(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の具体的な実施例について図面と共に詳細に説明する。しかし、本発明は本発明の思想が提示される実施例には限定されず、また他の構成要素の追加、変更、削除などにより他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができる。
【0013】
また、本発明の実施例による冷蔵庫としてボトムフリーザー型の冷蔵庫を例に挙げて説明しているが、これに限定されることなく、トップマウント型の冷蔵庫及びサイドバイサイド型の冷蔵庫にも本発明の実施例を適用することができる。
【0014】
図1は、本発明の実施例による急速冷却モジュールが具備された冷蔵庫の斜視図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の実施例による急速冷却モジュールが具備された冷蔵庫1は、内部に貯蔵空間が具備される本体10と、貯蔵空間を選択的に開閉するドア20及び貯蔵空間に収納される低温貯蔵室を含む。
【0016】
本体10の内部空間は、バリヤー103により冷蔵室12と冷凍室13とに区画される。バリヤー103の延長方向に応じて冷蔵室12と冷凍室13は左右または上下方向に配置される。例えば、バリヤー103を水平に設置すると冷凍室13の上側または下側に冷蔵室12が形成され、本実施例では冷蔵室12が冷凍室13の上側に配置される構造である。または、バリヤー103を垂直に設置すると、冷蔵室12と冷凍室13とを左右に並べて配置することができる。ここで、冷蔵室12及び冷凍室13を含む貯蔵空間を「第1貯蔵室」と定義することができ、低温貯蔵室は、「第2貯蔵室」と定義することができる。第2貯蔵室は、第1貯蔵室より低い温度に維持される貯蔵室である。例えば、冷凍室13が−18℃〜−20℃に維持されると、第2貯蔵室に該当する低温貯蔵室は−50℃〜−60℃に維持される。
【0017】
また、低温貯蔵室は、冷凍室13の一方の側の隅に具備されてもよく、低温貯蔵室には飲食物を貯蔵する引き出しアセンブリー30と、引き出しアセンブリー30を急速冷凍するための急速冷却モジュール40(
図2参照)が具備される。急速冷却モジュール40は、引き出しアセンブリー30の後端に配置され、これについて図面を参照しながら、後述のようにさらに詳しく説明する。
【0018】
一方、冷蔵室12は、冷蔵室ドア21により選択的に開閉されるが、単一のドアまたは図示された一対のドアにより開閉可能である。そして、冷蔵室ドア21は、本体10に回動可能に結合することができる。
【0019】
また、冷凍室13は、冷凍室ドア22により選択的に開閉され、ボトムフリーザー型の冷蔵庫の場合は図示のように、冷凍室ドア22を出し入れ可能とすることができる。すなわち、冷凍室の収納部を引き出し型とすることができる。
【0020】
一方、低温貯蔵室には、引き出しアセンブリー30が前後方向に出し入れ可能に収納されてもよい。
【0021】
図2は、本発明の実施例による低温貯蔵室に提供される引き出しアセンブリー及び急速冷却モジュールの構造を示す分解斜視図である。
【0022】
図2に示すように、本発明の実施例による低温貯蔵室には、引き出しアセンブリー30と急速冷却モジュール40とが提供される。
【0023】
急速冷却モジュール40は、引き出しアセンブリー30の後端に位置し、本体10に固定装着されるか、または引き出しアセンブリー30と共に移動可能に提供することができる。
【0024】
急速冷却モジュール40は、本体10内部に取り付ける蒸発機Eに結合される熱伝導ユニット44と、熱伝導ユニット44の前面に装着される熱伝素子41と、熱伝素子41の前面に結合される放熱部材42及び放熱部材42の前面に結合される吸熱側送風ファン43を含む。放熱部材42はヒートシンクを含む。
【0025】
熱伝素子41は、電流供給により一方の面では吸熱現象が起こり、他方の面では発熱現象が起こるペルチェ効果を利用する素子を含む。「ペルチェ効果」とは、2種類の金属端を接触させて電流を流すと、電流の方向に応じて一方の端子では吸熱現象が起こり、他方の端子では発熱現象が起こる効果をいう。そして、熱伝素子41に供給する電流の流れの方向を転換すると、吸熱面および発熱面も転換され、供給する電流量に応じて吸熱量と発熱量の調節が可能という特徴がある。
【0026】
本実施例による急速冷却モジュール40は、熱伝素子41の吸熱面が低温貯蔵室の引き出しアセンブリー30側に向かい、発熱面が蒸発機E側に向かう構造を有する。従って、蒸発機Eから供給される冷気の他に熱伝素子41で起こる吸熱現象を利用して引き出しアセンブリー30に貯蔵された飲食物を超低温に急速冷却するのに使用することができる。
【0027】
一方、引き出しアセンブリー30は、引き出し32と、引き出し32が出し入れ可能に収納されるケース31と、を含む。製品の構造に従って引き出し32のみが低温貯蔵室に収納されるか、またはケース31及び引き出し32の両方を低温貯蔵室に収納することが可能である。
【0028】
引き出しアセンブリー30の後端は、急速冷却モジュール40の前面、つまり吸熱側送風ファン43に突き当って、吸熱側送風ファン43により引き出しアセンブリー30内部の冷気が強制流動される。
【0029】
なお、熱伝導ユニット44は、アルミニウム板のように熱伝導率が高い金属板材であってもよい。また、熱伝導ユニット44は、一つまたは一対の板が蒸発機Eの冷媒配管に密着結合される。この実施例では、一対の熱伝導板が蒸発機Eの冷媒配管の一部分を囲む形を提示する。また、冷媒配管と熱伝導ユニット44との接触面積を最大化するために、冷媒配管と直接接触する熱伝導ユニット44の表面には冷媒配管が装着される溝が形成されてもよい。他の方法として、冷媒配管が単一体の熱伝導ユニット44の側面を貫通して、冷媒配管の一部が熱伝導ユニット44の内部に埋設される形も可能である。
【0030】
引き出し32は、上面が開口した六面体形状となっており、両側面にはスライドガイド321が前後方向に延在し、スライドガイド321には複数のローラ323が具備される。また、引き出し32の後面には吸熱側送風ファン43から供給される冷気が引き出し32内部に伝達されるようにするための冷気移動部322が形成されている。冷気移動部322は、引き出し32の後面の略中央に形成される冷気流入口322aと、冷気流入口322aの周りに形成される冷気流出口322bと、を含む。引き出し32が完全に押し込まれた時、冷気流入口322aは、吸熱側送風ファン43の前面に位置する。その結果、熱伝素子41の吸熱面を通って冷却された空気及び/または蒸発機Eを通過した空気が引き出し32の内部に供給される。吸熱側送風ファン43の種類に応じて冷気流入口と冷気流出口とを異なるようにすることができる。例えば、吸熱側送風ファン43がサクション(吸引)ファンである場合には、冷気流入口322aは冷気流出口になり、ブロー(送風)ファンである場合には、冷気流入口322aは冷気流入口となる。また、冷気流入口及び冷気流出口は、形成位置を異ならせて配置してもよい。例えば、冷気流入口を冷気流出口の上側に配置して、冷気が引き出し32の上側空間に流入されるようにして、引き出し32の底面に降下した後に排出されるように構成してもよい。
【0031】
図3は、本発明の第1実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断したときの断面図である。
【0032】
図3に示すように、この実施例では低温貯蔵室内部に引き出し32のみが収納される構造である。
【0033】
低温貯蔵室は、冷凍室13の一方の側の隅に形成することができ、断熱ケース104により冷凍室13と区画された独立した貯蔵空間を形成することができる。即ち、断熱ケース104は、内部が空洞となっている六面体形状からなっており、後述するインナーケース101と一体に成型することができる。また、引き出し32は、断熱ケース104により形成される貯蔵空間の内部に収納することができる。
【0034】
一方、本体10は、外観を構成するアウターケース102及びアウターケース102の内側に提供されるインナーケース101からなる。また、アウターケース102とインナーケース101との間には、断熱材が発泡充填される。また、アウターケース102とインナーケース101との間には、蒸発機Eが収納されるための熱交換チャンバー105を形成することができる。ここで、インナーケース101は、熱交換チャンバー105と第2貯蔵室とを区画する区画壁となる。他の方法として、従来の冷蔵庫と同様に、インナーケース101の前面にプレートまたはダクト形状の別の区画壁を提供して、区画壁とインナーケース101との間に熱交換チャンバー105を形成してもよく、熱交換チャンバー105内に蒸発機Eを収納する構造も可能である。また、断熱ケース104は、区画壁の前面に密着する。別の区画壁によって熱交換チャンバーを形成する例について、以下、図面を参照して説明する。
【0035】
低温貯蔵室の後面に当たる冷凍室の壁面には、ガイドスリーブ101aが突出している。また、ガイドスリーブ101aは、四角柱状で提供されてもよい。また、四角柱状で提供されるガイドスリーブ101aの内側には連通孔101bが形成されている。また、連通孔101bは、熱交換チャンバー105と連通する。ここで、ガイドスリーブ101aが突出している冷凍室の壁面は、インナーケース101の後面であってもよく、あるいは区画壁の前面であってもよい。また、ガイドスリーブ101aの前面には、引き出し32の後面が密着する。即ち、引き出し32が低温貯蔵室内部へ完全に押し込まれると、引き出し32の後面はガイドスリーブ101aの前面に密着する。
【0036】
ガイドスリーブ101aの内側空間、つまり連通孔101bには急速冷却モジュール40が収納される。また、急速冷却モジュール40の吸熱側送風ファン43は、引き出し32の後面に形成される冷気流入口322aに密着する。この実施例で吸熱側送風ファン43をブローファンとした例を示し、冷気流入口322aは冷気流出口として機能する。また、熱伝素子41の発熱面は熱伝導ユニット44の前面に直接接触するように密着して、発熱面から放出される熱が熱伝導ユニット44を介して蒸発機Eの冷媒配管に伝達されるようにする。また、熱伝素子41の吸熱面に装着した放熱部材42は低温に冷却される。また、放熱部材42に接することで熱交換されて冷却された空気は、吸熱側送風ファン43により引き出し32内部に供給される。ここで、引き出し32の内部に存在する空気は、循環して冷気流出口322bを介して放熱部材42側にさらに流れる。ここで、連通孔101bを介して蒸発機Eを通過した冷気の一部分が引き出し32の内部に供給されることもある。
【0037】
この構造により、低温貯蔵室に貯蔵の飲食物は、熱伝素子41により生じる冷気のみならず、蒸発機Eから生成される冷気によって短時間で低温に急速冷凍することができる。
【0038】
また、熱伝素子41は、蒸発機Eが動作する時にだけ作動するように構成して、急速冷凍効果を極大化することができる。即ち、冷凍サイクルが動作して蒸発機Eに冷媒が循環される間にだけ熱伝素子41に電流が印加されるように構成して、急速冷凍が円滑に行われるようにすることができる。
【0039】
なお、冷蔵室及び冷凍室が設定温度に十分冷却されて冷凍サイクルが動作しない状態、つまり蒸発機Eの作動が停止した状態でも急速冷却モジュール40を利用して低温貯蔵室を独立に運転できるという長所がある。即ち、冷凍サイクルが停止した状態で低温貯蔵室の急速冷凍を要する場合、急速冷却モジュール40に電流を印加すると、熱伝素子41が作動して冷気が生成される。また、吸熱側送風ファン43の作動によって熱伝素子41で生成された冷気が引き出し32に供給される。
【0040】
なお、熱伝素子41の発熱面は熱伝導ユニット44を媒体として蒸発機Eに装着された状態であるので、蒸発機Eに結氷現象が発生じた場合、除霜部材として使用されることもある。即ち、蒸発機Eに付着した氷を除去するために熱伝素子41に電流を供給すると、熱伝素子41の発熱面から放出される熱が熱伝導ユニット44を介して蒸発機Eの冷媒配管に伝達される。その結果、蒸発機Eに付着した氷が分離し、除霜運転を別途行う必要がなくなる。
【0041】
さらに、熱伝素子41に供給する電流の流れの向きを反転すると、熱伝素子41の前面部が発熱面となるので、低温貯蔵室は急速解凍室として機能することもできる。
【0042】
図4は、本発明の第2実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断した断面図である。
【0043】
図4を参照すると、この実施例では低温貯蔵室内部に引き出し32とケース31が共に収納されることと、冷凍室13の壁面に別のガイドスリーブ101aを要しない点において第1実施例と相違しており、他の構成は第1実施例と同じである。従って、第1実施例と同じ部分については重複説明を省略する。
【0044】
断熱ケース104によって形成される低温貯蔵室の内部には引き出しアセンブリー30が収納される。また、引き出しアセンブリー30を構成するケース31の後面は、冷凍室13の後面に完全に密着する。また、冷凍室13の後壁面、つまりインナーケース101には連通孔101bが形成され、急速冷却モジュール40は連通孔101bの内部に収納される。また、ケース31の後面、具体的には引き出し32の冷気流入口322aに対応する位置に冷気孔が形成され、急速冷却モジュール40の吸熱側送風ファン43が冷気孔に位置する。また、第1実施例と同様に、急速冷却モジュール40の熱伝素子41は、熱伝導ユニット44を媒介として蒸発機Eの冷媒配管に固定される。
【0045】
図5は、本発明の第3実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断した断面図である。
【0046】
図5を参照すると、この実施例では急速冷却モジュール40を構成する熱伝導ユニット44が熱伝素子41から分離した構造を有する点において第1及び第2実施例と相違している。
【0047】
この実施例による急速冷却モジュール40は、熱伝素子41と、熱伝素子41の吸熱面に装着した放熱部材42と、放熱部材42の前面に結合される吸熱側送風ファン43と、熱伝素子41の発熱面に装着した熱伝導板46と、蒸発機Eの冷媒配管の一部を囲む熱伝導ユニット44と、熱伝導ユニット44と熱伝導板46とを熱伝達可能に接続するヒートパイプ45と、を含む。
【0048】
さらに、熱伝導ユニット44が装着された蒸発機Eは熱交換チャンバー105に収納され、熱伝導板46は冷凍室13の後壁面に装着される。また、ヒートパイプ45により熱伝導板46から熱伝導ユニット44に熱が伝達される。この実施例の構造では熱交換チャンバー105と低温貯蔵室とが分離されて冷気の移動が遮断される。即ち、低温貯蔵室は、急速冷却モジュール40のみによって冷却される。
【0049】
または、急速冷却モジュール40の一部の構成はケース31の内部に設置される。従って、引き出し32の前後方向の長さは、ケース31の前後方向の長さより短く形成することができる。
【0050】
この実施例によると、急速冷凍過程で熱伝素子41から発生する熱は、熱伝導板46に伝達される。また、熱伝導板46に伝達された熱は、ヒートパイプ45に沿って熱伝導ユニット44に伝達される。ここで、熱伝導板46は、熱伝導ユニット44と同様の材質の板材であってもよい。
【0051】
また、熱伝素子41は、熱伝導板46ではなくヒートパイプ45に直接装着されてもよい。この構造によると、熱伝素子41の発熱面から発生する熱が低温貯蔵室に再流入する現象が根本的に回避される。従って、低温貯蔵室に供給される冷気の温度を第1または第2実施例よりさらに低くすることができ、実際には、約−45℃〜−50℃まで冷却可能であることが確認された。
【0052】
図6は、本発明の第4実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断した断面図である。
【0053】
図6を参照すると、引き出し32の前後方向の長さは、ケース31の前後方向の長さと同じに形成され、急速冷却モジュール40の一部分が引き出し32の内部に突出した構造を有する点において上記実施例と相違している。
【0054】
急速冷却モジュール40を構成する部品のうち、吸熱側送風ファン43と放熱部材42の一部分が引き出し32の内部に露出する構造となるように構成することができる。この構造によると、吸熱側送風ファン43により冷気が引き出し32の内部に強制流動され、引き出し32の内部の空気は放熱部材42の方、つまり吸熱側送風ファン43の後側に流れて放熱部材42と熱交換する冷気循環構造を形成する。
【0055】
ここで、引き出し32の後面には、冷気の循環をガイドするガイドスリーブ325が突出形成されてもよい。ガイドスリーブ325は、ガイドスリーブ101aと同じ目的で形成されているといえる。従って、ガイドスリーブ325は、上下側または左右側に一対が提供されてもよく、上下と左右の両方に提供されて一つの四角筒形状をなすように構成してもよい。また、ガイドスリーブ325は、引き出し32の後面に形成されるのみならず、ケース31の後面に形成されることもある。
【0056】
図7は、本発明の他の実施例による急速冷却モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【0057】
図7に示すように、この実施例による急速冷却モジュールは、熱伝導ユニットの溝成において第1実施例による急速冷却モジュールと相違している。
【0058】
本発明の実施例による急速冷却モジュール40は、第1実施例と同じ熱伝素子41と、放熱部材42と、吸熱側送風ファン43とを含む。また、本発明による熱伝導ユニット47の内部は冷媒が流れるための冷媒流路471が形成されている。また、蒸発機Eの冷媒配管の一部が断絶され、断絶された配管の一方の端部は冷媒流路471の入口側に接続され、他方の端部は冷媒流路471の出口側に接続される。従って、冷媒配管に沿って流れる冷媒は、冷媒流路471に沿って流れることにより熱伝導ユニット47を冷却する。
【0059】
熱伝素子41の発熱面は、熱伝導ユニット47の外側面に装着されて、発熱面から放出される熱は熱伝導ユニット47を介して冷媒に伝達される。
【0060】
図8は、本発明の他の実施例による引き出しの側断面図である。
【0061】
図8に示すように、引き出し32の底面には熱伝導率が高い冷却板34を設置することができる。
【0062】
冷却板34は、上記の実施例で示した熱伝導ユニット44、47または熱伝導板46と同じ材質の金属板であってもよい。引き出し32の底面に冷却板34を取り付けることにより、引き出し32に収納された飲食物の底面部を共に冷却することができる。従って、引き出し32の内部の冷気に接触する飲食物の表面を冷却すると同時に、引き出し32の底面に密着した飲食物の表面も共に冷却することができる。その結果、飲食物の全体面をもれなく冷却する効果があるのみならず、飲食物の冷却時間が短縮されるという効果も得られる。
【0063】
図9は本発明のさらに他の実施例による引き出しを示す斜視図であり、
図10は
図9のII−IIに沿って切断した側断面図である。
【0064】
図9及び
図10に示すように、本発明の実施例による引き出し32の後面には冷気流入口322aと冷気流出口322bとを含む冷気移動部322が形成される点は、上記の実施例による引き出しの構造と同じである。上述したように、冷気流入口322aと冷気流出口322bとの機能及び位置は、上記の実施例には限られない。即ち、冷気移動部322を構成する孔のうち何れか一つは、冷気流入口の機能を果たし、他の一つは冷気流出口の機能を果たして、形成位置も引き出し32後面上にて上下または左右に配置することも可能である。
【0065】
一方、本発明の実施例による引き出し32の底面には、複数の冷却突起324が突出して形成される点において上記の実施例と相違している。
【0066】
引き出し32の底面にエンボス状の冷却突起342が突出することにより、引き出し32に収納された飲食物への冷気の伝達を促進させることができるのみならず、飲食物と引き出し32の底面とが接触する部分に冷気の流路を形成する。従って、引き出し32の内部における冷気の流動及び循環を促進するので、食品の冷凍速度を増加させて冷凍時間を短縮することができるという長所がある。これは、熱伝導を利用した冷却のみならず対流を利用した冷却が同時に行われるためであると考えられる。
【0067】
場合によっては、冷却突起324の上に冷却板34を搭載してもよい。
【0068】
図11は、本発明の第5実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断した断面図である。
【0069】
図11を参照すると、この実施例では急速冷却モジュール40が引き出しアセンブリー30のケース31に一体に結合されて、ケース31の引き出しの際に急速冷却モジュール40が低温貯蔵室から分離されることを示す。
【0070】
この実施例による急速冷却モジュール40は、熱伝素子41と、熱伝素子41の吸熱面に装着される放熱部材42と、放熱部材42の前面に結合される吸熱側送風ファン43と、熱伝素子41の発熱面に装着される放熱部材48と、放熱部材48の後面に装着される発熱側送風ファン49と、を含む。
【0071】
また、ケース31の内部には、引き出し32が収納される空間と急速冷却モジュール40が収納される空間とを区画する区画壁313を形成してもよい。また、区画壁313と引き出し32の後面には冷気孔が形成されることは勿論である。
【0072】
また、急速冷却モジュール40が収納されるケース31の内部には急速冷却モジュール40を支持する支持壁314を形成してもよい。また、支持壁314の前方と後方には各々熱交換空間K1、K2を形成することができる。支持壁314には、熱伝素子41が装着される。従って、支持壁314の前方空間には、熱伝素子41の吸熱面が露出し、後方空間には発熱面が露出する。これにより、熱伝素子41の発熱面から発生する熱が引き出し32の内部に流入しないため、冷却効率がよくなる。
【0073】
また、冷凍室13の壁面、具体的には第1実施例の説明と同様にインナーケース101または区画壁には、熱交換チャンバー105と連通する連通孔101bが形成され、発熱側送風ファン49は連通孔101bに配置される。従って、発熱側放熱部材48から放出される熱は、熱交換チャンバー105に伝達される。また、ケース31の後面には、熱交換チャンバー105の冷気が熱交換空間K2に流入されるようにする冷気孔313が形成されてもよい。
【0074】
一方、急速冷却モジュール40は、ケース31と一体に低温貯蔵室に押し込まれ、または引き出されなければならないので、吸熱側及び発熱側送風ファン43、49と熱伝素子41に電流の供給が選択的に行われる必要がある。即ち、ケース31が引き出される時には電流供給が遮断され、ケース31が低温貯蔵室に押し込まれた状態では電流供給が可能な状態になれなければならない。有線を通じた電力送信方式を採用する場合、引き出し型の収納装置に電流を供給するためには電線の仕組みに問題がある。この条件下で、電力供給を円滑に行うことができる手段が必要となる。
【0075】
この実施例は、上記の問題を解決するために提案されたものであって、引き出しアセンブリー30の後面及び冷蔵庫本体10の壁面に無線電力送信手段50が装着されることを特徴とする。
【0076】
冷蔵庫本体10の壁面には、無線電力送信部50bが装着され、ケース31の後壁には無線電力受信部50aが装着されるように構成することができる。また、無線電力送信部50bと無線電力受信部50aは、最大でも15mm以下の間隔が維持されるようにすることが好ましい。離隔距離が15mmを超えると電力損失が大きくなってエネルギー損失を起こす。また、無線電力送信部50bは、本体10の上面に取り付けられた主制御部に接続されて電力が供給される。また、無線電力受信部50aは、吸熱側及び発熱側送風ファン43、49と熱伝素子41と電気的に接続される。
【0077】
さらに、無線電力送信手段50は、電磁気誘導方式を採用したものであってもよい。電磁気誘導現象は電流が流れる周辺に磁場が生じ、この磁場を利用して電気を伝達する方式を言う。現在、電磁気誘導方式を利用する無線電力送信手段50は、電動歯ブラシに適用されたのを始めとして、最近では携帯電話などの家電機器にも適用されている。その他に共振を利用した無線電力送信手段を本発明に適用することもできる。
【0078】
このように、無線電力送信手段が適用されると、本体10から分離した構成に電気を効果的に供給することができ、引き出しアセンブリー30が本体10から分離した場合に電力供給が自動的に遮断されるので、電力損失を減らすことができるという効果が得られる。また、引き出しアセンブリー30と本体10とを接続する電線部分が除去されるので、電線の設置の問題も解消することができるという長所がある。
【0079】
図12は、本発明の実施例による急速冷却モジュールを具備した冷蔵庫の制御構成を概略的に示すブロック図である。
【0080】
図12に示すように、本発明の実施例による急速冷却モジュールを利用する急速冷却モードは、使用者の選択により選択的に行われるようにする必要がある。
【0081】
即ち、低温貯蔵室内部に急速冷却を要する物品が収納され、使用者が急速冷却の飲食物及びその他の物品を消費または使用しようとする時のみ、使用者の選択により急速冷却モードを行わなければ、電力消費を最小化することはできないと考えられる。
【0082】
このため、冷蔵庫のドア20または引き出しアセンブリー30の前面部に急速冷却モード選択のための入力部を具備することができる。例えば、冷蔵庫のドア20前面に具備されるディスプレイ(図示せず)またはコントロールパネル(図示せず)の一方の側に入力ボタンを具備して、使用者が入力ボタンを押す動作に応じて急速冷却モジュール40が作動するようにすることができる。
【0083】
本発明の実施例による冷蔵庫は、制御部600と、少なくとも急速冷却モード選択ボタンまたは急速冷却モード運転時間入力ボタンなどを含む入力部610と、入力部610を介する駆動命令が入力されると作動する駆動部620と、少なくとも急速冷却モード運転のために要する情報が保存されるメモリ630と、を含む。
【0084】
さらに、駆動部620は、熱伝素子41と、吸熱側及び発熱側送風ファン43、49及び冷蔵室または冷凍室の冷却のための冷凍サイクルを構成する圧縮機Cを含む。
【0085】
以下では、急速冷却モードの動作のための制御方法についてフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0086】
図13は、本発明の実施例による急速冷却モジュールを利用した急速冷却モード運転の制御方法を示すフローチャートである。
【0087】
図13に示すように、最初に使用者が急速冷却モードの駆動が必要であると判断した場合、入力部610を介して急速冷却モードを選択する(S110)。また、急速冷却モードを選択した後、急速冷却運転時間を入力する(S120)。他の方法として、急速冷却モード選択と同時に運転時間が自動的に設定されるようにしてもよい。
【0088】
急速冷却のための運転条件の入力が完了し、動作ボタンなどを介して動作命令が入力される(S130)。すると、熱伝素子41が作動することになり(S140)、熱伝素子41が作動するということは熱伝素子41に電源が印加されて、一方の面は冷却され他方の面は発熱されることを意味する。
【0089】
熱伝素子41の作動が開始されると圧縮機Cも共に駆動されなければならない。従って、急速冷却モードが作動すると制御部600では、現在冷蔵室及び/または冷凍室の冷却を行う冷凍サイクルが運転中であるか否かを判断する(S150)。また、現在冷凍サイクルが駆動している状態であると判断される場合、急速冷却運転のための設定時間が経過したか否かを判断する(S160)。一方、現在冷凍サイクルが駆動していない状態である場合、圧縮機Cを駆動するように制御命令を送出(S151)した後に設定時間が経過したか否かを判断する。
【0090】
一方、設定時間が経過したと判断した場合、熱伝素子41への電圧印加を中断するようにして熱伝素子41の作動を中止する(S170)。また、制御部600では冷凍サイクルの運転の維持が継続されるべきであるか否かを判断する(S180)。即ち、冷蔵室または冷凍室温度が設定温度に到達せず、引き続いて圧縮機Cを駆動する必要があるか否かを判断する。もし、冷凍サイクル運転がこれ以上必要でないと判断される場合、圧縮機の駆動を停止(S181)するようにした後、急速冷却モードを停止するようにする(S190)。一方、冷凍サイクルを継続して駆動する必要があると判断される場合、圧縮機Cの作動を継続するようにして急速冷却モードを停止するようにする。
【0091】
このように、急速冷却モードは、使用者の選択により行われ、急速冷却モードの実行のために熱伝素子41を作動するときには、圧縮機Cも同時に駆動することで急速冷却効率を高めると同時に電力消費を最小化することができる。
【0092】
図14は本発明の第6実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す分解斜視図で、
図15は本発明の第6実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断した断面図である。
【0093】
図14及び
図15に示すように、本発明では放熱部材42と引き出し32の内部の冷気を熱交換するための熱交換空間が別のキット型で提供される点において上記の実施例と相違している。
【0094】
一方、以下の実施例では、蒸発機Eが収納される熱交換チャンバー105がインナーケース101と区画壁70との間に形成される構造に限定して説明する。即ち、インナーケース101とアウターケース102との間には、断熱材106が充填されて外部空気と内部空気との間の熱交換を遮断し、インナーケース101とアウターケース102との間には別の空間が形成されない。ただ、上述のように、インナーケース101の前方に区画壁70が形成され、その間に熱交換チャンバー105が形成される。
【0095】
または、引き出し32の後面とケース31の後面との間に別の冷気循環キット33が提供される。また、急速冷却モジュール40の一部分は、冷気循環キット33の内部に設置される。
【0096】
冷気循環キット33は、内部に空間が形成されるキットボディー331と、キットボディー331の前面の一方の側に提供される冷気流動ダクト332と、キットボディー331の後面に形成されるモジュール収納溝333と、を含む。
【0097】
さらに、冷気流動ダクト332の上側と下側には各々冷気案内ルーバーを形成することができる。冷気流動ダクト332を二等分する横断面を基準として上側と下側に形成されるルーバーは、互いに対称になる形状に傾斜を成すように形成してもよい。また、上側ルーバーを通じて冷気が引き出し32に供給され、下側ルーバーを通じて引き出し32の内部の冷気が急速冷却モジュール40の吸熱側送風ファン43に供給されるようにすることができる。また、ルーバーは、回動可能なダンパー機能を果たすことができる。即ち、急速冷却モードが作動しない際には、冷気流動ダクト332を完全に遮蔽し、急速冷却モードでは回転して冷気流動ダクト332を開放するようにすることができる。
【0098】
または、モジュール収納溝333には、急速冷却モジュール40が嵌め込まれる。引き出し32の内部の冷気が循環するために、少なくとも吸熱側送風ファン43と放熱部材42は冷気循環キット33の内部に収納されるように構成する。
【0099】
図16は本発明の第7実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す分解斜視図で、
図17は本発明の第7実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断した断面図である。
【0100】
図16及び
図17に示すように、この実施例は第6実施例の構造と同じであるが、冷気循環キット33の構造において若干の違いがある。
【0101】
この実施例では冷気流入部と冷気流出部が冷気循環キット33に別途形成されることを特徴とする。具体的には、冷気循環キット33の冷気流動ダクト332が、冷気流出ダクト334と、冷気流入ダクト335と、を含み、冷気流出ダクト334が冷気流入ダクト335の下側に形成される。また、冷気流入ダクト335の後方に急速冷却モジュール40が位置するように構成して、吸熱側送風ファン43から放出される冷気は、冷気流入ダクト335を通じて引き出し32の内部に供給されるように構成する。また、引き出し32の内部の空気は、冷気流出ダクト334を通じて冷気循環キット33に案内されるようにして、引き出しアセンブリー30の内部における冷気循環が円滑に行われるように構成する。
【0102】
図18は本発明の第8実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す分解斜視図で、
図19は本発明の第8実施例による急速冷却モジュール及び引き出しアセンブリーの取り付け模様を示す
図1のI−Iに沿って切断した断面図である。
【0103】
図18及び
図19に示すように、ケース31と引き出し32とで構成する引き出しアセンブリー30と、引き出しアセンブリー30の後面に装着される急速冷却モジュール40は上記の実施例と実質的に同じである。但し、区画壁70に熱交換チャンバー105から冷気が流入するようにする冷気流入口73と、引き出し32から冷気が熱交換チャンバー105に流出するようにする冷気流出口72が形成される点で相違している。また、この実施例においても、区画壁70に急速冷却モジュール40が装着されるためのモジュール装着孔71が形成される。
【0104】
または、区画壁70の前面には、冷気の流れを案内する案内部5と、冷気の流出入を案内する冷気移動ダクト6と、が設けられる点で上記の実施例と相違している。詳しくは、案内部5は、区画壁70の前面から突出して冷気流路部52を形成するガイドリブ51と、ガイドリブ51の前面に装着されて冷気流路部52を覆うカバー53と、を含む。また、ガイドリブ51は、区画壁70の冷気流入口73とモジュール装着孔71の淵に沿ってモジュール装着孔71の下端部前まで延長されてもよい。従って、ガイドリブ51により形成される冷気流路部52は、T字形を成すことができる。
【0105】
一方、急速冷却モジュール40は、モジュール装着孔71を通じて区画壁70を貫通する。また、急速冷却モジュール40を構成する放熱部材42は、冷気流路部52上に露出する。
【0106】
冷気移動ダクト6は、冷気流入ダクト61と冷気流出ダクト62とを含む。詳しくは、冷気流入ダクト61は、熱交換チャンバー105から区画壁70の冷気流入口73を通じて流入した後、下降する冷気が引き出し32に案内されるように構成する。また、冷気流入ダクト61は、カバー53の下端部に装着される。また、冷気流入ダクト61の内部または後方には、吸熱側送風ファン43を装着することができる。また、冷気流入ダクト61の前端には、回動可能なルーバーが装着されてダンパーの機能を果たすようにすることができる。
【0107】
この構成により、吸熱側送風ファン43が作動すると、冷気流路部52に沿って熱交換チャンバー105の冷気が下降することで放熱部材42と熱交換が行われる。同時に、放熱部材42は、熱伝素子41と熱交換することとなる。即ち、放熱部材42は二重に熱交換することで引き出し32を急速冷却するのに要する時間をより短くすることができるという長所がある。
【0108】
または、冷気流出ダクト62は、冷気流入ダクト61の下側に装着されて、区画壁70の冷気流出口72と連通する。冷気流出ダクト62を通じて引き出し32の内部の冷気が熱交換チャンバー105に回収される。また、冷気流出ダクト62にも冷気流入ダクト61の場合と同様に、回動可能なルーバーが装着されてもよい。
【0109】
図20及び
図21は、本発明の実施例による案内部の多様な実施例を示す斜視図である。
【0110】
図20(a)は
図18に示された実施例と同様で、
図20(b)は区画壁70に形成された冷気流入口73の上下の幅が以前の実施例に対して狭くなった点で相違している。冷気流入口73の上下の幅が狭くなると同時に、冷気流入口73を囲むガイドリブ51の上下の幅も狭くなる。また、急速冷却モジュール40は、ガイドリブ51により形成される冷気流路部52上に配置され、冷気流入口73から下側に離隔した位置に装着される。
【0111】
図20(c)の場合、冷気流入口73が区画壁70の左側と右側に各々形成される点で上記の実施例と相違している。しかし、ガイドリブ51の形状は、
図20(a)と同様である。
【0112】
図21の(a)乃至(c)は、
図20の(a)乃至(c)とその構造が実質的に同じであるものの、急速冷却モジュール40が冷気流入口73の直下に装着される点で相違している。