【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のいくつかの態様が本明細書に開示される。これらの態様が相互に重なり合うことがあることもないこともあり得ることは当然である。すなわち、1つの態様の一部が別の態様の範囲内に入ることが、またその逆も、あり得る。
【0011】
それぞれの態様は、1つ以上の特定の実施形態を含むことができる、多くの実施形態によって説明される。これらの実施形態が相互に重なり合うことがあることもないこともあり得ることは当然である。すなわち、1つの実施形態、またはその特定の実施形態が、別の実施形態、またはその特定の実施形態の範囲内に入ることが、またその逆が、あることもないこともあり得る。
【0012】
したがって、本開示の第1の態様はガラスシートの第1の周縁領域を切除するための、
(I)第1の主表面、第1の主表面の裏側の第2の主表面、中央厚Th(C)を有する中央領域、それぞれの端面が第1の主表面と第2の主表面を連結する、上端面、下端面、第1の側端面及び第2の側端面を有し、第1の周縁領域が第1の側端面の縁端の近傍にある、ガラスシートを提供する工程、
(II)上端面の近傍において第1の主表面及び第2の主表面を拘束することにより、ガラスシートをあらかじめ定められた位置に配する工程、
(III)工程(II)の後、上端面から下端面までの第1の側端面から距離D1において、第1の側端面の近傍で、第1の主表面及び第2の主表面を拘束する工程、
(IV)工程(III)の後、第1の側端面の縁端から距離D2において上端面の近傍から下端面の近傍まで延びる罫書き線を第1の主表面に形成する工程、ここで、D2<D1である、
(V)第1の側端面の縁端から距離D3において、第1の主表面を第2の主表面に向けて押す工程、ここで、D3<D2である、
(VI)工程(V)の後、第1の周縁領域の第2の主表面の複数の吸引カップを吸い付かせる工程、
(VII)罫書き線の裏側で第2の主表面を段鼻ストリップと接触させる工程、及び
(VIII)工程(VI)及び(VII)の後、第1の側端面の近傍においてガラスシートの第1の周縁領域が段鼻ストリップに対して曲り、罫書き線に沿ってガラスシートの中央領域から分離するように、吸引カップによって第2の主表面を第1の主表面から離れる方向に引っ張る工程、
を含むプロセスに関する。
【0013】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(II)〜(VIII)の間、ガラスシートは実質的に垂直である。
【0014】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態にでは、工程(II)において、上端面の近傍においてガラスシートの第1の主表面及び第2の主表面は垂直懸垂装置によって拘束される。
【0015】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、提供されたままのガラスシートの第1の周縁領域は、ガラスシートが室温において実質的に一様な温度を有し、外力を受けていない場合、上端面から下端面に向かう方向の反りを有する。
【0016】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、提供されたままのガラスシートの第1の周縁領域は少なくとも第2の主表面の側の表面にうねりがある第1の区画及び第2の主表面の側の第1の区画に隣接する第2の区画を有し、工程(VI)の間、第1の周縁領域の、第1の区画ではなく、第2の区画に吸引カップが吸い付く。
【0017】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態にでは、工程(VI)において、第1の周縁領域の第2の主表面への全ての吸引カップの吸付きは長くとも5秒で完了される。
【0018】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(II)において、上端面近傍の第1の主表面及び第2の主表面はクランプを用いることで懸垂装置に確保される。
【0019】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(III)において、上端面近傍の第1の主表面及び第2の主表面は上端面から下端面まで第1の側端面の縁端から距離D1においてクランプによって確保される。
【0020】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(VII)が工程(IV)に先行し、工程(IV)において、第1の主表面に押し付けて罫書き線を形成するために機械的罫書きホイールが用いられる。
【0021】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、ガラスシートの中央厚Th(C)は少なくとも400μmである。
【0022】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、ガラスシートは少なくとも1000mmの高さを有する。
【0023】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、ガラスシートは少なくとも1000mmの幅を有する。
【0024】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、ガラスシートはダウンドロープロセスによって作製される。
【0025】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(IV)において、罫書き線はレーザビームを用いることで形成される。
【0026】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、5cm≦D1≦50cmである。
【0027】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、4cm≦D2≦40cmである。
【0028】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、0.5cm≦D3≦20cmである。
【0029】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(V)において、第1の主表面は真直プッシングバーを用いて第2の主表面に向けて押される。
【0030】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(V)において、真直プッシングバーは実質的に上端面から下端面まで延びる高さを有する。
【0031】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(VIII)において、ガラスシートの第1の主表面はガラスシートの第2の主表面が吸引カップで引っ張られると同時に真直プッシングバーによって押される。
【0032】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(II)における懸垂装置はガラス搬送装置の一部である。
【0033】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(IV)が工程(VI)に先行する。
【0034】
本開示の第1の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(VI)が工程(IV)に先行する。
【0035】
本開示の第2の態様は、第1の主表面、第1の主表面の裏側の第2の主表面、中央厚Th(C)を有する中央領域、それぞれの端面が第1の主表面と第2の主表面を連結する、上端面、下端面、第1の側端面及び第2の側端面を有し、第1の周縁領域が第1の側端面の縁端近傍にある、ガラスシートの第1の周縁領域を切除するための、
(A)上端面の近傍において第1の主表面及び第2の主表面を拘束することによってガラスシートを垂直位置に配するために適合されたガラス懸垂装置、
(B)第1の側縁拘束クランプストリップを有する、第1の主表面の側に配置された第1の側縁拘束タワー及び、第2の側縁拘束クランプストリップを有する、第2の主表面の側に配置された第2の側縁拘束タワー、
−第1の側縁拘束クランプストリップと第2の側縁拘束クランプストリップの間隔は調節可能であり、上端面から下端面に延びる第1の側端面の縁端から距離D1において第1の側端面の近傍で第1の主表面及び第2の主表面を拘束するために適合される、
(C)第1の側端面の縁端から距離D2において、上端面の近傍から下端面の近傍まで延びる罫書き線を第1の主表面上に形成するための、第1の主表面と接触したままの垂直運動に適合された、第1の側縁拘束タワーに装着された機械式罫書きホイール、ここで、D2<D1である、
(D)第1の主表面を第2の主表面に向けて押すために適合された真直垂直バー、
(E)第1の側端面の縁端から距離D3において第1の周縁領域の第2の主表面に吸い付かせるために適合された複数の吸引カップ、ここで、D3<D2である、
(F)第2の主表面と接触するために適合された、罫書き線の裏側の段鼻ストリップ、及び
(G)第1の側端面の近傍においてガラスシートの第1の周縁領域が段鼻ストリップに対して曲り、罫書き線に沿ってガラスシートの中央領域から分離するように、吸引カップによって第2の主表面を第1の主表面から離れる方向に引っ張るために適合された力印加器、
を備える、装置に関する。
【0036】
本開示の第2の態様にしたがう装置のいくつかの実施形態では、段鼻ストリップはガラスシート以下のショアーA硬度を有する。
【0037】
本開示の第2の態様にしたがう装置のいくつかの実施形態では、段鼻ストリップは、罫書きホイールがガラスの第1の主表面を段鼻ストリップに対して押すときに段鼻ストリップが実質的に直線形のままでいるように十分に硬質な、受座によって支持される。
【0038】
本開示の第2の態様にしたがう装置のいくつかの実施形態では、段鼻ストリップは、アルミニウム及びその合金、ステンレス鋼、及び、硬質ゴム及び硬質プラスチックから選ばれる材料を含む。
【0039】
本開示の第3の態様は、ガラスシートの第1の周縁領域を切除するための、
(I)第1の主表面、第1の主表面の反対側の第2の主表面、中央厚Th(C)を有する中央領域、それぞれの端面が第1の主表面と第2の主表面を連結する、上端面、下端面、第1の側端面及び第2の側端面を有し、第1の周縁領域は第1の側端面の縁端の近傍にある、ガラスシートを提供する工程、
(II)上端面の近傍において第1の主表面及び第2の主表面を拘束することにより、ガラスシートを所定の位置に配する工程、
(III)工程(II)の後、上端面から下端面までの第1の側端面から距離D1において、第1の側端面の近傍で、第1の主表面及び第2の主表面を拘束する工程、
(IV)工程(III)の後、第1の側端面の縁端から距離D2において、上端面の近傍から下端面の近傍まで延びる罫書き線を第1の主表面上に形成する工程、ここで、D2<D1である、
(V)罫書き線の裏側で第2の主表面を段鼻ストリップと接触させる工程、及び
(VI)工程(V)の後、第1の側端面の近傍においてガラスシートの第1の周縁領域が段鼻ストリップに対して曲り、罫書き線に沿ってガラスシートの中央領域から分離するように、第1の側端面の縁端から距離D3において第1の主表面を第2の主表面に向けて押す工程、ここで、D3<D2である、
を含むプロセスに関する。
【0040】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(II)〜(VI)の間、ガラスシートは実質的に垂直である。
【0041】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(II)において、上端面の近傍においてガラスシートの第1の主表面及び第2の主表面は垂直懸垂装置によって拘束される。
【0042】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、提供されたままのガラスシートの第1の周縁領域は、ガラスシートが室温において実質的に一様な温度を有し、外力を受けていない場合、上端面から下端面に向かう方向の反りを有する。
【0043】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(II)において、上端面近傍の第1の主表面及び第2の主表面はクランプ用いることによって懸垂装置に確保される。
【0044】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(III)において、上端面近傍の第1の主表面及び第2の主表面は上端面から下端面まで延びる第1の側端面の縁端から距離D1においてクランプによって確保される。
【0045】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(V)が工程(IV)に先行し、工程(IV)において、第1の主表面に押し付けて罫書き線を形成するために機械的罫書きホイールが用いられる。
【0046】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、ガラスシートの中央厚Th(C)は少なくとも300μmである。
【0047】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、ガラスシートは少なくとも1000mmの高さを有する。
【0048】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(I)において、ガラスシートは少なくとも1000mmの幅を有する。
【0049】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、ガラスシートはダウンドロープロセスによって作製される。
【0050】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(IV)において、罫書き線はレーザビームを用いることで形成される。
【0051】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、5cm≦D1≦50cmである。
【0052】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、4cm≦D2≦40cmである。
【0053】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、0.5cm≦D3≦20cmである。
【0054】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(VI)において、第1の主表面は上端面から下端面まで延びる真直プッシングバーを用いて第2の主表面に向けて押される。
【0055】
本開示の第3の態様にしたがうプロセスのいくつかの実施形態では、工程(II)における懸垂装置はガラス搬送装置の一部である。
【0056】
本開示の第4の態様は、第1の主表面、第1の主表面の裏側の第2の主表面、中央厚Th(C)を有する中央領域、それぞれの端面が第1の主表面と第2の主表面を連結する、上端面、下端面、第1の側端面及び第2の側端面を有し、第1の周縁領域が第1の側端面の縁端近傍にある、ガラスシートの第1の周縁領域を切除するための、
(A)上端面の近傍において第1の主表面及び第2の主表面を拘束することによってガラスシートを垂直位置に配するために適合されたガラス懸垂装置、
(B)第1の側縁拘束クランプストリップを有する、第1の主表面の側に配置された第1の側縁拘束タワー及び、第2の側縁拘束クランプストリップを有する、第2の主表面の側に配置された第2の側縁拘束タワー、
−第1の側縁拘束クランプストリップと第2の側縁拘束クランプストリップの間隔は調節可能であり、上端面から下端面まで、第1の側端面の縁端から距離D1において第1の側端面の近傍で第1の主表面及び第2の主表面を拘束するために適合される、
(C)第1の側端面の縁端から距離D2において、上端面の近傍から下端面の近傍まで延びる罫書き線を第1の主表面上に形成するための、第1の主表面と接触したままの垂直運動に適合された、第1の側縁拘束タワーに装着された機械式罫書きホイール、ここで、D2<D1である、
(D)第1の主表面を第2の主表面に向けて押すために適合された真直垂直バー、及び
(E)第2の主表面と接触するために適合された、罫書き線の裏側の段鼻ストリップ、
を備える、装置に関する。
【0057】
本開示の第4の態様にしたがう装置のいくつかの実施形態では、段鼻ストリップはガラスシート以下のショアーA硬度を有する。
【0058】
本開示の第4の態様にしたがう装置のいくつかの実施形態では、段鼻ストリップは、罫書きホイールがガラスの第1の主表面を段鼻ストリップに対して押すときに段鼻ストリップが実質的に直線形のままでいるように十分に硬質な。受座によって支持される。
【0059】
本開示の第4の態様にしたがう装置のいくつかの実施形態では、段鼻ストリップは、アルミニウム及びその合金、ステンレス鋼及び硬質ゴムから選ばれる材料を含む。
【0060】
本開示の1つ以上の実施形態及び/または態様は以下の利点を有する。第1に、ガラスを第1の主表面から第2の主表面に押すために垂直プッシングバーを用いることにより、吸引カップ吸付き時間及びその変動が短縮及び低減され、この結果、歩留が高い、一層安定で確実な周縁領域切除プロセスが得られる。第2に、垂直プッシングバーで与えられる追加拘束により、プロセス及び装置は上端面から下端面までの反りにそれほど敏感ではなく、したがってフレキシビリティが高いガラスシートのハンドリングが可能である。第3に、プッシングバーの使用により、周縁領域切除中にガラスシートの周縁領域を保持するための吸引カップの必要を完全に排することができ、この結果、吸引カップを用いるプロセス及び装置に比較して、薄いガラス厚において驚くほどのかなり高い歩留を得ることができる。
【0061】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、本明細書の記述及び添付される特許請求の範囲に、また添付図面にも、説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
【0062】
上述の全般的説明及び以下の詳細な説明が本発明の例示に過ぎず、特許請求されるような本発明の本質及び特質の理解への概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。
【0063】
添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。