特許第6054369号(P6054369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6054369ムライトまたはムライトの多形体を備える封じ込めエレメント、封じ込めエレメントを備えるアッセンブリ、封じ込めエレメントの製造方法および封じ込めエレメントの使用方法
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  • 6054369-ムライトまたはムライトの多形体を備える封じ込めエレメント、封じ込めエレメントを備えるアッセンブリ、封じ込めエレメントの製造方法および封じ込めエレメントの使用方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054369
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ムライトまたはムライトの多形体を備える封じ込めエレメント、封じ込めエレメントを備えるアッセンブリ、封じ込めエレメントの製造方法および封じ込めエレメントの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 3/06 20060101AFI20161219BHJP
   C04B 35/18 20060101ALI20161219BHJP
   F27B 17/00 20060101ALI20161219BHJP
   C01B 31/06 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   B01J3/06 M
   B01J3/06 L
   B01J3/06 Q
   C04B35/18 Z
   F27B17/00 301Z
   !C01B31/06 Z
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-503165(P2014-503165)
(86)(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公表番号】特表2014-515699(P2014-515699A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2012056375
(87)【国際公開番号】WO2012136821
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2015年3月30日
(31)【優先権主張番号】1105957.3
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/473,336
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506231892
【氏名又は名称】エレメント シックス リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512148551
【氏名又は名称】エレメント、シックス、アブレイシブズ、ソシエテ、アノニム
【氏名又は名称原語表記】ELEMENT SIX ABRASIVES S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】マーク、グレゴリー、マンデー
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ、スティーブン、モントロス
【審査官】 森井 隆信
(56)【参考文献】
【文献】 旧東ドイツ国経済特許第275580(DD,A1)
【文献】 特開2007−015918(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0000266(US,A1)
【文献】 特開平08−168666(JP,A)
【文献】 特開昭62−291539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 3/00−3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1GPaの圧力において物質を封じ込めるための圧力封じ込めアッセンブリのための封じ込めエレメントであって、
少なくとも10重量%のムライトと、少なくとも20重量%のタルクと、最大で15重量%のガラスのケイ酸塩化合物と、を備える、封じ込めエレメント。
【請求項2】
カオリナイトを備える、請求項1に記載の封じ込めエレメント。
【請求項3】
カヤナイトを備える、請求項1または2に記載の封じ込めエレメント。
【請求項4】
菫青石を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項5】
バインダー材料を備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項6】
少なくとも5重量%のシリカを備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項7】
炭酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのための先駆材料を含んでいない、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項8】
ガスケットを備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項9】
少なくとも5重量%のカヤナイトを備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項10】
少なくとも1GPaの圧力かつ少なくとも摂氏1000度の温度において物質を封じ込めるためのアッセンブリのためのものである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項11】
第1の内部摩擦を有する第1の硬質材料からなる複数の粒子と、第2の内部摩擦を有する第2の硬質材料からなる複数の粒子と、を備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の封じ込めエレメント。
【請求項12】
超高圧において物質を封じ込めるための封じ込めアッセンブリであって、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の封じ込めエレメントを備える、封じ込めアッセンブリ。
【請求項13】
超高圧を生成するためのプレス装置を備え、
前記プレス装置は、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の封じ込めエレメントを備えるカプセルを収納するためのチャンバーを含む、請求項12に記載の封じ込めアッセンブリ。
【請求項14】
本体部を超高圧および高温にさらすための方法であって、
前記方法は、本体部を収納するために、かつ超高圧炉装置のチャンバーへの挿入のために構成されたカプセルの中に本体部を組み立てることを含み、
前記カプセルは、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の封じ込めエレメントを備える、方法。
【請求項15】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の封じ込めエレメントを作製する方法であって、前記方法は、
粒状の混合物を形成するためにムライト粒子を少なくとも第2の材料に組み合わせることと、
粒状の混合物を加圧成形して生成形品を提供することと、を含む、方法。
【請求項16】
第2の材料における相変化を誘起するため、または生成形品から水分を除去するため、生成形品を熱処理することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の材料はタルクであり、
前記方法は、タルクにおける相変化を誘起するよう生成形品を熱処理することを含む、請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、限定的ではないが、特に超高圧で物質を封じ込めるための、圧力封じ込めアッセンブリのための封じ込めエレメントに概して関する。また本開示は、封じ込めエレメントを備える圧力封じ込めアッセンブリ、封じ込めエレメントの製造方法および封じ込めエレメントの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,338,754号は、タルカムパウダーおよびガーネットパウダーを組み合わせることにより構成される合成ガスケットを開示している。
【0003】
米国特許第5,858,525号は、高圧でのプレスの下で流れるのに十分な平滑潤滑性を有する粘土鉱物パウダーからなる多数部分と、高圧でのプレスにおけるプレスの間に粘土鉱物の流れを遅らせるとともにガスケットシールを形成するよう、粘土鉱物よりも十分に高い硬度を有する少なくとも1つの硬質材料パウダーからなる少数部分と、を含んでいる。
【0004】
葉蝋石と呼ばれる、採掘された鉱物は、ケイ酸アルミニウム水酸化物(Al2Si4O10(OH))を備えている。この鉱物は、超高圧かつ高温における封じ込め容器のために用いられてきた。しかしながら、鉱物の適切な源は限られている。葉蝋石は、超高圧および/または高温において相変化を起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
限定はされないが、特に、超高圧において物質を封じ込めるという使用のため、高められた圧力において、可能であれば高められた温度との組み合わせにおいて、比較的に小さな相変化を起こす材料を備える封じ込めエレメントおよび封じ込めアッセンブリへの需要が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面では、圧力封じ込めアッセンブリのための、ムライトおよび/またはムライトの多形体を備える封じ込めエレメントが提供される。圧力封じ込めアッセンブリは、固体状態および/または液体状態の物質を、高められた圧力において封じ込めるためのものである。
【0007】
本開示によれば、様々な組み合わせおよび構成が考えられる。以下の例は、非限定的な、非網羅的なものである。
【0008】
封じ込めエレメントは、少なくとも約10重量%のムライトを備えていてもよい。封じ込めエレメントは、最大で約90重量%の、または最大で約60重量%のムライトを備えていてもよい。
【0009】
封じ込めエレメントは、タルク(talc)、および/またはカオリナイト(kaolinite)、および/またはカヤナイト(kyanite)、および/またはカオリナイトまたはカヤナイトの多形体、およびバインダー材料を備えていてもよい。封じ込めエレメントは、少なくとも約5重量%または少なくとも約10重量%のシリカまたはガラスの相を備えていてもよい。封じ込めエレメントは、最大で約15重量%または最大で約10重量%のシリカ、ケイ酸塩化合物またはその他のガラスの相を備えていてもよく、または封じ込めエレメントは、実質的にシリカ化合物を含んでいなくてもよい。
【0010】
封じ込めエレメントは、少なくとも約20重量%のタルク、少なくとも約10重量%のムライト、および/または少なくとも約5重量%のカヤナイトを含む複合材料を備えていてもよい。
【0011】
封じ込めエレメントは、炭酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのための先駆材料を実質的に含んでいなくてもよい。
【0012】
圧力封じ込めアッセンブリは、超高圧かつ環境温度または高められた温度において固体状態および/または液体状態にある物質を封じ込めることに適したものであってもよい。封じ込めエレメントは、超高圧における適用に先行する本開示によるものである。
【0013】
封じ込めエレメントは、圧力封じ込め容器を備えていてもよく(圧力封じ込めアッセンブリのいくつかの例示的な構成は、複数の圧力封じ込め容器を備えていてもよい)、および/または、封じ込めエレメントは、圧力封止エレメントを備えていてもよい。封じ込めエレメントは、封止エレメント(またはガスケット)、熱的な絶縁エレメントおよび/または電気的な絶縁エレメントを備えていてもよい(または、それらであってもよい)。
【0014】
封じ込めエレメントは、超高圧を生成し、および/または超高圧において物質を封じ込めるための封じ込めアッセンブリにおける使用のためのものであってもよい。封じ込めアッセンブリは、少なくとも約1GPa、少なくとも約5GPa、少なくとも約7GPa、少なくとも約8GPaまたは少なくとも約10GPaの圧力において物質を封じ込めるためのものであってもよい。封じ込めアッセンブリは、少なくとも約1GPaの圧力において、かつ、少なくとも摂氏約1,000度または少なくとも摂氏約2,000度の温度において、物質を封じ込めるためのものであってもよい。封じ込めアッセンブリは、超硬質材料の合成または焼結のための反応成形体を封じ込めるための容器であって、超高圧炉における利用のために構成された容器を備えていてもよい(または、容器であってもよい)。例示的な封じ込めエレメントは、超高圧において固体状態および/または液体状態の物質を封じ込めるための、ベルトタイプ、立方体タイプ、四面体タイプ、ウォーカータイプまたはその他のタイプの超高圧装置に関する使用のために適したものであってもよい。
【0015】
封じ込めエレメントは、第1の内部摩擦を有する第1の硬質材料からなる複数の粒子と、第2の内部摩擦を有する第2の硬質材料からなる複数の粒子と、を備えていてもよい。第2の硬質材料は、第1の硬質材料とは異なる相のものであってもよい。第2の材料は、封じ込めエレメントの可塑性、取扱適正および/または機械加工性を促進するものであってもよい。第2の材料は、超高圧および/または少なくとも摂氏900度の高められた温度において、可塑性、流動性および/または圧力伝達性を促進するものであってもよい。封じ込めエレメントは、菫青石を備えていてもよく、マグネシア、アルミナおよびケイ酸塩化合物を含む材料を備えていてもよい。第1の材料は、ムライトを備えていてもよい
【0016】
第2の側面では、超高圧において固体状態および/または流体状態の物質を封じ込めるための封じ込めアッセンブリ(組み立てられた形態、または未だ組み立てられていない形態)であって、本開示による封じ込めエレメントを備える封じ込めアッセンブリが提供される。封じ込めアッセンブリは、ベルトタイプの超高圧プレス、立方体タイプの超高圧プレス、四面体タイプの超高圧プレス、ウォーカータイプのプレスシステム、またはその他のタイプの超高圧プレスシステムのためのものであってもよい。
【0017】
封じ込めアッセンブリは、ガスケットを備えていてもよい。封じ込めアッセンブリは、超硬質材料を合成または焼結するための反応成形体を封じ込めるための容器を備えていてもよい。封じ込めアッセンブリは、本開示による封じ込めエレメントを備えるカプセルを収納するためのチャンバーを含むプレス装置を備えていてもよい。
【0018】
第3の側面では、本体部を超高圧および高温にさらすための方法が提供される。方法は、本体部を、本体部を収納するために、かつ超高圧炉装置のチャンバーへの挿入のために構成されたカプセルの中に組み立てることを含んでいる。ここで、カプセルは、本開示による封じ込めエレメントを備えている。
【0019】
第4の側面では、本開示による封じ込めエレメントを作製する方法が提供される。方法は、粒状の混合物を形成するためにムライト粒子を少なくとも第2の材料に組み合わせることと、粒状の混合物を加圧成形して生成形品(green body)を提供することと、を含んでいる。方法は、例えば第2の材料における相変化を誘起するため、または生成形品から水分を除去するため、生成形品を処理することを含んでいる。方法は、生成形品を熱処理することを含んでいてもよい。一例において、第2の材料は、ムライト粒子を結合するためのバインダー材料であってもよい。第2の材料は、タルクであってもよく、また方法は、タルクにおける相変化を誘起するよう生成形品を熱処理することを含んでいてもよい。
【0020】
図を参照して、非限定的な例が以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ダイヤモンドおよび立方晶系窒化ホウ素を合成するための反応容積において超高圧および高温を生成するためのベルトタイプのアッセンブリの一部の例を示す斜視図。
図2図2は、ダイヤモンドおよび立方晶系窒化ホウ素を合成するための反応容積において超高圧および高温を生成するための立方体タイプの装置のためのガスケットの例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ムライト(mullite)は、ポースラナイト(porcelainite)とも呼ばれるものであるが、稀少なケイ酸塩鉱物である。ムライトは、2つの化学量論的な形態3Al2O3(2SiO2)または2Al2O3.SiO2を形成することができる。ムライトは、小板状の形態または針状の形態で生じる。
【0023】
カオリナイト(Al2Si2O5(OH) 4)は、カオリンを備える岩層において見つけられ得る鉱物である。
【0024】
カヤナイトは、アルミノケイ酸塩系列の一員である。カヤナイトはまた、多形体アンダルサイトおよび多形体シリマナイトを含んでいる。カヤナイトは、強い異方性を有しており、またその硬度は、その結晶方位に依存して変化する。カヤナイトにおいて、この異方性は、識別特徴として考えられ得る。摂氏1,100度よりも上の温度において、カヤナイトは、以下の反応を経てムライトおよび融解シリカに分解する。
3(Al2O3・SiO2)→3Al2O3・2SiO2+SiO2
この変化は、膨張という結果を生じる。
【0025】
タルク、ムライト、カオリナイトおよびカヤナイトは、自然に生じる鉱物であり、または、自然に生じる鉱物から得られるものである。従って、その他の構成要素または不純物を所定の比率で含むこともある。本開示は、これらの材料の特定の源には限定されず、従って、これらの鉱物のうちの1つまたは複数の鉱物の特性は、物質それ自体とともに、一般に生じる不純物および共存する物質に関して言及しているものとしてとらえられるべきである。合成タルク、ムライト、カオリナイトおよび/カヤナイトもまた、本開示によって予見される。
【0026】
ムライト(少なくとも、3Al2O3(2SiO2)の化学量論的な形態にあるもの)は、超高圧および超高温の状況における使用のための圧力封じ込めアッセンブリの構成要素のための鉱物としての利用に適したものであると認められている。
【0027】
図1を参照すると、ガスケット10およびチューブ18の形態にある例示的な封じ込めエレメントは、反応成形体16が対向する一対のアンビル12の間で圧縮されるときに、反応成形体16を封じ込めるために利用され得るものである。このとき、アンビル12は、ベルトタイプの超高圧、高温プレスを利用して、周方向封じ込めダイ14によって、半径方向において支持されている。いくつかの例において、反応成形体16は、少なくとも約5.5GPaの圧力および少なくとも摂氏約1,250度の温度にさらされるときに炭素源をダイヤモンドに変換するのに適した材料を備えていてもよい。いくつかの例において、反応成形体16は、ダイヤモンドやcBNなどの超硬質材料からなる粒子と、超硬質粒子の結合、焼結および相互成長を促進してPCD材料またはPCBN材料を生成するのに適した材料と、を含むプレ焼結成形体を備えていてもよい。反応成形体16は、チューブ18を備えるカプセルの中に封じ込められている。反応成形体16は、鉄、コバルトおよび/またはニッケルなどの金属を封じ込めていてもよい。これらの金属は、ダイヤモンドの合成または焼結を促進するための触媒および/またはバインダー材料(または、触媒またはバインダー材料のための先駆体材料)の例である。また反応成形体16は、cBNの合成または焼結を促進するためのリチウム、アルミニウムおよび/またはチタン(またはこれらの元素形態のいずれか)を含む化合物を封じ込めていてもよい。触媒材料は、超高圧および超高温において溶融され得る。いくつかの例示的な構成において、チューブ18および/またはガスケット10は、超高圧にさらされる前に(すなわち、超高圧処理のための準備において組立てられるとき)、ムライト、カオナイトおよび/またはカオリナイトを備えていてもよい。いくつかの例示的な構成において、チューブ18および/またはガスケット10は、葉蝋石および/またはタルクを備えていてもよい。いくつかの例示的な構成において、カプセルは、チューブ18以外の封じ込めエレメントを備えていてもよく、その他の封じ込めエレメントは、超高圧にさらされる前に、ムライト、カオナイトおよび/またはカオリナイトを備えていてもよい。
【0028】
圧力は、一対のアンビル12を反対側から駆動し、これによって反応成形体16を締め付けることによって、生成され得る。また温度は、電流を、アンビル12および反応成形体16に通すことによって、および/またはカプセル内に設けられたヒーターエレメント(図示せず)に通すことによって、生成され得る。ガスケット10は、超高圧および超高温の期間の間、圧力および温度が環境レベルから増大するときに、かつ、その後に反応容積が冷却されるときに、反応容積の内容物を封じ込める、という目的を有している。長手方向および横方向の両方におけるガスケット10の動的な負荷は、全サイクルを通して著しく変化することがある。
【0029】
図2は、ガスケット10のキャビティ20に挿入された反応容積(図示せず)において超高圧および高温を生成するための立方体タイプの装置(図示せず)のための、例示的なガスケット10を示している。ガスケット10は、概して立方体の外形を有していてもよい。またガスケット10は、使用中に反応容積をカプセルに包んでもよい。
【0030】
超高圧プレスのためのカプセルは、協働するよう構成された複数の封じ込めエレメントを備えていてもよい。複数の封じ込めエレメントは、組合せで、圧力のもとで、かつ可能であれば高められた温度のもとで、本体部または流体の大部分を封じ込めるよう作用する。例えば、ダイヤモンド結晶またはcBN結晶を成長または焼結させるための反応成形体は、その中に含有された触媒材料の融点よりも下で固体であり、かつ、超高圧において、触媒材料の融点よりも上で液相であってもよい。封じ込めエレメントを備えたカプセルは、両方の状態(固体および液相)で、反応成形体を封じ込める必要がある。いくつかの例において、材料は、超高圧および高温状況のもとで可能な限り小さな相変化を材料が経験し、かつ、それらの状況においてその重要な熱的、機械的な特性を維持するよう、ガスケットおよび/またはチューブなどの様々な封じ込めエレメントに関して選択されるべきである。
【0031】
いくつかの例示的な構成において、超高圧炉および適切なカプセルが、カプセルに封じ込められた物質に少なくとも約8GPaまたは少なくとも約10GPaの圧力を生成するために構成されていてもよい。物質は、固体状態または液体状態でもよく、また、カプセル内に固体状態および液体状態の物質の両方が存在していてもよい。物質の温度は、環境温度でもよく、少なくとも摂氏約1000度や少なくとも摂氏約2000度などの、高められた温度でもよい。そのような構成は、概ね、この開示による少なくとも1つの封じ込めエレメントを備えることによる利益をもたらすことができ、また、この開示による封じ込め容器および/またはガスケットを含んでいてもよい。特定の理論には限定されないが、このことは、封じ込めエレメントの構成要素となる材料、とりわけムライトの、低減された相変化によるものかもしれない。そのような相変化は、内側の容積であることもあり、または外側の容積であることもあり、また、封じ込められた物質の中に生成される圧力に影響を及ぼすこともある。
【0032】
例示的な封じ込めエレメントは、タルク、カヤナイトおよびムライトの混合物を備えていてもよい。カヤナイトおよびムライトは、高い内部摩擦、並びに、高圧および高温状況に対する異なる反応を有する硬質材料である。封じ込めエレメントは、バインダー材料を含んでいてもよい。封じ込めエレメントの複数の例は、様々な量および比率でムライトおよびカヤナイトを備えることができ、これによって、様々な特性が生じることが期待される。封じ込めエレメントの特性は、タルク、カヤナイトおよびムライトの比率を変えることによって決定される。加えて、ムライトパウダーおよびカヤナイトパウダーの寸法分布が、封じ込めエレメントの特性を変更するために変えられ得る。
【0033】
いくつかの例において、ムライトを備える材料の可塑性は、カオリナイトを材料に含めることによって増加され得る。ムライトは、カヤナイトを形成するために、化学的に乾燥されたカオリナイト(メタカオリンとしても知られている)と反応する。この反応により、1.85%のモル容積の減少が生じる。この減少は、比較的に小さなものであり、かつ、圧力の実質的な減少を生じさせる可能性が低いものである。
【0034】
例示的な封じ込めエレメントは、様々な量および比率からなり、かつ様々な異なる特性を有する、ムライトおよびカオリナイトの混合物を備えていてもよい。加えて、ムライトパウダーおよびカオリナイトパウダーの寸法分布が、封じ込めエレメントの特性を変更するために変えられ得る。
【0035】
封じ込めエレメントの材料並びにバインダー内容物が硬化され焼成される温度などの、本開示による封じ込めエレメントを作成する方法のアスペクトは、電気的、熱的および機械的な特性を変化させるために変えられてもよく、また、高められた圧力および温度に対する封じ込めエレメントの反応を変えるために変えられてもよい。
【0036】
超硬質材料を製造するためのカプセルまたは封じ込めアッセンブリは、圧力的な封じ込め性、電気的な絶縁性または伝導性、熱的な封じ込め性または伝導性などのための、様々な構成要素を備えていてもよい。
【0037】
超高圧および高温で物質を封じ込めるためのカプセルまたは封じ込めアッセンブリは、本開示による少なくとも1つの封じ込めエレメント、並びに、塩化ナトリウム(NaCl)、マグネシア(MgO)、カリウム塩、葉蝋石、フッ化カルシウム(CaF)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、クロミア(Cr)および/またはタルクなどの材料を含む少なくとも1つのその他の封じ込めエレメントを備えていてもよい。そのようなカプセルは、PCBN材料またはPCD材料を含む本体部を製造するよう、cBN結晶またはダイヤモンド結晶を成長させるための、またはcBN結晶またはダイヤモンド結晶を焼結させるための反応成形体を封じ込めるために構成されていてもよい。反応成形体は、ダイヤモンド結晶の成長または相互成長を促進するための、コバルト、鉄、ニッケル、マンガンなどの溶媒材料または触媒材料を含んでいてもよく、または、cBN結晶の成長を促進するためのリチウム含有化合物を含んでいてもよく、または、チタン炭化物またはチタン炭窒化物などのチタン含有化合物を含んでいてもよく、または、PCBNを形成するためにcBN粒を焼結するためのアルミニウム含有化合物またはアルミニウム元素を含んでいてもよい。
【0038】
ベルトタイプの超高圧プレス装置のためのカプセルは、超硬合金材料を含み得るダイに挿入するための、かつ概して円筒形の反応成形体を封じ込めるためのチューブを備えていてもよい。そのような装置において、圧力は、逆に移動する一対のアンビルをカプセルの対向する端部に突き当てることによって、反応成形体で生成されてもよい。
【0039】
立方体タイプの超高圧プレスのためのカプセルは、立方体のプレス装置によって画定されたチャンバーへの挿入のため、概して立方体の構造を備えていてもよい。装置は、6つの油圧式のカートリッジを備えていてもよく、各カートリッジは、カプセル上の6面で突き当てるために配置された炭化物のアンビルを備えている。
【0040】
同様に、4つの油圧カートリッジおよび各アンビルを備える四面体のシステムを含むその他の超高圧システムおよび対応するカプセルの構成が考えられる。
【0041】
非限定的な例示的な封じ込めエレメントが、より詳細に以下に説明される。
【実施例】
【0042】
実施例1
ベルトタイプの超高圧炉のためのカプセルのためのシリンダーが、バインダーとしての水の中に溶解された、粉末状のタルク、粉末状のムライトおよび粉末状のケイ酸ナトリウムを混合することによって、ブレンダーにおいて形成され得る。混合物は、75重量%のタルクと、15重量%のムライトと、10重量%のケイ酸ナトリウムと、を備えていてもよい。ケイ酸ナトリウムは、約45重量%の固形分を有している。
【0043】
均一な粒状の混合物が得られたら、混合物は、変形可能な円筒状の型の中へ、中心ロッドとともに詰め込まれる。そして、150MPaの等方的な圧力のもとで加圧成形される。ラフに加圧成形されたチューブは、その後、摂氏800℃で6時間にわたって焼成され、そして冷却され、最終的な寸法へ加工される。
【0044】
結果として生じる、高い密度および高い強度を有するシリンダーは、5.7GPaおよび摂氏1300度において合成ダイヤモンドを製造するための一軸の超高圧生成装置において、外側の絶縁用の、そして圧力を伝達させる媒体として利用され得る。
【0045】
実施例2
ベルトタイプの超高圧炉のためのカプセルのためのシリンダーが、バインダーとしての水の中に溶解された、粉末状のタルク、粉末状のカヤナイトおよび粉末状のケイ酸ナトリウムを混合することによって、ブレンダーにおいて形成され得る。混合物は、70重量%のタルクと、20重量%のカヤナイトと、10重量%のケイ酸ナトリウムと、を備えていてもよい。ケイ酸ナトリウムは、約45重量%の固形分を有している。
【0046】
均一な粒状の混合物が得られたら、混合物は、変形可能な円筒状の型の中へ、中心ロッドとともに詰め込まれる。そして、180MPaの等方的な圧力のもとで加圧成形される。ラフに加圧成形されたチューブは、その後、摂氏800℃で6時間にわたって焼成され、そして冷却され、最終的な寸法へ加工される。
【0047】
結果として生じる、高い密度および高い強度を有するシリンダーは、5.7GPaおよび摂氏1300度において合成ダイヤモンドを製造するための一軸の超高圧生成装置において、内側の絶縁用の、そして圧力を伝達させる媒体として利用され得る。
【0048】
実施例3
立方体タイプの超高圧プレスのためのカプセルのための立方体の構成要素は、バインダーとしての水の中に溶解された、粉末状のタルク、粉末状のカヤナイト、粉末状のムライトおよび粉末状のケイ酸ナトリウムを混合することによって、ブレンダーにおいて形成され得る。混合物は、65重量%のタルクと、7重量%のカヤナイトと、18重量%のムライトと、10重量%のケイ酸ナトリウムと、を備えていてもよい。ケイ酸ナトリウムは、約45重量%の固形分を有している。
【0049】
均一な粒状の混合物が得られたら、混合物は、変形可能な立方体の型の中へ、中心ロッドとともに詰め込まれる。そして、180MPaの等方的な圧力のもとで加圧成形される。ラフに加圧成形された、円筒形の孔を有する立方体は、その後、摂氏200℃で6時間にわたって硬化処理され、そして冷却され、最終的な寸法へ加工される
【0050】
結果として生じる、高い密度を有する立方体は、5.7GPaおよび摂氏1300度において合成ダイヤモンドを製造するための、立方体の超高圧生成プレスシステムにおいて、結合された、絶縁用の、圧力を伝達させるガスケット媒体として利用され得る。タルク、カヤナイト、ムライトおよびバインダーの混合物の特性は、十分な強度、熱的および電気的な絶縁性、並びに、これらの状況下において成功裡に作動するための流れ特性などを与えることができるものであり得る。
【0051】
実施例4
立方体タイプの超高圧プレスのためのカプセルのための立方体構成要素は、バインダーとしての水の中に溶解された、粉末状のムライト、粉末状のカオリナイトおよび粉末状のケイ酸ナトリウムを混合することによって、ブレンダーにおいて形成され得る。混合物は、50重量%のカオリナイトと、40重量%のムライトと、10重量%のケイ酸ナトリウムと、を備えていてもよい。ケイ酸ナトリウムは、約45重量%の固形分を有している。
【0052】
均一な粒状の混合物が得られたら、混合物は、変形可能な立方体の型の中へ、中心ロッドとともに詰め込まれる。そして、180MPaの等方的な圧力のもとで加圧成形される。ラフに加圧成形された、円筒形の孔を有する立方体は、その後、摂氏200℃で6時間にわたって硬化処理され、そして冷却され、最終的な寸法へ加工される
【0053】
結果として生じる、高い密度を有する立方体は、5.7GPaおよび摂氏1300度において合成ダイヤモンドを製造するための、立方体の超高圧生成プレスシステムにおいて、結合された、絶縁用の、圧力を伝達させるガスケット媒体として利用され得る。
【0054】
使用されているいくつかの用語を、以下に簡潔に説明する。
【0055】
硬質材料とは、少なくともシリカの硬さを有するものである。
【0056】
超硬質材料とは、少なくとも、天然または合成ダイヤモンド結晶を含む立方晶系窒化ホウ素(cBN)、多結晶cBN(PCBN)材料、または、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料の硬さを有するものである。
【0057】
超高圧、高温(HPHT)プレスは、超高圧炉とも言われ得る。超高圧、高温プレスは、本体部を超高圧および高温にさらすことができる。ここで使用されているように、超高圧とは、少なくとも約1GPaである。
図1
図2