【文献】
M.Clenet,et al.,"Laminated waveguide as radiating element for array applications",IEEE Transaction on Antennas and Propagation,2006年 5月,Vol.54,No.5,pp.1481 - 1487
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の導体ポストからなるポスト壁と当該ポスト壁とともに導波領域を形成する一対の広壁とを含むポスト壁導波路を有し、前記一対の広壁のうち何れか一方の広壁の表面に誘電体層を介してマイクロストリップ線路が設けられている終端装置において、
前記マイクロストリップ線路の一端部に接続され、前記導波領域の内部に挿入されているブラインドビアと、
前記マイクロストリップ線路の他端部に一端部が接続され、他端部が前記一方の広壁に接続されている抵抗器と、を備えており、
前記抵抗器は、前記ポスト壁で囲まれた領域上から領域外へ、前記ポスト壁を跨ぐように設けられている、
ことを特徴とする終端装置。
前記インピーダンス整合部の前記コイル部は、一端部と他端部との間にこれら一端部と他端部とを結ぶ直線に対して直交する方向の一方側および他方側へ蛇行するメアンダ形状を有し、
前記静電容量部は、前記コイル部の端部から前記直線に対して直交する方向へ延びる直線部を有していることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の終端装置。
複数の導体ポストからなるポスト壁と当該ポスト壁とともに導波領域を形成する一対の広壁とを含むポスト壁導波路の前記一対の広壁のうち何れか一方の広壁の表面に誘電体層を介してマイクロストリップ線路を設ける工程を備えている終端方法において、
前記マイクロストリップ線路の一端部に接続され、前記導波領域の内部に挿入された状態のブラインドビアを設ける工程と、
前記マイクロストリップ線路の他端部に一端部が接続され、他端部が前記一方の広壁に接続されるように抵抗器を設ける工程であって、当該抵抗器を前記ポスト壁で囲まれた領域上から領域外へ、前記ポスト壁を跨ぐように設ける工程と、を備えている、
ことを特徴とする終端方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のマイクロ波パッケージを実現するには、広壁およびポスト壁を形成する前に、所定のパターンの抵抗膜を成膜しておく方法が考えられる。
【0008】
この場合、基板に抵抗膜を成膜した後に、(1)貫通孔をエッチングあるいはドリル等により基板に形成する工程、(2)広壁をスパッタリングにより基板の表面に成膜する工程、および(3)貫通孔の内壁をメッキすることにより基板の内部に導体ポストを形成工程を実施形することになる。このため、抵抗膜は、エッチングに用いるエッチング溶液(例えばフッ酸溶液)や、スパッタリング時のプラズマなどに曝される。また、スパッタリング時には基板が高温になるため、抵抗膜も高温に曝される。その結果として、抵抗膜には熱履歴が残る。これらの影響を受けることによって、抵抗膜の特性(例えば導電特性)が成膜時の特性から変化する可能性がある。換言すれば、ポスト壁導波路の広壁の一部を抵抗膜に置き換えた終端装置において、所望の終端特性を得られない可能性がある。
【0009】
また、所定のパターンの抵抗膜を形成するための工程(例えばフォトリソグラフィーなど)を終端装置の製造工程に加える必要がある。このために、終端装置を製造するための工程数が増大し、結果として終端装置の製造コストが増大するといった問題点を有している。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望の終端特性を有し、容易にかつ安価に製造することができる終端装置および終端方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の終端装置は、複数の導体ポストからなるポスト壁と当該ポスト壁とともに導波領域を形成する一対の広壁とを含むポスト壁導波路を有し、前記一対の広壁のうち何れか一方の広壁の表面に誘電体層を介してマイクロストリップ線路が設けられている終端装置において、前記マイクロストリップ線路の一端部に接続され、前記導波領域の内部に挿入されているブラインドビアと、前記マイクロストリップ線路の他端部に一端部が接続され、他端部が前記一方の広壁に接続されている抵抗器とを備えている、ことを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、ポスト壁導波路内を進行する電磁波は、ブラインドビアにて高周波電流に変換され、マイクロストリップ線路を流れる。この高周波電流は、さらに抵抗器を介してポスト壁導波路の上壁へ流れ込み、抵抗器を流れることにより減衰する。
【0013】
このような終端装置は、特殊な製造方法を必要とせず、汎用の抵抗器等の部品を使用して、容易にかつ安価に製造することができる。
【0014】
上記の終端装置において、前記抵抗器は、前記ポスト壁で囲まれた領域上に収まるように設けられている構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、抵抗器は、ポスト壁で囲まれた領域上に収まるように設けられているので、終端装置の縦横の方向のサイズが増大せず、コンパクトな構成とすることができる。
【0016】
上記の終端装置において、前記抵抗器は、前記ポスト壁で囲まれた領域上から領域外へ、前記ポスト壁を跨ぐように設けられている構成としてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、抵抗器は、ポスト壁で囲まれた領域上から領域外へ、ポスト壁を跨ぐように設けられているので、ポスト壁で囲まれた領域上からの抵抗器の配置領域のはみだし量、すなわち、ポスト壁で囲まれた領域上以外の抵抗器の配置に必要な領域を小さくすることができる。これにより、例えば、抵抗器をポスト壁で囲まれた領域上に収まるように設けることができない場合であっても、終端装置の大型化を抑制することができる。
【0018】
上記の終端装置は、前記抵抗器と前記広壁との間に、誘電体を含む材料によって構成された減衰層が設けられている構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、前記ブラインドビアにて電磁波から変換されて前記マイクロストリップ線路を流れる高周波電流は、抵抗器さらには減衰層により減衰させられる。これにより、さらに終端装置としての機能を高めることができる。
【0020】
上記の終端装置において、前記減衰層は、前記誘電体である樹脂と当該樹脂中に分散された導電性粒子とによって構成された異方性導電膜である構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、誘電体層およびマイクロストリップ線路の表面に導電性粒子が分散された樹脂を塗布したうえで抵抗器を配置し、抵抗器を加圧しながら樹脂を加熱硬化させることによって減衰層を形成することができる。なお、樹脂を加熱硬化させるときの温度が抵抗器を半田付けする場合の温度よりも低い場合には、熱がポスト壁導波路に与える影響を抑制することができる。
【0022】
上記の終端装置において、前記マイクロストリップ線路にはインピーダンス整合部が設けられている構成としてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、終端装置としてさらに高い機能を備えることができる。すなわち、例えば数GHz〜数十GHzといった高周波領域では、抵抗器は、構造に起因する寄生インダクタンスや寄生容量、電気長等の影響により虚数成分を含み、純抵抗として機能しなくなることがある。この場合には、抵抗器は、虚数成分が原因となって、電磁波を変換した高周波電流を十分に減衰できなくなる。
【0024】
そこで、マイクロストリップ線路にインピーダンス整合部を設けることにより、抵抗器に生じる虚数成分が無くなるようにする。これにより、終端装置は、マイクロストリップ線路を流れる上記高周波電流を十分に減衰させ、終端装置としての機能を高めることができる。
【0025】
上記の終端装置において、前記インピーダンス整合部は、コイル部、および前記コイル部の端部に接続された静電容量部を有し、前記静電容量部は、オープンスタブにより形成され、前記コイル部に対する前記静電容量部の接続部は、前記マイクロストリップ線路に対する前記インピーダンス整合部の接続部となっている構成としてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、インピーダンス整合部は、コイル部と静電容量部との間に、これら以外の余計な成分が介在しないので、インピーダンス整合部として良好な動作を行うことができる。
【0027】
上記の導波路終端装置において、前記インピーダンス整合部は、前記コイル部の一端部のみに前記静電容量部が接続されている構成としてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、簡単かつ小型の構成のインピーダンス整合部を実現することができる。
【0029】
上記の導波路終端装置において、前記インピーダンス整合部は、前記コイル部の両端部にそれぞれ静電容量部が接続されている構成としてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、コイル部および並列の静電容量部を有する簡単かつ小型の構成のインピーダンス整合部を実現することができる。
【0031】
上記の導波路終端装置において、前記インピーダンス整合部は、前記コイル部と前記静電容量部との組が複数段に接続されている構成としてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、インピーダンスを整合させる周波数帯域をより広帯域化することができる。
【0033】
上記の導波路終端装置において、前記インピーダンス整合部の前記コイル部は、一端部と他端部との間にこれら一端部と他端部とを結ぶ直線に対して直交する方向の一方側および他方側へ蛇行するメアンダ形状を有し、前記静電容量部は、前記コイル部の前記端部から前記直線に対して直交する方向へ延びる直線部を有している構成としてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、静電容量部は、コイル部のメアンダ形状の領域に沿った直線部を有しているので、コイル部および静電容量部の形成領域を小さい領域とすることができる。したがって、インピーダンス整合部を小型化することができる。
【0035】
上記の導波路終端装置において、前記静電容量部は、前記直線部の終端部から前記コイル部のメアンダ形状の領域に沿って折れ曲がった折曲部を有している構成としてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、インピーダンス整合部の静電容量部は、直線部の終端部からコイル部のメアンダ形状の領域に沿って折れ曲がった折曲部を有しているので、直線部および折曲部により大きい静電容量とする場合であっても、形成領域を小さい領域とすることができる。したがって、インピーダンス整合部を小型化することができる。
【0037】
上記の課題を解決するために、本発明の終端方法は、複数の導体ポストからなるポスト壁と当該ポスト壁とともに導波領域を形成する一対の広壁とを含むポスト壁導波路の前記一対の広壁のうち何れか一方の広壁の表面に誘電体層を介してマイクロストリップ線路を設ける工程を備えている終端方法において、前記マイクロストリップ線路の一端部に接続され、前記導波領域の内部に挿入された状態のブラインドビアを設ける工程と、前記マイクロストリップ線路の他端部に一端部が接続され、他端部が前記一方の広壁に接続されるように抵抗器を設ける工程とを備えている、ことを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、上記終端装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0039】
本発明の構成によれば、特殊な製造方法を必要とせず、汎用の抵抗器等の部品を使用して、容易にかつ安価に終端装置を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔第1の実施形態〕
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態の終端装置の導波路部材の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1におけるA−A矢視断面図である。なお、
図1では、終端装置1すなわち導波路部材11の内部の構造の理解を容易にするため、ポスト壁24は実線にて示し、ポスト壁24以外の部材は二点鎖線にて示している。また、
図2では、本来の線種を変更せずに、終端装置1の導波路部材11をA−A矢視断面図として示している。
【0042】
(導波路部材11の構成)
図1および
図2に示すように、終端装置1は、導波路部材11を備えている。導波路部材11は、厚膜の導波路部誘電体層21、上部広壁22、下部広壁23、ポスト壁24を備えている。なお、
図1および
図2では、導波路部材11以外に、薄膜の上部誘電体層31、マイクロストリップ線路32およびブラインドビア34を示している。
【0043】
導波路部誘電体層21および上部誘電体層31の材料には、石英ガラス等のガラス、PTFE等のフッ素系樹脂、液晶ポリマー、またはシクロオレフィンポリマーなどを用いることができる。
【0044】
上部広壁22は、導電層からなり、導波路部誘電体層21の上面に設けられている。下部広壁23は、導電層からなり、導波路部誘電体層21の下面に設けられている。上部広壁22および下部広壁23の材料には、銅などの金属を用いることができる。
【0045】
ポスト壁24は、多数の導体ポスト24aを直方体状の領域の四方を取り囲むように短冊状に配列することにより形成され、導波路部誘電体層21に埋設されている。各導体ポスト24aは、例えば円柱形の導体であり、上端部が上部広壁22と電気的に接続され、下端部が下部広壁23と電気的に接続されている。導体ポスト24aは、例えば、導波路部誘電体層21に貫通孔を形成し、この貫通孔の壁面に導体メッキを施すことにより形成してもよい。
【0046】
導波路部材11のうち、上部広壁22、下部広壁23およびポスト壁24にて囲まれた領域は、ポスト壁導波路26となっている。ポスト壁導波路26の長手方向は、矢印Bにて示すRF信号入射方向と一致している。ここで、
図1に示すように、ポスト壁24のうち、ポスト壁導波路26の長手方向に延びる壁を側壁24bとし、ポスト壁導波路26の前端部(RF信号入射方向(B方向)の端部)に位置し、ポスト壁導波路26の幅方向に延びる壁を前壁24cとし、ポスト壁導波路26の後端部(RF信号入射方向(B方向)とは反対方向の端部)に位置し、ポスト壁導波路26の幅方向に延びる壁を後壁24dとする。なお、前壁24cおよび後壁24dは、一般にショート壁と呼ばれる。
【0047】
(終端装置1の構成)
図3は、本発明の実施形態の終端装置1の構成を示す縦断面図である。
図4は、終端装置1の上面におけるマイクロストリップ線路32およびGNDパッド33の配置状態を示す要部の平面図である。なお、
図4においては、マイクロストリップ線路32およびGNDパッド33の配置状態の理解を容易にするため、チップ抵抗36を除去した状態を示している。
【0048】
図3に示すように、終端装置1は、導波路部材11の上部広壁22の上に上部誘電体層31が設けられ、上部誘電体層31の上に、マイクロストリップ線路32およびGNDパッド33が設けられている。
【0049】
図3および
図4に示すように、マイクロストリップ線路32は、ポスト壁導波路26上であって、例えばポスト壁導波路26の幅方向の中央部において、前壁24c側の端部(以下、前端部と称する)が前壁24c寄りの位置に配置され、この位置から後壁24d方向へ延びている。GNDパッド33は、マイクロストリップ線路32における後壁24d側の端部(以下、RFパッド32bと称する)と所定の間隔をおいて、マイクロストリップ線路32に対する後壁24d側の位置に配置されている。GNDパッド33は、任意の形状に形成することができる。
【0050】
マイクロストリップ線路32の前端部の下面には、モード変換部として機能するブラインドビア34が垂下状に設けられている。ブラインドビア34は、例えば円筒形状を有し、上部誘電体層31および上部広壁22を貫通してポスト壁導波路26内の導波路部誘電体層21(ポスト壁24、上部広壁22および下部広壁23にて囲まれた導波領域内)に挿入されている。ブラインドビア34の下端部は下部広壁23に達しない状態である。上部広壁22には、ブラインドビア34の挿入位置に開口部が形成され、ブラインドビア34が上部広壁22と短絡しないようになっている。
【0051】
GNDパッド33の下面には接続ビア35が設けられている。接続ビア35は上部誘電体層31を貫通し、下端部が上部広壁22と接続されている。
【0052】
マイクロストリップ線路32のRFパッド32bおよびGNDパッド33の上には、チップ抵抗(抵抗器)36が架設状態に設けられている。すなわち、チップ抵抗36の一端部は、接続層37を介してマイクロストリップ線路32のRFパッド32bと接続され、チップ抵抗36の他端部は、接続層37を介してGNDパッド33と接続されている。これにより、ポスト壁導波路26内に挿入されたブラインドビア34は、マイクロストリップ線路32、チップ抵抗36、GNDパッド33および接続ビア35を介して上部広壁22と接続されている。すなわち、終端装置1では、マイクロストリップ線路32から見てチップ抵抗36による終端状態が形成されている。
【0053】
接続層37は、例えば、一般的なSnAgCu半田、あるいはAuSn半田により接合を行うものである。または、接続層37は、異方性導電膜より接合を行うものであってもよい。
図5は、接続層37が異方性導電膜38である場合のチップ抵抗36とGNDパッド33およびマイクロストリップ線路32のRFパッド32bとの接続状態を示す縦断面図である。
【0054】
図5に示すように、異方性導電膜38は、樹脂層38aの内部に導電粒子38bが分散したものである。異方性導電膜38は、接続層として機能するとともに後述するフィリング層としても機能する。
【0055】
異方性導電膜38を使用する場合には、チップ抵抗36の接続端子とRFパッド32bおよびGNDパッド33との間に異方性導電膜38を配置する。この状態にて、チップ抵抗36に対してRFパッド32bおよびGNDパッド33方向の圧力を加え、かつ異方性導電膜38を加熱することにより、チップ抵抗36の接続端子とRFパッド32bおよびGNDパッド33との間に存在する導電粒子38bにて、チップ抵抗36の接続端子とRFパッド32bおよびGNDパッド33とが接続される。
【0056】
図6は、本実施形態の終端装置の使用形態の一例を示す説明である。
図6の例では、終端装置1は、方向性結合器81に接続して使用される。方向性結合器81は、第1〜第3ポートP1〜P3、およびアイソレーションポートP4を有し、終端装置1は、アイソレーションポートP4に接続される。なお、方向性結合器81にバンドパスフィルタ、およびもう一つの方向性結合器を組み合わせれば、ダイプレクサとして機能する。
【0057】
(終端装置1の動作)
上記の構成において、終端装置1の動作について説明する。終端装置1では、導波路部材11のポスト壁導波路26をRF信号入射方向(B方向)に進行するRF信号は、モード変換部として機能するブラインドビア34により、高周波電流に変換される。この高周波電流は、マイクロストリップ線路32、チップ抵抗36、GNDパッド33および接続ビア35を経由して上部広壁22に流れ込む。この場合、上記高周波電流は、チップ抵抗36を流れることにより減衰する。
【0058】
(終端装置1の利点)
このように、終端装置1は、導波路部材11のポスト壁導波路26を進行する電磁波であるRF信号を、ポスト壁導波路26に挿入されたブラインドビア34により高周波電流に変換し、この高周波電流を導波路部材11の上面に設けられたチップ抵抗36にて減衰させる構成である。したがって、終端装置1は、特殊な製造方法を必要とせず、チップ抵抗36等の汎用の部品を使用して、容易にかつ安価に製造することができる。
【0059】
また、チップ抵抗36は、ポスト壁導波路26の領域上に収まるように設けられているので、終端装置1の縦横の方向(上部広壁22および下部広壁23に平行な方向)のサイズが増大せず、コンパクトな構成とすることができる。
【0060】
なお、本実施形態において、マイクロストリップ線路32およびGNDパッド33は、上部誘電体層31介して上部広壁22の上に設けられた構成としているが、上部誘電体層31に相当する下部誘電体層介して下部広壁23の下に設けられた構成としてもよい。この場合、GNDパッド33に設けられる接続ビア35は、下部誘電体層を貫通して下部広壁23と接続される。この点は、後述する他の実施形態においても同様である。
【0061】
〔第2の実施形態〕
本発明の他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0062】
(終端装置2の構成)
図7は、本発明の実施形態の終端装置2の構成を示す縦断面図である。終端装置2は、
図3に示した終端装置1のチップ抵抗36に代えて、薄膜抵抗基板(抵抗器)41を備えている。終端装置2のその他の構成は、
図3に示した終端装置1と同様である。
【0063】
図7に示すように、薄膜抵抗基板41は、支持基板42の下面に、薄膜抵抗43、および薄膜抵抗43の両端に設けられた接続部44を備えている。支持基板42は、例えば、樹脂、セラミクスあるいはシリコンにて形成された基板である。
【0064】
薄膜抵抗基板41は、一方の接続部44がマイクロストリップ線路32のRFパッド32bと接続され、他方の接続部44がGNDパッド33と接続された状態にて、マイクロストリップ線路32およびGNDパッド33の上に、架設状態に設けられている。これにより、ポスト壁導波路26内に挿入されたブラインドビア34は、マイクロストリップ線路32、薄膜抵抗基板41、GNDパッド33および接続ビア35を介して上部広壁22と接続されている。
【0065】
(終端装置2の動作)
終端装置2では、ブラインドビア34により電磁波であるRF信号から変換された高周波電流は、マイクロストリップ線路32、薄膜抵抗基板41、GNDパッド33および接続ビア35を経由して上部広壁22に流れ込む。この場合、上記高周波電流は、薄膜抵抗基板41を流れることにより減衰する。
【0066】
(終端装置2の利点)
終端装置2は、ブラインドビア34により電磁波であるRF信号から変換した高周波電流を導波路部材11の上面に設けられた薄膜抵抗基板41にて減衰させる構成である。したがって、終端装置2は、終端装置1と同様の利点を有する。すなわち、特殊な製造方法を必要とせず、簡単な構成の薄膜抵抗基板41を使用して、容易にかつ安価に製造することができる。
【0067】
また、薄膜抵抗基板41は、導波路部材11の上面に設けることができるので、終端装置2の縦横の方向(上部広壁22および下部広壁23に平行な方向)のサイズが増大せず、コンパクトな構成とすることができる。
【0068】
〔第3の実施形態〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0069】
(終端装置3の構成)
図8は、本発明の実施形態の終端装置3の構成を示す縦断面図である。終端装置3は、マイクロストリップ線路32、GNDパッド33および上部誘電体層31と薄膜抵抗基板41との間に、フィリング層51を備えている。
【0070】
図8に示すように、フィリング層51は、誘電損失を生じさせる層であり、薄膜抵抗基板41での高周波電流の減衰を補助する減衰層である。フィリング層51の材料としては、誘電正接(tanδ)が大きい材料が好ましく、樹脂、導電性の接着剤(例えば銀ペーストなど)、あるいは導電性粒子を分散させた樹脂(例えば異方性導電膜)等を使用することができる。誘電正接が高い樹脂からなる樹脂層38aを採用することによって、誘電損失を大きくすることができ、高周波電流をより確実に減衰させることができる。終端装置3のその他の構成は、
図7に示した終端装置2と同様である。
【0071】
(終端装置3の利点)
終端装置3は、ブラインドビア34により電磁波であるRF信号から変換した高周波電流を導波路部材11の上面に設けられた薄膜抵抗基板41およびフィリング層51にて減衰させる構成である。したがって、終端装置3は、フィリング層51にてさらに高周波電流の減衰機能が高められ、終端装置としてさらに高い機能を備えることができる。
【0072】
また、特殊な製造方法を必要とせず、簡単な構成の薄膜抵抗基板41およびフィリング層51を使用して、容易にかつ安価に製造することができる。また、コンパクトな構成であるという利点につても終端装置1と同様である。
【0073】
〔第4の実施形態〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0074】
(導波路部材12の構成)
図9は、本発明の実施形態の終端装置4の構成を示す縦断面図である。
図10は、終端装置4の上面におけるマイクロストリップ線路32およびGNDパッド33の配置状態を示す要部の平面図である。なお、
図10においては、マイクロストリップ線路32およびGNDパッド33の配置状態の理解を容易にするため、チップ抵抗36を除去した状態を示している。
【0075】
図9に示すように、終端装置4は、
図1に示した導波路部材11に代えて導波路部材12を備えている。導波路部材12は、導波路部誘電体層21、上部広壁22、下部広壁23および上部誘電体層31がポスト壁導波路26の前壁24cからRF信号入射方向(B方向)へ延設されている。したがって、導波路部材12,11におけるRF信号入射方向(B方向)側の端部を前端部とした場合、ポスト壁導波路26の前壁24cから前端部までの長さは、導波路部材12の方が導波路部材11よりも長くなっている。
【0076】
(終端装置4の構成)
図9および
図10に示すように、終端装置4では、終端装置1とは逆に、マイクロストリップ線路32は、ブラインドビア34側の端部がポスト壁導波路26の後壁24d側の位置に配置され、この位置から前壁24c方向へ延びている。GNDパッド33は、ポスト壁導波路26の領域上を外れて、ポスト壁導波路26の前壁24c上と導波路部材12の前端部との間の位置に配置されている。
【0077】
したがって、チップ抵抗36は、ポスト壁導波路26の前壁24cを跨いだ状態に、マイクロストリップ線路32のRFパッド32bおよびGNDパッド33の上に架設状態に設けられている。終端装置4のその他の構成は、
図3に示した終端装置1と同様である。
【0078】
(終端装置4の動作および利点)
上記の構成において、終端装置4の動作は、終端装置1の動作と同様である。
【0079】
終端装置4では、例えば、設計上、ポスト壁導波路26の領域上にチップ抵抗36全体を配置できない場合に、チップ抵抗36をポスト壁導波路26の前壁24cを跨ぐように配置している。これにより、終端装置4の大型化を抑制できるようになっている。
【0080】
具体的には、特に、ミリ波帯等の周波数の高い帯域において、チップ抵抗36等の抵抗素子の全長は、電気長をなるべく短くすることが好ましく、マイクロストリップ線路32のRFパッド32bとGNDパッド33との対向する端部同士の間隔は、500μm程度未満することが好ましい。一方、ポスト壁導波路26の前壁24cの導体ポスト24aの径は、一般的なスルーホール形成技術によって形成した場合、100μm〜300μmとなり、比較的上記500μmに近い寸法となる。
【0081】
したがって、チップ抵抗36をポスト壁導波路26の前壁24cを跨ぐように配置すれば、ポスト壁導波路26の領域上からのチップ抵抗36の配置領域のはみだし量、すなわち、ポスト壁導波路26の領域上以外のチップ抵抗36の配置に必要な領域を小さくすることができる。これにより、終端装置4の大型化を抑制することができる。
【0082】
さらに、チップ抵抗36をポスト壁導波路26の前壁24cを跨ぐように配置した終端装置4は、チップ抵抗36をポスト壁導波路26の領域上に収まるように設けた終端装置1と比較して、コンパクトさの点では劣るものの、ポスト壁導波路26からマイクロストリップ線路32の終端部(チップ抵抗36との接続部)までの間のモード変換動作が良好であることを実験により確認できた。これにより、終端装置4では、良好な終端特性を実現できるということを推測できる。したがって、終端装置としてコンパクトさを重視するのであれば終端装置1が相対的に好ましく、終端特性を重視するのであれば終端装置4が相対的に好ましいと考えられる。この点は、チップ抵抗36に代えて、各実施形態に示した抵抗器を使用した場合についても同様である。終端装置4のその他の利点は、終端装置1と同様である。
【0083】
なお、ここでは、チップ抵抗36が前壁24cを跨ぐ場合を例として説明した。しかし、チップ抵抗36が跨ぐポスト壁24は、前壁24cに限定されるものではなく、側壁24bであってもよいし、側壁24dであってもよい。
【0084】
〔第5の実施形態〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0085】
(終端装置5の構成)
図11は、本発明の実施形態の終端装置5の構成を示す縦断面図である。終端装置5は、
図9に示した終端装置4のチップ抵抗36に代えて、薄膜抵抗基板41を備えている。終端装置5のその他の構成は、
図9に示した終端装置4と同様である。
【0086】
(終端装置5の動作および利点)
上記の構成において、終端装置5の動作は、終端装置1の動作と同様である。
【0087】
図11に示すように、終端装置5では、終端装置4と同様、例えば、設計上、ポスト壁導波路26の領域上に薄膜抵抗基板41全体を配置できない場合に、薄膜抵抗基板41をポスト壁導波路26の前壁24cを跨ぐように配置している。これにより、終端装置5の大型化を抑制できるようになっている。終端装置5のその他の利点は、終端装置1と同様である。
【0088】
〔第6の実施形態〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0089】
(終端装置6の構成)
図12は、本発明の実施形態の終端装置6の上面におけるマイクロストリップ線路およびGNDパッドの配置状態、並びにマイクロストリップ線路の構成を示す要部の平面図である。なお、
図12においては、終端装置6の理解を容易にするため、チップ抵抗36あるいは薄膜抵抗基板41を除去した状態を示している。
【0090】
図12に示すように、終端装置6は、マイクロストリップ線路32に代えてマイクロストリップ線路61を備えている。マイクロストリップ線路61のRFパッドはRFパッド61bとする。
【0091】
マイクロストリップ線路61にはインピーダンス整合部61cが設けられている。
図12の例では、インピーダンス整合部61cは、マイクロストリップ線路61の直線部61aとRFパッド61bとの間に形成されている。具体的には、インピーダンス整合部61cは、マイクロストリップ線路61を細線化し、メアンダ形状にすることにより、直列インダクタンスを形成したものとなっている。このように、インピーダンス整合部61cが設けられているマイクロストリップ線路61の構成は、以上の終端装置1〜5においても適用することができる。
【0092】
(終端装置6の動作および利点)
終端装置6は、マイクロストリップ線路61にインピーダンス整合部61cが設けられていることにより、終端装置としてさらに高い機能を備えることができる。
【0093】
すなわち、一般的に、数GHz〜数十GHzの周波数領域では、チップ抵抗36や薄膜抵抗基板41等の抵抗器は、構造に起因する寄生インダクタンスや寄生容量、電気長等の影響により虚数成分を含み、純抵抗として機能しなくなることがある。この場合には、抵抗器は、虚数成分が原因となって、RF信号(電磁波)を変換した高周波電流を十分に減衰できなくなる。
【0094】
そこで、マイクロストリップ線路61にインピーダンス整合部61cを設けることによって、減衰抵抗素子の虚数成分が無くなるようにする。これにより、終端装置6は、マイクロストリップ線路61を流れる上記高周波電流を十分に減衰させ、終端装置としての機能を高めることができる。
【0095】
〔第7の実施形態〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0096】
図12に示した終端装置6には、マイクロストリップ線路61のインピーダンス整合部61cに代えて、
図13に示すインピーダンス整合部72が設けられていてもよい。
【0097】
(インピーダンス整合部72の構成)
図13の(a)は、本発明の実施形態の終端装置6のマイクロストリップ線路61に設けられているインピーダンス整合部72の構成を示す模式図であり、
図13の(b)は、
図13の(a)に示したインピーダンス整合部72の回路図である。
【0098】
図13の(a)に示すように、インピーダンス整合部72は、接続部71a,71bを有し、例えば、接続部71aは、マイクロストリップ線路61の直線部61aと接続され、接続部71bは、マイクロストリップ線路61のRFパッド61bと接続されている。
【0099】
接続部71a,71bの間にはコイル部72aが設けられ、さらに接続部71aには、静電容量部72bが接続されている。コイル部72aはメアンダ形状により形成されている。コイル部72aのインダクタンスは、線路の太さと長さにて設定している。静電容量部72bは、コイル部72aの端部を直線状に延伸した状態のオープンスタブにより形成されている。詳細には、オープンスタブ、上部誘電体層31および上部広壁22によって形成されている。静電容量部72bの静電容量は、線路すなわちオープンスタブの太さと長さにて設定している。インピーダンス整合部72は、
図13の(b)に示すように、並列C−直列LのLC回路となっている。
【0100】
すなわち、コイル部72aは、接続部71a(一端部)と接続部71b(他端部)との間に、これら接続部71aと接続部71bとを結ぶ直線に対して直交する方向の一方側および他方側へ蛇行するメアンダ形状を有している。静電容量部72bは、コイル部72aの端部から前記直線に対して直交する方向へ延びる直線部を有している。
【0101】
(インピーダンス整合部72の利点)
本実施形態の終端装置6では、インピーダンス整合部72によって、減衰抵抗素子の虚数成分が無くなるようにする。
【0102】
インピーダンス整合部72では、コイル部72aの端部に静電容量部72bが接続され、コイル部72aと静電容量部72bとの接続部が、例えばマイクロストリップ線路61の直線部61aに接続された接続部71aとなっている。したがって、インピーダンス整合部72は、コイル部72aと静電容量部72bとの間に、これら以外の余計な成分が介在しない。すなわち、コイル部72aと静電容量部72bとの接続部における予期しない寄生成分を排除でき、コイル部72aと静電容量部72bとの接続部の電気長を完全に0°にすることが可能となり、特に、ミリ波帯において有効なインピーダンス整合回部となる。これにより、終端装置6は、マイクロストリップ線路61を流れる上記高周波電流を十分に減衰させ、終端装置としての機能を高めることができる。
【0103】
また、静電容量部72bは、コイル部72aのメアンダ形状の領域に沿った直線部を有している。したがって、コイル部72aおよび静電容量部72bの形成領域を小さい領域とすることができる。これにより、インピーダンス整合部72を小型化することができる。
【0104】
(変形例1)
図14の(a)は、
図13の(a)に示したインピーダンス整合部72の変形例のインピーダンス整合部73の構成を示す模式図であり、
図14の(b)は、
図14の(a)に示したインピーダンス整合部73の回路図である。
【0105】
図14の(a)に示すように、インピーダンス整合部73は、一端部が接続部71aと接続され、他端部が接続部71bと接続されたコイル部73a、接続部71aと接続された静電容量部73b、および接続部71bと接続された静電容量部73bを有している。
【0106】
コイル部73aはメアンダ形状に形成されている。二つの静電容量部73bは、コイル部72aの各端部から直線状に互いに反対方向へ延伸した状態のオープンスタブにより形成されている。したがって、インピーダンス整合部73は、
図14の(b)に示すように、並列C−直列L−並列CのLC回路となっている。このインピーダンス整合部73は、インピーダンス整合部72と同様の利点を有する。
【0107】
なお、
図14の(a)(b)に示した例では、インピーダンス整合部73は、CLC回路(π型回路)の構成となっているが、これに代えてLCL回路(T型回路)の構成であってもよい。この点は、以下の例においても同様である。
【0108】
(変形例2)
図15の(a)は、
図13の(a)に示したインピーダンス整合部72の他の変形例のインピーダンス整合部74の構成を示す模式図であり、
図15の(b)は、
図15の(a)に示したインピーダンス整合部74の回路図である。
【0109】
図15の(a)に示すように、インピーダンス整合部74は、一端部が接続部71aと接続され、他端部が接続部71bと接続されたコイル部74a、接続部71aと接続された静電容量部74b、および接続部71bと接続された静電容量部74bを有している。
【0110】
コイル部74aはメアンダ形状に形成されている。二つの静電容量部74bは、コイル部74aの各端部から直線状に互いに反対方向へ延伸(直線部)した後、コイル部74aの形成領域に沿うように例えば直角に折れ曲がった状態(折曲部)のオープンスタブにより形成されている。したがって、インピーダンス整合部74は、
図15の(b)に示すように、並列C−直列L−並列CのLC回路となっている。
【0111】
すなわち、コイル部74aは、接続部71a(一端部)と接続部71b(他端部)との間に、これら接続部71aと接続部71bとを結ぶ直線に対して直交する方向の一方側および他方側へ蛇行するメアンダ形状を有している。静電容量部74bは、コイル部74aの端部から前記直線に対して直交する方向へ延びる直線部を有し、さらに、前記直線部の終端部からコイル部74aのメアンダ形状の領域に沿って折れ曲がった折曲部を有している。
【0112】
このインピーダンス整合部74は、インピーダンス整合部72と同様の利点を有する。さらに、静電容量部74bは、直線部および折曲部により大きい静電容量とする場合であっても、形成領域を小さい領域とすることができる。したがって、インピーダンス整合部74は、小型化することができる。
【0113】
(変形例3)
図16の(a)は、
図13の(a)に示したインピーダンス整合部72のさらに他の変形例のインピーダンス整合部75の構成を示す模式図であり、
図16の(b)は、
図16の(a)に示したインピーダンス整合部75の回路図である。
【0114】
図16の(a)に示すように、インピーダンス整合部75は、一端部が接続部71aと接続され、他端部が接続部71bと接続されたコイル部75a、接続部71aと接続された静電容量部75b、および接続部71bと接続された静電容量部75bを有している。
【0115】
コイル部75aは、コイル部72aよりも蛇行回数が多いメアンダ形状に形成されている。二つの静電容量部74bは、コイル部74aの各端部から直線状に互いに反対方向へ延伸(直線部)した後、コイル部74aの形成領域に沿うように例えば直角に折れ曲って延び(折曲部)、さらに、コイル部74aの形成領域の端部から例えば直角に2回折れ曲がって反対方向へ延びた状態のオープンスタブにより形成されている。したがって、インピーダンス整合部75は、
図16の(b)に示すように、並列C−直列L−並列CのLC回路となっている。
【0116】
すなわち、コイル部75aは、接続部71a(一端部)と接続部71b(他端部)との間に、これら接続部71aと接続部71bとを結ぶ直線に対して直交する方向の一方側および他方側へ蛇行するメアンダ形状を有している。静電容量部75bは、コイル部75aの端部から前記直線に対して直交する方向へ延びる直線部を有し、また、前記直線部の終端部からコイル部75aのメアンダ形状の領域に沿って折れ曲がった折曲部を有し、さらに、コイル部74aの形成領域の端部(折曲部の終端部)から例えば直角に2回折れ曲がって反対方向へ延びた状態のオープンスタブにより形成されている。このインピーダンス整合部75は、インピーダンス整合部74と同様の利点を有する。
【0117】
(変形例4)
図17は、
図13の(b)に示したインピーダンス整合部72のさらに他の変形例のインピーダンス整合部76の構成を示す回路図である。
【0118】
図17に示すように、インピーダンス整合部76は、以上に示したインピーダンス整合部(コイル部と静電容量部との組)を多段に有するものであり、コイル部76aおよび静電容量部76bには、いずれかのコイル部および静電容量部を適用可能である。したがって、インピーダンス整合部76は、並列C−直列L−並列C……直列L−並列CのLC回路となっている。このインピーダンス整合部76は、インピーダンス整合部72と同様の利点を有する。
【0119】
また、インピーダンス整合部76は、例えばCLC回路(π型の回路)を多段に設けた構成であるから、インピーダンスを整合させる周波数帯域をより広帯域化することができる。また、インピーダンスの実数成分を変化させることができる。
【0120】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【解決手段】終端装置(1)は、ポスト壁導波路(26)の上部広壁(22)上に上部誘電体層(31)およびマイクロストリップ線路(MSL)(61)を有する。ブラインドビア(34)は、一端部がMSL(61)の一端部に接続され、ポスト壁導波路(26)の内部に挿入されている。チップ抵抗(36)は、一端部がMSL(61)の他端部に接続され、他端部が上部広壁(22)に接続されている。