(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無機充填剤100vol%に対して、前記コーティング層が形成された窒化ホウ素凝集体55〜85vol%;及び前記酸化アルミニウム15〜45vol%含むことを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、前記のような従来の諸問題点を解消するために提案されたものであって、本発明の目的は、樹脂組成物に含まれる無機充填剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例による無機充填剤は、窒化ホウ素凝集体と、前記窒化ホウ素凝集体上に形成され、−Si−R−NH
2を含むコーティング層と、を含み、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択される。
【0009】
前記コーティング層は、−O−Si−R−NH
2を含むことができる。
【0010】
前記コーティング層は、下記作用基を含むことができる。
【0011】
【化1】
【0012】
前記コーティング層は、下記単位体を有する高分子を含むことができる。
【0013】
【化2】
【0014】
前記コーティング層の厚さは、1μm〜2μmであることができる。
【0015】
本発明の他の実施例による無機充填剤は、窒化ホウ素凝集体;及び前記窒化ホウ素凝集体内に形成された空隙を含み、前記空隙の少なくとも一部はSiを含有する無機物で充填される。
【0016】
前記窒化ホウ素凝集体の表面に形成され、前記Siを含有する無機物からなるコーティング層をさらに含み、前記コーティング層上に作用基が形成されることができる。
【0017】
前記作用基は、アミノ基を含むことができる。
【0018】
前記Siを含む無機物は、シリコンオキシカーボナイトライド(silicon oxycarbonitride、SiCNO)またはシリコンカーボナイトライド(silicon carbonitride、SiCN)を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例による樹脂組成物は、樹脂と、窒化ホウ素凝集体を含む無機充填剤と、を含み、前記窒化ホウ素凝集体上には、−Si−R−NH
2が含まれるコーティング層が形成され、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択される。
【0020】
前記樹脂は、エポキシ系樹脂であり、前記無機充填剤は、酸化アルミニウムをさらに含む。前記エポキシ系樹脂は、15〜35vol%を含み、前記無機充填剤は、65〜85vol%を含むことができる。
【0021】
前記無機充填剤100vol%に対して、前記コーティング層が形成された窒化ホウ素凝集体55〜85vol%;及び前記酸化アルミニウム15〜45vol%含むことができる。
【0022】
本発明の一実施例による放熱基板は、樹脂と、窒化ホウ素凝集体を含む無機充填剤と、を含み、前記窒化ホウ素凝集体上には、−Si−R−NH
2が含まれるコーティング層が形成され、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択される樹脂組成物を含む。
【0023】
前記放熱基板の熱伝導度は、18W/mK以上であることができる。
【0024】
前記放熱基板の剥離強度は、0.8Kgf/cm以上であることができる。
【0025】
本発明の一実施例による樹脂及び表面コーティングされた窒化ホウ素凝集体を含む樹脂組成物からなる放熱基板は、前記放熱基板を、高さ127mm、横3.2mm、縦12.7mmである四角柱形状の試片または高さ80±2mm、横4±0.2mm、縦10±0.2mmである四角柱形状の試片で製作し、前記試片に10mm/minの速度で所定の荷重を加えて前記放熱基板を1部分と2部分に破壊する場合、前記1部分と前記2部分の破断面が全て前記コーティングされた窒化ホウ素凝集体の破片を含む。
【0026】
前記窒化ホウ素凝集体の破片の直径は、前記窒化ホウ素凝集体の平均直径の30%以上であることができる。
【0027】
前記窒化ホウ素凝集体のコーティング層は、−Si−R−NH
2を含むことができる。
【0028】
前記窒化ホウ素凝集体の破片は、前記1部分と前記2部分の破断面のお互いに対応する位置に形成されることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施例によれば、印刷回路基板または発光素子パッケージに適用される樹脂組成物に含まれる無機充填剤を得ることができる。これによって、分散性が良好であり、絶縁性能が優秀であり、熱伝導度が高くて、接着力及び加工性が優秀な樹脂組成物を得ることができる。特に、等方性の優秀な熱伝導特性を有し、樹脂との親和力が改善されて剥離強度及び屈曲強度が優秀な無機充填剤を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、多様に変更可能であり、様々な実施形態を有することができる。ここでは、特定の実施形態を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明の好ましい実施態様に過ぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面内容に基づいてなされた均等な変更および付加は、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0032】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素は前記用語により限定されものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するための目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を脱しない範囲で、第1の構成要素は第2の構成要素と命名することができ、類似に第2の構成要素も第1の構成要素と命名することができる。及び/またはとの用語は、複数の関連された記載された項目の組合せまたは複数の関連された記載された項目の中のいずれか一項目を含む。
【0033】
本明細書で使用した用語は、但し、特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明はこれに限定されるものではない。単数の表現は、文脈上明白に相違に記載しない限り複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するのであって、一つまたはその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除することではない。
【0034】
特定しない限り、技術的や科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により一般的に理解される意味と同一な意味を有する。一般的に使用される辞典に定義された用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致することと解でき、本出願において明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味を有することで解釈できない。
【0035】
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると示す場合、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上に」にあると示す場合には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。本発明の説明において、全体的な理解を容易にするために図面上の同一な構成要素に対しては同一な参照符号を使用し、同一な構成要素に対して重複された説明は省略する。
【0037】
本発明の実施例による樹脂組成物は、樹脂及び無機充填剤を含む。ここで、樹脂は、エポキシ化合物及び硬化剤を含むことができる。この時、エポキシ化合物10体積比に対して、硬化剤1〜10体積比で含まれることができる。本明細書において、エポキシ化合物は、エポキシ系樹脂と混用されることができる。
【0038】
ここで、エポキシ化合物は、結晶性エポキシ化合物、非結晶性エポキシ化合物及びシリコンエポキシ化合物の中で少なくとも一つを含むことができる。
【0039】
結晶性エポキシ化合物は、メソゲン(mesogen)構造を含むことができる。メソゲン(mesogen)は、液晶(liquid crystal)の基本単位であり、剛性(rigid)構造を含む。
【0040】
また、非結晶性エポキシ化合物は、分子のうちエポキシ基を2個以上有する通常の非結晶性エポキシ化合物であることができ、例えば、ビスフェノールAまたはビスフェノールFから誘導されるグリシジルエーテル化物であることができる。
【0041】
ここで、硬化剤は、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤及びブロックイソシアネート系硬化剤の中で少なくとも一つを含むことができ、2種類以上の硬化剤を混合して使用してもよい。
【0042】
また、無機充填剤は、板状の窒化ホウ素が凝集された窒化ホウ素凝集体及び酸化アルミニウムを含む。
【0043】
ここで、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体上には、Siを含有する無機物からなるコーティング層が形成され、コーティング層上には、アミノ基が形成される。また、Siを含有する無機物は、窒化ホウ素凝集体内の空隙の少なくとも一部を充填することができる。
【0044】
この時、Siを含有する無機物は、Nをさらに含むことができる。また、Siを含む無機物は、C及びOの中で少なくとも一つをさらに含んでもよい。例えば、Siを含む無機物は、シリコンオキシカーボナイトライド(silicon oxycarbonitride、SiCNO)またはシリコンカーボナイトライド(silicon carbonitride、SiCN)を含むことができる。
【0045】
すなわち、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体上に形成されたコーティング層は、下記作用基1を含む。
【0047】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができる。
【0048】
作用基1は、下記作用基2を含むことができる。
【0050】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができる。
【0051】
また、作用基2は、下記作用基3を含むことができる。
【0053】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができる。
【0054】
また、作用基3は、下記作用基4を含むことができる。
【0056】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができる。
【0057】
すなわち、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体上に形成されたコーティング層は、下記単位体を有する高分子を含む。
【化7】
【0058】
このように、Siを含有する無機物が窒化ホウ素凝集体上にコーティングされ、窒化ホウ素凝集体内の空隙の少なくとも一部を充填すれば、窒化ホウ素凝集体内の空気層が最小化されて窒化ホウ素凝集体の熱伝導性能を高めることができ、板状の窒化ホウ素の間の結合力を高めて窒化ホウ素凝集体が割れることを防止することができる。また、窒化ホウ素凝集体上にコーティング層を形成すれば、作用基の形成が容易になり、窒化ホウ素凝集体のコーティング層上に作用基が形成されると、樹脂との親和度が高くなる。
【0059】
図1は、窒化ホウ素凝集体を示し、
図2は、本発明の一実施例によってポリシラザンとアミノシランで処理された窒化ホウ素凝集体を示す。
図1を参照すれば、窒化ホウ素凝集体10は、板状の窒化ホウ素が凝集して形成される。
図2を参照すれば、窒化ホウ素凝集体10の表面上にコーティング層20が形成される。コーティング層20は、無機物を含むことができ、無機物は、Siなどを含むことができる。また、コーティング層20上には、作用基、例えば、アミノ基が形成される。
【0060】
この時、Siを含む無機物は、化学式1のポリシラザン(polysilazane、PSZ)から形成されることができる。
【0062】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができ、nは、正の整数である。
【0063】
ポリシラザンからSiを含む無機物を形成するメカニズムは、下の反応式1のようである。
【0065】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができ、nは、正の整数である。
【0066】
すなわち、ポリシラザンは、加水分解(hydrolysis reaction)を経てSiとN間の結合が切れた後、縮合(condensation)反応の過程を経てSiを含有する無機物に形成されることができる。ポリシラザンは、単分子であるシラザンに比べて分子量が大きい。これによって、ポリシラザンから形成されたSiを含む無機物は、窒化ホウ素凝集体上に均一にコーティングされることができ、窒化ホウ素凝集体内の空隙に容易に染みこむことができる。また、単分子であるシラザンで窒化ホウ素凝集体をコーティングする場合、コーティング層の−NH基または−NH
2基は、Si分子に直接結合され、分子の末端に結合されてコーティング層表面に−NH基または−NH
2作用基を形成することができない。しかし、本発明のポリシラザンを利用して窒化ホウ素凝集体をコーティングする場合、−NH
2基は、Si分子に直接結合されないでSiと結合されたR基に結合され、コーティング層表面に−NH
2作用基を形成することができるので、樹脂窒化ホウ素凝集体の結合力を高める。
【0067】
本発明の一実施例によれば、コーティング層上にアミノ基を形成するために、ポリシラザンに添加剤、例えば、アミノシランを追加することができる。ポリシラザンとアミノシラン間の反応メカニズムは、反応式2のようである。
【0069】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができる。
【0070】
すなわち、反応式2のように、アミノシランは、加水分解されたポリシラザンと縮合反応してアミノ基を含む無機物を形成することができる。この時、アミノシランは、化学式2から誘導されることができる。
【0072】
ここで、Rは、C
1〜C
3のアルキル、C
2〜C
3のアルケン及びC
2〜C
3のアルキンで構成されたグループから選択されることができる。
【0073】
図3は、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を製造する方法を示す。
【0074】
図3を参照すれば、
図1の窒化ホウ素凝集体をポリシラザン、アミノシラン及び溶媒と混合した後(ステップS100)、窒化ホウ素凝集体をコーティングさせる(ステップS110)。この時、真空状態で溶媒を揮発させる。ここで、窒化ホウ素凝集体は、板状の窒化ホウ素が凝集された凝集体(agglomerate)を意味する。窒化ホウ素凝集体をEDX分析すれば、Bは、58.42wt%、Nは、41.58wt%である。
【0075】
これによって、窒化ホウ素凝集体の空隙内及び表面には、液状のSiを含む無機物が形成される。この時、窒化ホウ素凝集体をEDX分析すれば、Bは、50.98wt%、Cは、6.85wt%、Nは、32.07wt%、Oは、3.41wt%、Siは、2.97wt%である。
【0076】
次に、混合物を湿式硬化し(ステップS120)、焼結する(ステップS130)。このために、混合物を160〜180℃で12〜24時間の間処理した後、300℃で2〜4時間の間熱分解(pyrolysis)する。熱分解過程を通じてCH
4、C
2H
4、C
2H
6、NH
3などは放出され、空隙内及び表面がSiを含む無機物で満たされた
図2の窒化ホウ素凝集体を得ることができる。この時、窒化ホウ素凝集体をEDX分析すれば、Bは、45.95wt%、Cは、8.79wt%、Nは、35.06wt%、Oは、5.35wt%、Siは、4.85wt%である。
【0077】
ステップS130の熱分解過程を窒素雰囲気で実行すれば、空隙は、SiCNを含む無機物で満たされる。
【0078】
このようにポリシラザンを窒化ホウ素凝集体と混合した後に加熱すれば、加水分解後に重合されて窒化ホウ素凝集体の空隙内に染みこむか窒化ホウ素凝集体の表面上にコーティングされる。ポリシラザンは、単量体のシラザンに比べて重合反応が容易に起きるので、窒化ホウ素凝集体の空隙内に容易に染みこむことができ、窒化ホウ素凝集体の表面上に均一にコーティングされることができる。
【0079】
この時、窒化ホウ素凝集体10上に形成されるコーティング層の厚さは、1μm〜2μmであることができる。コーティング層の厚さが1μm未満であれば、コーティング層上にアミノ基が十分に形成されないので、剥離強度が低くなる。一方、コーティング層の厚さが2μmを超過すれば、窒化ホウ素凝集体がお互いに凝集されるので、熱伝導度が低くなる。
【0080】
ここで、本発明の実施例による窒化ホウ素凝集体を含む樹脂組成物は、樹脂15〜35vol%及び無機充填剤65〜85vol%を含むことができる。樹脂及び無機充填剤をこのような数値範囲で含むことにより、良好な熱伝導度、常温安全性及び分散性を有する樹脂組成物を得ることができる。特に、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を含む無機充填剤が85vol%を超過して含まれると、相対的に樹脂の含量が減少されて無機充填剤及び樹脂の間に微細空隙が形成されるので、熱伝導度がむしろ低くなり、剥離強度及び屈曲強度が低くなる。また、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を含む無機充填剤が65vol%未満で含まれると、熱伝導度が低くなる。
【0081】
この時、無機充填剤100vol%に対して、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体55〜85vol%、酸化アルミニウム15〜45vol%を含むことができる。無機充填剤100vol%に対して本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体が85vol%を超過して含まれると、剥離強度が低くなる。また、無機充填剤100vol%に対して本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体が55vol%未満で含まれると、熱伝導度が低くなる。
【0082】
本発明の一実施例による無機充填剤を含む樹脂組成物は、印刷回路基板に適用されることができる。
図4は、本発明の一実施例による印刷回路基板の断面図である。
【0083】
図4を参照すれば、印刷回路基板100は、基板110、絶縁層120及び回路パターン130を含む。
【0084】
基板110は、銅、アルミニウム、ニッケル、金、白金及びこれらから選択された合金からなることができる。
【0085】
基板110上には、本発明の一実施例による無機充填剤を含む樹脂組成物からなる絶縁層120が形成される。
【0086】
絶縁層120上には、回路パターン130が形成される。回路パターン130は、銅、ニッケルなどの金属からなることができる。
【0087】
絶縁層120は、基板110と回路パターン130の間を絶縁する。
【0088】
本発明の一実施例による無機充填剤を含む樹脂組成物は、発光素子モジュールにも適用されることができる。
図5は、本発明の一実施例による発光素子モジュールの断面図であり、
図6は、本発明の一実施例による印刷回路基板上に形成された発光素子モジュールの断面図である。
【0089】
図5を参照すれば、発光素子モジュール400は、下部配線410、下部配線410上に形成される放熱基板420、放熱基板420上に形成される上部配線430、上部配線430上に形成される発光素子440、発光素子440上に形成される蛍光体層450、下部配線410と上部配線430を連結するビア(via)460及びレンズ470を含む。放熱基板420は、本発明の一実施例による無機充填剤を含む樹脂組成物からなることができる。
【0090】
図6を参照すれば、印刷回路基板500は、基板510及び基板510上に形成された配線520を含み、印刷回路基板500と発光素子モジュール400は、半田600により結合される。
【0091】
本発明の一実施例による無機充填剤を含む樹脂組成物からなる放熱基板は、高さ127mm、横3.2mm、縦12.7mmである四角柱形状の試片または高さ80±2mm、横4±0.2mm、縦10±0.2mmである四角柱形状の試片で製作し、前記試片に10mm/minの速度で所定の荷重を加えて前記放熱基板を1部分と2部分に破壊する場合、前記1部分と前記2部分の破断面が全て前記コーティングされた窒化ホウ素凝集体の破片を含む。
【0092】
この時、窒化ホウ素凝集体破片の直径は、前記窒化ホウ素凝集体の平均直径の30%以上であることができる。
【0093】
前記窒化ホウ素凝集体の破片は、前記1部分と前記2部分の破断面のお互いに対応する位置に形成されることができる。
【0094】
以下、実施例及び比較例を利用してより具体的に説明する。
【0095】
[実験例]
実施例及び比較例から得た樹脂組成物を硬化させた後、直径が12.7mmであり、厚さが450μmである円形サンプルを製作した。円形サンプルをNETZSCH社製のLFA447型熱伝導率計に入れて、非正常熱線法により熱伝導率を測定した。
【0096】
そして、62.5mm厚さの銅基板上に実施例及び比較例から得た樹脂組成物を450μmの厚さでコーティングした後、150℃で15分間乾燥させた。その後、樹脂組成物上に62.5mm厚さの銅基板を積層した後、0.1torr、180℃、50Mpaの条件で真空プレスを実行してサンプルを製作した。50mm/minの速度で垂直方向(90゜の角度)に持ち上げる条件でYMテック社の装備を使用して剥離強度(peel strength)を測定した。
【0097】
そして、実施例及び比較例から得た樹脂組成物を利用してASTM規格(127mm×12.7mm×3.2mm)のサンプルを製作した後、3点曲げ試験(3−point bending)機を使用して材料の曲げ強度を測定した。すなわち、3点曲げ試験機を使用して10mm/minの速度でサンプルが置かれた垂直方向に所定の荷重を加えて押して応力を測定した。この時、加わる応力は、例えば、10kg重であることができる。
【0098】
[窒化ホウ素凝集体の製造]
<実施例1−1>
板状の窒化ホウ素が凝集された窒化ホウ素凝集体46.7vol%、化学式1のポリシラザン4.65vol%、化学式2のアミノシラン4.65vol%及びアセトンソルベントを混合し、80℃で窒化ホウ素凝集体上にコーティング層を形成した後、180℃で12時間の間湿式硬化させて、300℃で4時間の間焼結(calcination)して、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を製造した。酸化アルミニウム24vol%、ビスフェノールA型エポキシ化合物16.2vol%、ジアミノジフェニルスルホン3.8vol%をさらに添加して撹拌した。
【0099】
<比較例1−1>
板状の窒化ホウ素が凝集された窒化ホウ素凝集体46.7vol%、化学式1のポリシラザン4.65vol%、エポキシシラン4.65vol%及びアセトンソルベントを混合し、80℃で窒化ホウ素凝集体上にコーティング層を形成した後、180℃で12時間の間湿式硬化させて、300℃で4時間の間焼結(calcination)して、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を製造した。酸化アルミニウム24vol%、ビスフェノールA型エポキシ化合物16.2vol%、ジアミノジフェニルスルホン3.8vol%をさらに添加して撹拌した。
【0100】
<比較例1−2>
板状の窒化ホウ素が凝集された窒化ホウ素凝集体46.7vol%、化学式1のポリシラザン4.65vol%、アクリルシラン4.65vol%及びアセトンソルベントを混合し、80℃で窒化ホウ素凝集体上にコーティング層を形成した後、180℃で12時間の間湿式硬化させて、300℃で4時間の間焼結(calcination)して、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を製造した。酸化アルミニウム24vol%、ビスフェノールA型エポキシ化合物16.2vol%、ジアミノジフェニルスルホン3.8vol%をさらに添加して撹拌した。
【0101】
表1は、実施例1−1、比較例1−1及び比較例1−2によって製造された樹脂組成物を利用して熱伝導度、剥離強度及び屈曲強度を測定した結果である。
【0103】
表1のように、アミノシランを利用して窒化ホウ素凝集体のコーティング層上にアミノ基を形成した実施例1−1は、熱伝導度が18W/mK以上であり、剥離強度は、0.8Kgf/cm以上であり、屈曲強度は、30MPa以上であることが分かる。一方、エポキシシランまたはアクリルシランを利用して窒化ホウ素凝集体のコーティング層上にエポキシ基またはアクリル基を形成した比較例1−1及び比較例1−2は、実施例1−1に比べて相対的に熱伝導度、剥離強度及び屈曲強度が低いことが分かる。
【0104】
[コーティングの厚さ]
窒化ホウ素凝集体、化学式1のポリシラザン、化学式2のアミノシラン及びアセトンソルベントを混合した後、80℃の窒化ホウ素凝集体上にコーティング層を形成した後、180℃で12時間の間湿式硬化させて、300℃で4時間の間焼結(calcination)して、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を製造した。製造された窒化ホウ素凝集体56vol%、酸化アルミニウム24vol%、ビスフェノールA型エポキシ化合物16.2vol%、ジアミノジフェニルスルホン3.8vol%を撹拌した。窒化ホウ素凝集体、化学式1のポリシラザン及び化学式2のアミノシラン間の相対的な含量比または窒化ホウ素凝集体、化学式1のポリシラザン及び化学式2のアミノシランの撹拌時間を異にしてコーティングの厚さを調節した。
【0105】
コーティングの厚さは、窒化ホウ素凝集体の破断面のSEM写真を利用して測定した。すなわち、SEM写真上で一つの窒化ホウ素凝集体を基準として5個の地点でコーティング層の厚さを測定し、5個のコーティングの厚さを平均した。各地点でのコーティングの厚さは、窒化ホウ素凝集体とコーティング層との間の境界面からコーティング層の最外郭までの距離により測定した。
【0106】
表2は、窒化ホウ素凝集体の表面上に形成されたコーティングの厚さによって熱伝導度、剥離強度及び屈曲強度を測定した結果を示す。
【0108】
表2のように、コーティングの厚さが1μm〜2μmである実施例2−1〜実施例2−3は、熱伝導度が18W/mK以上であり、剥離強度は、0.8Kgf/cm以上であり、屈曲強度は、30MPa以上であることが分かる。一方、コーティング厚さが1μm未満であるか、2μmを超過する比較例2−1〜比較例2−6は、実施例2−1〜実施例2−3に比べて相対的に熱伝導度、剥離強度及び屈曲強度が低いことが分かる。
【0109】
[破断面の形成]
<実施例3−1>
実施例1−1によって製造された樹脂組成物を利用してASTM規格(127mm×12.7mm×3.2mm)のサンプルを製作した後、すなわち、3点曲げ試験機を使用して10mm/minの速度でサンプルが置かれた垂直方向にサンプルが割れるまで荷重を加えて押した。
【0110】
<比較例3−1>
ポリシラザン及びアミノシランで表面処理にならない窒化ホウ素凝集体56vol%、酸化アルミニウム24vol%、ビスフェノールA型エポキシ化合物16.2vol%、ジアミノジフェニルスルホン3.8vol%をさらに添加し撹拌して樹脂組成物を得た。 樹脂組成物を利用してASTM規格(127mm×12.7mm×3.2mm)のサンプルを製作した後、すなわち、3点曲げ試験機を使用して10mm/minの速度でサンプルが置かれた垂直方向にサンプルが割れるまで荷重を加えて押した。
【0111】
図7は、実施例3−1による破断面のSEM写真であり、
図8は、比較例3−1による破断面のSEM写真である。
【0112】
図7及び
図8を参照すれば、実施例3−1及び比較例3−1によって製作された放熱基板に所定の力を加えると、放熱基板が割れる。この時、実施例3−1によって製作された放熱基板に含まれる窒化ホウ素凝集体は、放熱基板とともに割れる。すなわち、放熱基板の割れた両面には窒化ホウ素凝集体の破断面が形成され、窒化ホウ素凝集体の破断面は割れた両面のお互いに対応する位置に形成されることができる。これは、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体は樹脂との親和度が高いからである。一方、比較例3−1によって製作された放熱基板に含まれる窒化ホウ素凝集体は、樹脂との親和力が低いので、窒化ホウ素凝集体が割れるのではなく、窒化ホウ素凝集体が樹脂から分離される。これによって、
図8のように、比較例3−1によって製作された放熱基板に所定の力が加わっても窒化ホウ素凝集体の破断面は形成されない。
【0113】
[樹脂組成物の含量範囲]
窒化ホウ素凝集体、化学式1のポリシラザン、化学式2のアミノシラン及びアセトンソルベントを混合した後、80℃の窒化ホウ素凝集体上にコーティング層を形成した後、180℃で12時間の間湿式硬化させて、300℃で4時間の間焼結(calcination)して、本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体を製造した。この時、窒化ホウ素凝集体、ポリシラザン及びアミノシランは、46.7:4.65:4.65の体積比で混合した。本発明の一実施例による窒化ホウ素凝集体、酸化アルミニウム、ビスフェノールA型エポキシ化合物及びジアミノジフェニルスルホンを撹拌して樹脂組成物を製造した。すべての実施例及び比較例で樹脂100vol%に対して、ビスフェノールA型エポキシ化合物81vol%及びジアミノジフェニルスルホン19vol%が添加された。表3は、実施例による樹脂組成物の含量を示し、表4は、比較例による樹脂組成物の含量を示し、表5は、実施例による熱伝導度、剥離強度及び屈曲強度を測定した結果を示し、表6は、比較例による熱伝導度、剥離強度及び屈曲強度を測定した結果を示す。
【0118】
表3〜表6のように、樹脂を15〜35vol%で含み、無機充填剤は65〜85vol%で含み、無機充填剤100vol%に対して、窒化ホウ素凝集体は55〜85vol%、酸化アルミニウムは15〜45vol%で含む実施例4−1〜実施例4−16は、熱伝導度が18W/mK以上であり、剥離強度は、0.8Kgf/cm以上であり、屈曲強度は、30MPa以上であることが分かる。一方、このような数値範囲を脱する比較例4−1〜比較例4−20は、実施例4−1〜実施例4−16に比べて相対的に熱伝導度、剥離強度及び屈曲強度が低いことが分かる。
【0119】
以上、添付した図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施例及び添付された図面に限定されるものではない。