特許第6054403号(P6054403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054403
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】LED照明装置の照明方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20161219BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161219BHJP
【FI】
   F21S8/08 200
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-534482(P2014-534482)
(86)(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公表番号】特表2014-528635(P2014-528635A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】KR2012008091
(87)【国際公開番号】WO2013051893
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2014年4月4日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0101421
(32)【優先日】2011年10月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク・ヨン・キム
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−108674(JP,A)
【文献】 特表2000−507042(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101551080(CN,A)
【文献】 特開2011−040315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDのそれぞれが配光パターンの分割されたパターンを照明し、
前記複数のLEDのそれぞれから放射される光の、前記複数のLEDを設置した支柱から光軸までの角度である照射角と前記複数のLEDのそれぞれから放射される光の広がり角度である放射角を調節して各分割された配光パターンが相互重畳されないように照明し、
前記配光パターンは、
前記支柱から最も遠い位置に位置する前記分割された配光パターンの面積が最も小さく、前記支柱から最も隣接した位置に位置する前記分割された配光パターンの面積が最も大きく、前記最も大きい面積の前記分割された配光パターンから左右側と前方へ行くほど前記分割された配光パターンの面積は順次減少するように分割されたことを特徴とする照明方法。
【請求項2】
前記配光パターンは、
長方形または正方形に分割されることを特徴とする請求項1に記載の照明方法。
【請求項3】
前記照射角は、前記LEDからより遠い位置に位置する配光パターンを照明するLEDの照射角がより大きくなるように調整することを特徴とする請求項1または2に記載の照明方法。
【請求項4】
前記放射角は、前記LEDからより遠い位置に位置する配光パターンを照明するLEDの放射角がより小さくなるように調整することを特徴とする請求項1または2に記載の照明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED照明装置の照明方法に関し、エネルギーの消費を最少化して道路や室内灯に最適化した照明を提供することができるLED照明装置の照明方法を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、既存の照明装置の問題点である、電力消耗が大きく、寿命が短いので、頻繁な交替をしなければならない点を考慮して、LEDを光源として使用する照明装置の開発が加速化されている。
【0003】
現在、LEDを光源として利用する照明装置は、照明装置の使用目的によって、規定された配光パターンを満足させるために多様な形状または多様な用途のレンズを使用している。
【0004】
例えば、LEDが実装される基板を分割して各基板の設置角度を調整するために、基板が結合されるハウジングの形状を多角に分割した構造を使用するなどの努力をしている。しかしながら、ハウジングの基板形成面を多角に分割した構造を使用する場合、照明装置の厚さが相対的により厚くなり、重量が増加するなどの問題点が発生する。
【0005】
さらに、規定された配光パターンを満足させることができるようにレンズを使用する方法も広く使用されているが、レンズを使用する場合、光損失が発生して規定された照度を合せるためには、相対的に高電力のLEDを使用しなければならない問題点があった。
【0006】
特に、街灯の場合、道路のエッジに一定の間隔をおいて設置されて、一つの街灯が照明すべき道路の面積が広い特徴がある。
【0007】
一般的な街灯の配光パターンは、道路の長さ方向、すなわち、隣接した街灯側の方向がより長い楕円形の配光パターンを有している。また街灯の設置時に、照明する道路の路面で照度が規定されている。
【0008】
上記楕円形の配光パターンを有する街灯は、その街灯と隣接した道路面の照度と最も遠く離れた道路面の照度との間に差が発生するようになる。このように街灯の位置から遠く位置する配光パターンのエッジ部分の照度を道路面の照度規定に符合するようにする場合、その街灯と隣接した配光パターンの中央部分の照度は、規定に比べてより明るくなる。
【0009】
このように明るい照度は、運転手に眩しさを誘発する問題点があり、隣接した他の道路を走行する車両の運転手にも影響を与えることがある。また規定よりも明るい照度の照明をするようになることによって、消費電力が不必要に増加する問題点があった。
【0010】
また、工場などの場合にも、室内面積が広大な空間に照明しようとする場合にも、上記室内のエッジ、例えば、壁面に近接した所に配置された工場などの場合には、壁面に不必要な照明をするようになって、その効率が落ちる短所がある。
【0011】
従来の韓国特許公開第2011−0008522号公報(公開日:2011年1月27日、以下、‘先行技術1’と称する)には、道路を照明する配光パターンを分割してLED照明装置で各分割された領域の隅を照明するようにした発明が公開されている。
【0012】
しかしながら、このような方式は、LEDチップの120度の光放出角で光を放出し、配光パターンの各位置ごとに上記LEDチップとの距離に従う照度の差を考慮しないことであり、従来の問題点である配光パターンの位置に従う照度差を克服できない問題点があった。
【0013】
以下、上述した従来の照明装置の問題点に対して、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、従来の照明装置の照明方法の問題点を説明するための説明図である。
【0015】
図1を参照すると、街灯SL1、SL2は、通常50mの間隔で設置され、理論上、一つの街灯の配光パターンの最大直径は50mである。
【0016】
しかしながら、街灯SL1、SL2の配光パターンLP1、LP2は、それぞれ楕円形であり、光パターンの死角地帯の生成を防止するために、隣接した配光パターンLP1、LP2は、一部が重なるように形成され、したがって、各配光パターンLP1、LP2の最大直径は、50mを超過するようになる。
【0017】
このような重畳によって、道路面の照度は、規定された照度に符合する照度になることができるが、その街灯SL1の光源と隣接した領域B1の照度は、規定を超過してより明るい照度になる。
【0018】
上述したように、このように照度規定を超過した明るい照度の道路面は、運転手に眩しさを誘発するか、相対的に他の領域B2、B3を暗い所であると誤認するなどの問題点と共に、消費電力を過度に使用するようになる問題点があった。
【0019】
図2は、先行技術1の問題点を説明するための図である。
【0020】
図2を参照すると、先行技術1は、曲面である街灯の灯機構部にLEDをマトリックス形状で配置し、照明地域もマトリックス形態に分割して各LEDごとに一つの区画を照明するように構成されている。
【0021】
この時、灯柱から最も遠い位置に位置するLED(LED A)は、その灯柱から最も遠い位置の分割された道路面A1、A2、A3、A4を照明するようになる。
【0022】
しかしながら、その分割された道路面A1、A2、A3、A4においても、灯柱からより遠い位置の道路面A4は、近い道路面A1に比べて距離がより遠いから、照度に差が発生するようになるが、これを考慮しなくてLED(LED A)の列に配列されたLEDをもって道路面A1〜A4を照明するように構成されている。
【0023】
また街灯柱から隣接した道路面B1、B2、B3、B4にも、LED(LED B)を用いて照明し、上の道路面A1〜A4と同一の問題点が発生するようになるとともに、全ての分割された道路面A1〜A4、B1〜B4が全部同一の面積に分割されるので、街灯柱から隣接した道路面B1〜B4と最も遠い道路面A1〜A4にもやはり照度の差が発生するしかない構造である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上記のような問題点を勘案した本発明が解決しようとする技術的課題は、LEDまたはLED群を用いて分割された道路面などの設定面をそれぞれ照明するようにし、上記分割された道路面などの設定面の面積に差をつけて分割された道路面などの設定面に照明をするLEDの照射角と放射角を調節して照明することができるLED照明装置の照明方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記のような課題を解決するための本発明のLED照明装置の照明方法は、複数のLEDのそれぞれが配光パターンの分割されたパターンを照明し、上記LEDのそれぞれから放射される光の照射角と放射角を調節して各分割された配光パターンを照明することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明のLED照明装置の照明方法は、街灯から遠い配光パターンのエッジを照明するLEDは、相対的に大きい照射角と小さい放射角を有するようにし、街灯から近い配光パターンの中央部分とその街灯に隣接した配光パターンのエッジは、相対的に小さい照射角と大きい放射角を有するようにして、それぞれのLEDが照明する道路の面積や室内の面積に差をつけることによって、全体配光パターンの照度の均一性を確保することができるという効果がある。
【0027】
このように配光パターンの照度の均一性を確保することによって、電力消耗をより一層減らし、部分的な照度差により規定に合う照度であるにも係らず、運転手またはユーザに相対的に暗いと判断される道路面や室内面の発生を防止して、安全運転に役立てる効果がある。
【0028】
また、一部で照度が他の部分に比べて強くて眩しさが発生することを防止し、照明地域のみに光を集光させることにより、隣接した他の道路を走行する車両の運転手に影響を与えないようにして、安全運転に役立てる効果がある。
【0029】
また、室内の壁面に近接に位置する工場などのような場合、壁面を除外した残りの照明がより必要な面に光を集光させることにより、照明効率性を高める長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の照明装置の照明方法の問題点を説明するための説明図である。
図2】先行技術1の問題点を説明するための図である。
図3】本発明の望ましい実施形態による照明方法を説明するための図である。
図4】本発明における距離に従う放射角と照射角との関係を説明するための説明図である。
図5】本発明における距離に従う放射角と照射角との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明のLED照明装置及びこれを利用した照明方法に対して添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図3は、本発明の望ましい実施形態による照明方法を説明するための説明図である。
【0033】
図3を参照すると、本発明の望ましい実施形態による照明方法は、複数のLED(L11〜L15、L21〜L25、L31〜L35、L41〜L45、L51〜L55、以下、全体LEDを表記する場合はLxyと記載する)がメトリックス形態で配列された街灯1の配光パターン(LPxy)を上記複数のLED(Lxy)の数と同数で分割して、各LED(Lxy)が分割された配光パターン(LPxy)を照明し、その街灯1から遠い距離の分割された配光パターンの面積が街灯1から近い距離の配光パターンの面積に比べてより小さくなるように分割し、照明する。
【0034】
本実施形態では、メトリックス形態で配列された街灯を一例として説明するが、これに限定されずに、任意配列でなされた照明灯にも適用可能であることは十分に理解可能である。
【0035】
図3では、説明の便宜のために、街灯1のLED(Lxy)の設置面を配光パターン(LPxy)に比べて過度に大きく図示したが、実際に配光パターン(LPxy)に比べて街灯1は非常に小さいものであり、したがって、実際にはLED(Lxy)の光は一点から配光パターン(LPxy)の各分割領域に照射され得る。
【0036】
上記配光パターン(LPxy)は、LED(Lxy)と同数である25個の領域に分割され、図示したように街灯1を中心として左右側及び前方に配光パターン(LPxy)が形成され、説明の便宜上、街灯1の前方側をx方向、側面側をy方向とし、各分割された配光パターン(LPxy、xとyはそれぞれ1〜5の整数)を図示した。
【0037】
街灯1から最も遠い二つの分割された配光パターンLP51、LP55の面積が最も小さく、街灯1から隣接した分割された配光パターンLP13の面積が最も大きく、最も大きい配光パターンLP13から左右側と前方へ行くほど分割された配光パターンの面積は順次減少するように分割される。
【0038】
上記最も面積が小さい分割された配光パターンLP51、LP55を照明する二つのLED L51、L55は、最も遠い距離に光を照明しなければならないので、同一の条件では配光パターン(LPxy)の他の領域に比べて光の道路面に到達する距離の差により照度が低くなる。
【0039】
この時、配光パターンLP51、LP55の面積が最も小さいので、LED(L51、55)の放射角は、他のLED(Lxy、xとyはそれぞれ1〜5であり、xyが51、55は除外)の放射角に比べてより狭く放射して照明することができ、放射角が狭い場合、同一距離を照明する条件で、放射角が広い時に比べてより高い照度を得ることができる。
【0040】
したがって、最も遠い距離に位置する分割された配光パターンLP51、LP55は、放射角を調節して配光パターン(LPxy)の他の領域と同一の照度の照明を提供できるようになる。
【0041】
図4は、本発明における距離に従う放射角と照射角との関係を説明するための説明図である。
【0042】
図4を参照すると、LED(Lxy)のうち、中選択された中央列のLED L13、L23、L33、L43、L53は、それぞれ分割された配光パターンLP13、LP23、LP33、LP43、LP53を照明する。
【0043】
この時、該当列で最も遠い位置の配光パターンLP53を照明するLED L53は、街灯1の支柱からの照射角GA5が他のLED L13〜L43より大きく、LED L53の光放出角度である放射角(RA5)は、他のLED L13〜L43の放射角(RA1〜RA5)に比べて最も小さい角度で光が放射される。
【0044】
したがって、LED L13〜L53から同一の距離だけ離隔された位置での照度は、LED L53の照明光の照度が最も高くなり、反対に最も大きい放射角(RA1)に光を放出するLED(L13)の照度が最も低くなる。
【0045】
このような照度の差は、街灯1から各分割された配光パターンLP13、LP23、LP33、LP43、LP53までの距離差によって、各配光パターンLP13、LP23、LP33、LP43、LP53である道路面での照度は全部均一になる。
【0046】
このために、配光パターンLP13、LP23、LP33、LP43、LP53の面積は、街灯1から遠ざかるほど減少するようになる。
【0047】
これは、各LED L13、L23、L33、L43、L53の放射角RA1〜RA5に従う面積の差ということができる。
【0048】
上述したように、図4は説明の便宜のためにLED L13、L23、L33、LP3、LP3が設置される面を過度に大きく示したもので、実質的には一つの点から各LED L13、L23、L33、L43、L53が光を配光パターンLP13、LP23、LP33、LP43、LP53にそれぞれ照射することと同一であり、この時の概念を図5に図示した。
【0049】
図5で、街灯1の高さ(H)と配光パターンLP13、LP23、LP33、LP43、LP53の総幅(W)は、道路の設計上、固定の値であり、各LED L13、L23、L33、L43、L53の照射角度GA1〜GA5及び放射角度RA1〜RA5を調節して各LED L13、L23、L33、L43、L53の光が重畳されないながらも均一の照度の照明が可能になる。
【0050】
このように本発明は、LEDの照射角だけでなく、各LEDの放射角を調節して配光パターンの全体を均一の照度で照明できるようになる。
【0051】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内で多様に修正、変形されて実施できることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者において自明なものである。
【符号の説明】
【0052】
A1〜A4、B1〜B4 道路面
GA1〜GA5 照射角度
LPxy 配光パターン
RA1〜RA5 放射角度
SL1、SL2 街灯
SL1、SL2 配光パターン
W 総幅
図1
図2
図3
図4
図5