特許第6054423号(P6054423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧
特許6054423流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置
<>
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000002
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000003
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000004
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000005
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000006
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000007
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000008
  • 特許6054423-流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054423
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20161219BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 N
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-553217(P2014-553217)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(86)【国際出願番号】JP2013084239
(87)【国際公開番号】WO2014098214
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-280054(P2012-280054)
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】中須賀 実
(72)【発明者】
【氏名】岩田 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】森 昌吾
(72)【発明者】
【氏名】上山 大蔵
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−141113(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0079376(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/136362(WO,A1)
【文献】 特開2014−038893(JP,A)
【文献】 特開2014−045134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体部と、
該枠体部の一方側を覆う第1蓋体部および前記枠体部の他方側を覆う第2蓋体部を備えてなる蓋体部とを有し、
前記枠体部および前記蓋体部で囲まれた内部空間が、流体が流れる流路とされた流路部材であって、
前記第1蓋体部および前記第2蓋体部のうち一方の蓋体部に、前記流路内に向けて延びる第1のピン状フィンが設けられており、該第1のピン状フィンは、前記一方の蓋体部に根本部が挿入されて固定され、前記一方の蓋体部と前記第1のピン状フィンとの間には、前記流路に向かって広がる隙間が設けられていることを特徴とする流路部材。
【請求項2】
前記第1蓋体部および前記第2蓋体部のうち他方の蓋体部に、前記流路内に向けて延びる第2のピン状フィンが設けられており、前記他方の蓋体部と前記第2のピン状フィンとの間には、前記流路に向かって広がる隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流路部材。
【請求項3】
それぞれの前記ピン状フィンが、それぞれの前記蓋体部に設けられた凹部に挿入されて固定されていることを特徴とする請求項2に記載の流路部材。
【請求項4】
前記第1のピン状フィンが、流体の流れる方向に対して鋭角に傾斜しているとともに、前記第2のピン状フィンが流体の流れる方向に対して鈍角に傾斜しているまたは直角に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の流路部材。
【請求項5】
前記一方の蓋体部に設けられた第1のピン状フィンの先端が、前記他方の蓋体部に設けられた第2のピン状フィンの先端よりも他方の蓋体部側に位置することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1つに記載の流路部材。
【請求項6】
前記枠体部、前記第1蓋体部、前記第2蓋体部、前記第1のピン状フィンおよび前記第2のピン状フィンのそれぞれがセラミックスからなることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の流路部材。
【請求項7】
前記第1のピン状フィンおよび前記第2のピン状フィンがセラミックスの積層体からなることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の流路部材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の流路部材の前記第1蓋体部および前記第2蓋体部のうち、前記第1のピン状フィンまたは前記第2のピン状フィンが設けられた蓋体部の少なくとも一方において、前記流路側と反対側の表面に、金属部材が設けられていることを特徴とする熱交換器。
【請求項9】
請求項8に記載の熱交換器に半導体素子が実装されてなる半導体装置であって、前記半導体素子は、前記金属部材が設けられた蓋体部に実装されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の小型化傾向に伴い、実装される半導体素子の高集積化・高速化が進んでいる。それに伴い、半導体素子からの発熱量が増大しており電子部品が高温の環境下で使用されるようになってきている。それゆえ、電子部品を冷却する必要性が高くなってきている。
【0003】
例えば特許文献1には、半導体モジュールを冷却するための流路部材として、半導体モジュールを載置する載置面の反対面に冷媒の流れに直交するようにピン状フィンを複数立設した流路部材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−4405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在では、さらに熱交換効率を高めた流路部材が求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために案出されたものであり、熱交換効率の高い流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流路部材は、枠体部と、該枠体部の一方側を覆う第1蓋体部および前記枠体部の他方側を覆う第2蓋体部を備えてなる蓋体部とを有し、前記枠体部および前記蓋体部で囲まれた内部空間が、流体が流れる流路とされた流路部材であって、前記第1蓋体部および前記第2蓋体部のうち一方の蓋体部に、前記流路内に向けて延びる第1のピン状フィンが設けられており、該第1のピン状フィンは、前記一方の蓋体部に根本部が挿入されて固定され、前記一方の蓋体部と前記第1のピン状フィンとの間には、前記流路に向かって広がる隙間が設けられていることを特徴とするものである。

【0008】
また、本発明の熱交換器は、上記構成の流路部材における前記第1蓋体部および第2蓋体部のうち、前記第1のピン状フィンまたは前記第2のピン状フィンが設けられた蓋体部の少なくとも一方において、前記流路側と反対側の表面に、金属部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の半導体装置は、上記構成の熱交換器に半導体素子が実装されてなる半導体装置であって、前記半導体素子は、前記金属部材が設けられた前記蓋体部に実装されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の流路部材によれば、第1のピン状フィンの根本部で渦流を発生させることができ、それにより熱交換効率を向上できる。
【0011】
また、本発明の熱交換器によれば、流路部材と金属部材との熱交換を効率的に行なうことができ、熱交換効率の高い熱交換器とすることができる。
【0012】
また、本発明の半導体装置によれば、シンプルな構造で半導体素子の発熱による温度上昇を抑制する半導体装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
図1】本実施形態の流路部材の一例を示す図であり、(a)は流体の流れる方向に沿う方向の断面図であり、(b)は流体の流れる方向に直交する方向の断面図であり、(c)は(a)の点線で囲んだA部を拡大した断面図である。
図2】本実施形態の流路部材の他の一例を示す図であり、(a)は流体の流れる方向に沿って垂直な断面図であり、(b)は流体の流れる方向に直交する方向の断面図である。
図3】本実施形態の流路部材のさらに他の一例を示す図であり、(a)は流体の流れる方向に沿って垂直な断面図であり、(b)は流体の流れる方向に直交する方向の断面図である。
図4】本実施形態の流路部材のさらに他の一例を示す図であり、(a)は流体の流れる方向に沿って垂直な断面図であり、(b)は流体の流れる方向に直交する方向の断面図である。
図5】本実施形態に用いるピン状フィンの一例の横断面形状を示す図であり、(a)〜(c)は方形状の例であり、(d)および(e)は円形状の例である。
図6】本実施形態の熱交換器の一例を示し、流路部材における蓋体部の流路の反対側主面の上に金属部材を設けた熱交換器の斜視図である。
図7】本実施形態の半導体装置の一例を示し、熱交換器に半導体素子が実装された半導体装置の斜視図である。
図8】本実施形態の半導体装置の他の一例を示し、熱交換器の上面および下面にそれぞれ半導体素子が実装された半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参考にして本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明の流路部材の実施の形態の一例を、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の流路部材1の一例を示す図であり、(a)は流体の流れる方向に沿う方向の断面図であり、(b)は流体の流れる方向に直交する方向の断面図であり、(c)は(a)の点線で囲んだA部を拡大した断面図である。なお、以降の図において、同一の構成には同一の符号を用いて説明する。
【0016】
図1に示す本実施形態の流路部材1は、枠体部3と、この枠体部3の一方側を覆う第1蓋体部2aおよび枠体部3の他方側を覆う第2蓋体部2bを備えてなる蓋体部2とを有し、枠体部3および蓋体部2で囲まれた内部空間が、流体8が流れる流路6とされており、第1蓋体部2aに、流路6内に向けて延びる第1のピン状フィン4が設けられている。なお、図1に示す流路部材1においては、第1のピン状フィン4は、第1蓋体部2aに根本部4bが挿入されて固定されている(以下、第1のピン状フィン4が蓋体部2に挿入されて固定されている部位を接合部9という場合がある。)とともに、第1のピン状フィン4が挿入された部分において第1蓋体部2aと第1のピン状フィン4との間に、流路6側に向けて広がる隙間7を有している。なお、図1では、第1蓋体部2aの内面側に第1のピン状フィン4を挿入して設けた例を示したが、第2蓋体部2bにのみ第2のピン状フィン4’を設けることもできる。この場合においては、第1のピン状フィン4と第1蓋体部2aとの間、第2のピン状フィン4’と第2の蓋体部2bとの間のそれぞれに、流路6に向かって広がる隙間7を有していればよい。
【0017】
また、本実施形態では、流体8は枠体部3の一方の側面に設けられた供給口16から供給され、対向する他方の側面に設けられた排出口17より排出されるが、供給口16および排出口17の位置については第1蓋体部2aまたは第2蓋体部2bのいずれ側にあってもよく、さらには第1蓋体部2a、第2蓋体部2bに設けることもできる。
【0018】
なお、本実施形態における第1のピン状フィン4とは、横断面形状において、長辺方向の寸法と短辺方向の寸法とのアスペクト比が10以下であって、一方の先端部4a(以下、単に先端部という場合がある。)が、第1蓋体部2a、第2蓋体部2bのいずれにも固定されていないものを指す。そして、第1のピン状フィン4の長辺方向は、流体8の流れに沿う方向であり、短辺方向とは流体8の流れに直交する方向である。また、第1のピン状フィン4は第1蓋体部2aまたは第2蓋体部2bに対して複数設けられていることが好ましく、この場合において第1蓋体部2aまたは第2蓋体部2bの内面側に格子状または千鳥格子状などに配置されていることが好ましい。
【0019】
また、本実施形態において蓋体部2と第1のピン状フィン4との間に、流路6に向かって広がる隙間7を有しているとは、蓋体部2の内面側に挿入された第1のピン状フィン4の根本部4bの全周を取り巻くように隙間7が存在する場合と、一部分にのみ隙間7が存在する場合とのいずれも含むものとする。なお、一部分にのみ隙間7が存在する場合には、供給口16側にあることが好ましい。
【0020】
本実施形態における隙間7は、蓋体部2と第1のピン状フィン4との接合部9の蓋体部2側に隙間7を存在させた場合の説明としたが、第1のピン状フィン4の根本部4bの径を他の部分より小さくすることによって段差を設けることによって隙間7とすることもできる。
【0021】
そして、本実施形態の流路部材1は、第1蓋体部2aに流路6内に向けて延びる第1のピン状フィン4が設けられて固定されているとともに、第1蓋体部2aと第1のピン状フィン4との間に、流路6に向かって広がる隙間7を有していることから、枠体部3の一方の側面に設けられた供給口16から流体8を流路6に流したとき、流体8の一部は第1のピン状フィン4の合間を縫って流れる伏流8aと、第1のピン状フィン4の先端部4aと第2蓋体部2b間の隙間とを流れる表面流8bとになって、枠体部3の他方の側面に設けられた排出口17から流路部材1の外部に排出される。この際、伏流8aと表面流8bとは第1のピン状フィン4の表面に沿って流れる沿面流8cによって混ざり合うとともに、さらに、伏流8aおよび沿面流8cの一部が、隙間7で渦流8dを発生させる。この渦流8dによって、第1蓋体部2aの内面近傍に生じた境膜を壊す、または境膜を生じ難くするので、流路6を流れる流体8と流路部材1の外部との熱伝導抵抗を低くすることができ、第1のピン状フィン4の根本部4bでの熱交換効率を高めることができる。このような構成の流路部材1においては、第1蓋体部2aの外表面に熱交換対象物を配置したとき、熱交換対象物との距離が近い第1のピン状フィン4の根本部4bで効率的に熱交換ができる。
【0022】
また、流体8の流れは、第1のピン状フィン4の配置が、格子状または千鳥状に配置されている場合には、流体8は、第1のピン状フィン4の間に向けて左右にも分散される。それにより、流路6の幅方向における温度ばらつきを抑制できるとともに、圧力損失が高まることも抑制できる。
【0023】
つぎに、図2は本実施形態の流路部材の他の一例を示す図であり、(a)は流体8の流れる方向に沿って垂直な断面図であり、(b)は流体8の流れる方向に直交する方向の断面図である。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の他の一例である流路部材101においては、第1蓋体部2aに第1のピン状フィン4が、第2蓋体部2bに第2のピン状フィン4’が設けられている。それにより、より効率よく熱交換を行うことができる。なお、以下の説明において、第1のピン状フィン4および第2のピン状フィン4’の両方に共通する説明については、単にピン状フィン4という場合がある。
【0025】
また、図2に示した第2のピン状フィン4’は、第1のピン状フィン4と同様に、第2蓋体部2bに根本部4bが挿入されて固定されており、第2蓋体部2bと第2のピン状フィン4’との間に、流路6側に向けて広がる隙間7を有している。それにより、第1のピン状フィン4と同様に、供給口16からの流体8の一部が、伏流8aと、第2のピン状フィン4’の先端部4aと第1蓋体部2a間の隙間とを流れる表面流8bとになり、渦流8dが生じる。この渦流8dにより、第2蓋体部2bの内面近傍に生じた境膜を壊す、または境膜を生じ難くするので、流路6を流れる流体8と流路部材101の外部との熱伝導抵抗を低くすることができ、第2のピン状フィン4’の根本部4bでの熱交換効率を高めることができる。つまり、第1蓋体部2aおよび第2蓋体部2bの外面側に熱交換対象物を配置したとき、それぞれの熱交換対象物との距離が近い第1蓋体部2aおよび第2蓋体部2bに設けられた第1のピン状フィン4および第2のピン状フィン4’の根本部4bで効率的に熱交換できる。
【0026】
具体的には、本実施形態の流路部材1,101において、ピン状フィン4は、根本部4bが蓋体部2に設けられた凹部2cに挿入されて固定されていることが好ましい。
【0027】
このように、ピン状フィン4が蓋体部2に設けられた個々の凹部2cに挿入されて固定されているときには、ピン状フィン4の根本部4bの後端(ピン状フィン4の他方の先端)は、蓋体部2の熱交換対象物を配置する外表面と近接するから、熱交換効率をさらに高めることができる。
【0028】
また、本実施形態の流路部材101においては、第1のピン状フィン4と第2のピン状フィン4’とが交互に設けられているとともに、流体8の流れる方向に沿った垂直な断面視において、一方の蓋体部2aに設けられた第1のピン状フィン4の先端(以下、単に「先端」という場合がある。)が、他方の蓋体部2bに設けられた第2のピン状フィン4’の先端よりも、他方の蓋体部2b側に位置することが好ましい。言い換えれば、他方の蓋体部2bに設けられた第2のピン状フィン4’の先端が、一方の蓋体部2aに設けられた第1のピン状フィン4の先端よりも、一方の蓋体部2a側に位置することが好ましい。
【0029】
このように、本実施形態の流路部材101は、一方の蓋体部2aに設けられた第1のピン状フィン4の先端が、他方の蓋体部2bに設けられた第2のピン状フィン4’の先端よりも他方の蓋体部2b側に位置することから、枠体部3の一方の側面に設けられた供給口16から供給された流体8は、枠体部3の他方の側面に設けられた排出口17より排出されるまでの間で、第1のピン状フィン4と第2のピン状フィン4’との間を縫って流れる伏流8aとなる。そして、第1のピン状フィン4の先端部4aと第2のピン状フィン4’の先端部4aとが密接して配置されることから、この部分での圧力損失が高くなり第1のピン状フィン4および第2のピン状フィン4’の各先端部4aの間の部分を流れる伏流8aは少なくなる。言い換えれば、圧力損失が相対的に低くなりやすい蓋体部2側を流体8が流れやすくなる。それにより熱交換効率を向上することができる。
【0030】
また、本実施形態の流路部材は、枠体部3、第1蓋体部2a、第2蓋体部2b、第1のピン状フィン4および第2のピン状フィン4’のそれぞれがセラミックスからなることがより好ましい。
【0031】
本実施形態の流路部材1,101の枠体部3、第1蓋体部2a、第2蓋体部2b、第1のピン状フィン4および第2のピン状フィン4’のそれぞれがセラミックスからなるときは、耐熱性、耐食性に富むため高熱を発する半導体装置や燃焼ガスの冷却用熱交換器等の流路部材として適している。
【0032】
特に蓋体部2がセラミックスからなるときは、蓋体部2の外面側(流路6の反対側の主面)に直接、配線導体などの金属部材を形成することができるため、この金属部材上に半導体素子を実装でき、部品点数の削減ができるとともに、部品の接合部が少なくできる分、接合部9における熱抵抗を低減でき熱交換効率を高められる。
【0033】
また、半導体素子の材料としてセラミックスも使われつつあり、半導体素子の材料と流路部材1,101がいずれもセラミックスであれば熱膨張係数が近似しているため、流路部材1,101ならびに半導体素子の温度が高くなったときに、これらの間に配線層などの金属部材が介在していても、配線層などの金属部材を挟む流路部材1,101と半導体素子との熱応力に大きなアンバランスが発生しないことから、剪断応力を生じることを抑制できる。それにより、半導体素子などの接合部の剥離の発生を抑制できる。
【0034】
ここで、セラミックス材料としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト、炭化硅素、窒化珪素、窒化アルミニウムやこれらの複合材料でもよい。
【0035】
また、本実施形態の流路部材1,101は、ピン状フィン4が、セラミックスの積層体からなることが好ましい。ピン状フィン4がセラミックスの積層体からなるときには、耐熱性、耐食性に富むため高熱を発する半導体装置や燃焼ガスの冷却用熱交換器等の流路部材として適している。なおこの場合において、枠体部3、第1蓋体部2a、第2蓋体部2bは、セラミックスのほか、金属、樹脂等を用いて作製してもよい。
【0036】
ピン状フィン4がセラミックスの積層体からなるときには、容易にピン状フィン4の高さを調整することができる。例えば、蓋体部2の発熱体直下に位置するピン状フィン4の高さを高くし、それ以外を低くすることにより、熱交換効率の向上と圧力損失のバランスをとることもてきる。また、各層毎に位置を少しずつずらして積層することによって、各層毎に、段差(凸または凹となった部分)を形成することができ、この段差があることによって流体8が渦流を起こしやすくなる。それにより流体8と熱交換対象物との熱交換の効率を高くすることができる。
【0037】
ちなみに、枠体部3、蓋体部2およびピン状フィン4のそれぞれがセラミックスからなり、ピン状フィン4が、根本部4bが蓋体部2に設けられた凹部2cに挿入されて固定されている場合には、以下の様にして作製することができる。
【0038】
まず、蓋体部2となるセラミックグリーンシートの板状体にプレス成型やレーザ加工等により凹部2cを形成する。次に、セラミックグリーンシートをプレス成型やレーザ加工等によって、ピン状フィン4となる板状のシートを加工し、その板状のシートを積層して棒状の成形体を形成する。あわせて、セラミックグリーンシートの板状体を用いて枠体部3となる成形体を形成する。この棒状の成形体を凹部2cに嵌め込み、さらに、枠体部3の成形体と蓋体部2の成形体とを、それぞれ組合せ、所定の温度で焼成することにより、流路部材1,101を作製することができる。なお、ピン状フィン4は、押出成形により棒状の成形体を形成し、凹部2cに嵌め込んでもよい。
【0039】
また、蓋体部2とピン状フィン4との接合部9に、流路6側に開口する隙間7を形成する方法としては、プレス成型やレーザ加工によって、凹部2cの開口部にR面またはC面を形成すればよい。プレス成型においては、蓋体部2の材質が金属やセラミックのグリーンシートの板状体であれば、凹部2cの開口部にR面またはC面が形成できるようなポンチを用いてプレス成型すればよい。また、レーザ加工でもレーザ光の照射深度を変化させることによって凹部2cの開口部にR面またはC面が形成できる。
【0040】
ちなみに、ピン状フィン4は上記のように加工した板状のシートを積層して棒状の成形体を形成して作製するほか、例えば、スラリーを何層にも重ねて塗ることで、積層体と同様の形状としてもよい。さらには、蓋体部2とピン状フィン4とは異なる材料から形成してもよく、例えば、それぞれの材料が金属とセラミックスのように異なっていれば、これらをロウ付けなどにより接合すればよい。
【0041】
つぎに、図3および図4は、本実施形態の流路部材のさらに他の一例を示す図であり、図3および図4の(a)は流体8の流れる方向に沿って垂直な断面図であり、図3および図4の(b)は流体8の流れる方向に直交する方向の断面図である。
【0042】
図3に示す流路部材102では、第1蓋体部2aに設けられた第1のピン状フィン4が、流体の流れる方向に対して傾斜して設けられ、第2蓋体部2bに設けられた第2のピン状フィン4’は流体の流れる方向に対して直角に設けられている。また、図4に示す流路部材103では、第1蓋体部2aに設けられた第1のピン状フィン4および第2蓋体部2bに設けられた第2のピン状フィン4’のそれぞれが、流体の流れる方向に対して傾斜して設けられている。
【0043】
ここで、ピン状フィン4(先端部4a)を、流体の流れる方向に対して、上流側に傾斜させて流体8の流れる方向とピン状フィン4の延びる方向とが鋭角となるように傾斜させた構成としたときには、流体の流れがより蓋体部2側に流れることとなり、効率よく熱交換を行うことができる。
【0044】
一方で、ピン状フィン4(先端部4a)を、流体の流れる方向に対して、下流側に傾斜させて流体8の流れる方向とピン状フィン4の延びる方向とが鈍角となるように傾斜させた構成としたときには、圧力損失が高まることを抑制することができる。
【0045】
それゆえ、ピン状フィン4を設けるにあたり、後述するように蓋体部2に熱交換対象物を設ける場合には、熱交換対象物を設ける蓋体部2に設けるピン状フィン4は、流体の流れる方向に対して、流体8の流れる方向とピン状フィン4の延びる方向とが鋭角となるように傾斜させて設けることが好ましい。
【0046】
なおこの際、他方側の蓋体部2に設けるピン状フィン4は、図3に示す流路部材102のように直角となるように、または図4に示す流路部材103のように流体8の流れる方向とピン状フィン4の延びる方向とが鈍角となるように傾斜させて設けることが好ましい。
【0047】
上記の例以外にも、例えば、蓋体部2に載置される熱交換対象物が半導体素子であるときは、供給口16に近いピン状フィン4の先端部4aを下流側に傾斜させ、載置された半導体素子の直下付近のピン状フィン4の先端部4aが流体8の流れる方向に対して垂直方向となるように設けることにより、全体の圧力損失が高まることを抑制しつつ半導体素子の近辺の熱交換効率を高めることができる。
【0048】
この様に、使用する用途に応じて、ピン状フィン4の配置や傾斜方向を適宜選択することができる。
【0049】
図5は、本実施形態に用いるピン状フィン4の一例の横断面形状を示す図であり、(a)〜(c)は方形状の例であり、(d)および(e)は円形状の例である。
【0050】
ここで、図5においては、(a)は流体8の流れ方向に長辺が沿った長方形で、(b)は四角形で、(c)は対角線の一方が流体8の流れ方向に沿っており、角部の一つが流体8の流れに当る菱形であり、(d)は流体8の流れの方向に長軸が沿った楕円形で、(e)は円形である。
【0051】
このように、ピン状フィン4の横断面形状が長方形や四角形などの方形状であって、方形の辺の少なくとも一つが、流体8の流れに直交するように備えられた(a)および(b)の方形状の場合には、流体8が衝突するピン状フィン4の箇所では、流体8が渦流や沿面流となり周囲の流体8との混合が促進され熱交換効率は高くなる。
【0052】
一方、ピン状フィン4の横断面形状が楕円形や円形などの略円形状である(d)および(e)のときには、流体8が衝突するピン状フィン4の箇所では、流体8の多くが円形にそって左右に振り分けられ背面に回り込むために、ピン状フィン4と流体8との熱交換の温度分布にバラツキが抑えられ、かつ、圧力損失も低く抑えられる。
【0053】
なお、ピン状フィン4の横断面形状が、対角線の一方が流体8の流れ方向に沿っており、角部の一つが流体8の流れに当る菱形である(c)の場合は、上記ピン状フィン4の形状が(a)および(b)の方形状の場合と、(d)および(e)場合との中間の作用が得られる。
【0054】
なお、ピン状フィン4の形状についても、一つの流路部材1,101,102,103の中で、複数の形状を組み合わせてもよい。流路6の圧力損失が高まることを抑制しつつ、流路6の中程で熱交換効率を高めるのであれば、流路6の上流側におけるピン状フィン4の形状は、図3(a)の長方形や(d)の楕円形、(e)の円形とし、流路6の中程を(b)(c)の正方形や菱形とすればよい。
【0055】
このように、圧力損失の高低や、熱交換による温度分布ばらつきの大小のいずれを重要視するかにより、ピン状フィン4の横断面形状を選択すればよい。
【0056】
図6は、本実施形態の熱交換器の一例を示し、流路部材における蓋体部の流路の反対側主面の上に金属部材を設けた熱交換器の斜視図である。
【0057】
図6に示す本実施形態の熱交換器21は、流路部材1,101,102,103の第1蓋体部2aの流路6側と反対側の表面に金属部材22が設けられている。これにより、流路部材1,101,102,103と金属部材22との熱交換を効率よく行なうことができ、熱交換効率の高い熱交換器21とすることができる。
【0058】
ここで示す熱交換器21は、第1蓋体部2aの上に金属部材22を設けているが、第1蓋体部2aおよび第2蓋体部2bのうち、第1のピン状フィン4または第2のピン状フィン4’が設けられた蓋体部2の少なくとも一方の蓋体部2において、流路6側と反対側の表面に金属部材22を設けることが好ましい。なお金属部材22は、蓋体部2の内部に設けてあってもよい。
【0059】
ここで、熱交換器21のそれぞれの蓋体部2に設けられる金属部材22は、配線導体であれば、厚膜や薄膜の印刷によるものやメッキ法によるものや金属板の接合によるもの等の何れでもよい。
【0060】
図7は、本実施形態の半導体装置31の一例を示し、熱交換器に半導体素子が実装された半導体装置の斜視図である。
【0061】
図7に示す本実施形態の半導体装置31は、図6に示す熱交換器21において、金属部材22が設けられた蓋体部2に半導体素子33が実装されていることから、部品点数が少ないシンプルな構造で、発熱源である半導体素子33と流路部材1,101,102,103を流れる流体8との熱交換効率を高めることができるほか、コストを抑えることができる。
【0062】
図8は、本実施形態の半導体装置32の他の一例を示し、熱交換器の上面および下面にそれぞれ半導体素子が実装された半導体装置の断面図である。
【0063】
図8に示す本実施形態の半導体装置32は、熱交換器21の上面および下面の蓋体部2に金属部材22が設けられており、それぞれの金属部材22に半導体素子33が実装されている。ここに用いた熱交換器21は、流路部材1,101,102,103を用いているため、第1蓋体部2aおよび第2蓋体部2bのいずれもが熱交換効率が高く、したがって、いずれの金属部材22の上に載置された半導体素子33の温度上昇をも抑制できる。
【0064】
また、流路部材1,101,102,103の蓋体部2の内部に金属部材22を設けた熱交換器とすれば、金属部材22を複数に分割し、それぞれを電極とし電源と接続することにより電極間に吸引力が発生する。このような熱交換器は、ウエハを吸着するための静電チャックとして用いることができ、例えば、プラズマ処理装置として用いるならば、プラズマに曝されるウエハや電極が過度に高温となることを抑制できる。なお、蓋体部2の中に金属部材22を設ける場合は、セラミックグリーンシートにタングステンなどの導電性ペーストを印刷しさらにセラミックグリーンシートを積層する方法により電極を作製することができる。
【0065】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0066】
1,101,102,103:流路部材
2:蓋体部
2a:第1蓋体部
2b:第2蓋体部
2c:凹部
3:枠体部
4:第1のピン状フィン
4’:第2のピン状フィン
4a:先端部
4b:根本部
6:流路
7:隙間
8:流体
8a:伏流
8b:表面流
8c:沿面流
8d:渦流
9:接合部
16:供給口
17:排出口
21:熱交換器
22:金属部材
31,32:半導体装置
33:半導体素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8