特許第6054451号(P6054451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054451
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20161219BHJP
   H02S 40/30 20140101ALI20161219BHJP
   H01L 31/075 20120101ALI20161219BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L29/78 614
   H02S40/30
   H01L31/06 500
   H02M3/155 T
   H01L29/78 618B
【請求項の数】2
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-64426(P2015-64426)
(22)【出願日】2015年3月26日
(62)【分割の表示】特願2011-116796(P2011-116796)の分割
【原出願日】2011年5月25日
(65)【公開番号】特開2015-164193(P2015-164193A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2015年3月30日
(31)【優先権主張番号】特願2010-129033(P2010-129033)
(32)【優先日】2010年6月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】木村 肇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良明
(72)【発明者】
【氏名】王丸 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
【審査官】 竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−004733(JP,A)
【文献】 特開2009−099944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336、29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のトランジスタは、
第1の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層と重なる領域を有する第1のゲート電極と、
前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された第1の導電層及び第2の導電層と、を有し、
前記第2のトランジスタは、
第2の酸化物半導体層と、
前記第2の酸化物半導体層と重なる領域を有する第2のゲート電極と、
前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された前記第1の導電層及び第3の導電層と、を有し、
前記第1の導電層は、前記第1のトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方として機能する領域と、前記第2のトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方として機能する領域と、を有し、
前記第2の導電層は、前記第1のトランジスタのソース電極又はドレイン電極の他方として機能する領域を有し、
前記第3の導電層は、前記第2のトランジスタのソース電極又はドレイン電極の他方として機能する領域を有し、
前記第1の導電層は、前記第1のゲート電極と電気的に接続され、
前記第1の酸化物半導体層は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、第4の領域と、第5の領域と、第6の領域と、を有し、
前記第3の領域は、前記第1の導電層と接する領域を有し、
前記第4の領域は、前記第2の導電層と接する領域を有し、
前記第5の領域は、前記第3の領域の下方に設けられ、
前記第6の領域は、前記第4の領域の下方に設けられ、
前記第3の領域の導電率及び前記第4の領域の導電率は、前記第5の領域の導電率及び前記第6の領域の導電率よりも高く、
前記第1の領域は、前記第3の領域と前記第4の領域の間に設けられ、
前記第1の領域は、酸化物絶縁層と接し、
前記第2の領域は、前記第1の領域の下方に設けられ、
前記第2の領域は、ゲート絶縁層と接し、
前記第1の領域の抵抗率は、前記第2の領域の抵抗率よりも高く、
前記第2の酸化物半導体層は、第7の領域と、第8の領域と、第9の領域と、第10の領域と、第11の領域と、を有し、
前記第8の領域は、前記第1の導電層と接する領域を有し、
前記第9の領域は、前記第3の導電層と接する領域を有し、
前記第10の領域は、前記第8の領域の下方に設けられ、
前記第11の領域は、前記第9の領域の下方に設けられ、
前記第8の領域の導電率及び前記第9の領域の導電率は、前記第10の領域の導電率及び前記第11の領域の導電率よりも高く、
前記第7の領域は、前記第8の領域と前記第9の領域との間に設けられ、
前記第7の領域は、前記酸化物絶縁層と接し、
前記第7の領域は、前記ゲート絶縁層と接し、
前記第7の領域の抵抗率は、前記第2の領域の抵抗率よりも高く、
前記第1の酸化物半導体層の膜厚は、前記第2の酸化物半導体層の膜厚よりも厚いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のトランジスタは、整流素子としての機能を有し、
前記第2のトランジスタは、スイッチング素子としての機能を有することを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明の一様態は、光電変換装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力効果により、受けた光を直接電力に変換して出力する光電変換素子の一つとして
、太陽電池が挙げられる(特許文献1参照)。太陽電池は、従来の発電方式のように、途
中で熱エネルギーや運動エネルギーへのエネルギー変換の必要がない。
【0003】
さらに太陽電池と、該太陽電池で発電した直流電力を変換するコンバータ回路とを、太陽
電池の非受光面などに取り付けた光電変換装置が、小規模又は中規模の太陽光発電システ
ムや非常用電源として注目されている(特許文献2又は特許文献3参照)。
【0004】
このようなコンバータ回路として、例えばDC−DCコンバータ(直流−直流変換器)や
DC−ACコンバータ(直流−交流変換器)等が挙げられる(特許文献4又は特許文献5
参照)。
【0005】
特許文献4あるいは特許文献5のコンバータ回路には、スイッチング素子及び整流素子が
含まれている。該スイッチング素子としてトランジスタ、該整流素子としてダイオードが
用いられる。このようなダイオードには、例えばpn接合を用いたダイオードが挙げられ
る(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−10667号公報
【特許文献2】特開平9−69647号公報
【特許文献3】特開2002−141539号公報
【特許文献4】特開2005−312158号公報
【特許文献5】特開2009−200372号公報
【特許文献6】特開2004−22639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献6に示されるように、pn接合を用いたダイオードは、電圧降下が大きい。
【0008】
上記問題を鑑み、開示される発明の一様態は、電圧降下が小さい整流素子を得ることを課
題の一とする。
【0009】
特許文献4又は特許文献5に示されるコンバータ回路は、例えば、ダイオードやトランジ
スタを有する。該ダイオードやトランジスタはそれぞれ、別の工程で作製されるため、コ
ンバータ回路の作製コストは大きい。
【0010】
上記問題を鑑み、開示される発明の一様態は、コンバータ回路の作製コストを抑制するこ
とを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示される発明の一様態において、コンバータ回路に含まれる整流素子として、ダイオー
ド接続されたノーマリオンのトランジスタを用いる。
【0012】
ノーマリオンのトランジスタは、チャネル形成領域の膜厚を制御することによって得るこ
とができる。
【0013】
ノーマリオンのトランジスタをダイオード接続したものを整流素子として用いると、pn
接合を用いたダイオードよりも電圧降下が小さい。
【0014】
ダイオード接続したノーマリオンのトランジスタは、pn接合を用いたダイオードよりも
電圧降下が小さいので、電圧降下した分を補うために印加する電圧が小さくてよい。ダイ
オード接続したノーマリオンのトランジスタは、電圧降下した分を補うために印加する電
圧が小さくてよいので、コンバータ回路の消費電力が小さくなる。コンバータ回路の消費
電力が小さくなると、光電変換装置の消費電力も小さくなる。
【0015】
以上から、ダイオード接続したノーマリオンのトランジスタをダイオードとして用いるこ
とは、電圧降下を抑制する点、電圧降下した分を補うために印加する電圧が小さくてよい
という点、コンバータ回路の消費電力を抑制するという点、及び光電変換装置の消費電力
を抑制するという点で好適である。
【0016】
また開示される発明の一様態では、コンバータ回路に含まれるスイッチング素子としてト
ランジスタ、整流素子としてトランジスタをダイオード接続したものを用いる。すなわち
、コンバータ回路の整流素子とスイッチング素子を同じ材料及び同じ工程で作製すること
ができる。
【0017】
整流素子とスイッチング素子を同じ材料及び同じ工程で作製できるので、作製コストを抑
制することが可能である。
【0018】
開示される発明の一様態は、光電変換素子と、当該光電変換素子の出力を昇圧又は降圧し
、スイッチング素子及び整流素子を有するコンバータ回路と、を有する光電変換装置に関
する。当該光電変換装置は、当該スイッチング素子として、ノーマリオフの第1の酸化物
半導体トランジスタ、及び、当該整流素子として、ダイオード接続されたノーマリオンの
第2の酸化物半導体トランジスタとを有することを特徴とする。
【0019】
開示される発明の一様態は、光電変換素子と、当該光電変換素子の出力を昇圧又は降圧し
、スイッチング素子及び整流素子を有するコンバータ回路とを有する光電変換装置に関す
る。当該光電変換装置は、当該スイッチング素子として、ノーマリオフの第1の酸化物半
導体トランジスタ、及び、当該整流素子として、ダイオード接続されたノーマリオンの第
2の酸化物半導体トランジスタを有することを特徴とする。当該光電変換装置において、
当該第1の酸化物半導体トランジスタのチャネル形成領域の膜厚と、当該第2の酸化物半
導体トランジスタのチャネル形成領域の膜厚が異なることを特徴とする。
【0020】
開示される発明の一様態は、光電変換素子と、当該光電変換素子の出力を昇圧又は降圧し
、スイッチング素子及び整流素子を有するコンバータ回路とを有する光電変換装置に関す
る。当該光電変換装置は、当該スイッチング素子として、ノーマリオフの第1の酸化物半
導体トランジスタ、及び、当該整流素子として、ダイオード接続されたノーマリオンの第
2の酸化物半導体トランジスタを有することを特徴とする。当該光電変換装置において、
当該第1の酸化物半導体トランジスタのチャネル形成領域の膜厚は、当該第2の酸化物半
導体トランジスタのチャネル形成領域の膜厚よりも薄いことを特徴とする。
【0021】
開示される発明の一様態は、太陽電池と、当該太陽電池の出力を昇圧又は降圧し、スイッ
チング素子及び整流素子を有するコンバータ回路とを有する光電変換装置に関する。当該
光電変換装置は、当該スイッチング素子として、ノーマリオフの第1の酸化物半導体トラ
ンジスタ、及び、当該整流素子として、ダイオード接続されたノーマリオンの第2の酸化
物半導体トランジスタ有することを特徴とする。
【0022】
開示される発明の一様態は、太陽電池と、当該太陽電池の出力を昇圧又は降圧し、スイッ
チング素子及び整流素子を有するコンバータ回路とを有する光電変換装置に関する。当該
光電変換装置は、当該スイッチング素子として、ノーマリオフの第1の酸化物半導体トラ
ンジスタ、及び、当該整流素子として、ダイオード接続されたノーマリオンの第2の酸化
物半導体トランジスタを有することを特徴とする。当該光電変換装置において、当該第1
の酸化物半導体トランジスタのチャネル形成領域の膜厚と、当該第2の酸化物半導体トラ
ンジスタのチャネル形成領域の膜厚が異なることを特徴とする。
【0023】
開示される発明の一様態は、太陽電池と、当該太陽電池の出力を昇圧又は降圧し、スイッ
チング素子及び整流素子を有するコンバータ回路とを有する光電変換装置に関する。当該
光電変換装置は、当該スイッチング素子として、ノーマリオフの第1の酸化物半導体トラ
ンジスタ、及び、当該整流素子として、ダイオード接続されたノーマリオンの第2の酸化
物半導体トランジスタとを有することを特徴とする。当該第1の酸化物半導体トランジス
タのチャネル形成領域の膜厚は、当該第2の酸化物半導体トランジスタのチャネル形成領
域の膜厚よりも薄いことを特徴とする。
【0024】
開示される発明の一様態において、当該第1の酸化物半導体トランジスタ及び第2の酸化
物半導体トランジスタのそれぞれは、チャネル形成領域を含む島状酸化物半導体層と、当
該島状酸化物半導体層に接するソース電極及びドレイン電極とを有することを特徴とする
。当該島状酸化物半導体層中のソース電極及びドレイン電極と重畳しない領域は、当該島
状酸化物半導体層中のソース電極及びドレイン電極と重畳する領域よりも、膜厚が薄いこ
とを特徴とする。
【0025】
開示される発明の一様態において、当該第1の酸化物半導体トランジスタ及び第2の酸化
物半導体トランジスタのそれぞれは、チャネル形成領域を含む島状酸化物半導体層と、当
該島状酸化物半導体層上にソース電極及びドレイン電極と、当該島状酸化物半導体層と当
該ソース電極及びドレイン電極との間に、当該島状酸化物半導体層よりも高い導電率を有
する酸化物半導体層を有することを特徴とする。
【0026】
開示される発明の一様態において、当該コンバータ回路は、DC−DCコンバータである
ことを特徴とする。
【0027】
開示される発明の一様態において、当該コンバータ回路は、コイル、及びコンデンサを有
するDC−DCコンバータであることを特徴とする。
【0028】
なお本明細書において、ゲート電極に印加されるゲート電圧が0V、及び、ソース−ドレ
イン間に印加される電圧が少なくとも1Vの場合、ドレイン電流が流れていないとみなす
ことができるトランジスタをノーマリオフのトランジスタと定義する。また、ゲート電極
に印加されるゲート電圧が0V、及び、ソース−ドレイン間に印加される電圧が少なくと
も1Vの場合、ドレイン電流が流れているとみなすことができるトランジスタをノーマリ
オンのトランジスタと定義する。
【0029】
或いは、本明細書では、nチャネル型トランジスタにおいて、しきい値電圧の値が正であ
るトランジスタをノーマリオフのトランジスタと定義する。pチャネル型トランジスタの
において、しきい値電圧の値が負であるトランジスタをノーマリオフのトランジスタと定
義する。また、nチャネル型トランジスタにおいて、しきい値電圧の値が負であるトラン
ジスタをノーマリオンのトランジスタと定義する。pチャネル型トランジスタにおいて、
しきい値電圧の値が正であるトランジスタをノーマリオンのトランジスタと定義する。
【0030】
より具体的には、本明細書では、nチャネル型トランジスタにおいて、ドレイン電流−ゲ
ート電圧特性を測定し、ドレイン電流が1×10−12Aのときのゲート電圧が正である
トランジスタを、ノーマリオフのトランジスタと定義する。またnチャネル型トランジス
タにおいて、ドレイン電流−ゲート電圧特性を測定し、ドレイン電流が1×10−12
のときのゲート電圧が負であるトランジスタを、ノーマリオンのトランジスタと定義する
【発明の効果】
【0031】
開示される発明の一様態の整流素子は、pn接合を用いたダイオードよりも電圧降下が小
さい。pn接合を用いたダイオードよりも電圧降下が小さいので、当該整流素子は、電圧
降下した分を補うために印加する電圧が小さくてよい。当該整流素子は、電圧降下した分
を補うために印加する電圧が小さくてよいので、コンバータ回路の消費電力が小さくなる
。コンバータ回路の消費電力が小さくなると、光電変換装置の消費電力も小さくなる。
【0032】
よって、ダイオード接続したノーマリオンのトランジスタを整流素子として用いることは
、電圧降下を抑制する点、電圧降下した分を補うために印加する電圧が小さくてよいとい
う点、コンバータ回路の消費電力を抑制するという点、及び光電変換装置の消費電力を抑
制するという点で好適である。
【0033】
また開示される発明の一様態では、コンバータ回路の整流素子とスイッチング素子を同じ
材料及び同じ工程で作製することができる。
【0034】
コンバータ回路に含まれる整流素子とスイッチング素子を同じ材料及び同じ工程で作製で
きるので、コンバータ回路の作製コストを抑制することが可能である。コンバータ回路の
作製コストを抑制できるので、光電変換装置の作製コストを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】酸化物半導体トランジスタの上面図及び断面図。
図2】酸化物半導体トランジスタの上面図及び断面図。
図3】コンバータ回路の回路図。
図4】ノーマリオンとノーマリオフの違いを示す図。
図5】酸化物半導体トランジスタの断面図。
図6】酸化物半導体トランジスタの作製方法を示す断面図。
図7】酸化物半導体トランジスタの作製方法を示す断面図。
図8】酸化物半導体トランジスタの上面図及び断面図。
図9】酸化物半導体トランジスタの作製方法を示す断面図。
図10】酸化物半導体トランジスタの作製方法を示す断面図。
図11】太陽電池の断面図。
図12】コンバータ回路の回路図。
図13】太陽光発電モジュールを示す上面図。
図14】太陽光発電モジュールを用いた太陽光発電システムの例を示す図。
図15】太陽光発電モジュールを搭載した電動推進車両を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本明細書に開示された発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し
、本明細書に開示された発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本明細書
に開示された発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変
更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限
定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機
能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0037】
[実施の形態1]
本実施の形態の光電変換装置を、図1(A)〜図1(B)、図2(A)〜図2(C)、図
3(A)〜図3(B)、図4図5(A)〜図5(B)、図6(A)〜図6(F)、図7
(A)〜図7(D)、図8(A)〜図8(C)、図9(A)〜図9(F)、図10(A)
図10(F)、図11を用いて説明する。
【0038】
本実施の形態のコンバータ回路の一例を、図3(A)〜図3(B)を用いて説明する。本
実施の形態で説明されるコンバータ回路は、直流電圧を直流電圧に変換するDC−DCコ
ンバータである。
【0039】
図3(A)に示すコンバータ回路301は、スイッチング素子であるトランジスタ302
、コイル303、整流素子であるダイオード309、コンデンサ305を有する昇圧回路
である。
【0040】
コイル303の一方の端子は、光電変換素子307のp型半導体層側及びn型半導体層側
の一方の電極に電気的に接続されている。コイル303の他方の端子はトランジスタ30
2のソースあるいはドレインの一方と電気的に接続されている。トランジスタ302のソ
ースあるいはドレインの一方は、コイル303の他方の端子及びダイオード309の入力
端子と電気的に接続されている。トランジスタ302のソースあるいはドレインの他方は
、光電変換素子307のp型半導体層側及びn型半導体層側の他方の電極及びコンデンサ
305の一方の端子と電気的に接続されている。コンデンサ305の他方の端子は、ダイ
オード309の出力端子及び出力端子OUTに電気的に接続されている。なお、光電変換
素子307のp型半導体層側及びn型半導体層側の他方の電極、トランジスタ302のソ
ースあるいはドレインの他方、及びコンデンサ305の一方の端子は接地されている。
【0041】
なお、上記トランジスタのゲートとは、ゲート電極及びゲート配線の一部または全部のこ
とをいう。ゲート配線とは、少なくとも一つのトランジスタのゲート電極と、別の電極や
別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0042】
上記トランジスタのソースとは、ソース領域、ソース電極、及びソース配線の一部または
全部のことをいう。ソース領域とは、半導体層のうち、抵抗値がチャネル形成領域より低
い領域のことをいう。ソース電極とは、ソース領域に接続される部分の導電層のことをい
う。ソース配線とは、少なくとも一つのトランジスタのソース電極と、別の電極や別の配
線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0043】
上記トランジスタのドレインとは、ドレイン領域、ドレイン電極、及びドレイン配線の一
部または全部のことをいう。ドレイン領域とは、半導体層のうち、抵抗値がチャネル形成
領域より低い領域のことをいう。ドレイン電極とは、ドレイン領域に接続される部分の導
電層のことをいう。ドレイン配線とは、少なくとも一つのトランジスタのドレイン電極と
、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0044】
また、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造や動作条件などによって
互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難で
ある。そこで、本書類(明細書、特許請求の範囲または図面など)においては、ソース及
びドレインのいずれか一方をソース及びドレインの一方と表記し、他方をソース及びドレ
インの他方と表記する。
【0045】
トランジスタ302はスイッチング素子として機能する。またトランジスタ302のゲー
トは、コンバータ回路301の制御回路に接続されている。コンバータ回路301の制御
回路からの信号PWMにより、トランジスタ302はオン状態あるいはオフ状態となる。
【0046】
スイッチング素子であるトランジスタ302がオン状態のとき、コイル303に流れ込む
電流により、コイル303には励磁エネルギーが蓄えられる。
【0047】
トランジスタ302がオフ状態になると、コイル303に蓄えられた励磁エネルギーが放
出される。コイル303から放出される励磁エネルギーに起因する電圧が、電圧V1に上
積みされて電圧V2となる。これによりコンバータ回路301は昇圧回路として機能する
【0048】
スイッチング素子であるトランジスタ302がオン状態の時間をTon、トランジスタ3
02がオフ状態の時間をToffとする。出力電圧V2の値は、以下の(式1)で表され
る。
【0049】
V2=V1×(Ton+Toff)/Toff (式1)
【0050】
トランジスタ302がオン状態の時間Tonが長く、コイル303に蓄えたエネルギーが
大きいほど、大電力を取り出すことができる。
【0051】
本実施の形態において、トランジスタ302として、ノーマリオフであり、かつ酸化物半
導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(本明細書では、以下「酸化物半導体ト
ランジスタ」と呼ぶ)を用いる。なお酸化物半導体トランジスタの詳細な構造及び作製方
法については後述する。
【0052】
本実施の形態で示す酸化物半導体膜は、バンドギャップが広いため、アバランシェ降伏が
生じにくく、ホットキャリア劣化が生じにくい。ホットキャリア劣化が生じにくいので、
ドレイン耐圧が高いと言える。酸化物半導体膜のドレイン耐圧が高いので、酸化物半導体
トランジスタは、高耐圧及び大電流に適したトランジスタであると言える。このため、コ
ンバータ回路301のスイッチング素子であるトランジスタ302に好適である。
【0053】
本実施の形態において、ダイオード309は整流素子として機能する。本実施の形態では
、該ダイオード309として、ダイオード接続された酸化物半導体トランジスタを用いる
。該ダイオード接続された酸化物半導体トランジスタとして、トランジスタ302と同様
の構造を有する酸化物半導体トランジスタを作製し、そのゲート電極とドレイン領域を電
気的に接続すればよい。ダイオード309は、ノーマリオンの酸化物半導体トランジスタ
をダイオード接続したものを用いる。ノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、ゲー
ト電極にゲート電圧を印加したときに、コレクタ電流がすぐ立ち上がる。よってノーマリ
オンの酸化物半導体トランジスタをダイオード接続したものをダイオードとして用いると
、pn接合を用いたダイオードよりも電圧降下が小さいという点で好適である。
【0054】
またトランジスタ302であるノーマリオフの酸化物半導体トランジスタと、ダイオード
309として機能するノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、それぞれのチャネル
形成領域の膜厚が異なるだけである。よって、トランジスタ302とダイオード309を
同じ工程で作製することができる。そのためコンバータ回路301の作製工程を低減させ
ることが可能である。コンバータ回路301の作製工程を低減することが可能なため、コ
ンバータ回路301の作製コストを抑制することが可能である。
【0055】
また上述のように、酸化物半導体トランジスタは、高耐圧及び大電流に適したトランジス
タである。このため、ダイオード接続された酸化物半導体トランジスタを、コンバータ回
路301のダイオード309として用いることは好適である。
【0056】
また本実施の形態において、コイル303として、基板上にコイル状に形成した配線を用
いることができる。
【0057】
また、本実施の形態において、コンデンサ305として、例えば第1の電極と、第2の電
極と、誘電体とを有する構成のコンデンサを用いることができる。
【0058】
本実施の形態の酸化物半導体トランジスタの一例を、図1(A)〜図1(B)、図2(A
)〜図2(C)、図5(A)〜図5(B)、図6(A)〜図6(F)、図7(A)〜図7
(D)、図8(A)〜図8(C)、図9(A)〜図9(F)、図10(A)〜図10(F
)を用いて説明する。
【0059】
図1(A)〜図1(B)に、トランジスタ302及びダイオード309として用いること
が可能な酸化物半導体トランジスタの構造の一例を示す。図1(A)は上面図であり、図
1(B)は図1(A)におけるA−A’の断面図である。
【0060】
酸化物半導体トランジスタ252は、図3(A)におけるトランジスタ302に相当する
。酸化物半導体トランジスタ252は、基板200上にゲート電極211b、ゲート電極
211b上にゲート絶縁層202、ゲート絶縁層202上に島状酸化物半導体層223b
を有し、島状酸化物半導体層223bに接して一対の電極である配線層215b及び配線
層215cが設けられている。配線層215bは、酸化物半導体トランジスタ252のソ
ース電極及びドレイン電極の一方として機能し、配線層215cは、酸化物半導体トラン
ジスタ252のソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。さらに島状酸化物半
導体層223b上に酸化物絶縁膜207が設けられている。酸化物絶縁膜207上には、
保護絶縁層208が設けられる。
【0061】
酸化物半導体トランジスタ252において、島状酸化物半導体層223b中の、ゲート絶
縁層202を介してゲート電極211bに重畳し、配線層215b及び配線層215cに
挟まれる領域が、チャネル形成領域となる。
【0062】
島状酸化物半導体層223b中において、配線層215b及び配線層215cと重畳しな
い領域244は、配線層215b及び配線層215cと重畳する領域よりも、膜厚が薄い
。当該膜厚が薄い領域244は、後述する配線層215b及び配線層215cの形成工程
の際に、エッチングされることにより膜厚が薄くなる。
【0063】
酸化物半導体トランジスタ251は、図3(A)におけるダイオード309に相当する。
酸化物半導体トランジスタ251は、基板200上にゲート電極211a、ゲート電極2
11a上にゲート絶縁層202、ゲート絶縁層202上に島状酸化物半導体層223aを
有し、島状酸化物半導体層223aに接して一対の電極である配線層215a及び配線層
215bが設けられている。さらに島状酸化物半導体層223a上に酸化物絶縁膜207
が設けられている。酸化物絶縁膜207上には、保護絶縁層208が設けられる。
【0064】
酸化物半導体トランジスタ251において、島状酸化物半導体層223a中の、ゲート絶
縁層202を介してゲート電極211aに重畳し、配線層215a及び配線層215bに
挟まれる領域が、チャネル形成領域となる。
【0065】
島状酸化物半導体層223a中において、配線層215a及び配線層215bと重畳しな
い領域242は、配線層215a及び配線層215bと重畳する領域よりも、膜厚が薄い
。当該膜厚が薄い領域242は、後述する配線層215a及び配線層215bの形成工程
の際に、エッチングされることにより膜厚が薄くなる。
【0066】
ゲート電極211aは、ゲート絶縁層202に設けられたコンタクトホール203を介し
て配線層215bに直接接している。すなわち酸化物半導体トランジスタ251は、ソー
ス及びドレインの一方がゲートに電気的に接続されている。すなわち酸化物半導体トラン
ジスタ251は、ダイオード接続されており、ダイオードとして機能する。
【0067】
酸化物半導体トランジスタ252の島状酸化物半導体層223bの膜厚及び酸化物半導体
トランジスタ251の島状酸化物半導体層223aの膜厚は異ならせており、それぞれの
膜厚がノーマリオフとなるかノーマリオンとなるかを決定する。島状酸化物半導体層22
3bの膜厚は、島状酸化物半導体層223aの膜厚よりも薄い。膜厚の薄い島状酸化物半
導体層223bを有する酸化物半導体トランジスタ252はノーマリオフとなる。一方、
膜厚の厚い島状酸化物半導体層223aを有する酸化物半導体トランジスタ251はノー
マリオンとなる。
【0068】
よって、ノーマリオフの酸化物半導体トランジスタとノーマリオンの酸化物半導体トラン
ジスタを、チャネル形成領域が含まれる島状酸化物半導体層223b及び島状酸化物半導
体層223aの膜厚を変えるだけで、作り分けることが可能である。
【0069】
図1(A)〜図1(B)に示す酸化物半導体トランジスタ251及び酸化物半導体トラン
ジスタ252の作製方法を、図6(A)〜図6(F)及び図7(A)〜図7(D)を用い
て説明する。
【0070】
まず、絶縁表面を有する基板200上に導電膜を形成した後、当該導電膜を用いて、ゲー
ト電極211a及びゲート電極211bを形成する(図6(A)参照)。なお、形成され
たゲート電極の端部はテーパ形状であることが好ましい。
【0071】
ゲート電極211a及びゲート電極211bを形成する導電膜としては、Al、Cr、T
a、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述し
た元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、上述した金属に加え、銅、ネオジム
、またはスカンジウムなどの金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて、単
層でまたは積層して形成することもできる。なお、透光性を有する導電膜を用いて、ゲー
ト電極211a及びゲート電極211bを形成することもできる。透光性を有する導電膜
としては、透光性導電性酸化物等をその例に挙げることができる。
【0072】
基板200に用いるガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が
730℃以上のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケー
トガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が挙
げられる。
【0073】
なお上記のガラス基板に代えて、基板200として、セラミック基板、石英基板、サファ
イア基板などの絶縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いるこ
とができる。
【0074】
また下地膜となる絶縁膜を、基板200、並びに、ゲート電極211a及びゲート電極2
11bの間に設けてもよい。下地膜は、基板200からの不純物元素の拡散を防止する機
能があり、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた
一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0075】
次いで、ゲート電極211a及びゲート電極211b上に、ゲート絶縁層202を形成す
る(図6(B)参照)。
【0076】
ゲート絶縁層202は、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層又は窒化酸化珪素層を
、単層で又は積層して用いることができる。なお、膜中にリン(P)や硼素(B)がドー
プされていても良い。
【0077】
酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層又は窒化酸化珪素層は、プラズマCVD法又は
スパッタリング法等を用いて形成できる。例えば、成膜ガスとして、SiH、酸素及び
窒素を用いてプラズマCVD法により酸化窒化珪素層を形成すればよい。
【0078】
本実施の形態では、プラズマCVD法により、膜厚100nmの酸化窒化珪素(SiON
(組成比N<O))であるゲート絶縁層202を形成する。
【0079】
次いで、ゲート絶縁層202を選択的にエッチングし、ゲート絶縁層202にコンタクト
ホール203を形成する(図6(C)参照)。なおコンタクトホール203は、ゲート電
極211aに達するように形成される。
【0080】
なお、コンタクトホール203を形成後、不活性ガス雰囲気(窒素、またはヘリウム、ネ
オン、アルゴン等)下において、ゲート絶縁層202を加熱処理(400℃以上であって
基板の歪み点未満)することが好ましい。当該加熱処理により、酸化物半導体膜の成膜前
に、ゲート絶縁層202内に含まれる水素及び水などの不純物を除去することができる。
【0081】
次いで、酸化物半導体トランジスタ251及び酸化物半導体トランジスタ252それぞれ
のチャネル形成領域を含み、互いに厚みが異なる酸化物半導体膜を作製する方法について
述べる。
【0082】
本実施の形態では、ゲート電極211a上に、ゲート絶縁層202を介して、膜厚の厚い
島状酸化物半導体層223aを形成する。一方、ゲート電極211b上に、ゲート絶縁層
202を介して、膜厚の薄い島状酸化物半導体層223bを形成する。なお、本実施の形
態では、ゲート電極211a上に厚い島状酸化物半導体層223aを形成する方法の一例
として、島状の酸化物半導体層上に別の酸化物半導体層を重ねて成膜する方法について説
明する。
【0083】
まず、ゲート電極211a上に、ゲート絶縁層202を介して酸化物半導体層261を成
膜する(図6(D)参照)。
【0084】
酸化物半導体層261としては、少なくともIn、Ga、Sn、Zn、Al、Mg、Hf
及びランタノイドから選ばれた一種以上の元素を含有する。例えば、四元系金属の酸化物
であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属の酸化物であるIn−
Ga−Zn−O系酸化物半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Z
n−O系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系
酸化物半導体、Sn−Al−Zn−O系酸化物半導体、In−Hf−Zn−O系酸化物半
導体、In−La−Zn−O系酸化物半導体、In−Ce−Zn−O系酸化物半導体、I
n−Pr−Zn−O系酸化物半導体、In−Nd−Zn−O系酸化物半導体、In−Pm
−Zn−O系酸化物半導体、In−Sm−Zn−O系酸化物半導体、In−Eu−Zn−
O系酸化物半導体、In−Gd−Zn−O系酸化物半導体、In−Tb−Zn−O系酸化
物半導体、In−Dy−Zn−O系酸化物半導体、In−Ho−Zn−O系酸化物半導体
、In−Er−Zn−O系酸化物半導体、In−Tm−Zn−O系酸化物半導体、In−
Yb−Zn−O系酸化物半導体、In−Lu−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属の
酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Z
n−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体
、In−Mg−O系酸化物半導体や、In−Ga−O系の材料、一元系金属の酸化物であ
るIn−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用
いることができる。また、上記酸化物半導体にInとGaとSnとZnとAlとMgとH
f及びランタノイド以外の元素、例えばSiO2を含ませてもよい。
【0085】
例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガリウム(G
a)、亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体、という意味であり、その組成比は問わない。
【0086】
また、酸化物半導体層は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を
用いることができる。ここで、Mは、Zn、Ga、Al、Mn及びCoから選ばれた一ま
たは複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、また
はGa及びCoなどがある。
【0087】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組
成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn
:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に
換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=1
5:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)と
する。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比が
In:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0088】
また酸化物半導体層261は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、
又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタ法により形成する
ことができる。また、酸化物半導体層261をスパッタ法を用いて形成する場合、SiO
を2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて、酸化物半導体層261の成膜
を行う。SiOを含むターゲットを用いて酸化物半導体層261の成膜を行うと、酸化
物半導体層261に結晶化を阻害するSiOx(X>0)を含ませることができる。酸化
物半導体層261にSiOxを含ませると、後の工程で行う脱水化または脱水素化のため
の加熱処理の際に、酸化物半導体層261が結晶化してしまうのを抑制することができる
ので好適である。
【0089】
ここでは、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(In:Ga
:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間の距離を100mm、圧力0
.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下で成膜
する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一とな
るために好ましい。本実施の形態では、酸化物半導体層261として、In−Ga−Zn
−O系酸化物半導体ターゲットを用いてスパッタ法によりIn−Ga−Zn−O系非単結
晶膜を成膜する。
【0090】
本実施の形態では、酸化物半導体層261と後述する酸化物半導体層262を積層した合
計の膜厚が好ましくは50nm以上100nm以下となるように成膜する。なお、適用す
る酸化物半導体材料により適切な厚みは異なり、材料に応じて適宜厚みを選択すればよい
【0091】
次いで、酸化物半導体層261を島状に加工し、島状酸化物半導体層213aを形成する
図6(E)参照)。なお、島状酸化物半導体層213aを形成後、不活性ガス雰囲気(
窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等)下において島状酸化物半導体層213aを
加熱(400℃以上750℃未満)してもよい。島状酸化物半導体層213aを不活性ガ
ス雰囲気下で加熱すると、島状酸化物半導体層213a内に含まれる水素及び水などの不
純物を除去することができる。島状酸化物半導体層213a内に含まれる水素及び水など
の不純物を除去した後、後述する酸化物半導体層262を成膜することが好ましい。
【0092】
次に、島状酸化物半導体層213a、ゲート絶縁層202、及びゲート電極211aを覆
って、酸化物半導体層262を成膜する(図6(F)参照)。本実施の形態では、酸化物
半導体層262として、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜を成膜する。酸化物半導体層
262の膜厚は、好ましくは5nm以上30nm以下とする。なお、適用する酸化物半導
体材料により適切な厚みは異なり、材料に応じて適宜厚みを選択すればよい。
【0093】
ゲート電極211a上において、酸化物半導体層262は島状酸化物半導体層213a上
に積層され、厚い酸化物半導体層が形成される。一方、ゲート電極211b上において、
酸化物半導体層262はゲート絶縁層202に接して成膜されるため、膜厚が薄い酸化物
半導体層が形成される。
【0094】
次いで、島状酸化物半導体層213a及び酸化物半導体層262の積層体を島状に加工す
る。これにより、ゲート電極211a上には、膜厚が厚い島状酸化物半導体層223aが
形成される。また、ゲート電極211b上には、膜厚の薄い島状酸化物半導体層223b
が形成される(図7(A)参照)。
【0095】
島状酸化物半導体層223aは、島状酸化物半導体層213aと島状酸化物半導体層21
3bの積層体である。島状酸化物半導体層213bは酸化物半導体層262を島状に加工
することで得ることができる。また島状酸化物半導体層223bは、酸化物半導体層26
2を島状に加工することで得ることができる。
【0096】
以上のようにして、膜厚が厚い島状酸化物半導体層223a及び膜厚の薄い島状酸化物半
導体層223bを得ることが可能である。コンバータ回路のスイッチング素子となる酸化
物半導体トランジスタ252がノーマリオフとなるように、島状酸化物半導体層223b
の膜厚、すなわち酸化物半導体層262の膜厚を制御する。またコンバータ回路の整流素
子となる酸化物半導体トランジスタ251がノーマリオンとなるように、島状酸化物半導
体層223aの膜厚を制御する。島状酸化物半導体層223aのうち島状酸化物半導体層
213bの膜厚は、上述のように酸化物半導体層262の膜厚と同じである。そのため、
島状酸化物半導体層223aの膜厚を制御するには、島状酸化物半導体層213a、すな
わち酸化物半導体層261の膜厚を制御すればよい。
【0097】
なお、酸化物半導体トランジスタ252の特性が島状酸化物半導体層223bの膜厚のみ
で制御できず、島状酸化物半導体層223bを有する酸化物半導体トランジスタ252が
ノーマリオンになってしまう場合もある。その場合は、後の工程で形成する酸化物絶縁膜
207を成膜後、加熱処理を行って島状酸化物半導体層223b中に形成されるチャネル
形成領域の一部の領域を高抵抗化すればよい。当該チャネル形成領域の一部の領域を高抵
抗化する方法については、後述する。
【0098】
なお本実施の形態では、ゲート絶縁層202中のコンタクトホール203を形成した後に
、酸化物半導体層262を形成するが、コンタクトホール203及び酸化物半導体層26
2を形成する順番は、これに限定されない。
【0099】
例えば、酸化物半導体層262をエッチングした後、酸化物半導体層262上にレジスト
マスクを形成し、ゲート絶縁層202をエッチングして、ゲート電極211aに達するコ
ンタクトホール203を形成してもよい。なお、その場合には逆スパッタを行い、酸化物
半導体層262及びゲート絶縁層202の表面に付着しているレジスト残渣などを除去す
ることが好ましい。
【0100】
また、酸化物半導体層262を成膜した後、酸化物半導体層262上にレジストマスクを
形成し、酸化物半導体層262及びゲート絶縁層202をエッチングして、ゲート電極2
11aに達するコンタクトホール203を形成してもよい。コンタクトホール203を形
成した後、レジストマスクを除去し、別のフォトマスクを用いて酸化物半導体層262上
にレジストマスクを形成し、酸化物半導体層262を選択的にエッチングして島状酸化物
半導体層213bに加工してもよい。
【0101】
次いで島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bの脱水化または脱水
素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第1の加熱処理の温度は、400℃以上750
℃未満、好ましくは425℃以上750℃未満である。なお、425℃以上であれば熱処
理時間は1時間以下でよいが、425℃以下であれば加熱処理時間は、1時間よりも長時
間行うこととする。ここでは、加熱処理装置に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒
素雰囲気下において加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水
や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層を得る。本実施の形態では、酸化物半導体層の脱
水化または脱水素化を行う加熱温度Tから、再び水が入らないような十分な温度まで同じ
炉を用い、具体的には加熱温度Tよりも100℃以上下がるまで窒素雰囲気下で徐冷する
。また、窒素雰囲気に限定されず、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)下において
脱水化または脱水素化を行う。
【0102】
また、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス
に、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0103】
なお、第1の加熱処理の条件、または酸化物半導体層の材料によっては、結晶化し、微結
晶膜または多結晶膜となる場合もある。例えば、結晶化率が90%以上、または80%以
上の微結晶の酸化物半導体膜となる場合もある。また、第1の加熱処理の条件、または酸
化物半導体層の材料によっては、結晶成分を含まない非晶質の酸化物半導体膜となる場合
もある。
【0104】
酸化物半導体層は、第1の加熱処理後に酸素欠乏型となり、低抵抗化する。第1の加熱処
理後の酸化物半導体膜は、成膜直後の酸化物半導体膜よりもキャリア濃度が高まり、好ま
しくは1×1018/cm以上のキャリア濃度を有する酸化物半導体層となる。
【0105】
次いで、ゲート絶縁層202、島状酸化物半導体層223a、島状酸化物半導体層223
b、及びコンタクトホール203を覆って、導電膜263を形成する(図7(B)参照)
【0106】
導電膜263としては、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ア
ルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)から選ばれた元素
、または上述した元素を成分とする合金、或いは上述した元素を組み合わせた合金等を用
いる。導電膜263は、上述した元素を含む単層に限定されず、二層以上の積層を用いる
ことができる。本実施の形態では、導電膜263として、チタン膜(膜厚100nm)と
アルミニウム膜(膜厚200nm)とチタン膜(膜厚100nm)の3層構造の導電膜を
形成する。また、チタン膜に変えて窒化チタン膜を用いてもよい。
【0107】
次いで、導電膜263を選択的にエッチング除去し、ソース電極層又はドレイン電極層と
して機能する配線層215a、配線層215b、及び配線層215cを形成する(図7
C)参照)。また図7(C)に示されるように、コンタクトホール203を介して、ゲー
ト電極211aと配線層215bは直接接する。
【0108】
また、導電膜263を選択的にエッチング除去する工程において、島状酸化物半導体層2
23a及び島状酸化物半導体層223bそれぞれの露出領域(配線層215a又は配線層
215bと島状酸化物半導体層223aが重畳していない領域、及び配線層215b又は
及び配線層215cと島状酸化物半導体層223bが重畳していない領域)がエッチング
される場合がある。
【0109】
上述の場合、島状酸化物半導体層223a中の配線層215a及び配線層215bと重畳
しない領域242は、島状酸化物半導体層223a中の配線層215a及び配線層215
bと重畳する領域よりも、膜厚が薄くなる。
【0110】
また、島状酸化物半導体層223b中の配線層215b及び配線層215cと重畳しない
領域244は、島状酸化物半導体層223b中の配線層215b及び配線層215cと重
畳する領域よりも、膜厚が薄くなる(図7(C)参照)。
【0111】
なお酸化物半導体トランジスタ251において、島状酸化物半導体層223a中の、ゲー
ト絶縁層202を介してゲート電極211aに重畳し、配線層215a及び配線層215
bに挟まれる領域が、チャネル形成領域となる。また酸化物半導体トランジスタ252に
おいて、島状酸化物半導体層223b中の、ゲート絶縁層202を介してゲート電極21
1bに重畳し、配線層215b及び配線層215cに挟まれる領域が、チャネル形成領域
となる。
【0112】
次いで、ゲート絶縁層202、島状酸化物半導体層223a、及び島状酸化物半導体層2
23bを覆って、酸化物絶縁膜207を成膜する(図7(D)参照)。これにより、島状
酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bのそれぞれにおいて、酸化物絶
縁膜207と接する領域が形成される。
【0113】
酸化物絶縁膜207は、少なくとも1nm以上の膜厚で形成する。酸化物絶縁膜207は
、スパッタリング法など、水、水素等の不純物が酸化物絶縁膜207に混入しない方法を
適宜用いて形成することができる。本実施の形態では、スパッタリング法を用い、酸化物
絶縁膜207として酸化珪素膜を成膜する。
【0114】
酸化物絶縁膜207を成膜する時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよい。本
実施の形態では、酸化物絶縁膜207を成膜する時の基板温度を100℃とする。酸化物
絶縁膜207のスパッタリング法による成膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下
、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下において行うこ
とができる。また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素ターゲットを用いる
ことができる。例えば、珪素ターゲットを用いて、酸素、及び希ガス雰囲気下でスパッタ
リング法により酸化珪素を形成することができる。低抵抗化した酸化物半導体層に接して
形成する酸化物絶縁膜は、水分や、水素イオンや、水酸化物イオン(OH)などの不純
物を含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用いる。このよ
うな無機絶縁膜としては、代表的には酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜
、または酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。なお、スパッタ法で形成した酸化物
絶縁膜は特に緻密であり、単層で用いられたとしても、不純物が拡散するのを抑制する保
護膜として利用することができる。また、リン(P)やホウ素(B)をドープしたターゲ
ットを用い、酸化物絶縁膜にリン(P)や硼素(B)を添加することもできる。
【0115】
なお、酸化物絶縁膜207は酸化物半導体層のチャネル形成領域となる領域上に接して設
けられ、チャネル保護層として機能する。
【0116】
上述のように、酸化物半導体トランジスタ252の特性が島状酸化物半導体層223b中
に形成されるチャネル形成領域の膜厚のみで制御できず、島状酸化物半導体層223bを
有する酸化物半導体トランジスタ252がノーマリオンになってしまう場合がある。その
ような場合、当該チャネル形成領域の一部の領域を高抵抗化すればよいと述べた。以下に
、島状酸化物半導体層223b中に形成されるチャネル形成領域の一部の領域を高抵抗化
する方法について説明する。
【0117】
酸化物絶縁膜207を成膜後、第2の加熱処理(好ましくは200℃以上400℃以下、
例えば250℃以上350℃以下)を不活性ガス雰囲気下、または窒素ガス雰囲気下で行
う。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理
を行うと、島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bそれぞれの一部
が、酸化物絶縁膜207と接した状態で加熱される。また、島状酸化物半導体層223a
及び島状酸化物半導体層223bそれぞれの他の一部が、配線層215a、配線層215
b、及び配線層215cと接した状態で加熱される。
【0118】
第1の加熱処理で、島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bは、そ
れぞれ低抵抗化される。低抵抗化された島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導
体層223bは、それぞれ酸化物絶縁膜207と接した状態で第2の加熱処理が施される
【0119】
第2の加熱処理より、島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bのそ
れぞれと、酸化物絶縁膜207が接した領域は、酸素過剰な状態となる。その結果、島状
酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bそれぞれにおいて、酸化物絶縁
膜207が接する領域から、島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223
bそれぞれの深さ方向に向けて、高抵抗化(i型化)が進行する。
【0120】
具体的には、膜厚が薄い島状酸化物半導体層223bにおいて、酸化物絶縁膜207と接
する界面からゲート絶縁層202までの領域が高抵抗化(i型化)される。
【0121】
一方、島状酸化物半導体層213aと島状酸化物半導体層213bが積層された、膜厚が
厚い島状酸化物半導体層223aにおいても、酸化物絶縁膜207と接する界面からゲー
ト絶縁層202までの領域が高抵抗化(i型化)される。
【0122】
しかし、島状酸化物半導体層223aは膜厚が厚いため、ゲート絶縁層202と接する界
面付近まで高抵抗化(i型化)が進まず、島状酸化物半導体層223a中に低抵抗化され
た領域が残存する。
【0123】
以上のように、酸化物半導体トランジスタ252の特性が島状酸化物半導体層223b中
に形成されるチャネル形成領域の膜厚のみで制御できず、酸化物半導体トランジスタ25
2がノーマリオンになってしまう場合でも、第2の加熱処理を行うことで、島状酸化物半
導体層223b中に形成されるチャネル形成領域の膜厚を薄くすることが可能である。こ
れにより、酸化物半導体トランジスタ252をノーマリオフとすることができる。
【0124】
なお、配線層215a、配線層215b、及び配線層215cとして、金属導電膜を用い
た場合、配線層215a及び配線層215bと島状酸化物半導体層223aが接する領域
、並びに、配線層215b及び配線層215cと島状酸化物半導体層223bが接する領
域に第2の加熱処理を行うと、当該金属導電膜側に酸素が移動しやすくなる。当該金属導
電膜側に酸素が移動すると、島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223
bがn型化する。島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bの膜厚が
30nm以上の場合は、当該金属導電膜と当該島状酸化物半導体層の界面近傍が、n型化
する。当該島状酸化物半導体層中のn型化した領域の下側は、i型若しくはn型化した
状態となる。
【0125】
次いで、保護絶縁層208を酸化物絶縁膜207上に形成する(図1(B)参照)。保護
絶縁層208としては、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または窒化アルミニウムなどを用
いる。本実施の形態では、RFスパッタ法を用いて窒化珪素膜の保護絶縁層208を形成
する。
【0126】
以上の工程により、同一基板上にチャネル形成領域の膜厚が異なる2種類の酸化物半導体
トランジスタ251及び酸化物半導体トランジスタ252を作製する。チャネル形成領域
の膜厚が薄い酸化物半導体トランジスタ252は、ノーマリオフの挙動を示す。一方、チ
ャネル形成領域の膜厚が厚い酸化物半導体トランジスタ251は、ノーマリオンの挙動を
示す。
【0127】
上述のように、酸化物半導体トランジスタ251において、ゲート電極211aは、ゲー
ト絶縁層202に設けられたコンタクトホール203を介して配線層215bに直接接し
ている。すなわち酸化物半導体トランジスタ251は、ソース及びドレインの一方がゲー
トに電気的に接続されている。すなわち酸化物半導体トランジスタ251は、ダイオード
接続されており、ダイオードとして機能する。
【0128】
ノーマリオフの酸化物半導体トランジスタをスイッチイング素子のトランジスタ、ダイオ
ード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタをダイオードとして用いた場合の
利点を以下に述べる。
【0129】
「発明が解決しようとする課題」で述べたように、pn接合を用いたダイオードに印加す
ると、電圧降下が起こる。pn接合を用いたダイオードの場合、その順方向電圧降下は0
.6eV〜0.8eVである。
【0130】
しかしながら、ノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、ゲート電極にゲート電圧V
gを印加したときに、コレクタ電流Icがすぐ立ち上がる。よってノーマリオンの酸化物
半導体トランジスタをダイオード接続したものをダイオードとして用いると、pn接合を
用いたダイオードよりも、電圧降下が小さいので好適である。
【0131】
ダイオード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、pn接合を用いたダイ
オードよりも電圧降下が小さいので、電圧降下した分を補うために印加する電圧が小さく
てよい。ダイオード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタを用いると、電圧
降下した分を補うために印加する電圧が小さくてよいので、光電変換装置の消費電力が小
さくなる。
【0132】
以上から、ダイオード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタをダイオードと
して用いることは、電圧降下を抑制する点、電圧降下する分を補うために印加する電圧が
小さくてよいという点、光電変換装置の消費電力を抑制するという点で好適である。
【0133】
図4にノーマリオフの酸化物半導体トランジスタのV−I曲線C1及びノーマリオンの酸
化物半導体トランジスタのV−I曲線C2を示す。ノーマリオフの酸化物半導体トランジ
スタのしきい値Vth1は0より大きく(Vth1>0)、ノーマリオンの酸化物半導体
トランジスタのしきい値Vth2は0以下である(Vth2≦0)。ただしノーマリオン
の酸化物半導体トランジスタのしきい値Vth2が、マイナスであればあるほど、ノーマ
リオンの酸化物半導体トランジスタのリーク電流が大きくなってしまう。そこで、ノーマ
リオンの酸化物半導体トランジスタのしきい値Vth2がほぼ0である(Vth2≒0)
と、より好適である。
【0134】
また、ノーマリオフとノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、酸化物半導体トラン
ジスタの構造を変えずに、チャネル形成領域が含まれる島状酸化物半導体層の膜厚を変え
ることで作り分けることができる。
【0135】
よって、コンバータ回路のスイッチング素子であるトランジスタ、及び整流素子であるダ
イオードを、同じ材料及び同じ工程で作製することができる。
【0136】
なお、厚みの異なる酸化物半導体層を形成する方法として、上記の方法の他に種々の方法
を挙げることができる。
【0137】
図9(A)〜図9(F)を用いて、エッチングにより膜厚の薄い酸化物半導体層及び膜厚
の厚い酸化物半導体層を作り分ける方法について説明する。
【0138】
まず上述の記載を基にして、図6(C)に示すコンタクトホール203形成までの作製工
程を行う(図9(A)参照)。なお図9(A)と図6(C)は同じ図面である。
【0139】
次いで、ゲート絶縁層202及びコンタクトホール203を覆って、膜厚の厚い酸化物半
導体層291を成膜する(図9(B)参照)。なお酸化物半導体層291の膜厚が、膜厚
の厚い島状酸化物半導体層223aの膜厚となる。
【0140】
酸化物半導体層291を形成後、酸化物半導体層291上にレジストマスク292を形成
する(図9(C)参照)。レジストマスク292は、ゲート電極211aを覆い、ゲート
電極211bの上の酸化物半導体層291を露出させるように形成される。すなわち、レ
ジストマスク292は、後に島状酸化物半導体層223bが形成される領域以外の領域を
覆い、かつ、後に島状酸化物半導体層223bが形成される領域を露出するように形成さ
れる。
【0141】
次いで、酸化物半導体層291の当該露出領域を、所定の膜厚になるように注意深くエッ
チングして薄膜化する。これにより、ゲート電極211a上の膜厚は厚いままであり、か
つゲート電極211b上の膜厚は薄い酸化物半導体層291を得ることができる(図9
D)参照)。なお酸化物半導体層291の薄膜化された領域の膜厚が、膜厚の薄い島状酸
化物半導体層223bの膜厚となる。
【0142】
次いでレジストマスク292を除去し、酸化物半導体層291上に新たなレジストマスク
293を形成する(図9(E)参照)。レジストマスク293は、ゲート電極211a上
の一部の領域、及び、ゲート電極211b上の上述の薄膜化された領域を覆って形成され
る。すなわち、レジストマスク293は、後に島状酸化物半導体層223aが形成される
領域、及び、島状酸化物半導体層223bが形成される領域を覆って形成される。
【0143】
次いでレジストマスク293を用いて、酸化物半導体層291をエッチングし、膜厚の厚
い島状酸化物半導体層223a、及び、膜厚の薄い島状酸化物半導体層223bを形成す
る(図9(F)参照)。島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bが
得られたら、上述の作製工程に基づき、酸化物半導体トランジスタ251及び酸化物半導
体トランジスタ252を作製すればよい。
【0144】
また上述の方法において、多階調マスクを用いて形成したレジストマスクを用いることも
できる。多階調マスクとは、露光部分、中間露光部分、及び未露光部分に3つの露光レベ
ルを行うことが可能なマスクであり、一度の露光及び現像工程により、複数(代表的には
二種類)の厚さの領域を有するレジストマスクを形成することが可能である。このため、
多階調マスクを用いることで、フォトマスクの枚数を削減することが可能である。多階調
マスクの代表例としては、グレートーンマスク、ハーフトーンマスクが挙げられる。
【0145】
グレートーンマスクは、透光性を有する基板及びその上に形成される遮光部並びに回折格
子で構成される。遮光部においては、光の透過率が0%である。一方、回折格子はスリッ
ト、ドット、メッシュ等の光透過部の間隔を、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔と
することにより、光の透過率を制御することができる。なお、回折格子は、周期的なスリ
ット、ドット、メッシュ、または非周期的なスリット、ドット、メッシュどちらも用いる
ことができる。
【0146】
透光性を有する基板は、石英等の透光性を有する基板を用いることができる。遮光部及び
回折格子は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材料を用いて形成することができ
る。
【0147】
グレートーンマスクに露光光を照射した場合、遮光部においては、光の透過率は0%であ
り、遮光部及び回折格子が設けられていない領域では光の透過率は100%である。また
、回折格子においては、10〜70%の範囲で調整可能である。回折格子における光の透
過率の調整は、回折格子のスリット、ドット、またはメッシュの間隔及びピッチの調整に
より可能である。
【0148】
ハーフトーンマスクは、透光性を有する基板及びその上に形成される半透過部並びに遮光
部で構成される。半透過部は、MoSiN、MoSi、MoSiO、MoSiON、Cr
Siなどを用いることができる。遮光部は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材
料を用いて形成することができる。
【0149】
ハーフトーンマスクに露光光を照射した場合、遮光部においては、光の透過率は0%であ
り、遮光部及び半透過部が設けられていない領域では光の透過率は100%である。また
、半透過部においては、10〜70%の範囲で調整可能である。半透過部に於ける光の透
過率の調整は、半透過部の材料により調整により可能である。
【0150】
多階調マスクを用いて露光した後、現像することで、膜厚の異なる領域を有するレジスト
マスクを形成することができる。
【0151】
図10(A)〜図10(F)に、膜厚の異なるレジストマスクを用いて、膜厚の異なる島
状酸化物半導体層を形成する方法について述べる。
【0152】
まず上述の記載に基づいて、図9(B)に示す膜厚の厚い酸化物半導体層291を成膜す
る作製工程までを行う(図10(A)参照)。なお図10(A)と図9(B)は同じ図面
である。
【0153】
酸化物半導体層291上に、膜厚の厚いレジストマスク295及び膜厚の薄いレジストマ
スク296を形成する(図10(B)参照)。酸化物半導体層291において、膜厚の厚
いレジストマスク295は、ゲート電極211a上の一部の領域を覆い、膜厚の薄いレジ
ストマスク296は、ゲート電極211b上の一部の領域を覆って形成される。すなわち
、膜厚の厚いレジストマスク295は、後述する島状酸化物半導体層223aが形成され
る領域を覆い、膜厚の薄いレジストマスク296は、後述する島状酸化物半導体層223
bが形成される領域を覆って形成される。
【0154】
次いで、膜厚の厚いレジストマスク295及び膜厚の薄いレジストマスク296を用いて
、酸化物半導体層291をエッチングする。これにより、ゲート電極211a上に島状酸
化物半導体層223a、及び、ゲート電極211b上に島状酸化物半導体層221が形成
される(図10(C)参照)
【0155】
次いで、ゲート電極211b上に設けられた、膜厚が薄いレジストマスク296をO
ッシング等により除去して、島状酸化物半導体層221を露出させる(図10(D)参照
)。なおこの際に膜厚が厚いレジストマスク295もアッシングにより膜厚が薄くなる。
【0156】
露出した島状酸化物半導体層221を注意深くエッチングして薄膜化する。これにより薄
膜化された島状酸化物半導体層223bが形成される(図10(E)参照)。
【0157】
島状酸化物半導体層223a上のレジストマスク295を除去する。これにより、ゲート
絶縁層202を介して、ゲート電極211a上に膜厚の厚い島状酸化物半導体層223a
、及び、ゲート電極211b上に膜厚の薄い島状酸化物半導体層223bが形成される(
図10(F)参照)。島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層223bが得
られたら、上述の作製工程に基づき、酸化物半導体トランジスタ251及び酸化物半導体
トランジスタ252を作製すればよい。
【0158】
以上述べたように、本実施の形態により、酸化物半導体トランジスタの積層構造を変えず
に、チャネル形成領域の膜厚を変えることで、ノーマリオンとノーマリオフを作り分ける
ことができる。
【0159】
図2(A)〜図2(C)に、図1(A)〜図1(B)とは異なるトランジスタ302及び
ダイオード309の構造の別の一例を示す。
【0160】
図2(A)は上面図であり、図2(B)は、図2(A)のB−B’の断面図である。図2
(C)は、図2(A)のC−C’の断面図である。
【0161】
酸化物半導体トランジスタ272は、図3(A)におけるトランジスタ302に相当する
。酸化物半導体トランジスタ272は、基板200上にゲート電極211b、ゲート電極
211b上にゲート絶縁層202、ゲート絶縁層202上に絶縁層276、絶縁層276
上に島状酸化物半導体層223bを有し、島状酸化物半導体層223bに接して一対の電
極である配線層215b及び配線層215cが設けられている。配線層215bは、酸化
物半導体トランジスタ252のソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、配線層
215cは、酸化物半導体トランジスタ252のソース電極及びドレイン電極の他方とし
て機能する。さらに島状酸化物半導体層223b上に酸化物絶縁膜207が設けられてい
る。酸化物絶縁膜207上には、保護絶縁層208が設けられる。
【0162】
酸化物半導体トランジスタ272において、島状酸化物半導体層223b中の、ゲート絶
縁層202を介してゲート電極211bに重畳し、配線層215b及び配線層215cに
挟まれる領域が、チャネル形成領域となる。
【0163】
島状酸化物半導体層223b中において、配線層215b及び配線層215cと重畳しな
い領域244は、配線層215b及び配線層215cと重畳する領域よりも、膜厚が薄い
。当該膜厚が薄い領域244は、後述する配線層215b及び配線層215cの形成工程
の際に、エッチングされることにより膜厚が薄くなる。
【0164】
酸化物半導体トランジスタ271は、図3(A)におけるダイオード309に相当する。
酸化物半導体トランジスタ271は、基板200上にゲート電極211a、ゲート電極2
11a上にゲート絶縁層202、ゲート絶縁層202上に絶縁層276、絶縁層276上
に島状酸化物半導体層223aを有し、島状酸化物半導体層223aに接して一対の電極
である配線層215a及び配線層215bが設けられている。さらに島状酸化物半導体層
223a上に酸化物絶縁膜207が設けられている。酸化物絶縁膜207上には、保護絶
縁層208が設けられる。
【0165】
酸化物半導体トランジスタ271において、島状酸化物半導体層223a中の、ゲート絶
縁層202を介してゲート電極211aに重畳し、配線層215a及び配線層215bに
挟まれる領域が、チャネル形成領域となる。
【0166】
島状酸化物半導体層223a中において、配線層215a及び配線層215bと重畳しな
い領域242は、配線層215a及び配線層215bと重畳する領域よりも、膜厚が薄い
領域である。当該膜厚が薄い領域242は、後述する配線層215a及び配線層215b
の形成工程の際に、エッチングされることにより膜厚が薄くなる。
【0167】
酸化物半導体トランジスタ271のゲート電極211aは、ゲート絶縁層202に設けら
れたコンタクトホール274を介して、配線層273に直接接する。配線層273は、絶
縁層276に設けられたコンタクトホール275を介して、配線層215bに直接接する
。よってゲート電極211aと配線層215bは、配線層273を介して電気的に接続さ
れる。
【0168】
すなわち酸化物半導体トランジスタ271は、ソース及びドレインの一方がゲートに電気
的に接続されている。すなわち酸化物半導体トランジスタ251は、ダイオード接続され
ており、ダイオードとして機能する。
【0169】
図2(A)〜図2(C)において、ゲート電極211a及び配線層215bを電気的に接
続する配線層273は、ゲート電極211a及び配線層215bの間の層に設けられてい
る。
【0170】
図8(A)〜図8(C)に、図2(A)〜図2(C)とは異なるトランジスタ302及び
ダイオード309の構造の一例を示す。図8(A)〜図8(C)において、ゲート電極2
11a及び配線層215bを電気的に接続する配線層283は、ゲート電極211a及び
配線層215bの上方の層に設けられている。
【0171】
なお図8(A)は上面図であり、図8(B)は、図8(A)のB−B’の断面図である。
図8(C)は、図8(A)のC−C’の断面図である。
【0172】
酸化物半導体トランジスタ271のゲート電極211aは、ゲート絶縁層202及び酸化
物絶縁膜207に設けられたコンタクトホール284を介して、配線層283に直接接す
る。配線層283は、酸化物絶縁膜207に設けられたコンタクトホール285を介して
、配線層215bに直接接する。よってゲート電極211aと配線層215bは、配線層
283を介して電気的に接続される。
【0173】
よって酸化物半導体トランジスタ271は、ソース及びドレインの一方がゲートに電気的
に接続されている。すなわち酸化物半導体トランジスタ271は、ダイオード接続されて
おり、ダイオードとして機能する。
【0174】
図5(A)〜図5(B)に、図1(B)に示す酸化物半導体トランジスタ251及び酸化
物半導体トランジスタ252、図2(B)及び図8(B)に示す酸化物半導体トランジス
タ271及び酸化物半導体トランジスタ272とは、異なる構造の酸化物半導体トランジ
スタの例を示す。
【0175】
図5(A)に示す酸化物半導体トランジスタ225は、図1(B)に示す酸化物半導体ト
ランジスタ251の島状酸化物半導体層223a上に、酸化物半導体層214a及び酸化
物半導体層214bを設けた酸化物半導体トランジスタである。酸化物半導体層214a
及び酸化物半導体層214bは、一対のバッファ層として機能する。また酸化物半導体層
214a及び酸化物半導体層214bに接して、配線層215a及び配線層215bが設
けられている。すなわち、酸化物半導体層214aは島状酸化物半導体層223a及び配
線層215aとの間に設けられ、酸化物半導体層214bは島状酸化物半導体層223a
及び配線層215bとの間に設けられている。
【0176】
図5(A)に示す酸化物半導体トランジスタ226は、図1(B)に示す酸化物半導体ト
ランジスタ252の島状酸化物半導体層223b上に、酸化物半導体層214c及び酸化
物半導体層214dを設けた酸化物半導体トランジスタである。酸化物半導体層214c
及び酸化物半導体層214dは、一対のバッファ層として機能する。また酸化物半導体層
214c及び酸化物半導体層214dに接して、配線層215b及び配線層215cが設
けられている。すなわち、酸化物半導体層214cは島状酸化物半導体層223b及び配
線層215bとの間に設けられ、酸化物半導体層214dは島状酸化物半導体層223b
及び配線層215cとの間に設けられている。
【0177】
図5(B)に示す酸化物半導体トランジスタ235は、図2(B)及び図8(B)に示す
酸化物半導体トランジスタ271の島状酸化物半導体層223a上に、酸化物半導体層2
14a及び酸化物半導体層214bを設けた酸化物半導体トランジスタである。酸化物半
導体層214a及び酸化物半導体層214bは、一対のバッファ層として機能する。また
酸化物半導体層214a及び酸化物半導体層214bに接して、配線層215a及び配線
層215bが設けられている。すなわち、酸化物半導体層214aは島状酸化物半導体層
223a及び配線層215aとの間に設けられ、酸化物半導体層214bは島状酸化物半
導体層223a及び配線層215bとの間に設けられている。
【0178】
図5(B)に示す酸化物半導体トランジスタ236は、図2(B)及び図8(B)に示す
酸化物半導体トランジスタ272の島状酸化物半導体層223b上に、酸化物半導体層2
14c及び酸化物半導体層214dを設けた酸化物半導体トランジスタである。酸化物半
導体層214c及び酸化物半導体層214dは、一対のバッファ層として機能する。また
酸化物半導体層214c及び酸化物半導体層214dに接して、配線層215b及び配線
層215cが設けられている。すなわち、酸化物半導体層214cは島状酸化物半導体層
223b及び配線層215bとの間に設けられ、酸化物半導体層214dは島状酸化物半
導体層223b及び配線層215cとの間に設けられている。
【0179】
酸化物半導体層214a及び酸化物半導体層214b、並びに酸化物半導体層214c及
び酸化物半導体層214dは、島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導体層22
3bより高い導電率を有している。
【0180】
そのため、酸化物半導体層214a及び酸化物半導体層214b、並びに酸化物半導体層
214c及び酸化物半導体層214dは、酸化物半導体トランジスタ225及び酸化物半
導体トランジスタ226のそれぞれにおいて、ソース領域及びドレイン領域として機能す
る。
【0181】
同様に、酸化物半導体層214a及び酸化物半導体層214b、並びに酸化物半導体層2
14c及び酸化物半導体層214dは、酸化物半導体トランジスタ235及び酸化物半導
体トランジスタ236のそれぞれにおいて、ソース領域及びドレイン領域として機能する
【0182】
酸化物半導体層214a及び酸化物半導体層214b、並びに酸化物半導体層214c及
び酸化物半導体層214dに用いることができる酸化物半導体層としては、以下に説明す
る酸化物半導体層をその例に挙げることができる。
【0183】
例えば、酸化物半導体層として可視光に対して透光性を有する導電材料、例えば、少なく
ともIn、Ga、Sn、Zn、Al、Mg、Hf及びランタノイド及びZnから選ばれた
一種以上の元素を含有する。例えば、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn
−O系酸化物半導体や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体
、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−
Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Z
n−O系酸化物半導体、In−Hf−Zn−O系酸化物半導体、In−La−Zn−O系
酸化物半導体、In−Ce−Zn−O系酸化物半導体、In−Pr−Zn−O系酸化物半
導体、In−Nd−Zn−O系酸化物半導体、In−Pm−Zn−O系酸化物半導体、I
n−Sm−Zn−O系酸化物半導体、In−Eu−Zn−O系酸化物半導体、In−Gd
−Zn−O系酸化物半導体、In−Tb−Zn−O系酸化物半導体、In−Dy−Zn−
O系酸化物半導体、In−Ho−Zn−O系酸化物半導体、In−Er−Zn−O系酸化
物半導体、In−Tm−Zn−O系酸化物半導体、In−Yb−Zn−O系酸化物半導体
、In−Lu−Zn−O系酸化物半導体やや、二元系金属の酸化物であるIn−Zn−O
系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn
−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半
導体や、In−Ga−O系の材料酸化物半導体、一元系金属の酸化物であるIn−O系酸
化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用いることができ
る。また、上記酸化物半導体にInとGaとSnとZnとAlとMgとHf及びランタノ
イド以外の元素、例えばSiO2を含ませてもよい。
【0184】
例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガリウム(G
a)、亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体、という意味であり、その組成比は問わない。
【0185】
また、酸化物半導体層は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を
用いることができる。ここで、Mは、Zn、Ga、Al、Mn及びCoから選ばれた一ま
たは複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、また
はGa及びCoなどがある。
【0186】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組
成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn
:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に
換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=1
5:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)と
する。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比が
In:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0187】
当該酸化物半導体層の膜厚は1nm以上300nm以下の範囲内で適宜選択する。また、
当該酸化物半導体層の成膜方法としてスパッタ法を用いる場合、SiOを2重量%以上
10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行う。このようなSiOを含むターゲッ
トを用いて当該酸化物半導体層を成膜すると、当該酸化物半導体層に結晶化を阻害するS
iOx(X>0)を含ませることができる。当該酸化物半導体層にSiOxを含ませると
、後の工程で行う脱水化または脱水素化のための加熱処理の際に、当該酸化物半導体層が
結晶化するのを抑制するので好適である。
【0188】
また、例えばIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を酸化物半導体層に用いる場合、チャネ
ル形成領域が含まれる酸化物半導体層(島状酸化物半導体層223a及び島状酸化物半導
体層223b)と、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物半導体層(酸化物
半導体層214a及び酸化物半導体層214b、並びに酸化物半導体層214c及び酸化
物半導体層214d)を異なる成膜条件によって、作り分けることができる。
【0189】
例えば当該酸化物半導体層をスパッタ法で成膜する場合、アルゴンガス中で成膜した酸化
物半導体層は、n型の導電型を有し、活性化エネルギー(ΔE)が0.01eV以上0.
1eV以下である。このようなn型の導電型を有する酸化物半導体層を、酸化物半導体層
214a及び214b、並びに酸化物半導体層214c及び酸化物半導体層214dに用
いると、ソース領域及びドレイン領域として好適である。
【0190】
なお、本実施の形態では、酸化物半導体層214a及び酸化物半導体層214b、並びに
酸化物半導体層214c及び酸化物半導体層214dは、In−Ga−Zn−O系非単結
晶膜であり、少なくともアモルファス成分を含んでいるものとする。
【0191】
また、酸化物半導体層214a及び酸化物半導体層214b、並びに酸化物半導体層21
4c及び酸化物半導体層214dの中に、結晶粒(ナノクリスタル)が含まれる場合があ
る。このような結晶粒(ナノクリスタル)の直径は、1nm〜10nm、代表的には2n
m〜4nm程度である。
【0192】
このような、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物半導体層(酸化物半導体
層214a及び酸化物半導体層214b、並びに酸化物半導体層214c及び酸化物半導
体層214d)を、チャネル形成領域が含まれる酸化物半導体層(島状酸化物半導体層2
23a及び島状酸化物半導体層223b)、並びに、ソース電極及びドレイン電極として
機能する配線層(配線層215a、配線層215b、及び配線層215c)の間に設ける
ことにより、良好な電気的な接合が得られる。チャネル形成領域、ソース領域及びドレイ
ン領域、並びにソース電極及びドレイン電極に良好な電気的な接合が得られると、酸化物
半導体トランジスタ251及び酸化物半導体トランジスタ252、並びに、酸化物半導体
トランジスタ271及び酸化物半導体トランジスタ272は安定な動作を示すので好適で
ある。またこのような酸化物半導体トランジスタは、高いドレイン電圧でも良好な移動度
を保持することができるので好適である。
【0193】
以上のように、本実施の形態のコンバータ回路では、整流素子であるダイオードとして、
ダイオード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタを用いる。ダイオード接続
したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、pn接合を用いたダイオードよりも電
圧降下が小さいので、電圧降下する分を補うために印加する電圧が小さくてよい。ダイオ
ード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタを用いると、電圧降下した分を補
うために印加する電圧が小さくてよいので、コンバータ回路の消費電力が小さくなる。コ
ンバータ回路の消費電力が小さくなると、光電変換装置の消費電力も小さくなる。
【0194】
また上述のように、酸化物半導体トランジスタの積層構造を変えずに、チャネル形成領域
の膜厚を変えることで、ノーマリオンとノーマリオフを作り分けることができる。
【0195】
図3(B)に示すコンバータ回路311は、トランジスタ312、コイル313、ダイオ
ード319、コンデンサ315を有する降圧回路である。
【0196】
トランジスタ312のソースあるいはドレインの一方は、光電変換素子317のp型半導
体層側及びn型半導体層側の一方の電極に電気的に接続されている。トランジスタ312
のソースあるいはドレインの他方は、ダイオード319の出力端子及びコイル313の一
方の端子と電気的に接続されている。ダイオード319の入力端子は、光電変換素子31
7のp型半導体層側及びn型半導体層側の他方の電極及びコンデンサ315の一方の端子
に電気的に接続されている。ダイオード319の出力端子は、トランジスタ312のソー
スあるいはドレインの他方及びコイル313の一方の端子と電気的に接続されている。コ
イル313の一方の端子は、トランジスタ312のソースあるいはドレインの他方及びダ
イオード319の出力端子に電気的に接続されている。コイル313の他方の端子は、コ
ンデンサ315の他方の端子及び出力端子OUTに電気的に接続されている。なお、光電
変換素子317のp型半導体層側及びn型半導体層側の他方の電極、ダイオード319の
入力端子、及びコンデンサ315の一方の端子は接地されている。
【0197】
トランジスタ312はスイッチング素子として機能する。またトランジスタ312のゲー
トは、コンバータ回路311の制御回路に接続されている。コンバータ回路311の制御
回路からの信号PWMにより、トランジスタ312はオン状態あるいはオフ状態となる。
【0198】
スイッチング素子であるトランジスタ312がオン状態のとき、入力から出力に流れる降
圧回路の電流により、コイル313には励磁エネルギーが蓄えられる。
【0199】
トランジスタ312がオフ状態になると、コイル313は電流を保とうとして起電力を発
生させ、ダイオード319をオン状態にする。ダイオード319を通じて電流が流れるこ
とによって、電圧が低下して電圧V2となる。電圧V1から電圧V2に低下するため、コ
ンバータ回路311は降圧回路として機能する。
【0200】
なお本実施の形態において、トランジスタ312として酸化物半導体トランジスタを用い
る。
【0201】
上述のように、酸化物半導体トランジスタは、高耐圧及び大電流に適したトランジスタで
ある。このため、コンバータ回路311のスイッチング素子であるトランジスタ312に
好適である。
【0202】
本実施の形態において、ダイオード319は整流素子として機能する。本実施の形態では
、該ダイオード319として、ダイオード接続された酸化物半導体トランジスタを用いる
。該ダイオード接続された酸化物半導体トランジスタとして、トランジスタ312と同様
の構造を有する酸化物半導体トランジスタを作製し、そのゲート電極とドレイン領域を電
気的に接続すればよい。これにより、トランジスタ312とダイオード319が同時に作
製することができるため、作製工程を低減させることが可能である。コンバータ回路31
1の作製工程を低減することが可能なため、コンバータ回路311の作製コストを抑制す
ることが可能である。
【0203】
また上述のように、酸化物半導体トランジスタは、高耐圧及び大電流に適したトランジス
タである。このため、ダイオード接続された酸化物半導体トランジスタを、コンバータ回
路311のダイオード319として用いることは好適である。
【0204】
上述したように、スイッチング素子であるトランジスタ312は、ノーマリオフの酸化物
半導体トランジスタを用いる。また整流素子であるダイオード319は、ダイオード接続
されたノーマリオンの酸化物半導体トランジスタを用いる。ノーマリオンの酸化物半導体
トランジスタをダイオード接続したものをダイオード319として用いるので、pn接合
を用いたダイオードよりも電圧降下が小さい。
【0205】
また上述のように、本実施の形態により、酸化物半導体トランジスタの積層構造を変えず
に、チャネル形成領域が含まれる酸化物半導体層の膜厚を変えることで、ノーマリオンと
ノーマリオフを作り分けることができる。
【0206】
また本実施の形態において、コイル313として、基板上にコイル状に形成した配線を用
いることができる。
【0207】
また、本実施の形態において、コンデンサ315として、例えば第1の電極と、第2の電
極と、誘電体とを有する構成のコンデンサを用いることができる。
【0208】
以上のように、本実施の形態のコンバータ回路では、整流素子であるダイオードとして、
ダイオード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタを用いる。ダイオード接続
したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、pn接合を用いたダイオードよりも電
圧降下が小さいので、電圧降下した分を補うために印加する電圧が小さくてよい。ダイオ
ード接続したノーマリオンの酸化物半導体トランジスタは、電圧降下した分を補うために
印加する電圧が小さいので、コンバータ回路の消費電力が小さくなる。コンバータ回路の
消費電力が小さくなると、光電変換装置の消費電力も小さくなる。
【0209】
また本実施の形態により、コンバータ回路のスイッチング素子であるトランジスタ、及び
整流素子であるダイオードを、同じ材料及び同じ工程で作製することができる。
【0210】
本実施の形態の光電変換素子307或いは光電変換素子317を図11を用いて説明する
。本実施の形態では、光電変換素子307の一例として、非晶質半導体層を光電変換層に
有する太陽電池について述べる。
【0211】
図11に示す太陽電池は、基板401上に、p型非晶質半導体層413、真性非晶質半導
体層414、及びn型非晶質半導体層415を有する、非晶質半導体層の光電変換層41
1を備えている。光電変換層411の一方の面には、導電膜410が設けられている。光
電変換層411の他方の面には、導電膜412が設けられている。
【0212】
具体的には、導電膜410上に、p型非晶質半導体層413、真性非晶質半導体層414
、n型非晶質半導体層415が積層される。n型非晶質半導体層415上には、導電膜4
12が設けられる。
【0213】
導電膜410、光電変換層411、及び導電膜412はそれぞれ、所定の形状に加工され
ている。当該所定の形状に加工された導電膜410、光電変換層411、及び導電膜41
2は、1つのセル402を構成する。各セル402は、異なるセルと直列に接続されてい
る。各セル402が異なるセル402と直列に接続されていると、出力電圧を上昇させる
ことが可能である。
【0214】
基板401は、基板401側から光が入射することを想定して、太陽光に対して透光性を
有する材料を用いる。
【0215】
透光性を有する基板401として、例えば、青板ガラス、白板ガラス、鉛ガラス、強化ガ
ラス、セラミックガラスなどのガラス板を用いることができる。また、アルミノシリケー
ト酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどの無アルカリガ
ラス基板、石英基板、セラミック基板を用いることができる。
【0216】
透光性を有する基板401として、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基
板(プラスチック基板)を用いる場合は、上記基板と比較して耐熱温度が一般的に低い傾
向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
【0217】
プラスチック基板として、ポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレ
ンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド系合成繊維、ポリエ
ーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(P
EI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミ
ド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ
酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。ポリエステルとして、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0218】
導電膜410は、基板401側から光が入射するので、太陽光に対して透光性を有する導
電材料を用いて形成する。
【0219】
透光性を有する導電材料として、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin
Oxide:ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウ
ム、有機スズ、酸化亜鉛、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(I
ndium Zinc Oxide))、ガリウム(Ga)をドープしたZnO、酸化ス
ズ(SnO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むイ
ンジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム
錫酸化物などが好適である。
【0220】
なお、導電膜410にインジウム錫酸化物を用いる場合、導電膜410上に、後の工程で
形成するp型非晶質半導体層413を形成すると、p型非晶質半導体層413中に存在す
る水素が、導電膜410中のインジウム錫酸化物を還元してしまう。そのため、導電膜4
10の膜質が劣化する恐れがある。
【0221】
インジウム錫酸化物を導電膜410に用いる場合、インジウム錫酸化物が還元されるのを
防ぐために、インジウム錫酸化物を用いた導電膜とp型非晶質半導体層413との間に、
酸化スズを用いた導電膜、または、酸化亜鉛と窒化アルミニウムとの混合材料を含む導電
性材料を用いた導電膜を、数十nmの膜厚で積層したものを、導電膜410として用いる
ことが好ましい。
【0222】
また、導電膜410の、光電変換層411側の面に凹凸を形成しておくと、導電膜410
において光が屈折または乱反射する。このため、光電変換層411内における光の吸収率
を高め、変換効率を高めることができるので好適である。
【0223】
導電膜410上には、p型非晶質半導体層413、真性非晶質半導体層414、n型非晶
質半導体層415が順に積層された光電変換層411が設けられている。
【0224】
本実施の形態では、p型非晶質半導体層413として、p型非晶質珪素層を用いる。p型
非晶質珪素層は、p型を付与する元素、例えばホウ素を含む珪素層である。
【0225】
また本実施の形態では、真性非晶質半導体層414として、真性非晶質珪素層を用いる。
【0226】
本実施の形態では、n型非晶質半導体層415として、n型非晶質珪素層を用いる。n型
非晶質珪素層は、n型を付与する元素、例えばリンを含む珪素層である。
【0227】
なお、本実施の形態では、光電変換層411として、p型非晶質半導体層413、真性非
晶質半導体層414、n型非晶質半導体層415が順に積層された例を示すが、積層の順
番はn型非晶質半導体層、真性非晶質半導体層、p型非晶質半導体層の順でもよい。
【0228】
ただし、非晶質半導体層あるいは単結晶半導体層に限らず、p型半導体層はn型半導体層
よりも、光が入射される側に近くなるよう配置することが望ましい。ホールのキャリアと
しての寿命は、電子のキャリアとしての寿命の約半分と短い。pin接合を有する光電変
換層に光が照射されると、真性半導体層内において多量の電子とホールが形成され、電子
はn型半導体層側へ、ホールはp型半導体層側へ移動し、起電力を得ることができる。
【0229】
光の照射をp型半導体層側から行うと、電子とホールの形成が、真性半導体層内のn型半
導体層よりもp型半導体層に近い側において多く行われる。そのため、寿命が短いホール
がp型半導体層へ移動する距離を、短くすることができ、その結果、高い起電力を得るこ
とができる。
【0230】
本実施の形態では、光はp型半導体層側及びn型半導体層側の両方から入射する。そのた
め、光電変換層の積層の順番は、n型半導体層、真性半導体層、p型半導体層、あるいは
、p型半導体層、真性半導体層、n型半導体層、のどちらでもよい。しかし、入射する光
の強度がより強い側にp型半導体層を設けると、より高い起電力を得ることができる。
【0231】
以上説明したように、本実施の形態の光電変換装置は、消費電力を抑制することが可能で
ある。また本実施の形態の光電変換装置は、作製コストを抑制することが可能である。
【0232】
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1で述べたコンバータ回路の回路構成の一例について、図
12を用いて説明する。
【0233】
図12は電源回路601の構成例である。電源回路601は、コンバータ回路である電圧
変換回路602、及び電圧変換回路602の制御回路603を有している。電圧変換回路
602は、実施の形態1でも述べたDC−DCコンバータである。
【0234】
電圧変換回路602は、トランジスタ611、コイル612、ダイオード613、及びコ
ンデンサ614を有している。制御回路603は、三角波発生回路621、デジタル制御
方式の回路650、パルス幅変調出力ドライバ623、抵抗624、及び抵抗625を有
している。また点線の矢印627は帰還回路のループを表している。抵抗624の出力電
圧である帰還電圧Vfbは、デジタル制御方式の回路650に入力される。
【0235】
電圧変換回路602のダイオード613に、実施の形態1で述べた、ダイオード接続した
ノーマリオンの酸化物半導体トランジスタを用いると、電圧降下を抑制できるという点で
好適である。
【0236】
電圧変換回路602のトランジスタ611に、実施の形態1で述べた、ノーマリオフの酸
化物半導体トランジスタを用いると、酸化物半導体トランジスタの積層構造を変えずに、
チャネル形成領域の膜厚を変えることで、ノーマリオンとノーマリオフを作り分けること
ができるという点で好適である。
【0237】
デジタル制御方式の回路650は、コンパレータ651、デジタル演算処理回路652、
パルス幅変調出力ドライバ653、及びローパスフィルタ654(ローパスフィルタ:L
ow Pass Filter(LPF))を有している。
【0238】
デジタル制御方式の回路650の内、デジタル演算処理回路652及びパルス幅変調出力
ドライバ653はデジタル回路である。デジタル回路は、回路を流れる信号の基準に対す
る高低によって、1か0(ゼロ)かを判断する。デジタル回路は、1か0(ゼロ)かを判
断するため、デジタル回路を構成する素子の特性がばらついても、正しく処理する事が可
能である。
【0239】
またデジタル制御方式の回路650は、占有面積の大きい受動素子(例えば、容量や抵抗
)の使用を抑制してるので、回路の占有面積を小さくすることが可能であるという点で好
適である。
【0240】
コンパレータ651は、反転入力端子REFから入力される参照電圧Vrefと、非反転
入力端子から入力される帰還電圧Vfbとを比較して、H(ハイレベル)かL(ローレベ
ル)、すなわち1か0(ゼロ)であるデジタル信号を出力する。
【0241】
デジタル演算処理回路652は、デジタル平均化・積分器652a及びデジタルパルス幅
変調器652bを有している。またデジタル演算処理回路652には、外部からクロック
分割器655が接続され、クロック分割器655からのクロック信号が入力される。
【0242】
デジタル演算処理回路652は、コンパレータ651から出力されたデジタル信号を、平
均化処理、積分化処理、及び、デジタルパルス幅変調処理を行う。デジタル演算処理回路
652中のデジタル平均化・積分器652aが平均化処理及び積分化処理を行い、デジタ
ルパルス幅変調器652bがデジタルパルス幅変調処理を行う。
【0243】
デジタル演算処理回路652では、まず、コンパレータ651から出力されたデジタル信
号(H(ハイレベル)またはL(ローレベル))をNビット保持し、HとLの回数を比較
し、多い方の信号を出力する。これによりデジタル信号の平均化が行われる。
【0244】
平均化されたデジタル信号に応じて、Hであれば「−1」、Lであれば「+1」を加えて
積算する。これにより、平均化されたデジタル信号が積分される。
【0245】
積分されたデジタル信号に応じて、パルス幅変調の位相位置の設定を行う。これによりデ
ジタルパルス幅変調処理化が行われる。デジタルパルス幅変調処理化されたパルス幅変調
出力信号は、パルス幅変調出力ドライバ653に入力される。
【0246】
三角波発生回路621は、パルス幅変調生成信号に必要な三角波Voscを発生させる回
路である。
【0247】
パルス幅変調出力ドライバ623の反転入力端子にはデジタル制御方式の回路650の出
力信号Verrが入力され、非反転入力端子には三角波発生回路621が生成した三角波
Voscが入力される。
【0248】
パルス幅変調出力ドライバ623は、デジタル制御方式の回路650の出力信号Verr
と三角波Voscを比較し、三角波Voscの信号レベルがデジタル制御方式の回路65
0の出力信号Verrより大きい場合は、H(ハイレベル)をパルス幅変調信号PWMと
してトランジスタ611に出力する。一方、三角波Voscの信号レベルがデジタル制御
方式の回路650の出力信号Verrより小さい場合は、L(ローレベル)をパルス幅変
調信号PWMとしてトランジスタ611に出力する。
【0249】
以上説明したように、本実施の形態の光電変換装置は、消費電力を抑制することが可能で
ある。また本実施の形態の光電変換装置は、作製コストを抑制することが可能である。
【0250】
[実施の形態3]
本実施の形態では、実施の形態1又は実施の形態2などにより得られる光電変換装置を用
いて、太陽光発電モジュールを得る。得られた太陽光発電モジュールを電動推進車両に搭
載する例について説明する。
【0251】
本実施の形態の太陽光発電モジュールの例を、図13図14(A)〜図14(B)、図
15(A)〜図15(B)を用いて説明する。本実施の形態の太陽光発電モジュールは、
実施の形態1又は実施の形態2に示す光電変換装置を用いて作製される。
【0252】
図13に、太陽光発電モジュール800を用いた太陽光発電システムの例を示す。
【0253】
太陽光発電モジュール800には、DC−DCコンバータ等を具備する電圧変換回路85
1が接続されている。該電圧変換回路851により、太陽光発電モジュール800の出力
電圧が昇圧或いは降圧される。
【0254】
電圧変換回路851には、制御回路853が接続されている。制御回路853は、太陽光
発電モジュール800の最大電力を取り出すように、電圧変換回路851を最大電力点追
従(MPPT)制御する。
【0255】
また、制御回路853は、電圧変換回路851からの出力電圧を制御し、蓄電池840を
充電する。また制御回路853は、蓄電池840が十分に充電されている場合、太陽光発
電モジュール800から供給される電力を外部回路841に直接出力するよう制御する。
【0256】
当該太陽光発電モジュール800は、実施の形態1又は実施の形態2に示す光電変換装置
を用いて作製する。本実施の形態では、太陽光発電モジュール800の例として、実施の
形態1で述べた非晶質半導体層を光電変換層411に有する太陽電池を用いる。なお、太
陽光発電モジュール800は、上記太陽電池に限定されるものではなく、実施の形態1で
述べた他の太陽電池であってもよい。
【0257】
蓄電池840として電気二重層キャパシタを用いると、充電に化学反応を必要としないた
め、急速な充電が可能である。また、化学反応を利用する鉛蓄電池などに比べ、寿命を8
倍程度、充放電効率を1.5倍程度に高めることができる。本実施の形態において示す太
陽光発電システムは、照明、電子機器など、電力を使用する様々な外部回路841に対し
て用いることができる。
【0258】
図14(A)及び図14(B)に、太陽光発電モジュール800の構造の一例を示す。
【0259】
太陽光発電モジュール800は、実施の形態1で述べた、非晶質半導体層を有する光電変
換層411を用いた太陽電池である。図14(A)及び図14(B)において、図11
同じものは同じ符号で示している。図14(B)は、図14(A)のD−D’に対する断
面図である。
【0260】
光電変換層411上に設けられた導電膜412に接して、補助電極807及び補助電極8
08が設けられる。補助電極807及び補助電極808はそれぞれ、最も端部のセルの導
電膜412に電気的に接続されている。
【0261】
図15(A)および図15(B)に、図13に示した太陽光発電モジュール800をルー
フ部分に用いた電動推進車両860(乗用自動車)の例を示す。太陽光発電モジュール8
00は、コンバータ862を介してバッテリーまたはキャパシタ864に接続されている
。すなわち、バッテリーまたはキャパシタ864は、太陽光発電モジュール800から供
給される電力を用いて充電される。また、エンジン866の動作状況をモニタ868で監
視して、その状況に応じて充電及び放電を選択させる構成としても良い。
【0262】
太陽光発電モジュール800は、熱によって光電変換効率が低下する傾向にある。このよ
うな光電変換効率の低下を抑制するために、太陽光発電モジュール800内に冷却用の液
体などを循環させる構成としても良い。例えば、ラジエータ870の冷却水を循環ポンプ
872によって循環させる構成とすることができる。もちろん、冷却用の液体をラジエー
タ870と共用することには限定されない。また、光電変換効率の低下が深刻でない場合
には、液体を循環させる構成は不要である。
【0263】
本実施の形態の光電変換装置は、ダイオードの電圧降下を抑制する点、電圧降下した分を
補うために印加する電圧が小さくてよいという点、コンバータ回路の消費電力を抑制する
という点、及び光電変換装置の消費電力を抑制するという点で好適である。
【0264】
また本実施の形態の光電変換装置は、コンバータ回路の作製コストを抑制するという点、
光電変換装置の作製コストを抑制するという点で好適である。
【符号の説明】
【0265】
200 基板
202 ゲート絶縁層
203 コンタクトホール
207 酸化物絶縁膜
208 保護絶縁層
211a ゲート電極
211b ゲート電極
213a 島状酸化物半導体層
213b 島状酸化物半導体層
214a 酸化物半導体層
214b 酸化物半導体層
214c 酸化物半導体層
214d 酸化物半導体層
215a 配線層
215b 配線層
215c 配線層
221 島状酸化物半導体層
223 島状酸化物半導体層
223a 島状酸化物半導体層
223b 島状酸化物半導体層
225 酸化物半導体トランジスタ
226 酸化物半導体トランジスタ
235 酸化物半導体トランジスタ
236 酸化物半導体トランジスタ
242 領域
244 領域
251 酸化物半導体トランジスタ
252 酸化物半導体トランジスタ
261 酸化物半導体層
262 酸化物半導体層
263 導電膜
271 酸化物半導体トランジスタ
272 酸化物半導体トランジスタ
273 配線層
274 コンタクトホール
275 コンタクトホール
276 絶縁層
283 配線層
284 コンタクトホール
285 コンタクトホール
291 酸化物半導体層
292 レジストマスク
293 レジストマスク
295 レジストマスク
296 レジストマスク
301 コンバータ回路
302 トランジスタ
303 コイル
305 コンデンサ
307 光電変換素子
309 ダイオード
311 コンバータ回路
312 トランジスタ
313 コイル
315 コンデンサ
317 光電変換素子
319 ダイオード
401 基板
402 セル
410 導電膜
411 光電変換層
412 導電膜
413 p型非晶質半導体層
414 真性非晶質半導体層
415 n型非晶質半導体層
601 電源回路
602 電圧変換回路
603 制御回路
611 トランジスタ
612 コイル
613 ダイオード
614 コンデンサ
621 三角波発生回路
623 パルス幅変調出力ドライバ
624 抵抗
625 抵抗
627 矢印
650 回路
651 コンパレータ
652 デジタル演算処理回路
652a デジタル平均化・積分器
652b デジタルパルス幅変調器
653 パルス幅変調出力ドライバ
654 ローパスフィルタ
655 クロック分割器
800 太陽光発電モジュール
807 補助電極
808 補助電極
840 蓄電池
841 外部回路
851 電圧変換回路
853 制御回路
860 電動推進車両
862 コンバータ
864 キャパシタ
866 エンジン
868 モニタ
870 ラジエータ
872 循環ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15