(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建築物に設置される外装材であって、前記外装材の表面における最頂部の位置と、前記最頂部から0.1mmの深さにある位置との間にある領域の平面視における投影面積の割合が、平面視における前記外装材の表面の投影面積に対して35〜50%の範囲であり、前記外装材の表面に微細な凹凸が形成され、前記外装材の表面の算術平均粗さ(Ra)が7.0μm以下であることを特徴とする外装材。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建築物に設置される外装材には、高級感のある外観となるように、表面に微細な凹凸模様を形成する艶消し仕上げを行うことがある。このような外装材は、製造工場にて梱包された後、パレット等の移送用架台に積載されてトラックや船で搬送される。この際、梱包後の積載で受ける圧力や摩擦などによって、外装材表面に形成された凹凸模様がつぶれ、表面にテカリが発生することがある。
【0003】
外装材の施工現場において、このようなテカリが発生した外装材を使用すると、太陽光の照射によってテカリ部分が目立ち、外観性の低下につながるという問題があった。
【0004】
そこで、外装材を積載して搬送する場合、外装材表面に形成された凹凸模様を相互に対向させ、その両者の間に樹脂シート等の合紙を挟むことにより、凹凸模様の損傷を防止し、テカリの発生を抑制することが従来から行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、このような合紙を使用してもテカリの発生を完全に防止することができないため、外装材の表面におけるテカリの発生を更に抑制することが求められている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の外装材Aの実施形態の一例である。この外装材Aは、建築物に設置される板状の部材である。
【0013】
外装材Aとしては、例えば、セメントを主成分とする材料により形成される窯業系サイディング材などが挙げられる。窯業系サイディング材は、例えば、原料となる水硬性材料に無機充填剤、繊維質材料等と水とを配合して得られる成形材料から生板を形成し、この生板を養生硬化させて作製される。
【0014】
水硬性材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメントなどのセメント材料のうち一種のみを用いても二種以上を併用してもよい。また、セメント材料に、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏などを一種又は複数種、混合してもよい。また、無機充填剤としては、フライアッシュ、ミクロシリカ、珪砂等が挙げられる。また、繊維質材料としては、パルプ、合成繊維等の無機繊維や、スチールファイバー等の金属繊維が挙げられる。無機充填材や繊維質材料も、それぞれ一種のみを用いても二種以上を併用してもよい。
【0015】
成形材料から生板を形成するにあたっては、押出成形、注型成形、抄造成形、プレス成形等の適宜の成形方法が採用される。
【0016】
この生板に更にオートクレーブ養生、蒸気養生、常温養生等を施して養生硬化することにより、外装材Aを得ることができる。外装材Aの表面には、溶剤系、水溶性あるいはエマルション系のシーラーにより目止めをしてもよい。シーラーとしては、例えばアクリル系やラテックス系のシーラーが挙げられる。
【0017】
外装材Aの表面には、塗膜層が設けられていてもよい。ここで、外装材Aの表面とは、建築物の外壁等として外装材Aを設置した場合、建築物の外側に向けられる面のことをいう。塗膜層は、外装材Aの下地の隠蔽力が高く、耐久性に優れ、外観意匠性向上に寄与できるものであれば、特に制限はなく、公知の方法で形成させることができる。この塗膜層の厚みは、6μm以上であることが好ましい。塗膜層の厚みが6μm以上であると、搬送時における外装材Aの積載によって塗膜層につぶれが発生しても、塗膜層の性能を維持することができる。
【0018】
本実施形態に係る外装材Aは、
図1(a)に示すように、意匠性を付与する等の目的で表面に凹凸模様が形成されていてもよい。この場合、凹凸模様は、外装材Aの意匠性を損なわない程度に外装材Aの表面に設けることができる。凹凸模様の凹部11の深さは、0.3〜0.5mmであることが好ましい。これにより、外装材Aの表面に、深さが小さい凹部11が形成される。この場合、外装材Aの表面に形成された凹部11によって光が乱反射し、外装材Aに良好な素材感を発現させることができる。また、外装材Aの表面にテカリが発生しても、凹部11によって、テカリ部分の連続性がなくなるため、外装材Aの表面におけるテカリを目立たたなくすることができる。
【0019】
図1(b)に示されるように、外装材Aの表面に微細な凹凸が形成されることで、この表面が粗面となっていることが好ましい。本実施形態のように、外装材Aに凹部11が形成されている場合には、外装材Aの表面における凹部11が形成されていない領域に微細な凹凸が形成されていてもよい。このような微細な凹凸によって、外装材Aに、高級感のある外観が付与される。この場合の外装材Aの表面の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)が、7.0μm以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の外装材Aにおいては、トップ面3の平面視における投影面積の割合(以下、トップ面比率という)が、平面視における外装材Aの表面の投影面積に対して35〜50%の範囲である。ここで、トップ面3とは、
図1(b)に示すように、外装材Aの表面における最頂部の位置1と、最頂部から0.1mmの深さにある位置2との間の領域のことをいう。また、平面視とは、外装材Aの表面をこの表面に対して垂直な方向から見ることをいう。また、最頂部の位置1とは、
図1(b)に示すように、外装材Aの表面において最も突出している部分と同じ高さ位置のことをいう。トップ面比率が35〜50%であることで、外装材Aの表面におけるテカリの発生が効果的に抑制される。すなわち、トップ面比率が35%未満の場合は、搬送時の積載において外装材Aを積み重ねる際、表面の接触面積が小さくなる。その結果、外装材Aの表面に加わる圧力が大きくなるため、テカリが強く発生しやすくなってしまう。また、トップ面比率が50%より大きい場合は、搬送時の積載において外装材Aを積み重ねる際、表面の接触面積が大きくなり過ぎる。その結果、摩擦などによって、外装材Aの表面にテカリの発生する場所が多くなってしまう。
【0021】
外装材Aのトップ面比率は、例えば、次の手法によって設定することができる。
【0022】
まず、外装材Aの表面を成形するための、金型の形状の3次元データを作製する。この金型は、プレス成形などにより成形材料から生板を形成する際に用いられるものである。
【0023】
次に、上記の3次元データを、外装材Aの表面における最頂部の位置1から0.1mmの深さの位置2を閾値として2値化処理することにより、金型を用いて作製される外装材Aのトップ面3の位置及び面積を検出する。
【0024】
そして、平面視における外装材Aの表面の投影面積のうちで、トップ面3の投影面積が占める割合を計算することで、トップ面比率を導出することができる。
【0025】
また、この結果に基づいて、金型の3次元形状を調整することで、トップ面比率を調整することができる。
【0026】
また、外装材Aを製造した後に、トップ面比率を導出するには、まず、非接触センサーによるデジタル化により、外装材Aの3次元データを取得する。この3次元データを用いて、上記の外装材Aの製造時における手法と同様の手法により、製造後の外装材Aのトップ面比率を導出する。
【0027】
外装材Aは、例えば、積み重ねられてトラック等により搬送されるものである。その際、外装材Aと他の外装材Aとを、積み重ねるとともに、両者の間に合紙などの緩衝材を挟んで配置し積み重ねてもよい。これにより、外装材Aの表面におけるテカリの発生をより効果的に抑制することができる。
【0028】
合紙の材質としては、プラスチックフィルム、プラスチックシート、合成紙、加工紙等の樹脂を主成分としたものや、熱可塑性樹脂、光や生物分解性の樹脂などが挙げられる。
【実施例】
【0029】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0030】
実施例及び比較例の外装材Aを以下のようにして作製した。
【0031】
普通ポルトランドセメント35質量部に、フライアッシュを35質量部、パルプを6質量部、セメント板の廃材の粉砕物を24質量部配合し、さらに、固形分濃度が20質量%となるように水を配合し、それらをミキサーで混合分散することで、外装材Aの成形材料を得た。
【0032】
次に、この成形材料を抄造した後、金型を用いてプレス機で押圧することで、表面に凹凸模様を付与し、抄造板(生板)を作製した。この抄造板を、60℃で10時間、蒸気養生し、さらに170℃で5時間、オートクレーブ養生して、養生硬化させることによって、外装材Aを作製した。なお、各実施例及び比較例における金型の形状の3次元データから導出されるトップ面比率の値は、表1に示す通りである。
【0033】
また、表1に、外装材Aの表面粗さを示す。表面粗さは、蝕針式現場型表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製 SJ−301)を用いて測定した。
【0034】
これらについて、テカリの評価試験を次に示す通り行った。
【0035】
[テカリの評価]
(トレーラーによる拠点輸送試験)
外装材Aを2段積みして、トレーラーにて搬送した後、2段積みの下段パレットのうち、トレーラー最前列の外装材A(最上段2束、中段2束、最下段2束)を開梱した。そして、外装材Aの表面を、その四隅の角部側から目視で観察することによって、表面のテカリの有無及びその程度を確認した。
(トラックによる小口輸送試験)
外装材Aを平積みして、トラックにて搬送した後、トラック前列にパレット積みされた外装材A(最上段2束、中段2束、最下段2束)について、外装材Aの表面を、その四隅の角部側から目視で観察することによって、表面のテカリの有無及びその程度を確認した。
【0036】
その結果を、次のように評価した。
◎:長辺が25mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っていない場合)及び、長さが30mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っている場合)の両方がなく、且つ、テカリの数が少ないもの。
○:長辺が25mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っていない場合)及び、長さが30mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っている場合)の両方がないもの。
△:長辺が25mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っていない場合)又は、長さが30mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っている場合)のいずれか一方が認められるもの。
×:長辺が25mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っていない場合)及び、長さが30mmより長いテカリ(テカリが外装材の柄に沿っている場合)の両方が認められるもの。
【0037】
テカリの評価試験の結果を、下記表1に示す。
【0038】
【表1】
表1にみられるように、トップ面比率が35〜50%である実施例1〜4はいずれも、テカリの発生を効果的に抑制することができた。
【0039】
一方、トップ面比率が35%未満である比較例3と、トップ面比率が50%より大きい比較例1及び2では、テカリの発生を効果的に抑制することができなかった。