(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸収性構造体の前記1つまたは2つ以上の部分のうちの1つが、前記物品の前記前側部分の中心を中心とし、並びに/あるいは前記吸収性構造体の前記1つまたは2つ以上の部分のうちの1つは、前記物品の前記股点を中心とする、請求項1に記載の吸収性物品。
前記吸収性物品が、トップシート及びバックシートを更に備え、前記吸収性コアが、前記トップシートと前記バックシートとの間に挟まれている、請求項1または2に記載の吸収性物品。
前記吸収性構造体の前記1つまたは2つ以上の部分の20分における吸収(U20)が、前記K(t)試験方法に従って測定するとき、少なくとも24g/gである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収性コアが第1基材層を含み、前記超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が前記第1基材層上に配置され、前記熱可塑性接着剤材料が前記超吸収性ポリマー粒子を固定する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収性コアが第2基材層を更に含み、前記超吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部が前記第2基材層上に配置され、前記熱可塑性接着剤材料が前記超吸収性ポリマー粒子を固定しており、前記第1基材層の前記熱可塑性接着剤材料の少なくとも一部が前記第2基材層の前記熱可塑性接着剤材料の少なくとも一部と接触するように、前記第1及び第2基材層が互いに組み合わされる、請求項8に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において「吸収性物品」とは、身体排出物を吸収して封じ込める装置を指して使用され、より具体的には、着用者の身体に当てて又は近接して配置され、身体から排出される様々な排出物を吸収して封じ込める装置を指す。吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁下着、女性用衛生用品などが挙げられる。本明細書で使用するところの「体液」又は「身体排出物」なる用語には、これらに限定されるものではないが、尿、血液、膣排泄物、母乳、汗及び糞便が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、吸収性物品は、おむつ又はトレーニングパンツである。
【0012】
本明細書において「吸収性コア」とは、吸収性物品によって受容される液体を吸収して封じ込めるために、吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置される構造体を指して使用される。このコアは超吸収性ポリマー粒子を含む。このコアは、1つ以上の基材層と、1つ以上の基材層上に配置される超吸収性ポリマー粒子と、超吸収性ポリマー粒子上に典型的に配置される熱可塑性組成物とを含み得る。典型的には、熱可塑性組成物は、熱可塑性接着剤材料である。熱可塑性接着剤材料は、1つ以上の基材層上の超吸収性ポリマー粒子と少なくとも部分的に接触して、1つ以上の基材層と部分的に接触している、繊維性層を形成する場合がある。超吸収性ポリマー粒子及び/又は熱可塑性接着剤材料のそれぞれの基材層への接着を高めるために、超吸収性ポリマー粒子を適用する前に、1つ以上の基材層上に補助接着剤が配置される場合がある。吸収性コアは、超吸収性ポリマー粒子が1つ以上の基材層と1つ以上のカバー層との間に配置されるように、1つ以上のカバー層も含むことができる。1つ以上の基材層及びカバー層は、不織布、ティッシュ若しくはフィルム、又はこれらの組み合わせを含んでもよく、あるいは不織布、ティッシュ若しくはフィルム、又はこれらの組み合わせで構成されてもよい。吸収性コアは、臭気制御化合物を更に含むことができる。
【0013】
吸収性コアは、1つ以上の基材層、超吸収性ポリマー粒子、熱可塑性組成物、必要に応じて補助接着剤、必要に応じてカバー層、及び必要に応じて臭気制御化合物から本質的になってもよい。
【0014】
吸収性コアは超吸収性ポリマー粒子を含んでもよく、これは2つの層、すなわち上層と下層との間に挟まれ、上層の上及び下層の下には超吸収性ポリマー粒子を有さない。上層は、物品のトップシートに最も近い吸収性コアの基材層又はカバー層に対応し、下層は、吸収性物品のバックシートに最も近い吸収性コアの基材層又はカバー層に対応する。あるいは、上層がない場合は、吸収性コアは、トップシートと下層との間に配置される構造体に対応する場合があり、又は下層がない場合は、吸収性コアは、上層とバックシートとの間に配置される構造体に対応する場合がある。上層及び下層がない場合は、吸収性コアは、吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置される構造体全体に対応する場合がある。基材層及びカバー層は、不織布、ティッシュ若しくはフィルム、又はこれらの組み合わせを含んでもよく、あるいは不織布、ティッシュ若しくはフィルム、又はこれらの組み合わせで構成されてもよい。
【0015】
本明細書で使用されるとき「吸収性構造体」は以下の構造体のうちの1つを指す:
a.吸収性物品の吸収性コアが、2つの層、すなわち上層と下層との間に挟まれた超吸収性ポリマー粒子を含み、上層の上及び下層の下には超吸収性ポリマー粒子を有さない場合、吸収性物品の吸収性コア。上層は、物品のトップシートに最も近い吸収性コアの基材層又はカバー層に対応し、下層は、吸収性物品のバックシートに最も近い吸収性コアの基材層又はカバー層に対応する。
b.吸収性コアが上層を含まない場合、吸収性物品のトップシートと組み合わされた吸収性物品の吸収性コア。
c.先に記載されたように、吸収性コアが下層を含まない場合、吸収性物品のバックシートと組み合わされた吸収性物品の吸収性コア。
【0016】
本明細書で使用するとき、「吸収性構造体の一部」は、吸収性構造体の厚さを通る、吸収性構造体の一部を指し、すなわち、対応する部分において、吸収性構造体が作製されている様々な層の全てを含む吸収性構造体の一部を指す。
【0017】
本明細書において「前側部分」及び「後側部分」とは、吸収性物品の前側及び後側腰部区域を指して使用される。前側部分及び後側部分の両方の長さは、それぞれの前側及び後側腰部縁部を始点として物品の全長の3分の1である。前側及び/又は後側腰部縁部が吸収性物品の横断方向中心線に平行に延びる直線として構成されない実施形態では、吸収性物品の長さは、長手方向中心線上で測定されるか、又は横断方向中心線に最も近い前側腰部縁部の箇所を始点とし、横断方向中心線に最も近い後側腰部縁部の箇所を終点として、長手方向中心線に平行に測定される。
【0018】
本明細書において「股部分」とは、物品の前側部分と後側部分との間で物品の中心に位置付けられる物品の領域を指して使用される。股部分の長さは、物品の全長の3分の1である。
【0019】
本明細書において「股点」とは、物品の長手方向中心線と横断方向中心線の交点で吸収性物品の中心に位置付けられる物品の箇所を指して使用される。本発明では、物品の股点は、特に吸収性コアが物品の横断方向中心線を中心としない場合、即ち吸収性コアが物品の前側及び/又は後側にずれている場合、必ずしも吸収性コアの中心、即ち吸収性コアの長手方向中心線と横断方向中心線の交点に位置付けられないことが理解されるべきである。
【0020】
本明細書で使用するとき、「前側部分の中心」は、物品の長手方向の中心線と、物品の横断方向中心線に平行であり、かつ吸収性物品の長さ全体の1/3の横断方向中心線から所定の距離に配置されている線との交点に配置されている、吸収性物品の点を指す。前側及び/又は後側腰部縁部が吸収性物品の横断方向中心線に平行に延びる直線として構成されない実施形態では、吸収性物品の長さは、長手方向中心線上で測定されるか、又は横断方向中心線に最も近い前側腰部縁部の箇所を始点とし、横断方向中心線に最も近い後側腰部縁部の箇所を終点として、長手方向中心線に平行に測定される。
【0021】
「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、及び「備える(comprises)」は非限定的な用語であり、これはまた、限定的な用語「からなる(consist of)」、「からなる(consisting of)」、又は「からなる(consists of)」も包含する。
【0022】
本明細書において「エアフェルト」とは、セルロース繊維の一形態である粉砕木材パルプのことを指して使用される。
【0023】
本明細書において「超吸収性ポリマー粒子」とは、遠心分離保持容量試験(EDANA WSP 241.2−05)を使用して測定したときに、0.9%食塩水溶液をその重量の少なくとも10倍吸収可能な架橋された高分子材料を指して使用される。超吸収性ポリマー粒子は、乾燥状態で流動可能であるように微粒子の形態を有する。本発明の好ましい超吸収性ポリマー粒子は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーから製造される。しかし、例えば、デンプン系の超吸収性ポリマー粒子も本発明の範囲内である。
【0024】
本明細書において「熱可塑性接着剤材料」とは、繊維を形成可能であり、乾燥及び湿潤状態の両方で超吸収性ポリマー粒子を固定する目的で超吸収性ポリマー粒子に添加される、ポリマー組成物を指して使用される。本発明の熱可塑性接着剤材料は、好ましくは超吸収性ポリマー粒子の上に繊維網を形成する。
【0025】
本明細書において「不織布」とは、一方向に又は不規則に配向され、摩擦、及び/又は粘着、及び/又は接着により固着された繊維の、人造シート、ウェブ、又はバットを指して使用されるが、紙と、縫うかどうかを問わず、織られた、編まれた、房状の、糸若しくはフィラメントの結合を組み込んでステッチボンドされた、又は湿式ミリングによるフェルト加工された製品と、を除く。繊維は、天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、短繊維若しくは連続フィラメントであっても、又はその場で形成されたものであってもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満〜約0.2mmを上回る範囲の直径を有し、幾つかの異なる形態、すなわち、短繊維(ステープル又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、撚り合わせていない連続フィラメントの束(タウ糸)、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)として提供されている。不織布繊維は、メルトブロー法、スパンボンド法、溶剤紡糸法、静電紡糸法、及びカード法等、多くのプロセスによって形成することができる。不織布繊維の坪量は、通常、一平方メートル当たりのグラム(gsm)で表される。
【0026】
本明細書において「取り付けられた」とは、第2の要素に直接付着させることによって第1の要素が別の要素に直接的に固定される構成、又は第1の要素を第3の中間部材(複数を含む)に付着させることによって第1の要素が第2の要素に間接的に固定され、次いで、第3の中間部材(複数を含む)が第2の要素に付着する構成を指して使用される。取り付け手段は、接着結合、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野において既知の他のいかなる好適な取り付け手段、若しくはこれら取り付け手段の組み合わせを含んでもよい。
【0027】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による吸収性物品10の平面図である。吸収性物品10は、その広げられた非収縮(弾性による収縮がない)状態で示され、吸収性物品10の一部は、おむつ10の下層構造をより明瞭に示すために、切り取られている。着用者に接触する吸収性物品10の部分は、
図1において観察者に向いている。吸収性物品10は、一般に、シャーシ12と、シャーシ12内に配置される吸収性コア14とを備える。
【0028】
図1の吸収性物品10のシャーシ12は、吸収性物品10の本体を構成してもよい。シャーシ12は、液体透過性であり得るトップシート18、及び/又は液体不透過性であり得るバックシート20を包含する外側カバー16を含んでもよい。吸収性コア14は、トップシート18とバックシート20との間に包まれていることもある。シャーシ12は、サイドパネル22、弾性レッグカフ24、及び弾性ウエスト機構26を更に含んでもよい。
【0029】
レッグカフ24及び弾性ウエスト機構26はそれぞれ、通常、弾性部材28を含んでもよい。吸収性物品10の一方の終端部は、前側部分30として構成され、もう一方の終端部は、吸収性物品10の後側部分32として構成される。吸収性物品10の中間部分は、前側部分30と後側部分32との間で長手方向に延びる股部分34として構成される。
【0030】
吸収性物品10は、その長手方向中心線36とその横断方向中心線38と共に
図1に示される。吸収性物品10の周囲40は、吸収性物品10の外縁により画定され、長手方向縁部42は、吸収性物品10の長手方向中心線36に概ね平行に延び、前側腰部縁部43及び後側腰部縁部44は、吸収性物品10の横断方向中心線38に概ね平行に長手方向縁部42の間を延びる。シャーシ12はまた、締結システムも備えてもよく、これは少なくとも1つの締結部材46及び少なくとも1つのランディング領域48を含んでもよい。
【0031】
また、当該技術分野において既知のその他の機構(前及び後耳パネル、ウエストキャップ機構、伸縮材などを包含する)を吸収性物品10に搭載して、フィット感、密閉力、美的特性を向上させることが可能である。このような更なる機構は当該技術分野では周知のものであり、例えば米国特許第3,860,003号及び同第5,151,092号に述べられている。
【0032】
吸収性物品10を着用者の周りの所定位置に保持するために、前側部分30の少なくとも一部は、締着部材46によって後側部分32の少なくとも一部に取り付けられて、脚部開口部(単数又は複数)及び物品の腰部を形成することが可能である。締結するとき、締結システムが物品の腰部周辺の引張荷重を支える。締結システムにより、物品のユーザーは、締結システムの1要素、例えば締着部材46を保持し、少なくとも2箇所で前側部分30を後側部分32に連結させることができる。これは、締結装置の要素間の結合強度を操作することによって実現することができる。
【0033】
特定の実施形態によれば、吸収性物品10は再閉鎖可能な締結システムを備えてもよく、あるいはパンツ型のおむつの形態で提供されてもよい。吸収性物品がおむつである場合、吸収性物品は、おむつを着用者に固定するためにシャーシに接合された再閉鎖可能な締結システムを含んでもよい。吸収性物品がパンツ型おむつである場合、物品は、互いに接合された少なくとも2つのサイドパネルを含み、パンツを形成することが可能である。
【0034】
吸収性構造体
吸収性構造体は、超吸収性ポリマー粒子を含む。
【0035】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分は、吸収性構造体の一部の重量(吸収性構造体の一部に含まれ得るいずれかの基材層及び/若しくはカバー層、並びに/又はトップシート及び/又はバックシートの重量は除く)に基づいて、少なくとも90重量%の超吸収性ポリマー粒子を含む。1つ以上の基材層及びカバー層は、不織布、ティッシュ若しくはフィルム、又はこれらの組み合わせを含んでもよく、あるいは不織布、ティッシュ若しくはフィルム、又はこれらの組み合わせで構成されてもよい。
【0036】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分のうちの1つは、物品の前側部分の中心を中心としてもよく、並びに/あるいは吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分のうちの1つは、物品の股点を中心としてもよい。
【0037】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分のうちの少なくとも1つは、30cm
2以上の表面積を有してもよい。あるいは、1つ又は2つ以上の部分のそれぞれは、30cm
2以上の表面積を有してもよい。
【0038】
30cm
2以上の表面積を有する吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分のうちの少なくとも1つは、円形領域を包囲してもよい。あるいは、30cm
2以上の表面積を有する吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分のそれぞれは、円形領域を包囲してもよい。
【0039】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分は、少なくとも95重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。
【0040】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分は、少なくとも98重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。
【0041】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分は、少なくとも99重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。
【0042】
吸収性構造体全体は、少なくとも90重量%の、好ましくは少なくとも95重量%の、より好ましくは少なくとも98重量%の、更により好ましくは少なくとも99重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。
【0043】
超吸収性ポリマー粒子を高い割合で含む吸収性物品は、超吸収性ポリマー粒子に加えてエアフェルトなどの従来の吸収性材料をより大量に有する従来の吸収性物品の厚みに比べて、乾燥状態のときに典型的に軽減された厚みを有するため、これらの実施形態は特に好ましい。軽減された厚みは、物品が着用者に配置されるとき、フィット感及び快適さを向上させるのに役立つ。
【0044】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分は、以下に提示するK(t)試験方法に従って測定するとき、440秒未満の、又は400秒未満の、又は350秒未満の、又は300秒未満の、又は250秒未満の20g/gの吸収達成時間(T20)を要する。
【0045】
20g/gの吸収達成時間(T20)は、以下に提示するK(t)試験方法に従って測定するとき、50〜440秒、又は100〜350秒、又は150〜300秒であり得る。
【0046】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分は、K(t)試験方法に従って測定するとき、少なくとも2.9・10
−8cm
2の20分の有孔透過率(K20)を有し得る。
【0047】
吸収性構造体は、以下に提示するK(t)試験方法に従って測定するとき、少なくとも2.95・10
−8cm
2の、又は少なくとも3・10
−8cm
2の、又は2.95・10
−8cm
2〜1.0・10
−6cm
2の、又は2.95・10
−8cm
2〜1.0・10
−7cm
2の、又は3.0・10
−8〜1.0・10
−7cm
2の20分の有効透過率(K20)を有してもよい。
【0048】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分は、以下に提示するK(t)試験方法に従って測定するとき、0.75を超える、又は0.8を超える、又は0.9を超える、最小有効透過率と20分での透過率との比(Kmin/K20比)を有し得る。このような実施形態では、一時的ゲルブロッキングは最小限であり、液体排出物は、全ての膨潤過程にわたって、特に初期噴出で最も重要な膨潤段階の初期部分で、粒子間に存在する空隙を通って素早く移動できる。
【0049】
吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分の20分での吸収(U20)は、以下に提示するK(t)試験方法に従って測定するとき、少なくとも24g/g、又は少なくとも24.5g/g、又は24g/g〜60g/g、又は24.5g/g〜50g/g、又は24.5g/g〜40g/gである。
【0050】
いくつかの実施形態では、前文で言及したT20、K20及びU20の値を満たす。
【0051】
このような吸収性構造体を備える吸収性物品は、先行技術の吸収性物品に比べて、特に初期噴出において、改善された吸収特性を有し、したがって漏れの軽減を呈する。かかる吸収性構造体は、吸収性物品における使用に特に好適である。
【0052】
吸収性コア
いくつかの実施形態では、吸収性コアは、50〜2200g/m
2、又は100〜1500g/m
2、又は200〜1000g/m
2の超吸収性ポリマー粒子の面積当たりの平均量を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、吸収性コアは、物品の股部分において100〜1500g/m
2、又は150〜1000g/m
2、又は200〜900g/m
2、又は400〜700g/m
2の超吸収性ポリマー粒子の面積当たりの平均量を含む。吸収性物品は、着用者にフィット感及び快適さを提供するのに十分薄いことに加えて、良好な吸収特性を有するのに十分な量の超吸収性ポリマー粒子を含む。ただし、超吸収性ポリマー粒子は、前側及び後側部分にも存在するが、特に後側部分では量が少ないことがある(又は無いこともある)。いくつかの実施形態では、吸収性コアは、物品の後側部分において300g/m
2未満、又は200g/m
2未満、あるいは25〜300g/m
2、又は50〜200g/m
2、又は50〜100g/m
2の超吸収性ポリマー粒子の表面積当たりの平均量を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、吸収性コアは、超吸収性ポリマー粒子以外の少量の吸収性材料(例えば、エアフェルト)を更に含んでもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、吸収性コアは典型的には、5重量%未満、好ましくは2%未満のエアフェルトを含み、より好ましくはエアフェルトを含まない。いくつかの実施形態では、吸収性構造体はエアフェルトを含まない場合もある。
【0056】
吸収性コアは、以下に提示する試験方法に従って測定するとき、物品の股点で、10mm未満、好ましくは5mm未満、より好ましくは3mm未満、更に好ましくは1.5mm未満、あるいは0.1〜10mm、好ましくは0.2〜5mm、より好ましくは0.3〜3mm、更に好ましくは0.5〜1.5mmの乾燥厚みを有する。したがって、吸収性コアは、従来のエアフェルト含有吸収性コアに比べて十分に薄い。その結果、フィット感及び快適さが実質的に改善される。
【0057】
超吸収性ポリマー粒子
本発明に有用な超吸収性ポリマー粒子は、様々な形状であってよい。「粒子」という用語は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態のことを指す。いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、繊維の形状、即ち細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であってもよい。こうした実施形態において、超吸収性ポリマー粒子繊維は、約1mm未満、通常、約500μm未満、あるいは好ましくは250μm未満から50μmまでの小さい寸法(即ち、繊維の直径)を有する。繊維の長さは、好ましくは約3mm〜約100mmである。繊維はまた、織ることのできる長いフィラメントの形態であってもよい。
【0058】
あるいは、いくつかの好ましい実施形態では、本発明の超吸収性ポリマー粒子は、球状粒子である。本発明によれば、繊維とは対照的に、「球状粒子」は、微粒子の最長粒径対最短粒径の比が1〜5の範囲内である、最長及び最短の寸法を有し、値1は完全な球形粒子と等しく、値5は、そのような球形粒子から幾分か逸脱し得る。このような実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、EDANA法WSP 220.2−05に従って測定するとき、850μm未満、又は50〜850μm、好ましくは100〜500μm、より好ましくは150〜300μmの粒径を有してもよい。比較的小さな粒径を有する超吸収性ポリマー粒子は、液体排出物と接触する吸収性材料の表面積の増加に役立ち、したがって液体排出物の素早い吸収を助ける。
【0059】
本発明で有用な超吸収性ポリマー粒子としては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収できる様々な水膨潤性ポリマーが挙げられる。このようなポリマー材料は、一般に当該技術分野において既知である。
【0060】
好適な超吸収性ポリマー粒子は、例えば、米国特許第4,340,706号及び同第5,849,816号に記載されるような逆相懸濁重合、又は米国特許出願公開第2009/0192035号、同第2009/0258994号、及び同第2010/0068520号に記載されるような噴霧液相分散重合又は他の気相分散重合から得ることができる。いくつかの実施形態では、好適な超吸収性ポリマー粒子は、国際公開第2006/083584号の12頁23行目〜20頁27行目により詳細に記載されるような現況技術の製造工程によって得ることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子の表面は、コーティングされてもよい。このような実施形態では、コーティングにより表面が粘着性になり、超吸収性ポリマー粒子は湿潤時に容易に転位できない(よって空隙をふさぐことがない)。
【0062】
いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、カチオン性ポリマーでコーティングされてもよい。好ましいカチオン性ポリマーは、体液中、特に尿中に含まれる少なくとも1つの成分と反応する、ポリアミン又はポリイミン材料を含み得る。好ましいポリアミン材料は、(1)第1級アミン基を有するポリマー(例えば、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン)、(2)第2級アミン基を有するポリマー(例えば、ポリエチレンイミン)、及び(3)第3級アミン基を有するポリマー(例えば、ポリN,N−ジメチルアルキルアミン)からなる群から選択することができる。
【0063】
カチオン性ポリマーの実際例は、例えば、ポリエチレンイミン、水に溶ける範囲でエピハロヒドリンにより架橋された変性ポリエチレンイミン、ポリアミン、エチレンイミンのグラフトによる変性ポリアミドアミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルアミン、ポリアルキルアミン、ポリアミドポリアミン、及びポリアリルアミンである。
【0064】
好ましい実施形態では、カチオン性ポリマーは、少なくとも500、より好ましくは5,000、最も好ましくは10,000以上の重量平均分子量を有する。500を超える又はそれより大きい重量平均分子量を有するカチオン性ポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分析で単一の最大値(ピーク)を示すポリマーに限定されず、500以上の重量平均分子量を有するカチオン性ポリマーは、複数の最大値(ピーク)を示しても使用され得る。
【0065】
カチオン性ポリマーの好ましい量は、超吸収性ポリマー粒子100重量部に対し、約0.05〜20重量部、より好ましくは約0.3〜10重量部、最も好ましくは約0.5〜5重量部の範囲である。
【0066】
いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、米国特許第7,537,832(B2)号に開示されるものなどのキトサン材料でコーティングされてもよい。
【0067】
いくつかの他の実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、国際公開第99/34841号及び同第99/34842号に開示されるものなどの混合床イオン交換吸収性ポリマーを含むことができる。
【0068】
既に上述したように、高SFC値及び高FSR値を有する超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体は、特に初期噴出において、即ち乾燥した超吸収性ポリマー粒子が最初に液体と接触するときに、自動的に液体排出物の短い捕捉時間をもたらさない。理論に束縛されるものではないが、乾燥した超吸収性ポリマー粒子への水の拡散率は、湿潤した超吸収性ポリマー粒子への水の拡散率より低いため、乾燥した超吸収性ポリマー粒子は典型的に、湿潤した超吸収性ポリマー粒子より水を吸収しにくい。
【0069】
これまで、超吸収性ポリマー粒子を含む乾燥した吸収性構造体の初期吸収に関する吸収特性はまだ調査されてこなかった。むしろ、平衡状態で測定され、したがって初期の液体吸収からかけ離れた段階で測定される、超吸収性ポリマー粒子の塩水流伝導度(SFC)に重点が置かれてきた。超吸収性ポリマー粒子に加えて相当量のエアフェルトを含む吸収性構造体では、吸収性コアに入る液体の一時的な貯蔵がエアフェルトにより提供され、超吸収性ポリマー粒子は多少遅れて周囲のエアフェルトから液体を吸収することができる。しかしながら、先行技術で開示されるエアフェルトを含まない吸収性物品でさえも、超吸収性ポリマー粒子の透過率は常に平衡状態で測定されており、したがって液体への初期曝露時の乾燥した超吸収性ポリマー粒子の挙動は考慮されていない。本発明の発明者らは、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体の、液体への初期曝露時の挙動を慎重に調査した。発明者らは、超吸収性ポリマー粒子を含み、かつエアフェルトを全く又は極少量しか含まない、まだ公的に入手不可能だったある吸収性構造体が優れた性能を示すことを発見した。優れた性能は、改善された液体捕捉をもたらし、したがって漏れのリスクが軽減された。超吸収性ポリマー粒子を含む乾燥した吸収性構造体が、封圧に逆らって吸収する場合、一定の液体吸収に達するのにかかる時間に関して、超吸収性ポリマー粒子を含む優れた吸収性構造体を説明できるということが分かっている。これにより、更なる広範な調査及び試験を行う必要なしに、これらの新規開発された吸収性構造体を意図的かつ容易に選択できるようになった。
【0070】
いくつかの実施形態では、吸収性構造体は、50を超える、好ましくは60を超える、又は50〜500、又は55〜200、又は60〜150UPM単位の、UPM(尿透過率測定)値として表される平衡状態での透過率を有し、1UPM単位は、1×10
−7(cm
3.秒)/gである。
【0071】
UPM値は、下記に提示するUPM試験方法に従って測定される。この方法は、先行技術によるSFC試験方法と密接に関連している。UPM試験方法は、典型的には、超吸収性ポリマー粒子の予備膨潤層の流動抵抗を測定し、即ち、流動抵抗は平衡にて測定される。したがって、高UPM値を有するそれらの超吸収性ポリマー粒子は、吸収性物品の有意な容積が、液体排出物によって既に濡れている場合、高い透過率を有する。かかる超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体は、初期噴出のみでなく、続く噴出においても良好な吸収特性を有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、吸収性構造体は、0.1g/g/sを超える、又は0.1〜2g/g/s、又は0.3〜1g/g/s、又は0.3〜0.6g/g/s、又は0.4〜0.6g/g/sのFSR(自由膨潤率)を有する超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。
【0073】
超吸収性ポリマー粒子の自由膨潤率は、以下に提示するFSR試験方法に従って測定される。高い自由膨潤率値を有する超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体は、封圧がない状態では液体を素早く吸収できるであろう。K(t)試験方法とは逆に、自由膨潤率の測定にはゲルベッドに外圧を加えない。非常に低いFSR値を有する超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体は、本発明のK(t)試験方法に従って測定するとき、20g/gの吸収を達成するのに440秒未満を要することはなく、したがって液体排出物を必要な速さで吸収できないであろう。しかしながら、上述したように、高FSR値を有する超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体は、K(t)試験方法に従って測定するとき、自動的に高い吸収値をもたらさない。
【0074】
いくつかの実施形態では、吸収性構造体は、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定するとき、20g/gを超える、又は24g/gを超える、又は20〜50g/g、又は20〜40g/g、又は24〜30g/gのCRC(遠心分離保持容量)値を有する超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。
【0075】
高CRC値を有する超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体は、液体吸収のために必要とされる容量全体を促進するために、より少量の超吸収性ポリマー粒子を必要とするので望ましい。
【0076】
いくつかの実施形態では、吸収性物品は、以下に提示する平坦捕捉試験方法に従って測定するとき、初期噴出の捕捉時間が30秒未満、好ましくは27秒未満を有し得る。この捕捉時間は、体重が8〜13kg±20%の範囲を有する着用者用に設計されている幼児用おむつ(例えば、Pampers Active Fitのサイズ4若しくは他のPampers幼児用おむつのサイズ4、Huggies幼児用おむつのサイズ4、又は大半の他の商標名の幼児用おむつのサイズ4)で測定される。K(t)試験方法に従って測定するとき、超吸収性ポリマー粒子を含み、かつ20g/gの吸収を達成するのに440秒未満を要する吸収性構造体を含む吸収性物品は、本出願の実施例の項に示すように、先行技術の吸収性物品と比べて、特に初期噴出でより速い捕捉時間をもたらし、したがって漏れを軽減することができる。
【0077】
吸収性コアの構造
以下に、本発明の吸収性コアの実施例を示す。ただし、本発明は、このような吸収性コアに限定されない。
【0078】
いくつかの実施形態では、吸収性コア14は、
図3及び4に図示したように、吸収層60を含む。吸収層60の基材層64は、ダスティング層と呼ばれることがあり、おむつ10のバックシート20に面する第1表面78と、超吸収性ポリマー粒子66に面する第2表面80とを有する。いくつかの実施形態によると、基材層64は、不織布材料、例えば外層としてスパンボンド層と、スパンボンド層の間に1つ以上のメルトブローン層とを有する多層の不織布材料であり、これにはスパンボンド層と、メルトブローン層と、更なるスパンボンド層とを含むSMS材料が挙げられるが、これらに限定されない。吸収層60は、
図4に図示したようなカバー層70を含んでもよい。カバー層70は、不織布材料、例えば、外層としてスパンボンド層と、スパンボンド層の間に1つ以上のメルトブローン層とを有する多層の不織布材料であってもよく、これにはスパンボンド層と、メルトブローン層と、更なるスパンボンド層とを含むSMS材料が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、基材層64及びカバー層70は、同じ材料で製造される。
【0079】
図3及び4に図示したように、超吸収性ポリマー粒子66は、ランド領域94とランド領域94間の接合領域96とで構成される粒子の群90として基材層64上に配置され得る。本明細書で定義されたように、ランド領域94は、熱可塑性接着剤材料が不織布基材又は補助接着剤と直接的に接触しない領域であり、接合領域96は、熱可塑性接着剤材料が不織布基材又は補助接着剤と直接的に接触する領域である。接合領域96は、超吸収性ポリマー粒子66をほとんど又は全く含まない。ランド領域94及び接合領域96は、様々な形状を有することができ、それには円形、楕円形、正方形、長方形、三角形などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
その結果、熱可塑性接着剤材料68は、空洞を提供して超吸収性ポリマー粒子66を保持することにより、この材料を固定する。別の態様では、熱可塑性接着剤材料68は、基材層64に結合し、したがって超吸収性ポリマー粒子66を基材層64に固着する。いくつかの他の実施形態では、熱可塑性接着剤材料68は、更に超吸収性ポリマー粒子66及び基材層64の両方に少なくとも部分的に入り込み、したがって更なる固定及び固着をもたらすであろう。
【0081】
いくつかの他の実施形態では、吸収性コア14は、第1吸収層60及び第2吸収層62の2つの吸収層を含んでもよい。
図5A及び5Bに最もよく示されるように、吸収性コア14の第1吸収層60は、基材層64と、基材層64上の超吸収性ポリマー粒子66と、超吸収性ポリマー粒子66上の熱可塑性接着剤材料68とを含む。図示しないが、第1吸収層60もまた、
図4に図示したカバー層70のようなカバー層を含んでもよい。
【0082】
同様に、
図5A及び5Bに最もよく示されるように、吸収性コア14の第2吸収層62も、基材層72と、第2基材層72上の超吸収性ポリマー粒子74と、超吸収性ポリマー粒子74上の熱可塑性接着剤材料76とを含んでもよい。図示しないが、第2吸収層62もまた、
図4に図示したカバー層70のようなカバー層を含んでもよい。上述したように、第1吸収層60の基材層64は、ダスティング層と呼ばれることがあり、おむつ10のバックシート20に面する第1表面78と、超吸収性ポリマー粒子66に面する第2表面80とを有する。同様に、第2吸収層62の基材層72は、コアカバーと呼ばれることがあり、おむつ10のトップシート18に面する第1表面82と、超吸収性ポリマー粒子74に面する第2表面84とを有する。第1基材層64及び第2基材層72は、外周の周辺部で接着剤により互いに付着して、超吸収性ポリマー粒子66及び74を吸収性コア14内に保持するための包みを、超吸収性ポリマー粒子66及び74の周りに形成してもよい。
【0083】
超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コア14の領域は、吸収性コア14、及び吸収性コア14を組み込むことができる特定の吸収性物品10の所望の用途に応じて異なり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子の領域は、吸収性コア14のほぼ全体にわたって延びている。いくつかの別の実施形態では、超吸収性ポリマー粒子の領域は、吸収性物品10の股部分34では吸収性コア14の全体にわたって延びており、一方で超吸収性ポリマー粒子の領域は、吸収性物品10の前側部分及び後側部分では吸収性コア14の全体にわたって延びていない。
【0084】
第1吸収層60及び第2吸収層62は、互いに組み合わされて吸収性コア14を形成してもよく、その結果、
図5A及び5Bに図示したように、基材層64上の超吸収性ポリマー粒子66と基材層72上の超吸収性ポリマー粒子74が超吸収性ポリマー粒子の領域にわたってほぼ連続して分布されるように、層をずらすことができる。いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子66及び74は、群90になって第1基材層64及び第2基材層72にわたって不連続で分布されるにもかかわらず、超吸収性ポリマー粒子66及び74は、超吸収性ポリマー粒子の領域にわたってほぼ連続して分布される。いくつかの実施形態では、
図5A及び5Bに図示したように、第1吸収層60のランド領域94が第2吸収層62の接合領域96に面し、第2吸収層62のランド領域が第1吸収層60の接合領域96に面するように、吸収層をずらすことができる。ランド領域94及び接合領域96の寸法を適切に調整して配置するとき、得られる超吸収性ポリマー粒子66及び74の組み合わせは、
図5Aに示したように、吸収性コア14の超吸収性ポリマー粒子の領域にわたって超吸収性ポリマー粒子のほぼ連続した層である(即ち、第1基材層64及び第2基材層72は、複数のポケットを形成せず、間に超吸収性ポリマー粒子66及び74の群90をそれぞれ収容する)。
【0085】
超吸収性ポリマー粒子の量は、コアの長さに沿って異なっていても又は異なっていなくてもよく、典型的にコアはその長手方向で分布が測定される。おむつなどの多くの吸収性物品において、主としておむつの前半分において液体の排出が生じることが分かっている。したがって、吸収性コア14の前側半分は、コアの吸収能力の大部分を含むべきである。このため、特定の実施形態によれば、前述の吸収性コア14の前半分が、超吸収性ポリマー粒子の約60%よりも多く、又は超吸収性ポリマー粒子の約65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%よりも多くを含むことができる。
【0086】
典型的に熱可塑性接着剤材料は、乾燥及び湿潤状態の両方で超吸収性ポリマー粒子を少なくとも部分的に固定するのに役立つことができる。熱可塑性接着剤材料は、超吸収性ポリマー粒子の間に本質的に均一に配置されてもよい。ただし、典型的に熱可塑性接着剤材料は、超吸収性ポリマー粒子と少なくとも部分的に接触し、基材層と部分的に接触する、繊維性層として提供されてもよい。典型的には、本発明の熱可塑性接着剤材料は、超吸収性ポリマー粒子の上に繊維網を形成する。典型的には、例えば
図5A及び5Bに図示したように、超吸収性ポリマー粒子66及び74は、不連続層として提供され、繊維性熱可塑性接着剤材料68及び76の層は、超吸収性ポリマー粒子66及び74の層の上に被せられ、その結果、熱可塑性接着剤材料68及び76は、超吸収性ポリマー粒子66及び74と直接接触するが、基材層64及び72の第2表面80及び84とも直接接触し、そこでは基材層は、超吸収性ポリマー粒子66及び74によって覆われていない。このことは、それ自体が本質的に長さ方向及び幅方向の寸法に比べて比較的小さい厚さの二次元構造体である熱可塑性接着剤材料68及び76の繊維性層に、本質的に三次元の構造を付与する。換言すれば、熱可塑性接着剤材料68及び76は、超吸収性ポリマー粒子68及び76と基材層64及び72の第2表面との間で波状である。
【0087】
熱可塑性接着剤材料は、超吸収性ポリマー粒子を抱き込むための空洞を提供してもよく、それによってこれらの粒子を固定する。別の態様では、熱可塑性接着剤材料は、基材層に結合し、したがって超吸収性ポリマー粒子を基材層に固着する。いくつかの熱可塑性接着剤材料は、更に超吸収性ポリマー粒子及び基材層の両方に入り込み、したがって更なる固定及び固着をもたらすであろう。勿論、本明細書に開示される熱可塑性接着剤材料は、湿潤固定(即ち、物品が少なくとも部分的に負荷されたときの吸収性材料の固定)を改善する一方、これらの熱可塑性接着剤材料は、吸収性コアが乾燥状態であるときにも吸収性材料を非常に良好に固定することができる。熱可塑性接着剤材料は、ホットメルト接着剤と呼ばれることもある。
【0088】
理論に束縛されるものではないが、超吸収性ポリマー粒子を固定するのに最も有用な熱可塑性接着剤材料は、良好な凝集挙動と良好な接着挙動とを併せ持つことが判明した。良好な接着性は、熱可塑性接着剤材料と超吸収性ポリマー粒子と基材層との間に良好な接触を促すことができる。優れた凝集性は、特に外力、すなわち歪みに応じて接着剤が破断する可能性を低減するものである。吸収性コアが液体を吸収するとき、超吸収性ポリマー粒子は、膨潤して熱可塑性接着剤材料を外力にさらす。熱可塑性接着剤材料は、破断を伴わずに、また超吸収性ポリマー粒子の膨潤を抑制する大きな圧縮力を付与せずに、このような膨潤を可能にすることができる。
【0089】
熱可塑性接着剤材料は、ASTM法D−36−95「環球法」によって測定するとき、50℃〜300℃の範囲の軟化点を有する、単一熱可塑性ポリマー若しくは熱可塑性ポリマーのブレンドを全体として含んでもよく、又は別法としては、熱可塑性接着剤材料は、粘着付与樹脂、可塑剤、及び酸化防止剤などの添加剤などの他の熱可塑性希釈剤と組み合わせた少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、ホットメルト接着剤であってもよい。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、典型的には10,000を超える分子量(Mw)、及び通常は室温未満又は−6℃<Tg<16℃のガラス転移温度(Tg)を有する。いくつかの実施形態では、ホットメルト中のポリマーの典型的な濃度は、約20〜約40重量%の範囲内にある。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、非感水性であってもよい。例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含む(スチレン)ブロックコポリマーであり、ただしAブロックは、一般的にポリスチレンからなる非エラストマーポリマーブロックであり、Bブロックは不飽和共役ジエン又はその(部分)水素添加物である。Bブロックは、典型的には、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、又はこれらの混合物である。
【0090】
使用することが可能な他の好適な熱可塑性ポリマーとして、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを調製することができる。やはり使用可能なものとして、非晶質ポリオレフィン、又はC2〜C8のαオレフィンのホモポリマー、コポリマー又はターポリマーである非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)がある。
【0091】
いくつかの実施形態では、熱可塑性接着剤材料は、繊維の形態で存在する。いくつかのこれらの実施形態では、繊維は、約1〜約50マイクロメートル又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚み、及び約5mm〜約50mm又は約5mm〜約30mmの平均長さを有する。基材層又はいずれかの他の層、特にいずれかの他の不織布層に対する熱可塑性接着剤材料の接着を改善するため、このような層は、補助接着剤で前処理されてもよい。
【0092】
特定の実施形態では、熱可塑性接着剤材料は、基材層当たり0.5〜30g/m2、1〜15g/m2、1〜10g/m2、又は更には1.5〜5g/m2の量で基材層上に適用される。
【0093】
代表的な熱可塑性接着剤材料68及び熱可塑性接着剤材料76は、少なくとも30,000Pa、及び300,000Pa未満、又は200,000Pa未満、又は140,000Pa〜200,000Pa、又は100,000Pa未満の、20℃で測定される貯蔵弾性率G’を有してもよい。更なる一態様では、35℃で測定した貯蔵弾性率G’が、80,000Paよりも大きくてもよい。更なる一態様では、60℃で測定した貯蔵弾性率G’が、300,000Pa未満でかつ18,000Paよりも大きいか、又は24,000Paより大きいか、又は30,000Paよりも大きいか、又は90,000Paよりも大きくてもよい。更なる一態様では、90℃で測定した貯蔵弾性率G’が、200,000Pa未満でかつ10,000Paよりも大きいか、又は20,000Paよりも大きいか、又は30,000Paよりも大きくてもよい。60℃及び90℃で測定した貯蔵弾性率は、高い周囲温度における熱可塑性接着材料の形状安定性の目安となり得る。この値は、60℃及び90℃における貯蔵弾性率G’が充分に高くなければ、熱可塑性接着材料がその一体性を失ってしまうような高温の気候において吸収性製品が使用される場合に特に重要である。
【0094】
G’は、一般的な説明だけのために
図6に概略的に示したようなレオメーターを使用して測定される。レオメーター627は、接着剤に剪断応力を加え、一定温度で生じたひずみ(剪断変形)応答を測定することができる。接着剤は、下部固定プレート628として作用するペルチエ素子と、10mmの半径Rを有する上部プレート629との間に配置され、これは、剪断応力を生成するためにモータの駆動軸に接続される。両プレート間の間隙は、1500マイクロメートルの高さHを有する。ペルチエ素子によって材料の温度制御が可能である(+0.5℃)。歪み振幅は0.05%、歪み振動数は1Hz、冷却率は2℃/分(開始温度は150℃以上、終了温度は−5℃)に設定する。
【0095】
吸収性コアはまた、図面に例示されていない補助接着剤を含んでもよい。超吸収性ポリマー粒子及び熱可塑性接着剤材料のそれぞれの基材層への接着を高めるために、基材層上に超吸収性ポリマー粒子を適用する前に、基材層上に補助接着剤を配置してもよい。補助接着剤はまた、超吸収性ポリマー粒子を固定するのを助けることができ、以上に記載されたものと同じ熱可塑性接着剤材料を含んでもよく、又は噴霧可能なホットメルト接着剤が挙げられるがこれらに限定されない、他の接着剤も含んでもよい。市販の補助接着剤の例は、H.B.Fuller Co.(St.Paul,MN)製品番号HL−1620−Bである。補助接着剤は、あらゆる好適な手段によって基材層に塗布されてもよいが、いくつかの実施形態によると、約0.5〜約1mm幅のスロットで約0.5〜約2mm離して塗布されてもよい。
【0096】
トップシート
吸収性物品10は、液体透過性であり得るトップシート18を含んでもよい。トップシート18は、織布及び不織布材料;孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム、及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどの高分子材料;多孔質発泡体;網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;並びに熱可塑性スクリムなどの広範囲の材料から製造され得る。好適な織布及び不織布材料は、天然繊維(例えば木材繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、若しくはポリエチレン繊維などの高分子繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせを含んでもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、トップシート18は、トップシート18を通過した液体から着用者の皮膚を隔離するために疎水性材料で製造され得る。このような実施形態では、液体がトップシート18を通ってより迅速に移動できるように、トップシート18の少なくとも上面の一部は親水性であるように処理される。これにより、身体排出物が、トップシート18を通じて引き込まれて吸収性コアによって吸収されずに、トップシート18から流れ出るという傾向が低減される。トップシート18は、界面活性剤で処理することによって親水性を持たせることができる。トップシート18を界面活性剤で処理するのに好適な方法として、トップシート材料に界面活性剤を噴霧すること、及び材料を界面活性剤中に浸漬することが挙げられる。
【0098】
いくつかの実施形態では、トップシートは、孔あき成形フィルムを含む。孔あき成形フィルムは、液体排出物に対して透過性であるが、非吸収性であり、液体を逆流させて着用者の皮膚を再度濡らすことが軽減された傾向を有する。したがって、身体と接触している成形フィルムの表面が乾燥状態に保たれることによって、身体の汚れが低減され、着用者の快適さが更に向上する。好適な成形フィルムが、米国特許第3,929,135号、「Absorptive Structures Having Tapered Capillaries」(1975年12月30日、Thompson)、同第4,324,246号「Disposable Absorbent Article Having A Stain Resistant Topsheet」(1982年4月13日、Mullaneら)、同第4,342,314号「Resilient Plastic Web Exhibiting Fiber−Like Properties」(1982年8月3日、Radelら)、同第4,463,045号「Macroscopically Expanded Three−Dimensional Plastic Web Exhibiting Non−Glossy Visible Surface and Cloth−Like Tactile Impression」,(1984年7月31日、Ahrら)、及び同第5,006,394号「Multilayer Polymeric Film」(1991年4月9日、Baird)に記載されている。
【0099】
あるいは、トップシートは、孔あき不織布材料を含む。好適な孔あき不織布材料は、米国特許第5,342,338号及び国際公開第93/19715号に記載されている。
【0100】
バックシート
吸収性物品は、トップシートに取り付けられ得るバックシート20を含んでもよい。バックシートは、吸収性コアにより吸収されておむつ内に封じ込められた排出物が、例えばベッドシーツ及び下着などのおむつと接触する場合がある他の外部の物品を汚すことを防止することができる。いくつかの実施形態では、バックシートは、液体(例えば、尿)に対して実質的に不透過性であってもよく、不織布と約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚みを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムとの積層体で構成することができる。好適なバックシートフィルムとしては、インディアナ州テレホート所在のTredegar Industries Inc.の製造する、X15306、X10962、及びX10964の商品名で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材料としては、蒸気をおむつから逃がす一方で液体排出物がバックシートを通過するのを依然として防止する通気性材料を挙げてもよい。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織ウェブ、フィルムコーティング不織ウェブなどの複合材料、並びにESPOIR NOの呼称で日本の三井東圧株式会社(Mitsui Toatsu Co.)により製造されているミクロ孔質フィルム及びEXXAIREの名称でEXXON Chemical Co.(Bay City,Tex.)により製造されているようなミクロ孔質フィルムなどの材料を挙げることができる。ポリマーブレンドを含む適した通気性複合材料は、名称HYTRELブレンドP18−3097として、Clopay Corporation(Cincinnati,OH)から入手可能である。このような通気性複合材料は、E.I.DuPontの名前で1995年6月22日に公開されたPCT出願第WO 95/16746号に記より詳細に記載されている。不織布ウェブ及び孔あき成形フィルムなどの他の通気性バックシートについては、Dobrinらに付与された1996年11月5日発行の米国特許第5,571,096号に述べられている。
【0101】
試験方法
・K(t)試験方法(動的有効透過率及び吸収率測定試験方法)
この方法は、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体の時間依存性有効透過率(K(t))及び吸収率を封圧下で測定する。この方法の目的は、ポリマーが吸収性物品中に高濃度で存在し、吸収性物品の使用中に典型的に生じるような機械的圧力にさらされるとき、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体の、体液を捕捉及び分配する能力を評価することである。有効透過率の計算には、Darcyの法則及び定常流動法を使用する(以下参照)(例えばP.K.Chatterjee,Elsevier編纂の「Absorbency」(1982,42〜43頁)及びJ.M.Coulson及びJ.F.Richardsonの「Chemical Engineering Vol.II,Third Edition」(Pergamon Press,1978,122〜127頁)も参照のこと。)
【0102】
これまでに公表された方法とは異なり、サンプルを前もって膨潤しないため、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子を合成尿中で前もって膨潤することによるヒドロゲルの形成はないが、乾燥構造体を使用して測定を開始する。
【0103】
この方法で使用される装置は、「Zeitabhangiger Durchlassigkeitsprufstand」即ち「時間依存性透過率テスタ」装置番号03−080578と呼ばれ、BRAUN GmbH(Frankfurter Str.145,61476 Kronberg,Germany)で市販されており、以下に説明される。要望に応じて、操作指示書、配線図、及び詳細な製図も入手可能である。
【0104】
動的有効透過率及び吸収率測定システム
図7は、本明細書で「時間依存性透過率テスタ」と呼ばれる、動的有効透過率及び吸収率測定システムを示す。
【0105】
装置は、以下の主要部品で構成される。
−厚み測定用M11デジタルレーザーセンサ701(MEL Mikroelektronik GmbH(85386 Eching,Germany))
−液面検出用ファイバ702(FU95、Keyence Corp.(Japan))
−デジタルファイバセンサ703(FS−N10、Keyence Corp.(Japan))
−精密天秤704(XP6002MDR、Mettler Toledo AG(8606 Greifensee,Switzerland))
−電源装置Logo!Power(C98130−A7560−A1−5−7519、Siemens AG)
−Labviewソフトウェアライセンス706(National Instruments(Austin,Tx,USA))
−受取容器707(5Lガラスビーカー、Roth)
−接合部709及び空気吸収用開口管723を備えたリザーバ708(5Lガラス瓶、VWR)
−操作ユニット及びコンソール705(Conrad Electronics)
−コンピュータ化されたデータ取得システム710
−本明細書に記載のピストン/シリンダーアセンブリ713
−制御弁714(Burkert)
【0106】
図8は、ピストン誘導蓋801、ピストン802、及びシリンダー803を含む、ピストン/シリンダーアセンブリ713を示す。シリンダー803は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から形成され、6.00cmの内径p(面積=28.27cm
2)を有する。シリンダー内壁850は平滑である;シリンダーの高さrは約7.50cmである。シリンダー803の底部804は、シリンダー803の底部804に取り付けられる前に、突張状態まで2軸的に伸張された、米国規格の400メッシュステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)(例えば、Weisse and Eschrichから入手可能)と面する。ピストン802は、ステンレス鋼ピストン本体805及びステンレス鋼ヘッド806で構成される。ピストンヘッド806の直径qは、ヒドロゲル形成粒子が通過する間隙を残さずにシリンダー803内に自由にスライドするように、6cmよりわずかに小さい。ピストン本体805は、ピストンヘッド806の中央に垂直にしっかり取り付けられる。ピストン本体の直径tは、約2.2cmである。ピストン本体805は、次にピストン誘導蓋801に挿入される。誘導蓋801は、ピストン802を誘導蓋801と共にシリンダー803の上に配置しても依然としてピストン本体805を完全な垂直かつシリンダー壁850に平行に維持しながらピストン802の自由スライドを可能にする直径を有する、POM(ポリオキシメチレン)リング809を有する。ピストンヘッド806の平面図を
図9に示す。ピストンヘッド806は、サンプル718に均一に圧力を加えるように意図される。また、ピストンヘッド806は、測定中に液体の流れを制限しないように、親水性の液体に対して高透過性である。ピストンヘッド806は、突張状態まで2軸的に伸張され、ピストンヘッドのステンレス鋼外輪901で固定された、米国規格の400メッシュステンレス鋼スクリーンクロス903(例えば、Weisse and Eschrichから入手可能)で構成される。ピストンの下面全体は平坦である。構造的一体性及びメッシュスクリーンの耐屈曲性は、次にステンレス鋼放射状スポーク902により保証される。ピストン本体805の高さは、ピストン本体805及びピストンヘッド806で構成されるピストン802の重量が596g(±6g)になるように選択され、これはシリンダー803の面積に対して2.07kPa(0.30psi)に相当する。
【0107】
ピストン誘導蓋801は、その中央でPOMリング809によりピストン本体805に垂直に維持される、約7.5cmの直径sを有するステンレス鋼の平坦な円形体である。誘導蓋には2つの入口がある(810及び812)。
【0108】
第1入口812は、測定のためにピストン802をシリンダー803に組み立てると、シリンダー803の底部(804)に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上面の上方5cmに正確に液面検出用ファイバ702を配置できる。
【0109】
第2入口810は、試験に液体を供給する液管721を接続できる。
【0110】
ピストン802のシリンダー803への組み立てを確実に一貫して行うために、誘導蓋801にある位置マーカー813を合わせるスリット814がシリンダー803に作成されている。このようにして、シリンダーと誘導蓋との回転角は常に同じになる。
【0111】
毎回使用する前に、ピストンヘッド806及びシリンダー803のステンレス鋼スクリーンクロス903は、目詰まり、穴、又は伸び過ぎについて検査し、必要に応じて取り替えるべきである。損傷したスクリーンを有するK(t)装置は、誤ったK(t)及び吸収率の結果を与える場合があり、スクリーンを交換するまで使用してはならない。
【0112】
5cmのマーク808が、シリンダー上において、シリンダー803の底部804に取り付けられたスクリーンの上面の上方5.00cm(±0.02cm)の高さkで描かれる。これは、分析の間維持されるべき流体の液面の印となる。液面検出用ファイバ702は、正確に5cmのマーク808に配置される。正確かつ一定した流体の液面(静水圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0113】
サンプルを固定するピストン/シリンダーアセンブリ713に配管を介して接続されたリザーバ708及び制御弁714は、シリンダー803に食塩水を供給し、シリンダー804の底部に取り付けられたスクリーンの上面の上方5.00cmの高さkに食塩水の液面を維持するために使用される。弁714、液面検出用ファイバ702、及びデジタルファイバセンサ703は、操作ユニット705を介してコンピュータ化された取得システム710に接続される。これにより、動的有効透過率及び吸収率測定システムは、液面検出用ファイバ702及びデジタルファイバセンサ703からの情報を使用して弁714を制御し、最終的に液面を5cmのマーク808で維持することができる。
【0114】
リザーバ708は、試験開始の15秒以内に5cmの水頭(hydrohead)が形成され、試験手順を通してシリンダー内に維持されるように、ピストン/シリンダーアセンブリ713の上に配置される。ピストン/シリンダーアセンブリ713は、カバープレート716の支持リング717上に配置され、第1入口812は結合支持体719で適所に固定される。これは、誘導蓋801に唯一の位置を与える。更に、位置マーカー813により、シリンダー803も唯一の位置になる。シリンダー804の底部に取り付けられたスクリーンは、完全に平坦かつ水平でなければならない。支持リング717は、シリンダーを支持リング717上に配置すると、シリンダー803をしっかり支持するのに十分小さいが、シリンダーの内径の外側にくるように6.0cmより大きい、内径を有する必要がある。これは、支持リング717が液体の流れを少しでも妨害するのを避けるために重要である。
【0115】
サンプル718に5cmの一定水頭で添加される食塩水は、ピストン/シリンダーアセンブリ713から、精度が±0.01g以内の天秤704上に配置された受取容器707に今度は自由に流入することができる。天秤のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システムに接続される。
【0116】
サンプルのキャリパ(厚み)は、厚み測定用デジタルレーザーセンサ701で常時測定される。デジタルレーザーセンサ701のレーザービーム720は、ピストン本体のPOMカバープレート811の中心に向けられる。ピストン/シリンダーアセンブリ713の全部品を正確に配置することにより、ピストン本体805をレーザービーム720に完全に平行にすることができ、結果として厚みの正確な測定値が得られる。
【0117】
試験準備
リザーバ708を試験溶液で満たす。試験溶液は、溶液1リットル当たり9.00グラムの塩化ナトリウム及び1.00グラムの界面活性剤を含む水溶液である。試験溶液の調製を以下に記載する。コンピュータ化されたデータ取得システム710に接続された天秤704上に受取容器707を配置する。測定開始前に天秤をゼロにリセットする。
【0118】
試験液の調製:
必要な化学物質:
−塩化ナトリウム(CAS#7647−14−5、例えば、Merckのカタログ番号1.06404.1000)
−直鎖C
12〜C
14アルコールエトキシレート(CAS#68439−50−9、例えば、Lorodac(登録商標)(Sasol,Italy))
−脱イオン化されたH
2O
【0119】
蒸留水中に9.00グラム/リットルのNaCl及び1.00グラム/リットルの直鎖C12〜C14アルコールエトキサレート(ethoxalate)を含む溶液を10リットル調製し、23℃±1℃で1時間平衡化する。表面張力は、3つの別個のアリコートで測定し、28±0.5mN/mでなければならない。溶液の表面張力が28±0.5mN/mから外れる場合、溶液を廃棄し、新たな試験溶液を調製する。試験溶液は、その調製から36時間以内に使用する必要があり、その後は有効期限が切れたとみなされる。
【0120】
K(t)サンプルの調製
直径6.00cmの吸収性構造体の代表的な円形部分を入手する。吸収性物品のこの部分は、好適な円形ダイ及び油圧式カッター(例えばThwing−Albert instrument company(14 W.Collings Ave.West Berlin,NJ 08091)において入手可能なElectro−Hydraulic Alfa Cutter 240−10のような)を用いて入手することができる。
【0121】
円形サンプル118は、シリンダー203の底部204に取り付けられたスクリーン(図示されない)上に、このスクリーン上の利用可能な表面を全て占めるように、慎重に平坦に置く。使用時の一般的な流れの方向を再現するために、スクリーンと直接接触する面が、通常、液体源からより離れている面となるような方法で円形サンプル118を置くことが重要である。おむつなどの吸収性物品に関するサンプルに関して例えば、着用者に通常面している面を上にして配置されるべきであり、一方、衣服に面している面は、シリンダーの底部のスクリーンと接触して配置されるべきである。サンプルを慎重に配置することは測定の精度にとって重要である。吸収性物品の直径が小さく、6.0cmの直径のサンプルがそこから入手できない場合では、必要なサンプルの最小寸法が得られるように、同等の寸法の2つの吸収性構造体を結合させることが可能である。2つの同一の吸収性構造体から同じ位置において、2つのサンプルをとる必要がある。2つの吸収性構造体は、直線の縁部を通じて結合させる必要があり、必要に応じて、かかる直線縁部を得るために切断される。結合した縁部が、間隙のない又は最小の間隙のみを有する平坦な均質層を再現するということを意図する。この結合した層を次いで、上記の標準的なサンプル調製に従って取り扱い、同一の形状の2つの半円が得られるように、切断ダイ内で結合線を中心に置くように更に注意する。間隙のない又は最小の間隙のみを有し、スクリーン上の利用可能な表面全体を占有するようにして、完全な円を再現するように、両方の半円を慎重にサンプルホルダ内に配置することは重要である。両方の半円は、上記のように面がスクリーンに面するようにして配置されなければならない。しかしながら、大半の実施形態では、サンプルは吸収性構造体の一体型の円形部分からなるであろう。
【0122】
吸収性物品から吸収性構造体を抽出する方法
吸収性物品は平坦な表面上に配置される。平坦に置くのを阻害する特徴(カフ弾性部など)を製品が含む場合では、それらの形状は、製品を平坦に置くことができるように好適な間隔で切断する。
【0123】
K(t)試験方法に従って測定されるべき、少なくとも90重量%の超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体の部分をまず特定し、以下の説明のように分離させる必要がある。
【0124】
吸収性構造体の一部でない全ての材料は、吸収性構造体を過度に損傷しないように注意しながら、吸収性構造体から取り除く。
【0125】
取り除かれるべき材料が、例えば熱可塑性接着剤材料などの接着剤材料によって吸収性構造に取り付けられている場合、構造体を損傷するのを回避するために、それらは
図15のサンプルに関して示されているように、−50〜−60℃の冷却温度を有する冷却スプレー(Taerosol(Kangasala Finland)から入手可能な「IT Icer」又は「PRF 101冷却スプレー」など)を用いて取り除くことができる。
【0126】
図15は、2つの基材層153、154の間に挟まれている超吸収性ポリマー粒子152を含む吸収性構造体151を示す。材料の層156は、基材層153、154のうちの1つに取り付けられており、したがって吸収性構造体151の一部ではない。この層は、吸収性構造体151から取り除かれる必要がある。吸収性構造体151を過度に損傷するのを回避するために、吸収性構造体151から取り除かれるべき材料の層156は、冷却スプレー157を用いて接着剤材料155を冷却しながら、180°の剥離方向で吸収性構造体151から引き離される。材料の層156のそれぞれ単一部分に関して、1秒以上5秒未満、噴霧を続けるべきである。
【0127】
各材料を取り外した後、温度が初期値(TAPPI実験室条件)に戻るまで、吸収性構造体の残りの部分は2.07kPa(0.3psi)の圧力下に保持する。
【0128】
例えば2つの基材層163、164に挟まれている超吸収性ポリマー粒子162を含む吸収性構造体161を表している
図16において示されているように、吸収性構造体の上層及び/又は下層は、液体が通過できるように適切に穿孔されてもよい。穿孔は、0.7±0.2mmの直径Hを備えるスチールロッド166を備える、穿孔先端部165とも呼ばれる熱い金属先端部を使用して実施される。CT 60/621(ERSA GmbH(Wertheim,Germany)から入手可能)など半田先端部167の周囲に巻きつけられた標準的なペーパークリップを、この目的で使用してもよい。穿孔先端部165は、310±20℃の温度に設定されるべきである。例えば、吸収性構造体161の他の材料のいずれにも影響しないように溶融させて、層を穿孔するように、穿孔先端部165は穿孔されるべき層と、短時間にわたり、低圧で接触させられる。例えば
図17において示されるように、孔の端部間の距離Dが1±0.2mmを有する正方形の穿孔パターンで、孔は同じ手順において作られる。
【0129】
各吸収性構造体は、バックライトを用いて、一体性に関して視覚的に確認し、損傷している場合は廃棄する。損傷の例は例えば、吸収性物品から吸収性構造体を取り外す前には存在しなかった切り傷、孔、皺である。穿孔先端部により層中に設けられた穿孔部は、それらが他の層に作用しない限り損傷とはみなされない。吸収性構造体内の超吸収性ポリマー粒子及び繊維の実質的な移動もまた損傷とみなされる。
【0130】
そのように調製された吸収性構造体を次いで、K(t)試験方法に従って切断する。
【0131】
K(t)手順
Tappi実験室条件:23℃±1℃/50% RH±2%で測定を行う。
空のピストン/シリンダーアセンブリ713をカバープレート716の円形開口部に取り付け、その下方外周部を支持リング717で支持する。ピストン/シリンダーアセンブリ713を結合支持体719で適所に固定し、シリンダー803及びピストン802が適切な角度で並んだ状態にする。デジタルレーザーセンサで基準厚みの読み取り値(r
r)を測定する。この後、空のピストン/シリンダーアセンブリ713をカバープレート716及び支持リング717から取り外し、ピストン802をシリンダー803から取り外す。
【0132】
サンプル718を上述したようにシリンダーのスクリーン上に配置する(吸収性構造体)。この後、誘導蓋801の位置マーカー813をシリンダー803に形成されたスリット814に合わせることにより、誘導蓋801に組み立てられたピストン802をシリンダー803に慎重にセットする。
【0133】
ピストン/シリンダーアセンブリを結合支持体719で適所に固定し、シリンダー及びピストンが適切な角度で並んだ状態にする。
【0134】
これは、1つの方法でしか行うことができない。リザーバ708に接続された液管721及びデジタルファイバセンサ703を、誘導蓋801の2つの入口810及び812を介してピストン/シリンダーアセンブリ713に挿入する。
【0135】
コンピュータ化されたデータ取得システム710を天秤704及び厚み測定用デジタルレーザーセンサ701に接続する。弁714を開くことでコンピュータプログラムによりリザーバ708からシリンダー803への流体の流動が開始される。5〜15秒で5cmのマーク808に達するまでシリンダーが満たされた後、コンピュータプログラムが一定の5cmの水頭を維持するように流速を調節する。サンプル718を通過する溶液の量が天秤704で測定され、厚みの増加がレーザーキャリパゲージで測定される。データ取得は、流体流動の開始時、特に弁714の初回開放時に開始され、21分間、又はリザーバが空になって5cmの水頭がもはや維持されなくなるまで続行する。1回の測定時間は21分であり、レーザーキャリパ及び天秤の読み取り値は、測定の目的によって異なり得る2〜10秒の間隔で定期的に記録され、3回繰り返して測定される。
【0136】
21分後、繰り返し1回目の測定が首尾よく完了し、制御弁714が自動的に閉じる。ピストン/シリンダーアセンブリ713を取り外し、常に同じ手順に従って相応に繰り返し2回目及び3回目の測定を行う。繰り返し3回目の測定終了時に、制御弁714が液体の流動を停止し、リザーバ708のストップコック722が閉じられる。収集された生データは、次に更なる解析用のプログラム(例えば、Excel 2003、SP3)に簡単にインポート可能な単純なデータテーブルの形式に保存される。
【0137】
データテーブルには、各読み取り値について以下の関連情報が記録される。
・実験開始からの時間
・天秤704上の受取容器707により収集された液体の重量
・サンプル718の厚み
【0138】
K(t)及び吸収率の計算には、30秒から試験終了までのデータを使用する。最初の30秒間に収集されたデータは、計算に含めない。次に、以下の一連の式を使用して、吸収性構造体の有効透過率K(t)及び吸収率を決定する。
【0139】
使用される式:
以下の表は、式に使用される表記について説明する。
【0141】
駆動圧は、水頭から以下のように計算される。
【0143】
各時間t
iでの厚みは、時間t
iでのキャリパセンサの読み取り値とサンプルなしの基準読み取り値との差として計算される。
【0145】
超吸収性粒子サンプルの場合、時間t
i=0でのサンプルの厚み(d
0)を使用して、粒子の振りまきの質を評価する。
【0146】
シリンダー内の見掛けサンプル密度は、実際には以下のように計算され得る。
【0148】
このシリンダー内の見掛け密度が粉末の見掛け密度と±40%を超えて異なる場合、測定を無効とみなし、削除する必要がある。
【0149】
見掛け密度は、EDANA法406.2−02(「超吸収性材料−ポリアクリレート超吸収性粉末−密度の重量測定」)に従って測定され得る。
【0150】
時間t
iでの天秤読み取り値の時間的変化率は、以下のように計算される。
【0152】
時間t
iでのキャリパ読み取り値の時間的変化率は、以下のように計算される。
【0156】
乾燥サンプルの体積(V
s)はサンプルの骨格体積(skeletal volume)を意味するため、V
sは、存在し得る孔及び隙間を除く、乾燥サンプル中の固体材料により占められる実体積である。
【0157】
V
sは、当業者に既知の種々の方法により計算又は測定されることができ、例えば、構成成分の正確な組成及び骨格密度が分かっていれば、以下のように決定され得る。
【0159】
あるいは、未知の材料組成では、V
sは以下のように簡単に計算され得る。
【0161】
平均密度ρ
sは、既知の密度の好適な非膨潤性液体を使用したピクノメーター法により決定され得る。この手法は、引き続きK(t)測定に使用される同じサンプルで実施することができないため、この試験測定では好適な更なる代表的サンプル一式を準備する必要がある。
【0162】
上述したように計算される異なる時間刻みでのU(t)から、線形補間により任意の特定時間での吸収を決定することができる。例えば、重要な出力の1つは、U20(単位g/g)とも呼ばれる20分での吸収である。
【0163】
異なる時間刻みでのU(t)から、線形補間により特定の吸収を達成する所要時間を決定することもできる。20g/gの吸収を最初に達成する時間をT20と呼ぶ。同様に、任意の他の吸収達成時間をそれに応じて計算することができる(例えば、T5又はT10)。U20が分かると、異なる時間刻みでのU(t)から、U20の80%を達成する時間も決定することができ、この特性をT80%と呼ぶ。
【0164】
有効透過率は、質量変化及び厚み変化の比から以下のように計算される。
【0166】
液体の有効粘度は、温度に依存し、試験期間(23℃±1℃)では以下の経験式に従って計算される。
【0167】
【数10】
式中、A=1,479.10
−2[g/(cm.s)]及びB=−2.36.10
−4[g/(cm.s.℃)]
【0168】
K(t
i)から、線形補間により特定時間での有効透過率を決定することができる。例えば、重要な出力の1つは、20分での吸収又はK20(m
2)である。同様に、任意の他の時間における透過率をそれに応じて計算することができる(例えば、K5又はK10)。
【0169】
データから得るべき別のパラメータはKminであり、これはt
i=30秒〜t
i=1200秒の区間の曲線全体にわたって決定される最小K(t)値である。この値は、最小有効透過率と20分での透過率との比であるKmin/K20を計算するのに有用である。このパラメータは、一部のサンプルで生じることがある一時的ゲルブロッキングを表す。値が1に近い場合、一時的ゲルブロッキングは存在せず、値が0に近い場合、液体が最初に供給されたときに材料が強度の有効透過率の低下を経ることを示す。
【0170】
当業者に既知の所要の精度に従って、3回の繰り返しからT20、T80%、K20、U20、及びKmin/K20の平均値を記録する。
【0171】
・厚さ測定試験方法
この方法の目的は、吸収性物品の股点での吸収性コアの厚みを決定するための方法を提供することである。試験は、従来のキャリパゲージ、例えば、直径41mmのアルミニウム円形のサンプル脚部を有し、0.1ニュートン(10gf)の脚部による作用力を有する、適切なゲージスタンドを備えた、ONO SOKKI Technology Inc.(2171 Executive Drive,Suite 400,Addison,IL 60101,USA)から入手可能なType EG−225を使用して実施され得る。合計1.6ニュートン(160gf)を得るために追加のおもりを加え、圧力を1.18kPa(0.173psi)に調整する。
【0172】
吸収性コアの厚みは、組み立て時に吸収性コアが吸収性物品中で有するであろう正しい位置を決定した後、吸収性コアを吸収性物品に組み立てる前に決定される。ただし、厚みは、当業者により既知の任意の好適な方法により吸収性コアを最終製品から取り外した後に決定されてもよい。
【0173】
吸収性物品の股点は、物品の長手方向中心線と横断方向中心線との交点で決定される。
【0174】
基本プロトコル
1.全ての試験を23±1℃及び相対湿度50±2%で行う。
2.吸収性コアを23±1℃及び相対湿度50±2%で8時間平衡化させる。
3.上述したように股点を決定し、吸収性コアの着用者面に印をつける。
4.吸収性コアをキャリパゲージの下に配置し、着用者面がサンプル接触脚部に向き、股点が脚部下の中央に置かれた状態にする。
5.サンプル接触脚部を徐々に下げて吸収性コアの表面に接触させる。
6.脚部が吸収性コアに接触した後、5秒かけてキャリパを読み取る。
【0175】
・尿透過率測定(UPM)試験方法
尿透過率測定システム
この方法は、膨潤したヒドロゲル層1318の透過率を測定した。この方法のために使用される備品が以下に記載される。この方法は、先行技術によるSFC(塩水流伝導度)試験方法と密接に関連している。
【0176】
図10は、一定静水頭部リザーバ1014、空気取込み用の開口管1010、補充用のストッパ付き通気孔1012、実験用ジャッキ1016、配送管1018、ストップコック1020、リングスタンド支持体1022、受取容器1024、天秤1026及びピストン/シリンダーアセンブリ1028を備えた、透過率測定システム1000の構成を示す。
【0177】
図11は、金属おもり1112、ピストンシャフト1114、ピストンヘッド1118、蓋1116及びシリンダー1120を含む、ピストン/シリンダーアセンブリ1028を示す。シリンダー1120は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から形成され、かつ滑らかなシリンダー内壁1150を備えた6.00cmの内径p(面積=28.27cm
2)を有する。シリンダー1120の底部1148は、米国規格の400メッシュのステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)に面しており、これはシリンダー1120の底部1148に取り付ける前に2軸方向に伸張されて張り詰められたものである。ピストンシャフト1114は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から形成され、およそ127mmの全長qを有する。ピストンシャフト1114の中央部1126は、21.15mmの直径rを有する。ピストンシャフト1114の上部1128は、15.8mmの直径を有し、肩部1124を形成している。ピストンシャフト1114の下部1146は、およそ1.6cm(5/8インチ)の直径tを有し、ピストンヘッド1118の中心孔1218(
図12を参照)内にしっかりとねじ込むためにねじ付きである。ピストンヘッド1118は、穴が開けられており、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から作製され、広げた米国規格の400メッシュステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)によって覆われている。おもり1112は、ステンレス鋼であり、中心穴1130を有し、ピストンシャフト1114の上部1128上へと滑動し、肩部1124上で停止する。ピストンヘッド1118、ピストンシャフト1114、及びおもり1112の組み合わせた重量は、596g(±6g)であり、これは、シリンダー1120の面積にわたる2.07kPa(0.30psi)に対応する。合計重量は、ピストンシャフト1114の中心軸1132に止まり穴を掘って材料を除去する、及び/又は空洞を提供しておもりを加えることによって調節され得る。シリンダー蓋1116は、ピストンシャフト1114を垂直に位置合わせするために、その中心に第1の蓋開口部1134を、及び一定静水頭部リザーバ1014からシリンダー1120内に流体を導入するために、縁部1138付近に第2の蓋開口部1136を有する。
【0178】
第1の線状指標マーク(図示せず)は、おもり1112の上部表面1152に沿って半径方向にスクライビングされ、第1の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第2の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の頂面1160に沿って半径方向にスクライビングされ、第2の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第3の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の中央部1126に沿ってスクライビングされ、第3の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第4の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダー蓋1116の上部表面1140に沿って半径方向にスクライビングされ、第4の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。更に、対応する第5の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダー蓋1116のリップ1154に沿ってスクライビングされ、第5の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第6の線状指標マーク(図示せず)は、外側シリンダー壁1142に沿ってスクライビングされ、第6の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。第1、第2、第3、第4、第5及び第6の線状指標マークの位置合わせは、おもり1112、ピストンシャフト1114、シリンダー蓋1116及びシリンダー1120を、各測定において、互いに関して同じ向きで再配置することを可能にする。
【0179】
シリンダー1120の仕様の詳細は以下のとおりである:
シリンダー1120の外径u:70.35mm
シリンダー1120の内径p:60.0mm
シリンダー1120の高さv:60.5mm
【0180】
シリンダー蓋1116の仕様の詳細は以下のとおりである:
シリンダー蓋1116の外径w:76.05mm
シリンダー蓋1116の内径x:70.5mm
リップ1154を含む、シリンダー蓋1116の厚みy:12.7mm
リップ1154を除いたシリンダー蓋1116の厚みz:6.35mm
第1蓋開口部1134の直径a:22.25mm
第2蓋開口部1136の直径b:12.7mm
第1蓋開口部1134の中心と第2蓋開口部1136の中心との間の距離:23.5mm
【0181】
おもり1112の仕様の詳細は以下のとおりである:
外径c:50.0mm
中央孔1130の直径d:16.0mm
高さe:39.0mm
【0182】
ピストンヘッド1118の仕様の詳細は以下のとおりである
直径f:59.7mm
高さg:16.5mm
9.65mmの直径hを有する外側孔1214(合計14)、外側孔1214は等間隔であり、中心は、中心孔1218の中心から47.8mmである。
9.65mmの直径iを有する内側孔1216(合計7)、内側孔1216は等間隔であり、中心は、中心孔1218の中心から26.7mmである。
中心孔1218は、1.6cm(5/8インチ)の直径jを有し、ピストンシャフト1114の下部1146を受容するためにねじ付きである。
【0183】
使用する前に、ピストンヘッド1118及びシリンダー1120のステンレス鋼スクリーン(図示せず)は、目詰まり、孔、又は伸び過ぎについて検査し、必要に応じて取り替えるべきである。損傷したスクリーンを有する尿透過率測定装置は、誤ったUPM結果を与える場合があり、スクリーンを交換するまで使用してはならない。
【0184】
5.00cmのマーク1156が、シリンダー1120上において、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cm(±0.05cm)の高さkでスクライビングされる。これは、分析の間維持されるべき流体の液面の印となる。正確かつ一定した流体の液面(静水圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0185】
一定静水頭部リザーバ1014は、シリンダー1120に食塩水1032を供給し、食塩水1032の液面を、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cmの高さkに維持するために使用される。吸気管1010の底部1034は、測定中に必要とされる5.00cmの高さkに、シリンダー1120内の食塩水1032の液面を維持するように位置付けられ、即ち、空気管1010の底部1034は、受取容器1024の上方で、リングスタンド1040上の支持スクリーン(図示せず)上に設置されたときのシリンダー1120の5.00cmマーク1156とおよそ同じ平面1038にある。吸気管1010と、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156の適正な高さの位置合わせは、分析にとって重要である。好適なリザーバ1014は、流体供給のための水平に向けられたL型配送管1018、一定静水頭部リザーバ1014内に固定高さにて空気が入るように垂直に向けられた末端開口チューブ1010、及び一定静水頭部リザーバ1014に再充填するためのストッパ付き通気孔1012を含むジャー1030から構成される。チューブ1010は、12.5mm±0.5mmの内径を有する。一定静水頭部リザーバ1014の底部1042の付近に位置付けられる配送管1018は、食塩水1032の供給を開始/停止するための、ストップコック1020を含む。配送管1018の出口1044は、シリンダー蓋1116の第2の蓋開口部1136を通じて挿入されるような寸法であり、その端部は、シリンダー1120内の食塩水1032の表面より下方に位置付けられる(シリンダー1120内で、食塩水1032の5.00cm高さが得られた後)。吸気管1010は、o−リングカラー(図示せず)と共に適所に保持される。一定静水頭部リザーバ1014は、その高さをシリンダー1120の高さに対して調節するために、実験用ジャッキ1016上に位置付けることができる。一定静水頭部リザーバ1014の構成要素は、シリンダー1120を必要な高さ(即ち、静水頭部)まで急速に充填し、この高さを測定の持続時間にわたって維持するような大きさである。一定静水頭部リザーバ1014は、少なくとも3g/sの流速で、少なくとも10分間、食塩水1032を供給することが可能でなくてはならない。
【0186】
ピストン/シリンダーアセンブリ1028は、リングスタンド1040又は好適な別の剛性スタンド上に支持された16メッシュの剛性ステンレス鋼支持スクリーン(図示せず)(又は同等のもの)上に位置付けられている。この支持スクリーン(図示せず)は、食塩水1032の流れを阻害しないように十分に透過性があり、ステンレス鋼メッシュクロス(図示せず)を支持し、伸張を防ぐために十分な剛性がある。支持スクリーン(図示せず)は、試験中にピストン/シリンダーアセンブリ1028を傾けることを避けるために、平坦かつ水平であるべきである。支持スクリーン(図示せず)を通過する食塩水1032は、支持スクリーン(図示せず)の下方に位置付けられている(が、支持スクリーンを支持しない)受取容器1024内に収集される。受取容器1024は、少なくとも0.01gの精度の天秤1026上に位置付けられる。天秤1026のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システム(図示せず)に接続される。
【0187】
試薬の調製(図示せず)
ジェイコ合成尿(Jayco Synthetic Urine)(JSU)1312(
図13参照)は膨潤面(以下のUPM手順参照)に使用され、0.118M塩化ナトリウム(Nacl)溶液は流れ面(以下のUP手順参照)に使用される。以下の調製は、標準的な1リットル容積に言及する。1リットル以外の容積の調製では、全ての量が適宜に測られる。
【0188】
JSU:1L体積測定用フラスコがその体積の80%まで蒸留水で充填され、電磁攪拌棒がフラスコ内に配置される。別個に計量紙、又はビーカーを使用して、以下の量の乾燥成分を、化学天秤を使用して±0.01gまで計量し、以下に挙げるものと同じ順序で、体積測定フラスコに、定量的に加える。溶液は、好適な攪拌プレート上で、全ての固体が融解するまで攪拌され、攪拌棒が取り除かれ、溶液が蒸留水で1L体積まで希釈される。攪拌棒が再び挿入され、溶液が攪拌プレート上で、更に数分間攪拌される。
【0189】
1リットルのジェイコ合成尿を作製するための塩の量
塩化カリウム(KCl)2.00g
硫酸ナトリウム(Na
2SO4)2.00g
二水素リン酸アンモニウム(NH
4H
2PO
4)0.85g
第二リン酸アンモニウム((NH
4)
2HPO4)0.15g
塩化カルシウム(CaCl
2)0.19g−[又は塩化カルシウム水和物(CaCl
2・2H
2O)0.25g]
塩化マグネシウム(MgCl
2)0.23g−[又は塩化マグネシウム水和物(MgCl
2・6H
2O)0.50g]
【0190】
調製を早くするために、各塩は、次のものを加える前に完全に溶解させる。ジェイコ合成尿は、清浄なガラス容器内に、2週間貯蔵されてもよい。溶液は、これが濁った場合は使用するべきではない。清浄なプラスチック容器内での貯蔵寿命は、10日である。
【0191】
0.118M塩化ナトリウム(Nacl)溶液:0.118M塩化ナトリウムが、食塩水1032として使用される。計量紙又はビーカーを用いて6.90g(±0.01g)の塩化ナトリウムを計量し、1L体積フラスコ内に定量的に移送し、フラスコは蒸留水で体積まで充填する。攪拌棒を加え、攪拌プレート上で、全ての固体が溶解するまで溶液を混合する。
【0192】
試験準備
固体基準円筒おもり(図示せず)(直径40mm;高さ140mm)を使用して、キャリパゲージ(図示せず)(例えば、Mitotoyo Digimatic Height Gage)を読取り値ゼロに設定する。この作業は、平滑で水平なベンチトップ1046上で、都合よく行われる。ピストン/シリンダーアセンブリ1028は、超吸収性ポリマー粒子なしでキャリパゲージ(図示せず)の下方に位置付けられ、測定値L
1は、0.01mm単位で記録される。
【0193】
一定静水頭部リザーバ1014は、食塩水1032を充填される。吸気管1010の底部1034は、測定中に、シリンダー1120内の液体メニスカス(図示せず)の頂部(図示せず)を、5.00cmマーク1156で維持するように位置付けられる。吸気管1010の、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156における適正な高さの位置合わせは、分析にとって重要である。
【0194】
受取容器1024は、天秤1026上に配置され、天秤1026のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システム(図示せず)に接続される。16メッシュの剛性ステンレス鋼支持スクリーン(図示せず)を備えるリングスタンド1040は、受取容器1024の上方に位置付けられる。16メッシュスクリーン(図示せず)は、測定中にピストン/シリンダーアセンブリ1028を支持するために十分に剛性があるべきである。支持スクリーン(図示されない)は平滑及び水平でなければならない。
【0195】
UPM手順
化学天秤を使用して、1.5g(±0.05g)の超吸収性ポリマー粒子を好適な秤量紙又は秤量補助物上で秤量する。超吸収性ポリマー粒子の含水率は、Edana含水率試験方法430.1−99(「超吸収性材料−ポリアクリレート超吸収性粉末−含水率−加熱時の重量喪失」(99年2月))によって測定される。超吸収性ポリマー粒子の含水率が5%を超える場合、超吸収性ポリマー粒子の重量を水分に関して補正しなければならない(即ち、その特定の場合では、加えられた超吸収性ポリマー粒子は、乾燥重量基準で1.5gでなければならない)。
【0196】
空のシリンダー1120を水平なベンチトップ1046上に置き、超吸収性ポリマー粒子を定量的にシリンダー1120内に移す。超吸収性ポリマー粒子は、シリンダー1120を緩やかに振盪、回転、及び/又はタッピングすることによって、シリンダー1120の底部1148に取り付けたスクリーン(図示せず)上に均一に分散させる。最も精密な結果を得るために、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に、粒子を均等に分散させることは重要である。シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に、超吸収性ポリマー粒子が均等に分散した後に、粒子が内側シリンダー壁1150に粘着してはならない。ピストンシャフト1114が、第1の蓋開口部1134を介して挿入され、蓋1116のリップ1154は、ピストンヘッド1118の方に向いている。ピストンヘッド1118は、シリンダー1120内に、数センチメートルの深さまで注意深く挿入される。次に、ピストンヘッド1118を超吸収性ポリマー粒子から離して維持するように注意を払いながら、蓋1116をシリンダー1120の上方のリム1144上に配置する。次に、第3、第4、第5、及び第6の線状指標マークが位置合わせするように、蓋1116及びピストンシャフト1126を注意深く回転させる。次に、ピストンヘッド1118を(ピストンシャフト1114によって)静かに下げて、乾燥した超吸収性ポリマー粒子上で停止させる。おもり1112をピストンシャフト1114の上部1128上に位置付け、これが肩部1124上に停止し、それによって第1及び第2の線状指標マークが位置合わせされる。蓋1116の適切な配置は、おもりの結合を防ぎ、ヒドロゲル層1318上のおもりの均等な分配を確実にする。
【0197】
膨潤相:過度のJSU 1312をフリットディスク1310が飽和するまでフリットディスク1310に加えることによって、直径8cmのフリットディスク(厚さ7mm、例えばChemglass Inc.の# CG201−51きめの粗い多孔性)1310を飽和させる。飽和したガラス濾板1310を、広い平坦な底部を有するペトリ皿1314内に配置し、JSU 1312を、ガラス濾板1310の頂面1316に達するまで加える。JSUの高さは、ガラス濾板1310の高さを超えてはならない。
【0198】
シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)は、容易に伸張される。伸張を防ぐために、ピストン/シリンダーアセンブリ1028のシリンダー1120を把持しながら、蓋1116のすぐ上で、ピストンシャフト1114に人差し指で横からの圧力を適用する。これは、ピストンシャフト1114を、蓋1116に対して定位置に「固定」し、その結果、ピストン/シリンダーアセンブリ1028は、過度な力をスクリーン(図示せず)上に働かせることなく、持ち上げることができる。
【0199】
ピストン/シリンダーアセンブリ1028全体を、この方法で持ち上げ、ペトリ皿1314内のガラス濾板1310上に配置する。ペトリ皿1314からのJSU 1312は、ガラス濾板1310を通過し、超吸収性ポリマー粒子(図示せず)に吸収され、ヒドロゲル層1318を形成する。ペトリ皿1314内で利用可能なJSU 1312は、全ての膨潤面にとって十分なものでなければならない。必要であれば、JSU 1312の液面をガラス濾板1310の頂面1316に維持するために、水和期間中に一層多くのJSU 1312をペトリ皿1314に加えてもよい。60分後、上記のようにピストンシャフト1114を蓋1116に対して固定するように注意を払いながら、ピストン/シリンダーアセンブリ1028をガラス濾板1310から取り外し、この手順の間にヒドロゲル層1318がJSU 1312を失わないか又は空気を吸収しないことを確実にする。ピストン/シリンダーアセンブリ1028をはさみ尺(図示せず)の下に配置し、指数L
2を0.01mm単位で記録する。読取り値が時間と共に変化する場合、初期値のみが記録される。ヒドロゲル層1318の厚みL
0は、L
2−L
1から0.1mm単位で決定される。
【0200】
ピストンシャフト1114を蓋1116に対して定位置に固定するように注意を払いながら、ピストン/シリンダーアセンブリ1028をリング支持スタンド1040に取り付けられた支持スクリーン(図示せず)に移動する。一定静水頭部リザーバ1014は、配送管1018が第2の蓋開口部1136を介して配置されるように、位置付けられる。測定は以下の順序で開始される:
a)一定静水頭部リザーバ1014のストップコック1020が開放されて、食塩水1032が、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156に達するようにする。この食塩水1032の液面は、ストップコック1020を開いて10秒以内に得られるべきである。
b)一度5.00cmの食塩水1032が達成されると、データ収集プログラムが開始される。
【0201】
天秤1026に取り付けられたコンピュータ(図示せず)の補助により、ヒドロゲル層1318を通過する食塩水1032の量を、20秒間隔で10分間にわたって記録する。10分間終了時に、一定静水頭部リザーバ1014上のストップコック1020を閉じる。
【0202】
60秒から実験の終わりまでのデータをUPM計算に使用する。60秒よりも前に収集されたデータは、計算に含めない。流量F
s(g/s単位)は、60秒から600秒までの時間(秒単位における)の関数として収集された食塩水1032の重量(グラム単位における)のグラフに対する線状最小2乗適合の傾きである。
【0203】
ヒドロゲル層1318の尿透過率測定(Q)は、以下の等式に従って計算する。
Q=[F
g×L
0]/[ρ×A×ΔP]
式中、F
gは、流量結果の回帰分析から決定される流量(単位g/s)であり、L
0は、ヒドロゲル層1318の初期厚み(単位cm)であり、ρは、食塩水1032の密度(単位g/cm
3)である。A(上記の等式の)はヒドロゲル層1318の面積(単位cm
2)であり、ΔPは静水圧(単位ダイン/cm
2)であり、尿透過率測定Qは、単位cm
3秒/gmである。3つの測定値の平均が報告されるべきである。
【0204】
・FSR試験方法
この方法は、超吸収性ポリマー粒子、特に架橋ポリアクリレート類などの高分子ヒドロゲル化粒子が、0.9%生理食塩水(0.9質量% NaCl水溶液)中で膨潤する速度を決定する。測定の原理は、超吸収性ポリマー粒子に既知の量の流体を吸収させ、流体の吸収に要する時間を測定する。次に、吸収された流体(単位グラム)/材料(単位グラム)/秒で結果を表す。全部の試験は、23±2℃で行われる。
【0205】
超吸収性ポリマー粒子の代表的なサンプル4グラムを、測定前に、覆いのない直径5cmのペトリ皿内にて、23±2℃及び1.33Pa(0.01トル)以下の真空チャンバ内で48時間乾燥する。
【0206】
約1g(+/−0.1g)の試験標本を真空チャンバから除去し、直ぐに32〜34mmの内径及び50mmの高さを有する25mLビーカー内にて0.001gの精度まで秤量する。材料を底部上に均等に拡げる。20gの0.9%生理食塩水を、50mLビーカー内にて+/−0.01gの精度まで秤量した後、試験材料を収容するビーカー内に注意深く、しかし急速に注ぐ。液体が材料に接触した直後に、タイマーを開始する。ビーカーは、膨潤中、移動されず又は掻き回されない。
【0207】
流体の最後の部分が、膨潤している粒子により到達された際、タイマーを停止し、時間を秒単位で記録する。終点の決定の再現性を増大させるために、液体表面を小ランプで、そのランプにより加熱することなく照射してもよい。ビーカーを再び秤量して、実際に捕捉された液体を±0.1gの範囲内で決定する。
【0208】
超吸収性ポリマー粒子の重量を、実際に捕捉された液体の量で除算し、結果をこの捕捉に要した時間で除算することにより自由膨潤率を計算し、単位「g/g/s」で表す。3回の測定を行い、結果を平均してFSR値(単位g/g/s)を得、3桁の有効数字まで報告する。
【0209】
・平坦捕捉試験方法
この方法は、典型的には体重が8〜13kg±20%の範囲の着用者に指定された幼児用おむつ(例えば、Pampers Active Fitのサイズ4若しくは他のPampers幼児用おむつのサイズ4、Huggies幼児用おむつのサイズ4、又はほとんどの他の商標名の幼児用おむつのサイズ4)の捕捉時間を測定する。
【0210】
装置
試験装置は、
図14に示されており、呼称12.5mm(0.5インチ)の厚さのポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))製のトラフ1411を含む。トラフ1411は、長さ508mm(20.0インチ)、幅152mm(6.0インチ)の直線状水平底部1412を有する。高さ64mm(2.5インチ)×長さ508mm(20インチ)の2つの直線状垂直側部1413を底部1412の長縁に固定し、長さ508mm(20.0インチ)、内部幅152mm(6.0インチ)、内部深さ51mm(2.0インチ)のU字型トラフ1411を形成する。トラフ1411の前端部及び後端部は囲われていない。
【0211】
寸法が508×152×25mmの連続気泡ポリウレタン発泡体1414のスラブをポリエチレンフィルムで包み、発泡体1414及びトラフ1411の縁が揃い、ポリエチレンフィルムの上面が滑らかで、継ぎ目、しわ、又は欠陥がないように、トラフ1411の底部に配置する。ポリウレタン発泡体1414は、3.31kPa(0.48psi)の圧縮弾性率を有する。消せないマーカーを使用して、横断方向中心線に平行に一方の端部(前縁部)から152mm(6.0インチ)にポリエチレンカバーの上面の幅にわたって基準線を引く。
【0212】
直線状ポリカーボネート上部プレート1415は、呼び厚み12.5mm(0.5インチ)、長さ508mm(20.0インチ)、幅146mm(5.75インチ)を有する。上部プレート1415の中心には、直径51mm(2.0インチ)の孔が開けられている(即ち、孔の中心は、上部プレート1415の上面の縦軸及び横軸の交点に位置する)。外径51mm(2.0インチ)、内径37.5mm(1.5インチ)、高さ102mm(4.0インチ)のポリカーボネートシリンダー1416を上部プレート1415の孔内に接着し、シリンダー1416の底縁部が上部プレート1415の下面とぴったり重なり、シリンダー1416が上部プレート1415の上面の上に垂直に89mm(3.5インチ)突き出すようにして、シリンダー1416と上部プレート1415との継ぎ目を防水にする。高さ2mm、直径44.5mm(1.75インチ)の環状陥凹部1417をシリンダー1416の底部内縁に機械切削する。2つの直径1mmの孔を上部プレート1415の上面に45°の角度で開け、孔が陥凹部1417の真上でシリンダー1416の内側表面と交差し、シリンダー1416の両側に(即ち、180°離れて)存在するようにする。2本の直径1mmのステンレス鋼ワイヤ1418を防水式に孔内に接着し、各ワイヤの一端が内側シリンダー壁とぴったり重なり、もう一端が上部プレート1415の上面から突き出るようにする。これらのワイヤを以下、電極と呼ぶ。横断方向中心線に平行に前縁部から152mm(6.0インチ)に上部プレート1415の幅にわたって基準線を刻む。上部プレート1415/シリンダー1416アセンブリは、約1180グラムの重量を有する。
【0213】
また、それぞれ重さが9.0kg、寸法が幅146mm(5.75インチ)、奥行き76mm(3.0インチ)、高さ約100mm(4インチ)の2つの鋼製おもりも必要とする。
【0214】
手順:
全ての試験を23±2℃及び相対湿度35±15%で行う。
包まれた発砲体スラブ1414を収容するポリカーボネートトラフ1411を好適な平坦な水平面に置く。使い捨て吸収性製品をその包装から取り外し、製品を平らに置くことができるようにカフ弾性体を好適な間隔で切断する。製品を好適な上のせ式天秤で±0.1グラムまで計量した後、製品の前側腰部縁部をポリエチレンカバー上の基準マークに揃えて、捕捉装置内の覆われた発砲体スラブ1414上に配置する。製品のトップシート(身体側)を上に向け、後側腰部縁部を発砲体スラブ1414の後端部に向けて、製品を装置の長手方向中心線に沿って中央に配置する。突き出したシリンダーを上に向けて、上部プレート1415を製品の上に配置する。刻まれた基準線を製品の前側腰部縁部に揃え、上部プレート1415の後端部を発砲体スラブ1414の後縁部に揃える。次に、2つの9.0kgのおもりを、各おもりの幅がトッププレートの横方向中心線に平行になり、各おもりがトッププレート1415の前方又は後方縁部から83mm(3.25インチ)になるように、静かにトッププレート1415の上に置く。
【0215】
電極間の導電性流体の存在を検出するために、好適な電気回路を2本の電極に接続する。
【0216】
好適なポンプ(例えば、Cole Parmer Instruments(Chicago,USA)により供給されるモデル7520−00又は同等物)は、内径4.8mm(3/16インチ)を有する可撓性プラスチックチューブ(例えば、Tygon(登録商標)R−3603又は同等物)を通して0.9質量%の塩化ナトリウム水溶液を排出するように設定される。管の終端部を垂直に固定し、上部プレート1415に取り付けられたシリンダー1416内の中央に配置されるようにして、管の放出端が下に向き、シリンダー1416の上端の下方50mm(2インチ)に配置された状態にする。ポンプは、タイマーによって操作され、15mL/秒の速度で0.9%食塩水溶液の75.0mLの噴出を放出するように前もって較正される。
【0217】
ポンプを作動し、作動時に直ちにタイマーを開始する。ポンプは、15mL/秒の速度で0.9% NaCl溶液の75mLをシリンダー1416に放出した後、停止する。試験流体をシリンダー1416に投入すると、試験流体は典型的には吸収性構造体の上部にある程度まで蓄積する。この流体により、シリンダー内の2本の電極間の電気回路が完成される。噴出が放出された後、流体が構造に吸収されると、溶液のメニスカスが低下する。シリンダー内の電極間に遊離流体がなくなるために電気回路が遮断されると、時間が記録される。
【0218】
特定の噴出の捕捉時間は、その噴出のためのポンプの作動と電気回路の遮断時との時間間隔である。
【0219】
各噴出が75mLで15mL/秒で放出されるように、4回の噴出を製品に放出する。各噴出を開始する時間間隔は、300秒である。
【0220】
4回の噴出の捕捉時間を記録する。このように3つの製品を試験し、それぞれの対応の噴出(1回目〜4回目)の平均噴出時間を計算する。
【実施例】
【0221】
本開示に係る吸収性構造体は、それらの特性を先行技術の吸収性構造体の特性と比較するように調製されている。試験された吸収性構造体は全て、不織布材料から作製された2つの基材層の間に挟まれている超吸収性ポリマー粒子を含む。表1に示されているデータに関して、全てのサンプルは吸収性コアから取られている。サンプルは、吸収性物品(サイズ4)の吸収性コアの部分に対応し、この部分は物品の前側腰部縁部から152mmの距離において、物品の長手方向中心線上に中心が置かれている。サンプルが取られている吸収性コアの部分において、サンプル1及び2並びに比較実施例1及び2の吸収性構造体は同じ構造を有する。それらは、使用されている超吸収性ポリマー粒子に関してのみ異なる。表2に示されているデータに関して、実施例2並びに比較実施例1及び2の吸収性構造体の全体は、同じ構造を有し、使用されている超吸収性ポリマーに関してのみ異なる。
【0222】
・比較実施例1
2010年8月にUKで市販されているPampers Active Fitおむつに使用されるものと同じ超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体を調製した。これらの超吸収性ポリマー粒子は、一般に米国特許出願公開第2009/0275470A1号に従って製造される。超吸収性ポリマー粒子は、欧州特許出願公開第10154618.2号、発明の名称「Method of separating superabsorbent polymer particles from a solidified thermoplastic composition comprising polymers」に記載されるように、市販のPampers Active Fitおむつから分離されてもよいことに留意すべきである。
【0223】
超吸収性ポリマー粒子の標準粒径分布は45〜710μmであり、45μを下回るものが最大1%、710μmを上回るものが最大1%である。
【0224】
・比較実施例2
国際公開第2010/095427(A1)号、発明の名称「Polyacrylic acid−based water−absorbing resin powder and method for producing the same」に開示される比較実施例11に従って、300gの超吸収性ポリマー粒子を調製した。かかる超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体を調製した。
【0225】
・(実施例1)
比較実施例1の超吸収性ポリマー粒子4000kgを、約100〜150kg/時間の能力を有する粗目ふるい装置内のAISI 304標準300μmステンレス鋼ワイヤーメッシュ上でふるいにかけ、中間直径(D50)が約180〜200μm、粒径分布が45〜300μm、45μを下回るものが最大3%、300μmを上回るものが最大3%の超吸収性ポリマー粒子750kgを得た。かかる超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体を調製した。
【0226】
・(実施例2)
国際公開第2010/095427 A1号、発明の名称「Polyacrylic acid−based water−absorbing resin powder and method for producing the same」に開示される実施例9に従って、300gの超吸収性ポリマー粒子を調製した。かかる超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体を調製した。
【0227】
実施例1及び2並びに比較実施例1及び2の吸収性構造体のいくつかのパラメータを測定した。つまり、20g/gの吸収達成時間(T20)、20分での吸収(U20)、U20の80%の吸収達成時間(T80%)、20分での有効透過率(K20)、及び一時的ゲルブロッキング指数(Kmin/K20)を、上記に提示するK(t)試験方法に従って測定した。実施例1及び2並びに比較事例1及び2の吸収性構造体の超吸収性ポリマー粒子のUPM(尿透過率測定)は上記に提示するUPM試験方法に従って測定した。超吸収性ポリマー粒子のCRC(遠心分離保持容量)は、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定した。
【0228】
図18A及び18Bは、上記に提示するK(t)試験方法に従って測定するとき、比較実施例1及び2に対する実施例1及び2の吸収性構造体の吸収を時間の関数(単位g/g)として表す。
【0229】
測定したパラメータの様々な値を以下の表1にまとめて示す。
【0230】
【表2】
【0231】
図18A及び18B並びに表1から分かるように、K(t)試験方法に従って測定したとき、実施例1及び2に従って作製された吸収性構造体の20g/gの吸収達成時間(T20)は、比較実施例1及び2に従って作製された吸収性構造体のT20より極めて低い。したがって、これらの吸収性構造体は、乾燥状態でも、即ち液体への初期曝露時でも、液体を素早く吸収することができる。
【0232】
また、表1から分かるように、比較実施例1及び2の吸収性構造体の超吸収性ポリマー粒子などの、平衡状態で高い透過率(高いUPM値)を有する超吸収性ポリマー粒子は、かかる超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体に関して自動的に高いT20値を有することはなく、これは、液体への初期曝露時に液体を素早く吸収できる超吸収性ポリマー粒子を選択するために、超吸収性ポリマー粒子の平衡状態での透過率が信頼性のある基準ではないことを意味する。
【0233】
・比較実施例1又は2の超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体を含むおむつの捕捉時間対本開示による超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性構造体を含むおむつの捕捉時間。
2010年8月にUKで市販されているPampers Active Fitおむつのサイズ4の捕捉時間を、上記に提示する平坦捕捉試験方法に従って測定した。これらのおむつは、比較実施例1の超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアを含む。超吸収性ポリマー粒子は、比較実施例2の実施例2の超吸収性ポリマー粒子に取り換えられているが、吸収性コアは同じ構造体を有する吸収性コアによって取り替えられている同じおむつの捕捉時間を、上記に提示する平坦捕捉試験方法に従って測定した。全てのおむつの吸収性コアは、上記に提示する厚み測定試験方法に従って測定するとき、おむつの股点で1.7mmの乾燥厚みを有する。全てのサンプルの捕捉時間について得られた値を以下の表2にまとめて示す。
【0234】
【表3】
【0235】
上記の表2から分かるように、比較実施例1又は2に従った超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアを備えるおむつの初期噴出の捕捉時間は、超吸収性ポリマー粒子を実施例2の超吸収性ポリマー粒子に取り換えた同じおむつの初期噴出の捕捉時間より多い。
【0236】
したがって、本発明による吸収性物品(即ち吸収性構造体の1つ又は2つ以上の部分が超吸収性ポリマー粒子の少なくとも90%を含み、K(t)方法に従って測定するとき、440秒未満の20g/gの吸収達成時間(T20)を要する、吸収性構造体を含む吸収性物品)は、特に初期噴出において、即ち物品が濡れ始めるときに、改善された吸収特性を有する。
【0237】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。