(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バリヤ層は、前記樹脂層に最も近い膜から、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜の順で積層された複数の膜を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、平板ディスプレイ装置には、各画素の動作を制御したり、駆動部での電気的信号を作るために、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が備えられるが、このようなTFTは、外部の不純物から保護されることが望ましい。特に、フレキシブル平板ディスプレイ装置と関連して、最近活発に研究が進められている有機TFTの場合、有機物は、外部の水分または酸素に対して非常に脆弱であるので、このような外部の不純物の浸透を防止する必要がある。
【0005】
また、フレキシブル平板ディスプレイ装置のディスプレイ部と関連して、最近研究が活発に進められている有機発光装置の場合にも、各画素に備えられる有機発光素子の有機物が外部の水分または酸素のような不純物に非常に脆弱であるので、このような外部の不純物の浸透を防止する必要がある。
【0006】
外部不純物の浸透防止のために、バリヤ層が使われるが、このようなバリヤ層がディスプレイ装置の製造工程中に剥離される問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ディスプレイ装置の製造工程、特にバックプレイン製作工程中に発生する剥離(ピールオフ)現象の発生を防止することができる有機発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、シリコン酸化物膜とシリコンリッチシリコン窒化物膜とを有するバリヤ層と、前記バリヤ層の少なくとも一方の面に設けられる樹脂層と、前記樹脂層の面のうち、前記バリヤ層が設けられる面の反対側の面に設けられる有機電界発光部と、を備える有機発光装置が提供される。
【0009】
ここで、前記シリコンリッチシリコン窒化物膜の屈折率は、1.81〜1.85でありうる。
【0010】
また、前記シリコンリッチシリコン窒化物膜のストレスは、−200Mpa〜0Mpaでありうる。
【0011】
また、前記バリヤ層は、複数のシリコン酸化物膜とシリコンリッチシリコン窒化物膜とが交互に配されたものでありうる。
【0012】
また、前記シリコンリッチシリコン窒化物膜の厚さは、20nm〜80nmでありうる。
【0013】
また、本発明の他の一具現例によれば、前記シリコン酸化物膜の厚さは、100nm〜500nmでありうる。
【0014】
また、前記バリヤ層の厚さは、120nm〜2000nmでありうる。
【0015】
また、前記バリヤ層は、前記樹脂層に最も近い膜から、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜の順で積層された複数の膜を有するものでありうる。
【0016】
また、前記シリコンリッチシリコン窒化物膜は、SiNxを含みうる(ここで、xは、1.1〜1.3である)。
【0017】
また、前記シリコン酸化物膜は、シリコンリッチシリコン酸化物膜でありうる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ストレスが低減されるバリヤ層の適用によって、ディスプレイ装置の製造工程、特にバックプレイン製作工程中に発生する剥離(ピールオフ)現象の防止、ガラス反り現象を抑制して工程の収率を高めうる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
従来の技術のフレキシブルディスプレイパネルは、ガラス上にプラスチックをコーティングし、その上にバリヤを蒸着した後、オキシドTFTバックプレイン(Oxide TFT Back Plane)及びEVEN(EL evaporation、Thin Film Encapsulation)工程を適用している。その後、プラスチックパネルをガラスから脱着してフレキシブルディスプレイパネルを製作している。この時に使われるプラスチック母材は、既存のガラス母材とは異なり、透湿率が非常に高くてEL(ElectroLuminescence)寿命を低下させることが問題である(ガラス透湿率1E−6g/m
2 day以下、プラスチック透湿率1E−1g/m
2 day以上)。
【0022】
そのため、プラスチック母材を貫いて上がる水分からELユニットを保護するために、下部にバリヤを挿し込む。よく使われるバリヤは、NONONON(N:SiNx=50nm、O:SiO
2=300nm)構造であって、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)で蒸着され、透湿率は、1E−3g/m
2 day以下の特性を有する。この時、バリヤ全体の厚さが1050nmであって、若干のストレスを有すれば、工程中にガラス反り、ガラス基板からの剥離が発生する問題点がある。
【0023】
このような問題点を解決するために、本発明の一具現例は、基板バリヤ層及び有機電界発光部を備える有機発光装置において、前記バリヤ層がシリコン酸化物膜とシリコンリッチシリコン窒化物膜とを備える有機発光装置を提供する。
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施例を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0025】
図1は、本発明の一実施例による有機発光装置に含まれるフレキシブル基板を概略的に示す断面図である。
【0026】
図1を参照すれば、本実施例によるフレキシブル基板10は、バリヤ層11とこのバリヤ層11の上下部にそれぞれ配されたプラスチックフィルム13とを備える。ここで、バリヤ層11は、シリコンリッチシリコン窒化物膜11aとシリコン酸化物膜11bとを備える。または、前記バリヤ層11は、シリコン酸化物膜11bとシリコンリッチシリコン窒化物膜11aとを備える。
【0027】
前記シリコンリッチシリコン窒化物膜は、1.81〜1.85の屈折率を有しうる。
シリコンリッチシリコン窒化物膜が前記範囲の屈折率値を有する場合、シリコンリッチシリコン窒化物膜の透湿率抑制能が最適の状態となる。
【0028】
バリヤ層のシリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜は、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)、または原子層蒸着法(ALD:Atomic Layer Deposition)を利用して製造されうる。もちろん、これ以外の多様な方法を通じて製造されることもある。
【0029】
前記シリコンリッチシリコン窒化物膜は、例えば、SiH
4を350〜550sccm、NH
3を1800〜2200sccm、N
2を9000〜11000sccmでもって製造されうる。前記のような条件で製造されたシリコンリッチシリコン窒化物膜は、−200Mpa〜0Mpa以下のストレス値を示す。
【0030】
ストレス値は、例えば、SiH
4を350〜550sccm、NH
3を1800〜2200sccm、N
2を9000〜11000sccmの条件でガラス上に一定の厚さ、例えば、200nmにシリコンリッチシリコン窒化物膜を蒸着させた場合と、SiH
4を100〜300sccm、NH
3を1800〜2200sccm、N
2を9000〜11000sccmの条件でガラス上に同じ厚さにシリコン窒化物膜を蒸着させた場合とを比較して測定されるが、シリコン窒化物膜を蒸着させて反った場合のガラスと、シリコンリッチシリコン窒化物膜を蒸着させて反っていない場合のガラスとの曲率半径の差を比較して、シリコンリッチシリコン窒化物膜のストレスを測定する。
【0031】
このようなバリヤ層11は、化学気相蒸着法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、または原子層蒸着法(ALD)を利用して製造できる。もちろん、これ以外の多様な方法を通じて製造されることもある。
【0032】
一方、このようなバリヤ層11は、その表面の粗度が大きくてバリヤ層11のみで形成された基板上にTFTを形成する場合、その収率が低下するという問題点がある。したがって、このバリヤ層11の上下部にそれぞれプラスチックフィルム13(樹脂層)が備えられうる。このようなプラスチックフィルム13は、ホットロールを利用して、バリヤ層11の上下部(両面)にプラスチック物質をラミネートして形成することもできる。もちろん、これ以外の多様な方法が利用されうる。また、最初からプラスチックフィルム13上にシリコンリッチシリコン窒化物膜11aと酸化物膜11bとを形成した後、その上部に再びプラスチックフィルム13を形成することによって、フレキシブル基板10を製造できる。
【0033】
このような構造のフレキシブル基板10のバリヤ層11で、シリコンリッチシリコン窒化物膜は、透湿率を低める役割を行い、シリコン酸化物膜は、ストレスバランスの役割を行う。
【0034】
一方、
図1には、バリヤ層11がシリコンリッチシリコン窒化物膜と酸化物膜とを一層ずつ備える場合について示されているが、
図2に示したように、二層のシリコンリッチシリコン窒化物膜11aがシリコン酸化物膜11bの両側に備えられた構造を有することも可能である。もちろん、これと逆に、二層のシリコン酸化物膜がシリコンリッチシリコン窒化物膜の両側に備えられた構造を有することも可能である。
【0035】
また、
図3に示したように、バリヤ層11は、複数のシリコンリッチシリコン窒化物膜11aとシリコン酸化物膜11bとが交互に配された構造を有することも可能である。
【0036】
一方、前述したように、このようなバリヤ層11の上下部には、プラスチックフィルム13が備えられるところ、このプラスチックフィルム13とバリヤ層11との接合をさらに確実にするために、
図4に示したように、バリヤ層11とプラスチックフィルム13との間に接着層12が必要に応じてさらに備えられることも可能である。もちろん、この接着層12の位置は、
図4に示されたものに限定されず、バリヤ層11とバリヤ層11の上下部に配されたプラスチックフィルム13との間のうち少なくともいずれか1ヵ所に介在されうる。
【0037】
前記シリコンリッチシリコン窒化物膜の厚さは、20nm〜80nmであり、前記シリコン酸化物膜の厚さは、100nm〜500nmでありうる。
【0038】
シリコンリッチシリコン窒化物膜の厚さ及びシリコン酸化物膜の厚さが前記範囲である場合、透湿率の抑制及びストレスバランスの役割が最適に発揮されうる。
【0039】
前記バリヤ層の厚さは、120nm〜2000nmでありうる。
【0040】
有機発光装置の全体厚さ、透湿防止、反り防止を考慮する時に、前記範囲が適切である。
【0041】
前記バリヤ層は、シリコンリッチシリコン窒化物膜/シリコン酸化物膜/シリコンリッチシリコン窒化物膜/シリコン酸化物膜/シリコンリッチシリコン窒化物膜/シリコン酸化物膜/シリコンリッチシリコン窒化物膜の構造でありうる。すなわち、バリヤ層は、2つのプラスチックシートのうち、一方のプラスチックシートに最も近い膜から、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜の順で積層された複数の膜を有する。また、シリコンリッチシリコン窒化物膜は、SiNxを含む(ここで、xは、1.1〜1.3である)。
【0042】
一方、前記シリコン酸化物膜は、シリコンリッチシリコン酸化物膜でありうる。
【0043】
図5は、本発明の望ましい他の一実施例によるフレキシブルTFT基板を概略的に示す断面図である。
【0044】
図5を参照すれば、前述した実施例の変形例による接着層12まで備えたフレキシブル基板10上に、ゲート電極21、ソース電極23、ドレイン電極24、半導体層25及びゲート絶縁膜26を備えたTFTが備えられている。
【0045】
前述したように、TFT、特に、有機TFTの場合、外部からの水分または酸素のような不純物の浸透に非常に脆弱である。したがって、前述した実施例及びその変形例によるフレキシブル基板を利用することによって、このようなTFTを保護できる。
【0046】
図6は、本発明の一実施例による有機発光装置の概略的な断面図である。
【0047】
有機発光装置は、多様な形態のものが適用されうるが、本発明の一実施例による有機発光装置は、有機TFTを備えた能動駆動型(AM:Active Matrix)発光ディスプレイ装置である。この有機発光装置は、シリコン酸化物膜111bとシリコンリッチシリコン窒化物膜111aとを有するバリヤ層111と、バリヤ層111の表面及び裏面のそれぞれに設けられるプラスチックシート113と、上側のプラスチックシート113の面のうち、バリヤ層111が設けられる面の反対側の面に設けられる有機電界発光部と、を備える。
【0048】
各副画素は、
図6に示されたように少なくとも一つの有機TFTを備える。
図6を参照すれば、前述したようなフレキシブル基板110上にTFTが備えられる。もちろん、TFTの形態は、
図6に示されたものに限定されず、有機TFTまたはシリコンTFTのような多様なTFTが備えられうる。
【0049】
TFTの上部には、SiO
2からなるパッシベーション膜128が形成され、パッシベーション膜128の上部には、アクリル、ポリイミドによる画素定義膜129が形成されている。パッシベーション膜128は、有機TFTを保護する保護膜の役割を行ってもよく、その上面を平坦化させる平坦化膜の役割を行ってもよい。
【0050】
そして、図面に示されていないが、有機TFTには、少なくとも一つのキャパシタが連結されうる。そして、このような有機TFTを備える回路は、必ずしも
図6に示された例に限定されず、多様に変形できる。
【0051】
一方、ドレイン電極124に有機発光素子が連結される。有機発光素子は、相互対向した画素電極131及び対向電極134と、この電極の間に介在された少なくとも発光層を備える中間層133と、を備える。対向電極134は、複数の画素において、共通に形成されることもあるなど、多様な変形が可能である。
【0052】
一方、
図6には、中間層133が副画素のみに対応するようにパターニングされたと示されているが、これは、副画素の構成を説明するために、便宜上、そのように示したものであり、中間層133は、隣接した副画素の中間層と一体に形成されることもある。また、中間層133のうち一部の層は、各副画素別に形成され、他の層は、隣接した副画素の中間層と一体に形成されることもあるなど、その多様な変形が可能である。
【0053】
画素電極131は、アノード電極の機能を行い、対向電極134は、カソード電極の機能を行う。もちろん、この画素電極131と対向電極134との極性は、逆になってもよい。
【0054】
画素電極131は、反射型電極として備えられる。すなわち、本発明によるフレキシブル基板110は、シリコンリッチシリコン窒化物膜111aと酸化物膜111bとを備えるバリヤ層111を備えるところ、このようなバリヤ層111は、不透明な特性を有するので、中間層133から発生した光は、フレキシブル基板110の逆方向に、すなわち、対向電極134を通じて放出される。したがって、画素電極131は、反射型電極として形成し、対向電極134は、透明電極として形成する。
【0055】
したがって、画素電極131は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上にITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnOまたはIn
2O
3を形成した構造を有する。対向電極134は、前述したように、透明電極となるが、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mg及びこれらの化合物が中間層133に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnOまたはIn
2O
3などの透明電極形成用物質で補助電極やバス電極ラインを形成できる。
【0056】
画素電極131と対向電極134との間に備えられる中間層133は、低分子または高分子有機物で備えられうる。低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、有機発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)が単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)をはじめとして、多様に適用可能である。これらの低分子有機物は、前述したようなパターニングで備えられ、前述したようなマスクを利用して、真空蒸着の方法で形成される。
【0057】
高分子有機物の場合には、概して、ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)で備えられた構造を有し、この時、前記HTLとしてPEDOT(Poly(3,4−Ethylene Dioxythiophene))を使用し、EMLとしてPPV(Poly−Phenylenevinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用できる。
【0058】
基板110上に形成された有機発光素子は、対向部材(図示せず)によって密封される。対向部材は、基板110と同一に、ガラスまたはプラスチック材で備えられうるが、これ以外にも、メタルキャップで形成されることもある。
【0059】
また、前記実施例において、有機発光装置の構造を基にして本発明を説明したが、それ以外の多様なフレキシブルディスプレイ装置にも、本発明が適用されうる。
【0060】
以下、本発明を下記の実施例で詳細に説明するが、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0061】
[透湿率の比較]
[実施例1:SiH
4 400sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
PECVD方法を使用して、 SiH
4 400sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccmの条件でシリコンリッチシリコン窒化物膜を50nmの厚さにし、SiH
4 150sccm、N
2O 3000sccm、Ar 4000sccmの条件でシリコン酸化物膜を300nmの厚さにし、ガラス板上に、ガラス板に最も近い膜から、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜、シリコン酸化物膜、シリコンリッチシリコン窒化物膜の順に各膜を積層することで、バリヤ層を形成した。
【0062】
シリコンリッチシリコン窒化物膜のSiとNとの含量をFTIR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)で分析した結果、約1:1.2の値を示すことが分かった。
【0063】
[実施例2:SiH
4 500sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
SiH
4を500sccmの条件としたことを除いては、実施例1と同一にバリヤ層を形成させた。
【0064】
[比較例1:SiH
4 100sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
SiH
4を100sccmの条件としたことを除いては、実施例1と同一にバリヤ層を形成させた。
【0065】
[比較例2:SiH
4 200sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
SiH
4を200sccmの条件としたことを除いては、実施例1と同一にバリヤ層を形成させた。
【0066】
実施例1、2及び比較例1、2のバリヤ層の透湿率を比較して、表1に示した。
【0067】
表1を参照すれば、実施例1、2のバリヤ層の透湿率は、比較例1、2のバリヤ層の透湿率と同等なレベルであることが確認できた。
【0069】
[バリヤ層の剥離有無の観察]
常温で2週間放置して、実施例1、比較例1のバリヤ層の剥離有無を観察した。
【0070】
図7は、比較例1のバリヤ層の剥離有無を撮影したTEM写真である。
【0071】
図8は、実施例1のバリヤ層の剥離有無を撮影したTEM写真である。
【0072】
図7、
図8を参照すれば、実施例1の場合、剥離が観察されなかったが、比較例1の場合、バリヤ層が剥離されたことが確認できた。
【0073】
[シリコン窒化物膜のストレス測定]
[実施例3:SiH
4 400sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
PECVD方法を使用して、 SiH
4 400sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccmの条件でシリコンリッチシリコン窒化物膜を100nmの厚さにし、ガラス板上にシリコンリッチシリコン窒化物膜を形成させた。
【0074】
[実施例4:SiH
4 500sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
SiH
4を500sccmの条件としたことを除いては、実施例3と同一にシリコンリッチシリコン窒化物膜を形成させた。
【0075】
[比較例3:SiH
4 100sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
SiH
4を100sccmの条件としたことを除いては、実施例3と同一にシリコン窒化物膜を形成させた。
[比較例4:SiH
4 200sccm、NH
3 2000sccm、N
2 10000sccm]
SiH
4を200sccmの条件としたことを除いては、実施例3と同一にシリコン窒化物膜を形成させた。
【0076】
実施例3、4及び比較例3、4のシリコン窒化物膜の屈折率及びフィルムストレスを比較して、表2に示した。
【0077】
フィルムストレスは、シリコン窒化物蒸着前のガラス板の反り程度を測定し、ガラス板上にシリコン窒化物膜を100nm蒸着した後、ガラス板の反り程度を測定し、その曲率半径差から計算した。(Stoney Equation適用)
【0079】
表2を参照すれば、実施例3、4のシリコン窒化物膜のフィルムストレス値が比較例3、4のシリコン窒化物膜のフィルムストレス値より小さい絶対値を有することが分かる。
【0081】
以上により、本実施の形態では、シリコンリッチ窒化物膜がバリヤ層に作用するストレスを低減することができるので、ディスプレイ装置の製造工程、特にバックプレイン製作工程中に発生する剥離(ピールオフ)現象の防止、ガラス反り現象を抑制して工程の収率を高めうる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。