’の化合物をテトラフルオロホウ酸リチウムと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する工程を提供し、
ここで式中、はキラル炭素である。
【0298】
他の実施形態では、式III’:
【化183】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製する工程であって、
(a)式XI’:
【化184】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化ナトリウムおよび2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリドで処理して、式X’’:
【化185】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(b)Pd(トリフェニルホスフィン)、炭酸カリウムおよび溶媒の存在下で、式X’’の前記化合物を、式XIII’:
【化186】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XII’’:
【化187】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(c)脱保護条件下で、式XII’’の前記化合物を反応させて、式IV’’:
【化188】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成すること;
(d)式IV’’の前記化合物と式D−1’:
【化189】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物との反応を、式I’’:
【化190】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物を形成するのに十分な条件下で実施すること;
(e)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(f)式I’’の前記化合物をボロントリフルオリドジエチルエーテレートと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する工程を提供し、
ここで式中、はキラル炭素である。
【0299】
他の実施形態では、本発明は、式III’:
【化191】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製する工程であって、
(a)式I’’の化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、アセトニトリル中の炭酸セシウムの存在下で、式I’’:
【化192】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1’:
【化193】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理すること;
(b)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(c)式I’’の前記化合物をボロントリフルオリドジエチルエーテレートと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する工程を提供し、
ここで式中、はキラル炭素である。
【0300】
他の実施形態では、本発明は、式III’:
【化194】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製する工程であって、式I’’:
【化195】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の前記化合物を、ボロントリフルオリドジエチルエーテレートと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する工程を提供し、
ここで式中、はキラル炭素である。
【0301】
他の実施形態では、本発明は、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩を調製するための工程であって、2−プロパノールおよびジクロロメタンの存在下で、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルをリン酸と反応させることを包含する工程を提供する。
【0302】
他の実施形態では、本発明は、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩の精製方法であって、メタノール、2−プロパノールおよびn−ヘプタンを含む溶媒混合物から(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩を再結晶化することを包含する方法を提供する。いくつかの実施形態では、2−プロパノールおよびn−ヘプタンが、メタノール中の(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩の混合物に付加される。
【0303】
具体的実施例により、本発明をより詳細に記載する。以下の実施例は、説明のために提供されるものであって、如何なる点でも本発明を限定するものではない。変更され、または修正されて、本質的に同一の結果を生じ得る種々の非決定的パラメーターを、当業者は容易に理解する。
【実施例】
【0304】
【化196】
[この文献は図面を表示できません]
[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(5) 撹拌棒、隔壁、熱電対、500mL添加漏斗および窒素流入口を装備した炉乾燥3L四つ首丸底フラスコに、水素化ナトリウム(NaH、鉱油中60重量%,0.82mol、1.20当量)および無水1,2−ジメトキシエタン(DME、500mL、4.8mol)を投入し、その結果生じた混合物を0〜3℃に冷却した。炉乾燥1L丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、105.0g、0.684mol)および1,2−ジメトキシエタン(DME、750mL、7.2mol)を投入し、その結果生じたスラリーを次に、30分に亘って5〜12℃で、大口径カニューレによりDME中の水素化ナトリウムの懸濁液に少しずつ付加した。その結果生じた反応混合物は、不均質であった。付加後、冷浴を取り除き、混合物を徐々に室温に温めて、室温で1時間撹拌した後、0〜5℃に冷却した。ピバル酸クロロメチル(ピバロイルオキシメチルクロリド、POM−Cl、112ml、0.752mol、1.1当量)を、0〜5℃で撹拌しながら30分間に亘って、反応混合物中に滴下した。ピバル酸クロロメチルの付加は軽度に発熱性で、反応温度は14℃という高さまで上がった。ピバル酸クロロメチルの付加後、冷却浴を除去して、反応混合物を室温に戻し、室温で90分間撹拌した。TLCおよびLCMSにより確認して反応が完了したと思われたら、水(100mL)で反応を注意深くクエンチした。そして、粗製POM保護化クロロデアザプリン(2)を含有するこのクエンチされた反応混合物を、その後の鈴木カップリング反応に直接用いて、さらなる後処理および精製をしなかった。
【0305】
上記のように製造された粗製POM保護化クロロデアザプリン(2)を含有するクエンチされた反応混合物に、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(3、200g、0.75mol、1.10当量)および炭酸カリウム(KCO、189g、1.37mol、2.0当量)を室温で付加した。その結果生じた混合物を、窒素流をその溶液に15分間通すことにより、脱気し、その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh、7.9g、0.68mmol、0.01当量)で処理し、その結果生じた反応混合物を、10時間、還流(約82℃)加熱した。TLC(1:1 ヘキサン/酢酸エチル)およびLCMSにより確認して反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷まして、酢酸エチル(2L)および水(1L)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(EtOAc、500mL)で抽出した。併合有機層を水(2×1L)およびブライン(1L)で洗浄した後、減圧下で濃縮して、粗製{4−[1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル}メチルピバレート(4)を淡黄色油として得て、これを、さらに精製せずに、その後の脱保護反応に直接用いた。
【0306】
THF中の粗製{4−[1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル}メチルピバレート(4)の溶液(1L、12.3mol)に、室温で、4NのHCl水溶液(500mL)を付加した。その結果生じた反応混合物を、その後、室温で5時間撹拌した。TLCおよびLCMSにより確認して反応が完了したと思われたら、反応混合物を0〜5℃に冷却した後、1M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液(2L)でpHを9〜10に調整した。混合物を減圧下で濃縮して、THFのほとんどを除去し、その結果生じた懸濁液を室温で2時間撹拌した。固体を濾過により収集し、水(3×500mL)で洗浄し、真空乾燥して、粗製[4−(1−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(5、157.5g、204.43g(理論値)、3つのステップの収率77%)をオフホワイト色固体として得たが、これはさらに精製せずにその後の反応を実行するのに十分に純粋(HPLCにより>98面積%)であることが判明した。5に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 13.42 (br s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.68 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.21 (s, 2H), 1.06 (s, 9H);13C NMR(DMSO−d,100 MHz)δppm 177.74, 152.31, 152.09, 151.91, 139.52, 130.39, 120.51, 113.93, 101.91, 67.26, 38.98, 27.26; C1517(分子量299.33),LCMS(EI)m/e300(M+H)。
【0307】
【化197】
[この文献は図面を表示できません]
シアナトベンゼン(6) オーバーヘッド撹拌、隔壁、熱電対および窒素流入口を装備した炉乾燥500mL三つ首丸底フラスコに、フェノール(20.0g、0.210mol)、ジエチルエーテル(EtO、290mL)および臭化シアン(BrCN、23.0g、0.210mol、1.0当量)を室温で付加した。その結果生じた溶液を0〜3℃に冷却した後、トリエチルアミン(TEA、61.9mL、0.442mol、2.1当量)を、25分間に亘って注射器で滴下した。反応混合物へのトリエチルアミンの付加は軽度に発熱性で、反応温度は15℃という高さまで上がった。トリエチルアミンの付加後、反応混合物は白色スラリーになったが、これを、5〜15℃で2時間、激しく撹拌して0℃にした。TLCおよびLCMSにより確認して反応が完了したと思われたら、反応混合物をペンタン(150mL、1.30mol)で希釈した。沈澱塩酸トリエチルアミンを濾し取り、塩をジエチルエーテルおよびペンタン(容量で1:1、200mL)で洗浄した。次に、濾液を減圧下で濃縮して、大部分の溶媒を除去し、粗製シアナトベンゼン(6)を含有する残渣を、さらに精製せずにその後の反応に直接用いたが、理論的収率が推定された。
【0308】
3−シクロペンチルプロピオロニトリル(8) 撹拌棒、窒素流入口、125mL添加漏斗および熱電対を装備した炉乾燥500mL三つ首丸底フラスコに、シクロペンチルアセチレン(7、15.0g、0.143mol)および無水テトラヒドロフラン(THF、170mL、2.10mol)を室温で付加した。その結果生じた溶液を−78℃に冷却した後、ヘキサン中の2.5Mのn−ブチルリチウムの溶液(63.1mL、0.158mol、1.1当量)を、25分間に亘って滴下した。その結果生じたリチウムシクロペンチルアセチレン溶液を−78℃で15分間撹拌した後、無水テトラヒドロフラン(THF、30.0mL、0.400mol)中の粗製シアナトベンゼン(6、25.0g、0.210mol、1.5当量)の溶液を−78℃でカニューレにより滴下した。その結果生じた反応混合物を−78℃でさらに10分間撹拌した後、冷却バッチを除去し、反応混合物を徐々に室温に温めて、室温で1〜2時間撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を6N水酸化ナトリウム水溶液(NaOH、200mL)および20%ブライン水溶液(200mL)でクエンチした。水溶液を酢酸エチル(EtOAc、200mL)で処理した後、2つの層を分離した。有機層を硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0〜5%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、3−シクロペンチルプロピオロニトリル(8、14.3g、17.0g(理論値)、2つのステップの収率84%)を、黄色〜橙色油として得た。8に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δ 2.97 (m, 1H), 1.97 (m, 2H), 1.64 (m, 4H), 1.56 (m, 2H)。
【0309】
【化198】
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4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルビニル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(9) 撹拌棒および窒素流入口を装備した500mL三つ首丸底フラスコに、3−シクロペンチルプロピオロニトリル(8、8.50g、0.0713mol、1.52当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、84mL、1.08mol)および[4−(1−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(5、14.0g、0.0468mol)および固体炭酸カリウム(KCO、0.329g,0.00238mol、0.05当量)を室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、次に、室温で60分間撹拌した。反応が完了したと思われることをTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を20%ブライン水溶液(75mL)でクエンチし、その結果生じた溶液を酢酸エチル(EtOAc、3×75mL)で抽出した。併合有機抽出物を20%ブライン水溶液(75mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜20%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルビニル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(9、16.4g、19.6g(理論値)、収率83.7%)を白色固体として得た。9に関しては:H NMR(DMSO−d,300 MHz)δ 9.09 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 7.78 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.17 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.24 (s, 2H), 5.82 (s, 1H), 3.55 (m, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.59 (br m, 6H), 1.06 (s, 9H); C2326(分子量 418.49)、LCMS(EI)m/e419(M+H)。
【0310】
(Z)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロプ−1−エニル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(10) 撹拌棒および窒素流入口を装備した200mL丸底フラスコに、4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルビニル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(9、8.00g、0.019mol)、トリフルオロ酢酸(TFA、40.6mL、0.528mol)および濃硫酸(HSO、3.77mL、0.0707mol)を室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、室温で60分間撹拌した。反応が完了したと思われることをTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を水(30.1mL、1.67mol)でクエンチした。クエンチされた反応混合物を室温で30分間撹拌した後、0〜5℃に冷却した。次いで、冷却溶液を3N水酸化ナトリウム水溶液(NaOH、223mL)で処理してpHを8に調整した後、酢酸エチル(EtOAc、200mL)で処理した。2つの層を分離し、次に、水性層を酢酸エチル(EtOAc、2×50mL)で抽出した。併合有機抽出物を飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜100%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(Z)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロプ−1−エニル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(10、6.79g、8.34g(理論値)、収率81.4%)を薄黄色固体として得た。10に関しては:H NMR(DMSO−d,300 MHz)δ 8.77 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.71 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.51 (br. s, 1H), 7.09 (br. s, 1H), 7.05 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.22 (s, 2H), 5.97 (s, 1H), 3.27 (m, 1H), 1.77 (m, 2H), 1.54 (m, 6H), 1.06 (s, 9H);C2328(分子量 436.51)、LCMS(EI)m/e437(M+H)。
【0311】
【化199】
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(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(11) 撹拌棒を装備した25mL丸底フラスコに、(Z)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロプ−1−エニル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(10、1.15g、2.63mol)、テトラヒドロフラン(THF、20.0mL、246mol)および10%パラジウム炭素(含水率50%、130mg)を室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、毎回水素ガスを裏込めしながら3回脱気した後、水素バルーンにより放出される安定流の水素ガス下で水素化を実行した。17時間後に反応を調べた結果、完了していることが判明した。次に、反応混合物をセライト床に通して濾過して触媒を除去し、セライト床を少量のテトラヒドロフラン(THF)ですすいだ。併合濾液を減圧下で濃縮して、粗製(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(11、1.15g、1.153g(理論値)、収率99%)を黄色〜褐色油として得て、これを室温で真空中で放置して固化した。この粗製(11)は、さらに精製せずに以後の反応を実行するのに十分に純粋(HPLCにより>98%)であることが判明した。11に関しては:H NMR(DMSO−d,300 MHz)δppm8.73 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.70 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.32 (bs, 1H), 7.09 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.75 (bs, 1H), 6.21 (s, 2H), 4.56 (td, 1H, J = 4.0, 9.8 Hz), 2.86 (dd, 1H, J = 10.5, 5.6 Hz), 2.63 (dd, 1H, J = 4.0, 15.3 Hz), 2.32 (m, 1H), 1.77 (m, 1H), 1.56 - 1.19 (m, 7H), 1.06 (s, 9H);LCMS(EI)m/e439(M+H);C2330(分子量 438.52)、LCMS(EI)m/e439(M+H)。
【0312】
(R)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−11)および(S)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((S)−11)
光学的富化生成物(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−11または(S)−11)を得るために基質(Z)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロプ−1−エニル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(10)を用いる不斉水素化のための一般スクリーニング手順:ガラスバイアル(20mL)を有する300mL容量オートクレーブに、窒素下で、基質(10)、触媒(金属、リガンドおよび触媒前駆体)および無酸素溶媒(4〜6mL)を入れた。このオートクレーブに水素ガスを投入して所望の圧力にして、室温で撹拌するかまたは油浴を用いて加熱した。水素ガスを放出後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルおよびメタノール(v/v=9/1)の混合物を用いてシリカゲルパッドを通して溶離することにより精製して、生成物(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−11または(S)−11)を、化学変換(HPLCおよびキラルHPLC)、LC/MSおよびNMR分光法、ならびにエナンチオマー過剰率(キラルHPLCによる%ee)決定のために生成した。
【0313】
キラルHPLC分析により、生成物のエナンチオマー過剰率(%ee)の決定を実行した。キラルパク(登録商標)IAカラムを用いた。移動相は、ヘキサンとエタノールの混合物(v/v=90/10)であった。流量は1mL/分であり、UV検出波長は254nmに設定した。基質(10)、非所望のエナンチオマー((S)−11、第一ピーク)および所望のエナンチオマー((R)−11、第二ピーク)を、それぞれ保持時間46分、36分および38分で良好に分割した。(R)−11または(S)−11に関しては:H NMR(DMSO−d,300 MHz)δppm8.73 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.70 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.32 (bs, 1H), 7.09 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.75 (bs, 1H), 6.21 (s, 2H), 4.56 (td, 1H, J = 4.0, 9.8 Hz), 2.86 (dd, 1H, J = 10.5, 5.6 Hz), 2.63 (dd, 1H, J = 4.0, 15.3 Hz), 2.32 (m, 1H), 1.77 (m, 1H), 1.56 - 1.19 (m, 7H), 1.06 (s, 9H);LCMS(EI)m/e439(M+H);C2330(分子量 438.52)、LCMS(EI)m/e439(M+H)。
【0314】
以下の表は、この不斉水素化に関する分析および反応条件を要約する。
【表1】
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【0315】
この試験に用いたキラルホスフィンリガンドの構造を、以下に列挙する。
【化200】
[この文献は図面を表示できません]
【0316】
代表的分取不斉水素化手順ならびに結晶化による生成物キラル純度増大を、以下に記載する。
【0317】
(S)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((S)−11) 圧力ガラス管中の塩化メチレン(CHCl、12.5mL)およびトリフルオロエタノール(CFCHOH、0.25mL)中の(4−{1−[(1Z)−3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]−1H−ピラゾール−4−イル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(10、215mg)の溶液を、窒素下で触媒Rh(COD)(SSRR−TangPhos)BF(8.8mg)で処理した後、反応混合物を水素ガスで40bar圧に加圧した。反応混合物を、この水素圧下で20時間、50℃で撹拌した。基質が完全に消費されたことをHPLCが示したら、反応混合物を室温に下げた。反応混合物のエナンチオマー過剰率を、キラルHPLCにより、88%ee(94%の第一ピーク、(S)−11;6%の第二ピーク、(R)−11)であると確定した。反応混合物を薄いシリカゲルパッドを通して濾過して、パッドを塩化メチレン(5mL)で洗浄した。次に、濾液を減圧下で濃縮して、乾燥した。その結果生じた泡状固体(180mg)に、ヘプタン(5mL)および酢酸エチル(EtOAc、5mL)の混合物を投入した。20℃で撹拌すると、白色固体が析出した。スラリーを、20℃で16時間撹拌した。固体を濾過により収集し、収集固体(52mg)に関するキラルHPLC分析は、66.0%のエナンチオマー過剰率を示し、第一ピークが優位であった(83%の第一ピーク、(S)−11;17.0%の第二ピーク、(R)−11)。得られた濾液を、次に、蒸発、乾燥させた。その結果生じた油(108mg)を、キラルHPLCにより分析したが、99.6%のエナンチオマー過剰率を示し、第一ピークが優位であった(99.83%の第一ピーク、(S)−11;0.17%の第二ピーク、(R)−11)。この結果は、原則として、記載されたような適切な溶媒系、例えば酢酸エチル/ヘプタンを用いた固体の沈降による少ない方のエナンチオマーの選択的除去により、不斉水素化生成物の光学純度が大幅に増強され得る、ということを示した。
【0318】
(R)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−11) 圧力ガラス管中のメタノール(MeOH、8.0mL)中の(4−{1−[(1Z)−3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]−1H−ピラゾール−4−イル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(10、500mg)の溶液を、窒素下で触媒Ru(COD)(SL−A153−1)(CFCO(6.6mg)で処理した後、反応混合物を水素ガスで50bar圧に加圧した。反応混合物を、この水素圧下で21時間、30℃で撹拌した。基質が完全に消費されたことをHPLCが示したら、反応混合物を室温に下げた。反応混合物のエナンチオマー過剰率を、キラルHPLCにより、98%ee(99%の第二ピーク、(R)−11;1%の第一ピーク、(S)−11)であると確定した。次いで、反応混合物を薄いシリカゲルパッドを通して濾過して、パッドをメタノール(5mL)で洗浄した。次に、濾液を減圧下で濃縮して、乾燥した。その結果生じた泡状固体(470mg)をキラルHPLC分析により分析し、結果は、98.0%のエナンチオマー過剰率を示し、第二ピークが優位であった(99.0%の第二ピーク、(R)−11;1.0%の第一ピーク、(S)−11)。
【0319】
【化201】
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(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−12) 方法A:撹拌棒および窒素流入口を装備した50mL丸底フラスコに、(R)−(4−(1−(3−アミノ−1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−11、413mg、0.942mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、10mL、129mmol)およびトリエチルアミン(TEA、0.525mL、3.77mmol、4.0当量)を室温で投入した。その結果生じた混合物を、次に、氷浴中で0〜5℃に冷却した後、塩化トリクロロアセチル(0.315mL,2.82mmol、3.0当量)を室温で注射器で滴下した。その結果生じた反応混合物を、0〜5℃で90分間撹拌した。反応が完了したと思われることをTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を酢酸エチル(EtOAc、25mL)および20%ブライン水溶液(20mL)で処理した。2つの層を分離して、水性層を酢酸エチル(EtOAc、2×25mL)で抽出した。併合有機抽出物を20%ブライン水溶液(35mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留褐色油状粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−12、278mg、396.1mg(理論値)、収率70.2%)を軽油として得て、これを、真空中で室温で放置して固化した。(R)−12に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.1面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.6面積%;99.2%ee);H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm8.84 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.74 (d, 1H, J = 3.7 Hz,), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.23 (s, 2H), 4.53 (ddd, 1H, J = 9.9, 9.6, 4.2 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 17.4, 9.9 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 17.2, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.87 - 1.13 (m, 8H), 1.07 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。
【0320】
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−13、遊離塩基) 方法A:撹拌棒および窒素流入口を装備した25mL丸底フラスコに、(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−12、278mg、0.661mmol)およびメタノール(MeOH、2.50mL、37.0mmol)を室温で投入した。その結果生じた均質反応溶液を、次に、室温で、0.l0M水酸化ナトリウム水溶液(NaOH、1.5mL,0.15mmol、2.3当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、室温で22時間撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を20%ブライン水溶液(10mL)および酢酸エチル(EtOAc、25mL)で希釈した。2つの層を分離して、水性層を酢酸エチル(EtOAc、25mL)で抽出した。併合有機分画を硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜100%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−13、遊離塩基、188mg、202.5mg(理論値)、収率92.8%)を無色油として得て、これを、真空中で室温で放置して固化した。(R)−13(遊離塩基)に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm12.1 (bs, 1H), 8.80 (d, 1H, J = 0.42 Hz), 8.67 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.59 (dd, 1H, J = 2.34, 3.51 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 1.40, 3.44 Hz), 4.53 (td, 1H, J = 19.5, 4.63 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 9.77, 17.2 Hz), 3.18 (dd, 1H, J = 4.32, 17.3 Hz), 2.40 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.65 to 1.13 (m, 7H);C1718(分子量 306.37)LCMS(EI)m/e307(M+H)。
【0321】
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩((R)−14、リン酸塩) イソプロパノール(IPA、8L)中の(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−13、遊離塩基、575g、1.87mol)の溶液に、60〜65℃で、イソプロパノール(1.6L)中のリン酸(186.2g,1.9mol、1.10当量)の溶液を付加した。リン酸の溶液の付加の間、発熱は観察されず、ほぼ直ちに、沈澱が形成された。その結果生じた混合物を、次に、76℃で1.5時間加熱し、次いで、徐々に周囲温度に冷まして、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、固体をヘプタンとイソプロパノールの混合物(1/1、v/v、3L)で洗浄した後、元のフラスコに戻して、ヘプタン(8L)中で1時間撹拌した。固体を濾過により収集し、ヘプタン(1L)で洗浄して、真空中で40℃で対流式炉中で乾燥して、一定重量として、(3R)−シクロペンチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩((R)−14、リン酸塩、634.2g、755g(理論値)、収率84%)を白色〜オフホワイト色結晶固体として得た。(R)−14(リン酸塩)に関しては:融点197.6℃;H NMR(DMSO−d,500 MHz)δppm12.10 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.36 (s 1H), 7.58 (dd, 1H, J = 1.9, 3.5 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 4.52 (td, 1H, J = 3.9, 9.7 Hz), 3.25 (dd, 1H, J = 9.8, 17.2 Hz), 3.16 (dd, 1H, J = 4.0, 17.0 Hz), 2.41, (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.59 (m, 1H), 1.51 (m, 2H), 1.42 (m, 1H), 1.29 (m, 2H), 1.18 (m, 1H);13C NMR(DMSO−d,125 MHz)δppm 152.1, 150.8, 149.8, 139.2, 131.0, 126.8, 120.4, 118.1, 112.8, 99.8, 62.5, 44.3, 29.1, 29.0, 24.9, 24.3, 22.5;C1718(遊離塩基に関する分子量 306.37)LCMS(EI)m/e307(M+H、塩基ピーク)、329.1(M+Na)。
【0322】
【化202】
[この文献は図面を表示できません]
4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(17) 1,2−ジメトキシエタン(DME、20.0mL、192.4mmol)中の水素化ナトリウムの懸濁液(NaH、60重量%油性、4.05g、101.3mmol、1.54当量)に、0〜5℃(氷浴)で、温度を5℃以下(−7℃〜5℃)に保持するよう徐々に、1,2−ジメトキシエタン(DME、80.0mL、769.6mmol)中の4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、10.08g,65.6mmol)を付加した。基質(1)の溶液を導入直後に、大量のガスが放出された。その結果生じた反応混合物を0〜5℃で30分間撹拌した後、トリメチルシリルエトキシメチルクロリド(SEM−Cl、12.56g、75.3mmol、1.15当量)を、反応温度を5℃より低く保持しながら、徐々に付加した。付加後、反応物を0℃で1時間撹拌した後、23時間、室温に温めた。反応が完了したようであるとHPLCおよびTLCが示したら、反応混合物を室温で水(46mL)でクエンチし、所望の生成物(15)を含有するクエンチされた反応混合物を、さらなる後処理および精製をせずに、次の鈴木カップリング反応に直接移した。
【0323】
上記のような前の反応からの粗製4−クロロ−7−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(15、18.63g、65.64mmol)を含有するクエンチされた反応混合物に、室温で、1,2−ジメトキシエタン(DME、38mL)、粉末炭酸カリウム(KCO、23.56g、170.5mmol、2.6当量)、1−(1−エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(3、18.60g、69.89mmol、1.06当量)を付加した。その結果生じた混合物を、毎回窒素ガスを裏込めしながら4回脱気した後、室温で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh、244.2mg、0.21mmol、0.003当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素ガスを裏込めしながら4回脱気した後、4〜8時間、80℃に温めた。反応が完了したようであることをTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を徐々に室温に冷まして、短床のセライト(10g)に通して濾過した。セライト床を酢酸エチル(EtOAc、20mL)で洗浄した。濾液の2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(EtOAc、2×30mL)で抽出した。併合有機抽出物を飽和NaCl水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗製の所望の鈴木カップリング生成物(16)を含有する残渣を、次に、THF(22mL)を含入する500mL丸底フラスコに移して、その後、さらに精製せずに脱保護反応に付した。
【0324】
THF(22mL)中の粗製鈴木カップリング生成物(16)の溶液を、室温で、水(108mL)で、ならびに、19.6mLの濃HClを64mLのHOと混合することにより調製された10%HCl水溶液で処理した。その結果生じた反応混合物を、室温で4〜6時間撹拌した。脱保護反応が完了したようであることをTLCおよびHPLCが示したら、21.0mLのHO中に10.4gのNaOHを溶解することにより調製された30%水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)を、25℃より低い温度を保持しながら、反応混合物に徐々に付加した。固体は徐々に溶解し、10分後に再沈澱した。混合物を室温で1〜2時間撹拌した後、固体を濾過により収集し、HO(50mL)で洗浄した。湿潤ケークを250mL三つ首フラスコに移して、室温で、アセトニトリル(MeCN、112mL)で処理した。混合物を2時間、加熱、還流した後、徐々に室温に冷まして、室温で1時間撹拌した。固体を濾過により収集し、MeCN(36mL)で洗浄し、真空炉中で40〜45℃で乾燥して、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(17、15.3g、20.7g(理論値)、3つのステップの収率73.9%)を、白色結晶固体として得た(HPLCにより99.4面積%)。17に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 13.41 (bs, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.67 (bs, 1H), 8.35 (bs, 1H), 7.72 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.10 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.61 (s, 2H), 3.51 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.13 (s, 9H);C1521OSi(分子量 315.45)、LCMS(EI)m/e316(M+H)。
【0325】
【化203】
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メチル3−シクロペンチルプロピオレート(18) 無水テトラヒドロフラン(THF、200mL、2466mmol)中のシクロペンチルアセチレン(7、17.49mL、150.0mmol)の撹拌溶液に、−78℃で、ヘキサン中の2.50Mのn−ブチルリチウム(66.0mL、165mmol、1.1当量)を付加した。その結果生じた乳状懸濁液を、−78℃で30分間撹拌した。次に、メチルクロロホルメート(17.6mL、225mmol、1.5当量)を付加した。反応混合物は透明溶液になった。次に、冷却浴を除去し、反応混合物を室温に上げさせて、室温で1時間撹拌した。反応混合物は、再び懸濁液になった。反応が完了したようであることをTLC(5%EtOAc/ヘキサン、KMnO染色)が示したら、反応混合物を飽和NHCl水溶液(150mL)でクエンチして、ジエチルエーテル(EtO、2×200mL)で抽出した。併合有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を真空下で蒸留して(99〜101℃/16mbar)、メチル3−シクロペンチルプロピオレート(18、21.856g、22.83g(理論値)、収率96%)を無色油として得た。H NMR(CDCl、400 MHz)δppm 3.74 (s, 3H), 2.73 (m, 1H), 1.95 (m, 2H), 1.72 (m, 4H), 1.57 (m, 2H)。
【0326】
【化204】
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(Z)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリロニトリル(19) N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、40.0mL、516mmol)中の4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(17、7.260g、23.01mmol)および3−シクロペンチルプロプ−2−イネニトリル(8、6.140g、34.52mmol、1.5当量)の撹拌溶液に、室温で、固体炭酸カリウム(KCO、318mg、2.30mmol、0.1当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で30分間撹拌した。反応が完了したと思われることをTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を水(80mL)でクエンチし、EtOAc(2×150mL)で抽出した。併合有機層を水(80mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜30%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(Z)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリロニトリル(19、8.256g、10.0g(理論値)、収率82.6%)を無色シロップとして得た。19に関しては:H NMR(CDCl,300 MHz)δppm9.15 (bs, 1H), 8.96 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 7.51 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 6.93 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 5.75 (s, 2H), 5.29 (s, 1H), 3.62 (m, 1H), 3.60 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 2.16 (m, 2H), 1.81 (m, 4H), 1.59 (m, 2H), 0.98 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.00 (s, 9H);C2330OSi(分子量 434.61)、LCMS(EI)m/e435.2(M+H)。
【0327】
(R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−20)および(S)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−20)
光学的富化生成物3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−20または(S)−20)を得るために基質(Z)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリロニトリル(19)を用いる不斉水素化のための一般スクリーニング手順:ガラスバイアル(20mL)を有する300mL容量オートクレーブに、窒素下で、基質(19)、触媒(金属、リガンドおよび触媒前駆体)および無酸素溶媒(4〜6mL)を入れた。このオートクレーブに水素ガスを投入して所望の圧力にして、室温で撹拌するかまたは油浴を用いて加熱した。水素ガスを放出後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルおよびメタノール(v/v=9/1)の混合物を用いてシリカゲルパッドを通して溶離することにより精製して、生成物3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−20または(S)−20)を、化学変換(HPLCおよびキラルHPLC)、LC/MSおよびNMR分光法、ならびにエナンチオマー過剰率(キラルHPLCによる%ee)決定のために生成した。
【0328】
キラルHPLC分析により、生成物のエナンチオマー過剰率(%ee)の決定を実行した。セルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)(キラルセル(登録商標)OD)で被覆されたシリカゲルを詰め込まれたキラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、10%エタノールおよび90%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.0より大きい分解能で、2つのエナンチオマー(R)−20または(S)−20を分離する。UV検出波長は220nmである。(S)−エナンチオマー((S)−20)および(R)−エナンチオマー((R)−20)に関する保持時間は、それぞれ10.3分(第一ピーク)および13.1分(第二ピーク)である。(R)−20または(S)−20に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm8.83 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.77 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.63 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.0 Hz), 3.51 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 3.23 (dq, 2H, J = 9.3, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.66 - 1.13 (m, 7H), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.124 (s, 9H);C2332OSi(分子量 436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)および459(M+Na)。
【0329】
以下の表は、この不斉水素化に関する分析および反応条件を要約する。
【表2】
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【0330】
この試験に用いたキラルホスフィンリガンドの構造を、以下に列挙する。
【化205】
[この文献は図面を表示できません]
【0331】
代表的な分取不斉水素化手順を以下に記載する。
【0332】
(S)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−20) 圧力ガラス管中の塩化メチレン(CHCl、4.0mL)中の(Z)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリロニトリル(19、116mg)の溶液を、窒素下で触媒[Ru(p−シメン)(S−C3−TunePhos)Cl]Cl(8.5mg)で処理した後、反応混合物を水素ガスで60bar圧に加圧した。反応混合物を、この水素圧下で19時間、75℃で撹拌した。基質が完全に消費されたことをHPLC分析が示したら、反応混合物を室温に下げた。反応混合物のエナンチオマー過剰率を、キラルHPLCにより、34.1%ee(67,05%の第一ピーク、(S)−20;32.95%の第二ピーク、(R)−20)であると確定した。反応混合物を薄いシリカゲルパッドを通して濾過して、パッドを塩化メチレン(CHCl、5mL)で洗浄した。次に、濾液を減圧下で濃縮して、乾燥した。その結果生じた泡状固体(107mg)をキラルHPLC分析により分析し、結果は34.1%のエナンチオマー過剰率を示し、第一ピークが優位であった(67.05%の第一ピーク、(S)−20;32.95%の第二ピーク、(R)−20)。
【0333】
【化206】
[この文献は図面を表示できません]
(E)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリレート(21) アセトニトリル(76mL、1400mmol)中の4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(17、12.08g、38.31mmol)およびメチル3−シクロペンチルプロプ−2−イノエート(18、8.970g、45.97mmol、1.2当量)の撹拌懸濁液に、室温で、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU、2.92mL、19.2mmol、0.5当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で2時間撹拌した。反応が完了したようであるとLCMSが示したら、反応混合物を水(50mL)および1NのHCl水溶液(20mL)でクエンチした。1NのHCl水溶液での処理後、クエンチされた反応混合物をpH4に調整した。次に、混合物をEtOAc(2×100mL)で抽出し、併合有機層をブラインで洗浄して、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO、0〜50%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(E)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリレート(21、6.838g、17.92g(理論値)、収率38%)を無色の非常に粘性の油として得た。19に関しては:H NMR(CDCl、400 MHz)δppm8.93 (s, 1H), 8.55 (bs, 1H), 8.44 (s, 1H), 7.49 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 6.34 (s, 1H), 5.74 (s, 2H), 4.56 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.60 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 2.01 (m, 2H), 1.96 (m, 4H), 1.77 (m, 2H), 0.98 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.00 (s, 9H);C2433Si(分子量 467.64)、LCMS(EI)m/e468.2(M+H)。
【0334】
(R)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパノエート((R)−22)および(S)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパノエート((S)−22)
光学的富化生成物メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパノエート((R)−22または(S)−22)を得るために基質(E)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリレート(21)を用いる不斉水素化のための一般スクリーニング手順:ガラスバイアル(20mL)を有する300mL容量オートクレーブに、窒素下で、基質(21)、触媒(金属、リガンドおよび触媒前駆体)および無酸素溶媒(4〜6mL)を入れた。このオートクレーブに水素ガスを投入して所望の圧力にして、室温で撹拌するかまたは油浴を用いて加熱した。水素ガスを放出後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルおよびメタノール(v/v=9/1)の混合物を用いてシリカゲルパッドを通して溶離することにより精製して、生成物メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパノエート((R)−22または(S)−22)を、化学変換(HPLCおよびキラルHPLC)、LC/MSおよびNMR分光法、ならびにエナンチオマー過剰率(キラルHPLCによる%ee)決定のために生成した。
【0335】
キラルHPLC分析により、生成物のエナンチオマー過剰率(%ee)の決定を実行した。セルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)(キラルセル(登録商標)OD)で被覆されたシリカゲルを詰め込まれたキラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、15%エタノールおよび85%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.0より大きい分解能で、2つのエナンチオマー(R)−22または(S)−22を分離した。UV検出波長は254nmである。(S)−エナンチオマー((S)−22)および(R)−エナンチオマー((R)−22)に関する保持時間は、それぞれ5.3分(第一ピーク)および8.2分(第二ピーク)である。(R)−22または(S)−22に関しては:C2435Si(分子量 469.65)、LCMS(EI)m/e470(M+H)および492(M+Na)。
【0336】
以下の表は、この不斉水素化に関する分析および反応条件を要約する。
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0337】
この試験に用いたキラルホスフィンリガンドの構造を、以下に列挙する。
【化207】
[この文献は図面を表示できません]
【0338】
代表的な分取不斉水素化手順を以下に記載する。
【0339】
(S)−メチル−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパノエート((S)−22) 圧力ガラス管中の酢酸エチル(EtOAc、5.0mL)中の(E)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリレート(21、109mg)の溶液を、窒素下で触媒[Rh(COD)(+)−DuanPhos](BF)(5.5mg)で処理した後、反応混合物を水素ガスで20bar圧に加圧した。反応混合物を、この水素圧下で19時間、室温で撹拌した。基質が完全に消費されたことをHPLC分析が示したら、反応混合物を室温に下げた。反応混合物のエナンチオマー過剰率を、キラルHPLCにより、97.9%ee(98.95%の第一ピーク、(S)−22;1.05%の第二ピーク、(R)−22)であると確定した。反応混合物を薄いシリカゲルパッドを通して濾過して、パッドを酢酸エチル(EtOAc、5mL)で洗浄した。次に、濾液を減圧下で濃縮して、乾燥した。その結果生じた泡状固体(98mg)をキラルHPLC分析により分析し、結果は97.9%のエナンチオマー過剰率を示し、第一ピークが優位であった(98.95%の第一ピーク、(S)−22;1.05%の第二ピーク、(R)−22)。
【0340】
(R)−メチル−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパノエート((R)−22) 圧力ガラス管中のテトラヒドロフラン(THF、8.0mL)中の(E)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アクリレート(21、815mg)の溶液を、窒素下で触媒[Rh(COD)(−)−DuanPhos](BF)(4.6mg)で処理した後、反応混合物を水素ガスで50bar圧に加圧した。反応混合物を、この水素圧下で22時間、35℃で撹拌した。基質がほぼ完全に消費されたことをHPLC分析が示したら、反応混合物を室温に下げた。反応混合物のエナンチオマー過剰率を、キラルHPLCにより、94.7%ee(97.35%の第二ピーク、(R)−22;2.65%の第一ピーク、(S)−22)であると確定した。次いで、反応混合物を薄いシリカゲルパッドを通して濾過して、パッドをテトラヒドロフラン(THF、5mL)で洗浄した。次に、濾液を減圧下で濃縮して、乾燥した。その結果生じた泡状固体(778mg)をキラルHPLC分析により分析し、結果は94.7%のエナンチオマー過剰率を示し、第二ピークが優位であった(97.35%の第二ピーク、(R)−22;2.65%の第一ピーク、(S)−22)。
【0341】
【化208】
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(3R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパン酸((R)−23). THF(30mL)中の(3R)−メチル3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパノエート((R)−22、2.47g、5.26mmol)の撹拌溶液に、室温で、水(15mL)中の水酸化リチウム一水和物(LiOH−HO、265mg、6.31mmol、1.2当量)の溶液を付加した。反応混合物を、室温で3時間撹拌した。反応が完了したことをLCMSが示したら、反応混合物を、次に、1NのHCl水溶液でpH5に酸性にした後、それをEtOAc(2×25mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、(3R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパン酸((R)−23、2.40g、2.40g(理論値)、収率100%)を無色油として得て、これを真空中で室温で放置すると、固化した。(R)−23に関しては:H NMR(CDCl、300 MHz)δppm 8.95 (s, 1H), 8.95 (bs, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.57 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.99 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.74 (s, 2H), 4.65 (dt, 1H, J = 3.1, 10.3 Hz), 3.58 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 3.24 (dd, 1H, J = 16.5, 10.3 Hz), 3.04 (dd, 1H, J = 16.2, 3.1 Hz), 2.59 (m, 1H), 2.00 (m, 1H), 1.77-1.24 (m, 7H), 0.97 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.00 (s, 9H);C2333Si(分子量 455.63)、LCMS(EI)m/e456.1(M+H)。
【0342】
(3R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド((R)−24). DMF(1mL)中の(3R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパン酸((R)−23、20mg、0.044mmol)の撹拌溶液に、室温で、N,N−カルボニルジイミダゾール(CDI、21mg、0.13mmol、3.0当量)を付加した。次いで、反応混合物を室温で撹拌し、TLCを用いてアシルイミダゾールの精製のための反応に続いた(30%EtOAc/ヘキサンを用いたより高いRfスポットへの酸の消費)。アシルイミダゾール変換が完了したことをTLCが示したら、次に、アンモニアガスを撹拌溶液を通して30分間発泡させて、アミドを得た(その後、LCMS)。窒素を溶液に通して激しく発泡させることにより、余分量のアンモニアガスを蒸発させた。DMF中の粗生成物(3R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド((R)−24)をその後の反応に直接用いて、アミド((R)−24)を対応するニトリル((R)−20)に変換した。
【0343】
(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−20). 方法A: DMF(1mL)中の(3R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド((R)−24、20mg、0.044mmol)の撹拌溶液に、0℃で、塩化メチレン(1mL)およびトリエチルアミン(0.12mL、0.88mmol、20.0当量)を、その後、塩化トリクロロアセチル(0.052ml、0.462mmol、10.5当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、0℃で1時間、撹拌した。反応が完了したことをLCMSが示したら、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(NaHCO、5mL)でクエンチした後、EtOAc(2×10mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、0〜75%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−20、10mg、19mg(理論値)、収率53%)を得た。(R)−20に関しては:H NMR(DMSO−d、400 MHz)δppm 8.83 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.77 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.63 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.0 Hz), 3.51 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 3.23 (dq, 2H, J = 9.3, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.66 - 1.13 (m, 7H), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.124 (s, 9H);C2332OSi(分子量 436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)および459(M+Na)。
【0344】
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−13、遊離塩基). 方法B: アセトニトリル(4.5L)中の(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−20、463g、1.06mol、98.6%ee)の溶液に、室温で、水(400mL)を、その後直ちにテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF、987.9g、10.5mol、10.0当量)を付加した。反応温度を観察して、水の付加時に周囲温度から12℃に下げ、次いで、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)の付加中に33℃に上げた。その結果生じた反応混合物を、一晩、加熱還流(約80℃)した。アリコートを酢酸エチル/水中に入れてクエンチし、LCMSおよびTLC(95:5 酢酸エチル/メタノール、v/v)により検査した。ヒドロキシルメチル中間体((R)−25)および完全脱保護化物質((R)−13、遊離塩基)がともに生じたが、しかし出発物質((R)−20)は残っていないことをLCMSおよびTLCが示したら、反応混合物を徐々に<5℃に冷却し、その後、水酸化アンモニウムの20%水溶液(NHOH、450mL)を徐々に付加して、反応混合物のpHを9に調整した(pHストリップで検査)。冷却浴を除去し、反応混合物を徐々に室温に上げて、室温で一晩撹拌した。アリコートを酢酸エチル/水中に入れてクエンチし、LCMSおよびTLC(95:5 酢酸エチル/メタノール、v/v)により検査して、完全脱保護を確証した。反応が完了したようであることをLCMSおよびTLCが示したら、反応混合物を濾過し、固体をアセトニトリル(1L)で洗浄した。次に、併合濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(EtOAc、6L)および半飽和ブライン(3L)間に分配した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(2L)で抽出した。併合有機層を半飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO、3L)およびブライン(3L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)上で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗生成物を橙色油として得た。次いで、粗製物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、40〜100%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−13、遊離塩基、273mg、324.9mg(理論値)、収率84%)を、白色発泡体として得た。この物質を19F NMRにより検査して、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)が残存していないことを保証し、キラルHPLC(キラルセル(登録商標)OD、90:10 ヘキサン/エタノール)により、エナンチオマー純度を確証して、さらに精製せずに用いて、対応するリン酸塩を調製した。(R)−13(遊離塩基)に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 12.1 (bs, 1H), 8.80 (d, 1H, J = 0.42 Hz), 8.67 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.59 (dd, 1H, J = 2.34, 3.51 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 1.40, 3.44 Hz), 4.53 (td, 1H, J = 19.5, 4.63 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 9.77, 17.2 Hz), 3.18 (dd, 1H, J = 4.32, 17.3 Hz), 2.40 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.65 to 1.13 (m, 7H);C1718(分子量 306.37)LCMS(EI)m/e307(M+H)。
【0345】
【化209】
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(2E)−3−シクロペンチルアクリルアルデヒド(28). 無水ベンゼン(400mL、4476mmol)中のトリフェニルホスホルアニリデンアセトアルデヒド(27、62.75g,200.0mmol、1.0当量)の撹拌懸濁液に、室温で、シクロペンタンカルブアルデヒド(26、21.36mL、200.0mmol)を付加した。その結果生じた反応混合物を、次に、80℃で16時間加熱した。反応が完了したようであることをTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を減圧下で濃縮した。次いで、残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜10%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて、直接精製して、(2E)−3−シクロペンチルアクリルアルデヒド(28、14.4g、24.84g(理論値)、収率58%)を黄色油として得た。28に関しては:H NMR(DMSO−d、400MHz)δppm H NMR(CDCl、400 MHz)δ9.49 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 6.82 (dd, 1H, J = 15.6, 7.8 Hz), 6.08 (dd, 1H, J = 15.6, 8.0 Hz), 2.72 (m, 1H), 1.89 (m, 2H), 1.67 (m, 4H), 1.44 (m, 2H);C12O(分子量 124.18)LCMS(EI)m/e125(M+H)。
【0346】
【化210】
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(2R)−1−エチル2−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシレート((R)−30). 0℃の無水メタノール(MeOH、240mL、5295mmol)中のDプロリン((R)−29、13.955g、120.0mmol)および炭酸カリウム(KCO、33.17g、240.0mmol、2.0当量)の撹拌懸濁液に、エチルクロロホルメート(28.4mL、288mmol、2.4当量)を室温で付加した。次いで、その結果生じた反応混合物を、室温で18時間撹拌した。反応が完了したようであるとLCMSが示したら、減圧下で溶媒を除去した。その結果生じた残渣を、次に、水(80mL)および飽和NaHCO水溶液(80mL)で処理した後、EtOAc(2×100mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、減圧下で濃縮し、純(2R)−1−エチル2−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシレート((R)−30、18.792g、24.14g(理論値)、収率77.8%)を無色揮発性油として得た。(R)−30に関しては:H NMR(CDCl、400 MHz)δppm 4.35 (dd, 0.5H, J = 8.7, 3.5 Hz), 4.28 (dd, 0.5H, J = 8.7, 3.7 Hz), 4.13 (m, 2H), 3.72 (s, 1.5H), 3.70 (s, 1.5H), 3.59-3.41 (m, 2H), 2.20 (m, 1 H), 2.01-1.86 (m, 3H), 1.25 (t, 1.5H, J = 7.1 Hz), 1.18 (t, 1.5H, J = 7.1 Hz);C15NO(分子量 201.22)、LCMS(EI)m/e201.9(M+H)。
【0347】
(7aR)−1,1−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)テトラヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−3(1H)−オン((R)−32). 無水THF(50mL)中の3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン(31、15.2mL、60.0mmol、3.0当量)の撹拌溶液に、0℃で、テトラヒドロフラン(THF、31.5mL)中のイソプロピルマグネシウムクロリド(iPrMgCl)の2.0M溶液を滴下した。その結果生じた混合物を0℃で1時間撹拌した後、無水THF(14mL)中の(2R)−1−エチル2−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシレート((R)−30、4.024g、20.0mmol)の溶液で、0℃で滴下処理した。付加後、氷浴を除去し、反応混合物を65℃に加熱して、65℃で5時間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を飽和NHCl水溶液(120mL)でクエンチして、EtOAc(2×100mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製(7aR)−1,1−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)テトラヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−3(1H)−オン((R)−32、11.03g、100%)を粘性油として得て、さらに精製せずにその後の反応に直接用いた。粗製(R)−32に関しては:C221312NO(分子量 551.32)、LCMS(EI)m/e552(M+H)。
【0348】
(2R)−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(ピロリジン−2−イル)メタノール((R)−33). メタノール(MeOH、80mL、1975mmol)中の粗製(7aR)−1,1−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)テトラヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−3(1H)−オン((R)−32、11.03g、20.0mmol)の撹拌溶液に、室温で、固体水酸化カリウム(KOH、3.366g、60.0mmol、3.0当量)を付加した。その結果生じた暗色反応混合物を65℃に加熱し、65℃で22時間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を室温に下げた後、溶媒を減圧下で蒸発させた。次いで、残渣を水(100mL)で処理し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜30%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて精製して、(2R)−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(ピロリジン−2−イル)メタノール((R)−33、8.30g、10.51g(理論値)、2つのステップに関して収率79%)を黄色粘性ペーストとして得た。(R)−33に関しては:H NMR(CDOD、400MHz)δppm8.24 (s, 2H), 8.16 (s, 2H), 7.85 (s, 2H), 4.49 (t, 1H, J = 7.7 Hz), 2.92 (m, 2H), 1.74 (m, 2H), 1.67 (m, 1H), 1.55 (m, 1H);C211512NO(分子量 525.33)、LCMS(EI)m/e526.0(M+H)。
【0349】
(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル][(トリメチルシリル)オキシ]−メチルピロリジン((R)−34). 無水塩化メチレン(CHCl、56.0mL、874mmol)中の(2R)−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(ピロリジン−2−イル)メタノール((R)−33、8.30g、14.2mmol)およびトリエチルアミン(TEA、5.98mL、42.6mmol、3.0当量)の撹拌溶液に、0℃で、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf、3.89mL、21.3mmol、1.5当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、0℃で1時間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を水(80mL)でクエンチして、EtOAc(2×100mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜10%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて精製して、(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル][(トリメチルシリル)オキシ]−メチルピロリジン((R)−34、6.869g、8.48g(理論値)、収率81%)を非常に粘性の黄色シロップとして得た。(R)−34に関しては:H NMR(CDCl、300MHz)δppm8.08 (s, 2H), 7.92 (s, 2H), 7.84 (s, 2H), 4.32 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 2.98 (m, 1H), 2.63 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.58 (m, 2H), 1.20 (m, 1H), 0.00 (s, 9H);C242312NOSi(分子量 597.51)、LCMS(EI)m/e598.0(M+H)。
【0350】
(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル][(トリエチルシリル)オキシ]−メチルピロリジン((R)−35). 無水塩化メチレン(CHCl、15.0mL、234mmol)中の(2R)−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(ピロリジン−2−イル)メタノール((R)−33、3.832g、7.294mmol)および2,6−ルチジン(4.27mL、36.5mmol、5.0当量)の撹拌溶液に、0℃で、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TESOTf、5.0mL、21.9mmol、3.0当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で21時間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を飽和NaHCO水溶液(70mL)でクエンチして、EtOAc(2×50mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜10%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて精製して、(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル][(トリエチルシリル)オキシ]−メチルピロリジン((R)−35、4.575g、4.665g(理論値)、収率98%)を非常に粘性の無色シロップとして得た。(R)−35に関しては:H NMR(CDCl、400MHz)δppm8.06 (s, 2H), 7.86 (s, 2H), 7.76 (s, 2H), 4.29 (m, 1H), 2.94 (m, 1H), 2.53 (m, 1H), 1.83 (m, 2H), 1.53 (m, 2H), 0.85 (t, 9H, J = 7.8 Hz), 0.34 (q, 6H, J = 7.8 Hz);C272912NOSi(分子量 639.59)、LCMS(EI)m/e640.0(M+H)。
【0351】
(2R)−2−(ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル][tert−ブチル(ジメチル)シリル]−オキシメチル)−ピロリジン((R)−36). 無水塩化メチレン(5.0mL、78mmol)中の(2R)−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(ピロリジン−2−イル)メタノール((R)−33、1.051g、2.0mmol)およびトリエチルアミン(TEA、1.68mL、12.0mmol、6.0当量)の撹拌溶液に、0℃で、tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TBDMSOTf、1.41mL、6.0mmol、3.0当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で20時間撹拌した後、100℃で10〜20時間加熱した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を水(30mL)でクエンチして、EtOAc(2×50mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜10%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて精製して、(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル][tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル)ピロリジン((R)−36、1.167g、1.279g(理論値)、収率91.2%)を非常に粘性の無色シロップとして得た。(R)−36に関しては:H NMR(CDCl、400MHz)δppm8.09 (s, 2H), 7.87 (s, 2H), 7.75 (s, 2H), 4.33 (m, 1H), 2.98 (m, 1H), 2.54 (m, 1H), 1.86 (m, 1H), 1.70 (m, 1H), 1.56 (m, 2H), 0.95 (s, 9H), -0.21 (s, 3H), -0.45 (s, 3H);C272912NOSi(分子量 639.59)、LCMS(EI)m/e640.4(M+H)。
【0352】
【化211】
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(1R)−(4−(1−(1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−37). 無水クロロホルム(CHCl、2.0mL、25mmol)中の(2E)−3−シクロペンチルアクリルアルデヒド(28、345mg、2.50mmol、5.0当量)、(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル][(トリエチルシリル)オキシ]−メチルピロリジン((R)−35、16mg、0.025mmol、0.05当量)および4−ニトロ安息香酸(4.3mg、0.025mmol、0.05当量)の溶液を、室温で10分間撹拌した後、[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(5、0.150g、0.50mmol)を付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で23時間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜80%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて直接精製して、(1R)−(4−(1−(1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−37、1.69g、211.8g(理論値)、収率80%)を薄黄色発泡体として得た。(R)−37に関しては:C2329(分子量 423.5)、LCMS(EI)m/e424(M+H)。
【0353】
(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−12) 方法B:テトラヒドロフラン(THF、1.2mL、15mmol)中の(1R)−(4−(1−(1−シクロペンチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−37、169mg、0.399mmol)の溶液に、室温で、水(1.2mL)中の水酸化アンモニウム(NHOH)の14.3M溶液を、その後、ヨウ素(I、112mg、0.439mmol、1.1当量)を付加した。その結果生じた混合物を、室温で25分間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を10%Na水溶液(10mL)でクエンチした後、EtOAc(2×15mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜60%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて精製して、(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−12、145.6mg、167.8mg(理論値)、収率86.8%)を無色発泡体として得た。
【0354】
セルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)(キラルセル(登録商標)OD)で被覆されたシリカゲルを詰め込まれたキラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、(R)−12および(S)−12の両エナンチオマーのキラル純度評価のために、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、10%エタノールおよび90%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.5より大きい分解能で、2つのエナンチオマー(R)−12および(S)−12を分離した。UV検出波長は220nmである。保持時間は、それぞれ、(S)−12に関しては14.1分(第一ピーク)および(R)−12に関しては18.7分(第二ピーク)である。(R)−12に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.3面積%);キラル純度(キラルHPLCにより94.9面積%;89.8%ee);H NMR(DMSO−d、400 MHz)δppm8.84 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.74 (d, 1H, J = 3.7 Hz,), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.23 (s, 2H), 4.53 (ddd, 1H, J = 9.9, 9.6, 4.2 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 17.4, 9.9 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 17.2, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.87 - 1.13 (m, 8H), 1.07 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。
【0355】
【化212】
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(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパナル((R)−38). 無水トルエン(5.0mL、47mmol)中の(2E)−3−シクロペンチルアクリルアルデヒド(28、327mg、2.50mmol、5.0当量)、(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル][(トリエチルシリル)オキシ]−メチルピロリジン((R)−35、32mg、0.050mmol、0.10当量)および4−ニトロ安息香酸(8.5mg、0.050mmol、0.10当量)の溶液を室温で10分間撹拌した後、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(17、158mg、0.50mmol)を付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で24時間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜70%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて直接精製して、(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパナル((R)−38、184.1mg、219.8mg(理論値)、収率83.8%)を薄黄色粘性油として得た。(R)−38に関しては:C2333(分子量 439.63)、LCMS(EI)m/e440(M+H)。
【0356】
(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−20). 方法B:テトラヒドロフラン(THF、1.2mL、15mmol)中の(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパナル((R)−38、184mg、0.418mmol)の撹拌溶液に、室温で、水(1.2mL)中の水酸化アンモニウム(NHOH)の14.3M溶液を、その後、ヨウ素(I、117mg、0.460mmol、1.1当量)を付加した。その結果生じた混合物を、室温で30分間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を10%Na水溶液(10mL)でクエンチした後、EtOAc(2×15mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜50%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて精製して、(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−20、148.9mg、182.5mg(理論値)、収率81.6%)を無色粘性油として得た。
【0357】
キラルHPLC分析により、生成物((R)−20)のエナンチオマー過剰率(%ee)の決定を実行した。セルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)(キラルセル(登録商標)OD)で被覆されたシリカゲルを詰め込まれたキラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、10%エタノールおよび90%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.0より大きい分解能で、2つのエナンチオマー(R)−20または(S)−20を分離した。UV検出波長は220nmである。(S)−エナンチオマー((S)−20)および(R)−エナンチオマー((R)−20)に関する保持時間は、それぞれ10.3分(第一ピーク)および13.1分(第二ピーク)である。(R)−20に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.0面積%);キラル純度(キラルHPLCにより94.4面積%;88.8%ee);H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm8.83 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.77 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.63 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.0 Hz), 3.51 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 3.23 (dq, 2H, J = 9.3, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.66 - 1.13 (m, 7H), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.124 (s, 9H);C2332OSi(分子量 436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)および459(M+Na)。
【0358】
【化213】
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(3R)−3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパナル((R)−40). 無水トルエン(4.0mL、38mmol)中の(2E)−3−シクロペンチルアクリルアルデヒド(28、654mg、5.0mmol、5.0当量)、(2R)−2−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル][(トリエチルシリル)オキシ]−メチルピロリジン((R)−35、64mg、0.10mmol、0.10当量)および4−ニトロ安息香酸(17mg、0.10mmol、0.10当量)の溶液を室温で10分間撹拌し、次いで0℃に冷却した後、4−ブロモ−1H−ピラゾール(39、148mg、1.0mmol)を次に付加した。その結果生じた反応混合物を、0℃で22時間撹拌した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜30%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて直接精製して、(3R)−3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパナル((R)−40、230.5mg、271.2mg(理論値)、収率85%)を薄黄色粘性油として得た。(R)−40に関しては:C1115BrNO(分子量 271.15)、LCMS(EI)m/e271/273(M+H)。
【0359】
(3R)−3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリル((R)−41). テトラヒドロフラン(THF、2.4mL、29mmol)中の(3R)−3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパナル((R)−40、230.5mg、0.85mmol)の撹拌溶液に、室温で、水(2.4mL)中の水酸化アンモニウム(NHOH)の14.3M溶液を、その後、ヨウ素(I、237mg、0.935mmol、1.1当量)を付加した。その結果生じた混合物を、室温で30分間撹拌した。反応が完了したことをLCMSが示したら、反応混合物を10%Na水溶液(15mL)でクエンチした後、EtOAc(2×15mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜30%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液を用いて精製して、(3R)−3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリル((R)−41、180.7mg、227.9mg(理論値)、収率79.3%)を無色粘性油として得た。
【0360】
キラルHPLC分析により、生成物((R)−41)のエナンチオマー過剰率(%ee)の決定を実行した。セルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)(キラルセル(登録商標)OD)で被覆されたシリカゲルを詰め込まれたキラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、15%エタノールおよび85%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.0より大きい分解能で、2つのエナンチオマー(R)−41または(S)−41を分離した。UV検出波長は220nmである。(S)−エナンチオマー((S)−41)および(R)−エナンチオマー((R)−41)に関する保持時間は、それぞれ12.8分(第一ピーク)および16.7分(第二ピーク)である。(R)−41に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.0面積%);キラル純度(キラルHPLCにより91.7面積%;83.4%ee);H NMR(CDCl、400 MHz)δppm 7.52 (s, 2H), 4.10 (m, 1H), 3.02 (dd, 1H, J = 17.0, 8.6 Hz), 2.86 (dd, 1H, J = 17.0, 3.9 Hz), 2.47 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.72-1.46 (m, 5H), 1.23 (m, 1H), 1.13 (m, 1H);C1114BrN(分子量 268.15)、LCMS(EI)m/e268/270(M+H)。
【0361】
(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル((R)−42). 無水1,4−ジオキサン(4.0mL、51mmol)中の(3R)−3−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリル((R)−41、363mg、1.35mmol)、4,4,5,5,4’,4’,5’,5’−オクタメチル−[2,2’]ビス[1,3,2]ジオキサボロラニル(366mg、1.43mmol、1.06当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh、47mg、0.041mmol、0.03当量)および酢酸カリウム(KOAc、402mg、4.06mmol、3.0当量)の脱気混合物を、マイクロ波により1時間、120℃で加熱した。反応が完了したことをLCMSが示したら、粗製所望生成物(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル((R)−42)を含有する反応混合物を、さらに後処理せずにその後の鈴木反応のために直接用いた。粗製(R)−42に関しては:C1726BN(分子量 315.22)、LCMS(EI)m/e316(M+H)。
【0362】
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)pyrazol−1−イル]プロピオニトリル((R)−13、遊離塩基). 方法C. 上記のように生成された反応混合物である1,4−ジオキサン(4.0mL、51mmol)中の粗製(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル((R)−42、427mg、1.35mmol)の撹拌溶液に、4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、0.160g、1.04mmol、0.77当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh、36mg、0.031mmol、0.03当量)、ならびに水(2.0mL、110mmol)中の炭酸カリウム(KCO、432mg、3.13mmol、3.0当量)の溶液を室温で付加した。その結果生じた反応混合物を3回脱気し、毎回窒素を再充填した後、100℃で21時間加熱した。反応が完了したことをLCMSが示したら、反応混合物を飽和NaHCO水溶液(10mL)でクエンチして、EtOAc(2×25mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をコンビフラッシュ(SiO)により、0〜100%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液で、その後、0〜5%MeOH/EtOAcで溶離して精製し、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−13、遊離塩基、204.3mg、318.6mg(理論値)、収率64%)を無色油として得て、これを、真空中で室温で放置して固化した。(R)−13(遊離塩基)に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm12.1 (bs, 1H), 8.80 (d, 1H, J = 0.42 Hz), 8.67 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.59 (dd, 1H, J = 2.34, 3.51 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 1.40, 3.44 Hz), 4.53 (td, 1H, J = 19.5, 4.63 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 9.77, 17.2 Hz), 3.18 (dd, 1H, J = 4.32, 17.3 Hz), 2.40 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.65 to 1.13 (m, 7H);C1718(分子量 306.37)LCMS(EI)m/e307(M+H)。
【0363】
【化214】
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4−クロロ−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a). 窒素流入口、添加漏斗、サーモウェルおよび機械的撹拌機を装備したフラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、600g、3.91mol)およびジメチルアセトイミド(9.6L)を付加した。混合物を氷/ブライン浴中で−5℃に冷却し、水素化ナトリウム(NaH、60重量%、174g、4.35mol、1.1当量)を固体として分けて付加した。混合物は15分の間に暗色溶液になり、トリメチルシリルエトキシメチルクロリド(2、763mL、4.31mol、1.1当量)を、温度が5℃を超えない速度で転化漏斗により徐々に付加した。反応物を30分間撹拌して、TLCおよびHPLCにより完了したと思われ、水(1L)を徐々に付加して反応をクエンチした。次に、混合物を水(12L)およびMTBE(8L)で希釈した。層を分離して、水性層をMTBE(8L)で再抽出した。併合有機層を水(2×4L)およびブライン(4L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をヘプタン(2L)中に溶解し、濾過し、シリカゲル(3.5kg)カラム上に載せて、ヘプタン(約6L)、95%ヘプタン/酢酸エチル(約12L)、90%ヘプタン/酢酸エチル(10L)で、そして最後に80%ヘプタン/酢酸エチル(10L)で溶離した。純粋分画を併合し、減圧下で濃縮して、4−クロロ−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a、987g、1109.8g(理論値)、収率88.9%)を淡黄色油として得て、これを、室温で放置すると油状固体に部分的に固化した。3aに関しては:H NMR(DMSO−d,300 MHz)δppm 8.67 (s, 1H), 7.87 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.71 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 5.63 (s, 2H), 3.50 (t, 2H, J = 7.9 Hz), 0.80 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 1.24 (s, 9H);13C NMR(DMSO−d,100 MHz)δppm 151.3, 150.8, 150.7, 131.5, 116.9, 99.3, 72.9, 65.8, 17.1, -1.48;C1218ClNOSi(分子量 283.83)、LCMS(EI)m/e284/286(M+H)。
【0364】
4−クロロ−7−(ジエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3b). 撹拌棒、冷却器および窒素流入口を装備した1リットル丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、31.0g、0.202mol)およびトリエチルオルトホルメート(330ml、2.00mol、10.0当量)を投入した。反応混合物を加温還流して、透明溶液を生成した。HPLCにより63時間後に反応を検査した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、20%〜25%酢酸エチル/ヘキサン(v/v)勾配(TLC条件:30%酢酸エチル/ヘキサン)により溶離して、4−クロロ−7−(ジエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3b、48.56g,51.65g(理論値)、収率94%)を薄黄色油として得た。3bに関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.68 (s, 1H), 7.79 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.75 (s, 1H), 6.72 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 3.68 (dd, 2H, J = 9.4, 7.2 Hz), 3.54 (dd, 2H, J = 9.4, 7.2 Hz), 1.11 (t, 6H, J = 7.2 Hz);C1114ClN(分子量 255.70)、LCMS(EI)m/e182/184(M+H(1 の対応する7−ホルミル化生成物に関して)および154/156(M+H(1に関して))。
【0365】
tert−ブチル4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−カルボキシレート(3c). 撹拌棒および窒素流入口を装備した250mL丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、5.00g、0.0326mol)、1,4−ジオキサン(40ml、0.500mol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU、24.3mL、0.163mol、5.0当量)および4−(N,N−ジメチル)アミノピリジン(DMAP、0.80g、0.0065mol、0.2当量)を投入した。この溶液に、ジ−tert−ブチルジカルボネート(BOCO、21.2g,0.0976mol、3.0当量)を室温で一度に付加した。その結果生じた反応溶液は、二酸化炭素の発生に伴って黄色/橙色になる。反応をTLC(80%ヘキサン/酢酸エチル)によりモニタリングし、室温で約24時間撹拌後に完了した。次いで、反応混合物を20%ブライン水溶液(40mL)および酢酸エチル(40mL)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(40mL)で抽出した。併合有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗製所望生成物(3c)を赤色〜橙色油として得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー精製(SiO、0〜15%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により、純tert−ブチル4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−カルボキシレート(3c、6.28g、8.27g(理論値)、収率75.9%)をオフホワイト色固体として得た。3cに関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.79 (s, 1H), 7.94 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 6.80 (d, 1H, J = 4.2 Hz), 1.60 (s, 9H);C1112ClN(分子量 253.68)、LCMS(EI)m/e276/278(M+Na)。
【0366】
4−クロロ−7−(トリイソプロピルシリル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3d). 撹拌棒、冷却器、隔壁、窒素流入口および熱電対を装備した250mL炉乾燥三つ首丸底フラスコに、水素化ナトリウム(NaH、60重量%、1.56g、0.039mol、1.2当量)および無水テトラヒドロフラン(THF、26mL、0.320mol)を投入した。混合物を0〜5℃に冷却した。炉乾燥100mL丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、5.00g、0.0326mol)および無水テトラヒドロフラン(42mL、0.520mol)を投入し、その結果生じたスラリーを次に、15分に亘って、大口径カニューレによりTHF中の水素化ナトリウム(NaH)懸濁液に少量ずつ付加した。基質の付加後、反応温度を6.8℃に上げた。反応混合物を、0〜5℃で40分間撹拌した後、5分間に亘って注射器で無希釈トリイソプロピルシリルクロリド(6.6g、7.24mL、0.0342mol、1.05当量)を投入した。冷却浴を除去し、反応混合物を4時間、加温還流した。反応をTLC(80%ヘキサン/酢酸エチル)によりモニタリングした。反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100mL)および20%ブライン水溶液(50mL)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。併合有機分画を1M重炭酸ナトリウム(NaHCO)水溶液(100mL)および20%ブライン水溶液(100mL)で洗浄して、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、4−クロロ−7−(トリイソプロピルシリル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3d、10.0g、10.10g(理論値)、収率99%)を琥珀色油として得た。3dに関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.61 (s, 1H), 7.67 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.76 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 1.86 (m, 3H), 1.02 (d, 18 H, J = 7.5 Hz);C1524ClNSi(分子量 309.91)、LCMS(EI)m/e310/312(M+H)。
【0367】
7−[(ベンジルオキシ)メチル]−4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3e). 撹拌棒、熱電対、隔壁および窒素流入口を装備した炉乾燥250mL三つ首丸底フラスコに、水素化ナトリウム(NaH、60重量%、1.56g、0.039mol、1.2当量)および無水テトラヒドロフラン(THF、25.0mL、0.308mol)を投入し、その結果生じた混合物を0〜5℃に冷却した。100mL炉乾燥丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、5.00g、0.0326mol)および無水テトラヒドロフラン(50mL、0.616mol)を投入し、その結果生じたスラリーを、20分間に亘って、大口径カニューレによりTHF中の水素化ナトリウム(NaH)懸濁液に少量ずつ付加した。付加完了後に冷却浴を除去し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。それが16.5℃に温められると、スラリーは緑色になる。混合物を0〜5℃に冷却した後、13分間に亘って注射器で無希釈ベンジルクロロメチルエーテル(5.28mL、0.0342mol、1.05当量)を投入した。冷却浴を除去し、反応混合物を徐々に室温に上げて、室温で20時間撹拌した。反応混合物を20%ブライン水溶液(50mL)でクエンチし、反応が完了したと思われたら、酢酸エチル(100mL)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。併合有機分画を硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、10%〜15%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、7−[(ベンジルオキシ)メチル]−4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3e、6.31g、8.92g(理論値)、収率70.7%)を緑色油として得た。3eに関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.69 (s, 1H), 7.90 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.26 (m 5H), 6.71 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.75 (s 2H), 4.51 (s, 2H);C1412ClNO(分子量 273.72)、LCMS(EI)m/e274/276(M+H)。
【0368】
(4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(3f). オーバーヘッド撹拌、隔壁、熱電対、500mL添加漏斗および窒素流入口を装備した炉乾燥2L四つ首丸底フラスコに、水素化ナトリウム(NaH、60重量%、29.7g、0.742mol、1.34当量)および無水テトラヒドロフラン(THF、400mL、5.0mol)を投入し、その結果生じた混合物を0〜3℃に冷却した。炉乾燥1L丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、85.0g、0.553mol)およびテトラヒドロフラン(600mL、7.0mol)を投入して、スラリーを生じた。その結果生じたスラリーを、次に、27分間に亘って、0〜5℃で、大口径カニューレによりTHF中の水素化ナトリウムの懸濁液に少量ずつ付加した。その結果生じた溶液は、均質で緑色であった。付加後、冷却浴を除去し、混合物を徐々に室温に上げて、室温で1時間撹拌した後、0〜5℃に冷却した。0〜5℃で撹拌しながら、注射器を用いて25分間に亘って反応混合物中に、クロロメチルピバレート(ピバロイルオキシメチルクロリド、POM−Cl、103ml、0.692mol、1.25当量)を少量ずつ付加した。クロロメチルピバレート(POM−Cl)の付加は軽度に発熱性で、反応温度は14℃という高さになった。クロロメチルピバレート(POM−Cl)の付加後、冷却浴を除去し、反応温度を室温に戻して、室温で一晩撹拌した。約16時間後に反応が完了したと思われたら、20%ブライン水溶液(250mL)および酢酸エチル(250mL)で反応をクエンチすると、スラリーを生じた。混合物が均質になるまで、付加量の水(250mL)を付加した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(250mL)で抽出した。併合有機分画を硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、10%〜15%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、所望の生成物を黄色結晶固体(155g)として得た。併合固体をヘキサン(750mL)で処理し、その結果生じたスラリーを55℃に温めると、均質溶液を生じた。その結果生じた溶液を、次に、徐々に室温に冷まして、室温で一晩撹拌した後、0〜5℃に2時間冷却した。固体を濾過により収集し、予備冷却ヘキサン(2×30mL)で洗浄し、真空乾燥して、(4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(3f、134.9g、148.0g(理論値)、収率91%)を白色固体として得た。3fに関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm8.71 (s, 1H), 7.83 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.73 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.23 (s 2H), 1.06 (s, 9H);13C NMR(DMSO−d、100 MHz)δppm 176.9, 151.2, 151.1, 151.0, 131.6, 117.1, 99.9, 66.9, 38.3, 26.5;C1214ClN(分子量 267.71)、LCMS(EI)m/e268/270(M+H)。
【0369】
【化215】
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3−シクロペンチルアクリロニトリル(8). 無水THF(5.75L)中のジエチルシアノメチルホスホネート(7、742.5g、4.2mol、1.1当量)の溶液を、氷−水−メタノール浴上で窒素下で撹拌し、THF中の1Mカリウムtert−ブトキシドの溶液(4L、4.0mol、1.05当量)を、0℃より低い温度を保持するような速度で付加した。THF中の1Mカリウムtert−ブトキシドの付加の完了後、冷却浴上で1時間、撹拌を継続して、ドライTHF(290mL)中のシクロペンタンカルブアルデヒド(6、374g、3.81mol)の溶液を、0℃より低い温度を保持するような速度で付加した。冷却浴を除去し、反応混合物を徐々に室温に上げて、室温で一晩撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE、14L)、水(10L)およびブライン(6L)間に分配した。2つの層を分離し、併合有機相をブライン(6L)で洗浄した。水性相をMTBE(10L)で抽出し、ブライン(6L)で洗浄した。併合有機抽出物を減圧下で濃縮し、残渣を蒸留して(65〜78℃/6torr)、3−シクロペンチルアクリロニトリル(8、437.8g、461.9g(理論値)、収率94.8%)を無色油として得て、これは、E−およびZ−異性体の混合物であることが判明した。8に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)(Z異性体に関して)δppm6.58 (t, 1H, J = 10.6 Hz), 5.55 (dd, 1H, J = 10.8, 0.59 Hz), 2.85 (m, 1H), 1.90 - 1.46 (m, 6H), 1.34 (m, 2H)および(E異性体に関して)δppm6.83 (q, 1H, J = 8.3 Hz), 5.66 (dd, 1H, J = 16.5, 1.4 Hz), 2.60 (m, 1H), 1.90 - 1.46 (m, 6H), 1.34 (m, 2H);13C NMR(DMSO−d,100 MHz)(Z異性体に関して)δppm 159.8, 116.6, 97.7, 42.3, 32.3, 25.1および(E異性体に関して)δppm160.4, 118.1, 97.9, 43.2, 31.5, 24.8; C11N(分子量 121.18)、GCMS (EI)m/e120(M−H)。
【0370】
【化216】
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4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5). 方法A:還流冷却器、窒素流入口、機械的撹拌器およびサーモウェルを装備したフラスコに、4−クロロ−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a、817g、2.88mol)およびジオキサン(8L)を付加した。この溶液に、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(4、728g、3.75mol、1.30当量)を、その後、水(4L)中の炭酸カリウム(KCO、1196g、8.67mol、3.0当量)の溶液を付加した。窒素流をその溶液に15分間通すことにより溶液を脱気し、その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(167g、0.145mol、0.05当量)で処理し、その結果生じた反応混合物を、2時間、還流(約90℃)加熱した。TLC(1:1 ヘキサン/酢酸エチル)およびLCMSにより反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷まして、酢酸エチル(24L)および水(4L)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(4L)で抽出した。併合有機層を水(2×2L)およびブライン(2L)で洗浄し、硫酸マグネシウム(NaSO)上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をトルエン(4L)中に懸濁し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、最終的に、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE、3L)で粉砕して、固体を濾過により収集し、MTBE(1L)で洗浄して、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、581.4g、908.5g(理論値)、収率64%)を白色結晶固体として得た。5に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 13.41 (bs, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.67 (bs, 1H), 8.35 (bs, 1H), 7.72 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.10 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.61 (s, 2H), 3.51 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.13 (s, 9H);C1521OSi(分子量 315.45)、LCMS(EI)m/e316(M+H)。
【0371】
ラセミ3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(9,ラセミSEM−保護化合物). 方法A:3−シクロペンチルアクリロニトリル(8、273.5g、2.257mol、1.20当量)およびDBU(28mL、0.187mol、0.10当量)を、室温で、アセトニトリル(4.7L)中の4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、591.8g、1.876mol)の懸濁液に付加した。その結果生じた反応混合物を、17時間、50〜60℃に加熱し(加熱の途中で透明溶液が出現した)、次いで、8時間、70〜80℃に加熱した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を室温に冷ました。次に、冷却溶液を減圧下で濃縮して、粗生成物(9)を濃い琥珀色油として得た。粗生成物をジクロロメタン(DCM)中に溶解し、シリカゲル上に吸収させて、次いで、33%EtOAc/ヘプタン中に詰め込まれたシリカカラム(3Kg)上に乾燥負荷した。カラムを、33%EtOAc/ヘプタン(21L)、50%EtOAc/ヘプタン(28L)、60%EtOAc/ヘプタン(12L)および75%EtOAc/ヘプタン(8L)で溶離した。所望の生成物(9)を含有する分画を併合し、減圧下で濃縮して黄色油を得て、これを、EtOAcを有する3Lフラスコに移した。減圧下で溶媒を除去し、ヘプタンと同時蒸発させることにより残留EtOAcを除去した。残渣を高真空下で一晩さらに乾燥して、ラセミ3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(9、ラセミSEM−保護化合物、800g、819g(理論値)、収率97.7%)を、非常に粘性の黄色油として得た。9に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm8.83 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.77 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.63 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.0 Hz), 3.51 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 3.23 (dq, 2H, J = 9.3, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.66 - 1.13 (m, 7H), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.124 (s, 9H);C2332OSi(分子量 436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)および459(M+Na)。
【0372】
(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−10)および(3S)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((S)−10) イソプロパノール(IPA)3.0L中の20μのキラルセル(登録商標)ODキラル固定相(CSP)(Daicel製)1.5Kgのスラリーを、150barの充填圧下で、PROCHROM動的軸方向圧縮カラムLC110−1(内径11cm×長さ25cm;カラム隙間容積:約1.5L)中に詰め込んだ。次に充填されたカラムを、Novasep Hipersep HPLCユニット上に据え付けた。カラムおよびHipersepユニットを、メタノール(17L)で、その後、イソプロパノールおよびヘキサンの混合物(容積で2:8、17L)からなる移動相で洗い流した。次いで、移動相中に3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(9、ラセミSEM−保護化合物、2795g、6.4mol)を溶解して、80g/Lの濃度にすることにより、供給溶液を調製した。次に、分離のために供給溶液を、順次、分取キラルカラム中に注入した。各々注入は、120ml容積であった。キラルカラムを、室温で、570mL/分の流量で、移動相で溶離した。330nmの波長でのUVにより、カラム溶離をモニタリングした。これらの条件下で、2つのエナンチオマーの基線分離を達成した。保持時間は、それぞれ、16.4分(ピーク1、非所望(S)−エナンチオマー(S)−10)および21.0分(ピーク2、所望(R)−エナンチオマー(R)−10)であった。各注入のための周期時間は11分で、この分離工程のために合計317回の注入を実施した。ピーク1(非所望(S)−エナンチオマー、(S)−10)およびピーク2(所望(R)−エナンチオマー、(R)−10)に対する分画を、各注入から別々に収集した。収集分画を減圧(40〜120bar)下で、40℃で、それぞれ、1平方フィートおよび2平方フィートROTOTHERM蒸発器中で継続的に濃縮した。各蒸発器からの残渣をさらに、高真空下で一定重量に乾燥して、(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−10、1307g、1397.5g(理論値)、93.5%)を薄黄色油としてピーク2から、および(3S)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((S)−10、1418g、1397.5g(理論値)、101.5%)を黄色油としてピーク1から得た。
【0373】
セルローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)(キラルセル(登録商標)OD)で被覆されたシリカゲルを詰め込まれたキラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、SEM−保護化合物の両エナンチオマー((R)−10および(S)−10)のキラル純度評価のために、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、10%エタノールおよび90%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.0より大きい分解能で、SEM保護化合物の2つのエナンチオマーを分離した。UV検出波長は220nmである。(S)−エナンチオマー((S)−10)および(R)−エナンチオマー((R)−10)に関する保持時間は、それぞれ10.3分および13.1分である。
【0374】
化学純度(HPLC面積%および重量%)、キラル純度(キラルHPLC面積%)および残留溶媒(IPAおよびヘキサン)を含めた分取キラルHPLCにより分離された各エナンチオマーの質を分析し、それらの構造をNMRおよびLC/MSにより確証する。(R)−10に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.0面積%;HPLC重量パーセント検定により100.1重量%);キラル純度(キラルHPLCにより99.7面積%;99.4%ee);残留溶媒(IPAに関して3.7重量%;ヘキサンに関して0.01重量%);H NMR(DMSO−d、400 MHz)δppm8.83 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.77 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.63 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.0 Hz), 3.51 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 3.23 (dq, 2H, J = 9.3, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.66 - 1.13 (m, 7H), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.124 (s, 9H);C2332OSi(分子量 436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)および459(M+Na)。(S)−10に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.3面積%;HPLC重量パーセント検定により99.9重量%);キラル純度(キラルHPLCにより99.7面積%;99.4%ee);残留溶媒(IPAに関して4.0重量%;ヘキサンに関して0.01重量%);H NMR (DMSO−d,400 MHz)δppm 8.83 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.77 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.63 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.0 Hz), 3.51 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 3.23 (dq, 2H, J = 9.3, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.66 - 1.13 (m, 7H), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.124 (s, 9H);C2332OSi(分子量 436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)および459(M+Na)。
【0375】
(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−10)および(3S)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((S)−10).
8つのカラムを装備したSMBユニット上で、ラセミ混合物を処理した。以下の実施例で提示される種々の条件を用いて、種々の規模で、分離を実施した。純度の迅速確定を可能にするために分離に用いられる同一移動相および同一固定相を用いてキラルHPLC法により、各エナンチオマーの純度をモニタリングした。各々の場合に、回転蒸発器または流下薄膜蒸発器を用いて、真空下での蒸発により、濃縮溶液として、両エナンチオマーを回収した。実施例1〜3では、所望のエナンチオマーをラフィネートとして回収する。実施例4では、所望のエナンチオマーを抽出物として回収する。報告されるキラル純度および収率は、定常状態操作を保証するためにSMBユニットが少なくとも10〜15サイクルの間操作された後に測定されたデータである。種々の操作条件を試験して、高純度および高生成物収率を保証した。実施例1〜3では、同一固定相および移動相を用いる分離を、種々のカラム直径を有する種々のSMBユニットに関して試験する。実施例4では、SMBを、2つの異なる操作圧で操作する。実施例4では、SMBゾーンIIIの長さを増大することにより、カラム形状を古典的<2>/<2>/<2>/<2>から<2>/<2>/<3>/<1>に変更して、ラフィネートの純度を増大し、処理量を増大した。
【0376】
実施例 1:50g規模
カラム: キラルセル(登録商標)OD
移動相: イソプロピルアルコールおよびn−ヘプタン 20/80(v/v)
カラム長: 10cm
カラム内径:10 mm
カラム数: 8
供給濃度:80g/l
温度: 25℃.
【表4】
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【0377】
実施例 2:25g規模
カラム: キラルセル(登録商標)OD
移動相: イソプロピルアルコールおよびn−ヘプタン 20/80(v/v)
カラム長: 9.5cm
カラム内径:49 mm
カラム数: 8
供給濃度:80g/l
温度: 25℃.
【表5】
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【0378】
実施例 3:100g規模
カラム: キラルセル(登録商標)OD
移動相: イソプロピルアルコールおよびn−ヘプタン 20/80(v/v)
カラム長: 9.0cm
カラム内径:200 mm
カラム数: 8
供給濃度:53.7g/l
温度: 25℃.
【表6】
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【0379】
実施例 4:100g規模
カラム: (S,S) ウェルク−O(登録商標)1
移動相: メチル−tert−ブチルエーテル
カラム長: 10.0cm
カラム内径:10mm
カラム数: 8
供給濃度:90g/l
【表7】
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【0380】
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール-1-イル]プロピオニトリル((R)−12、遊離塩基). 方法A:アセトニトリル(4.5L)中の(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−10、463g、1.06mol、98.6%ee)の溶液に、水(400mL)を、その後直ぐに、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF、987.9g、10.5 mol、10.0当量)を室温で付加した。反応温度を観察して、水の付加時に周囲温度から12℃に下げ、次いで、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)の付加中に33℃に上げた。その結果生じた反応混合物を、一晩、加熱還流(約80℃)した。アリコートを酢酸エチル/水中に入れてクエンチし、LCMSおよびTLC(95:5 酢酸エチル/メタノール、v/v)により検査した。ヒドロキシルメチル中間体((R)−11)および完全脱保護化物質((R)−12、遊離塩基)がともに生じたが、出発物質((R)−10)は残っていないことをLCMSおよびTLCが示したら、反応混合物を徐々に5℃未満に冷却し、その後、水酸化アンモニウムの20%水溶液(NHOH、450mL)を徐々に付加して、反応混合物のpHを9に調整した(pHストリップで検査)。冷却浴を除去し、反応混合物を徐々に室温に上げて、室温で一晩撹拌した。アリコートを酢酸エチル/水中に入れてクエンチし、LCMSおよびTLC(95:5 酢酸エチル/メタノール、v/v)により検査して、完全脱保護を確証した。反応が完了したようであることをLCMSおよびTLCが示したら、反応混合物を濾過し、固体をアセトニトリル(1L)で洗浄した。次に、併合濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(6L)および半飽和ブライン(3L)間に分配した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(2L)で抽出した。併合有機層を半飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO、3L)およびブライン(3L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)上で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗生成物を橙色油として得た。次いで、粗製物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、40〜100%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−12、遊離塩基、273mg、324.9mg(理論値)、収率84%)を、白色発泡体として得た。この物質を19F NMRにより検査して、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)が残存していないことを保証し、キラルHPLC(キラルセル(登録商標)OD、90:10 ヘキサン/エタノール)により、エナンチオマー純度(98.7%ee)を確証して、さらに精製せずに用いて、対応するリン酸塩を調製した。(R)−12(遊離塩基)に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 12.1 (bs, 1H), 8.80 (d, 1H, J = 0.42 Hz), 8.67 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.59 (dd, 1H, J = 2.34, 3.51 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 1.40, 3.44 Hz), 4.53 (td, 1H, J = 19.5, 4.63 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 9.77, 17.2 Hz), 3.18 (dd, 1H, J = 4.32, 17.3 Hz), 2.40 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.65 to 1.13 (m, 7H);C1718(分子量 306.37)LCMS(EI)m/e307(M+H)。
【0381】
【化217】
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(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリル(R)−10. アセトニトリル(600mL)中の(R)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−10、75.0g、0.172mol、98.8%ee)の溶液を、0〜5℃に冷却した。内部反応温度を5℃より低く保持しながら、10分間に亘って、冷却溶液にボロントリフルオリドジエチルエテレート(54.4mL、0.429mol)を付加した。付加後、冷却浴を除去し、反応混合物を室温に上げさせた。(R)−10のレベルが1%より低いことをHPLC分析が示したら、脱保護反応の初期相は完了したと考えられた。次に、反応物を0〜5℃に冷却し、その後、水(155mL)を徐々に付加した。水付加後、冷却浴を除去し、その結果生じた反応混合物を13〜17℃に加温して、さらに2〜3時間撹拌した。その結果生じた反応混合物を再び0〜5℃に冷却した。内部反応温度を5℃より低く保持しながら、冷却反応混合物に、水中のアンモニアの溶液[28%アンモニア水溶液(104.5mL)と水(210.5mL)を混合することにより調製]を徐々に付加した。アンモニア水溶液を付加した後、冷却浴を除去し、反応物を室温に上げた。ヒドロキシルメチル中間体のレベルがHPLC分析により1%より低い場合に、加水分解が完了したと考えられた。
【0382】
その結果生じた反応混合物を、酢酸エチル(315mL)で希釈し、20%ブライン(315mL)で洗浄した。水性分画を、酢酸エチル(315mL)で抽出し戻した。有機分画を併合し、40℃の浴温度で真空下で濃縮して、容積を380mLとした。濃縮残渣を酢酸エチル(600mL)で希釈し、1M NaHCO(2×345mL)および20%ブライン(345mL)で洗浄した。水性洗浄液を併合し、酢酸エチル(345mL)で抽出し戻した。有機分画を併合し、透明2L丸底フラスコ中に研磨濾過した。有機分画を温水(50℃、2×450mL)で洗浄し、次いで、15分間撹拌しながら、65℃で、活性炭で処理した。スラリーを、セライト床を通して濾過した。濾液を、40℃の浴温度で、真空下で濃縮した。その結果生じたシロップを高真空下において、(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリル[(R)−12、54.2g、収率103%]を薄黄色発泡体として得た。この物質を19F NMRにより検査して、如何なるフッ素化不純物によっても汚染されていないことを保証した。単離遊離塩基の化学純度は、96.3%であった。遊離塩基のキラル純度は、HPLC(キラルセルOD、90:10 ヘキサン/エタノール)により98.8%であった。遊離塩基をさらに精製せずに用いて、リン酸塩を調製した。H NMR(DMSO−d,400 MHz)δ12.11(bs, 1H), 8.79(d, 1H, J=0.43 Hz), 8.67(s, 1H), 8.37(s, 1H), 7.59(q, 1H, J=2.3 Hz), 6.98(q, 1H, J=1.6 Hz), 4.53(td, 1H, J=19.2, 4.1 Hz), 3.22(dq, 2H, J=9.8, 4.3 Hz), 2.40(m, 1H), 1.79(m, 1H), 1.65-1.13(m, 7H).;C1716(分子量 306.37)、LCMS(EI)m/e307(M+H)。
【0383】
【化218】
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(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩((R)−13、リン酸塩). 方法A.:イソプロパノール(IPA、8L)中の(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−12、遊離塩基、572g、1.87mol)の溶液に、60〜65℃で、イソプロパノール(1.6L)中のリン酸(186.2g,1.9mol、1.10当量)の溶液を付加した。リン酸の溶液の付加の間、発熱は観察されず、ほぼ直ちに、沈澱が形成された。その結果生じた混合物を、次に、76℃で1.5時間加熱し、次いで、徐々に周囲温度に冷まして、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、固体をヘプタンとイソプロパノールの混合物(1/1、v/v、3L)で洗浄した後、元のフラスコに戻して、ヘプタン(8L)中で1時間撹拌した。固体を濾過により収集し、ヘプタン(1L)で洗浄して、真空中で40℃で対流式炉中で乾燥して、一定重量として、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩((R)−13、リン酸塩、634.2g、755g(理論値)、収率84%)を白色〜オフホワイト色結晶固体として得た。(R)−13(リン酸塩)に関しては:融点197.6℃;H NMR(DMSO−d,500 MHz)δppm12.10 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.36 (s 1H), 7.58 (dd, 1H, J = 1.9, 3.5 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 4.52 (td, 1H, J = 3.9, 9.7 Hz), 3.25 (dd, 1H, J = 9.8, 17.2 Hz), 3.16 (dd, 1H, J = 4.0, 17.0 Hz), 2.41, (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.59 (m, 1H), 1.51 (m, 2H), 1.42 (m, 1H), 1.29 (m, 2H), 1.18 (m, 1H);13C NMR(DMSO−d,125 MHz)δppm 152.1, 150.8, 149.8, 139.2, 131.0, 126.8, 120.4, 118.1, 112.8, 99.8, 62.5, 44.3, 29.1, 29.0, 24.9, 24.3, 22.5;C1718(遊離塩基に関する分子量 306.37)LCMS(EI)m/e307(M+H、塩基ピーク)、329.1(M+Na)。
【0384】
方法B.:ジクロロメタン(782mL)および2−プロパノール(104mL)中の(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリル((R)−12、54.2g、177mol)の溶液に、還流で、47分の期間に亘って、2−プロパノール(34.0mL)中のリン酸(19.9g、0.173mol、1.15当量)の溶液を付加した。酸付加後、その結果生じた混合物を、さらに1時間、加熱還流した。混合物を徐々に周囲温度に冷まして、3時間撹拌した。固体を濾過により収集し、ジクロロメタン(390mL)で、その後、n−ヘプタン(390mL)で洗浄した。固体を、部分的に、室温で真空下で、次いで、62℃で真空下で乾燥して、(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(、60.1g、収率84%)を、白色〜オフホワイト色結晶固体として得た。キラルHPLCによる分析(キラルセルOD、90:10 ヘキサン/エタノール)により、エナンチオ純度 99.2%eeを得た。H NMR(DMSO−d,400 MHz)δ 12.11(bs, 1H), 8.79(d, 1H, J=0.59 Hz), 8.67(s, 1H), 8.36(s, 1H), 7.59(q, 1H, J=2.3 Hz), 6.98(q, 1H, J=1.6 Hz), 4.53(td, 1H, J=19.6, 4.4 Hz), 3.22(dq, 2H, J=9.6, 4.3 Hz), 2.40(m, 1H), 1.79(m, 1H), 1.65-1.13(m, 7H).;C1721P(分子量 404.36)、LCMS(EI)m/e307(M+H)およびm/e329(M+Na)。
【0385】
【化219】
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(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩. 撹拌棒、ト字管、添加漏斗および加熱マントルを装備した1L丸底フラスコに、メタノール(520mL)および(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩((R)−13、リン酸塩、40.0グラム,98.92mmol)を投入した。スラリーを55℃に加熱して、わずかに桃色の溶液を生じた。溶液を50℃に冷却して、オーバーヘッド撹拌器、ト字管、添加漏斗および加熱マントルを装備した2Lフラスコ中に濾過した。1L丸底フラスコおよび濾過漏斗を、さらなるメタノール(104.0mL)ですすいだ。濾液を加熱還流して、大気圧下で1時間に亘ってメタノール(281mL)を蒸留した。内部温度を約65℃に保持しながら、80分に亘って、付加的漏斗により徐々にイソプロピルアルコール(IPA)(320mL)を投入した。IPA付加中に、リン酸塩の沈降が観察された。IPAの付加完了後、n−ヘプタン(175mL)を同一温度で徐々に付加した。蒸留を、大気圧下で継続した。内部温度を約65℃に保持しながら、追加のn−ヘプタン(825mL)を、蒸留速度とほぼ同一速度で付加した。蒸留物の容積が742mL(前の蒸留からのメタノール281mLを除く)に達したら、蒸留は完了した。蒸留は、約1時間を要した。蒸留中の蒸気温度は54〜64℃の範囲であり、内部温度は蒸留終了時に67℃であった。混合物を徐々に室温に冷まして、さらに3時間撹拌した。固体を濾過により収集した。湿潤ケーキを、n−ヘプタン中の16.7%(v/v)のイソプロピルアルコール(384.0mL)で、その後、n−ヘプタン(280.0mL)で洗浄し、55℃で真空下で乾燥して、36.1グラムの所望の生成物を白色固体として収率90%で得た。化学純度は、HPLC分析により99.79%である。キラル純度は、キラルHPLC分析により99.8%である。H NMR(499.7 MHz、DMSO−d6)δ(ppm):12.21 (s, 1H), 10.71 (s, 3H), 8.80 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.60 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 4.51 (td, J = 9.75, 4.0 Hz, 1H), 3.25 (dd, J = 17.3, 9.75 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 17.0, 4.0 Hz, 1H), 2.43-2.35 (m, 1H), 1.79-1.73 (m, 1H), 1.58-1.42 (m, 3H), 1.41-1.33 (m, 1H), 1.30-1.23 (m, 2H), 1.19-1.12 (m, 1H);13C NMR(125.7 MHz、DMSO−d6)δ(ppm):152.8, 151.2, 150.3, 140.0, 131.8, 127.7, 120.8, 118.8, 113.5, 100.7, 63.3, 45.0, 29.8, 25.6, 25.0, 23.2;LCMSm/z:C1718に関する理論値(M+H):=307.2。実測値(M+H):307.0。
【0386】
【化220】
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4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5). 方法B:オーバーヘッド撹拌、冷却器、サーモウェルおよび窒素流入口を装備した反応器に、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(4、600g、3.09mol)、トルエン(4.2L)およびエチルビニルエーテル(334.5g、4.64mol、0.44L、1.50当量)を室温で投入した後、ジエチルエーテル中のHClの2M溶液(39mL、0.0078mol、0.025当量)を滴下した。その結果生じた反応混合物を、4〜8時間、35〜40℃に加熱した。反応が完了したようであることをHPLCが示したら、反応混合物を15〜25℃に冷却した後、NaHCO水溶液で処理してpH>8とした。2つの層を分離し、有機層を減圧下で濃縮して、粗製1−(1−エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(14)を得て、これを、さらに精製せずに、その後の鈴木カップリング反応に直接用いた。
【0387】
オーバーヘッド撹拌、冷却器、サーモウェルおよび窒素流入口を装備した反応器に、水(HO、1.5L)、炭酸カリウム(KCO、1047g、7.58mol、2.45当量)、4−クロロ−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a、755g、2.66mol)、粗製1−(1−エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(14、822g(100%変換を基礎にして)、3.09mol、1.16当量)(上記と同様に製造)および1−プロパノール(6L)を、室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素ガスを裏込めしながら3回脱気した後、室温で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.2g、0.008mol、0.0026当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、1〜4時間、加熱し、静かに還流させた(約90℃)。反応が完了したようであることをHPLCが示したら、反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去した。次いで、残渣を室温に冷まして、酢酸エチル(9L)および水(4L)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(2×2.5L)で抽出した。併合有機層を水(2×2L)で洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製4−(1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(15)を得て、これをさらに精製せずに、その後の酸促進脱保護反応に直接用いた。
【0388】
オーバーヘッド撹拌、冷却器、サーモウェルおよび窒素流入口を装備した反応器に、粗製4−(1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(15、1030.9g(100%変換を基礎にして)、2.66mol)、テトラヒドロフラン(THF、0.9L)、水(HO、4.4L)および10%HCl水溶液(2.7L、10.64mol、3.44当量)を室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、室温で2〜5時間撹拌した。反応が完了したようであることをHPLCが示したら、反応混合物を、室温で、30%水酸化ナトリウム溶液(940mL、11.70mol、3.78当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、室温で1〜2時間撹拌した。固体を濾過により収集し、水(2×0.75L)で洗浄して、45〜55℃で真空炉中で乾燥して一定重量にして、粗製4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、826.8g、839.1g(理論値)、収率98.5%)を、オフホワイト固体として得た(HPLCにより94.2面積%純粋)。この粗製物質を、その後、アセトニトリル中で再結晶化して、純粋化合物5(738.4g、839.1g(理論値)、収率88%)を白色結晶として得て(HPLCにより99.5面積%)、これは、方法Aから製造される物質と、全ての比較可能な態様において、同一であることが判明した。
【0389】
【化221】
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4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5). 方法C:オーバーヘッド撹拌、冷却器、サーモウェルおよび窒素流入口を装備した反応器に、水(HO、9.0L)、炭酸カリウム(KCO、4461g、32.28mol、2.42当量)、4−クロロ−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a、3597g、12.67mol)、1−(1−エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(14、3550、13.34mol、1.05当量)および1−ブタノール(27L)を、室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素ガスを裏込めしながら3回脱気した後、室温で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(46g、0.040mol、0.003当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、1〜4時間、加熱し、静かに還流させた(約90℃)。反応が完了したようであることをHPLCが示したら、反応混合物を室温に冷ました後、セライト床を通して濾過した。セライト床を酢酸エチル(2×2L)で洗浄し、その後、濾液および洗浄溶液を併合した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(12L)で抽出した。併合有機層を減圧下で濃縮して、溶媒を除去し、粗製4−(1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(15)を、これをさらに精製せずに、その後の酸促進脱保護反応のために、テトラヒドロフラン(THF、4.2L)とともに反応器に直接戻し入れた。
【0390】
反応器中のテトラヒドロフラン(THF、4.2L)中で上記と同様に製造した粗製4−(1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(15)の懸濁液に、水(HO、20.8L)および10%HCl水溶液(16.2L、45.89mol、3.44当量)を室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、16〜30℃で2〜5時間撹拌した。反応が完了したようであることをHPLCが示したら、反応混合物を、室温で、30%水酸化ナトリウム(NaOH)溶液(4L、50.42mol、3.78当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、室温で1〜2時間撹拌した。固体を濾過により収集し、水(2×5L)で洗浄した。湿潤ケーキを、アセトニトリル(21.6L)とともに反応器に戻し入れて、その結果生じた懸濁液を1〜2時間、加熱し、静かに還流させた。次いで、透明溶液を撹拌しながら徐々に室温に冷まして、冷却しながら固体を溶液から析出させた。混合物を、さらに1〜2時間、室温で撹拌した。固体を濾過により収集し、アセトニトリル(2×3.5L)で洗浄し、45〜55℃で減圧下で炉中で乾燥して一定重量にして、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、3281.7g、3996.8g(理論値)、収率82.1%)を、白色結晶固体として得て(HPLCにより99.5面積%純粋)、これを、これは、方法AおよびBから製造される物質と、全ての比較可能な態様において、同一であることが判明した。
【0391】
【化222】
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4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5). 1,2−ジメトキシエタン(DME、20.0mL,192.4mmol)中の水素化ナトリウム(NaH、60重量%油性、4.05g、101.3mmol、1.54当量)の懸濁液に、0〜5℃(氷浴)で、温度を5℃以下(−7℃〜5℃)に保持するよう徐々に、1,2−ジメトキシエタン(DME、80.0mL、769.6mmol)中の4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、10.08g,65.6mmol)を付加した。直ちに、大量のガスが放出された。その結果生じた反応混合物を0〜5℃で30分間撹拌した後、トリメチルシリルエトキシメチルクロリド(2、12.56g、75.3mmol、1.15当量)を、反応温度を5℃より低く保持しながら、徐々に付加した。付加後、反応物を0℃で1時間撹拌した後、23時間、室温に温めた。反応が完了したようであるとHPLCおよびTLCが示したら、反応混合物を室温で水(46mL)でクエンチし、所望の生成物(3a)を含有するクエンチされた反応混合物を、さらなる後処理および精製をせずに、次の鈴木カップリング反応に直接移した。
【0392】
上記のような前の反応からの粗製4−クロロ−7−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a、18.63g、65.64mmol)を含有するクエンチされた反応混合物に、室温で、1,2−ジメトキシエタン(DME、38mL)、粉末炭酸カリウム(KCO、23.56g、170.5mmol、2.6当量)、1−(1−エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(14、18.60g、69.89mmol、1.06当量)を付加した。その結果生じた混合物を、毎回窒素ガスを裏込めしながら4回脱気した後、室温で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(244.2mg、0.21mmol、0.003当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素ガスを裏込めしながら4回脱気した後、4〜8時間、80℃に温めた。反応が完了したようであることをTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を徐々に室温に冷まして、短床のセライト(10g)に通して濾過した。セライト 床を酢酸エチル(EtOAc、20mL)で洗浄した。濾液の2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。併合有機抽出物を飽和NaCl水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗製の所望の鈴木カップリング生成物(15)を含有する残渣を、次に、THF(22mL)を含入する500mL丸底フラスコに移して、その後、さらに精製せずに脱保護反応に付した。
【0393】
THF(22mL)中の粗製鈴木カップリング生成物(15)の溶液を、室温で、水(108mL)で、ならびに、19.6mLの濃HClを64mLのHOと混合することにより調製された10%HCl水溶液で処理した。その結果生じた反応混合物を、室温で4〜6時間撹拌した。脱保護反応が完了したようであることをTLCおよびHPLCが示したら、21.0mLのHO中に10.4gのNaOHを溶解することにより調製された30%水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)を、25℃より低い温度を保持しながら、反応混合物に徐々に付加した。固体は徐々に溶解し、10分後に再沈澱した。混合物を室温で1〜2時間撹拌した後、固体を濾過により収集し、HO(50mL)で洗浄した。湿潤ケーキを250mL三つ首フラスコに移して、室温で、アセトニトリル(MeCN、112mL)で処理した。混合物を2時間、加熱、還流した後、徐々に室温に冷まして、室温で1時間撹拌した。固体を濾過により収集し、MeCN(36mL)で洗浄し、真空炉中で40〜45℃で乾燥して、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、15.3g、20.7g(理論値)、収率73.9%)を、白色結晶固体として得て(HPLCにより99.4面積%)、これは、方法A、BおよびCから製造された物質と、全ての比較可能な態様において、同一であることが判明した。
【0394】
【化223】
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ラセミ3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(9、ラセミSEM−保護化合物). 方法B:撹拌棒、熱電対、冷却器および窒素流入口を装備した四つ首250mL丸底フラスコ中に、(3S)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((S)−10、13.9 g、31.5mmol)、アセトニトリル(84mL)および3−シクロペンチルアクリロニトリル(8、EおよびZ異性体の混合物、3.82g、31.5mmol、1.0当量)を、室温で投入した。その結果生じた混合物を、次に、室温で、炭酸セシウム(CsCO、2.57g、7.88mmol、0.25当量)で処理した。反応混合物を65℃に加温して、12時間後に、キラルHPLCにより検査して、化合物(R)−10対化合物(S)−10のエナンチオマー比を決定した。化合物(R)−10対化合物(S)−10の比が1:1に達したら、次に、反応混合物を室温に徐々に冷却させて、室温で24〜48時間撹拌した。反応混合物をHPLCによりモニタリングして、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5)のレベルを確定した。化合物5のレベルがHPLC面積%により≦2%であることが判明した場合、反応は完了したと考えられた。次に、反応混合物をセライトパッドに通して濾過して、反応溶液中に存在する不溶性固体を除去した。次いで、濾液を減圧下で濃縮して、約40mLの溶媒を除去した。濃縮溶液を酢酸エチル(40mL)で希釈して、HClの1N水溶液(40mL)で洗浄した。2つの層を分離し、酸洗浄水溶液を酢酸エチル(20mL)で戻し抽出した。併合有機分画を1M重炭酸ナトリウム(NaHCO)水溶液(45mL)および20%(w/w)ブライン溶液(40mL)で洗浄した。有機分画を硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗製ラセミ3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(9、ラセミSEM−保護化合物、13.6g、13.9g(理論値)、97.8%)を琥珀色油として得て、これは、方法Aにより製造された物質と同一であることが判明した。この粗生成物は、十分に純粋であることが判明し(HPLCにより>96面積%)、さらに精製せずにその後のキラル分離に直接用いた。
【0395】
4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5). 方法E:オーバーヘッド撹拌、熱電対、2L添加漏斗および窒素流入口を装備した22L四つ首フラスコ中に、(3S)−3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((S)−10、491g、1.11mol)およびアセトニトリル(4.5L)を室温で投入した。混合物を0〜10℃に冷却した後、1.5時間に亘って、添加漏斗により、THF中のカリウムtert−ブトキシドの1M溶液(KOBu、2.0L、2.0mol、1.8当量)で滴下処理した。塩基の付加後、反応混合物を室温に戻して、室温で12〜24時間撹拌した。反応が完了したようであるとLC/MSが示したら、反応混合物を酢酸エチル(EtOAc、6L)および50%(w/w)塩化アンモニウム水溶液(NHCl、4L)で希釈した。2つの層を分離し、水性分画を酢酸エチル(2L)で戻し抽出した。併合有機分画を水(2L)およびブライン(3L)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗製4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、354g、350.1g(理論値)、収率101.1%)を琥珀色油として得て、これは、真空中で室温で放置すると固化した。この粗製物質をその後、アセトニトリル中で再結晶化して、純粋化合物5(308g、350.1g(理論値)、収率88%)を白色結晶(HPLCにより99.5面積%)として得て、これは、方法A、B、CおよびDから製造される物質に対して、全ての比較可能態様において、同一であることが判明した。
【0396】
【化224】
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(2S,3S)−2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸−(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(1:1; 17). 撹拌棒および窒素流入口を装備した250ml丸底フラスコに、ラセミ3−シクロペンチル−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(9、6.92g、0.0158mol)、アセトニトリル(89.0mL、1.70mol)、テトラヒドロフラン(15mL、0.185mol)およびアセトン(15.0mL、0.204mol)を室温で投入した。その結果生じた溶液を50℃に加温した後、(+)−2,3−ジベンゾイル−D−酒石酸(16、8.52g、0.0238mol、1.5当量)を一度に用いて処理した。その結果生じた均質溶液を、次に、50℃Cで10分間撹拌した後、室温に徐々に冷却して、室温で21時間撹拌した。次いで、固体を濾過により収集し、少量のヘキサンですすいで、減圧下で乾燥して、(2S,3S)−2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸−(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(1:1;17、6.85g、12.6g(理論値)、収率54%)を白色結晶として得た。単離塩のエナンチオマー純度をキラルHPLCにより分析して、74:26であることが判明し、これは、所望のR−エナンチオマーが優位であることを示す。17に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.86 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.04 (dd, 4H, J = 1.1, 8.4 Hz), 7.80 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 7.76 (tt, 2H, J = 7.5, 1.3 Hz), 7.73 (dd, 4H, J = 7.9, 7.4 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.90 (s, 2H), 5.66 (s, 2H), 4.55 (td, 1H, J = 4.2, 9.6 Hz), 3.54 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 3.30 (dd, 1H, J = 10.1, 17.6 Hz), 3.22 (dd, 1H, J = 4.2, 16.9 Hz), 2.43 (m, 1H), 1.82 (m, 1H), 1.70 - 1.14 (m, 7H), 0.85 (t, 2H, J = 7.8 Hz), -0.083 (s, 9H)。
【0397】
(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−10). 方法B:250mL丸底フラスコに、エナンチオマー富化(2S,3S)−2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸−(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(1:1、17、6.85g、0.00862mol)、酢酸エチル(EtOAc、70mL、0.717mol)および水(20mL、1.11mol)を室温で投入し、その結果生じた溶液を12℃に冷却した後、3N水酸化ナトリウム水溶液(NaOH、10.7ml、0.0321mol、3.72当量)で処理して、pHを8〜9に調整した。2つの相を分離し、水性層を酢酸エチル(30mL)で抽出した。併合有機分画を20%ブライン水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、エナンチオマー富化(3R)−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル((R)−10、3.31g、3.76g(理論値)、88%)を無色油として得て、これをキラルHPLCにより分析して、74:26であることが判明し、これは所望のR−エナンチオマーに優位であることを示す。(R)−10に関しては:H NMR(CDOD,300 MHz)δppm 8.77 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 7.66 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.06 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.7 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 4.5, 10.2 Hz), 3.62 (dd, 2H, J = 8.0, 16.0 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 9.7, 17.2 Hz), 3.17 (dd, 1H, J = 4.0, 17.0 Hz), 2.59 (m, 1H), 1.97 (m, 1H), 1.80 - 1.25 (m, 7H), 0.92 (t, 2H, J = 8.4 Hz), -0.03 (s, 9H);C2332OSi(分子量 436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)。
【0398】
【化225】
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{4−[1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(18). 撹拌棒、冷却器および3方向切替弁を装備した250mL丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(3f、30g、0.112mol)、1,4−ジオキサン(300mL、4.0mol)、1−(1−エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(14、35.8g、0.134mol、1.2当量)、水(150mL、8.3mol)および炭酸カリウム(KCO、61.9g、0.448mol、4.0当量)を室温で投入した。その結果生じた混合物を、毎回窒素を裏込めしながら4回脱気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.0g、0.00433mol、0.039当量)を投入した。次いで、反応混合物を、毎回窒素を裏込めしながら4回脱気した後、85℃に温めた。反応混合物を、85℃で2〜5時間撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を徐々に室温に冷ました後、20%ブライン水溶液(250mL)および酢酸エチル(250mL)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(250mL)で抽出した。併合有機分画を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、25〜40%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、{4−[1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(18)を橙色油として得て、これを、その後の反応に直接用いて、理論的収率を得た。18に関しては:C1925(分子量 371.43)、LCMS(EI)m/e372(M+H)。
【0399】
[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(19). 方法A:撹拌棒および窒素流入口を装備した1L丸底フラスコに、上記と同様に製造された{4−[1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(18、理論量 41.6g、0.112mol)およびテトラヒドロフラン(THF、610mL、7.5mol)を室温で投入し、その結果生じた混合物を室温で塩酸の2.0N水溶液(140mL、0.28mol、2.5当量)で処理した。その結果生じた反応混合物を、その後、室温で一晩撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を0〜5℃に冷却した後、3M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液(95mL)でpHを9〜10に調整した。次いで、混合物を酢酸エチル(2×300mL)で抽出し、併合有機抽出物を20%ブライン水溶液(250mL)で洗浄して、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗生成物をオフホワイト色〜薄黄色固体として得た。粗生成物をメチルt−ブチルエーテル(MTBE、200mL)で処理し、スラリーを加温して30分間還流させた後、室温に冷ました。固体を濾過により収集し、MTBE(2×40mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(19、30.5g、33.52g(理論値)2つのステップに関して91%)を白色〜オフホワイト色固体として得た。19に関しては:H NMR(DMSO−d,300MHz)δppm 13.40 (br s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.68 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.21 (s, 2H), 1.06 (s, 9H);C1517(分子量 299.33)、LCMS(EI)m/e300(M+H)。
【0400】
ラセミ(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(20). 方法A:3−シクロペンチルアクリロニトリル(8、14.6g、0.12mol、1.20当量)およびDBU(18.2mL、0.12mol、1.2当量)を、室温で、アセトニトリル(45mL)中の4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7イル]メチルピバレート(19、30.0g、0.1mol)に付加した。その結果生じた反応混合物を、50〜60℃で17時間(加熱の途中で透明溶液が出現した)、次いで、室温で8時間、加熱した。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル2L中に溶解した。その結果生じた溶液を水(3×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)上で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗生成物(20)を濃い油として得た。次に、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜50%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、ラセミ(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(20、13.0g、42.14g(理論値)、収率30.8%)を、白色固体として得た。20に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.84 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.74 (d, 1H, J = 3.7 Hz,), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.23 (s, 2H), 4.53 (ddd, 1H, J = 9.9, 9.6, 4.2 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 17.4, 9.9 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 17.2, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.87 - 1.13 (m, 8H), 1.07 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。
【0401】
方法B:ジメチルスルホキシド(DMSO、1.0mL、14mmol)中の[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(19、158mg、0.50mmol)および3−シクロペンチルアクリロニトリル(8、122mg、1.0mmol、2.0当量)の撹拌懸濁液に、室温で、粉末炭酸カリウム(KCO、10.4mg、0.075mmol、0.15当量)を付加した。次いで、反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物は、2時間で透明溶液になった。反応が完了したようであることをLCMSが示したら、反応を水(HO、5mL)でクエンチして、酢酸エチル(EtOAc、3×15mL)で抽出した。併合有機抽出物を飽和NaCl水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、減圧下で濃縮した。次いで、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜50%EtOAc/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、ラセミ(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(20、172.6mg、210mg(理論値)、収率82%)を、白色固体として得た。20に関しては: H NMR(CDCl,400MHz)δppm 8.87 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.47 (d, 1H, J = 3.9 Hz), 6.75 (d, 1H, J = 3.9 Hz), 6.24 (s, 2H), 4.25 (m, 1H), 3.12 (dd, 1H, J = 17.0, 8.7 Hz), 2.95 (dd, 1H, J = 17.0, 3.9 Hz), 2.58 (m, 1H), 1.95 (m, 1H), 1.72 - 1.52 (m, 5H), 1.25 (m, 2H), 1.14 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。
【0402】
(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−21). エタノールとヘキサンの混合物(容積で1:9)中のラセミ(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(20、5.2g、12.36mmol)の溶液を、セルローストリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバメート(「キラルセル(登録商標)OD−H」としてDaicel Chemical Industries, Ltd. (Daicel)から入手可能、(5μm))で被覆されたシリカゲルベースのパッキングを詰め込まれたキラルカラムを装備した分取HPLCシステム中に注入した。室温で、32mL/分の流量で、1対9の容積比のエタノール(EtOH)およびヘキサンの混合物からなる移動相で、キラルカラムを溶離した。220nmの波長でのUVにより、カラム溶離をモニタリングした。これらの条件下で、2つのエナンチオマーの基線分離を達成した。保持時間は、それぞれ、16.4分(ピーク1、非所望(S)−エナンチオマー(S)−21)および21.0分(ピーク2、所望(R)−エナンチオマー(R)−21)であった。各注入は、50mg/mLの濃度での1.4mLの供給溶液であり、各実行周期はスタック注入により14分であった。この分離工程のために合計75回の注入を実施した。ピーク1(非所望(S)−エナンチオマー、(S)−21)およびピーク2(所望(R)−エナンチオマー、(R)−21)に関する分画を、各注入から別々に収集し、各ピークに関して収集された分画を、減圧下で濃縮した。各蒸発器からの残渣をさらに、高真空下で一定重量に乾燥して、(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−21、2.36g、2.6g(理論値)、収率90.8%)をオフホワイト色固体としてピーク2から、そして(S)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((S)−21、2.4g、2.6g(理論値)、収率92.3%)をオフホワイト色固体としてピーク1から得た。
【0403】
キラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×50mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、POM−(R)−21および(S)−21の両エナンチオマーのキラル純度評価のために、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、10%エタノールおよび90%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.5より大きい分解能で、2つのエナンチオマー((R)−21および(S)−21)を分離した。UV検出波長は220nmである。保持時間は、それぞれ、(S)−21に関しては14.1分および(R)−21に関しては18.7分である。
【0404】
化学純度(HPLC面積%)およびキラル純度(キラルHPLC面積%)を含めた分取キラルHPLCにより分離された各エナンチオマーの質を分析し、それらの構造をNMRおよびLC/MSにより確証する。(R)−21に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.2面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.6面積%;99.2%ee);H NMR(DMSO−d、400 MHz)δppm8.84 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.74 (d, 1H, J = 3.7 Hz,), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.23 (s, 2H), 4.53 (ddd, 1H, J = 9.9, 9.6, 4.2 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 17.4, 9.9 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 17.2, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.87 - 1.13 (m, 8H), 1.07 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。(S)−21に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.3面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.8面積%;99.6%ee);H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.84 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.74 (d, 1H, J = 3.7 Hz,), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.23 (s, 2H), 4.53 (ddd, 1H, J = 9.9, 9.6, 4.2 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 17.4, 9.9 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 17.2, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.87 - 1.13 (m, 8H), 1.07 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。
【0405】
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−12、遊離塩基). 方法B. メタノール(4.0mL、99mmol)中の(4−{1−[(1R)−2−シアノ−1−シクロペンチルエチル]−1H−ピラゾール−4−イル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−21、376mg、0.894mmol)の撹拌溶液に、室温で、水中の水酸化ナトリウムの1.0M溶液(NaOH、179μL、0.179mmol、2.0当量)を付加した。反応混合物を、室温で一晩(15時間)撹拌した。反応がきちんと実行されたことをLCMSが示したら、反応混合物を水(10mL)および飽和NaCl水溶液(20mL)でクエンチして、EtOAc(2×10mL)で抽出した。併合有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−12、遊離塩基、274mg、274mg(理論値)、収率100%)を淡黄色発泡体として得て、これは、方法Aから製造される物質と同一であることが判明した。
【0406】
【化226】
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[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(19). 方法B. 撹拌棒、隔壁、熱電対、500mL添加漏斗および窒素流入口を装備した炉乾燥3L四つ首丸底フラスコに、水素化ナトリウム(NaH、鉱油中60重量%、32.82g、0.82mol、1.20当量)および無水1,2−ジメトキシエタン(DME、500mL、4.8mol)を投入し、その結果生じた混合物を0〜3℃に冷却した。炉乾燥1L丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、105.0g、0.684mol)および1,2−ジメトキシエタン(DME、750mL、7.2mol)を投入し、その結果生じたスラリーを次に、30分に亘って5〜12℃で、大口径カニューレによりDME中の水素化ナトリウムの懸濁液に少量ずつ付加した。その結果生じた反応混合物は、不均質であった。付加後、冷浴を取り除き、混合物を徐々に室温に温めて、室温で1時間撹拌した後、0〜5℃に冷却した。ピバル酸クロロメチル(ピバロイルオキシメチルクロリド、POM−Cl、112ml、0.752mol、1.1当量)を、0〜5℃で撹拌しながら30分間に亘って、反応混合物中に滴下した。ピバル酸クロロメチルの付加は軽度に発熱性で、反応温度は14℃という高さまで上がった。ピバル酸クロロメチルの付加後、冷却浴を除去して、反応混合物を室温に戻し、室温で90分間撹拌した。HPLCにより確認した後、反応が完了したと思われたら、水(100mL)で反応を注意深くクエンチした。そして、粗製POM保護化クロロデアザプリン(3f)を含有するこのクエンチされた反応混合物を、その後の鈴木カップリング反応に直接用いて、さらなる後処理および精製をしなかった。
【0407】
上記のように製造された粗製POM保護化クロロデアザプリン(3f)を含有するクエンチされた反応混合物に、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(14、200g、0.75mol、1.10当量)および炭酸カリウム(KCO、189g、1.37mol、2.0当量)を室温で付加した。その結果生じた混合物を、窒素流をその溶液に15分間通すことにより、脱気し、その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.9g、0.68mmol、0.01当量)で処理し、その結果生じた反応混合物を、10時間、還流(約82℃)加熱した。TLC(1:1 ヘキサン/酢酸エチル)およびLCMSにより確認して反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷まして、酢酸エチル(2L)および水(1L)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(500mL)で抽出した。併合有機層を水(2×1L)およびブライン(1L)で洗浄した後、減圧下で濃縮して、粗製{4−[1−(1−エトキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル}メチルピバレート(18)を淡黄色油として得て、これを、さらに精製せずに、その後の脱保護反応に直接用いた。
【0408】
THF中の粗製18の溶液(1L、12.3mol)を、室温で、4NのHCl水溶液(500mL)で処理した。その結果生じた反応混合物を、その後、室温で5時間撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を0〜5℃に冷却した後、1M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液(2L)でpHを9〜10に調整した。混合物を減圧下で濃縮して、THFのほとんどを除去し、その結果生じた懸濁液を室温で2時間撹拌した。固体を濾過により収集し、水(3×500mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]メチルピバレート(19、157.5g、204.43g(理論値)、3つのステップの収率77%)を白色〜オフホワイト色固体として得たが、これはさらに精製せずにその後の反応を実行するのに十分に純粋(HPLCにより>98面積%)であることが判明した。19に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 13.42 (br s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.68 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.21 (s, 2H), 1.06 (s, 9H);13C NMR(DMSO−d,100 MHz)δppm 177.74, 152.31, 152.09, 151.91, 139.52, 130.39, 120.51, 113.93, 101.91, 67.26, 38.98, 27.26; C1517(分子量299.33),LCMS(EI)m/e300(M+H)。
【0409】
【化227】
[この文献は図面を表示できません]
(2S,3S)−2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸−(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(1:1;22). アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびアセトンの混合物(4mL、6:1:1)中のラセミ(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(20、200mg、0.47mmol)の溶液を、50℃に加温した後、(+)−2,3−ジベンゾイル−D−酒石酸(16、84mg、0.0235mol、0.5当量)を一度に用いて処理した。その結果生じた均質溶液を、次に、50℃Cで10分間撹拌した後、室温に徐々に冷却して、室温で23時間撹拌した。次いで、固体を濾過により収集し、少量のヘキサンですすいで、減圧下で乾燥して、(2S,3S)−2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸−(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(1:1;22、145mg、183mg(理論値)、収率79.2%)を白色結晶として得た。単離塩のエナンチオマー純度をキラルHPLCにより分析して、87:13の比であることが判明し、これは、所望のR−エナンチオマーが優位であることを示す。22に関しては:C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。
【0410】
(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−21). 方法B:酢酸エチル(10mL)および水(5.0mL)中のエナンチオマー富化(2S,3S)−2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸−(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(1:1;22、120mg、0.154mmol)の溶液を、12℃に冷却した後、2N炭酸カリウム水溶液(KCO、0.39mL、0.77mmol、5.0当量)で処理して、pHを8〜9に調整した。2つの相を分離し、水性層を酢酸エチル(30mL)で抽出した。併合有機分画を20%ブライン水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、エナンチオマー富化(R)−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート((R)−21、55.7mg、64.8mg(理論値)、収率86%)を白色固体として得て、これをキラルHPLCにより分析して、87:13の比であることが判明し、これは所望のR−エナンチオマーが優位であることを示す。(R)−21に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.84 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.74 (d, 1H, J = 3.7 Hz,), 7.11 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.23 (s, 2H), 4.53 (ddd, 1H, J = 9.9, 9.6, 4.2 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 17.4, 9.9 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 17.2, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.87 - 1.13 (m, 8H), 1.07 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421.4(M+H)。
【0411】
【化228】
[この文献は図面を表示できません]
ラセミ3−シクロペンチル−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル(23). 撹拌棒、冷却器および窒素流入口を装備した500mL丸底フラスコに、3−シクロペンチルアクリロニトリル(8、EおよびZ異性体の混合物、8.46g、0.067mol、1.3当量)、アセトニトリル(242mL、4.64mol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(4、10.0g、0.0515mol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU、16.2ml、0.108mol、2.1当量)を、室温で投入した。その結果生じた溶液を、次に、加温、還流して、反応混合物を18時間還流で撹拌した。反応が完了したようであれば、反応混合物を室温に冷ました後、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0%〜30% 酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により直接精製して、3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(23、13.1g、16.2g(理論値)、81%)を、オフホワイト色固体として得た。このラセミ混合物を、さらに精製せずにその後のキラルカラム分離に直接用いた。23に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.07 (d, 1H, J = 0.53 Hz), 7.65 (s, 1H), 4.42 (td, 1H, J = 19.2, 4.5 Hz), 3.14 (dd, 1H, J = 9.39, 17.2 Hz), 3.08 (dd, 1H, J = 4.58, 17.2 Hz), 2.31 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.62 - 1.32 (m, 4H), 1.29 - 1.01 (m, 15H);C1726BN(分子量 315.22)LCMS(EI)m/e316[M+H]。
【0412】
(R)−3−シクロペンチル−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−24)および(S)−3−シクロペンチル−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−24). エタノールおよびヘキサンの混合物(容積で8:2)中のラセミ3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(23、13.1g、41.56mol)の溶液を、シリカゲル上に固定されるアミローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)を詰め込まれたキラルカラム(20×250mm)(「キラルパク(登録商標)IA」としてChiral Technologies Inc.から入手可能)を装備した分取HPLCシステム中に注入した。室温で、18mL/分の流量で、1対9の容積比のエタノール(EtOH)およびヘキサンの混合物からなる移動相で、キラルカラムを溶離した。220nmの波長でのUVにより、カラム溶離をモニタリングした。これらの条件下で、2つのエナンチオマーの基線分離を達成した。保持時間は、それぞれ、7.0分(ピーク1、非所望(S)−エナンチオマー(S)−24)および8.3分(ピーク2、所望(R)−エナンチオマー(R)−24)であった。各注入は、100mg/mLの濃度での0.8mLの供給溶液であり、各実行周期はスタック注入により14分であった。この分離工程のために合計164回の注入を実施した。ピーク1(非所望(S)−エナンチオマー、(S)−24)およびピーク2(所望(R)−エナンチオマー、(R)−24)に関する分画を、各注入から別々に収集し、各ピークに関して収集された分画を、減圧下で濃縮した。各蒸発器からの残渣をさらに、高真空下で一定重量に乾燥して、(R)−3−シクロペンチル−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−24、6.19g、6.55g(理論値)、収率94.5%)をオフホワイト色固体としてピーク2から、そして(S)−3−シクロペンチル−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−24、6.08g、6.55g(理論値)、収率92.8%)をオフホワイト色固体としてピーク1から得た。
【0413】
キラルパク(登録商標)IAカラム(4.6×50mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、化合物24((R)−24および(S)−24)の両エナンチオマーのキラル純度評価のために、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、15%エタノールおよび85%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.0より大きい分解能で、2つのエナンチオマー((R)−24および(S)−24)を分離した。UV検出波長は220nmである。保持時間は、それぞれ、(S)−24に関しては6.4分および(R)−24に関しては7.6分である。
【0414】
化学純度(HPLC面積%)およびキラル純度(キラルHPLC面積%)を含めた分取キラルHPLCにより分離された各エナンチオマーの質を分析し、それらの構造をNMRおよびLC/MSにより確証する。(R)−24に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより98.8面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.8面積%;99.6%ee);H NMR(DMSO−d、400 MHz)δppm8.07 (d, 1H, J = 0.53 Hz), 7.65 (s, 1H), 4.42 (td, 1H, J = 19.2, 4.5 Hz), 3.14 (dd, 1H, J = 9.39, 17.2 Hz), 3.08 (dd, 1H, J = 4.58, 17.2 Hz), 2.31 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.62 - 1.32 (m, 4H), 1.29 - 1.01 (m, 15H);C2726BN(分子量 315.22)、LCMS(EI)m/e316(M+H)。(S)−24に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより98.6面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.6面積%;99.2%ee);H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm8.07 (d, 1H, J = 0.53 Hz), 7.65 (s, 1H), 4.42 (td, 1H, J = 19.2, 4.5 Hz), 3.14 (dd, 1H, J = 9.39, 17.2 Hz), 3.08 (dd, 1H, J = 4.58, 17.2 Hz), 2.31 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.62 - 1.32 (m, 4H), 1.29 - 1.01 (m, 15H);C1726BN(分子量 315.22)LCMS(EI)m/e316[M+H]。
【0415】
【化229】
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ラセミ3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(9、ラセミSEM−保護化合物). 方法C:撹拌棒、冷却器、熱電対および3方向切替弁を装備した250mL丸底フラスコに、3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(23、0.697g、2.21mmol、1.3当量)、4−クロロ−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a、0.506g、1.69mmol)、1,4−ジオキサン(4.44mL)、水(4.44mL)および重炭酸ナトリウム(NaHCO、0.666g、7.93mmol、4.7当量)を室温で投入した。その結果生じた混合物を、毎回窒素を裏込めしながら4回脱気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(91.6mg、0.079mmol、0.047当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素を裏込めしながら4回脱気した。次いで、反応物を90℃に2〜6時間加温した。反応が完了したようであるとTLCおよびHPLCが示したら、反応混合物を室温に冷ました後、水(5mL)および酢酸エチル(10mL)で希釈した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(10mL)で抽出した。併合有機分画を水(10mL)および飽和NaCl水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥して、減圧下で濃縮して、粗生成物(9)を琥珀色油として得た。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、0〜40%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、ラセミ3−シクロペンチル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(9、ラセミSEM−保護化合物、617mg、737.9mg(理論値)、収率83.6%)を黄色油として得た。9に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.83 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.77 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 5.63 (s, 2H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.0 Hz), 3.51 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 3.23 (dq, 2H, J = 9.3, 4.3 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.66-1.13 (m, 7H), 0.81 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 0.124 (s, 9H);C2332OSi(分子量436.63)、LCMS(EI)m/e437(M+H)およびm/e459(M+Na)。
【0416】
ラセミ(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(20). 方法B. 撹拌棒、冷却器、ならびに窒素および真空に連結された3方向切替弁を装備した50ml丸底フラスコに、(4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(3f、700mg、2.61mmol)、3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(23、935mg、2.97mmol、1.13当量)、1,2−ジメトキシエタン(DME、10mL、96mmol)、水(5mL、0.28mol)および炭酸カリウム(KCO、1.82g、7.84mmol、3.0当量)を、室温で投入した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素を裏込めしながら3回脱気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(30mg、0.026mmol、0.010当量)を投入した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素を裏込めしながら4回脱気し、次いで、82℃に加温した。反応混合物を、82℃で6時間撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷ました後、酢酸エチル(45mL)および水(10mL)で希釈した。その結果生じた混合物を、大多数の固体が溶液中に溶けるまで撹拌した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(1×25mL)で抽出した。併合有機分画をブライン水溶液(2×25mL)で洗浄し、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、ラセミ4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチルピバレート(20、0.97g、1.1g(理論値)、収率88.6%)を無色油として得て、これは、真空中で室温で放置すると固化した。20に関しては:H NMR(CDCl,300 MHz)δ 8.85 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.45 (d, 1H, J = 3.8 Hz,), 6.73 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.22 (s, 2H), 4.23 (ddd, 1H, J = 10.0, 8.6, 4.0 Hz), 3.10 (dd, 1H, J = 17.0, 8.6 Hz), 2.92 (dd, 1H, J = 17.0, 4.0 Hz), 2.56 (m, 1H), 2.00 - 1.25 (m, 8H), 1.12 (s, 9H);C2328(分子量 420.51)、LCMS(EI)m/e421(M+H)。
【0417】
【化230】
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(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−12、遊離塩基). 方法C: 撹拌棒、冷却器ならびに窒素および真空に連結された3方向切替弁を装備した25ml丸底フラスコに、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、154mg、1.00mmol)、(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル((R)−24、445mg、1.41mmol、1.41当量)、1,4−ジオキサン(2.78mL、35.6mmol)、水(1.39mL、77.2mmol)および炭酸カリウム(KCO、693mg、5.02mmol、5.0 当量)を、室温で投入した。その結果生じた混合物を、毎回窒素を裏込めしながら3回脱気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(207mg、0.180mmol、0.18当量)を投入した。その結果生じた反応混合物を、毎回窒素を裏込めしながら4回脱気し、次いで、95℃に加温した。反応混合物を、95℃で17時間撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷ました後、酢酸エチル(20mL)および20%ブライン水溶液(11mL)で希釈した。混合物を、大多数の固体が溶液中に溶けるまで、室温で激しく撹拌した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(20mL)で抽出した。併合有機抽出物を飽和ブライン(10mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。次いで、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜100%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル((R)−12、197mg、306.4mg(理論値)、収率64.3%)を無色油として得て、これは、室温で放置すると固化した。(R)−12に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 12.1 (bs, 1H), 8.80 (d, 1H, J = 0.42 Hz), 8.67 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.59 (dd, 1H, J = 2.34, 3.51 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 1.40, 3.44 Hz), 4.53 (td, 1H, J = 19.5, 4.63 Hz), 3.26 (dd, 1H, J = 9.77, 17.2 Hz), 3.18 (dd, 1H, J = 4.32, 17.3 Hz), 2.40 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 1.65 to 1.13 (m, 7H);C1718(分子量 306.37)LCMS(EI)m/e307[M+H]。
【0418】
(S)−3−シクロペンチル−3−(4−(7−(ジエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−25). 撹拌棒、冷却器ならびに窒素および真空に連結された3方向切替弁を装備した100ml丸底フラスコに、4−クロロ−7−(ジエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3b、3.30g、0.0129mol)、(3S)−3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル((S)−24、5.12g、0.0146mol、1.13当量)、1,4−ジオキサン(33.4mL、0.428mol)、水(16.7mL、0.929mol)および炭酸カリウム(KCO、8.03g、0.0581mol、4.5当量)を室温で投入した。その結果生じた混合物を、毎回窒素を裏込めしながら3回脱気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.49g、0.00129mol、0.10当量)を投入した。混合物を、毎回窒素を裏込めしながら4回脱気し、次いで、95℃に加温した。反応混合物を、95℃で21時間撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷ました後、酢酸エチル(45mL)および水(20mL)で希釈した。その結果生じた混合物を、大多数の固体が溶液中に溶けるまで撹拌した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。併合有機分画を20%ブライン水溶液(50mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0%〜50%酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離液)により精製して、(3S)−3−シクロペンチル−3−{4−[7−(ジエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}プロパンニトリル((S)−25、4.11g、5.27g(理論値)、収率78%)を無色油としてえて、これは、室温で放置すると固化した。(S)−25に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.84 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.71 (d, 1H, J = 3.8 Hz,), 7.12 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.76 (s, 1H), 4.53 (td, 1H, J = 19.4, 4.3 Hz), 3.68 (m, 2H), 3.52 (m, 2H), 3.26 (dd, 1H, J = 9.6, 17.3 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 4.3, 17.2 Hz), 2.41 (m, 1H), 1.80 (m, 1H), 1.63 - 1.09 (m, 13H);C2228(分子量 408.50)、LCMS(EI)m/e409(M+H)。
【0419】
【化231】
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3−シクロプロピルアクリロニトリル(27). ドライテトラヒドロフラン(THF、5.75L)中のジエチルシアノメチルホスホネート(7、779.5g、4.4mol、1.1当量)の溶液を、氷水−メタノール浴中で窒素下で撹拌した後、THF中の1Mカリウムtert−ブトキシ(KOBu、4.2L、4.2mol、1.05当量)の溶液を、0℃より低い温度を保持するような速度で付加した。カリウムtert−ブトキシド溶液の付加の完了後、0〜5℃で1時間、撹拌を継続して、無水THF(290mL)中のシクロペンタンカルブアルデヒド(26、280g、4.0mol)の溶液を、0℃より低い温度を保持するような速度で付加した。冷却浴を除去し、反応混合物を徐々に室温に上げて、室温で一晩撹拌した。反応が完了したと思われたら、反応混合物をMTBE(14L)、水(10L)およびブライン(6L)間に分配した。有機相をブライン(6L)で洗浄した。水性相をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE、10L)で抽出し、ブライン(6L)で洗浄した。併合有機抽出物を減圧下で濃縮し、残渣を蒸留して、3−シクロプロピルアクリロニトリル(27、342.7g、372.5g(理論値)、収率92%)を無色油として得て、これは、E−およびZ−異性体の混合物であることが判明した。27に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)(E異性体に関して)δppm6.33 (dd, 1H, J = 16.3, 10.3 Hz), 5.69 (d, 1H, J = 16.4 Hz), 1.66 (m, 1H), 1.02 (m, 1H,), 0.93 (m, 1H), 0.69 (m, 2H)および(Z異性体に関して) δppm 6.05 (t, 1H, J = 10.8 Hz), 5.45 (d, 1H, J = 9.7 Hz), 1.82 (m, 1H), 1.02 (m, 1H), 0.93 (m, 1H), 0.69 (m, 2H);13C NMR(DMSO−d,100 MHz、E異性体に関して)δppm 160.9, 118.4, 95.4, 15.4, 8.64および(Z異性体に関して)δppm 160.0, 117.3, 95.2, 14.8, 8.4;CN(分子量 93.13)、GCMS(EI)m/e92(M−H)。
【0420】
ラセミ3−シクロプロピル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]ピラゾール−1−イル}プロピオニトリル(28、ラセミSEM−保護化合物). アセトニトリル(11L)中の4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、1.115Kg、3.54mol、1.0当量)の懸濁液に、3−シクロプロピルアクリロニトリル(27、428.7g、4.60mol、1.3当量)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU、55mL、0.37mol、0.105当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、約18時間、加熱し、静かに還流させた。反応が完了したようであることをHPLCおよびLCMSが示したら、透明溶液である反応混合物を室温に冷ました後、減圧下で濃縮して、粗マイケル付加生成物(28)を暗赤色油として得た。次いで、粗生成物をジクロロメタンで希釈し、3つの部分に分けて、シリカゲル(3×2Kg)上に吸収させた。シリカゲル上に吸収された粗生成物を、3つの2Kgシリカゲルカラム(ヘプタン/EtOAcを87.5:12.5で詰め込まれ、87.5:12.5〜25:75のヘプタン/EtOAcで溶離される)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な所望の生成物(28)を含有する分画を併合し、減圧下で濃縮して、移して、ラセミ3−シクロプロピル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]−ピラゾール−1−イル}−プロピオニトリル(28、ラセミSEM−保護化合物、1.310Kg、1.446Kg(理論値)、収率90.6%)を琥珀色シロップとして得て、これを、さらに精製せずに、キラルカラム分離のために用いた。28に関しては:C2128OSi(分子量 408.57)、LCMS(EI)m/e409(M+H)。
【0421】
(3R)−3−シクロプロピル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−29)および(3S)−3−シクロプロピル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−29). イソプロパノール(IPA)3.0L中の20μのキラルセル(登録商標)ODキラル固定相(CSP)(Daicel製)1.5Kgのスラリーを、150barの充填圧下で、PROCHROM動的軸方向圧縮カラムLC110−1(内径11cm×長さ25cm;カラム隙間容積:約1.5L)中に詰め込んだ。次に充填されたカラムを、Novasep Hipersep HPLCユニット上に据え付けた。カラムおよびHPLCシステムをメタノール(17L)で、ならびにイソプロパノールおよびヘキサンの混合物(容積で2:8、17L)からなる移動相で洗い流した。次いで、移動相中に3−シクロペンチル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル(28、ラセミSEM−保護化合物、2500g、6.119mol)を溶解して、80g/Lの濃度にすることにより、供給溶液を調製した。次に、分離のために供給溶液(120mL/注入)を、順次、分取HPLCキラルカラム中に注入した。キラルカラムを、室温で、570mL/分の流量で、移動相で溶離した。330nmの波長でのUVにより、カラム溶離をモニタリングした。これらの条件下で、2つのエナンチオマーの基線分離を達成した。各注入のための周期時間は11分で、この分離工程のために合計216回の注入を実施した。ピーク1(非所望(S)−エナンチオマー、(S)−29)およびピーク2(所望(R)−エナンチオマー、(R)−29)に関する分画を、各注入から別々に収集し、各ピークに関して収集した分画を、減圧(40〜120bar)下で、40℃で、継続的に濃縮した。各蒸発器からの残渣をさらに、高真空下で一定重量に乾燥して、(3R)−3−シクロプロピル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−29、1150g、1250g(理論値)、92%)を薄黄色油(これは、真空中で室温で放置すると固化した)としてピーク2から得て、そして(3S)−シクロプロピル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−29、1200g、1250g(理論値)、96%)を黄色油(これは、真空中で室温で放置すると固化した)としてピーク1から得た。
【0422】
キラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、SEM−保護化合物の両エナンチオマーのキラル純度評価のために、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、15%エタノールおよび85%ヘキサンの移動相を用いることにより、4.0より大きい分解能で、SEM保護化合物の2つのエナンチオマーを分離した。UV検出波長は220nmである。(S)−エナンチオマー((S)−29)および(R)−エナンチオマー((R)−29)に関する保持時間は、それぞれ9.4分および12.4分である。
【0423】
化学純度(HPLC面積%)およびキラル純度(キラルHPLC面積%)を含めた分取キラルHPLCにより分離された各エナンチオマーの質を分析し、それらの構造をNMRおよびLC/MSにより確証する。(R)−29に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.1面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.4面積%;98.8%ee);C2128OSi(分子量 408.57)、LCMS(EI)m/e409(M+H)。
【0424】
(3R)−3−シクロプロピル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−30). MeCN(900mL)およびHO(75mL)中の(3R)−3−シクロプロピル−3−{4−[7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]−ピラゾール−1−イル}−プロピオニトリル((R)−29、102g、0.25mol、1.0当量)の溶液を、固体テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF、186.0g、2.0mol、8.0当量)を一度に用いて処理した(反応温度は、付加時に15℃から38℃に増大した)。次に、その結果生じた反応混合物を、20時間、静かに還流しながら加熱した(軽い懸濁液が生じた)。SEM基の開裂が完了したことをLCMSが示したら、反応混合物を室温に、その後、12℃に冷却した後、NHOH水溶液(20%、80mL)を付加して、pHを9〜10に調整した。典型的には24〜36時間以内にN−ヒドロキシメチル中間体(M+H=309)が残存していないことをLCMSが示すまで、その結果生じた懸濁液を室温で撹拌した。この期間中、反応混合物のpHは7〜8に低下したので、さらにNHOH水溶液(20%)を付加して、混合物をpH9〜10に再調整した。混合物をアセトニトリル(300mL)で希釈し、濾過し、アセトニトリル(500mL)で固体を洗浄した。混濁濾液を減圧下で濃縮して、MeCNの大半を除去して、多少の固体を含有する濃い油を得た。混合物をHO(500mL)で徐々に希釈し、混濁溶液を種として入れた。次いで、濃い懸濁液が形成されるまで、溶液を室温で減圧下で濃縮した。懸濁液をさらにHO(1L)で希釈し、その結果生じた懸濁液を室温で2時間撹拌した。固体を濾過により収集し、HO(2×500mL)で洗浄し、1.5時間、漏斗上で吸引乾燥した。19F NMRは、少量の無機フッ化物が存在することを示し、そしてTLC(5%MeOH/EtOAc)は、少量の基線物質が存在することを示した。したがって、粗製固体を、1時間機械的に撹拌しながらHO(1L)中で再スラリー化した後、濾過により収集し、HO(500mL)で洗浄した。湿潤ケークを1.5時間、漏斗上で吸引乾燥して、次に、45〜50℃Cで16時間、真空炉中で乾燥して、(3R)−3−シクロプロピル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−30、60.8g、69.6g(理論値)、収率87.4%)をオフホワイト色固体として得た。(R)−30に関しては:C1514(分子量 278.31)、LCMS(EI)m/e279(M+H)。
【0425】
(3R)−3−シクロプロピル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩((R)−31、リン酸塩). イソプロパノール(IPA、900mL)中の(3R)−3−シクロプロピル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリル((R)−30、60.0g、0.2158mol、1.0当量)の懸濁液を、77℃に加熱して、透明淡黄色溶液を得た。IPA(200mL)中の結晶HPO(23.3g、0.2374mol、1.1当量)の溶液を、77〜79℃で添加漏斗から定常流で付加し、IPA(25mL)で添加漏斗をすすいだ。直ちに混濁が生じ、その後、白色懸濁液を生じた。約半量のHPO溶液を付加後、懸濁液は非常に濃くなった。さらなる量のIPA(100mL)を付加して、撹拌を助長した。付加が完了したら、懸濁液を75℃Cで1時間加熱すると、懸濁液はより流動性になったが、しかし依然として非常に濃い液であった。懸濁液を1時間掛けて室温に冷まして、固体を濾過により収集し、50%IPA/ヘプタン(750mL)で洗浄し、乾燥した。一晩撹拌しながら固体をヘプタン(1.2L)で粉砕した後、濾過により収集し、ヘプタン(300mL)で洗浄して、40〜50℃Cで真空炉中で乾燥して一定重量にして、(3R)−3−シクロプロピル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩((R)−31、リン酸塩、76.7g、81.2g(理論値)、収率94.5%)を微細白色結晶固体として得た。(R)−31に関しては:H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 12.2 (bs, 1H), 9.62 (bs, 3H, H3PO4), 8.77 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.59 (q, 1H, J = 2.0 Hz), 6.98 (d, 1H, J = 2.7 Hz), 4.04 (m, 1H), 3.37 (dd, 1H, J = 16.8, 8.0 Hz), 3.28 (dd, 1H, J = 16.8, 5.1 Hz), 1.43 (m, 1H), 0.68 (m, 1H), 0.49 (m, 3H);13C NMR(DMSO−d,100 MHz)δppm 152.2, 150.9, 149.9, 139.3, 130.4, 127.0, 120.8, 118.1, 112.9, 100.0, 62.6, 23.3, 15.7, 4.3, 3.8;C1514(分子量 278.31)、LCMS(EI)m/e279.1(M+H)。
【0426】
【化232】
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ラセミ4,4,4−トリフルオロ−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル(33、ラセミSEM−保護化合物). 機械的撹拌器、窒素流入口およびサーモウェルを装備したフラスコに、化合物4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、1424g、4.52mol)およびアセトニトリル(14L)を付加した。その結果生じた懸濁液に、4,4,4−トリフルオロクロトニトリル(32、601.6g、4.97mol、1.1当量)を、その後、1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU、67 mL、0.452mol、0.1当量)を付加した。DBUの付加時に、わずかな発熱(5℃)が認められた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その際反応が完了したようであることをTLCおよびLCMSが示したら、。次に、反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒の大半を除去し、クロマトグラフィー精製のために、残渣を2つのシリカゲルカラム(各々3Kg)により精製した。カラムを、2:1 ヘキサン/酢酸エチル(30L)で、その後、1:1 ヘプタン/酢酸エチル(30L)で溶離した。純粋な所望の生成物(33)を含有する分画を併合し、減圧下で濃縮して、ラセミ4,4,4−トリフルオロ−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル(33、ラセミSEM−保護化合物、1802g、1973g(理論値)、収率91.3%)を濃い油として得て、これを、さらに精製せずにその後のキラルカラム分離に直接用いた。33に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 8.99 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 7.80 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.05 (m, 1H), 5.63 (s, 2H), 3.82 (dd, 1H, J = 17.5, 10.6 Hz), 3.66 (dd, 1H, J = 17.0, 4.9 Hz), 3.50 (t, 2H, J = 7.9 Hz), 0.80 (t, 2H, J = 8.2 Hz), -0.145 (s, 9H);13C NMR(DMSO−d,100MHz)δppm 151.7, 151.3, 149.5, 140.8, 132.9, 130.4, 123.2 (JCF = 282 Hz), 121.9, 116.2, 113.5, 100.2, 72.3, 65.7, 57.8 (JCF = 32.4 Hz), 17.1, -1.46;C1923OSi(分子量 436.51)、LCMS(EI)m/e437(M+H)。
【0427】
(R)−4,4,4−トリフルオロ−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル((R)−34)および(S)−4,4,4−トリフルオロ−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル((S)−34). イソプロパノール(IPA)3.0L中の1.5Kgの20μキラルセル(登録商標)ODキラル固定相(CSP)(Daicel製)のスラリーを、150barの充填圧下で、PROCHROM動的軸方向圧縮カラムLC110−1(内径11cm×長さ25cm;カラム隙間容積:約1.5L)中に詰め込んだ。次に充填されたカラムを、Novasep Hipersep HPLCユニット上に据え付けた。カラムおよびHPLCシステムをメタノール(17L)で、ならびにイソプロパノールおよびヘキサンの混合物(容積で2:8、17L)からなる移動相で洗い流した。次いで、移動相中に4,4,4−トリフルオロ−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル(33、ラセミSEM−保護化合物、3100g、7.1mol)を溶解して、120g/Lの濃度にすることにより、供給溶液を調製した。次に、分離のために供給溶液(120mL/注入)を、順次、分取HPLCキラルカラム中に注入した。キラルカラムを、室温で、570mL/分の流量で、移動相で溶離した。330nmの波長でのUVにより、カラム溶離をモニタリングした。これらの条件下で、2つのエナンチオマーの基線分離を達成した。各注入のための周期時間は11分で、この分離工程のために合計210回の注入を実施した。ピーク1(非所望(S)−エナンチオマー、(S)−34)およびピーク2(所望(R)−エナンチオマー、(R)−34)に関する分画を、各注入から別々に収集し、各ピークに関して収集した分画を、減圧(40〜120bar)下で、40℃で、継続的に濃縮した。各蒸発器からの残渣をさらに、高真空下で一定重量に乾燥して、(3R)−3−シクロプロピル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((R)−34、1457g、1550g(理論値)、94%)を薄黄色油(これは、真空中で室温で放置すると固化した)としてピーク2から得て、そして(3S)−シクロプロピル−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル((S)−34、1488g、1550g(理論値)、96%)を黄色油(これは、真空中で室温で放置すると固化した)としてピーク1から得た。
【0428】
キラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、SEM−(R)−34および(S)−34の両エナンチオマーのキラル純度評価のために、キラルHPLC法を開発した。1mL/分の流量で、室温で、15%エタノールおよび85%ヘキサンの移動相を用いることにより、9.0より大きい分解能で、SEM保護化合物の2つのエナンチオマーを分離した。UV検出波長は220nmである。(S)−エナンチオマー((S)−34)および(R)−エナンチオマー((R)−34)に関する保持時間は、それぞれ11.2分および22.2分である。
【0429】
化学純度(HPLC面積%)およびキラル純度(キラルHPLC面積%)を含めた分取キラルHPLCにより分離された各エナンチオマーの質を分析し、それらの構造をNMRおよびLC/MSにより確証する。(R)−34に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.2面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.4面積%;98.8%ee);H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.99 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 7.80 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.05 (m, 1H), 5.63 (s, 2H), 3.82 (dd, 1H, J = 17.5, 10.6 Hz), 3.66 (dd, 1H, J = 17.0, 4.9 Hz), 3.50 (t, 2H, J = 7.9 Hz), 0.80 (t, 2H, J = 8.2 Hz), -0.145 (s, 9H); 13C NMR(DMSO−d,100 MHz)δppm 151.7, 151.3, 149.5, 140.8, 132.9, 130.4, 123.2 (JCF = 282 Hz), 121.9, 116.2, 113.5, 100.2, 72.3, 65.7, 57.8 (JCF = 32.4 Hz), 17.1, -1.46;C1923OSi(分子量 436.51)、LCMS(EI)m/e437(M+H)。(S)−34:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.1面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.2面積%;98.4%ee);H NMR(DMSO−d,400 MHz)δppm 8.99 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 7.80 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.05 (m, 1H), 5.63 (s, 2H), 3.82 (dd, 1H, J = 17.5, 10.6 Hz), 3.66 (dd, 1H, J = 17.0, 4.9 Hz), 3.50 (t, 2H, J = 7.9 Hz), 0.80 (t, 2H, J = 8.2 Hz), -0.145 (s, 9H);13C NMR(DMSO−d,100MHz)δppm 151.7, 151.3, 149.5, 140.8, 132.9, 130.4, 123.2 (JCF = 282 Hz), 121.9, 116.2, 113.5, 100.2, 72.3, 65.7, 57.8 (JCF = 32.4 Hz), 17.1, -1.46;C1923OSi(分子量 436.51)、LCMS(EI)m/e437(M+H)。
【0430】
4,4,4−トリフルオロ−3(R)−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−ピラゾール−1−イル]−ブチロニトリル((R)−35). サーモウェル、還流冷却器、機械的撹拌器および窒素流入口を装備したフラスコに、4,4,4−トリフルオロ−3(R)−{4−[7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]−ピラゾール−1−イル}−ブチロニトリル((R)−34、312g、0.716mol)、アセトニトリル(4.5L)および水(376mL)を付加した。その結果生じた混合物を、次に、室温で、固体テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF、697g、7.16mol、10.0当量)を分けて用いて処理した。混合物を、13時間、加熱、還流した。出発物質は残っておらず、2つの生成物(完全に保護化された、およびヒドロキシメチル類似体)が生成されたことをTLCが示したら、反応混合物を室温に、次いで、氷/水浴中で0℃に冷却し、その後、水酸化アンモニウム水溶液(NHOH、20%、245mL)を0〜5℃で滴下して、5〜10範囲のpHストリップで検査して、pHを9〜9.5とした。氷浴を除去し、濃い懸濁液を室温で一晩撹拌した。反応が完了したことをHPLCが示したら、反応混合物を、水(1L)、ブライン(500mL)および酢酸エチル(7L)で処理した。2つの層を分離し、水性層を酢酸エチル(2×2L)で抽出した。併合有機層を減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチル(4L)中に再溶解させて、ブライン(2×2L)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去して、濃いスラリーを得た。ヘプタンを濃いスラリーに付加し、酢酸エチルのほとんどが除去されるまで溶媒除去を継続した。固体を濾過により収集し、真空乾燥して、粗生成物((R)−35、206g、219.3g(理論値)、収率94%、HPLCによる純度98%)を白色粉末として得た。粗生成物をエタノールから再結晶化して、純粋な4,4,4−トリフルオロ−3(R)−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−ピラゾール−1−イル]−ブチロニトリル((R)−35、188.6g、219.3g(理論値)、収率86%、HPLCによる純度>99.5%)を微細白色結晶固体として得た。(R)−35に関しては:H NMR(DMSO−d,500MHz)δppm 12.2 (bs, 1H), 8.95 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 7.63 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.04 (m, 1H), 3.81 (dd, 1H, J = 17.1, 10.1 Hz), 3.65 (dd, 1H, J = 17.1, 5.0 Hz).;13C NMR(DMSO−d,125MHz)δppm 152.3, 151.0, 149.0, 140.7, 132.7, 127.2, 123.1 (JCF = 284 Hz), 122.2, 116.2, 113.1, 99.5, 57.7 (JCF = 33.0 Hz), 17.3 ;C13(分子量306.25)、LCMS(EI)m/e307(M+H)。
【0431】
【化233】
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3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル(37).撹拌棒、冷却器、熱電対および窒素流入口を装備した250mL三つ首丸底フラスコに、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5、10.3g、0.033mol)、2−ブテンニトリル(36、3.0mL、0.037mmol、1.12当量)およびアセトニトリル(100mL、2.0mol)を、室温で投入した。その結果生じた混合物を、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU、2.0mL、0.013mol、0.4当量)で処理し、その後、55℃に加温した。反応混合物を、55℃で15〜20時間撹拌した。反応が完了したようであることをLC/MSが示したら、反応混合物を減圧下で濃縮して、橙色油を得た。次いで、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、40〜80% 酢酸エチル/ヘキサン勾配溶離)により精製して、3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル(37、12.3g、12.62g(理論値)、収率97.5%)を無色油として得た(これは真空中で室温で放置すると固化した)。37に関しては:H NMR(CDCl,400MHz)δppm 8.84 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.39 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.79 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 5.67 (s, 2H), 4.77 (m, 1H), 3.53 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 3.05 (dd, 1H, J = 16.8, 6.2 Hz), 2.98 (dd, 1H, J = 16.8, 6.3 Hz), 1.79 (d, 3H, J = 6.5 Hz), 0.91 (t, 2H, J = 8.3 Hz), -0.068 (s, 9H);C1926OSi(分子量 382.53)、LCMS(EI)m/e383(M+H)。
【0432】
(S)−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル((S)−38)および(R)−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル((R)−38). エタノールおよびヘキサンの混合物(容積で15:85)中のラセミ3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル(37、38.3g、0.1mmol)の溶液を、セルローストリ(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)で被覆されたシリカゲルを詰め込まれたアキラルカラム(30×250mm)(キラルセル(登録商標)OD−HとしてChiral Technologies Inc.から入手可能、5μm)を装備した分取HPLCシステム中に注入した。室温で、32mL/分の流量で、15対85の容積比のエタノール(EtOH)およびヘキサンの混合物からなる移動相で、カラムを溶離した。220nmの波長でのUV検出により、カラム溶離をモニタリングした。これらの条件下で、2つのエナンチオマーの基線分離を達成した。保持時間は、それぞれ、15.1分(ピーク1、非所望(R)−エナンチオマー(R)−38)および19.6分(ピーク2、所望(S)−エナンチオマー(S)−38)であった。各注入は、200mg/mLの濃度での0.5mLの供給溶液であり、各注入のための周期時間はスタック注入により14分であった。この分離工程のために合計384回の注入を実施した。ピーク1(非所望(R)−エナンチオマー、(R)−38)およびピーク2(所望(S)−エナンチオマー、(S)−38)に関する分画を、各注入から別々に収集し、各ピークに関して収集された分画を、減圧下で濃縮した。各蒸発器からの残渣をさらに、高真空下で一定重量に乾燥して、((S)−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル((S)−38、17.43g、19.15g(理論値)、収率91%)をオフホワイト色固体としてピーク2から、そして(R)−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル((R)−38、17.8g、19.15g(理論値)、収率93%)をオフホワイト色固体としてピーク1から得た。
【0433】
キラルセル(登録商標)OD−Hカラム(4.6×250mm、5μm)(Chiral Technologies, Inc.から購入)を用いて、SEM−(R)−38および(S)−38の両エナンチオマーのキラル純度評価のために、キラルHPLC法を開発した。0.8mL/分の流量で、室温で、15%エタノールおよび85%ヘキサンからなる移動相を用いることにより、3.0より大きい分解能で、2つのエナンチオマー((R)−38および(S)−38)を分離した。UV検出波長は220nmである。保持時間は、それぞれ、(R)−38に関しては17.8分および(S)−38に関しては21.5分である。
【0434】
化学純度(HPLC面積%)およびキラル純度(キラルHPLC面積%)を含めた分取キラルHPLCにより分離された各エナンチオマーの質を分析し、それらの構造をNMRおよびLC/MSにより確証する。(S)−38に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.3面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.5面積%;99.0%ee);H NMR(CDCl,400MHz)δppm 8.84 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.39 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.79 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 5.67 (s, 2H), 4.77 (m, 1H), 3.53 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 3.05 (dd, 1H, J = 16.8, 6.2 Hz), 2.98 (dd, 1H, J = 16.8, 6.3 Hz), 1.79 (d, 3H, J = 6.5 Hz), 0.91 (t, 2H, J = 8.3 Hz), -0.068 (s, 9H);C1926OSi(分子量 382.53)、LCMS(EI)m/e383(M+H)。(R)−38に関しては:アキラル純度(220nmで検出されたHPLCにより99.1面積%);キラル純度(キラルHPLCにより99.4面積%;98.8%ee);H NMR(CDCl,400MHz)δppm 8.84 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.39 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 6.79 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 5.67 (s, 2H), 4.77 (m, 1H), 3.53 (t, 2H, J = 8.2 Hz), 3.05 (dd, 1H, J = 16.8, 6.2 Hz), 2.98 (dd, 1H, J = 16.8, 6.3 Hz), 1.79 (d, 3H, J = 6.5 Hz), 0.91 (t, 2H, J = 8.3 Hz), -0.068 (s, 9H);C1926OSi(分子量 382.53)、LCMS(EI)m/e383(M+H)。
【0435】
(3S)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル((S)−39). オーバーヘッド撹拌、冷却器、熱電対および窒素流入口を装備した5リットル四つ首丸底フラスコに、(3S)−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル((S)−38、82.3g、0.215mol)、アセトニトリル(1510mL)、水(135mL)および固体テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF、206g、2.15mol、10.0当量)を投入した。その結果生じた反応混合物を加温、還流して、24〜36時間、還流撹拌した。反応が完了したようであることをHPLCおよびTLCが示したら、反応混合物を室温に冷却した。水酸化アンモニウム(NHOH)水溶液(20%v/v)を付加して、pHを9〜10に調整した。その結果商事多反応混合物を室温で15〜24時間撹拌した。脱保護反応が完了したようであることをHPLCおよびTLCが示したら、反応混合物を、セライトパッドに通して濾過して、不溶性物質を除去した。セライトパッドを酢酸エチル(500mL)で洗浄した。濾液をさらに酢酸エチル(1L)で希釈した後、20%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液(1L)で洗浄した。水性分画を酢酸エチル(2×500mL)で抽出し戻した。次いで、併合有機分画を減圧下で濃縮して、溶媒を除去して、濃い白色スラリーを得た。スラリーを水(2L)で処理し、その結果生じた混合物を室温で18時間撹拌した。固体を濾過により収集し、湿潤ケークをメチルtert−ブチルエーテル(MTBE、500mL)およびヘプタン(500mL)で洗浄した後、真空炉中で50℃Cで一定重量に乾燥した。乾燥粗生成物(45g)を、次に、エタノール(500mL)およびヘプタン(350mL)中で再結晶化して、(3S)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル((S)−39、42.8g、54.2g(理論値)、収率79%)を白色固体として得た。(S)−39に関しては:H NMR(DMSO−d、400MHz)δppm 12.1 (bs, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.59 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 6.98 (d, 1H, J = 3.5 Hz), 4.98 (m, 1H), 3.19 (d, 2H, J = 6.6 Hz), 1.57 (d, 3H, J = 6.6 Hz);C1312(分子量 252.27)、LCMS(EI)m/e253(M+H)。
【0436】
【化234】
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2−シアノ−4,4−ジエトキシ−酪酸エチルエステル(4). ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタル(3、541g、2.75mol)を、エチルシアノアセテート(2、 1.55Kg、13.75mol、5.0当量)中の粉末炭酸カリウム(379.6g、2.75mol、1.0当量)およびヨウ化ナトリウム(33g、0.22mol、0.08当量)の懸濁液に付加した。反応混合物にアルデヒドを付加すると、その結果生じた溶液は黄色に変わった。反応混合物を徐々に140〜150℃Cに加熱して、ディーン・スタークトラップ中に揮発性物質を収集した。この物質を廃棄した。140℃で、かなり激しい気体発生が観察され始めた。反応をG.C.によりモニタリングし、90分でほぼ完了することが観察された。気体発生が終わったことが認められたら、さらに45分間、加熱を継続した。次いで、反応混合物を室温に冷まして、4L水および2Lメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)間に分配した。層を分離し、水性層をさらに2LのMTBEで抽出した。水性層をG.C.により生成物に関して検査し、次いで廃棄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空濃縮した。粗生成物を分留(91〜105℃@0.53〜0.65mm/Hg)により精製して、2−シアノ−4,4−ジエトキシ−酪酸エチルエーテル(4、359.4g、630.5g(理論値)、57%)を油として得た。4に関しては:H NMR(DMSO−d,300MHz)δppm 4.60 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 4.15 (m, 3H), 3.59 (m, 2H), 3.45 (m,1H), 2.11 (t, 2H, J = 6.2 Hz), 1.22 (t, 3H, J = 6.9 Hz), 1.10 (dt, 6H, J=7.1, 6.9 Hz)。
【0437】
7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−オール (7). 酢酸ホルムアミジン(5、1.04Kg、10mol、1.25当量)を、エタノール(EtOH、62.5当量)中の(21%wt)ナトリウムエトキシド(EtONa) 7.52 Lに付加し、その結果生じた溶液を60分間撹拌した。2−シアノ−4,4−ジエトキシ酪酸エチルエステル(4、 1.8Kg8.0mol)を次に付加し、その結果生じた反応混合物を7時間還流させた。溶液が冷却し、固体を沈澱させた後、撹拌を中止した。上清エタノール溶液を除去し、固体は反応フラスコの底部に残った。エタノールを蒸発させて、残渣を、600mL/molの比率で水および氷とともに、反応フラスコ中に残存する固体に付加し戻した。その結果生じた溶液に、15℃で、500mL/molの比率で、6NのHCl水溶液を付加した。その結果生じた溶液を、次に、45℃で45分間加熱した。溶液を再び15℃に冷まして、水酸化アンモニウム水溶液の付加によりpHを8.0に調整した。沈澱固体を濾過により収集し、水(2×225mL/mol)で洗浄して、吸引乾燥した。固体をさらに1:1 酢酸エチル/ヘプタン(500mL/mol)で、次いでヘプタン(2×250mL/mol)で洗浄して、真空乾燥し、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−オール(7、738.6g、1081g(理論値)、68.3%)を、黄色〜褐色〜黄色結晶物質として得た。7に関しては:H NMR(DMSO−d,300MHz)δppm 11.88 (bs, 1H), 11.80 (bs, 1H), 7.81 (s,1H), 7.02 (dd,1H, J = 3.2, 2.3 Hz), 6.42 (dd, 1H, J = 3.5, 2.3 Hz);CO(分子量 135.12)、LCMS(EI)m/e136(M+H)および(M+Na)m/e158。
【0438】
4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1). 4−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(7、306g、2.25mol)を、20分間に亘って、分けて、オキシ塩化リン(1050ml、1727g、11.26mol、5.0当量)に付加した。撹拌を室温で15分間継続し、次いで、この懸濁液を徐々に加熱、還流して、発生する塩酸を20%水酸化ナトリウム溶液を通してガス洗浄した。全ての物質が溶液中に溶けた後、30分間還流を継続した。反応混合物を60℃に冷却させて、それを撹拌しながら氷(5Kg)上に注いだ。撹拌を20分間継続し、炭酸カリウムを徐々に分けて付加して、pHを7.5に調整した。氷を、必要な場合は付加して、温度を20℃より低く保持した。沈殿物を濾過により収集し、水で十分に洗浄して、真空炉(30℃)中で乾燥した。粗製物質を酢酸エチル中に取り、50℃Cで1.5時間撹拌した。この溶液を木炭で処理して、さらに20分間、50℃Cで撹拌して、セライトを通して熱濾過した。その結果生じた溶液を900mlに濃縮し、氷浴中で撹拌しながら冷却した。沈殿物を濾過により収集し、少量の冷酢酸エチルで洗浄し、真空炉(40℃)中で乾燥して、4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、227g、334.8g(理論値)、67.8%)を黄色〜褐色結晶固体として得た。母液のさらなる濃縮により、所望生成物のさらなる収穫物(5〜10%)を低純度の黄色〜褐色結晶として得た。1に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 12.58 (bs, 1H), 8.58 (s,1H), 7.69 (d,1H, J = 3.5 Hz), 6.59 (d, 1H, J = 3.5 Hz);CClN(分子量 153.57)、LCMS(EI)m/e154/156(M+H)。
【0439】
【化235】
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4,6−ジクロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(9). 機械的撹拌器、添加漏斗、冷却器、熱電対、ならびにNaOHガス洗浄水溶液中へのNスイープを装備した5L四つ首フラスコ中で、オキシ塩化リン(1L、10.572mol、4.82当量)を氷/塩浴中で冷却した。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、320mL、4.138mol、1.85当量)を、0±2℃で滴下した。〜100mLのDMFの付加後(約0.5時間)、結晶化が起こり、反応温度を0〜10℃に上げた。付加を停止し、混合物を約2℃に再冷却させた。残りのDMFを、<8℃で2.5時間に亘って付加した。懸濁液は非常に濃くなって、撹拌を困難にした。DMFの付加が完了したら、混合物を、3〜5℃で0.5時間撹拌した。4,6−ジヒドロキシピリミジン(8、250g、2.232mol)を、固体として少量ずつ付加した。4,6−ジヒドロキシピリミジンの約3分の1が付加された後、反応混合物はより流動性になり、0.5時間掛けて反応温度が約12℃に上がるとともに、徐々に発熱が起きた。残りの4,6−ジヒドロキシピリミジンを、0.25時間掛けて少量ずつ付加すると、反応温度は12℃から27℃に増大した。完結的に冷却しながら反応温度を25〜27℃に保持したが、この間、黄色懸濁液は薄くなり、次いで再び濃くなった。発熱現象が約1時間で鎮まった後、反応混合物を徐々に加熱した。約55℃で、反応混合物は非常に濃くなり、2度目のの軽度の発熱現象が起きた。加熱マントルを除去したが、反応温度は約63℃まで増大し続け、数分間、この温度のままであったが、その後、下がった。穏やかな還流(約100℃)が得られるまで、混合物の加熱を再開した。約95℃で、HClの安定したかなり急速な発生が開始し、反応混合物は次第に薄くなり、暗色になった。1.25時間に亘って還流温度を徐々に115℃に上げるに伴って、約0.5時間後に、透明褐色溶液が生じた。合計で2.5時間還流後、反応混合物を室温に冷まして、一晩撹拌した。余分量のPOCl(出来るだけ多くの)を、減圧下で除去した(浴温度45〜50℃)。濃い残留褐色油を、20L分離漏斗中の冷HO(5L)中に非常にゆっくり注ぎ入れ、必要な場合は氷を付加して、水性混合物をほぼ室温に保持した。水性混合物を、EtOAc(2×3L、1×2L)で抽出した。併合EtOAc抽出物をHO(2×2.5L)、飽和NaHCO水溶液(1L)、ブライン(1L)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して(浴温度35℃)、粗製4,6−ジクロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(9、270g、395g(理論値)、68.4%)を黄色−橙色固体として得た。この粗製物質の20g部分をクーゲルロール蒸留(炉温度 90〜100℃、225mTorr)により精製して、15.3gの純粋4,6−ジクロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(9)を白色固体として得て、これは、室温で放置すると黄色に変わった(放置すると、粗製9はゆっくりと加水分解を受けて、HClを生じる。次のステップで用いる前に、粗製9をEtOAcとトルエンの混合物中に溶解し、濾過して不溶性物質を除去した。濾液をHO、飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、その結果生じた黄色固体を翌日用いた)。9に関しては:H NMR(CDCl,300MHz)δppm 10.46 (s, 1H), 8.89 (s,1H)。
【0440】
4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(10). MeOH(265mL、1.8602mol、2.0当量)中の7M NHの溶液を、トルエン(3L)中の4,6−ジクロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(9、163.7g、0.9301mol)の溶液に、1.25時間掛けて付加した。反応温度が20℃から26℃に徐々に上がり、黄色懸濁液が生じた。軽度の冷却を適用して、反応温度を≦26℃に保持した。懸濁液を室温で3.5時間撹拌した後、固体を濾過により収集した。固体をEtOAc(1L)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、固体をトルエン/ヘプタン(2:1 v/v、600mL)で粉砕し、濾過し、乾燥して71.1gの4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(10)を黄色固体として得た。反応混合物から濾過された元の固体は、さらなる10を含有した。生成物を、1.5時間、EtOAc(1.25L)中での撹拌により濾過固体から抽出し、濾過し、次いでTHF(750mL)中で1時間撹拌して、濾過した。EtOAcおよびTHF濾液をともに、減圧下で濃縮し、その結果生じた固体をトルエン/ヘプタン(2:1 v/v、450mL)で粉砕し、濾過し、乾燥してさらに44.1gの4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(10)を黄色固体として得た。4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(10、115.2g、146.4g(理論値))の併合収率は、78.6%であった。10に関しては:HNMR(DMSO−d,300MHz)δppm 10.23 (s, 1H), 8.71 (bs,1H), 8.55 (bs, 1H), 8.39 (s, 1H);CClNO(分子量 157.56)、LCMS(EI)m/e158(M+H)。
【0441】
6−クロロ−5−(2−メトキシビニル)ピリミジン−4−イルアミン(12). A THF(1.5L)中の(メトキシメチル)トリフェニル−ホスホニウムクロリド(11、276.0g、0.807mol、1.1当量)の懸濁液を、氷/塩よく中で−2℃に冷却し、THF中の1M KOBu(807mL、0.807mol、1.1当量)を、−2〜−3℃で1.5時間に亘って付加した。深赤色〜橙色混合物を、−2〜−3℃で1時間撹拌した。4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルブアルデヒド(10、115.2g、0.7338mol、1.0当量)を、次に、THF(200mL)を用いて固体形態として反応混合物に少量ずつ付加して、容器および漏斗をすすいだ。付加中、反応温度が−3℃から13℃に上がると、褐色となった。反応温度が10℃に下がったら、冷却浴を除去し、反応混合物を室温に上げさせて、42時間撹拌した。反応混合物を−2℃に冷却後、飽和NHCl水溶液(750mL)を徐々に付加してクエンチした。混合物を減圧下で濃縮して、THFのほとんどを除去した。残渣を、EtOAc(3L)およびHO(1L)間に分配した。有機相を濾過して、界面での不溶性物質を除去し、次いで、2NのHCl(4×250mL)で、その後、3NのHCl(2×250mL)で抽出した。併合HCl抽出物をEtOAc(500mL)で戻し抽出して、次いで、セライトを通して濾過し、不溶性物質を除去した。6NのNaOH水溶液で/は8に調整された氷/ブライン浴中で濾液を冷却し、EtOAc(3×1L)で抽出した。併合EtOAc抽出物をブライン(1L)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、木炭(10g)およびシリカゲル(10g)を用いて1時間撹拌した。混合物をセライトを通して濾過し、EtOAc(1L)でセライトパッドを洗浄した。濾液を濃縮し、残留EtOAcをヘプタン(500mL)と同時蒸発させた。その結果生じた黄褐色固体を高真空下で2時間ポンプ流送して、粗製6−クロロ−5−(2−メトキシビニル)ピリミジン−4−イルアミン(12、72.3g、136.2g(理論値)、53.1%)を得た。粗製12を、さらに精製せずに、その後の反応に用いた。粗製12(2.3g)の試料を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜35%EtOAc/ヘプタンで溶離して、1.7gの純粋12を白色固体として得た(これはE/Z異性体の1:2混合物である)。12に関しては:H NMR(DMSO−d,300MHz) E−異性体に関して: δppm 8.02 (s, 1H), 7.08 (bs, 2H), 6.92 (d, 1H, J = 13.1), 5.35 (d, 1H, J = 13.0 Hz), 3.68 (s, 3H) およびZ異性体に関して:δppm 8.06 (s, 1H), 7.08 (bs, 2H), 6.37 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 5.02 (d, 1H, J = 6.7 Hz), 3.69 (s, 3H);CClNO(分子量 185.61)、LCMS(EI)m/e186/188(M+H)。
【0442】
4−クロロ−7H−[ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1). 濃塩酸(5mL)を、THF(700mL)中の粗製6−クロロ−5−(2−メトキシビニル)ピリミジン−4−イルアミン(12、70.0g、0.3784mol)の溶液に付加し、その結果生じた反応混合物を、7.5時間、加熱、還流した。加温時に、薄い懸濁液が形成され、これは次第に再溶解された。反応が完了したと思われたら、反応混合物を室温に冷まして、一晩撹拌した。固体NaHCO(15g)を付加し、混合物を室温で1時間撹拌した。木炭(7g)、シリカゲル(7g)およびNaSO(20g)を付加し、混合物を40℃に加熱した。混合物を室温に冷まして、セライトを通して濾過し、セライトパッドをTHF(1L)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、その結果生じた固体を減圧下で乾燥して、粗製4−クロロ−7H−[ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、 58.1g、58.1g(理論値)、100%)を黄色〜褐色固体として得た。この粗生成物を50〜55℃でEtOAc(1L)中に溶解し、活性炭(3g)で処理した。混合物をセライトを通して温めながら濾過し、セライトパッドを温EtOAc(250mL)で洗浄した。濾液を約500mLに濃縮し、懸濁液を一晩放置した。懸濁液を2時間0〜5℃に冷却した後、固体を濾過により収集した。固体を乾燥して、純粋な4−クロロ−7H−[ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1、54.5g、58.1g(理論値)、94%)を黄色〜褐色結晶として得た。1に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 12.58 (bs, 1H), 8.58 (s,1H), 7.69 (d,1H, J = 3.5 Hz), 6.59 (d, 1H, J = 3.5 Hz);LCMS(EI)m/e154/156(M+H)。
【0443】
【化236】
[この文献は図面を表示できません]
4−ヨードピラゾール(14). 窒素流入口、添加漏斗、サーモウェルおよび機械的撹拌器を装備したフラスコに、ピラゾール(13、450g、6.62mol)およびテトラヒドロフラン(5L)を投入した。混合物を10℃に冷却して、N−ヨードスクシンイミド(NIS、1490g、6.62mol、1.0当量)を固体として分けて付加した。反応混合物(わずかに懸濁液)を、室温で1時間撹拌した(周囲温度によってはさらに長い反応時間を要することもある)。次に、混合物を濾過し、THFを減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(6L)中に懸濁し、不溶性物質を濾過した。暗色濾液を、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(2x3L)(有機層は薄くなって淡黄色になる)、水(2x3L)およびブライン(2L)で順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、4−ヨードピラゾール(14、1138g、1284.1g(理論値)、88.6%)を、真空炉中で30℃で一晩乾燥後に、白色〜淡黄色固体として得た。14に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 13.17 (bs, 1H), 7.93 (bs,1H), 7.55 (bs,1H);CIN(分子量193.97)、LCMS(EI)m/e195(M+H)。
【0444】
1−トリメチルシリル−4−ヨードピラゾール(15). 還流冷却器、窒素流入口、機械的撹拌器およびサーモウェルを装備したフラスコに、4−ヨードピラゾール(14、200g、1.03mol)およびTHF(2L)を投入した。この溶液に、トリエチルアミン(TEA、158mL、1.13mol、1.1当量)を付加し、その結果生じた溶液を氷−ブライン浴中で0℃に冷却した。この溶液に、クロロトリメチルシラン(TMS−Cl、137mL、1.08mol、1.05当量)を迅速に撹拌しながら付加すると、温度は18℃になった(反応液は非常に濃くなり、撹拌が難しくなるが、しかし時間が経つと扱い易くなる)。発熱が鎮まったら、冷却浴を除去し、反応液を室温に加温した。反応にGCを施すと、約1時間後に完了したようであることが判明した(TMS加水分解を防止するために、反応液のサンプリングは脱気して実行し、ドライ溶媒で希釈しなければならない)。次に、反応混合物をヘプタン(2L)で希釈した後、窒素下で濾過した。溶媒を減圧下で濾液から除去して、窒素でロトバップをベントした。残留油をヘプタン(1L)で希釈し、再濃縮した。ヘプタン付加時に固体が生じた場合は、二次濾過が必要である。次いで、クーゲルロールを用いて減圧下(約0.5Torrで70〜90℃)で残渣を希釈して、1−トリメチルシリル−4−ヨードピラゾール(15、263g、274.1g(理論値)、96%)を無色油として得た(TMS基は急速に加水分解するため、この物質は、全時点で窒素下に保持されなければならない)。その後、1−トリメチルシリル−4−ヨードピラゾールは、2当量のヘキサメチルジシラザンとともにヨードピラゾール(14)を1時間加熱することにより調製され得る、ということが判明した。
【0445】
4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(17). 機械的撹拌器、窒素流入口、添加漏斗およびサーモウェルを装備したフラスコに、1−トリメチルシリル−4−ヨードピラゾール(15、225.1g、0.85mol)およびTHF(2200mL)を投入した。この混合物を、氷/塩/ブライン浴中で−6℃に冷却し、温度が0℃を超えないような速度でイソプロピルマグネシウムクロリド(THF中2M、510ml、1.02mol、1.2当量)を付加した。金属/ハロゲン交換の程度をGCによりモニタリングし、約10分後に完了したことが判明した。橙褐色溶液に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(イソプロピルピナコールボレート、16、347mL、1.7mol、2.0当量)を、先ず、0℃より低い温度を保持しながら徐々に、次いで、化合物の2分の1を付加後にはかなり迅速に付加すると、温度は5℃に達した(反応液は非常に濃くなり、次いで徐々に薄くなる)。次に、反応液を0℃で10分間撹拌した後、1時間掛けて室温に温めて、室温でさらに1時間撹拌した。反応液を6℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(2.2L)を付加すると、温度は25℃に上がった。混合物を5時間撹拌後、トルエン(10L)で希釈した。層を分離し(大量の固体が水性層中に存在する)、有機層を水(6x2.2L)、ブライン(2x2.2L)で順次洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留トルエンをヘプタンと同時蒸発させて、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(17、90.3g、164.9g(理論値)、54.8%)を白色固体として得た。17に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 13.08 (bs, 1H), 7.94 (s,1H), 7.62 (s,1H), 1.23 (s, 12H);C15BN(分子量 194.04)、LCMS(EI)m/e195(M+H)。
【0446】
1−(エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(19). 機械的撹拌器、サーモウェル、添加漏斗、冷却器およびN流入口を装備した22L四つ首フラスコに、4−(4,4,5,5−テトラ−メチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(17、1.42kg、7.32mol)、トルエン(9.5L)およびエチルビニルエーテル(18、790.5g、1050mL、10.98mol、1.50当量)を投入した。ジオキサン(50mL)中の4M HClを、10分間掛けて添加漏斗により付加し、その結果生じた反応混合物を35〜40℃で7時間加熱して、透明均質溶液を得た。GCにより反応が完了したようであることが示されたら、固体NaHCO(130g)を付加し、混合物を1時間撹拌した後、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。ヘプタン(200mL)を残渣に付加すると、結晶化が起きた。固体を濾過により収集し、真空炉中で乾燥して、1−(エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(19、1.896Kg、1.948Kg(理論値)、97.3%)を白色〜オフホワイト色固体として得た。19に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 8.09 (s, 1H), 8.58 (s,1H), 7.62 (s,1H), 5.55 (q, 1H, J = 6.1 Hz), 3.37 (dq, 1H, J = 7.1, 9.6 Hz), 3.12 (dq, 1H, J = 7.0, 9.7 Hz), 1.56 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 1.24 (s, 12H), 1.00 (t, 3H, J = 7.0 Hz);C1323BN(分子量 266.14)、LCMS(EI)m/e267(M+H)。
【0447】
【化237】
[この文献は図面を表示できません]
1−(エトキシエチル)−4−ヨード−1H−ピラゾール(20). 機械的撹拌器、サーモウェル、N流入口および冷却器を装備した22L四つ首フラスコに、4−ヨード−1H−ピラゾール(14、1.00Kg、5.16mol)およびトルエン(10L)を投入し、エチルビニルエーテル(18、557g、740mL、7.73mol、1.5当量)を付加した。この懸濁液に、ジオキサン中の4M HCl(32mL、0.128mol、0.025当量)を5分間に亘って付加すると、わずかに濃い白色懸濁液を生じた。混合物を注意深く35〜40℃に加熱すると、この時点で、約40℃までの軽度の発熱が起きて、全固体が急速に溶解し、透明薄黄色溶液を得た。反応完了をGC分析が示すまで、反応混合物をさらに0.5時間、約40℃で加熱した。溶液を25〜30℃に冷却させて、固体NaHCO(108g、1.29mol、0.25当量)を付加した。懸濁液を室温で1時間撹拌して、HClの完全中和を保証した。次に、混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留液体を分留して、1−(エトキシエチル)−4−ヨード−1H−ピラゾール(20、1.346Kg、1.373Kg(理論値)、98%)を淡黄色液として得た(約1torrで沸点89〜93°)。20に関しては:H NMR(CDCl,250 MHz)δppm 7.61 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 5.46 (q, 1H, J = 6.0 Hz), 3.48-3.23 (m, 2H), 1.60 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 1.11 (t, 3H, J = 7.0 Hz);C11INO(分子量 266.08)、LCMS(EI)m/e267(M+H)。
【0448】
2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン(16). 還流冷却器、機械的撹拌器、N流入口およびサーモウェルを装備した5L四つ首フラスコをNで十分に洗い流して、ホウ酸イソプロピル(2.673L、11.5mol、1.15当量)およびピナコール(1.179kg、10mol)を投入した。その結果生じた混合物を、一晩、加熱還流(80〜85℃)した。次いで、混合物を室温に冷まして、24インチ・ビグリューカラム、磁気撹拌器およびサーモウェルを装備した5L四つ首フラスコに移した。混合物を、窒素下で周囲温度で蒸留した。主に2−プロパノールおよびホウ酸イソプロピルを含有する(GC分析)低沸点分画(沸点90〜180℃)を除去し、蒸留を完了して、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン(10、1.628kg、1.86Kg(理論値)、87.5%)を無色液体として得た(沸点180〜185℃、GC純度>97.5%)。この物質をSure/Sealボトル中に保存して、加水分解を最小限にした。
【0449】
1−(エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(19). 機械的撹拌器、サーモウェル、添加漏斗およびN流入口を装備した22L四つ首フラスコに、1−(エトキシエチル)−4−ヨード−1H−ピラゾール(20、700.0g、2.63mol)およびTHF(5.5L)を投入した。その結果生じた溶液を、−12℃〜−15℃に冷却した。THF中の2M i−PrMgCl(1513mL、3.03mol、1.15当量)の溶液を、反応温度を<−5℃に保持しながら、30分間に亘って、添加漏斗により付加して、黄褐色懸濁液を<−5℃で0.75時間撹拌した。その結果生じた反応混合物をさらに−15℃に冷却して、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン(16、734g、805mL、3.95mol、1.5当量)を添加漏斗により迅速に付加すると、反応温度が約−5℃に上がった[注:類似のTMS保護ピラゾールを用いた以前の研究は、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロランの緩徐添加がより低い収率を生じることを示している]。ほぼ透明な薄褐色溶液が出現し、その後、灰色がかった薄色懸濁液が再形成された。次いで、冷却浴を除去し、反応混合物を0.75時間掛けて16℃に加温した。混合物を、撹拌飽和NHCl水溶液(4L)を含有する50L分離漏斗中に注ぎ入れた。混合物を、トルエン(8L)、ヘプタン(8L)およびHO(2L)で希釈した。水性相を除去し、有機相を温(30°C)HO(4x3L)および飽和ブライン(2x3L)で洗浄した。有機相をNaSO上で乾燥して、溶媒を減圧下で除去した。残留トルエンをさらにヘプタン(2L)との同時蒸発により除去した。残留油を、最小量のヘプタン(100mL)を用いて、4Lビーカーに移して、掻き集めて結晶化を誘導した。固体を濾過し、ヘプタン(200mL)で洗浄して、真空炉中で30〜40℃で一晩乾燥した。濾液を減圧下で濃縮して、残渣を一晩放置した。その結果生じた固体を濾過し、ヘプタン(100mL)で洗浄して、真空炉中で30〜40℃で一晩乾燥した。2つの生成物を併合して、1−(エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(19、596g、700g(理論値)、85.1%)を白色〜オフホワイト色固体として得た。19に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 8.09 (s, 1H), 8.58 (s,1H), 7.62 (s,1H), 5.55 (q, 1H, J = 6.1 Hz), 3.37 (dq, 1H, J = 7.1, 9.6 Hz), 3.12 (dq, 1H, J = 7.0, 9.7 Hz), 1.56 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 1.24 (s, 12H), 1.00 (t, 3H, J = 7.0 Hz);C1323BN(分子量 266.14)、LCMS(EI)m/e267(M+H)。
【0450】
【化238】
[この文献は図面を表示できません]
4−ブロモピラゾール(21). ピラゾール(13、34.0g、0.5mol)おおびNBS(89.0g、0.5 mol、1.0当量)を、水(625ml)中に懸濁した。その結果生じた懸濁液を、室温で一晩撹拌した。次いで、反応混合物をEtOAc(2×100mL)で抽出した。併合EtOAc抽出物を、Na水溶液およびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮して、4−ブロモピラゾール(21、72.0g、73.5g(理論値)、収率98%)を白色固体として得た(GC純度:>98%)。
【0451】
4−ブロモ−1−(エトキシエチル)−1H−ピラゾール(22). CHCl(600mL)中の4−ブロモピラゾール(21、70.0g、0.476mol)の溶液に、ジオキサン(4mL)中の3.1M HClの溶液およびエチルビニルエーテル(18、41g、0.569mol、1.2当量)を付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で3時間撹拌した。NaHCO水溶液で反応をクエンチして、2つの層を分離した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮、乾燥して、4−ブロモ−1−(エトキシエチル)−1H−ピラゾール(22、113g、104.3g(理論値)、収率97%)を油状物として得て(GC純度:89%)、これをさらに精製せずにその後の反応に直接用いた。
【0452】
1−(エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(19). iPrMgCl.LiCl(50mmol、1.8当量)の100mL溶液に、4−ブロモ−1−(エトキシエチル)−1H−ピラゾール(22、6.15g、28mmol)を室温で付加した。その結果生じた反応混合物を、室温で12時間撹拌し、次いで、−20Cに冷却した。次に、メトキシピナコールボレート(23、10.6g、67mmol、2.4当量)を反応混合物に付加した。その結果生じた混合物を、0〜10Cで1時間撹拌した。NHCl水溶液を付加して、反応をクエンチした。次いで、混合物を石油エーテル(PE)で抽出した。併合PE抽出物を、飽和NaHCOで洗浄し、NaSO上で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗生成物をPE中で結晶化して、1−(エトキシエチル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(19、4.2g、7.45g(理論値)、収率56.4%)を白色〜オフホワイト色固体として得た(GC純度:〜99%)。19に関しては:H NMR(DMSO−d,400MHz)δppm 8.09 (s, 1H), 8.58 (s,1H), 7.62 (s,1H), 5.55 (q, 1H, J = 6.1 Hz), 3.37 (dq, 1H, J = 7.1, 9.6 Hz), 3.12 (dq, 1H, J = 7.0, 9.7 Hz), 1.56 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 1.24 (s, 12H), 1.00 (t, 3H, J = 7.0 Hz);C1323BN(分子量 266.14)、LCMS(EI)m/e267(M+H)。
【0453】
本発明の多数の実施形態を記載してきた。しかし、本発明の精神および範囲を逸脱せずに、種々の修正がなされ得ることが理解される。したがって、他の実施形態は、下記の発明および以下の特許請求の範囲の範囲内である。
[発明1]
式I:
【化239】
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の化合物を含む組成物の製造方法であって、式II:
【化240】
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の化合物を、水素化触媒の存在下で水素ガスと反応させることを包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NH、−C(=O)O−Rおよびシアノから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明2]
前記組成物が、エナンチオマー過剰の式Iの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーを含み;前記水素化触媒がLを有するルテニウムまたはロジウム触媒であって、Lがキラルホスフィンリガンドである上記発明1記載の方法。
[発明3]
前記エナンチオマー過剰率が約90%以上である上記発明2記載の方法。
[発明4]
前記エナンチオマー過剰率が約99%以上である上記発明2記載の方法。
[発明5]
前記キラルホスフィンリガンドが、以下のうちの1つから選択される上記発明2記載の方法:
【化241】
[この文献は図面を表示できません]

[発明6]
前記組成物が、エナンチオマー過剰の式Iの化合物の(S)−エナンチオマーを含む上記発明2記載の方法。
[発明7]
が、以下のリガンドのうちの1つから選択される上記発明6記載の方法:
【化242】
[この文献は図面を表示できません]

[発明8]
前記組成物が、エナンチオマー過剰の式Iの化合物の(R)−エナンチオマーを含む上記発明2記載の方法。
[発明9]
が、以下のリガンドのうちの1つから選択される上記発明8記載の方法:
【化243】
[この文献は図面を表示できません]

[発明10]
前記生成物が、式Ia:
【化244】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である上記発明2〜9のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明11]
が−C(=O)−NHである上記発明2〜9のいずれか1つに記載の方法。
[発明12]
脱水条件下で式Iの前記化合物を反応させて、式Ia:
【化245】
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の化合物を生成することをさらに包含する上記発明11記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明13]
前記脱水条件が、トリエチルアミンの存在下で塩化トリクロロアセチルを含む上記発明12記載の方法。
[発明14]
が−C(=O)O−Rである上記発明2〜9のいずれか1つに記載の方法。
[発明15]
が−C(=O)OCHである上記発明2〜9のいずれか1つに記載の方法。
[発明16 式Iの前記化合物を金属水酸化物と反応させて、式Ic:
【化246】
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の化合物を生成することをさらに包含する上記発明14または15記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明17]
前記金属水酸化物がアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物である上記発明16記載の方法。
[発明18]
前記金属水酸化物が水酸化リチウムである上記発明16記載の方法。
[発明19]
式Icの前記化合物をカップリング試薬の存在下でアンモニアまたは水酸化アンモニウムと反応させて、式Ib:
【化247】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することをさらに包含する上記発明16〜18のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明20]
前記カップリング剤がN,N−カルボニルジイミダゾールである上記発明19記載の方法。
[発明21]
式Ibの前記化合物を脱水条件下で反応させて、式Ia:
【化248】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を生成することをさらに包含する上記発明19〜20のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明22]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明2〜21のいずれか1つに記載の方法。
[発明23]
がシクロペンチルである上記発明2〜22のいずれか1つに記載の方法。
[発明24]
式Id:
【化249】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、キラルアミンおよび有機酸の存在下で、式IV:
【化250】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式V:
【化251】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させることを包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明25]
式VI:
【化252】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、キラルアミンおよび有機酸の存在下で、式V:
【化253】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式VII:
【化254】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させることを包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、ハロゲンである)。
[発明26]
前記有機酸がp−トルエンスルホン酸である上記発明24または25記載の方法。
[発明27]
前記キラルアミンが式A−1:
【化255】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーである上記発明24〜26のいずれか1つに記載の方法
(式中、XはCYであり、YはCYであるか;あるいは
XはSまたはNYであり、YはCYであるか;あるいは
XはCYであり、YはSであり;
およびQは、各々独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、カルボキシ、C1−6アルキルカルボキサミド、C1−6アルコキシカルボニル、およびフェニルから選択され、ここで、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルキルカルボキサミド、C1−6アルコキシカルボニルおよびフェニルは、各々、ヒドロキシル、カルボキシ、トリ−C1−6アルキルシリル、トリ−C1−6アルキルシリルオキシ、C6−10アリール、C6−10アリールアミノ、C1−9へテロアリールおよびC1−9へテロアリールアミノから独立して選択される1、2または3つの基により任意に置換され、ここで、前記C6−10アリール、C6−10アリールアミノ、C1−9へテロアリールおよびC1−9へテロアリールアミノは、各々、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから独立して選択される1、2、3または4つの基により任意に置換され;
、Y、Y、Y、Y、Yは、各々独立して、H、ヒドロキシル、カルボキシ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシカルボニルおよびフェニルから選択されるか;あるいは
およびYは、一緒になってオキソを形成するか;あるいは
およびYは、一緒になってオキソを形成するか;あるいは
およびYは、一緒になってオキソを形成するか;あるいは
およびYは、それらが結合される炭素と一緒になって5−または6員シクロアルキル環を形成するか;あるいは
およびYは、それらが結合される炭素原子と一緒になって5−または6員シクロアルキル環を形成する)。
[発明28]
前記キラルアミンが、式A−2:
【化256】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーである上記発明24〜26のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、(R)−または(S)−立体配置を有するキラル炭素を示し;
ArおよびArは、各々独立して、C6−10アリールであって、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから独立して選択される1、2、3または4つの基により任意に置換され;
は、各々独立して、C1−6アルキルから選択され;
は、H、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから選択される)。
[発明29]
ArおよびArが、各々独立して、フェニルであって、メチルおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3または4つの基により任意に置換され;
が、各々独立して、メチル、エチルまたはt−ブチルから選択され;
がHである
上記発明28記載の方法。
[発明30]
前記キラルアミンが、プロリン、プロリンアミド、プロリル−L−ロイシン、プロリル−L−アラニン、プロリルグリシン、プロリル−L−フェニルアラニン、ジフェニルピロリジン、ジベンジルピロリジン、N−(1−メチルエチル)−ピロリジンカルボキサミド、2−(アニリノメチル)ピロリジン、2−[ビス(3,5−ジメチルフェニル)メチル]ピロリジン、ジフェニル(ピロリジン−2−イル)メタノール、プロリノール、4−チアゾリジンカルボン酸、トランス−3−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、4−ベンジル−1−メチル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、1−メチル−4−フェニル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、4,5−オクタヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−カルボン酸、4,5−ジフェニル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、N1−メチル−3−フェニルプロパン−1,2−ジアミン、1,2−ジフェニルエタンジアミン、1−メチル−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イルメチル)−イミダゾリジン−2−カルボン酸、4−ベンジル−1−メチル−イミダゾリジン−2−カルボン酸、1,2−シクロヘキサンジアミン、2−フェニル−チアゾリジン−4−カルボン酸、tert−ロイシンメチルエステル、5−ベンジル−2,2,3−トリメチル−イミダゾリジン−4−オン、メチルプロリネート、4,5−ジフェニルイミダゾリジン、2−シクロヘキシル−4,5−ジフェニルイミダゾリジン、2−{ビス−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{ビス−[3,5−ジメチルフェニル]−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{ジフェニル−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{ビス[ナフチ−2−イル]−トリメチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、2−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ−ジフェニル−メチル}−ピロリジン、2−{ビス−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−トリエチルシラニルオキシ−メチル}−ピロリジン、および2−{ビス−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−エチル−ジメチルシリルオキシ−メチル}−ピロリジンから選択される化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーである上記発明24〜26のいずれか1つに記載の方法であって、(R)−または(S)−立体配置が前記化合物中のNH基に隣接する炭素で存在する方法。
[発明31]
前記キラルアミンが(R)−エナンチオマーである上記発明27〜30のいずれか1つに記載の方法。
[発明32]
前記キラルアミンが、以下の化合物のうちの1つから選択される上記発明24〜26のいずれか1つに記載の方法:
【化257】
[この文献は図面を表示できません]

[発明33]
前記エナンチオマー過剰率が約90%以上である上記発明24〜32のいずれか1つに記載の方法。
[発明34]
前記エナンチオマー過剰率が約99%以上である上記発明24〜32のいずれか1つに記載の方法。
[発明35]
式Idの前記化合物をアンモニアまたは水酸化アンモニウムおよびヨウ素で処理して、式Ia:
【化258】
[この文献は図面を表示できません]
の前記化合物を形成することをさらに包含する上記発明24記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明36]
式VIの前記化合物をアンモニアまたは水酸化アンモニウムおよびヨウ素で処理して、式VIII:
【化259】
[この文献は図面を表示できません]
の前記化合物を形成することをさらに包含する上記発明25記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基であり;
はハロゲンである)。
[発明37]
式VIIIの前記化合物を、式B−1:
【化260】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式IX:
【化261】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することをさらに包含する上記発明36記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
はハロであり;
およびRは、各々独立して、HおよびC1−6アルキルから選択されるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、その複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される)。
[発明38]
式B−1の前記化合物が4,4,5,5,4’,4’,5’,5’−オクタメチル−[2,2’]ビス[1,3,2−ジオキサボロラニル]である上記発明37記載の方法。
[発明39]
パラジウム触媒および塩基の存在下で、式IXの化合物を、式X:
【化262】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式Ia:
【化263】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することをさらに包含する上記発明37または38記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
Pは、保護基であり;
およびRは、各々独立して、HおよびC1−6アルキルから選択されるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、その複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される)。
[発明40]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明24、26〜35および24〜39のいずれか1つに記載の方法。
[発明41]
がシクロペンチルである上記発明24〜40のいずれか1つに記載の方法。
[発明42]
エナンチオマー過剰の式IX:
【化264】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーを含む組成物
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、その複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される)。
[発明43]
がシクロペンチルである上記発明42記載の組成物。
[発明44]
式IXの化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通すこと、ならびに式IXの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集することを包含する上記発明42または43記載の組成物の製造方法。
[発明45]
前記移動相がエタノールおよびヘキサンを含み、前記エタノールが約25〜約10容量%の量で存在する上記発明44記載の方法。
[発明46]
前記クロマトグラフィーユニットが8つのカラムまたはキラルカラムユニットの1組を装備した擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーユニットであり、各カラムがキラル固定相を詰め込まれる上記発明42または45記載の方法。
[発明47]
前記キラル固定相が改質セルロースキラル固定相である上記発明46記載の方法。
[発明48]
式IXの前記化合物が式:
【化265】
[この文献は図面を表示できません]
を有する上記発明44〜47のいずれか1つに記載の方法。
[発明49]
パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式IX:
【化266】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式XI:
【化267】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式III:
【化268】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成することをさらに包含する上記発明44〜48のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、その複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換される)。
[発明50]
式IX:
【化269】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式X:
【化270】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と、パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式Ia:
【化271】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成するための条件下で、それに十分な時間の間、反応させることをさらに包含する上記発明44〜48のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、C1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、その複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換され;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、保護基である)。
[発明51]
式Ia:
【化272】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、
(a)式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1:
【化273】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を用いて、式IV:
【化274】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成するのに十分な条件下で、第一塩基の存在下で、処理すること;および
(b)第二の塩基の存在下で、式IVの化合物を式D−1の化合物と反応させること
を包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される)。
[発明52]
前記第一塩基が炭酸セシウムである上記発明51記載の方法。
[発明53]
前記第二の塩基が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)である上記発明51または52記載の方法。
[発明54]
式Ia:
【化275】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物の製造方法であって、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1:
【化276】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を用いて、式Iaの化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、塩基の存在下で、処理することを包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、保護基であり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択される)。
[発明55]
前記塩基がカリウムt−ブトキシドである上記発明54記載の方法。
[発明56]
式Ia:
【化277】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を調製するための工程であって、式Iaの化合物のラセミ体を含む組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通すこと、ならびに式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集することを包含する工程をさらに包含する上記発明51〜55のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明57]
前記移動相がイソプロパノールおよびヘキサンを含み、前記イソプロパノールが約25〜約10容量%の量で存在する上記発明56記載の方法。
[発明58]
前記クロマトグラフィーユニットが8つのカラムまたはキラルカラムユニットの1組を装備した擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーユニットであり、各カラムがキラル固定相を詰め込まれる上記発明56〜57のいずれか1つに記載の方法。
[発明59]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明51〜58のいずれか1つに記載の方法。
[発明60]
がシクロペンチルである上記発明51〜60のいずれか1つに記載の方法。
[発明61]
式Ia:
【化278】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、 エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式Iaの化合物のラセミ体を含む組成物を、溶媒の存在下で、キラル酸と反応させて、式Iaの化合物の塩を形成すること;
(b)式Iaの化合物(R)−または(S)−エナンチオマーのキラル塩が、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を分離すること;および
(c)前記キラル塩を塩基で処理して、式Iaの化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;そして
は、保護基である)。
[発明62]
前記キラル酸が、光学活性型のマンデル酸、2−クロロマンデル酸、カンファースルホン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、3−ブロモカンファー−8−スルホン酸、3−ブロモカンファー−10−スルホン酸、10−カンファースルホン酸、ジベンゾイル酒石酸、ジ−p−トルオイル酒石酸、2−アミノ−7,7−ジメチルビシクロp[2,2,1]ヘプタン−1−メチレンスルホン酸および2−アクリルアミド−7,7−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−1−メチレンスルホン酸から選択される上記発明61記載の方法。
[発明63]
前記キラル酸が(+)−ジベンゾイル−D−酒石酸である上記発明61記載の方法。
[発明64]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明61〜63のいずれか1つに記載の方法。
[発明65]
がシクロペンチルである上記発明61〜64のいずれか1つに記載の方法。
[発明66]
式XII:
【化279】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の製造方法であって、パラジウム触媒、塩基および溶媒の存在下で、式X:
【化280】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式XIII:
【化281】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式XIIの化合物を形成することを包含する方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、トシラート基、トリフラート基、ヨード、クロロまたはブロモであり;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、HまたはC1−6アルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合される酸素原子ならびに酸素原子が結合されるホウ素原子と一緒になって、5〜6員複素環式環を形成して、その複素環式環は、任意に1、2、3または4つのC1−4アルキル基で任意に置換され;
およびPは、各々独立して、保護基である)。
[発明67]
式XIIIの前記化合物が次式を有する上記発明66記載の方法:
【化282】
[この文献は図面を表示できません]

[発明68]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明66〜67のいずれか1つに記載の方法。
[発明69]
が1−(エトキシ)エチルである上記発明66〜68のいずれか1つに記載の方法。
[発明70]
脱保護条件下で式Iaの前記化合物を反応させて、式III:
【化283】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成することをさらに包含する上記発明10、12、13、21、35、39、50および56〜63のいずれか1つに記載の方法
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明71]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明70記載の方法。
[発明72]
がシクロペンチルである上記発明70または71記載の方法。
[発明73]
式IIIの前記化合物が(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである上記発明70または71記載の方法。
[発明74]
式IIIの化合物をリン酸と反応させて式IIIの前記化合物のリン酸塩を形成することをさらに包含する上記発明70〜73のいずれか1つに記載の方法。
[発明75]
式XVI:
【化284】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の製造方法であって、
(a)式XVIII:
【化285】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、約1当量以上のC1−6アルキル・グリニャール試薬またはC1−6アルキルリチウム試薬と反応させた後、約1当量以上の式XVII:
【化286】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理すること;および
(b)任意に、ステップ(a)の生成物を再保護して、式XVIの化合物を生成すること
を包含する方法
(式中、Pは、保護基であり;
は、ハロゲンであり;
は、C1−6アルキルであり;
mは、1および2から選択される整数である)。
[発明76]
がヨードまたはブロモである上記発明75記載の方法。
[発明77]
が1−(エトキシ)エチルである上記発明75または76記載の方法。
[発明78]
式XVIの前記化合物が式:
【化287】
[この文献は図面を表示できません]
を有する上記発明75〜77のいずれか1つに記載の方法。
[発明79]
式XIX:
【化288】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を保護することを包含する、式XVIIIの化合物の製造方法をさらに包含する上記発明75〜78のいずれか1つに記載の方法
(式中、Pは、保護基であり;
は、ハロゲンであり;そして
mは、1および2から選択される整数である)。
[発明80]
1H−ピラゾールをハロゲン化剤と反応させることを包含する方法により式XIXの前記化合物を調製することをさらに包含する上記発明75〜79のいずれか1つに記載の方法(式中、Xはハロゲンであり;
mは、1および2から選択される整数である)。
[発明81]
前記ハロゲン化剤がN−ブロモスクシンイミドまたはN−ヨードスクシンイミドから選択される上記発明75〜80のいずれか1つに記載の方法。
[発明82]
式XIa:
【化289】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の製造方法であって、式F−1:
【化290】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、式XIaの化合物を形成するのに十分な条件下で、酸と反応させることを包含する方法。
[発明83]
前記酸が濃塩酸水溶液である上記発明82記載の方法。
[発明84]
式F−2:
【化291】
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の化合物を、塩基の存在下で、式−CHOCHのイリドを有する約1当量以上のウィッティヒ型試薬と反応させることを包含する方法により式F−1の前記化合物を調製することをさらに包含する上記発明82〜83のいずれか1つに記載の方法。
[発明85]
F−3:
【化292】
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の化合物を、溶媒中の約2当量以上のアンモニアと反応させることを包含する方法により、式F−1の前記化合物を調製することをさらに包含する上記発明82〜84のいずれか1つに記載の方法。
[発明86]
F−4:
【化293】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、塩素化剤と反応させることを包含する方法により、式F−1の前記化合物を調製することをさらに包含する上記発明82〜85のいずれか1つに記載の方法。
[発明87]
式I:
【化294】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−または(S)−エナンチオマーが、 エナンチオマー過剰となって含まれる組成物
(式中、は、キラル炭素を示し;
は、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NH、−C(=O)O−R、−C(=O)OHおよび−C(=O)Hから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明88]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明87記載の組成物。
[発明89]
がシクロペンチルである上記発明87または88記載の組成物。
[発明90]
式II:
【化295】
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の化合物
(式中、Rは、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルおよびC1−6フルオロアルキルから選択され;
は、−C(=O)−NHおよび−C(=O)O−Rから選択され;
は、C1−4アルキルまたはC1−4フルオロアルキルから選択され;
は、保護基である)。
[発明91]
が−CHOC(=O)C(CHまたは−CHOCHCHSi(CHである上記発明90記載の化合物。
[発明92]
がシクロペンチルである上記発明90または91記載の化合物。
[発明93]
90%以上のエナンチオマー過剰率の式III’:
【化296】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーを含む組成物の製造方法であって、
(a)式XI’:
【化297】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化ナトリウムおよび塩化N−ピバロイルオキシメチルで処理して、式X’:
【化298】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(b)Pd(トリフェニルホスフィン)、炭酸カリウムおよび溶媒の存在下で、式X’の前記化合物を、式XIII’:
【化299】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XII’:
【化300】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(c)脱保護条件下で、式XII’の前記化合物を反応させて、式IV’:
【化301】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を得ること;
(d)1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンの存在下で、式IV’’の前記化合物を、式XIV’:
【化302】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物と反応させて、式II’:
【化303】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を得ること;
(e)[Rh(COD)]CFSO、ならびに以下の:
【化304】
[この文献は図面を表示できません]
から選択されるキラルホスフィンリガンドの存在下で、式II’の前記化合物を水素ガスと反応させて、式I’:
【化305】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;および
(f)脱保護条件下で、式I’の前記化合物を反応させて、式III’ の前記化合物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素を示す)。
[発明94]
式XI’:
【化306】
[この文献は図面を表示できません]
の前記化合物を調製することをさらに包含する上記発明93記載の方法であって、
(i)F−4:
【化307】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、約1〜約2当量のジメチルホルムアミドの存在下で、約3〜約5当量のPOClと反応させて、式F−3:
【化308】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(ii)F−3の前記化合物を、メタノール中で約2当量のアンモニアと反応させて、式F−2:
【化309】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(iii)約1〜約1.5当量のカリウムtert−ブトキシドの存在下で、式F−2の前記化合物を、約1〜約1.5当量の式[Ph(CHOCH)]Cl(式中、Phはフェニルである)のウィッティヒ型試薬と反応させて、式F−1:
【化310】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(iv)式F−1の前記化合物を、還流でのテトラヒドロフラン中における濃塩酸水溶液で処理して、式XI’の化合物を形成すること
を包含する方法。
[発明95]
式XIII’:
【化311】
[この文献は図面を表示できません]
の前記化合物を調製することをさらに包含する上記発明93記載の方法であって、
(i)1H−ピラゾールをN−ブロモスクシンイミドと反応させて、式XIX’:
【化312】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(ii)式XIXの前記化合物を保護して、式XVIII’:
【化313】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;および
(iii)式XVIII’の前記化合物を、約1当量以上の塩化イソプロピルマグネシウムと反応させた後、約1当量以上の式XVII’:
【化314】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XIII’の化合物を形成すること
を包含する方法。
[発明96]
式XIII’:
【化315】
[この文献は図面を表示できません]
の前記化合物を調製することをさらに包含する上記発明93記載の方法であって、
(i)4−ヨード−1H−ピラゾールを保護して、式XVIII’’:
【化316】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;および
(ii)式XVIII’’の化合物を、テトラヒドロフラン中で約1当量以上の塩化イソプロピルマグネシウムと反応させた後、約1当量以上の式XVII’:
【化317】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XIII’の化合物を形成すること
を包含する方法。
[発明97]
ステップ(e)において:
溶媒が、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)であり;
水素化触媒負荷が、約0.005〜約0.01mol%であり;
式IIの前記化合物の前記水素化触媒に対する比が、約20000/l〜約10000/lであり;
水素圧が、約7〜約60barであり;
反応が、ほぼ室温〜約75℃の温度で実行され;
式IIの前記化合物の式の前記化合物への変換が約99.5以上になるまで、反応が実行され;そして
反応が、約10〜約25時間である
上記発明93記載の方法。
[発明98]
式III’:
【化318】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式XI’:
【化319】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化ナトリウムおよび2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリドで処理して、式X’’:
【化320】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(b)Pd(トリフェニルホスフィン)、炭酸カリウムおよび溶媒の存在下で、式X’’の前記化合物を、式XIII’:
【化321】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XII’’:
【化322】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(c)脱保護条件下で、式XII’’の前記化合物を反応させて、式IV’’:
【化323】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(d)式IV’’の前記化合物と式D−1’:
【化324】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物との反応を、式I’’:
【化325】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物を形成するのに十分な条件下で実施すること;
(e)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(f)式I’’の前記化合物をテトラフルオロホウ酸リチウムと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素である)。
[発明99]
式III’:
【化326】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、 エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式I’’の化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、アセトニトリル中の炭酸セシウムの存在下で、式I’’:
【化327】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を、式D−1’:
【化328】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理すること;
(b)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(c)式I’’の前記化合物をテトラフルオロホウ酸リチウムと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素である)。
[発明100]
式III’:
【化329】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式XI’:
【化330】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を、水素化ナトリウムおよび2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリドで処理して、式X’’:
【化331】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(b)Pd(トリフェニルホスフィン)、炭酸カリウムおよび溶媒の存在下で、式X’’の前記化合物を、式XIII’:
【化332】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理して、式XII’’:
【化333】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(c)脱保護条件下で、式XII’’の前記化合物を反応させて、式IV’’:
【化334】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を形成すること;
(d)式IV’’の前記化合物と式D−1’:
【化335】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物との反応を、式I’’:
【化336】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物のラセミ体を含む組成物を形成するのに十分な条件下で実施すること;
(e)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(f)式I’’の前記化合物をボロントリフルオリドジエチルエーテレートと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素である)。
[発明101]
式III’:
【化337】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、
(a)式I’’の化合物のラセミ体を形成するのに十分な条件下で、アセトニトリル中の炭酸セシウムの存在下で、式I’’:
【化338】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(S)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰で含まれる組成物を、式D−1’:
【化339】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物で処理すること;
(b)式I’’の前記化合物の前記ラセミ体を含む前記組成物を、移動相を用いるキラルクロマトグラフィーユニットに通して、式I’’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を収集すること;および
(c)式I’’の前記化合物をボロントリフルオリドジエチルエーテレートと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素である)。
[発明102]
式III’:
【化340】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物の製造方法であって、式I’’:
【化341】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物の前記化合物を、ボロントリフルオリドジエチルエーテレートと、その後、水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、式III’の前記化合物の(R)−エナンチオマーが、エナンチオマー過剰となって含まれる組成物を形成すること
を包含する方法
(式中、はキラル炭素である)。
[発明103]
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩の製造方法であって、2−プロパノールおよびジクロロメタンの存在下で、(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルをリン酸と反応させることを包含する方法。
[発明104]
(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩の精製方法であって、メタノール、2−プロパノールおよびn−ヘプタンを含む溶媒混合物から(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩を再結晶化することを包含する方法。
[発明105]
前記2−プロパノールおよびn−ヘプタンが、メタノール中の(3R)−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロピオニトリルリン酸塩の混合物に付加される上記発明104記載の方法。