特許第6054656号(P6054656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054656
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】車両用灯火器
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20161219BHJP
   F21V 31/03 20060101ALI20161219BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20161219BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161219BHJP
【FI】
   F21S8/10 375
   F21S8/10 541
   F21V31/03 400
   F21Y101:00 100
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-149802(P2012-149802)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-13662(P2014-13662A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】小野 和彦
(72)【発明者】
【氏名】金岡 洋司
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−103804(JP,U)
【文献】 実開昭63−099706(JP,U)
【文献】 実開昭60−184784(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 31/03
F21V 17/00−17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光源であるバルブ(40)の光を透過するレンズ(20)と、前記バルブ(40)を支持すると共に前記レンズ(20)が取り付けられるハウジング(30)と、締結手段(50)を介して前記レンズ(20)を前記ハウジング(30)に取り付けるための係合部(34)および被係合部(22)とを備えた車両用灯火器において、
前記係合部(34)は、前記レンズ(20)またはハウジング(30)の一方側に設けられ、
前記被係合部(22)は、前記レンズ(20)またはハウジング(30)の他方側に設けられ、
前記レンズ(20)は、光軸方向に嵌合された前記ハウジング(30)に対して、所定角度回動されて所定の固定位置に収められており、
前記ハウジング(30)に螺合されている前記締結手段(50)の先端(50a)が、前記所定の固定位置にある前記レンズ(20)の内側に当接されていることで、前記レンズ(20)の回動動作が不能とされており、
前記締結手段(50)は、前記ハウジング(30)側から前記レンズ(20)側に向かって前記ハウジング(30)のみに螺合するねじ部材であることを特徴とする車両用灯火器。
【請求項2】
前記ハウジング(30)の外周面に、前記螺合した締結手段(50)が突出しないようにするための凹部(55)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯火器。
【請求項3】
前記凹部(55)が、前記ハウジング(30)の車体下方側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯火器。
【請求項4】
前記レンズ(20)の内側に、前記締結手段(50)の先端(50a)と当接することで前記レンズ(20)の回動動作を不能とする係止手段(24)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用灯火器。
【請求項5】
前記締結手段(50)を前記ハウジング(30)に螺合させても、前記締結手段(50)の先端(50a)が、前記ハウジング(30)と前記レンズ(20)との当接面(P)よりレンズ(20)側に突出しないように構成されており、
前記係止手段(24)は、前記レンズ(20)の内側であって前記ハウジング(30)とレンズ(20)との当接面(P)よりも少なくとも前記ハウジング(30)側に延びるように立設して前記締結手段(50)の側面に当接する係止板(24)からなることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯火器。
【請求項6】
前記締結手段(50)が前記灯火装置の車体下方側に配設されており、
前記ハウジング(30)とレンズ(20)との当接部であって、前記車両用灯火器の下面視で前記締結手段(50)と重なる位置に、レンズ側水抜き用切欠き(23)およびハウジング側水抜き用切欠き(36)が形成されることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯火器。
【請求項7】
前記係止板(24)は湾曲していることを特徴とする請求項6に記載の車両用灯火器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯火器に係り、特に、自動二輪車等の車両に適用される車両用灯火器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光源としてのバルブを保持する容器状のハウジングの開口部に、バルブの照射光を透過する無色透明または有色透明のレンズを取り付けてなる車両用灯火器が知られている。
【0003】
特許文献1には、レンズの周縁に設けられたフランジ状部に貫通孔を設け、この貫通孔を通るねじ頭付きの取付ねじをレンズ側からハウジングに螺合することによって、レンズをハウジングに固定するようにした自動二輪車用のウインカ装置(図5参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−18281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたウインカ装置では、取付ねじがレンズの外側からハウジングに向かって螺合するので、取付ねじを締めつける際にレンズ側の締結部にかかる応力が大きくなってしまう可能性がある。この課題に対しては、レンズ側の締結部の数を増やして応力を分散すればよいが、そうすると灯体の大型化を招くこととなる。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、灯火器の大型化を招くことなくレンズにかかる応力を低減することが可能な車両用灯火器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、発光源であるバルブ(40)の光を透過するレンズ(20)と、前記バルブ(40)を支持すると共に前記レンズ(20)が取り付けられるハウジング(30)と、締結手段(50)を介して前記レンズ(20)を前記ハウジング(30)に取り付けるための係合部(34)および被係合部(22)とを備えた車両用灯火器において、前記係合部(34)は、前記レンズ(20)またはハウジング(30)の一方側に設けられ、前記被係合部(22)は、前記レンズ(20)またはハウジング(30)の他方側に設けられ、前記係合部(34)および被係合部(22)は、前記レンズ(20)と前記ハウジング(30)とを光軸方向に嵌合させてから前記レンズ(20)を前記ハウジング(30)に対して所定角度回動させることで、前記レンズ(20)が所定の固定位置に収まるように構成されており、前記レンズ(20)が前記所定の固定位置にあるときに前記締結手段(50)を前記ハウジング(30)に螺合させることで、前記レンズ(20)を係合が外れる方向に回動させようとしても前記レンズ(20)の内側が前記締結手段(50)の先端(50a)と当接して前記レンズ(20)の回動動作が不能となるように構成されている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記締結手段(50)は、前記ハウジング(30)側から前記レンズ(20)側に向かって前記ハウジング(30)のみに螺合するねじ部材である点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記ハウジング(30)の外周面に、前記螺合した締結部材(50)が突出しないようにするための凹部(55)が形成されている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記凹部(55)が、前記ハウジング(30)の車体下方側に設けられている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記レンズ(20)の内側に、前記締結手段(50)の先端(50a)と当接することで前記レンズ(20)の回動動作を不能とする係止手段(24)が設けられている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記締結手段(50)を前記ハウジング(30)に螺合させても、前記締結手段(50)の先端(50a)が、前記ハウジング(30)と前記レンズ(20)との当接面(P)よりレンズ(20)側に突出しないように構成されており、前記係止手段(24)は、前記レンズ(20)の内側であって前記ハウジング(30)とレンズ(20)との当接面(P)よりも少なくとも前記ハウジング(30)側に延びるように立設して前記締結部材(50)の側面に当接する係止板(24)からなる点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記締結部材(50)が前記灯火装置の車体下方側に配設されており、前記ハウジング(30)とレンズ(20)との当接部であって、前記灯火装置の下面視で前記締結部材(50)と重なる位置に、レンズ側水抜き用切欠き(23)およびハウジング側水抜き用切欠き(36)が形成される点に第7の特徴がある。
【0014】
さらに、前記係止板(24)は湾曲している点に第8の特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
第1の特徴によれば、係合部は、レンズまたはハウジングの一方側に設けられ、被係合部は、レンズまたはハウジングの他方側に設けられ、係合部および被係合部は、レンズとハウジングとを光軸方向に嵌合させてからレンズをハウジングに対して所定角度回動させることで、レンズが所定の固定位置に収まるように構成されており、レンズが所定の固定位置にあるときに締結手段をハウジングに螺合させることで、レンズを係合が外れる方向に回動させようとしてもレンズの内側が締結手段の先端と当接してレンズの回動動作が不能となるように構成されているので、締結手段をレンズ側に螺合させることなくレンズとハウジングとを固定することが可能となり、ハウジングにレンズを取り付ける際に締結手段によってレンズに応力が生じることがなくなる。これにより、レンズ側の締結箇所を増やして応力を分散する必要がなくなるので、灯火器の小型化が可能となる。また、締結手段は、レンズの回動動作を不能とする強度を有していればよいため、締結手段を小型化して締結手段を目立ちにくくし、外観性を向上させることができる。
【0016】
第2の特徴によれば、締結手段は、ハウジング側からレンズ側に向かってハウジングのみに螺合するねじ部材であるので、レンズの外側から締結手段が外観されにくくなり、灯火器の外観性を向上させることが可能となる。また、締結手段がレンズの発光面に対して略垂直に螺合されることで、締結手段が発光面に与える影響を最小限に抑え、十分な発光面積を確保することができる。
【0017】
第3の特徴によれば、ハウジングの外周面に、螺合した締結部材が突出しないようにするための凹部が形成されているので、締結部材を目立たなくして外観性を向上させると共に、灯火器の大型化を防ぐことが可能となる。
【0018】
第4の特徴によれば、凹部が、ハウジングの車体下方側に設けられているので、凹部おより締結部材をより目立たなくして外観性を向上させることができる。
【0019】
第5の特徴によれば、レンズの内側に、締結手段の先端と当接することでレンズの回動動作を不能とする係止手段が設けられているので、簡単な構成によって、レンズの回動動作を不能とすることが可能となる。
【0020】
第6の特徴によれば、締結手段をハウジングに螺合させても、締結手段の先端が、ハウジングとレンズとの当接面よりレンズ側に突出しないように構成されているので、レンズの外観性に影響を与えることなく、係止孔および係止板によってレンズの回動動作を不能とすることができる。また、係止手段は、レンズの内側であってハウジングとレンズとの当接面よりも少なくともハウジング側に延びるように立設して締結部材の側面に当接する係止板からなるので、透過部材であるレンズの外方から締結部材が透けて視認される可能性も低減され、灯火器の外観性を高めることができる。
【0021】
第7の特徴によれば、締結部材が灯火装置の車体下方側に配設されており、ハウジングとレンズとの当接部であって、灯火装置の下面視で締結部材と重なる位置に、レンズ側水抜き用切欠きおよびハウジング側水抜き用切欠きが形成されるので、灯火器下部に水抜き孔が設けられることでハウジング内の水を抜けやすくすることができる。また、切欠きと締結部材とを下面視にて重ねるようにしたので、水抜き孔としての実質的な通路太さを細くすることができ、外部からの水やほこりの侵入を抑えることができる。さらに、通路を細く設定する場合でも、ハウジングを形成するための金型に細い箇所を設ける必要ないので、金型のメンテナンスサイクルを延ばすことができる。
【0022】
第8の特徴によれば、係止板は湾曲しているので、高い剛性を得やすく、レンズ側水抜き用切欠き23の上に覆いかぶさるように湾曲しているので、水、埃等の侵入を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯火器としてのウインカ装置を適用した自動二輪車の左側面図である。
図2】ウインカ装置の正面図である。
図3図2の3−3線断面図である。
図4】ウインカ装置の底面図である。
図5図2の5−5線断面図である。
図6図2の6−6線断面図である。
図7】ハウジングの斜視図である。
図8】レンズの斜視図である。
図9】レンズの背面図および側面図である。
図10図2の10−10線断面図である。
図11】本実施形態の変形例に係るウインカ装置の断面図である。
図12図3のA部分の拡大図である。
図13図11のB部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る本発明の一実施形態に係る車両用灯火器としてのウインカ装置を適用した自動二輪車1の左側面図である。車体フレーム9の前端のヘッドパイプ2には、左右一対のフロントフォーク7を操舵可能とするためのステアリングステム(不図示)が回動自在に支持されている。フロントフォーク7の下端部には前輪WFが回転自在に軸支されており、フロントフォーク7の上端部には、操向ハンドル3およびメータ装置4が取り付けられている。ヘッドパイプ2の車体前側にはヘッドライト6が設けられており、このヘッドライト6の車幅方向左右に、本願発明に係る車両用灯火器としてのウインカ装置5が左右一対で取り付けられている。
【0025】
車体フレーム9を構成するメインフレーム14とアンダフレーム8との間には、V型2気筒のエンジン10が配設されている。エンジン10の前後気筒の間には、燃料噴射装置およびエアクリーナボックスを含む吸気装置18が配設されている。エンジン10の車体後方で車体フレーム9には、スイングアーム12を揺動自在に軸支するピボット11が設けられている。スイングアーム12の後端には、駆動輪としての後輪WRが回転自在に軸支されている。エンジン10の回転駆動力は、シャフトドライブ機構を介して後輪WRに伝達される。
【0026】
エンジン10の上方には、メインフレーム18をまたぐようにして燃料タンク13が取り付けられており、その後方下部にはシート15が配設されている。シート15の後部で後輪WRの上方には、リヤフェンダ16が設けられており、その後端部に、尾灯装置17および左右一対のウインカ装置5が取り付けられている。本実施形態において、前側のウインカ装置5と後側のウインカ装置5とは共通部品で構成することができる。
【0027】
図2は、ウインカ装置5の正面図である。また、図3図2の3−3線断面図であり、図4はウインカ装置5の底面図である。以下、車体前側用のウインカ装置5として説明するが、車体後側用も同じ構造とされる。ウインカ装置5は、アルミ等の金属からなるハウジング30の内部に発光源としてのバルブ40を保持し、このハウジング30の開口部にバルブ40の照射光を透過するレンズ20を固定して構成されている。
【0028】
ハウジング30は、いわゆる砲弾形状を有する容器状の本体部31と、車体に取り付けるための筒状の車体取付部32とからなる。本実施形態では、バルブ40に白熱電球を適用すると共にレンズ20を橙色透明の樹脂等を適用しているが、例えば、バルブ40の表面を橙色に着色すると共にレンズ20に無色透明のクリアタイプを使用したり、白熱電球に替えて橙色のLEDを適用してもよい。
【0029】
本実施形態に係るウインカ装置5は、ハウジング30とレンズ20との間の締結構造に特徴がある。具体的には、ハウジング30およびレンズ20に設けられた係合部としての係合突起および被係合部としての係合溝からなる係合機構によって互いに仮留めした状態で、締結手段としての締結ねじ50をハウジング30側から該ハウジング(30)にのみ螺合することにより、締結ねじ50をレンズ20に螺合させることなく、レンズ20がハウジング30から外れなくなるように構成されている。
【0030】
ウインカ装置5のレンズ20は、正面視円形の有底円筒状とされている。ハウジング30の本体部31の内周部分には、左右一対の係合突起34が形成されており、この係合突起34がレンズ20に形成された左右一対の係合溝22(図9参照)に係合するように構成されている。係合溝22は、直角に屈曲したいわゆるL字状に形成されており、ハウジング30にレンズ20を取り付ける際には、係合突起34と係合溝22とが係合するようにハウジング30の開口部にレンズ20を光軸方向に動かして嵌めた後、レンズ20を図示半時計方向に所定角度回動させることで、レンズ20が所定の固定位置に収まるように構成されている。
【0031】
そして、レンズ20が所定の固定位置に収まった状態で、ハウジング30側からレンズ20側に向かって、すなわち、車体後方側から車体前方に向かって締結ねじ50を螺合させると、その後は、レンズ20に設けられた係止手段としての係止板24に当接する締結ねじ50がストッパとして機能して、レンズ20を車体正面視で時計方向に回すことができなくなる。したがって、締結ねじ50をレンズ20に螺合することなくレンズ20が固定されることとなり、レンズ20に締付応力が生じることがなく、かつ締結ねじ50がレンズ20側から視認されにくく、外観性に優れた小型なウインカ装置5が得られる。
【0032】
図3を参照して、ハウジング30の本体部31には、バルブ40のソケット41を固定する支持板45、スプリング43の付勢力によってソケット41に押し付けられる電極板42、スプリング43および電極板42の位置を規制する底壁48が配設されている。電極板42に電力を供給するハーネス44は、ハウジング30の車体取付部32に挿嵌された支持部材46に形成された中空孔および塞栓部材48の中空孔を通って車体側に導かれる。本体部31とレンズ20との間には、環状のシール部材33が配設される。また、図12のA部分の拡大図にも示すように、ハウジング30側の係合突起34は、ハウジング30側に嵌合されるレンズ20の環状部21に形成された係合溝22に係合されている。
【0033】
図4を参照して、ハウジング30の本体部31の車体下方側の位置には、締結ねじ50を螺合する際のガイドとして機能すると共に、螺合した後に締結ねじ50が本体部31の外周面から突出しないようにするための凹部55が設けられている。この凹部55の車体前方側には、ハウジング側水抜き用切欠き36が形成されている。この底面図において、ハウジング側水抜き用切欠き36からは、締結ねじ50の先端50aが視認できる。
【0034】
図5は、図2の5−5線断面図である。また、図6図2の6−6線断面図であり、図7はハウジング30の斜視図であり、図8はレンズ20の斜視図であり、図9はレンズ20の背面図(a)および側面図(b)である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。支持板45は、2本の固定ねじ47によってハウジング30の本体部31の底壁48に固定されている。
【0035】
図7を参照して、本体部31の内側には、凹部55の裏面側である凸部37が設けられており、この凸部37の一端部に、締結ねじ50が螺合する雌ねじ孔38が形成されている。この雌ねじ孔38に締結ねじ50を螺合すると、その先端部50a(図4参照)がレンズ20側に向かって突出することとなる。本体部61に嵌入される環状のシール部材33は、柱状の複数のリブ35によって所定位置に収められている。そして、このシール部材33より開口端寄りの位置に、左右一対の係合突起34およびハウジング側水抜き用切欠き36が設けられている。本体部31および車体取付部32は、金属の薄板部材による一体成型部品であり、両者の間には中空孔39が連通している。
【0036】
図8を参照して、レンズ20には、当接面Pからハウジング30側に延出してハウジング30側に挿入される環状部21が形成されており、該環状部21の外周面には、係合突起34が係合する係合溝22が形成されている。係合溝22の径方向内側の位置には、係合溝22により薄くなった肉厚を補うための板厚部25が設けられている。そして、レンズ20の内側で車体下方側の位置に、レンズ側水抜き用切欠き23および係止手段としての係止板24が形成されている。レンズ側水抜き用切欠き23は、ハウジング30内の水分を外部に排出する水抜き孔として機能する。また、係止板24は、螺合された際に締結ねじ50に当接することでレンズ20の回動動作を禁止する機能を有するが、レンズ20を所定の固定位置に収めて締結ねじ50を螺合した時点で、締結ねじ50の先端50aは、レンズ側水抜き用切欠き23および係止板24のいずれにも接触しないように設定されている。
【0037】
レンズ側水抜き用切欠き23は、環状部21に形成されている。また、係止板24は、レンズ20の内側であってハウジング30とレンズ20との当接面Pよりも少なくともハウジング30側に延びるように立設して締結部材50の側面に当接するように形成されている。係止板24は、湾曲して形成されているので高い剛性を得やすく、さらに、レンズ側水抜き用切欠き23の上に覆いかぶさるように湾曲しているので、水、埃等の侵入を抑えることが可能となる。
【0038】
図5を参照して、ハウジング30側の凸部37の上面と、レンズ20側の係止板24の上面とは、略同じ高さに設定されており、両者の間には隙間51が設定されている。ウインカ装置5の内部に水分が浸入した場合には、締結ねじ50の先端50aとレンズ側水抜き用切欠き23との間に形成されるわずかな隙間を通った後に、ハウジング30に形成されたハウジング側水抜き用切欠き36およびレンズ20の端面からなる孔から外部に排出されることとなる。
【0039】
図10は、図3の10−10線断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。前記したように、ハウジング30にレンズ20を係合させる際には、係合溝22の形状に合わせて、レンズ20を車体前方からハウジング30の開口部に挿入し、続いて、レンズ20を車体正面視で半時計まわりに回動させることで、レンズ20が所定の固定位置に収まる。この状態で、車体後方側から締結ねじ50をハウジング30に螺合させると、今度はレンズ20を時計まわりに回動させようとしても、締結ねじ50が係止板24に干渉してレンズ20を回動させることができないため、実質的にレンズ20が所定の固定位置で保持されることとなる。
【0040】
図11は、本実施形態の変形例に係るウインカ装置5aの断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。図13のB部分の拡大図にも示すように、ハウジング30とレンズ20との係合構造は、レンズ20側に係合突起34aを設けると共に、ハウジング30側に係合溝22aを設けるようにしてもよい。なお、係合溝22aには、所定の固定位置まで回動させると引っ掛かるフック部分を設けたり、レンズの回動動作に伴ってハウジングとの距離が小さくなる螺旋形状を適用することもできる。
【0041】
なお、ハウジングおよびレンズの材質や形状、ハウジングおよびレンズに形成された係合部および被係合部の構造や形状、係止板からなる係止手段の形状、水抜き用切欠きの形状、シール部材の材質や形状、雌ねじ孔および締結ねじの形態や形状等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、締結ねじに当接する係止板を、締結ねじの両側面に位置する一対の板としたり、締結ねじを囲む環状の板としてもよい。また、ハウジングを樹脂等で形成すると共に、締結ねじにタッピングねじを適用してもよい。さらに、締結ねじおよびハウジング側の雌ねじに替えて、ねじ構造を持たない締結ピンが係合構造によってハウジング側に固定される構造としてもよい。本発明に係る車両用灯火器は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…自動二輪車(車両)、5…ウインカ装置、20…レンズ、21…環状部、22…係合溝(被係合部)、23…レンズ側水抜き用切欠き、24…係止板(係止手段)、30…ハウジング、31…本体部、32…車体取付部、33…シール部材、34…係合突起(係合部)、35…リブ、36…ハウジング側水抜き用切欠き、37…凸部、38…雌ねじ孔、40…バルブ(発光源)、42…電極板、43…スプリング、44…ハーネス、45…支持板、50…締結部材(締結ねじ)、55…凹部
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